JP2019114679A - プリント配線板用基材 - Google Patents

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一誠 岡田
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健嗣 大木
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Abstract

【課題】本発明は、十分な長寿命化を図ることができるプリント配線板用基材の提供を課題とする。【解決手段】本発明のプリント配線板用基材は、絶縁性を有するベースフィルムと、このベースフィルムの一方側の面に積層される銅粒子の焼結体層とを備え、上記焼結体層の一方側の面のナトリウム元素量が10atm%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、プリント配線板用基材に関する。
絶縁性のベースフィルムと、このベースフィルムの一方側の面に積層される金属層とを有するプリント配線板用基材が知られている。
従来、このプリント配線板用基材としては、ベースフィルムの一方側の面にスパッタリング法によってシード層が形成されたものが用いられている。一方、スパッタリング法を用いたプリント配線板用基材は、物理的蒸着に必要な高価な真空設備を要するため、今日ではスパッタリング法を用いない比較的安価なプリント配線板用基材も提案されている。
このようなスパッタリング法を用いないプリント配線板用基材としては、絶縁性のベースフィルムと、このベースフィルムの一方側の面に積層される金属粒子の焼結体層とを有するプリント配線板用基材や、上記焼結体層の一方側の面にさらに金属めっき層を有するプリント配線板用基材が発案されている(特開2016−119424号公報参照)。
特開2016−119424号公報
しかしながら、上記公報に記載されているように、ベースフィルムの一方側の面に金属粒子の焼結体層を積層し、さらにこの焼結体層の一方側の面に金属めっき層を積層する場合、得られるプリント配線板の長寿命化を図り難い場合がある。
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、金属粒子の焼結体層を有する場合でも十分な長寿命化を図ることができるプリント配線板用基材の提供を課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係るプリント配線板用基材は、絶縁性を有するベースフィルムと、このベースフィルムの一方側の面に積層される銅粒子の焼結体層とを備え、上記焼結体層の一方側の面のナトリウム元素量が10atm%以下である。
本発明のプリント配線板用基材は、金属粒子の焼結体層を有する場合でも十分な長寿命化を図ることができる。
本発明の一実施形態に係るプリント配線板用基材を示す模式的断面図である。 図1のプリント配線板用基材とは異なる形態に係るプリント配線板用基材を示す模式的断面図である。 図2のプリント配線板用基材を用いたプリント配線板を示す模式的断面図である。 図1のプリント配線板用基材の製造方法の塗膜形成工程を示す模式的断面図である。 図1のプリント配線板用基材の製造方法の焼結体層形成構成を示す模式的断面図である。 図1のプリント配線板用基材の製造方法の水洗工程を示す模式的断面図である。 図2のプリント配線板用基材の製造方法のめっき層積層工程を示す模式的断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係るプリント配線板用基材は、絶縁性を有するベースフィルムと、このベースフィルムの一方側の面に積層される銅粒子の焼結体層とを備え、上記焼結体層の一方側の面のナトリウム元素量が10atm%以下である。
本発明者らの知見によると、銅粒子の焼結体層を備えるプリント配線板用基材では、ベースフィルムの表面処理等に起因して焼結体層の外面(ベースフィルムと積層される側と反対側の面)にナトリウムが付着しやすい。そのため、上記銅粒子の焼結体層の耐酸化性が不十分となり、長寿命化を図り難い。これに対し、当該プリント配線板用基材は、上記焼結体層の一方側の面のナトリウム元素量が上記上限以下であるので、上記焼結体層の耐酸化性を十分に高めることができ、十分な長寿命化を図ることができる。
上記焼結体層を構成する銅粒子焼結体の平均粒子径としては、50nm以上300nm以下が好ましい。このように、上記銅粒子焼結体の平均粒子径が上記範囲内であることによって、十分に緻密な焼結体層を形成することができ、上記ベースフィルムと焼結体層との密着力を高めることができる。そのため、当該プリント配線板用基材の長寿命化を促進することができる。
上記ベースフィルムの主成分がポリイミドであり、上記ベースフィルムの上記一方側の表層のポリイミドのイミド環の開環率が10%以上30%以下であるとよい。このように、上記ベースフィルムの主成分がポリイミドであり、上記ベースフィルムの上記一方側の表層のポリイミドのイミド環の開環率が上記範囲内であることによって、上記ベースフィルムと焼結体層との密着力を高めることができ、当該プリント配線板用基材の長寿命化を促進することができる。また、上記ベースフィルムの上記一方側の表層のポリイミドのイミド環の開環率を上記範囲内とするために上記ベースフィルムの一方側の面にアルカリ処理を施す場合があり、この場合上記アルカリ処理由来のナトリウムが上記焼結体層の一方側の面に付着しやすい。しかしながら、この場合であっても、上記焼結体層の上記一方側の面のナトリウム元素量を上記上限以下に制御することで、上記焼結体層の耐酸化性が低下することを防止することができる。
上記ベースフィルムの上記一方側の表層のパラジウムの含有量としては、1mg/m以下が好ましい。このように、上記ベースフィルムの上記一方側の表層のパラジウムの含有量が上記上限以下であることによって、当該プリント配線板用基材からプリント配線板を形成する場合に、上記焼結体層のエッチングとは別個にパラジウム除去のためのエッチングを行うことを要しない。そのため、容易かつ安価にプリント配線板を形成することができる。
なお、本発明において「銅粒子の焼結体層」とは、複数の銅粒子を焼結して形成される層をいう。また、「焼結」とは、粒子間が堅固に接合される完全な焼結状態とすることだけでなく、完全な焼結状態に至る前段階にあって相互に密着して固体接合したような状態とすることを含む。「ナトリウム元素量」とは、X線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)により測定される値をいう。「ポリイミドのイミド環の開環率」とは、フーリエ変換赤外全反射吸収測定(FT―IR―ATR)により測定される値をいう。「焼結体の平均粒子径」とは、表面SEMにより測定した粒径の分布において体積積算値が50%となる粒子径を意味する。「パラジウムの含有量」とは、ICP発光分光分析(ICP−AES)により測定される値をいう。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の好適な実施形態について、以下に図面を参照しつつ説明する。
[第一実施形態]
<プリント配線板用基材>
図1のプリント配線板用基材1は、絶縁性を有するベースフィルム2と、ベースフィルム2の一方側の面に積層される銅粒子の焼結体層3とを備える。当該プリント配線板用基材1は、フレキシブルプリント配線板用基材であり、可撓性を有する。当該プリント配線板用基材1は、焼結体層3の一方側の面のナトリウム元素量が10atm%以下である。
本発明者らの知見によると、銅粒子の焼結体層を備えるプリント配線板用基材では、ベースフィルムの表面処理等に起因してこの焼結体層の外面(ベースフィルムと積層される側と反対側の面)にナトリウムが付着しやすい。つまり、銅粒子の焼結体層を備えるプリント配線板用基材にあっては、ベースフィルムに対する焼結体層の密着力を高めるため、ベースフィルムの焼結体層が積層される側の面にアルカリ処理が施されることが多い。そのため、このアルカリ処理由来のナトリウムが上記焼結体層形成後にこの焼結体層の外面に付着しやすい。その結果、上記銅粒子の焼結体層の耐酸化性が不十分となり、長寿命化を図り難い。これに対し、当該プリント配線板用基材1は、焼結体層3の一方側の面のナトリウム元素量が上記上限以下であるので、焼結体層3の耐酸化性を十分に高めることができ、十分な長寿命化を図ることができる。
(ベースフィルム)
ベースフィルム2は絶縁性及び可撓性を有する。ベースフィルム2は合成樹脂を主成分としている。ベースフィルム2の主成分としては、例えばポリイミド、液晶ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、フッ素樹脂等の軟質材が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び焼結体層3との密着力に優れるポリイミドが好ましい。
上記ポリイミドとしては、熱硬化性ポリイミド(縮合型ポリイミドともいう)又は熱可塑性ポリイミドを用いることができる。この中でも、耐熱性、引張強度、引張弾性率等の観点から熱硬化性ポリイミドが好ましい。
上記ポリイミドは、1種の構造単位からなる単独重合体であっても2種以上の構造単位からなる共重合体であってもよいし、2種類以上の単独重合体をブレンドしたものであっても良いが、下記式(1)で表される構造単位を有するものが好ましい。
Figure 2019114679
上記式(1)で表される構造単位は、例えばピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを用いてポリイミド前駆体であるポリアミド酸を合成し、これを加熱等によりイミド化することで得られる。
上記構造単位の含有量の下限としては、10質量%が好ましく、15質量%がより好ましく、18質量%がさらに好ましい。一方、上記構造単位の含有量の上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、35質量%がさらに好ましい。上記構造単位の含有量が上記下限に満たないと、ベースフィルム2の強度が不十分となるおそれがある。逆に、上記構造単位の含有量が上記上限を超えると、ベースフィルム2の可撓性が不十分となるおそれがある。
ベースフィルム2の上記一方側の表層は改質されて、ポリイミドのイミド環の一部が開環していることが好ましい。このような改質は、例えばアルカリ処理、プラズマ処理等の公知の処理方法によって行うことができる。
ベースフィルム2の上記一方側の表層が改質されている場合、ベースフィルム2の上記一方側の表層のポリイミドのイミド環の開環率の下限としては、10%が好ましく、15%がより好ましい。一方、上記開環率の上限としては、30%が好ましく、25%がより好ましい。上記開環率が上記下限に満たないと、ベースフィルム2と焼結体層3との密着力が十分に向上されないおそれがある。逆に、上記開環率が上記上限を超えると、ベースフィルム2の強度が不十分となるおそれがある。なお、上記開環率の調整は、例えばベースフィルム2の上記一方側の面に水酸化ナトリウム等のアルカリ液を用いたアルカリ処理を施すことで行うことができる。また、「ベースフィルムの一方側の表層のポリイミドのイミド環の開環率」とは、ベースフィルムの一方側の面から50nm以下の領域におけるイミド環の開環率をいう。また、このイミド環の開環率は、サーモフィッシャー社のフーリエ変換赤外全反射吸収測定(FT―IR―ATR)装置「Nicolet8700」を用い、SensIR社の1回反射ATRアクセサリ「Dura Scope」(ダイヤモンドプリズム)を使用して、入射角45°での測定波数4000〜650cm−1の範囲における吸収強度スペクトルを積算回数(スキャン回数)16回としてそれぞれ、分解能を4cm−1に設定して測定し、得られた吸収強度スペクトルから、波数1494cm−1のピーク強度に対する波数1705cm−1のピーク強度の比を算出し、表面処理をしていないベースフィルムのピーク強度の比を100%と換算して求めることができる。
ベースフィルム2の上記一方側の表層のパラジウムの含有量の上限としては、1.0mg/mが好ましく、0.5mg/mがより好ましく、0.2mg/mがさらに好ましい。一方、ベースフィルム2の上記一方側の表層のパラジウムの含有量は少ない程よく、上記含有量の下限としては、0.0mg/mとすることができる。ベースフィルム2の上記一方側の表層のパラジウムの含有量が上記上限を超えると、当該プリント配線板用基材1を用いてプリント配線板を形成する場合に、焼結体層3のエッチングとは別個にパラジウム除去のためのエッチングを行うことが必要となるおそれが高い。これに対し、ベースフィルム2の上記一方側の表層のパラジウムの含有量が上記上限以下であることによって、パラジウム除去のためのエッチングを行わなくてもよいので、容易かつ安価にプリント配線板を形成することができる。なお、「ベースフィルムの一方側の表層のパラジウム含有量」とは、ベースフィルムの一方側の面から50nm以下の領域における単位面積あたりのパラジウムの含有量をいう。また、このパラジウム含有量は、ベースフィルム2の一方側の面に積層される焼結体層3をエッチングによって除去したうえで測定することが可能である。
ベースフィルム2の厚さは、特に限定されないが、例えばベースフィルム2の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、12μmがより好ましい。一方、ベースフィルム2の平均厚さの上限としては、2.0mmが好ましく、1.6mmがより好ましい。ベースフィルム2の平均厚さが上記下限より小さいと、ベースフィルム2の強度が不十分となるおそれがある。逆に、ベースフィルム2の平均厚さが上記上限を超えると、薄型化が要求される電子機器への適用が困難となるおそれや可撓性が不十分となるおそれがある。
(焼結体層)
焼結体層3は、ベースフィルム2の一方側の面に直接(つまり、接着剤層等の他の層を介さず)積層される。当該プリント配線板用基材1は、ベースフィルム2の一方側の面に焼結体層3が密着されており、スパッタリング法を用いる場合のように物理的蒸着に必要な高価な真空設備を必要としないので、製造コストを抑えることができる。
焼結体層3を構成する銅粒子焼結体の平均粒子径の下限としては、50nmが好ましく、70nmがより好ましい。一方、上記銅粒子焼結体の平均粒子径の上限としては、300nmが好ましく、200nmがより好ましい。上記銅粒子焼結体の粒子径が上記範囲内であることによって、十分に緻密な焼結体層3を形成することができ、ベースフィルム2と焼結体層3との密着力を高めることができるので、当該プリント配線板用基材1の長寿命化を促進することができる。なお、上記銅粒子焼結体は、全てがナノ粒子であることが好ましいが、ナノ粒子及びこのナノ粒子以外の粒子(つまり、粒子径が1000nm以上の粒子)を含んでいてもよい。上記銅粒子焼結体が上記ナノ粒子及びこのナノ粒子以外の粒子を含む場合、全銅粒子焼結体100質量部に対する上記ナノ粒子の含有割合の下限としては、70質量部が好ましく、90質量部がより好ましい。
焼結体層3の一方側の面(ベースフィルム2との積層側と反対側の面)のナトリウム元素量の上限としては、上述のように10atm%であり、5atm%がより好ましい。焼結体層3の一方側の面のナトリウム元素量が上記上限を超えると、焼結体層3の耐酸化性が不十分となるおそれがある。一方、焼結体層3の一方側の面のナトリウム元素量の下限としては、少ない方が好ましく、例えば0atm%とすることができる。
焼結体層3の平均厚さの下限としては、50nmが好ましく、70nmがより好ましく、100nmがさらに好ましい。一方、焼結体層3の平均厚さの上限としては、1000nmが好ましく、700nmがより好ましく、500nmがさらに好ましい。焼結体層3の平均厚さが上記下限より小さいと、平面視において焼結体層3に切れ目が生じて導電性が低下するおそれがある。逆に、焼結体層3の平均厚さが上記上限を超えると、例えばセミアディティブ法による配線形成に適用した際、導電パターン間の焼結体層3の除去に時間を要し、生産性が低下するおそれがある。
[第二実施形態]
<プリント配線板用基材>
図2のプリント配線板用基材11は、図1のプリント配線板用基材1と、このプリント配線板用基材1の焼結体層3の一方側の面に積層されるめっき層12とを備える。当該プリント配線板用基材11は、フレキシブルプリント配線板用基材であり、可撓性を有する。以下ではめっき層12について説明する。
(めっき層)
めっき層12は、焼結体層3の一方側の面に直接(他の層を介さず)積層されている。めっき層12は、電気めっきによって形成される電気めっき層である。めっき層12は、電気めっきによって形成されるめっき金属を含む。このめっき金属は、焼結体層3の一方側の面に積層されると共に、焼結体層3を構成する焼結体の空隙に充填されていることが好ましい。
めっき層12を構成する金属としては、銅、ニッケル、コバルト、金、銀、スズ及びこれらの合金等が挙げられる。中でも、比較的安価で、かつエッチング性に優れる銅が好ましい。つまり、めっき層12は、電気銅めっきによって形成されることが好ましい。
めっき層12の平均厚さは、どのようなプリント回路を作製するかによって設定されるもので特に限定されないが、例えば1μm以上100μm以下とすることができる。
当該プリント配線板用基材11は、焼結体層3が緻密に形成されているので、焼結体層3の一方側の面に無電解めっき層を介さず直接電気めっき層が積層されている。焼結体層3の一方側の面に無電解めっき層が積層される場合、無電解めっきに用いられるパラジウム触媒の影響でベースフィルム2の一方側の表層のパラジウム含有量が多くなりやすい。これに対し、焼結体層3の一方側の面に直接電気めっき層を積層することで、ベースフィルム2の一方側の表層のパラジウム含有量を少なくしやすい。
[第三実施形態]
<プリント配線板>
図3のプリント配線板21は、絶縁性を有するベースフィルム2と、このベースフィルム2の一方側の面に積層される銅粒子の焼結体層3と、焼結体層3の一方側の面に積層されるめっき層12とを備え、焼結体層3及びめっき層12が平面視でパターニングされている。具体的には、当該プリント配線板21は、図2のプリント配線板用基材11を用いている。当該プリント配線板21は、ベースフィルム2の一方側の面に導電パターン22を備える。導電パターン22は、プリント配線板用基材11の焼結体層3及び電気めっき層12の積層体をパターニングしたものであり、この積層体の一部を含む。この際のパターニング方法としては、例えばこの積層体にレジストパターン等のマスキングを施してエッチングする方法(サブトラクティブ法)を採用することができる。
<プリント配線板用基材の製造方法>
次に、図4A〜図4Cを参照して、図1のプリント配線板用基材1の製造方法について説明する。当該プリント配線板用基材の製造方法は、ベースフィルム2の一方側の面をアルカリ処理する工程(アルカリ処理工程)と、銅粒子31を含む導電性インクの塗布により、ベースフィルム2のアルカリ処理された面に塗膜32を形成する工程(塗膜形成工程)と、塗膜32の焼成により銅粒子31の焼結体層3aを形成する工程(焼結体層形成工程)と、焼結体層3a形成後に焼結体層3aの一方側の面を水洗する工程(水洗工程)とを備える。
(アルカリ処理工程)
上記アルカリ処理工程では、ベースフィルム2の一方側の面にアルカリ液を接触させることで、ベースフィルム2の一方側の表層のポリイミドのイミド環の一部を開環する。上記アルカリ処理工程で開環するベースフィルム2の一方側の表層のポリイミドのイミド環の開環率の下限としては10%が好ましく、15%がより好ましい。一方、上記イミド環の開環率の上限としては、30%が好ましく、25%がより好ましい。
上記アルカリ処理工程で用いるアルカリ液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、水酸化カルシウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化リチウム、モノエタノールアミン等の水溶液やこれらと過酸化水素との水溶液などが挙げられ、一般的には水酸化ナトリウム水溶液が用いられる。
上記アルカリ処理工程で用いるアルカリ液のpHとしては、例えば12以上15以下とすることができる。また、ベースフィルム2のアルカリ液との接触時間としては、例えば15秒以上10分以下とすることができる。アルカリ液の温度としては、例えば10℃以上70℃以下とすることができる。
上記アルカリ処理工程は、ベースフィルム2を水洗いする水洗工程を有することが好ましい。この水洗工程では、ベースフィルム2を水洗いして、ベースフィルム2の表面に付着しているアルカリ液を除去する。また、上記アルカリ処理工程は、上記水洗工程後に洗浄水を乾燥する乾燥工程を有することがさらに好ましい。ベースフィルム2中の水分を蒸発させることによって、ベースフィルム2内のイオンを金属や金属酸化物として析出させたり、ベースフィルム2の樹脂成分等と結合させることによって、ベースフィルム2の品質を安定化することができる。
(塗膜形成工程)
上記塗膜形成工程では、図4Aに示すように、ベースフィルム2の一方側の面に銅粒子31を含む導電性インクを塗布し、この導電性インクを乾燥させることで塗膜32を形成する。なお、塗膜32には、上記導電性インクの分散媒等が含まれていてもよい。
〈銅粒子〉
上記インクに分散させる銅粒子31は、高温処理法、液相還元法、気相法等で製造することができる。中でも、液相還元法によれば、製造コストをより低減できる上、水溶液中での攪拌等により、容易に銅粒子31の粒子径を均一にすることができる。銅粒子31は、このように、高温処理法、液相還元法、気相法等で製造されることによって、例えば平均粒子径が10nm以上40nm以下に調整される。なお、「平均粒子径」とは、レーザー回折法により測定される粒子径の分布において体積積算値が50%となる粒子径を意味する。
液相還元法によって銅粒子31を製造するためには、例えば水に銅粒子31を形成する銅イオンのもとになる水溶性の銅化合物と分散剤とを溶解すると共に、還元剤を加えて一定時間銅イオンを還元反応させればよい。液相還元法の場合、製造される銅粒子31は形状が球状又は粒状で揃っており、しかも微細な粒子とすることができる。上記銅イオンのもとになる水溶性の銅化合物として、例えば硝酸銅(II)(Cu(NO)、硫酸銅(II)五水和物(CuSO・5HO)等が挙げられる。
上記還元剤としては、液相(水溶液)の反応系において、銅イオンを還元及び析出させることができる種々の還元剤を用いることができる。この還元剤としては、例えば水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、3価のチタンイオンや2価のコバルトイオン等の遷移金属のイオン、アスコルビン酸、グルコースやフルクトース等の還元性糖類、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールなどが挙げられる。中でも、上記還元剤としては3価のチタンイオンが好ましい。なお、3価のチタンイオンを還元剤とする液相還元法は、チタンレドックス法という。チタンレドックス法では、3価のチタンイオンが4価に酸化される際の酸化還元作用によって銅イオンを還元し、銅粒子31を析出させる。チタンレドックス法で得られる銅粒子31は、粒子径が小さくかつ揃っているため、銅粒子31がより高密度に充填され、塗膜32をより緻密な膜に形成することができる。
銅粒子31の粒子径を調整するには、銅化合物、分散剤及び還元剤の種類並びに配合割合を調整すると共に、銅化合物を還元反応させる際に、攪拌速度、温度、時間、pH等を調整すればよい。反応系のpHの下限としては7が好ましく、反応系のpHの上限としては13が好ましい。反応系のpHを上記範囲とすることで、微小な粒子径の銅粒子31を得ることができる。このときpH調整剤を用いることで、反応系のpHを上記範囲に容易に調整することができる。このpH調整剤としては、塩酸、硫酸、硝酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の一般的な酸又はアルカリが使用できるが、特に周辺部材の劣化を防止するために、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン元素、硫黄、リン、ホウ素等の不純物を含まない硝酸及びアンモニアが好ましい。
銅粒子31の平均粒子径の下限としては、10nmが好ましく、15nmがより好ましい。一方、銅粒子31の平均粒子径の上限としては、40nmが好ましく、35nmがより好ましい。銅粒子31の平均粒子径が上記下限より小さいと、インク中での銅粒子31の分散性及び安定性が低下するおそれがある。一方、銅粒子31の平均粒子径が上記上限を超えると、銅粒子31が沈殿しやすくなるおそれがあると共に、インクを塗布した際に銅粒子31の密度が不均一になるおそれがある。
インク中の銅粒子31の含有割合の下限としては、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましい。また、インク中の銅粒子31の含有割合の上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、30質量%がさらに好ましい。銅粒子31の含有割合を上記下限以上とすることで、塗膜32をより緻密な膜に形成することができる。一方、銅粒子31の含有割合が上記上限を超えると、塗膜32の膜厚が不均一になるおそれがある。
〈その他の成分〉
上記インクには、銅粒子31以外に分散剤が含まれていてもよい。この分散剤としては、特に限定されず、銅粒子31を良好に分散させることができる種々の分散剤を用いることができる。
上記分散剤は、周辺部材の劣化防止の観点より、硫黄、リン、ホウ素、ハロゲン及びアルカリを含まないものが好ましい。好ましい分散剤としては、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等の窒素含有高分子分散剤、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の分子中にカルボキシ基を有する炭化水素系の高分子分散剤、ポバール(ポリビニルアルコール)、スチレン−マレイン酸共重合体、オレフィン−マレイン酸共重合体、1分子中にポリエチレンイミン部分とポリエチレンオキサイド部分とを有する共重合体等の極性基を有する高分子分散剤などを挙げることができる。
分散剤の分子量の下限としては、2,000が好ましく、分散剤の分子量の上限としては、54,000が好ましい。分子量が上記範囲の分散剤を用いることで、銅粒子31をインク中に良好に分散させることができ、塗膜32の膜質を緻密でかつ欠陥のないものにすることができる。上記分散剤の分子量が上記下限より小さいと、銅粒子31の凝集を防止して分散を維持する効果が十分に得られないおそれがある。逆に、上記分散剤の分子量が上記上限を超えると、分散剤の嵩が大きすぎて、塗膜32の焼成時において、銅粒子31同士の焼結を阻害してボイドを生じさせるおそれがある。また、分散剤の嵩が大きすぎると、塗膜32の緻密さが低下したり、分散剤の分解残渣が導電性を低下させるおそれがある。
上記分散剤は、水又は水溶性有機溶媒に溶解させた溶液の状態でインクに配合することもできる。インクに分散剤を配合する場合、分散剤の含有割合の下限としては、100質量部の銅粒子31に対して1質量部が好ましい。一方、分散剤の含有割合の上限としては、100質量部の銅粒子31に対して60質量部が好ましい。上記分散剤の含有割合が上記下限に満たないと、銅粒子31の凝集防止効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記分散剤の含有割合が上記上限を超えると、塗膜32の焼成時に過剰の分散剤が銅粒子31の焼結を阻害してボイドが発生するおそれがあり、また、分散剤の分解残渣が不純物として焼結体層3a中に残存して導電性を低下させるおそれがある。
上記インクにおける分散媒としては、例えば水が使用できる。水を分散媒とする場合、水の含有割合の下限としては、100質量部の銅粒子31に対して20質量部が好ましい。また、水の含有割合の上限としては、100質量部の銅粒子31に対して1,900質量部が好ましい。分散媒である水は、例えば分散剤を十分に膨潤させて分散剤で囲まれた銅粒子31を良好に分散させる役割を果たすが、上記水の含有割合が上記下限に満たないと、この分散剤の膨潤効果が不十分となるおそれがある。一方、上記水の含有割合が上記上限を超えると、導電性インク中の銅粒子31の含有割合が少なくなり、必要な厚さと密度とを有する良好な焼結体層3aを形成できないおそれがある。
上記導電性インクに必要に応じて配合する有機溶媒として、水溶性である種々の有機溶媒が使用可能である。その具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールやその他のエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
上記水溶性の有機溶媒の含有割合としては、銅粒子31の100質量部当たり30質量部以上900質量部以下が好ましい。上記水溶性の有機溶媒の含有割合が上記下限に満たないと、上記有機溶媒による分散液の粘度調整及び蒸気圧調整の効果が十分に得られないおそれがある。逆に、上記水溶性の有機溶媒の含有割合が上記上限を超えると、水による分散剤の膨潤効果が不十分となり、インク中で銅粒子31の凝集が生じるおそれがある。
なお、液相還元法で銅粒子31を製造する場合、液相(水溶液)の反応系で析出させた銅粒子31は、ろ別、洗浄、乾燥、解砕等の工程を経て、一旦粉末状としたものを用いてインクを調製することができる。この場合は、粉末状の銅粒子31と、水等の分散媒と、必要に応じて分散剤、有機溶媒等とを所定の割合で配合し、銅粒子31を含む導電性インクとすることができる。このとき、銅粒子31を析出させた液相(水溶液)を出発原料としてインクを調製することが好ましい。具体的には、析出した銅粒子31を含む液相(水溶液)を限外ろ過、遠心分離、水洗、電気透析等の処理に供して不純物を除去し、必要に応じて濃縮して水を除去する。又は、逆に水を加えて銅粒子31の濃度を調節した後、さらに必要に応じて有機溶媒を所定の割合で配合することによって銅粒子31を含む導電性インクを調製する。この方法では、銅粒子31の乾燥時の凝集による粗大で不定形な粒子の発生を防止することができ、緻密で均一な焼結体層3aを形成しやすい。
〈インクの塗布方法〉
銅粒子31を分散させた導電性インクをベースフィルム2の一方側の面に塗布する方法としては、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法等の従来公知の塗布法を用いることができる。また、スクリーン印刷、ディスペンサ等によりベースフィルム2の一方側の面の一部のみに導電性インクを塗布するようにしてもよい。導電性インクの塗布後、例えば室温以上の温度で乾燥することにより塗膜32が形成される。乾燥温度の上限としては、100℃が好ましく、40℃がより好ましい。乾燥温度が上記上限を超えると、塗膜32の急激な乾燥により、塗膜32にクラックが発生するおそれがある。
(焼結体層形成工程)
上記焼結体層形成工程では、図4Bに示すように、塗膜32の焼成により銅粒子31の焼結体層3aを形成する。
〈焼成〉
上記焼成により銅粒子31同士が焼結すると共に、焼結体がベースフィルム2の一方側の面に固着される。なお、上記インクに含まれ得る分散剤やその他の有機物は、焼成によって揮発又は分解される。また、焼結体とベースフィルム2との界面近傍では、焼成によって銅粒子31が酸化されるため、銅粒子31に基づく金属水酸化物やその金属水酸化物に由来する基の生成を抑えつつ、銅粒子31に基づく金属酸化物やその金属酸化物に由来する基が生成する。この焼結体とベースフィルム2との界面近傍に生成した金属酸化物及び金属酸化物に由来する基は、ベースフィルム2を構成するポリイミドのイミド環の開環部分と強く結合するため、ベースフィルム2と焼結体との間の密着力が大きくなる。
上記焼成は、焼結体とベースフィルム2との界面近傍の銅粒子31の酸化を促進させるため、一定量の酸素が含まれる雰囲気下で行うことが好ましい。この場合、焼成雰囲気の酸素濃度の下限としては、1体積ppmが好ましく、10体積ppmがより好ましい。一方、上記酸素濃度の上限としては、10,000体積ppmが好ましく、1,000体積ppmがより好ましい。上記酸素濃度が上記下限に満たないと、焼結体とベースフィルム2との界面近傍における金属酸化物及び金属酸化物に由来する基の生成量が少なくなり、ベースフィルム2と焼結体との間の密着力を十分に向上させることができなくなるおそれがある。逆に、上記酸素濃度が上記上限を超えると、銅粒子31の過度の酸化により焼結体の導電性が低下するおそれがある。
上記焼成の温度の下限としては、150℃が好ましく、200℃がより好ましい。一方、上記焼成の温度の上限としては、500℃が好ましく、400℃がより好ましい。上記焼成の温度が上記下限に満たないと、焼結体とベースフィルム2との界面近傍における金属酸化物及び金属酸化物に由来する基の生成量が少なくなり、ベースフィルム2と焼結体との間の密着力を十分に向上させることができなくなるおそれがある。逆に、上記焼成の温度が上記上限を超えると、ベースフィルム2が変形するおそれがある。なお、焼成時間については、特に限定されないが、例えば30分以上600分以下の範囲とすればよい。
(水洗工程)
上記水洗工程では、図4Cに示すように、例えばベースフィルム2及び上記焼結体層形成工程で形成された焼結体層3aの積層体を水Xに浸漬し、焼結体層3aの外面に付着したナトリウムを除去する。当該プリント配線板用基材の製造方法は、上述のようにベースフィルム2の一方側の面にアルカリ処理を施した後に、このアルカリ処理面に銅粒子31を含む導電性インクを塗布する。そのため、この導電性インクには上記アルカリ処理由来のナトリウムが含有されやすい。その結果、この導電性インクによって形成される塗膜32の焼成によって得られる焼結体層3aの外面にはこのアルカリ処理由来のナトリウムが残存しやすい。これに対し、当該プリント配線板用基材の製造方法は、上記水洗工程で焼結体層3aの外面に付着したナトリウムを除去することで、水洗工程後の焼結体層3の一方側の面のナトリウム元素量を上述の範囲内に調整することができる。上記水洗工程における上記積層体の水Xへの1回あたりの浸漬時間の下限としては、5秒が好ましく、15秒がより好ましい。一方、上記浸漬時間の上限としては、50秒が好ましく、40秒がより好ましい。また、上記水洗工程における上記積層体の水Xへの浸漬回数の下限としては、1回が好ましく、2回がより好ましい。一方、上記浸漬回数の上限としては、5回が好ましく、4回がより好ましい。上記浸漬時間及び浸漬回数が上記下限より小さいと、焼結体層3の一方側の面のナトリウム元素量を十分に少なくすることができないおそれがある。逆に、上記浸漬時間及び浸漬回数が上記上限を超えると、上記水洗工程の処理時間が不要に長くなり、製造効率が低下するおそれがある。
次に、図4Dを参照して、図2のプリント配線板用基材11の製造方法について説明する。当該プリント配線板用基材の製造方法は、上記水洗工程後の焼結体層3の一方側の面にめっき層を積層する工程(めっき層積層工程)を備える。
(めっき層積層工程)
上記めっき層積層工程では、電気めっきによって焼結体層3の一方側の面にめっき層12を積層する。当該プリント配線板用基材の製造方法は、上述のアルカリ処理工程、塗膜形成工程、焼結体層形成工程及び水洗工程によって形成される焼結体層3が十分に緻密であるため、焼結体層3の一方側の面に無電解めっき層を介さず直接電気めっき層を積層することが可能である。上記めっき層積層工程で電気めっきに用いる金属としては、銅、ニッケル、コバルト、金、銀、スズ等が挙げられ、中でも銅が好ましい。上記電気めっきの手順は、特に限定されるものではなく、例えば公知の電解めっき浴及びめっき条件から適宜選択すればよい。この電気めっき層形成工程において、プリント配線板用基材11を用いて形成される図3のプリント配線板21の導電パターン22の厚さが所望の厚さになるように調整する。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、当該プリント配線板用基材は、ベースフィルムの片面のみに銅粒子の焼結体層が積層されていなくてもよく、ベースフィルムの両面に銅粒子の焼結体層が積層されてもよい。
当該プリント配線板用基材は、必ずしもフレキシブルプリント配線板用基材である必要はなく、リジッド基材であってもよい。この場合、上記ベースフィルムの主成分としては、例えば紙フェノール、紙エポキシ、ガラスコンポジット、ガラスエポキシ、ガラス基材等の硬質材、軟質材と硬質材とを複合したリジッドフレキシブル材などが挙げられる。
当該プリント配線板用基材は、上記ベースフィルムの一方側の面に銅粒子の焼結体層が積層されており、この焼結体層の一方側のナトリウム元素量が上記上限以下である限り、この焼結体層の上記一方側の面に積層される他の層の具体的構成は特に限定されるものではない。当該プリント配線板用基材は、例えば上記焼結体層の上記一方側の面に無電解めっき層が積層されてもよい。
当該プリント配線板用基材の製造方法は、必ずしも上記アルカリ処理工程を有しなくてもよい。
当該プリント配線板は、例えば図1のプリント配線板用基材1を用いて形成されてもよい。
当該プリント配線板は、セミアディティブ法によって導電パターンを形成したものであってもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[No.1]
還元剤としての三塩化チタン溶液80g(0.1M)、pH調整剤としての炭酸ナトリウム50g、錯化剤としてのクエン酸ナトリウム90g、及び分散剤としてのポリエチレンイミン−ポリエチレンオキサイド付加物1gをビーカー内で純粋1Lに溶解させ、この水溶液を35℃に保温した。また、この水溶液に同温度(35℃)で保温した硝酸銅三水和物10g(0.04M)の水溶液を添加し撹拌させることで銅微粒子を析出させた。さらに、遠心分離により分離した銅微粒子に対し、200mLの純水による洗浄工程を2回繰り返した上、この銅微粒子を乾燥させることで粉末状の銅微粒子を得た。続いて、この粉末状の銅微粒子に純水を加えて濃度調整を行うことでの焼結体層形成用導電性インクを得た。この導電性インク480μLを親水化処理を行ったポリイミドフィルム(20cm角)の一方側の面にバーコート法により塗布した。形成された塗膜を表1の温度、時間にて焼成した後、表1の条件で水に浸漬し水洗を行うことでベースフィルム(ポリイミドフィルム)の一方側の面に銅粒子の焼結体層が積層されたNo.1のプリント配線板用基材を作成した。この銅粒子の焼結体層を構成する銅粒子焼結体の平均粒子径を走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製の「SU8020」)によって測定したところ、97nmであった。
[No.2〜No.6]
塗膜の焼成条件、及び水洗条件を表1の通りとした以外、No.1と同様にしてNo.2〜No.6のプリント配線板用基材を作成した。
[No.7]
塗膜の焼成条件を表1の通りとし、塗膜焼成後に水洗を行わなかった以外、No.1と同様にしてNo.7のプリント配線板用基材を作成した。
(ナトリウム元素量)
No.1〜No.7のプリント配線板用基材の焼結体層の一方側の面(ベースフィルムとの積層面と反対側の面)のナトリウム元素量をULVAC―PHI社製の「Quantera SXM」を用いてX線光電子分光法(XPS)によって測定した。この測定結果を表1に示す。
(耐酸化性)
No.1〜No.7のプリント配線板用基材を作成後7日間、空気雰囲気下で室温(25℃)で放置した。この放置前後の焼結体層の一方側の面の酸化変色の有無をKONICA MINOLTA社製のカラーリーダー「CR−20」を用いて測定し、以下の基準で評価した。この評価結果及び放置後のb値を表1に示す。
A:b値が+3以上を示した。
B:b値が+3未満を示した。
(剥離強度)
No.1〜No.7のプリント配線板用基材のベースフィルムと焼結体層との間の剥離強度をJIS−C6471(1995)に準拠する180°方向引き剥がし試験により測定した。この測定結果を表1に示す。
Figure 2019114679
<評価結果>
表1に示すように、No.1〜No.6のプリント配線板用基材は、焼結体層の一方側の面のナトリウム元素量が10atm%以下であるので優れた耐酸化性を有しており、十分に長寿命化を図ることができる。中でも、焼結体層の一方側の面のナトリウム元素量が0.6atm%以下であるNo.1、No.2及びNo.5は、b値が大きくなっており、特に優れた耐酸化性を有していることが分かる。これに対し、No.7のプリント配線板用基材は、水洗を行っていないため焼結体層の一方側の面のナトリウム元素量が多く、耐酸化性が不十分となっており、長寿命化を図り難い。また、No.1〜No.6のプリント配線板用基材は、焼結体層の一方側の面のナトリウム元素量が10atm%以下であるので、ベースフィルムと焼結体層との間の剥離強度が高くなっている。中でも、焼結体層の一方側の面のナトリウム元素量が1.0atm%未満であり、かつ銅粒子焼結体の平均粒子径が100nm未満であるNo.1及びNo.2は、ベースフィルムと焼結体層との間の剥離強度特に高くなっている。
以上のように、本発明のプリント配線板用基材は、十分な長寿命化を図ることができるので、小型の電子機器等に使用されるプリント配線板用基材等として適している。
1,11 プリント配線板用基材
2 ベースフィルム
3,3a 焼結体層
12 めっき層
21 プリント配線板
22 導電パターン
31 銅粒子
32 塗膜
X 水

Claims (4)

  1. 絶縁性を有するベースフィルムと、
    このベースフィルムの一方側の面に積層される銅粒子の焼結体層と
    を備え、
    上記焼結体層の一方側の面のナトリウム元素量が10atm%以下であるプリント配線板用基材。
  2. 上記焼結体層を構成する銅粒子焼結体の平均粒子径が50nm以上300nm以下である請求項1に記載のプリント配線板用基材。
  3. 上記ベースフィルムの主成分がポリイミドであり、
    上記ベースフィルムの上記一方側の表層のポリイミドのイミド環の開環率が10%以上30%以下である請求項1又は請求項2に記載のプリント配線板用基材。
  4. 上記ベースフィルムの上記一方側の表層のパラジウムの含有量が1mg/m以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のプリント配線板用基材。
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