JP2012180595A - 酸化物被覆ニッケル微粒子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ニッケル微粒子からなる芯粒子(a)と、芯粒子(a)の表面上に形成された平均厚みが1〜20nmである連続膜からなるアルミニウムを主成分として含む酸化物からなる被覆層(b)とから構成される酸化物被覆ニッケル微粒子であって、上記アルミニウムの含有割合は、酸化物被覆ニッケル微粒子全量に対して0.07〜0.4重量%であることを特徴とする酸化物被覆ニッケル微粒子など。
【選択図】なし
Description
ところで、金属微粒子をフィラーとして含む導電ペーストとしては、ペースト中の金属粉末を焼結させ、配線や電極等に使用する焼成ペーストと、硬化型のポリマーで固めるポリマーペーストとに大別されるが、いずれの場合でも150〜350℃の温度で熱処理が行われることが不可欠であるので、この温度領域での耐酸化性に問題があった。特に、ポリマーペーストにおいては、常温においても徐々に酸化が進行するため、耐酸化性を向上させる手段が求められていた。
上記アルミニウムの含有割合は、酸化物被覆ニッケル微粒子全量に対して0.07〜0.4重量%であることを特徴とする酸化物被覆ニッケル微粒子が提供される。
1.酸化物被覆ニッケル微粒子
本発明の酸化物被覆ニッケル微粒子は、ニッケル微粒子からなる芯粒子(a)と、芯粒子(a)の表面上に形成された平均厚みが1〜20nmである連続膜からなるアルミニウムを主成分として含む酸化物からなる被覆層(b)とから構成される酸化物被覆ニッケル微粒子であって、
上記アルミニウムの含有割合は、酸化物被覆ニッケル微粒子全量に対して0.07〜0.4重量%であることを特徴とする。
本発明の酸化物被覆ニッケル微粒子の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ニッケル微粒子を含む水性懸濁液中に、アルミニウムの含有割合が酸化物被覆ニッケル微粒子全量に対して0.07〜0.4重量%となるに十分な量のアルミニウム塩と尿素とを含む水溶液を、30〜100℃で加熱処理したものを供給して、アルミニウム水酸化物からなる被覆層を有するニッケル微粒子を形成する工程(A)、前記被覆層を有するニッケル微粒子を固液分離して、乾燥処理を行う工程(B)、及び、前記乾燥処理後の被覆層を有するニッケル微粒子を還元雰囲気下に200〜800℃で加熱して、前記アルミニウム水酸化物を熱分解する工程(C)、を含むことを特徴とする。これによって、耐酸化性と電気伝導性に優れた特性を有する酸化物被覆ニッケル微粒子が効率的に得られる。
(1)Alの分析:ICP発光分析法で行った。
(2)圧粉抵抗測定による体積抵抗率の測定:圧粉抵抗測定機(三菱化学(株)製 PD−51)で行った。
(3)芯粒子の平均粒径の測定:FE‐SEM((株)日立製作所製、FE−SEM S−4700)により観察して求めた。
(4)酸化開始温度の測定:TG測定を大気気流中で行い、重量が増加し始めて、0.1%増加したときの温度を酸化開始温度と定義し、その温度を求めた。この温度が高い程、耐酸化性に優れているといえる。
まず、Al2(SO4)3濃度0.028mol/L、及び尿素濃度3.6g/Lの水溶液からなるコート液を作製し、0.4μmのメンブレンフィルターで吸引濾過しゴミを取り除いた。次いで、その水溶液をオーブン中で100℃にて2時間保持した後、室温に取り出し急冷した。
次に、平均粒径20μmのニッケル微粒子(INCO社製、225)1.71gと、純水180mLと、純水の0.02重量%のヘキサメタリン酸ナトリウムとからなる懸濁液を作製した。
この懸濁液を攪拌機により200rpmで攪拌しながら、前記コート液11.25mLを0.6mL/分の速度で供給した。供給終了後50分間保持した後、吸引ろ過し、真空乾燥機により60℃で乾燥した。
得られたアルミニウム水酸化物で被覆されたニッケル微粒子を、水素0.2L/分、及び窒素9.8L/分の混合雰囲気中で10℃/分の速度で700℃まで昇温した後、60℃まで炉内で冷却して、酸化物被覆ニッケル微粒子を得た。
その後、得られた酸化アルミニウム被覆ニッケル微粒子のAl品位、及び酸化開始温度を求めた。また、断面のTEM観察を行った。その結果、Al品位は0.34重量%であった。また、酸化開始温度は384℃であった。また、図1に、断面のTEM像を示す。図1より、約10〜20nmの厚みで均一に被覆されていることが分かる。
懸濁液のニッケル微粒子が10.28g、純水が1080mLであること、及びコート液67.5mLを3.6mL/分の速度で供給したこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、得られた酸化アルミニウム被覆ニッケル微粒子のAl品位、酸化開始温度、及び圧粉抵抗測定による体積抵抗率を求めた。その結果、Al品位は0.28重量%であった。また、酸化開始温度は382℃であった。また、粒子の相対充填密度50%における体積抵抗率は約560μΩcmであった。
懸濁液のニッケル微粒子が200g、純水が8000mLであること、及びコート液1300mLを69mL/分の速度で供給したこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、得られた酸化アルミニウム被覆ニッケル微粒子のAl品位、酸化開始温度、及び圧粉抵抗測定による体積抵抗率を求めた。その結果、Al品位は0.17重量%であった。また、酸化開始温度は408℃であった。また、粒子の相対充填密度50%における体積抵抗率は約260μΩcmであった。
懸濁液のニッケル微粒子が200g、純水が8000mLであること、及びコート液650mLを69mL/分の速度で供給したこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、得られた酸化アルミニウム被覆ニッケル微粒子のAl品位、酸化開始温度、及び圧粉抵抗測定による体積抵抗率を求めた。その結果、Al品位は0.09重量%であった。また、酸化開始温度は382℃であった。また、粒子の相対充填密度50%における体積抵抗率は約190μΩcmであった。
実施例1〜4で用いたニッケル微粒子を用いて、被覆処理を行わないで酸化開始温度と粒子の相対充填密度50%における体積抵抗率を測定した。その結果、酸化開始温度は341℃であった。また、粒子の相対充填密度50%における体積抵抗率は約260μΩcmであった。
懸濁液のニッケル微粒子が200g、純水が8000mLであること、及びコート液2600mLを69mL/分の速度で供給したこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、得られた酸化アルミニウム被覆ニッケル微粒子のAl品位、酸化開始温度、及び圧粉抵抗測定による体積抵抗率を求めた。その結果、Al品位は0.05重量%であった。また、酸化開始温度は303℃であった。また、粒子の相対充填密度50%における体積抵抗率は約160μΩcmであった。
Claims (5)
- ニッケル微粒子からなる芯粒子(a)と、芯粒子(a)の表面上に形成された平均厚みが1〜20nmである連続膜からなるアルミニウムを主成分として含む酸化物からなる被覆層(b)とから構成される酸化物被覆ニッケル微粒子であって、
上記アルミニウムの含有割合は、酸化物被覆ニッケル微粒子全量に対して0.07〜0.4重量%であることを特徴とする酸化物被覆ニッケル微粒子。 - TG測定から求めた酸化開始温度は、350〜410℃であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物被覆ニッケル微粒子。
- 圧粉抵抗測定の体積抵抗率は、粒子の相対充填密度が50%のときに、100〜10000μΩcmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物被覆ニッケル微粒子。
- 前記芯粒子は、その[平均粒径/平均厚さ]比が10以上である板状粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物被覆ニッケル微粒子。
- 前記芯粒子とのレーザー光回折散乱式粒度分析計で測定したメディアン径D50の差は、10%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化物被覆ニッケル微粒子。
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