JP2021014703A - 鋼矢板の縦継構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】継手部の断面積欠損を有する縦継箇所において必要耐力を確保しつつ、必要最低限の補強板を有する鋼矢板の縦継構造を提供する。【解決手段】鋼矢板本体11どうしの少なくとも一部が全断面溶接によって接合され、継手部12どうしは溶接されておらず、鋼矢板10,10どうしに、それらの縦継ライン16を跨ぐようにして補強板20が溶接され、補強板20は以下の条件を満たす。(1)補強板20は、鋼矢板本体11の幅方向中央部のウェブ13以外の鋼矢板部位に取り付けられていること。(2)縦継ライン16における断面の補強板20の合計断面積が、前記鋼矢板どうしが全断面溶接されていない、前記鋼矢板10,10の断面欠損部の合計断面積以上であること。(3)鋼矢板10の鋼矢板断面の中立軸に対して、縦継ライン16における断面の補強板20の合計断面2次モーメントが、前記断面欠損部の合計断面2次モーメント以上であること。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼矢板の縦継構造に関する。
土木建築分野における土留め壁や地下構造、基礎構造として、鋼矢板を打設するとともに左右に連結して構築される鋼製壁が利用されている。鋼矢板による鋼製壁の現場の施工条件により、圧延工場から出荷できる長さを超える長尺の鋼矢板が必要な場合、山間部などで道路空間が限られ長尺の鋼矢板を運搬できない場合、鋼矢板設置箇所上空に構造物等があり打設空間を確保できない場合などにおいては、加工工場や現場で鋼矢板を長さ方向に連結する、つまり鋼矢板を縦継ぎすることが必要になる。
2本の鋼矢板を長手方向(材軸方向)に縦継する一般的な手法としては、鋼管杭・鋼矢板技術協会から提示されている、補強板を使用した溶接工法がある。この工法では、継手部を除く鋼矢板端面を開先加工して全断面溶接を行い、補強板を縦継箇所を跨ぐかたちで溶接にて取り付けている。
施工現場での打設中に鋼矢板を長さ方向に連結(縦継ぎ)する場合、一方の鋼矢板縁端部(長手方向(材軸方向)の端部)を工場で予め開先加工しておき、上下の鋼矢板の端面を突合せた状態で、開先部分を全断面溶接し連結する。但し継手部においては、複雑な形状となるため開先加工や溶接が困難であること、継手部内に溶着金属が溶け出し残置すると、隣接する鋼矢板の継手部どうしを嵌合して打設する際に打設抵抗となり支障となることから開先加工や溶接をせず、突合せたままの状態で面接触させている。
鋼矢板の打設時においては、地盤条件によっては、過大な圧縮力や引き抜き力が鋼矢板に作用することがあるため、縦継箇所においては、鋼矢板本体と同等の軸方向圧縮・引張抵抗力を確保する必要がある。そのため、溶接を施さない継手部分相当の断面積欠損を補うために、上下鋼矢板の縦継ラインを跨ぐ形で補強板を溶接にて取り付け、断面欠損分の断面積を確保している。
補強板としては、打設時の軸方向抵抗力を確保することの他に、使用時の壁体(鋼製壁)としての曲げ耐力を確保するための性能も考慮してスペックを決定している。壁体に曲げモーメントが作用した際、局所的な応力集中を避けるべく、隣接する鋼矢板間で縦継箇所が同一深度とならないように、縦継箇所は隣接する鋼矢板間で1m以上の上下間距離を確保して千鳥配置する(例えば特許文献1および特許文献2参照)。縦継がない標準断面の鋼矢板と、縦継がある鋼矢板とを2枚一組の単位として、壁体としての曲げ耐力を確保する。鋼製壁に曲げモーメントが作用した際の補強板に生じる応力負担に相当する荷重を伝達できるよう、補強板の溶接長さや脚長を取り決める。
また、ボルトにより補強板を鋼矢板本体に接合する構造仕様も提案されている(例えば特許文献3および特許文献4参照)。しかしながら、鋼矢板本体にボルト穴を開ける必要があり断面欠損が生じること、ボルト穴のために止水性が低下すること、鋼矢板打設時の振動によりボルトに応力緩和が発生しボルト締め付け強度が低下することがあること、等の理由から、現場で溶接ができない場合など、特殊な施工現場条件下のみで使用されている。
特許第4419198号公報 特開2016−156247号公報 特許第5182251号公報 特開2017−66702号公報
ところで、鋼矢板が大型化すると、継手部が大きくなって当該縦継部で欠損する断面積が大きくなり、また鋼矢板の剛性が大きくなることから曲げ耐力も大きくなり、従来技術による縦継構造の仕様によると、補強板に必要な厚みや幅も大きくなる。そのため、特に鋼矢板のウェブに取り付ける補強板が大型化し重量が重くなることで、運搬や溶接作業性が低下する。さらに、補強板を固定するための溶接量も嵩み、溶接時間の長期化やコストアップをもたらす。溶接量が多くなることによって、特に1日当たりに打設できる鋼矢板の枚数が減り、全体の鋼矢板の施工コストが増加してしまう。
従来においては、現場溶接は工場溶接の80%程度、もしくは90%程度の耐力しか確保できないものとしていた。
しかしながら、溶接技術が向上し、現場における施工管理および品質管理が充実してきたことから、適切な技能を有する溶接工が適切な溶接環境のもとで施工するとともに、非破壊検査や施工工程の記録化などにより品質管理を行うことで、工場溶接と同等の管理を行った場合、工場溶接と同レベルの耐力を確保できるようになってきた(例えば、港湾の施設の技術上の基準・同解説,平成30年5月,公益社団法人日本港湾協会,国土交通省港湾局監修,p.472参照。)。
そこで、上述したように工場溶接と同等の管理を行ったうえで、上下の鋼矢板端面どうしを突合せ、この突合せ箇所の開先部分を確実に全断面溶接した縦継構造を有する鋼矢板に曲げ試験を実施したところ、ウェブに取り付けた補強板がなくても、縦継ラインの耐力を確保できることが分かってきた。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、継手部の断面積欠損を有する縦継構造において必要耐力を確保しつつ、コスト低減および作業性向上が可能な鋼矢板の縦継構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の鋼矢板の縦継構造は、鋼矢板本体および継手部を有する鋼矢板どうしを材軸方向に連結する鋼矢板の縦継構造であって、
前記鋼矢板本体どうしの少なくとも一部が全断面溶接によって接合され、前記継手部どうしは溶接されておらず、
前記鋼矢板どうしに、それらの縦継ラインを跨ぐようにして補強板が溶接され、
前記補強板は、以下の(1)〜(3)の条件を全て満たすことを特徴とする。
(1)前記補強板は、前記鋼矢板本体の幅方向中央部のウェブ以外の鋼矢板部位に取り付けられていること。
(2)前記縦継ラインにおける断面の前記補強板の合計断面積が、前記鋼矢板どうしが全断面溶接されていない、前記鋼矢板の断面欠損部の合計断面積以上であること。
(3)前記鋼矢板の鋼矢板断面の中立軸に対して、前記縦継ラインにおける断面の前記補強板の合計断面2次モーメントが、前記断面欠損部の合計断面2次モーメント以上であること。
ここで、前記鋼矢板としては、例えばハット形鋼矢板、U形鋼矢板、Z形鋼矢板等が挙げられる。
ハット形鋼矢板は、鋼矢板本体とその幅方向の両側端部に形成された継手部とを備えたものであり、鋼矢板本体は、ウェブとその両側端部に形成されたフランジ部と、このフランジ部の外側の側端部に形成されたアーム部とを有している。したがって、「ウェブ以外の鋼矢板部位」とは、フランジ部、アーム部、または継手部のことを意味するが、補強板はアーム部に取り付けるのが好ましい。
また、U形鋼矢板は、鋼矢板本体とその幅方向の両側端部に形成された継手部とを備えたものであり、鋼矢板本体は、ウェブとその両側端部に形成されたフランジ部とを有している。したがって、「ウェブ以外の鋼矢板部位」とは、フランジ部または継手部のことを意味するが、補強板はフランジ部において、継手部の近傍に取り付けるのが好ましい。また、補強板はフランジ部の外側を向く外側面、内側を向く内側面または外側面と内側面の双方に取り付ければよい。
また、Z形鋼矢板は、鋼矢板本体とその幅方向の両側端部に形成された継手部とを備えたものであり、鋼矢板本体は、斜めに配置されたウェブと、その両側端部に形成されたフランジ部とを有している。したがって、「ウェブ以外の鋼矢板部位」とは、フランジ部または継手部のことを意味するが、補強板はフランジ部において、継手部の近傍に取り付けるのが好ましい。また、補強板はフランジ部の両面、または片面のみに取り付ければよい。
本発明においては、縦継ラインにおける断面の補強板の合計断面積が、鋼矢板の断面欠損部の合計断面積以上であるので、鋼矢板の地盤中への打設時や引き抜き時に、鋼矢板に作用する引張荷重に対して、縦継箇所の耐力が鋼矢板母材(縦継箇所がない鋼矢板)と同等以上となる。
また、鋼矢板の鋼矢板断面の中立軸に対して、縦継ラインにおける断面の補強板の合計断面2次モーメントが、鋼矢板の断面欠損部の合計断面2次モーメント以上であるので、鋼矢板の断面欠損を補い、鋼矢板としての曲げ剛性を確保できる。
さらに、補強板は、鋼矢板本体の幅方向中央部のウェブ以外の鋼矢板部位に取り付けられている。
したがって、継手部の断面積欠損を有する縦継構造において必要耐力を確保しつつ、コスト低減および作業性向上が可能な鋼矢板の縦継構造を提供できる。
また、本発明の前記構成において、前記鋼矢板が、ウェブ、当該ウェブの両側端部に形成された一対のフランジ部、および当該一対のフランジ部のそれぞれの外側の側端部に形成された一対のアーム部を有する前記鋼矢板本体と、前記一対のアーム部のそれぞれの外側の側端部に形成された一対の前記継手部とを備えたハット形鋼矢板であり、
前記補強板は前記アーム部のみに取り付けられていてもよい。
このような構成によれば、鋼矢板に曲げモーメントが作用して、鋼矢板の縦継箇所において、溶接されていない継手部どうしに、これらが開くような力が作用した場合に、継手部が形成されているアーム部に補強板が取り付けられているので、このような力に効率的に抗することができ、継手部どうしの開きを抑制できる。
また、本発明の前記構成において、前記補強板は、前記アーム部の両面、または片面のみに取り付けられていてもよく、さらに、片面に取り付ける場合、鋼矢板断面の中立軸から遠い側の片面に取り付けるのが好ましい。
ここで、アーム部の両面とは、鋼矢板の高さ方向(鋼矢板の幅方向及び長手方向に直交する方向)に垂直な2面を言う。また、アーム部の片面とは、当該両面のいずれか一方の面であり、中立軸から遠い側の面と、近い側の面とのいずれかである。
このような構成によれば、補強板をアーム部の両面に取り付けることによって、補強板が負担すべき荷重が分散されるため、個々の補強板の板厚や、補強板幅、補強板長さを低減でき、また、補強板が1枚のときよりも効率的に溶接長を増やすことができるため、補強板全体の鋼重も縮小することが可能となる。
また、アーム部の片面のみに補強板を取り付けることで、溶接機の設置位置をアーム部の片側のみに設置しておけばよく、溶接の段取り作業を軽減できる。
さらに、中立軸から遠い側のアーム部の片面に補強板を取り付けることにより、補強箇所に必要な断面2次モーメントを効率的に確保しつつ、補強板の板厚低減により、曲げモーメントに対する補強板の縁端応力を低減できるため、補強板とアーム部との溶接個所のトータル溶接体積を縮小でき、溶接材料のコスト削減に繋がる。
また、本発明の前記構成において、前記補強板の、前記継手部側の板厚が、前記継手部と反対側の板厚より厚くてもよく、この場合、補強板の板厚は、継手部に近づくに従って厚くなっていてもよい。
鋼矢板の縦継箇所に曲げモーメントが作用し、鋼矢板断面のアーム側、つまり継手欠損部に引張荷重が作用した場合、曲げモーメントが大きくなると、鋼矢板幅方向で、縦継突合せ部の溶接両端部となるアーム部の溶接止端部から亀裂が発生する虞がある。更に曲げモーメントが増大すると、亀裂が補強板に進展する虞があり、一旦亀裂が補強板を貫通すると、耐力低下が顕著になる。
このため、上述した構成とすることによって、つまり、補強板の、継手部側の板厚を、継手部と反対側の板厚より厚くすることによって、補強板への亀裂進展を抑制できる。
また、本発明の前記構成において、前記継手部どうしに、それらの縦継ラインを跨ぐようにして補助部材が固定されていてもよい。
このような構成によれば、継手部どうしに、それらの縦継ラインを跨ぐようにして補助部材が固定されているので、上述したような補強板へ亀裂が進展する前に、縦継突合せ部の溶接両端部となるアーム部の溶接止端部での亀裂発生を抑制できる。
本発明によれば、継手部の断面積欠損を有する縦継構造において必要耐力を確保しつつ、コスト低減および作業性向上が可能な鋼矢板の縦継構造を提供できる。
本発明の実施形態を示すもので、鋼矢板の縦継構造を示す斜視図である。 同、補強板の斜視図である。 同、(a)はアーム部の一方の片面に補強板を取り付けた状態を示す鋼矢板の平断面図、(b)は継手部の拡大平断面図である。 同、アーム部の他方の片面に補強板を取り付けた状態を示す鋼矢板の平断面図である。 同、アーム部の両面に補強板を取り付けた状態を示す鋼矢板の平断面図である。 同、継手部に補強板をずらして取り付けた状態を示す鋼矢板の要部の平断面図である。 同、継手部に補強板を二分割して取り付けた状態を示す鋼矢板の要部の平断面図である。 同、(a)はアーム部に取り付けた補強板に板材を追加固定した状態を示す鋼矢板の要部の平断面図、(b)はアーム部にテーパ鋼板からなる補強板を取り付けた状態を示す鋼矢板の要部の平断面図である。 同、継手部に補助部材を取り付けた状態を示す鋼矢板の要部の平断面図である。 同、(a)は第1変形例の補強板を取り付けた場合の鋼矢板の縦継構造の要部を示す斜視図、(b)は同要部の断面図である。 同、(a)は第2変形例の補強板を取り付けた場合の鋼矢板の縦継構造の要部を示す斜視図、(b)は同要部の断面図である。 同、第3変形例の補強板を取り付けた場合の鋼矢板の縦継構造を示す斜視図である。 同、第4変形例の補強板を示す正面図である。 同、第5変形例の補強板を示す正面図である。 同、第6変形例の補強板を示す正面図である。 同、溶接部位の設定位置(荷重作用方向に対する溶接ラインの角度)によっては、トータル抵抗力を同等以上にすることができることを説明するための図である。 同、隅肉溶接部に対して任意の方向のPに対する分力およびのど厚をa、溶接長をeとしたとき、のど断面に働く応力を説明するための図である。 同、菱形外周ライン傾き角度とせん断強度比との関係を示すグラフである。 同、第7変形例の補強板を示す正面図である。 同、第8〜第12変形例を示すもので、(a)は第8変形例の補強板の正面図、(b)は第9変形例の補強板の正面図、(c)は第10変形例の補強板の正面図、(d)は第11変形例の補強板の正面図、(e)は第12変形例の補強板の正面図である。 本発明の他の実施形態を示すもので、フランジ部に補強板を取り付けた状態を示す鋼矢板の平断面図である。 本発明の他の実施形態を示すもので、フランジ部に補強板を取り付けた状態を示す鋼矢板の平断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は実施形態に係る鋼矢板の縦継構造を示す斜視図である。
本実施形態では、上側の鋼矢板10と下側の鋼矢板10とが上下に接合されている。
鋼矢板10は、ハット形鋼矢板であり、鋼矢板本体11と、当該鋼矢板本体11の両側端縁に設けられた継手部12,12とを備えている。
なお、鋼矢板10はハット形鋼矢板に限ることはなく、例えばU形鋼矢板、Z形鋼矢板等であってもよい。
鋼矢板本体11は、幅方向中央に位置するウェブ13と、このウェブ13の両側端縁に形成された左右一対のフランジ14,14と、当該フランジ14,14の外側の側端部に形成された左右一対のアーム部15,15とを有する。そして、当該一対のアーム部15,15の外側の側端部に前記継手部12,12が形成されている。
このような鋼矢板10は、図示は省略するが、左右に隣り合う鋼矢板10,10の継手部12,12どうしを嵌合させることによって、横方向に連結され、これによって、鋼製壁が左右(鋼矢板10の幅方向)に連続して形成されるようになっている。
また、上下の鋼矢板10,10は接合されている。すなわち、鋼矢板10,10の鋼矢板本体11,11どうしは板厚方向に亘って全断面溶接によって接合されている(全断面溶接部が鋼矢板本体11の幅方向に沿って連続して存在する)のが好ましいが、鋼矢板本体11の端部となる継手部12,12との接続部付近の一部に、全断面溶接されていない部分を含んでいてもよい。鋼矢板本体11において、突合せ溶接部端部での急激な応力変化を避けるために、継手部12,12との接続部付近における開先加工を、アーム部15,15の片面からもう一方の面に向かって幅方向にテーパ状とし、溶接量を徐々に変化させてもいい。この場合、テーパ状に開先加工し溶接した部分は、継手部12,12で溶接されていない断面欠損部として取り扱う。すなわち、本明細書における「鋼矢板10の断面欠損部」とは、継手部12,12の断面欠損のほか、上記の場合(継手部12,12との接続部付近における開先加工を、アーム部15,15の片面からもう一方の面に向かって幅方向にテーパ状とし、溶接量を徐々に変化させる場合)にはテーパ状に開先加工し溶接した部分も含む。
本実施形態では、上下の鋼矢板本体11,11を板厚方向に亘って全断面溶接する。具体的には、図示は省略するが、打設中に鋼矢板10,10を長さ方向に連結(縦継ぎ)する際は、上下の鋼矢板本体11,11の上下に対向する端部のうち何れか一方、または打設前に鋼矢板10,10を横置きして長さ方向に連結(縦継ぎ)する際は、両方に開先部分を形成し、当該開先部分に溶接金属を流し込んで、当該開先部分を全断面溶接することによって、上下の鋼矢板本体11,11どうしを板厚方向に亘って溶接接合する。また、上下の鋼矢板10,10の上下に対向する継手部12,12どうしは溶接されておらず、単に突き合わされている。
このように、上下の継手部12,12どうしは溶接されていないので、上下に溶接される鋼矢板10,10は、溶接されていない継手部12,12に相当する断面欠損部を有している。なお、本実施形態では、上述のように鋼矢板本体11,11が板厚方向に亘って全断面溶接されているので、上記の「鋼矢板10の断面欠損部」は継手部12,12に相当する断面欠損部に相当することとなる。
このため、本実施形態では、前記断面欠損部を補うべく、補強板20,20が上下の鋼矢板本体11,11にその縦継ライン16を跨ぐようにして外周を隅肉溶接によって接合され、これによっても鋼矢板本体11,11が溶接によって接合されている。ここで、縦継ライン16とは、上下の鋼矢板10,10を互いに突き合わせた際に生じる接合線のことであり、上下の鋼矢板10の一方の面と他方の面とにそれぞれ生じる。
補強板20,20は、上下の鋼矢板本体11,11のアーム部15,15の一方の面に生じる縦継ライン16を跨ぐようにして配置してもよいし、他方の面に生じる縦継ライン16を跨ぐようにして配置してもよいし、さらに、両方の面に生じる縦継ライン16を跨ぐようにして配置してもよい。
前記補強板20は矩形の平板であり、以下の(1)〜(3)の条件を全て満している。
(1)補強板20は、鋼矢板10の両側のアーム部15,15のみに取り付けられていること。
(2)縦継ライン16における断面の補強板20,20の合計断面積が、溶接されていない継手部12,12に相当する断面欠損部(鋼矢板10の断面欠損部)の合計断面積以上であること。
(3)鋼矢板10の鋼矢板断面の中立軸naに対する、縦継ライン16における断面の補強板20,20の合計断面2次モーメントが、溶接されていない継手部12,12に相当する断面欠損部(鋼矢板10の断面欠損部)の合計断面2次モーメント以上であること。
さらに、本実施形態では次の(4)の条件も満たしている。
(4)補強板20は、アーム部15,15の両面、または片面のみに取り付けられていること。
図2に示すように、アーム部15に溶接によって取り付けられる補強板20は矩形の平板であり、当該補強板20の板幅をbp、同補強板20の長さをlp、同補強板20の板厚をt、同補強板20をアーム部15に隅肉溶接によって取り付けた場合の溶接部分の脚長をsとする。
このような補強板20は、図1に示すように、長手方向を上下方向に向け、かつ補強板20の長手方向の中央部が縦継ライン16と一致するようにして、当該補強板20をアーム部15に配置したうえで、補強板20をアーム部15に隅肉溶接によって取り付ける。
前記(1)の条件のように、補強板20は鋼矢板10の両側のアーム部15,15のみに取り付けられている(図3〜図5参照)。
前記(4)の条件のように、補強板20は、アーム部15,15の両面(図5参照)、または片面のみ(図3および図4参照)に取り付けられている。
ここでアーム部15の片面とは、鋼矢板断面の中立軸naから遠い側の面15aと近い側の面15bとのうちのいずれか一方の面のことをいい、両面とは面15aと面15bの双方の面のことをいう。
中立軸naは、鋼矢板10のウェブ13とアーム部15との間を通る、ウェブ13と平行な軸であって、鋼矢板10の断面1次モーメントが0となるような軸である。
前記(2)の条件について説明すると、鋼矢板10の地盤中への打設時や引き抜き時に、鋼矢板10に作用する引張荷重に対して、縦継箇所の耐力が鋼矢板母材(縦継箇所がない鋼矢板)と同等以上となるように、縦継ライン16における断面の補強板20,20の合計断面積を、溶接されていない継手部12,12の合計断面積以上とする。
ここで、継手部12の断面とは、図3(b)に示すように、継手部12の突起12aからアーム部15側に向けて断面曲線状または直線状に延びる線分12bと断面におけるアーム部15の縁線15cとの境界において中立軸naと直交する線Lより外側(図3(b)において左側)の領域における継手部12の断面のことを言う。
したがって、図3〜図5に示す、左右の継手部12,12の形状が同じ場合の鋼矢板の縦継構造では、それぞれ継手部12が2つあるので、継手部12,12の合計断面積は、1つの継手部12の断面2つ分の面積となる。
前記(3)の条件について説明すると、補強板20をアーム部15に取り付けることによって、継手部12の断面欠損を補い、鋼製壁としての曲げ剛性を確保できるよう、鋼矢板断面の中立軸naに対する、縦継ライン16における断面の補強板20,20の合計断面2次モーメントを、溶接されていない継手部12,12に相当する断面欠損部の合計断面2次モーメント以上とする。
補強板20のスペックは、継手部12の溶接欠損部分(断面欠損部)から定まる、上述した(2)の条件中の補強板20,20の合計断面積と、(3)の条件中の補強板20,20の合計断面2次モーメントとのうち、補強板20の必要寸法(補強板20の幅bp、補強板20の長さlp、補強板の板厚t)が大きくなる方の条件から設定する。
鋼矢板10によって鋼製壁を形成する際は、同一深度で縦継箇所がない鋼矢板10と縦継箇所がある鋼矢板10とを交互に配置する。補強板20の幅・長さ・板厚・材質を設定する際は、上述した補強板20,20の合計断面積と補強板20,20の合計断面2次モーメントに加え、鋼矢板10,10の縦継箇所に発生する応力として、補強板20,20を取り付けた縦継箇所と、縦継箇所を含まない鋼矢板本体11との組み合わせからなる全体の断面2次モーメントを対象に、外力の曲げモーメントに対して、中立軸naから補強板20,20の各部までの距離に応じて発生する応力が、補強板20,20の材質に応じた所定の許容応力を下回るようにする。
補強板20,20と鋼矢板10のアーム部15との溶接部分において、曲げにより補強板20,20に生じる引張応力の合計値以上となる、溶接部耐力となる溶接体積(=溶接長(L)×脚長(s))を確保する。2つの鋼矢板10,10のうち片側の鋼矢板10への定着長さが溶接長となるため、矩形の補強板20を用いる場合は、「溶接長=補強板幅+補強板長さ」となる。
アーム部15において補強板20を取り付ける位置としては、足場条件や周辺構造物との干渉の兼ね合いで、片側からのみしか溶接作業ができない場合、図3および図4に示すように、アーム部15の片面15aまたは片面15bのみに補強板20を取り付ける。このようにすることで、溶接機の設置位置をアーム部15の片側のみに設置しておけばよく、溶接の段取り作業を軽減できる。
また、補強板20をアーム部15の片面15aまたは片面15bのみに溶接する場合、どちらの片面でも溶接作業が可能な場合は、中立軸na周りの補強板20の断面2次モーメントを大きくできることから、図3に示すように、中立軸naから遠い側のアーム部15の片面15aに補強板20を取り付けることが好ましい。この場合、中立軸naから近い側のアーム部15の片面15bに補強板20を取り付設置する場合に比べて、中立軸naから遠い側のアーム部15の片面15aに取り付ける補強板20は、補強箇所に必要な同じ断面2次モーメントを確保するために、補強板20の板厚を低減することができ補強板20の鋼材重量を低減できる。
また、図5に示すように、補強板20をアーム部15の両面15a,15bに取り付けてもよい。このように、アーム部15の両面15a,15bにそれぞれ補強板20を取り付けることによって、補強板20が負担すべき荷重が分散され、補強箇所に必要な断面諸元を効率的に確保できる。中立軸naから遠い側のアーム部15の片面15aのみに補強板20を取り付ける場合に比べて、中立軸naから近い側のアーム部15の片面15bにも補強板20を取り付けることによって、中立軸naから遠い側のアーム部15の片面15aに取り付ける補強板20の板厚が低減され、曲げモーメントに対する補強板20の縁端応力を低減できる。そのため、補強板20とアーム部15との溶接個所のトータル溶接体積を縮小でき、溶接材料のコスト削減に繋がる。また補強板20をアーム部15の両面15a,15bに取り付けていることで、補強板20が1枚のときよりも効率的に溶接長を増やすことができるため、個々の補強板20の板厚(t)や、補強板幅(bp)、補強板長さ(lp)を低減でき、補強板全体の鋼重を低減することが可能となる(表1参照)。
補強板20を取り付ける継手部12の溶接欠損(断面欠損)部からの距離として、溶接熱影響により継手部12が変形してしまわない距離を確保する。継手形状や、溶接入熱量にも依存するが、補強板20は継手部12の継手嵌合中心から継手部12の大きさに応じて、40〜60mm程度離すことが好ましい。また、補強板20をアーム部15に溶接する際は、隅肉溶接の脚長や溶接スピードを踏まえ、入熱量を調整する。
アーム部15の両面15a,15bに補強板20を取り付ける場合は、図6に示すように、アーム部15の局所的な位置へ集中的に入熱が大きくなり、アーム部15の材質劣化による耐力減少を招いてしまわないように、アーム部15の両面15a,15bでの補強板20,20の取付け位置を鋼矢板幅方向にずらしても構わない。
また、図7に示すように、補強板20を補強板幅方向に複数枚(例えば2枚)に分割して分割片20a,20aとするとともに、分割片20aの幅を補強板20の幅の半分に短くすることにより、分割箇所で補強板20の溶接長をより長く確保できるため、補強板20の長さを短くすることが可能となり、補強板全体の重量を縮小することも可能である。
次に、ハット形鋼矢板50H(材質SYW295)について、縦継ぎを行うとともに補強板をアーム部に溶接した場合の、補強板仕様を表1に示す。
なお、ハット形鋼矢板50Hは、有効幅900mm、有効高さ370mm、厚さ17mm、断面積212.7cm、断面2次モーメント46.000cmの鋼矢板である。
また、本発明に係る補強板のスペックを規定する際は、継手部で溶接しない断面欠損部の大きさや、鋼矢板・補強板・隅肉溶接の許容応力度は、従来仕様と同様の条件とする。表1に示す補強板の幅と長さの寸法は、製作容易性を考慮して、10mm単位で切り上げている。
Figure 2021014703
補強材の材質であるSM490およびSM570は、溶接構造用圧延鋼板(JISG 3106)に規定されている。
表1から明らかなように、ハット形鋼矢板のアーム部に補強板を溶接によって取り付ける場合、中立軸から遠いアーム部の片面に補強板を取り付けた方が、中立軸から近いアーム部の片面に補強板を取り付けた場合より、補強板全体の重量、溶接長さ、溶接体積が小さいこと分かる。また、アーム部の両面に補強を取り付けた方が、アーム部の片面に補強板を取り付けた場合より、補強板全体の重量、溶接長さ、溶接体積が小さいこと分かる。
上述したようにして縦継ぎした鋼矢板の縦継箇所に曲げモーメントが作用し、鋼矢板断面のアーム側、つまり継手部の断面欠損部に引張荷重が作用した場合、曲げモーメントが大きくなると、鋼矢板幅方向で、縦継突合せ部の溶接両端部となるアーム部の溶接止端部から亀裂が発生することがある。更に曲げモーメントが増大すると、亀裂が補強板に進展することがある。一旦亀裂が補強板を貫通すると、耐力低下が顕著になる。
そこで、補強板への亀裂進展を抑制するために、補強板全体の板厚を増加させることが効果的である。そのため、図3および図4に示すように、アーム部15の片面15aまたは片面15bのみに補強板20を取り付ける鋼矢板10の縦継構造よりも、図5に示すように、アーム部15の両面15a,15bに補強板20取り付ける鋼矢板10の縦継構造の方が好適である。
例えば、表1に示すように、アーム部の両面に補強板を取り付けた場合の補強板全体の板厚は、16mm+12mm=28mmであるのに対し、アーム部の一方の片面(中立軸から遠い面)に取り付けた補強板の板厚は19mm、アーム部の他方の片面(中立軸から近い面)に取り付けた補強板の板厚は22mmであり、アーム部の両面に補強板を取り付けた場合の方が補強板全体の板厚が厚いので、補強板への亀裂進展をより効果的に抑制することができる。
また、図8(a)に示すように、補強板20に板材21を追加したり、図8(b)に示すように、矩形平板状の補強板20に代えて、テーパ鋼板からなる補強板26をアーム部15に溶接により取り付けることで、補強板20への亀裂進展の起点となる箇所において、局所的に補強板の板厚を増すことも効果的である。
図8(a)に示す鋼矢板の縦継構造では、中立軸naから遠い側のアーム部15の片面15aに補強板20が溶接によって取り付けられ、この補強板20の表面に板材21が追加して溶接等によって取り付けられている。板材21の継手部12側を向く面は、補強板20の継手部12側を向く面と面一になっている。また、板材21の板幅は補強板20の板幅(bp)より小さく、板材21の長さは補強板20の長さ(lp)と等しくなっている。補強板20に板材21を加えることによって、補強板20への亀裂進展の起点となる箇所において、局所的に補強板の板厚を増すことができる。なお、補強板20と板材21とを一体的に形成してもよい。
また、図8(b)に示す鋼矢板の縦継構造では、中立軸naから遠い側のアーム部15の片面15aにテーパ鋼板からなる補強板26が溶接によって取り付けられている。この補強板26は継手部12側に向かうほど板厚が厚くとなるようなテーパ面を有しており、補強板26の継手部12側の一端部の厚さは、前記補強板20の厚さより厚く、補強板26の他端部の厚さは、一端部の厚さより小さく、かつ補強板20の厚さとほぼ等しくなっているか、または補強板20の厚さより小さくなっている。
また、補強板26の板幅および長さは、補強板20の板幅および長さと等しくなっている。
このようにして、補強板への亀裂進展の起点となる箇所において、局所的に補強板20,26の板厚を増加させることによって、補強板20,26への亀裂進展を抑制できる。
また、図9に示すように、補強板20へ亀裂が進展する前に、縦継突合せ溶接の両端部となるアーム部15の溶接止端部での亀裂発生を抑制するために、継手部12に補助部材25が溶接によって取り付けられていてもよい。
継手部12の嵌合性を確保し、かつ継手部12の溶接欠損部(断面欠損部)での上下の鋼矢板10,10間の開き発生を防止するために、鋼矢板10の幅方向の端部付近となる継手部12の底面に補助部材25取り付けることが効果的である。補助部材25としては、板材や棒状部材を用いる。補助部材25を継手部12に溶接する際に、過分な入熱を与えてしまうと継手部12が変形してしまうため、入熱量を制御して溶接を行うことが好ましい。
以上説明したように、本実施形態によれば、鋼矢板10,10の縦継ライン16における断面の補強板20,20の合計断面積が、溶接されていない継手部12,12に相当する断面欠損部の合計断面積以上であるので、鋼矢板10の地盤中への打設時や引き抜き時に、鋼矢板10に作用する引張荷重に対して、縦継箇所の耐力が鋼矢板母材(縦継箇所がない鋼矢板)と同等以上となる。
また、鋼矢板10の鋼矢板断面の中立軸naに対して、縦継ライン16における断面の補強板20,20の合計断面2次モーメントが、溶接されていない継手部12,12に相当する断面欠損部の合計断面2次モーメント以上であるので、継手部12,12の断面欠損を補い、鋼矢板10,10としての曲げ剛性を確保できる。
さらに、鋼矢板本体11の中立軸naに対する継手部12,12の溶接欠損部(断面欠損部)に相当する断面2次モーメントを有する補強板20,20を用いるため、縦継箇所の中立軸は鋼矢板本体11の中立軸naとほぼ同じ位置になり、鋼矢板10,10の縁端応力が圧縮または引張となる鋼矢板10,10に作用する両方向の曲げモーメントに対して、所定の耐力や剛性を確保する上で、鋼矢板全断面を効率的に活用できる。
さらに、補強板20は、鋼矢板10の両側のアーム部15のみに取り付けられている。
したがって、継手部12,12の断面積欠損を有する縦継箇所において必要耐力を確保しつつ、重量が大きく、コスト・作業性に悪影響を与え、縦継突合せ部の溶接管理の障害となる、ウェブ13の補強板20を不要とし、必要最低限の補強板20を有する鋼矢板の縦継構造を提供できる。
また、ウェブ13に取り付ける大形の補強板を不要とすることで、補強板・溶接材料の材料費を低減し、溶接時間の短縮により、鋼矢板施工全体の材工費を削減できる。特に、橋梁の桁下施工時など施工空間が狭い場合は、短尺の鋼矢板を多数使用する必要があり縦継箇所が多くなるが、施工速度アップ、施工コスト削減効果が大きくなり、材工費削減効果がより顕著になる。
また、補強板20,26はアーム部15に取り付ける小型の板材のみとなるので、溶接作業が省力化される。さらに、現場での溶接個所や溶接量が減ることで、現場管理が容易となり、溶接品質を確保しやすくなる。
また、上下の鋼矢板10,10の突合せ部を溶接する際、確実に全断面溶接を行うために、片面から溶接した後に溶け込み不良部を除去するために反対側の溶接表面をガウジングで斫った上で溶接したり、確実に溶着金属が反対側へも充填されるよう裏波溶接を行ったりする必要があり、手間もかかる。しかしながら実際の現場においては、下側の鋼矢板10への上側の鋼矢板10の設置・位置合わせ作業を容易にするために、下側の鋼矢板頭部のウェブに補強板を先に取り付けてから、上側の鋼矢板10の建て込みが行われることがあり、縦継突合せ部の溶接個所が補強板にて覆い隠されてしまい、ガウジングで斫ったり、裏波溶接の確認ができなくなったりすることがある。特に縦継部での幅が大きいウェブ13に取り付ける補強板は、突合せ部を覆い隠す領域が大きく、万が一確実に全断面溶接がなされていない場合は、縦継部全体に与える耐力低下の影響が大きくなってしまうが、ウェブ13に取り付ける大型の補強板がなくなることで、ウェブラインに全長に亘って全断面溶接がなされていることを確実に確認でき、突合せ部の溶接管理をしやすくすることができる。
また、ウェブ13に補強板を取り付ける必要がないため、鋼矢板10に重防食塗布する必要がある場合に、重防食の塗布範囲との干渉を避けて、ウェブ13に容易に重防食塗布できる。
また、板材21を追加した補強板20および補強板26の、継手部12側の板厚が、継手部12と反対側の板厚より厚いので、補強板20,26への亀裂進展を抑制できる。
さらに、継手部12,12どうしに、それらの縦継ライン16を跨ぐようにして補助部材25が固定されているので、上述したような補強板20へ亀裂が進展する前に、縦継突合せ部の溶接両端部となるアーム部15の溶接止端部での亀裂発生を抑制できる。
図10は補強板の第1変形例を説明するためのもので、(a)は第1変形例の補強板27を取り付けた場合の鋼矢板の縦継構造の要部を示す斜視図、(b)同要部の断面図である。
また、図11は補強板の第2変形例を説明するためのもので、(a)は第2変形例の補強板28を取り付けた場合の鋼矢板の縦継構造の要部を示す斜視図、(b)同要部の断面図である。
上述した補強板20は矩形の平板であり、補強板26はテーパ鋼板からなっていたが、図10に示す補強板27は、断面略半ダイヤ形状に形成され、図11に示す補強板28は、断面略半円形状に形成されている。
また、補強板27および補強板28の双方とも、上述した(1)〜(4)の条件を全て満たすとともに、上下の鋼矢板本体11,11のアーム部15,15にその縦継ライン16を跨ぐようにして外周を隅肉溶接によって接合されている。
図10に示す補強板27は、縦継ライン16から鋼矢板10,10の長手方向に離れるに従い当該長手方向に沿ってテーパ状に板厚を漸減しており、最も板厚が厚い長手方向中央部が縦継ライン16上に位置している。
このように補強板27はその長手方向中央部つまり縦継ライン16上から鋼矢板10の長手方向に先細りするように板厚が漸減しているので、鋼矢板10を地盤に打設する際に補強板27が受ける地盤からの抵抗を上述した補強板20,26に比して低減できる。
図11に示す補強板28は、縦継ライン16から鋼矢板10,10の長手方向に離れるに従い当該長手方向に沿って円弧状に板厚を漸減しており、最も板厚が厚い長手方向中央部が縦継ライン16上に位置している。
このように補強板28はその長手方向中央部つまり縦継ライン16上から鋼矢板10の長手方向に先細りするように板厚が漸減しているので、鋼矢板10を地盤に打設する際に補強板28が受ける地盤からの抵抗を上述した補強板20,26に比して低減できる。
図12は補強板の第3変形例を説明するためのもので、当該第3変形例の補強板30を取り付けた場合の鋼矢板の縦継構造を示す斜視図である。また、図13は第4変形例の補強板31を示す正面図である。
第3変形例の補強板30および第4変形例の補強板31は、菱形に形成された菱形補強板である。同じ脚長である一定量の溶接長を確保するためには、矩形とするより菱形とした方が補強板の鋼材重量を小さくすることができる。この第3変形例の補強板30および第4変形例の補強板31は上述した(1)〜(4)の条件を全て満たすとともに、上下の鋼矢板本体11,11のアーム部15,15にその縦継ライン16を跨ぐようにして外周を隅肉溶接によって接合されている。
すなわち、第3変形例の補強板30は、図12に示すように、その板面の対向する鈍角どうしを結ぶ直線30aが前記縦継ライン16に一致するように配置されている。このような補強板30は上下に隣接するアーム部15,15に縦継ライン16を跨ぐようにして左右にそれぞれ1枚ずつ合計2枚取り付けられている。
また、補強板30の4周に沿う溶接長さをLとすると、この溶接長さLは、前記矩形の補強板20の4周に沿う溶接長さと同等かまたはそれ以上の長さ有しているが、補強板30の正面視における面積は、補強板20より小さくなっている。また、補強板30の板厚は補強板20の板厚とほぼ等しくなっている。
また、第4変形例では、図13に示すように、1枚の補強板30の代わりに2枚の補強板31,31を有し、当該2枚の補強板31,31はその板面の対向する鈍角どうしを結ぶ直線31a,31aが前記縦継ライン16に一致するように配置されている。このような2枚の補強板31,31は、それらの鈍角部を突き合わせるようにして隣接配置したうえで、アーム部に隅肉溶接によって接合されている。
1枚の補強板31は、正面視において1枚の補強板30の1/4の面積を有し、かつ補強板30と相似形のものであり、さらに、補強板30と板厚がほぼ等しくなっている。
また、2枚の補強板31,31の縦継ライン16に沿う幅寸法の合計は、1枚の補強板30の縦継ライン16に沿う幅寸法と等しくなっている。
なお、2枚の補強板31,31は、それらの鈍角部を突き合わせるようにして隣接配置されているが、縦継ライン16の長手方向(鋼矢板10の幅方向)に所定間隔を隔てて配置されていてもよい。
第3変形例の補強板30は、上述した矩形の補強板20と板厚がほぼ等しく、かつ補強板20より正面視における面積が小さくなっているが、補強板20と同長さまたはそれ以上の溶接長を確保している。このため、補強板20によって縦継ぎされた鋼矢板10,10と同等の軸方向抵抗力および曲げ耐力を有するとともに、補強板30の重量を補強板20より小さくできるので、縦継ぎされた鋼矢板10,10の全体重量を軽減できるという利点がある。
また、第4変形例の2枚の補強板31,31は、1枚の補強板30と同じ長さの溶接長を確保できるとともに、正面視における面積を1枚の補強板30の1/2にすることができる。このため、補強板30によって縦継ぎされた鋼矢板10,10と同等の軸方向抵抗力および曲げ耐力を有するとともに、2枚の補強板31,31の重量を1枚の補強板30より小さくできるので、縦継ぎされた鋼矢板10,10の全体重量をさらに軽減できるという利点がある。
図14は第5変形例の補強板を示す正面図である。
この第5変形例の補強板32は、菱形に形成された菱形補強板であり、上述した(1)〜(4)の条件を全て満たすとともに、上下の鋼矢板本体11,11のアーム部15,15にその縦継ライン16を跨ぐようにして外周を隅肉溶接によって接合されている。
また、3枚の補強板32,32,32はその板面の対向する鈍角どうしを結ぶ直線32a,32a,32aが前記縦継ライン16に一致するように配置されている。このような3枚の補強板32,32,32は、それらの鈍角部を突き合わせるようにして隣接配置したうえで、アーム部に隅肉溶接によって接合されている。なお、3枚の補強板32,32,32は、縦継ライン16の長手方向(鋼矢板10の幅方向)に所定間隔を隔てて配置されていてもよい。
また、1枚の補強板32は、1枚の補強板30の1/9の大きさを有し、かつ補強板30と相似形のものである。
さらに、3枚の補強板32,32,32の縦継ライン16に沿う幅寸法の合計は、補強板30の縦継ライン16に沿う幅寸法と等しくなっている。
第5変形例の3枚の補強板32,32,32は、1枚の補強板30と同じ長さの溶接長を確保できるとともに、正面視における面積を1枚の補強板30の1/3にすることができる。このため、補強板30または補強板31によって縦継ぎされた鋼矢板10,10と同等の軸方向抵抗力および曲げ耐力を有するとともに、3枚の補強板32,32,32の重量を1枚の補強板30より小さくできるので、縦継ぎされた鋼矢板10,10の全体重量をさらに軽減できるという利点がある。
補強板として、第3〜第5の変形例のような菱形補強板30,31,32をそのまま用いると、角部における鋭角点が増え、溶接端部での応力集中により、疲労亀裂の危険箇所が増えてしまうことが懸念される。そのため、図15に示す第6変形例の補強板33ように、鋭角部をなだらかな曲線状にして応力集中を避けることも可能である。
第6変形例における補強板33、すなわち菱形補強板の鋭角部が滑らかな曲面によって形成されている補強板において、菱形形状の鋼矢板材軸方向両端部の鋭角部をなだらかな曲線状にした場合、縦継ラインに対する菱形外周傾き角度(θ)として下記式(1)を満足するようにすると、隅肉溶接部のせん断強度を確保しつつ、補強板の外周長を短くでき鋼重を削減できる。
図16に示すように、補強板33の菱形の鋭角点において、鋭角ライン(長さcの部分)を曲線部(幅dの部分)に置換したとき、トータル溶接長は短くなる。但し、引張荷重(P)に対して、各溶接部に働く分力が異なり、溶接部に発生する応力が部位毎に異なってくるため、溶接部位の設定位置(荷重作用方向に対する溶接ラインの角度)によっては、トータル抵抗力を同等以上にすることができる。
図17に示すように、隅肉溶接部に対して任意の方向の引張荷重Pに対する分力は以下のようになる。
x方向分力:T=Psinθ
y方向分力:Ncosα=Pcosθ・cosα
z方向分力:Nsinα=Pcosθ・sinα
隅肉溶接ののど厚をa、溶接長をeとしたとき、のど断面に働く応力は以下のようになる。
x方向応力:τ=(P/ae)sinθ
y方向応力:τ=(P/ae)cosθ・cosα
z方向応力:σ=(P/ae)cosθ・sinα
せん断ひずみエネルギー説をベースに、単純せん断の破壊応力が単純引張の破壊応力の0.75倍となる実験結果から、隅肉溶接部で破壊が起こるときの条件として、各方向の応力の成分和の関係式として一般的に以下の式が示されている。
Figure 2021014703
よって、荷重Pに対して、ある方向の溶接断面に発生する応力pは以下のようになる。
Figure 2021014703
菱形の鋭角ラインの抵抗力Rは、鋭角ラインにおけるのど厚をaとし、α=45°を上式に代入すると以下のように求められる。
Figure 2021014703
曲線部における抵抗力Rは、曲線部におけるのど厚をaとし、引張荷重に対して直交する縦継ラインと平行な部分へ投影して近似すると、以下のように求められる。
=0.85σ・a×d
ここで、R≧Rであれば、鋭角ラインを曲線部に置換しても、隅肉溶接部における引張荷重Pに対する抵抗力が縮小することなく、合計の溶接長を削減できる。鋭角ラインと曲線部の関係として、
2C・cosθ=dが成り立つことから、以下の式を満足させることが条件となる。
Figure 2021014703
曲線ラインの曲率としては、菱形の直線と曲線が交わる接点において、菱形の直線が曲線の接線となる曲率より緩やかにすることで応力の流れを円滑にすることができる。
例えば、曲線部におけるのど厚を10mm、鋭角ラインにおけるのど厚を6mmとした場合、図18に示すように、菱形外周傾き角度として57°以下に抑えると、鋭角ラインから曲線部にしても全体引張力に対する抵抗力を確保できる。
第6変形例の補強板33のように、鋭角部をなだらかな曲線状にして応力集中を避けることも可能であるが、図19に示すように、第7変形例の補強板34の全体を楕円形にして鋭角点をなくしてもいい。曲線状にして溶接長が短くなってしまう一方で溶接脚長を増やさない場合は、溶接量が不足するため、図15および図19に示すように、補強板33または補強板34にそれぞれ厚さ方向に貫通する円形状の穴33a,34aを設けることで、溶接個所を増やしてもよい。
この場合、穴33a,34aの縁に沿った溶接長に補強板33または補強板34の外周溶接長を加えた全体溶接長が、前記補強板30の外周溶接長以上とする。
第6変形例の補強板33では、その鋭角部が滑らかな曲面によって形成されているため、その分だけ鋭角部を有する菱形補強板に比して外周溶接長が短くなる場合に、補強板33に設けられた穴33aの縁に沿って溶接することによって、穴33aの縁に沿った溶接長に補強板33の外周溶接長を加えた全体溶接長が、補強板30の外周溶接長以上となるように補強板33を鋼矢板本体11のアーム部15に溶接することによって、溶接量を確保し必要耐力を確保できる。
また、菱形の補強板の鋭角部が滑らかな曲面によって形成されている補強板において、菱形形状の鋼矢板材軸方向両端部の鋭角部をなだらかな曲線状にした場合、縦継ラインに対する菱形外周傾き角度(θ)として上述した式(1)を満足するようにすると、隅肉溶接部のせん断強度を確保しつつ、補強板の外周長を短くでき鋼重を削減できる。
図20(a)〜(e)は、第8〜第12変形例の補強板をそれぞれ示す正面図である。
このような第8〜第12変形例における補強板35〜39でも上述した(1)〜(4)の条件を全て満たすとともに、補強板35〜39がそれぞれ上下の鋼矢板本体11,11のアーム部15,15にその縦継ライン16を跨ぐようにして外周を隅肉溶接によって接合されている。
また、第8〜第12変形例における補強板35〜39では、補強板30の外周ラインから内側への切欠き部を設けることで、補強板35〜39のそれぞれの全体の外周長の合計として、補強板30、1枚の外周長以上の長さを確保しつつ、菱形よりも断面積を縮小させ鋼材重量を削減することが可能となり、材料費の削減、作業効率の向上、施工速度の向上をもたらすことができる。
また、第11変形例の補強板38では、補強板38に厚さ方向に貫通する円形状の穴38a,38aが設けられ、当該穴38a,38aの縁に沿った溶接長に外周溶接長を加えた全体溶接長が、補強板30の外周溶接長以上となっている。
このように補強板38の内部に穴38a,38aを設けることで、補強板38の重量を削減している。この穴38a,38aは運搬時の把持部として利用できるほか、外周溶接だけでは溶接量が不足する場合に、穴38a,38aに沿って溶接を施すことで溶接量を確保し必要耐力を確保できる。
また、第12変形例の補強板39では、補強板39の軽量化を図るために、三角形状の2つの穴39a,39aを設けている。この2つの穴39a,39aは2等辺三角形状に形成され、その頂角に対向する辺どうしを合致させることで、外形の菱形と相似形の菱形形状を形成するようになっている。
第11および第12変形例の補強板38,39、穴38a,38aや穴39a,39aを設ける位置としては、補強板38,39の縦継ライン16での引張強度を確保するために、縦継ライン16を挟んで両側に位置する穴38a,38a間や穴39a,39a間のせん断強度を確保すべく、縦継ライン16から穴,38a,39aの縁までの距離fを、補強板38,39の幅の0.87倍以上確保する。補強板38,39において、縦継ライン16を挟んで両側の穴38a,38a間や穴39a,39a間でせん断破壊面が2面形成されることを想定すると、当該せん断強度が、縦継ライン16の引張強度以上となるためには、以下の式を満足することが必要となる。
Figure 2021014703
これを式変形すると以下のようになる。
Figure 2021014703
また、第8〜第10変形例において、菱形外周ラインから内側への切欠き部を設ける場合も、縦継ライン16から切欠き部の最近傍点までの距離として、上式による距離を確保することが好ましい。
なお、本実施形態は、本発明をハット形鋼矢板10,10を縦継ぎする縦継構造に適用した場合を例にとって説明したが、本発明はハット形鋼矢板10,10の他に、他の実施形態として、図21に示すようなU形鋼矢板40および図22に示すようなZ形鋼矢板50を縦継ぎする縦継構造にも適用できる。
U形鋼矢板40は、図21に示すように、鋼矢板本体41とその幅方向の両側端部に形成された継手部42,42とを備え、鋼矢板本体41は、ウェブ43とその両側端部に形成されたフランジ部44とを有している。
このようなU形鋼矢板40を縦継ぎする場合、鋼矢板本体41のフランジ部44に補強板20を取り付ける。補強板20はフランジ部44の先端部、つまり継手部42の近傍に取り付けるのが好ましい。また、補強板20はフランジ部44の外側を向く外側面、内側を向く内側面または外側面と内側面の双方に取り付ければよい。
また、このような補強板20に代えて、上述したような補強板26〜28,30〜39や、これらの補強板に板材21や補助部材25を付加して取り付けてもよい。
Z形鋼矢板50は、図22に示すように、鋼矢板本体51とその幅方向の両側端部に形成された継手部52,52とを備えたものであり、鋼矢板本体51は、斜めに配置されたウェブ53と、その両側端部に形成されたフランジ部54,54とを有している。
このようなZ形鋼矢板50を縦継ぎする場合、鋼矢板本体51のフランジ部54に補強板20を取り付ける。補強板20はフランジ部54の先端部、つまり継手部52の近傍に取り付けるのが好ましい。また、補強板20はフランジ部54のウェブ側を向く面、ウェブ側と逆側を向く面または双方の面に取り付ければよい。
また、このような補強板20に代えて、上述したような補強板26〜28,30〜39や、これらの補強板に板材21や補助部材25を付加して取り付けてもよい。
10,40,50 鋼矢板
11,41,51 鋼矢板本体
12,42,52 継手部
13,43,53 ウェブ
14,44,54 フランジ
15 アーム部
16 縦継ライン
20,26,27,28,30〜39 補強板
21 板材
25 補助部材
na 中立軸

Claims (7)

  1. 鋼矢板本体および継手部を有する鋼矢板どうしを材軸方向に連結する鋼矢板の縦継構造であって、
    前記鋼矢板本体どうしの少なくとも一部が全断面溶接によって接合され、前記継手部どうしは溶接されておらず、
    前記鋼矢板どうしに、それらの縦継ラインを跨ぐようにして補強板が溶接され、
    前記補強板は、以下の(1)〜(3)の条件を全て満たすことを特徴とする鋼矢板の縦継構造。
    (1)前記補強板は、前記鋼矢板本体の幅方向中央部のウェブ以外の鋼矢板部位に取り付けられていること。
    (2)前記縦継ラインにおける断面の前記補強板の合計断面積が、前記鋼矢板どうしが全断面溶接されていない、前記鋼矢板の断面欠損部の合計断面積以上であること。
    (3)前記鋼矢板の鋼矢板断面の中立軸に対して、前記縦継ラインにおける断面の前記補強板の合計断面2次モーメントが、前記断面欠損部の合計断面2次モーメント以上であること。
  2. 前記鋼矢板が、ウェブ、当該ウェブの両側端部に形成された一対のフランジ部、および当該一対のフランジ部のそれぞれの外側の側端部に形成された一対のアーム部を有する前記鋼矢板本体と、前記一対のアーム部のそれぞれの外側の側端部に形成された一対の前記継手部とを備えたハット形鋼矢板であり、
    前記補強板は前記アーム部のみに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の鋼矢板の縦継構造。
  3. 前記補強板は、前記アーム部の両面のうち、少なくとも、前記中立軸から遠い側の面に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の鋼矢板の縦継構造。
  4. 前記補強板は、前記アーム部の両面に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の鋼矢板の縦継構造。
  5. 前記補強板の、前記継手部側の板厚が、前記継手部と反対側の板厚より厚いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼矢板の縦継構造。
  6. 前記補強板の板厚は、前記継手部に近づくに従って厚くなることを特徴とする請求項5に記載の鋼矢板の縦継構造。
  7. 前記継手部どうしに、それらの縦継ラインを跨ぐようにして補助部材が固定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋼矢板の縦継構造。
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