JP2008106582A - 開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造、開口を有する鉄筋コンクリート梁の製造方法、梁構造 - Google Patents

開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造、開口を有する鉄筋コンクリート梁の製造方法、梁構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2008106582A
JP2008106582A JP2006292836A JP2006292836A JP2008106582A JP 2008106582 A JP2008106582 A JP 2008106582A JP 2006292836 A JP2006292836 A JP 2006292836A JP 2006292836 A JP2006292836 A JP 2006292836A JP 2008106582 A JP2008106582 A JP 2008106582A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
opening
reinforced concrete
reinforcing
concrete beam
bars
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006292836A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4893233B2 (ja
Inventor
Kenji Yonezawa
健次 米澤
Kazuaki Tsuda
和明 津田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Obayashi Corp filed Critical Obayashi Corp
Priority to JP2006292836A priority Critical patent/JP4893233B2/ja
Publication of JP2008106582A publication Critical patent/JP2008106582A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4893233B2 publication Critical patent/JP4893233B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】鉄筋コンクリート梁の開口の補強を、配筋作業が複雑になることなく、また、手間のかかることなく行うことのできる補強構造を提供する。
【解決手段】鉄筋コンクリート梁20の開口12の補強構造10は、開口12の内側に嵌挿された円筒状の開口補強部材11と、鉄筋コンクリート梁20の少なくとも幅方向両端の梁主筋16を含む梁主筋16に沿うように屈曲した屈曲部が設けられ、開口補強部材11の外周面に接合された第1の補強筋13と、複数の第1の補強筋16と一部が重なり合い、かつ複数の梁主筋16を跨ぐように設けられた第2の補強筋14と、で構成されるせん断補強筋15と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造及び製造方法に関する。
鉄筋コンクリート造の建物を構築する際に、設備配管等を設置するため、鉄筋コンクリート梁を貫通するように開口を設けることがある。しかし、鉄筋コンクリート梁に開口を設けると、開口周辺のコンクリートに局所的な応力が作用し、鉄筋コンクリート梁の強度が低下してしまうため、鉄筋コンクリート梁に開口を設ける際には、開口の径は一般には梁せいの1/3以下と制限されている。このため、梁部材に大開口を設ける必要がある、設備機器を集中管理するオフィスビルなどには、鉄筋コンクリート構造を用いることは難しかった。
そこで、鉄筋コンクリート梁の強度を確保しつつ、開口を設ける方法として、例えば特許文献1には、鉄筋コンクリート梁を貫通するように鋼管を設け、この鋼管の両端付近にリング状の鉄板を固着し、このリング状の鉄板にせん断補強筋を固着した鉄筋コンクリート梁の開口補強構造が記載されている。
特開平6―193196号公報
しかしながら、この開口補強構造を用いて大きな径を有する開口を設けようとすると、施工の際には、リング状の鉄板が障害となるため、梁主筋の配筋作業に手間がかかってしまう。また、リング状の鉄板を避けて配筋の設計をしなければならず、例えば梁主筋を2段配筋できないなど、設計の自由度が損なわれる。また、リング状の鉄板を設けるので、鋼材の使用量が増え、経済性が損なわれる。
そこで、発明者らは、例えば、図12に示すように、鉄筋コンクリート梁115の開口112の内側に嵌挿された鋼管111と、長方形状に形成され、鋼管111の外周面に溶接されたせん断補強筋113とからなる鉄筋コンクリート梁115の補強構造100を提案している(特願2005−350430号参照)。
しかしながら、上記の方法では、配筋作業を行う際に予めせん断補強筋113に梁主筋114を挿入しておかなければならず、配筋作業を行いづらくなることがある。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、経済性良く、かつ、作業性良く設けることができる鉄筋コンクリート梁の開口の補強構造を提供することを目的とする。
本発明の開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造は、前記開口の内側に嵌挿された円筒状の開口補強部材と、前記鉄筋コンクリート梁の少なくとも幅方向両端の梁主筋を含む複数の梁主筋の外周に夫々沿うように屈曲した屈曲部が設けられ、前記開口補強部材の外周面に接合された複数の第1の補強筋と、前記複数の第1の補強筋と一部が重なり合い、かつ前記複数の梁主筋を跨ぐように設けられた第2の補強筋と、で構成されるせん断補強筋と、を備えることを特徴とする。
上記の鉄筋コンクリート梁の補強構造において、前記開口補強部材は、前記開口の軸方向に複数に分割された鋼管からなるものであってもよい。
また、本発明の開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造は、開口を有する鉄筋コンクリート梁を補強する構造であって、前記開口の内側に嵌挿され、軸方向に複数に分割された鋼管からなる円筒状の開口補強部材と、前記開口補強部材の外周面に夫々接合され、前記鉄筋コンクリート梁の幅方向両端の梁主筋の外周に沿って略直角に屈曲し、先端同士が継手された一対の補強筋からなるせん断補強筋と、を備えることを特徴とする。
上記の鉄筋コンクリート梁の補強構造において、前記せん断補強筋は、前記開口補強部材表面に対して、ほぼ垂直となるように接合されていてもよい。また、前記開口の径が鉄筋コンクリート梁の梁せいの1/3以上、かつ、梁せいより、前記鉄筋コンクリート梁の上下のかぶり厚と、せん断補強筋の径と、主筋の径と、の合計を減じた値以下であってもよい。
また、本発明の開口を有する鉄筋コンクリート梁を製造方法は、前記鉄筋コンクリート梁の少なくとも幅方向両端の梁主筋を含む複数の梁主筋の外周に夫々沿うように屈曲した屈曲部が設けられた第1の補強筋が外周面に接合された円筒状の開口補強部材を前記開口の内側部分に設置し、前記複数の第1の補強筋と一部が重なり合い、かつ前記梁主筋を跨ぐように第2の補強筋を設け、前記鉄筋コンクリート梁を構成するコンクリートを打設することを特徴とする。
また、本発明の開口を有する鉄筋コンクリート梁の製造方法は、前記鉄筋コンクリート梁の幅方向両端の梁主筋の外周に沿って略直角に屈曲する一対の補強筋が外周面に接合され、前記開口の内側部分に軸方向に複数に分割された鋼管からなる円筒状の開口補強部材を設置し、前記一対の補強筋の先端同士を継手し、前記鉄筋コンクリート梁を構成するコンクリートを打設することを特徴とする。
また、本発明は、上記の製造方法により製造された鉄筋コンクリート梁を含む梁構造を含むものとする。
本発明によれば、鋼材の使用量を減らすことができるため、コストを削減できる。また、梁主筋を配筋した状態であっても、せん断補強筋の接続された鋼管を配置することができるため、配筋作業が容易になり、施工性を向上することができる。
<第1実施形態>
以下、本発明の開口の補強構造の一実施形態について図面に基づき説明する。
図1(A)は、本実施形態の補強構造10が適用された鉄筋コンクリート梁20の長手方向断面図であり、同図(B)は、(A)におけるA−A´断面の鉛直断面図である。同図に示すように鉄筋コンクリート梁20は幅方向に貫通する開口12を有しており、この開口12を利用して設備配管などが行われる。
図1に示すように、鉄筋コンクリート梁20の開口12以外の部分は、通常の鉄筋コンクリート梁と同様に、梁主筋16と、梁主筋16を囲むように配設されたせん断補強筋17とを備えている。本実施形態の開口12の補強構造10は、開口12に嵌挿された開口補強部材11と、開口補強部材11の外周面に上下方向に延びるように接合されたせん断補強筋15とで構成される。
開口補強部材11は、軸方向に接合された一対の鋼管11A、11Bからなる。一対の鋼管11A、11Bは、端面同士が当接している。なお、鋼管11A、11Bの当接部分を接着剤又は溶接により接合してもよい。
せん断補強筋15は、開口補強部材11の表面に接合された第1の補強筋13と、梁の幅方向両端の梁主筋16に跨るように設けられた第2の補強筋14とで構成される。第1の補強筋13は、一端は鋼管11A,11Bの外周面に溶接接合されており、他端には梁主筋16の外周に沿って引っ掛けられるように屈曲した屈曲部が設けられており、この屈曲部において梁主筋16と係合するように配置されている。また、第2の補強筋14の一端(図1(B)では、左端)には約90度屈曲された屈曲部が、他端(図1(B)では、右端)には、約135度屈曲された屈曲部が形成され、第2の補強筋14は、これらの屈曲部において梁主筋16と係合するように配置されている。なお、図1(B)の例では、第1の補強筋13を全ての梁主筋16に対応して設けているが、これに限らず、少なくとも梁の幅方向両端の梁主筋16を含む複数の梁主筋16に対応して設ければよい。
かかる構成により、第1の補強筋13と第2の補強筋14とが重なり合う部分において重ね継手が構成されるため、第1の補強筋13と第2の補強筋14との間で応力の伝達が可能となり、第1の補強筋13及び第2の補強筋14は長方形状に形成されたせん断補強筋と同様に機能することができる。
一般に、鉄筋コンクリート梁に開口を設けると、内部荷重の流れが変化し、開口の周辺の内部応力が局所的に高くなる。このため、開口の周辺より破壊を生じてしまい、鉄筋コンクリート梁の強度が低下してしまう。かかる理由により、鉄筋コンクリート梁には大開口を設けることができず、鉄筋コンクリート梁に開口を設ける場合には、開口の径が梁せいの1/3以下となるように制限されていた。
これに対して、本実施形態の補強構造10によれば、開口12の内側に開口補強部材11が嵌挿されているため、無開口の場合に鉄筋コンクリート梁の開口12に相当する部分のコンクリート部材が負担する圧縮荷重を開口補強部材11が負担する。これにより、開口12を設けることによる応力分布の変化を抑えることができるため、開口12の周辺のコンクリートに局所的に大きな圧縮応力が作用することを抑止できる。
また、上述のように鋼管に接続された第1の補強筋13と、第2の補強筋14とが重ね継手を構成するため、せん断補強筋15として一体となって機能する。せん断補強筋15を構成する第1の補強筋13が開口補強部材11に溶接されているため、上下のせん断補強筋15に作用する応力がお互いに伝達され、上下のせん断補強筋15が一体となり、せん断力に抵抗する。さらに、開口12の周辺のコンクリート部材に亀裂が入っても、せん断補強筋15によりコンクリート部材が欠落することを防止する。
これにより、開口12を設けることによる鉄筋コンクリート梁20の強度の低下を抑えることができ、鉄筋コンクリート梁20に、鉄筋コンクリート梁20の梁せいの1/3以上、かつ、梁せいより、鉄筋コンクリート梁20の上下のかぶり厚と、せん断補強筋15の径(すなわち、第2の補強筋14の径)と、梁主筋16の径との合計を減じた値以下の径の開口12を設けることが可能になる。
なお、本実施形態では、開口補強部材11を端面同士が当接するように設置された複数の鋼管11A,11Bから構成されるものとしているが、鉄筋コンクリート梁20には作用する荷重は、主に面内方向に作用する荷重であるため、このように開口補強部材11を端面同士が当接するように設置された複数の鋼管11A,11Bにより構成しても、強度が低下してしまうことはない。
以下、本実施形態の補強構造10を有する鉄筋コンクリート梁20の構築方法について説明する。
図2は、本実施形態の補強構造10を有する鉄筋コンクリート梁20の構築方法を説明するための図である。まず、同図(A)に示すように、通常の鉄筋コンクリート梁を構築する場合と同様に梁主筋16を配筋する。
次に、同図(A)〜(B)に示すように、第1の補強筋13が外周面に接合された鋼管11A,11Bを、開口12に相当する位置に、端面同士が当接するように梁側面方向より設置する。
次に、同図(C)に示すように、鉄筋コンクリート梁の上下より第2の補強筋14を、両端の梁主筋16を跨ぐように設置する。
次に、型枠を配置し、鉄筋コンクリート梁20を構成するコンクリートを打設する。
以上の工程により補強構造10を有する鉄筋コンクリート梁20を構築することができる。
本実施形態の開口補強構造によれば、以下の効果が得られる。
鉄筋コンクリート梁20の強度を低下させることなく、径が梁せいの1/3以上の大開口12を設けることができる。また、特許文献1記載の開口補強構造に比べて鋼材の使用量が少ないため、コストを削減することができる。さらに、補強構造10は、従来の開口補強構造に比べてコンパクトであるため、設計の自由度が向上する。
また、せん断補強筋15を第1の補強筋13及び第2の補強筋14からなる構成としたため、予め梁主筋16が配筋されていても、第1の補強筋13が溶接接合された鋼管11A、11Bを設置することができる。このため、配筋作業の作業性を損なうことなく施工できる。また、開口補強部材11を2つの鋼管11A,11Bに分割した構成としたため、各鋼管11A、11Bを軽量化することができ、これにより揚重装置を用いることなく、容易に開口補強部材11を配置することができる。
なお、本実施形態では、開口補強部材11が2つの鋼管11A、11Bに分割される構成としたが、これに限らず、3つ以上に分割される構成としてもよい。ただし、本発明は開口補強部材11が分割される場合に限らず、一の鋼管からなる構成としてもよい。
<第2実施形態>
本発明の鉄筋コンクリート梁の開口の補強構造は、上記の実施形態に限らない。図3は、第2実施形態の補強構造30を示す図である。同図に示すように、本実施形態の開口の補強構造30は、端面同士が当接するように設置された一対の鋼管11A,11Bからなる円筒状の開口補強部材11と、鋼管11A、11Bに接合された一対の補強筋21A,21Bからなるせん断補強筋21とで構成される。補強筋21A,21Bは、一端が鋼管11A,11Bの外周面に接合され、夫々、梁の幅方向両端の梁主筋16の外周に沿って、約90°屈曲されており、補強筋21A,21B同士の先端が互いに重なり合うことにより重ね継手を形成している。なお、この補強筋21A,21Bはフレアー溶接により溶接接合してもよい。
上記の補強構造30は、以下のようにして構築することができる。図4は、本実施形態の補強構造30を構築する方法を説明するための図である。
まず、同図(A)に示すように、通常の鉄筋コンクリート梁を構築する場合と同様に、鉄筋コンクリート梁40を構成する梁主筋16を配筋する。
次に、同図(B)に示すように、予め補強筋21A,21Bが接合された鋼管11A,11Bを端面同士が当接するように開口12に相当する位置に梁の側面方向より設置する。
次に、型枠を配置し、鉄筋コンクリート梁を構成するコンクリートを打設する。
以上の工程により開口の補強構造を有する鉄筋コンクリート梁40を構築することができる。
本実施形態の補強構造30によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態では、補強筋21A,21B同士を重ね継手により継手しているが、これに限らず、溶接継手などを用いることもでき、要するに、補強筋21A,21Bの間で応力伝達が行われ、一体となってせん断補強筋21として機能すればよい。
なお、上記説明した実施形態では、開口補強部材11が2つの鋼管11A、11Bに分割される構成としたが、これに限らず、3つ以上に分割される構成としてもよい。
また、上記の各実施形態では、せん断補強筋15、21を構成する補強筋(第1実施形態では第1の補強筋13、第2実施形態では一対の補強筋21A,21B)を鉛直方向に鋼管11A,11Bに接続する構成としたが、これに限らず、図5に示すように、鋼管11A,11Bの外周面に対して略垂直となるように溶接接合する構成としてもよい。係る構成によれば、以下の効果も得られる。
すなわち、せん断補強筋を鉛直方向に接合する場合には、鋼管が円筒状であるため、鋼管外周面に対してせん断補強筋を傾けた状態で溶接接合しなければならない。しかしながら、このように溶接面に対して斜めに傾斜するようにせん断補強筋を接合する場合には、溶接部の性能確認を目視で行うことができず、性能確認のため、別途、UT検査などを行う必要がある。
これに対して、図5に示すように、鋼管外周面に対してほぼ垂直となるように溶接接合することにより、目視による検査基準を用いることができ、手間とコストを削減することができる。
次に、鉄筋コンクリート梁に本発明の開口補強構造を設けることで、開口を設けることによる鉄筋コンクリート梁の強度の低下を抑止できることを、有限要素法を用いた数値解析により確認したので、以下説明する。
本検討では、試験体として一般的な鉄筋コンクリート梁の1/2の縮小モデルを用いた。なお、実物大の試験体を用いて解析を行った場合に比べて、せん断強度等は1/4倍になる。試験体は、断面形状:300×425mm(実物大では600×850mm)、内法スパン:1700mm(実物大では3400mm)、開口径:236mm(実物大では472mm)(梁せいの1/1.8)、鋼管の厚さ:16mm(実物大では32mm)、鋼管の降伏応力:330MPa(鋼種SM490に相当)、梁主筋:3−D25、梁主筋降伏応力:540MPa(鋼種SD490に相当)、せん断補強筋:D6、せん断補強筋降伏応力:325MPa(鋼種SD295に相当)、コンクリート強度:42N/mmとした。
本検討では、開口及び開口補強構造を設けていない試験体(試験体NO.1)、試験体の中央に開口及び開口補強構造を設けた試験体(試験体NO.2)、試験体の中央に開口を設け、開口補強構造を設けていない試験体(試験体NO.3)を用い、各試験体に正負交互に変化するせん断荷重を作用させて、荷重−変位曲線及び載荷後の破壊状況について調べた。
図6〜図8は、各試験体の載荷後の破損状況を示す図であり、夫々、試験体NO.1〜NO.3を示す。図6と図8を比較するとわかるように、試験体NO.1は、試験体全体にひび割れが分布しているが試験体NO.3は、開口12の周囲にひび割れが分布している。これは、無開口である試験体NO.1には、局所的な応力の集中が生じないが、開口12を有する試験体NO.3では、コンクリート部材の内部応力の流れが変化し、開口12の周囲の部分に作用する応力が増大しているためである。
しかし、図6に示すように、試験体NO.2は、開口の周辺にひび割れが集中せず、試験体全体にひび割れが分布している。このことから、開口補強構造を設けることにより応力の流れの変化が抑止され、開口の周囲の応力集中を抑えられることが確認できる。
また、図9〜図11は、各試験体の荷重―変形関係を示すグラフであり、図9〜図11は、夫々、試験体NO.1〜NO.3を示す。図9と図11を比較すると、試験体NO.1の最大せん断力は290kN程度であるが、試験体NO.3の最大せん断力は170kN程度と、無開口の場合の靭性設計指針に基づき算出したせん断耐力に比べて非常に小さい。このことから、鉄筋コンクリート梁に開口を設けると、開口の周辺より破壊が生じてしまうため、鉄筋コンクリート梁の強度が低下することがわかる。
これに対し、図10に示すように、試験体NO.2の最大せん断耐力は、試験体NO.1の最大せん断耐力と略等しく、また、無開口の場合(試験体NO.1)の靭性設計指針に基づき算出したせん断耐力を超えている。このことから、開口補強構造により開口12の周囲への応力の集中を抑え、鉄筋コンクリート梁の強度の低下を抑止し、無開口の鉄筋コンクリート梁と同等の強度を確保できることがわかる。
以上説明したように、本検討により、開口12を有する鉄筋コンクリート梁に本発明の開口補強構造を設けることで、開口が形成されていない鉄筋コンクリート梁と同程度の強度を持つことが確認された。
(A)は、本実施形態の補強構造が適用された鉄筋コンクリート梁の長手方向断面図であり、同図(B)は、(A)におけるA−A´断面の鉛直断面図である。 本実施形態の開口の補強構造の構築方法を説明するための図である。 本発明の補強構造の別の実施形態を示す図である。 本実施形態の補強構造を構築する方法を説明するための図である。 せん断補強筋を鋼管外周面に対して垂直に溶接接合した補強構造を示す図である。 試験体NO.1の試験体の載荷後の破損状況を示す図である。 試験体NO.2の試験体の載荷後の破損状況を示す図である。 試験体NO.3の試験体の載荷後の破損状況を示す図である。 試験体NO.1の荷重―変形関係を示すグラフである。 試験体NO.2の荷重―変形関係を示すグラフである。 試験体NO.3の荷重―変形関係を示すグラフである。 従来の開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造を示す図である。
符号の説明
10、30 補強構造
11 開口補強部材
11A、11B 鋼管
12 開口
13 第1の補強筋
14 第2の補強筋
15、17、21 せん断補強筋
16 梁主筋
20、40 鉄筋コンクリート梁
21A,21B 補強筋

Claims (8)

  1. 開口を有する鉄筋コンクリート梁を補強する構造であって、
    前記開口の内側に嵌挿された円筒状の開口補強部材と、
    前記鉄筋コンクリート梁の少なくとも幅方向両端の梁主筋を含む複数の梁主筋の外周に夫々沿うように屈曲した屈曲部が設けられ、前記開口補強部材の外周面に接合された複数の第1の補強筋と、前記複数の第1の補強筋と一部が重なり合い、かつ前記複数の梁主筋を跨ぐように設けられた第2の補強筋と、で構成されるせん断補強筋と、
    を備えることを特徴とする開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造。
  2. 前記開口補強部材は、前記開口の軸方向に複数の分割された鋼管からなることを特徴とする請求項1記載の開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造。
  3. 開口を有する鉄筋コンクリート梁を補強する構造であって、
    前記開口の内側に嵌挿され、軸方向に複数に分割された鋼管からなる円筒状の開口補強部材と、
    前記開口補強部材の外周面に夫々接合され、前記鉄筋コンクリート梁の幅方向両端の梁主筋の外周に沿って略直角に屈曲し、先端同士が継手された一対の補強筋からなるせん断補強筋と、を備えることを特徴とする開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造。
  4. 前記せん断補強筋は、前記開口補強部材表面に対して、ほぼ垂直となるように接合されていることを特徴とする請求項1から3何れかに記載の開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造。
  5. 前記開口の径が鉄筋コンクリート梁の梁せいの1/3以上、かつ、梁せいより、前記鉄筋コンクリート梁の上下のかぶり厚と、せん断補強筋の径と、梁主筋の径と、の合計を減じた値以下であることを特徴とする請求項1から4何れかに記載の開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造。
  6. 開口を有する鉄筋コンクリート梁の製造方法であって、
    前記鉄筋コンクリート梁の少なくとも幅方向両端の梁主筋を含む複数の梁主筋の外周に夫々沿うように屈曲した屈曲部が設けられた第1の補強筋が外周面に接合された円筒状の開口補強部材を前記開口の内側部分に設置し、
    前記複数の第1の補強筋と一部が重なり合い、かつ前記梁主筋を跨ぐように第2の補強筋を設け、
    前記鉄筋コンクリート梁を構成するコンクリートを打設することを特徴とする開口を有する鉄筋コンクリート梁の製造方法。
  7. 開口を有する鉄筋コンクリート梁の製造方法であって、
    前記鉄筋コンクリート梁の幅方向両端の梁主筋の外周に沿って略直角に屈曲する一対の補強筋が外周面に接合され、前記開口の内側部分に軸方向に複数に分割された鋼管からなる円筒状の開口補強部材を設置し、
    前記一対の補強筋の先端同士を継手し、
    前記鉄筋コンクリート梁を構成するコンクリートを打設することを特徴とする開口を有する鉄筋コンクリート梁の製造方法。
  8. 請求項6又は7記載の製造方法により製造された鉄筋コンクリート梁を含む梁構造。
JP2006292836A 2006-10-27 2006-10-27 開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造、開口を有する鉄筋コンクリート梁の製造方法、梁構造 Active JP4893233B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006292836A JP4893233B2 (ja) 2006-10-27 2006-10-27 開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造、開口を有する鉄筋コンクリート梁の製造方法、梁構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006292836A JP4893233B2 (ja) 2006-10-27 2006-10-27 開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造、開口を有する鉄筋コンクリート梁の製造方法、梁構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008106582A true JP2008106582A (ja) 2008-05-08
JP4893233B2 JP4893233B2 (ja) 2012-03-07

Family

ID=39440176

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006292836A Active JP4893233B2 (ja) 2006-10-27 2006-10-27 開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造、開口を有する鉄筋コンクリート梁の製造方法、梁構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4893233B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010275720A (ja) * 2009-05-26 2010-12-09 Okabe Co Ltd 梁貫通孔周囲の補強装置及び梁構造
JP2010275719A (ja) * 2009-05-26 2010-12-09 Okabe Co Ltd 梁貫通孔周囲の補強装置及び梁構造
JP2011017123A (ja) * 2009-07-07 2011-01-27 Hazama Corp 開口を有する鉄筋コンクリート梁における開口回り補強部材、並びにこれを用いた補強構造及び方法
JP2011137335A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Okabe Co Ltd 梁貫通孔補強装置及び梁構造
JP2019138136A (ja) * 2018-02-06 2019-08-22 東急建設株式会社 鉄筋コンクリート梁の構造
CN111910834A (zh) * 2018-03-12 2020-11-10 中国地震局工程力学研究所 一种长纵筋弯起的新型框架结构梁端配筋构造的设计方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0762793A (ja) * 1993-08-31 1995-03-07 Ohbayashi Corp コンクリート構造体の貫通孔補強金物
JPH07207837A (ja) * 1993-11-30 1995-08-08 Ota Kizai Kk 鉄筋コンクリート有孔梁用の貫通孔上下部補強金物
JP2006183311A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Hisahiro Hiraishi 鉄筋コンクリート梁における開口部回りの補強構造

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0762793A (ja) * 1993-08-31 1995-03-07 Ohbayashi Corp コンクリート構造体の貫通孔補強金物
JPH07207837A (ja) * 1993-11-30 1995-08-08 Ota Kizai Kk 鉄筋コンクリート有孔梁用の貫通孔上下部補強金物
JP2006183311A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Hisahiro Hiraishi 鉄筋コンクリート梁における開口部回りの補強構造

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010275720A (ja) * 2009-05-26 2010-12-09 Okabe Co Ltd 梁貫通孔周囲の補強装置及び梁構造
JP2010275719A (ja) * 2009-05-26 2010-12-09 Okabe Co Ltd 梁貫通孔周囲の補強装置及び梁構造
JP2011017123A (ja) * 2009-07-07 2011-01-27 Hazama Corp 開口を有する鉄筋コンクリート梁における開口回り補強部材、並びにこれを用いた補強構造及び方法
JP2011137335A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Okabe Co Ltd 梁貫通孔補強装置及び梁構造
JP2019138136A (ja) * 2018-02-06 2019-08-22 東急建設株式会社 鉄筋コンクリート梁の構造
CN111910834A (zh) * 2018-03-12 2020-11-10 中国地震局工程力学研究所 一种长纵筋弯起的新型框架结构梁端配筋构造的设计方法
CN111910834B (zh) * 2018-03-12 2021-09-24 中国地震局工程力学研究所 一种长纵筋弯起的框架结构梁端配筋构造的设计方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4893233B2 (ja) 2012-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4893233B2 (ja) 開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造、開口を有する鉄筋コンクリート梁の製造方法、梁構造
KR101118608B1 (ko) 파이 트러스 구조
JP6304074B2 (ja) 鋼製部材の溶接接合方法および溶接接合構造
JP6065690B2 (ja) 梁端部の接合構造
JP5577676B2 (ja) 柱と梁の溶接接合構造
JP2006051522A (ja) H型鋼溶接継手構造
JP5358231B2 (ja) 仕口補強構造
JP5597941B2 (ja) 嵌合式鉄骨柱接合部
JP2011094406A (ja) 外ダイアフラム形式の角形鋼管柱
JP4612488B2 (ja) コンクリート杭の接続部構造
JP6128058B2 (ja) 梁端部の接合構造
JP5012039B2 (ja) 開口を有するコンクリート梁の補強構造、開口を有するコンクリート梁の製造方法、梁構造、開口を有するコンクリート梁の開口補強用鋼管
JP4984908B2 (ja) 開口を有するコンクリート梁の補強構造、開口を有するコンクリート梁の製造方法、梁構造、開口補強用鋼管
JP4449788B2 (ja) Rc構造部材のヒンジ継手構造
JP6893799B2 (ja) 切梁火打接続構造および切梁火打接続ピース
JP5982879B2 (ja) 溶接組立h形鋼
JP6996544B2 (ja) 既存構造物の耐震改修方法
JP5558156B2 (ja) H形鋼梁
JP2003321874A (ja) 鋼管柱の連結構造
JP4830472B2 (ja) 開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造、補強方法、梁構造
JP2008121345A (ja) 開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造、開口を有する鉄筋コンクリート梁の製造方法、梁構造
JP7138460B2 (ja) 鉄骨梁の補強方法および鉄骨梁
JP4695790B2 (ja) 柱梁接合構造
JP4457350B2 (ja) Src構造及びその構築方法
JP2007308967A (ja) 鉄骨柱の接合構造および鉄骨柱の接合方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090918

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111003

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111122

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4893233

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106

Year of fee payment: 3