JP4984908B2 - 開口を有するコンクリート梁の補強構造、開口を有するコンクリート梁の製造方法、梁構造、開口補強用鋼管 - Google Patents

開口を有するコンクリート梁の補強構造、開口を有するコンクリート梁の製造方法、梁構造、開口補強用鋼管 Download PDF

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Description

本発明は、開口を有するコンクリート梁の補強構造、開口を有するコンクリート梁の製造方法、梁構造、及び開口補強用鋼管に関する。
鉄筋コンクリート造の建物を構築する際に、設備配管等を設置するため、鉄筋コンクリート梁を貫通するように開口を設けることがある。しかし、鉄筋コンクリート梁に開口を設けると、開口周辺のコンクリートに局所的な応力が作用し、鉄筋コンクリート梁の強度が低下してしまうため、鉄筋コンクリート梁に開口を設ける際には、開口の径は一般には梁せいの1/3以下と制限されている。このため、梁部材に大開口を設ける必要がある、設備機器を集中管理するオフィスビルなどには、鉄筋コンクリート構造を用いることは難しかった。
そこで、鉄筋コンクリート梁の強度を確保しつつ、開口を設ける方法として、例えば特許文献1には、鉄筋コンクリート梁を貫通するように鋼管を設け、この鋼管の両端付近にリング状の鉄板を固着し、このリング状の鉄板にせん断補強筋を固着した鉄筋コンクリート梁の開口補強構造が記載されている。
特開平6―193196号公報
しかしながら、この開口補強構造を用いて大きな径を有する開口を設けようとすると、施工の際には、リング状の鉄板が障害となるため、梁主筋の配筋作業に手間がかかってしまう。また、リング状の鉄板を避けて配筋の設計をしなければならず、例えば梁主筋を2段配筋できないなど、設計の自由度が損なわれる。また、リング状の鉄板を設けるので、鋼材の使用量が増え、経済性が損なわれる。
そこで、発明者らは、例えば、図11に示すように、鉄筋コンクリート梁215の開口212の内側に設置された鋼管211と、鋼管211の外周面に溶接されたせん断補強筋213とからなる開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強構造200を提案している(特願2006−292836号参照)。
しかしながら、この方法では、円筒形の鋼管211の外周面にせん断補強筋213を突き合せ溶接しなければならないが、鉄筋と鋼管の突き合せ溶接は一般的に行われておらず、溶接手法が確立されていない。このため、UT検査や非破壊検査により溶接部の性能確認を行わなければならず、コスト高の原因となっていた。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、コンクリート梁に大開口を設けることができ、かつ、性能確認を容易に行うことのできる開口の補強構造を提供することである。
本発明のコンクリート梁の補強構造は、開口を有する鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートからなるコンクリート梁を補強する構造であって、前記開口の内側に設置された円筒状の開口補強部材と、前記開口補強部材の外周面に沿うように湾曲する湾曲部を備え、前記湾曲部において前記開口補強部材に前記コンクリート梁の長手方向両側より当接し、かつ、前記コンクリート梁の上下の梁主筋を取り囲むように設けられた少なくとも一対の湾曲せん断補強筋と、前記湾曲部の端部において、前記少なくとも一対の湾曲せん断補強筋が互いに離間しないように拘束する拘束筋と、を備えることを特徴とする。
また、本発明のコンクリート梁の補強構造は、開口を有する鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートからなるコンクリート梁を補強する構造であって、前記開口の内側に設置された円筒状の開口補強部材と、前記開口補強部材の外周面に沿うように湾曲する湾曲部を備え、前記湾曲部において前記開口補強部材に前記コンクリート梁の長手方向両側より当接し、かつ、前記コンクリート梁の上下の梁主筋を取り囲むように設けられた少なくとも一対の湾曲せん断補強筋と、を備え、前記湾曲せん断補強筋は、前記湾曲部及び、前記コンクリート梁の少なくとも幅方向両端の梁主筋を含む複数の上下の梁主筋の外周に夫々沿うように屈曲した屈曲部が設けられ、前記開口補強部材の外周面に当接するとともに、上下の梁主筋に亘って設けられた複数の第1の補強筋と、前記複数の第1の補強筋と一部が重なり合い、かつ前記複数の梁主筋を跨ぐように設けられた第2の補強筋と、で構成されることを特徴とする。
上記のコンクリート梁の補強構造において、前記湾曲せん断補強筋は、前記湾曲部の端部より、前記開口補強部材の外周面の接線方向に延びていてもよい
また、前記開口の径が前記コンクリート梁の梁せいの1/3以上、かつ、梁せいより、前記コンクリート梁の上下のかぶり厚と、前記湾曲せん断補強筋の径と、主筋の径と、の合計を減じた値以下であってもよい。
また、本発明のコンクリート梁の製造方法は、開口を有する鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートからなるコンクリート梁の製造方法であって、円筒状の開口補強部材を前記開口の内側部分に配置し、前記開口補強部材の外周面に沿うように湾曲する湾曲部を備えた少なくとも一対の湾曲せん断補強筋を、前記湾曲部において前記開口補強部材に前記コンクリート梁の長手方向両側より当接し、かつ、前記コンクリート梁の上下の梁主筋を取り囲むように配置し、拘束筋を、前記湾曲部の端部に配置して、前記少なくとも一対の湾曲せん断補強筋が互いに離間しないように拘束し、前記コンクリート梁を構成するコンクリートを打設することを特徴とする。
また、本発明のコンクリート梁の製造方法は、開口を有する鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートからなるコンクリート梁の製造方法であって、円筒状の開口補強部材を前記開口の内側部分に配置し、前記開口補強部材の外周面に沿うように湾曲する湾曲部を備えた少なくとも一対の湾曲せん断補強筋を、前記湾曲部において前記開口補強部材に前記コンクリート梁の長手方向両側より当接し、かつ、前記コンクリート梁の上下の梁主筋を取り囲むように配置し、前記湾曲せん断補強筋を、前記湾曲部及び、前記コンクリート梁の少なくとも幅方向両端の梁主筋を含む複数の上下の梁主筋の外周に夫々沿うように屈曲した屈曲部が設けられ、前記開口補強部材の外周面に当接するように、上下の梁主筋に亘って設けられる複数の第1の補強筋と、前記複数の第1の補強筋と一部が重なり合い、かつ前記複数の梁主筋を跨ぐように設けられる第2の補強筋と、で構成することを特徴とする。
また、本発明は、開口を有する鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートからなるコンクリート梁の前記開口を補強するために、前記開口の内側に設置される円筒状の開口補強用の鋼管であって、前記鋼管の外周面に沿うように湾曲する湾曲部を備えた少なくとも一対の湾曲せん断補強筋が、前記湾曲部において前記鋼管の外周面に対向する側より当接し、かつ、前記コンクリート梁の上下の梁主筋を取り囲むように取り付けられ、拘束筋が、前記湾曲部の端部に配置され、前記少なくとも一対の湾曲せん断補強筋が互いに離間しないように拘束していることを特徴とする開口補強用鋼管を含むものとする。
また、本発明は、開口を有する鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートからなるコンクリート梁の前記開口を補強するために、前記開口の内側に設置される円筒状の開口補強用の鋼管であって、前記鋼管の外周面に沿うように湾曲する湾曲部を備えた少なくとも一対の湾曲せん断補強筋が、前記湾曲部において前記鋼管の外周面に対向する側より当接し、かつ、前記コンクリート梁の上下の梁主筋を取り囲むように取り付けられ、前記湾曲せん断補強筋は、前記湾曲部及び、前記コンクリート梁の少なくとも幅方向両端の梁主筋を含む複数の上下の梁主筋の外周に夫々沿うように屈曲した屈曲部が設けられ、前記開口補強部材の外周面に当接するとともに、上下の梁主筋に亘って設けられた複数の第1の補強筋と、前記複数の第1の補強筋と一部が重なり合い、かつ前記複数の梁主筋を跨ぐように設けられた第2の補強筋と、で構成されることを特徴とする開口補強用鋼管を含むものとする。
本発明によれば、開口補強部材に沿うように湾曲した湾曲せん断補強筋を上下の梁主筋に亘って設ける構成としたため、鋼管に鉄筋を突き合せ溶接する必要がない。このため、目視で性能確認を行うことができるので、UT検査や非破壊検査などが不要であるためコストを削減できる。
以下、本発明の開口の補強構造の一実施形態について図面に基づき説明する。
図1(A)は、本実施形態の補強構造10が適用された鉄筋コンクリート梁20の長手方向鉛直断面図であり、同図(B)は、同図(A)におけるA−A´断面図である。同図に示すように鉄筋コンクリート梁20は幅方向に貫通する開口12を有しており、この開口12を利用して設備配管などが行われる。
図1に示すように、鉄筋コンクリート梁20の開口12付近以外の部分は、通常の鉄筋コンクリート梁と同様に梁主筋16と、梁主筋16を囲むように配設されたせん断補強筋17とを備える。本実施形態の開口12の補強構造10は、開口12の内側に設置された鋼管11と、中間部に鋼管11の外周面に沿うように湾曲した湾曲部13Aを備え、湾曲部13Aにおいて鋼管に両側から当接するように配置された一対又は複数対の湾曲せん断補強筋13と、湾曲せん断補強筋13の湾曲部13Aの端部において対となる湾曲せん断補強筋13が互いに離間しないように拘束する拘束筋14と、で構成される。湾曲せん断補強筋13は、湾曲部13Aの両端から略鉛直方向に延び鉄筋コンクリート梁を構成する梁主筋16を取り囲むように形成されている。
このような補強構造10を備えた鉄筋コンクリート梁20は、まず、湾曲せん断補強筋13及び梁主筋16を配筋し、湾曲せん断補強筋13の湾曲部13Aに当接するように鋼管11を配置し、対となる湾曲せん断補強筋13同士が互いに離間しないように拘束筋14を取付け、鉄筋コンクリート梁20を構成するコンクリート15を打設し、打設したコンクリート15を硬化させることにより構築することができる。
一般に、鉄筋コンクリート梁に開口を設けると、内部荷重の流れが変化し、開口の周辺の内部応力が局所的に高くなる。このため、開口の周辺より破壊を生じてしまい、鉄筋コンクリート梁の強度が低下してしまう。かかる理由により、鉄筋コンクリート梁には大開口を設けることができず、鉄筋コンクリート梁に開口を設ける場合には、開口の径が梁せいの1/3以下となるように制限されていた。
これに対して、本実施形態の開口補強構造10によれば、開口12の内側に鋼管11が設置されているため、無開口の場合に鉄筋コンクリート梁の開口12に相当する部分のコンクリート部材が負担する圧縮荷重を鋼管11が負担する。これにより、開口12を設けることによる応力分布の変化を抑えることができるため、開口12の周辺のコンクリートに局所的に大きな圧縮応力が作用することを抑止できる。
また、湾曲せん断補強筋13を、鋼管11に沿って湾曲しながら、鉄筋コンクリート梁20の上下の梁主筋16の間に亘るように配置していることで、湾曲せん断補強筋13に作用する応力が、開口12で中断されることなく、その上部と下部との間で伝達されるため、鉄筋コンクリート梁20に作用するせん断力に抵抗することができる。
さらに、湾曲せん断補強筋13に上下の引張応力が作用すると、対となる湾曲せん断補強筋13には、鋼管11から互いに離間する方向の反力が作用するが、拘束筋14が取り付けられているため、この反力に対して抵抗することができる。
したがって、本実施形態の補強構造10によれば、開口12を設けることによる鉄筋コンクリート梁20の強度の低下を抑えることができ、鉄筋コンクリート梁20に、鉄筋コンクリート梁20の梁せいの1/3以上、かつ、梁せいより、鉄筋コンクリート梁20の上下のかぶり厚と、湾曲せん断補強筋13の径と、梁主筋16の径との合計を減じた値以下の径の開口12を設けることが可能になる。
また、特許文献1記載の開口補強構造に比べて鋼材の使用量が少ないため、コストを削減することができる。さらに、補強構造10は、従来の開口補強構造に比べてコンパクトであるため、設計の自由度が向上する。
また、本実施形態では、図1に示すように、湾曲せん断補強筋13を鋼管11に沿って湾曲する構成としたため、溶接箇所がなくなるため、UT検査や非破壊検査などの性能確認を別途行う必要がなくなり、コストや手間を削減することができる。
なお、本実施形態では、鋼管11と湾曲せん断補強筋13とを溶接しない構成としたが、これに限らず、鋼管11と湾曲せん断補強筋13とを溶接して一体の構成としてもよい。また、本実施形態では、開口12の内側に鋼管11を嵌合させる構成としが、これに限らず、開口12の内側に軸方向に互いに当接する複数の鋼管からなる開口補強部材を嵌合させる構成としてもよい。
また、本実施形態では、湾曲せん断補強筋13を配筋した後、鋼管11を配置する構成としたが、これに限らず、鋼管11を配置した後、湾曲せん断補強筋13を配筋する構成としてもよい。また、予め湾曲せん断補強筋13を取り付けた鋼管11を現場に搬入する構成としてもよい。
また、本実施形態では、湾曲せん断補強筋13は一体に形成されたものを用いたが、これに限らず、複数の鉄筋から構成されたものとしてもよい。図2は、湾曲せん断補強筋13を複数の鉄筋により構成した場合の開口補強構造30を示す図であり、同図(A)は、鉄筋コンクリート梁40の長手方向鉛直断面図、同図(B)は、(A)におけるB−B´断面図である。同図に示すように、本実施形態の湾曲せん断補強筋113は、上下の梁主筋16に亘って設けられた第1の補強筋19と、幅方向に複数の梁主筋16を跨ぐように設けられた第2の補強筋18とにより構成される。第1の補強筋19は、鋼管11に沿うように湾曲する湾曲部19Aと、鉄筋コンクリート梁40の梁主筋16の外周に沿うように屈曲した屈曲部19Bとを備えており、この屈曲部19Bにおいて梁主筋16と係合するように配置されている。また、第2の補強筋18の一端(図2(B)では、左端)には例えば約90度屈曲された屈曲部18Aが、他端(図2(B)では、右端)には、例えば約135度屈曲された屈曲部18Bが形成され、第2の補強筋18は、これらの屈曲部18A,18Bにおいて梁主筋16と係合するように配置されている。
かかる構成により、第1の補強筋19と第2の補強筋18とが重なり合う部分において重ね継手が構成されるため、第1の補強筋19と第2の補強筋18との間で応力の伝達が可能となり、第1の補強筋19及び第2の補強筋18からなる湾曲せん断補強筋113は、上記の湾曲せん断補強筋13と同様に機能することができる。
<第2実施形態>
本発明の鉄筋コンクリート梁の開口の補強構造は、上記の実施形態に限らない。図3は、第2実施形態の開口補強構造が適用された鉄筋コンクリート梁40の長手方向鉛直断面図であり、同図(B)は、(A)におけるB−B´断面図である。同図に示すように、本実施形態の開口の補強構造30は、開口12の内側に設置された鋼管11と、鋼管11の外周面に沿うように湾曲した湾曲部23Aを備え、湾曲部23Aにおいて鋼管11の両側より当接するように対として配置された湾曲せん断補強筋23とを備える。湾曲せん断補強筋23は、湾曲部23Aの端部より鋼管の外周面の接線方向に直線状に延び、鉄筋コンクリート梁40を構成する梁主筋16を取り囲むように形成されている。
このような補強構造30を備えた鉄筋コンクリート梁40は、まず、鉄筋コンクリート梁40を構成する梁主筋16及び湾曲せん断補強筋23を配筋し、鋼管11を湾曲せん断補強筋23の湾曲部23Aにより挟みこまれるように湾曲せん断補強筋23の間に配置し、鉄筋コンクリート梁40を構成するコンクリート15を打設し、打設したコンクリート15が硬化することにより構築することができる。
本実施形態の補強構造30によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、本実施形態の補強構造30は、第1実施形態の補強構造における拘束筋14が不要であるため、拘束筋14を取付ける工程を書略することができ、手間を削減することができる。
なお、本実施形態の補強構造30における湾曲せん断補強筋23も、第1実施形態と同様に、図2(B)に示すように、先端にフック状の屈曲部を備えた複数の鉄筋を適宜重ね継手などで継手することにより構成してもよい。
また、本実施形態では、対となる湾曲せん断補強筋23を一組取付ける場合について説明したが、これに限らず、対となる湾曲せん断補強筋23を複数組取付けることも可能である。図4は、対となる湾曲せん断補強筋23を複数組設けた場合の補強構造130を示す図である。同図に示すように、湾曲部23Aの角度の異なる複数組の対の湾曲せん断補強筋23を取付けることにより、せん断補強筋同士の間隔が広くなりすぎることを防止できる。
また、上記の各実施形態では、開口の補強構造10、30を鉄筋コンクリート梁20、40に適用した場合を説明したが、これと同様に鉄骨鉄筋コンクリート梁に開口を設ける場合にも適用することができる。
次に、鉄筋コンクリート梁に本発明の開口補強構造を設けることで、開口を設けることによる鉄筋コンクリート梁の強度の低下を抑止できることを、有限要素法を用いた数値解析により確認したので、以下説明する。
図5(A)は、本解析で用いた鉄筋コンクリート梁を模した試験体(試験体NO.1)を示す図であり、同図(B)は、試験体の開口近傍を拡大した図である。本解析では、試験体として一般的な鉄筋コンクリート梁の1/2の縮小モデルを用いた。なお、実物大の試験体を用いて解析を行った場合に比べて、せん断強度等は1/4倍になる。試験体は、断面形状:350×450mm(実物大では700×900mm)、内法スパン:1800mm(実物大では3600mm)、開口径:225mm(実物大では450mm)(梁せいの1/2)、鋼管の厚さ:6mm(実物大では12mm)、鋼管の降伏応力:280MPa(鋼種SS400に相当)、梁主筋:4−D25上下、梁主筋降伏応力:1170MPa(異型PC鋼棒に相当)、せん断補強筋:4−D10@80mm、せん断補強筋降伏応力:350MPa(鋼種SD295に相当)、開口部周辺の湾曲鉄筋:4−D13、開口部周辺の湾曲鉄筋の降伏応力:350MPa(鋼種SD295に相当)、コンクリート強度:40N/mmとした。
本解析では、試験体の中央に開口及び本開口補強構造を設けた試験体(試験体NO.1)、開口及び開口補強構造を設けていない試験体(試験体NO.2)、試験体の中央に開口を設け、開口補強構造を設けていない試験体(試験体NO.3)を用い、各試験体に正負交互に変化するせん断荷重を作用させて、荷重−変位曲線及び載荷後の破壊状況について調べた。
図6〜図8は、各試験体の変位18mm(変形角1/100rad)時のひび割れ状況及び変形性状を示す図であり、夫々、試験体NO.1〜NO.3を示す。図7と図8を比較するとわかるように、試験体NO.2は、試験体が全体的に均一に変形しているが、試験体NO.3は、開口の周囲に変形が集中している。これは、無開口である試験体NO.2には、局所的な応力の集中が生じないが、開口を有する試験体NO.3では、コンクリート部材の内部応力の流れが変化し、開口周囲に作用する応力が増大しているためである。
しかし、図6に示すように、試験体NO.1は、開口の周辺に変形が集中せず、試験体全体に均一に変形している。このことから、開口補強構造を設けることにより応力の流れの変化が抑止され、開口の周囲の応力集中を抑えられることが確認できる。
また、図9及び図10は、各試験体の荷重―変形関係を示すグラフであり、夫々、試験体NO.2及びNO.3をNO.1と比較した図である。図10に示すように、試験体NO.2の最大せん断力は422kN程度であるが、試験体NO.3の最大せん断力は222kN程度と非常に小さい。このことから、鉄筋コンクリート梁に開口を設けると、開口の周辺より破壊が生じてしまうため、鉄筋コンクリート梁の強度が低下することがわかる。
これに対し、図9に示すように、試験体NO.1の最大せん断耐力(413kN)は、試験体NO.2の最大せん断耐力と略等しい。このことから、開口補強構造により開口の周囲への応力の集中を抑え、鉄筋コンクリート梁の強度の低下を抑止し、無開口の鉄筋コンクリート梁と同等の強度を確保できることがわかる。
以上説明したように、本解析により、開口を有する鉄筋コンクリート梁に本発明の開口補強構造を設けることで、開口が形成されていない鉄筋コンクリート梁と同程度の強度を持つことが確認された。
(A)は、本実施形態の補強構造10が適用された鉄筋コンクリート梁20の長手方向鉛直断面図であり、同図(B)は、同図(A)におけるA−A´断面図である。 (A)は、湾曲せん断補強筋を複数の鉄筋により構成した場合の補強構造を示す図であり、同図(B)は、(A)におけるB−B´断面図である。 第2実施形態の開口補強構造が適用された鉄筋コンクリート梁の長手方向鉛直断面図であり、同図(B)は、(A)におけるC−C´断面図である。 湾曲部の角度の異なる複数組の対となる湾曲せん断補強筋を取り付けた場合の補強構造を示す図である。 (A)は、本解析で用いた鉄筋コンクリート梁を模した試験体(試験体NO.1)を示す図であり、同図(B)は、試験体の開口近傍を拡大した図である。 試験体NO.1の変位18mm(変形角1/100rad)時のひび割れ状況及び変形性状を示す図である。 試験体NO.2の変位18mm(変形角1/100rad)時のひび割れ状況及び変形性状を示す図である。 試験体NO.3の変位18mm(変形角1/100rad)時のひび割れ状況及び変形性状を示す図である。 試験体NO.1と試験体NO.2の荷重―変形関係を示すグラフである。 試験体NO.1と試験体NO.3の荷重―変形関係を示すグラフである。 従来の開口補強構造を示す図である。
符号の説明
10、30、130 補強構造
11 鋼管
12 開口
13、23,113 せん断補強筋
13A、23A 湾曲部
14 拘束筋
15 コンクリート
16 梁主筋
17 せん断補強筋
18 第2の補強筋
18A、18B 屈曲部
19 第1の補強筋
19A 湾曲部
19B 屈曲部
20、40 鉄筋コンクリート梁

Claims (8)

  1. 開口を有する鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートからなるコンクリート梁を補強する構造であって、
    前記開口の内側に設置された円筒状の開口補強部材と、
    前記開口補強部材の外周面に沿うように湾曲する湾曲部を備え、前記湾曲部において前記開口補強部材に前記コンクリート梁の長手方向両側より当接し、かつ、前記コンクリート梁の上下の梁主筋を取り囲むように設けられた少なくとも一対の湾曲せん断補強筋と、
    前記湾曲部の端部において、前記少なくとも一対の湾曲せん断補強筋が互いに離間しないように拘束する拘束筋と、
    を備えることを特徴とする開口を有するコンクリート梁の補強構造。
  2. 開口を有する鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートからなるコンクリート梁を補強する構造であって、
    前記開口の内側に設置された円筒状の開口補強部材と、
    前記開口補強部材の外周面に沿うように湾曲する湾曲部を備え、前記湾曲部において前記開口補強部材に前記コンクリート梁の長手方向両側より当接し、かつ、前記コンクリート梁の上下の梁主筋を取り囲むように設けられた少なくとも一対の湾曲せん断補強筋と、
    を備え、
    前記湾曲せん断補強筋は、
    前記湾曲部及び、前記コンクリート梁の少なくとも幅方向両端の梁主筋を含む複数の上下の梁主筋の外周に夫々沿うように屈曲した屈曲部が設けられ、前記開口補強部材の外周面に当接するとともに、上下の梁主筋に亘って設けられた複数の第1の補強筋と、前記複数の第1の補強筋と一部が重なり合い、かつ前記複数の梁主筋を跨ぐように設けられた第2の補強筋と、で構成されることを特徴とする開口を有するコンクリート梁の補強構造。
  3. 前記湾曲せん断補強筋は、前記湾曲部の端部より、前記開口補強部材の外周面の接線方向に延びていることを特徴とする請求項記載の開口を有するコンクリート梁の補強構造。
  4. 前記開口の径が前記コンクリート梁の梁せいの1/3以上、かつ、梁せいより、前記コンクリート梁の上下のかぶり厚と、前記湾曲せん断補強筋の径と、主筋の径と、の合計を減じた値以下であることを特徴とする請求項1から何れかに記載の開口を有するコンクリート梁の補強構造。
  5. 開口を有する鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートからなるコンクリート梁の製造方法であって、
    円筒状の開口補強部材を前記開口の内側部分に配置し、
    前記開口補強部材の外周面に沿うように湾曲する湾曲部を備えた少なくとも一対の湾曲せん断補強筋を、前記湾曲部において前記開口補強部材に前記コンクリート梁の長手方向両側より当接し、かつ、前記コンクリート梁の上下の梁主筋を取り囲むように配置し、
    拘束筋を、前記湾曲部の端部に配置して、前記少なくとも一対の湾曲せん断補強筋が互いに離間しないように拘束し、
    前記コンクリート梁を構成するコンクリートを打設することを特徴とする開口を有するコンクリート梁の製造方法。
  6. 開口を有する鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートからなるコンクリート梁の製造方法であって、
    円筒状の開口補強部材を前記開口の内側部分に配置し、
    前記開口補強部材の外周面に沿うように湾曲する湾曲部を備えた少なくとも一対の湾曲せん断補強筋を、前記湾曲部において前記開口補強部材に前記コンクリート梁の長手方向両側より当接し、かつ、前記コンクリート梁の上下の梁主筋を取り囲むように配置し、
    前記湾曲せん断補強筋を、
    前記湾曲部及び、前記コンクリート梁の少なくとも幅方向両端の梁主筋を含む複数の上下の梁主筋の外周に夫々沿うように屈曲した屈曲部が設けられ、前記開口補強部材の外周面に当接するように、上下の梁主筋に亘って設けられる複数の第1の補強筋と、前記複数の第1の補強筋と一部が重なり合い、かつ前記複数の梁主筋を跨ぐように設けられる第2の補強筋と、で構成することを特徴とする開口を有するコンクリート梁の製造方法。
  7. 開口を有する鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートからなるコンクリート梁の前記開口を補強するために、前記開口の内側に設置される円筒状の開口補強用の鋼管であって、
    前記鋼管の外周面に沿うように湾曲する湾曲部を備えた少なくとも一対の湾曲せん断補強筋が、前記湾曲部において前記鋼管の外周面に対向する側より当接し、かつ、前記コンクリート梁の上下の梁主筋を取り囲むように取り付けられ
    拘束筋が、前記湾曲部の端部に配置され、前記少なくとも一対の湾曲せん断補強筋が互いに離間しないように拘束していることを特徴とする開口補強用鋼管。
  8. 開口を有する鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートからなるコンクリート梁の前記開口を補強するために、前記開口の内側に設置される円筒状の開口補強用の鋼管であって、
    前記鋼管の外周面に沿うように湾曲する湾曲部を備えた少なくとも一対の湾曲せん断補強筋が、前記湾曲部において前記鋼管の外周面に対向する側より当接し、かつ、前記コンクリート梁の上下の梁主筋を取り囲むように取り付けられ、
    前記湾曲せん断補強筋は、
    前記湾曲部及び、前記コンクリート梁の少なくとも幅方向両端の梁主筋を含む複数の上下の梁主筋の外周に夫々沿うように屈曲した屈曲部が設けられ、前記開口補強部材の外周面に当接するとともに、上下の梁主筋に亘って設けられた複数の第1の補強筋と、前記複数の第1の補強筋と一部が重なり合い、かつ前記複数の梁主筋を跨ぐように設けられた第2の補強筋と、で構成されることを特徴とする開口補強用鋼管。
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