JP2016156247A - 鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造 - Google Patents

鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2016156247A
JP2016156247A JP2015036482A JP2015036482A JP2016156247A JP 2016156247 A JP2016156247 A JP 2016156247A JP 2015036482 A JP2015036482 A JP 2015036482A JP 2015036482 A JP2015036482 A JP 2015036482A JP 2016156247 A JP2016156247 A JP 2016156247A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
sheet pile
longitudinal
welding
piles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015036482A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6375995B2 (ja
Inventor
覚太 藤原
Kakuta Fujiwara
覚太 藤原
冨永 知徳
Noriyoshi Tominaga
知徳 冨永
妙中 真治
Shinji Myonaka
真治 妙中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2015036482A priority Critical patent/JP6375995B2/ja
Publication of JP2016156247A publication Critical patent/JP2016156247A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6375995B2 publication Critical patent/JP6375995B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Bulkheads Adapted To Foundation Construction (AREA)

Abstract

【課題】添接板の形状を小さくすることができ、鋼重の低減を図ることができる。【解決手段】フランジ21、31において延長方向Yに沿って延在する縦継部40が設けられ、縦継ぎ面4は、縦継部40の両端40a、40bから鋼矢板2、3の継手部24、34側に向けて水平方向に沿って延在する一対の溶接縦継ぎ水平面4A、4Bを有し、溶接縦継ぎ水平面4A、4Bは、同一の水平断面上で一致せずに延長方向Yにずれた位置に設けられ、フランジ21、31には、縦継部40を覆うようにして第1添接板5が溶接により固定された構成の鋼矢板の縦継ぎ構造を提供する。【選択図】図4

Description

本発明は、鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造に関する。
従来、土木建築分野における土留め壁や地下構造、基礎構造として、鋼矢板を左右に連結して構築される鋼製連壁が利用されている。このような鋼製連壁において、地盤への鋼矢板の打ち込み深さが深くなって鋼矢板の長さ寸法が大きくなると、製造上や運搬上の理由から鋼矢板を上下に分けて製造、運搬し、現場にて下側の鋼矢板を打設した後に、その上端縁に上側の鋼矢板を接合するという縦継ぎ構造が用いられる。このような鋼矢板の縦継ぎ構造としては、上下の鋼矢板の端縁同士を全断面溶接(フルペネ溶接、完全溶込溶接)によって接合することが一般的である。
また、鋼矢板の縦継ぎ構造では、鋼矢板の爪状の継手部は溶接の対象外となっているため、縦継ぎ面おいて断面欠損が生じることになり、縦継ぎ面での断面2次モーメントおよび断面係数が低減することになる。そこで、縦継ぎ面によって連結される上下の鋼矢板に対して平面視でひし形の添接板を添えて溶接により固定することで断面欠損を補完する構造にすることが一般的に行われている。これについては、「鋼矢板、設計から施工まで」(鋼管杭協会)にも記載されている。また、縦継ぎ面の断面欠損を補完する他の縦継ぎ方法として、例えば特許文献1、2に記載されているものがある。
特許文献1には、ボルトや治具を使用して上下の鋼矢板同士を縦継ぎする構成について記載されている。
特許文献2は、所定の回転角以上に鋼矢板を打設する際に使用する接続用部材であって、鉛直方向に一定の間隔で離隔をもけることで、接続部材と鋼矢板との溶接部を起点としたひび割れ等を防止する構成について記載したものである。
特開2011−38288号公報 特開2011−190636号公報
しかしながら、従来の鋼矢板の縦継ぎ構造において、断面欠損が生じる縦継ぎ面を補強するためのひし形の添接板は、図10に示すように、鋼矢板延長方向Yの長さ寸法で810mm、鋼矢板幅方向Xの寸法で240mm(例えば、「NS−SP−45H」新日鐵住金社製のハット形鋼矢板を使用した場合)と大きな形状となる。そのため、添接板の形状をより小さく、かつ鋼重を低減することが求められており、その点で改善の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、添接板の形状を小さくすることができ、鋼重の低減を図ることができる鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る鋼矢板の縦継ぎ構造は、フランジを有して断面屈曲状に形成された鋼矢板を縦継ぎ面を介して上下に連結する鋼矢板の縦継ぎ構造であって、前記フランジにおいて鋼矢板延長方向に沿って延在する縦継部が設けられ、前記縦継ぎ面は、前記縦継部の両端から前記鋼矢板の継手部側に向けて水平方向に沿って延在する一対の溶接縦継ぎ水平面を有し、該溶接縦継ぎ水平面は、同一の水平断面上で一致せずに前記鋼矢板延長方向にずれた位置に設けられ、前記フランジには、前記縦継部を覆うようにして添接板が溶接により固定されていることを特徴としている。
また、本発明に係る鋼矢板壁構造は、上述した鋼矢板の縦継ぎ構造を用いて上下の前記鋼矢板が連結されるとともに、該上下に連結された鋼矢板が左右に連続して設けられていることを特徴としている。
本発明では、フランジにおいて鋼矢板延長方向に延在する縦継部を設けることにより、上下の鋼矢板の縦継ぎ面の一対の溶接縦継ぎ水平面が同一の水平断面上で一致せず互いに鋼矢板延長方向にずれた位置となる。これにより、縦継ぎ面の断面欠損を一対の溶接縦継ぎ水平面の2断面に分担させることが可能となる。
そのため、縦継部を覆うようにしてフランジに溶接された所定の断面性能を有する添接板の形状を小さくすることができ、鋼重の低減を図ることができる。
また、本発明に係る鋼矢板の縦継ぎ構造は、前記縦継部は、溶接されていないことが好ましい。
本発明では、縦継部を無溶接としても、鋼矢板壁が梁としての変形を想定して供用することから、添接板が設置されることにより、鋼矢板延長方向の構造的な性能の低下がない。これにより、縦継部の溶接作業に必要なコストおよび時間を省略することができる。
また、本発明に係る鋼矢板の縦継ぎ構造は、前記添接板の前記フランジに対する溶接部は、上下の前記鋼矢板同士のせん断力により破断しない周長を有していることが好ましい。
この場合、縦継部における鋼矢板延長方向の長さ寸法は添接板の溶接がせん断力により破断しない長さであれば良く、添接板を全周溶接とすることで溶接長(周長)を確保することが可能となることから、前述の縦継部の長さ寸法を短くすることができる。そのため、添接板の形状を小さくすることができ、鋼重の低減を図ることができる。
また、本発明に係る鋼矢板の縦継ぎ構造は、前記添接板は、前記縦継部の延在方向に平行な一対の直線部を有する平面視で六角形状の外郭をなし、前記一対の直線部を前記縦継部の鋼矢板幅方向の両側に位置させた状態で前記フランジに固定されていることが好ましい。
添接板の形状はひし形でもよいが、鋼矢板延長方向に延在する縦継部に対応する、延長方向の区間においては、添接板の幅寸法は一定とした六角形状を用いることで鋼重が削減できる。さらに、ひし形の角部に発生する可能性がある応力集中を緩和できる。
また、本発明に係る鋼矢板壁構造は、互いに隣接する鋼矢板は、それぞれの前記縦継ぎ面の位置が前記鋼矢板延長方向で一致していない構成としてもよい。
本発明では、隣接する鋼矢板における縦継ぎ面の一対の溶接縦継ぎ水平面同士が同一の水平断面上で一致せずに鋼矢板延長方向にずれていれば良いことから、縦継ぎ面の鋼矢板延長方向の位置にかかわらず、鋼矢板同士を自由に組み合わせて左右に連結して鋼矢板壁構造を構成することができる。
本発明の鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造によれば、フランジの鋼矢板延長方向に延在する縦継部を設けることにより、上下の鋼矢板の縦継ぎ面を同一の水平断面上に一致させない位置とすることができる。これにより、縦継ぎ面の断面欠損を鋼矢板延長方向の2断面に分担させることが可能となり、添接板の形状を小さくすることができ、鋼重の低減を図ることができる。
本発明の実施の形態による鋼矢板の縦継ぎ構造を示す斜視図である。 図1に示す鋼矢板の縦継ぎ構造を壁厚方向で反対側から見た斜視図である。 下側鋼矢板と上側鋼矢板とが縦継ぎ面で接合された鋼矢板の側面図であって、添接板が省略された図である。 下側鋼矢板と上側鋼矢板とが縦継ぎ面で接合された鋼矢板の側面図である。 図1に示すA−A線断面図である。 図1に示す第1添接板の平面図である。 複数の鋼矢板を連結した鋼製連壁の一例を示す側面図である。 複数の鋼矢板を連結した鋼製連壁の別の例を示す側面図である。 実施例による各ケースにおける構造比較を示す図である。 従来のひし形状の添接板を示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態による鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造について、図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、本実施の形態による鋼矢板の縦継ぎ構造は、鋼矢板壁構造として鋼製連壁10(図7参照)が採用され、上下の鋼矢板1(2、3)同士が縦継ぎ面4で溶接により連結される縦継ぎ構造を対象としている。
図7に示す鋼製連壁10は、河岸や海岸等の護岸あるいは傾斜地の段差部などにおいて土留め壁として利用されたり、建物や橋梁などの構造物の基礎として利用されたり、地下構造における地下外壁等として利用されたりするものであって、複数の鋼矢板1、1を左右に連結した壁体として構成されている。
図1〜図4に示すように、鋼矢板1は、それぞれ上下に延びて形成されるとともに、縦継ぎ面4によって上下に連結される下側鋼矢板2と上側鋼矢板3とを備えて構成されている。すなわち、地盤に対して先行して下側鋼矢板2が打設され、その上端部2aに上側鋼矢板3の下端部3aが縦継ぎ面4で接合されてから、これらの下側鋼矢板2および上側鋼矢板3がさらに地盤に打設されることで、打設深さの大きな鋼製連壁10が構築できるようになっている(図7参照)。なお、事前に工場や現場にて下側鋼矢板2と上側鋼矢板3を縦継ぎし、その後打設しても良い。
下側鋼矢板2および上側鋼矢板3は、それぞれ鋼矢板幅方向(以下、幅方向Xという)の中央に位置するフランジ21,31と、このフランジ21、31の両側端縁に連続する一対のウェブ22、32と、これら一対のウェブ22、32の先端縁からフランジ21、31と平行かつ幅方向Xの外方に延びる一対のアーム23、33と、これら一対のアーム23、33の先端縁に設けられる一対の継手部24、34と、を有したハット形鋼矢板である。なお、前記幅方向Xは、必要に応じて左右方向という。
鋼矢板2、3は、幅方向X(左右方向)に隣り合う鋼矢板2、3と互いの継手部24、34同士を嵌合させることで連結され、これにより鋼製連壁10が形成されるようになっている。このような各鋼矢板2、3では、フランジ21、31とアーム23、33との外面間距離である鋼矢板断面高さを有し、この鋼矢板断面高さが鋼製連壁10の壁厚寸法になっている。
縦継ぎ面4には、フランジ21、31において鋼矢板延長方向(以下、延長方向Yという)に沿って延在する縦継部40が設けられている。そして、縦継ぎ面4は、縦継部40の両端40a、40bから鋼矢板2、3の継手部24、34側に向けて水平方向に沿って延在する一対の溶接縦継ぎ水平面4A、4Bを有している。本実施の形態では、縦継部40は無溶接であり、一対の溶接縦継ぎ水平面4A、4Bは溶接されている。
縦継部40は、フランジ21、31の幅方向Xの中心部を通る延長方向Yに沿って延びている。一対の溶接縦継ぎ水平面4A、4Bは、同一の水平断面上で一致せずに互いに延長方向Yに縦継部40の長さ寸法だけずれた位置に設けられている。
このように下側鋼矢板2の上端と上側鋼矢板3の下端とは、上述した縦継部40及び溶接縦継ぎ水平面4A、4Bから形成される段差が形成されている。
ここで、縦継部40の延長方向Yの長さ寸法Lは、例えば継手部24、34の高さを板厚としたとき、板厚が36.5mmの場合において、36.5mm以上で50mm以下に設定することができる。
また、図1及び図2に示すように、縦継ぎ面4には、フランジ21、31における壁厚方向Zのウェブ22側において、フランジ21、31の双方にわたって配置され、かつ縦継部40を覆うようにして全周隅肉溶接により板状の第1添接板5が固定されている。
そのため、上述したように縦継部40は、無溶接であっても、全周溶接された第1添接板5によって覆われているため、止水性は確保されている。
第1添接板5は、図4に示すように、縦継部40に平行な一対の直線部51と、直線部51のそれぞれの上端から上方に向かうに従い漸次、幅方向Xの中心に向う第1傾斜部52と、直線部51の下端から下方に向かうに従い漸次、幅方向Xの中心に向う第2傾斜部53と、から形成される六角形状の外郭をなし、所定の断面性能を有する形状、寸法に設定されている。そして、第1添接板5は、一対の直線部51を縦継部40の幅方向Xの両側に位置させた状態でフランジ21、31に固定されている。第1添接板5の平面視の形状、大きさは、フランジ21、31との溶接部がせん断力により破断しない程度の周長を有するように設定されている。
さらに、縦継ぎ面4には、アーム23、33における壁厚方向Zのウェブ22側の面の溶接縦継ぎ水平面4A、4Bにおいて、下側鋼矢板2と上側鋼矢板3の双方にわたって配置される板状の第2添接板6が固定されている。
第2添接板6は、四角形状の外郭をなし、所定の断面性能を有する形状、寸法に設定されている。
このように、下側鋼矢板2と上側鋼矢板3とは、溶接縦継ぎ水平面4Aおよび溶接縦継ぎ水平面4Bが溶接されることにより接合されるとともに、第1添接板5および第2添接板6を介して互いに接合されて縦継ぎ面4が構成されている。
ここで、本実施の形態の縦継ぎ面4を有する鋼矢板2、3とその縦継ぎ構造の各寸法の一例を、図5および図6に示す。図5に示すように、鋼矢板2、3は、全幅900mm、全高さ368mm、フランジ21、31の幅寸法および板厚はそれぞれ298.5mm、15mm、アーム23、33の幅寸法が73.3mm、継手部24、34の高さ寸法が36.5mm、となっている。そして、第1添接板5は、板厚19mm、板幅165mm、直線部51の延長方向Yの長さ寸法が35mm、第1傾斜部52および第2傾斜部53が配置される部分の延長方向Yの長さ寸法が280mm、第1添接板5の延長方向Yの全長が595mmに設定されている。
また、図7及び図8は、下側鋼矢板2と上側鋼矢板3とを縦継ぎ面4で接合した鋼矢板1を幅方向Xに複数(図では3枚)連結させた鋼製連壁10(10A、10B)を示している。なお、図7及び図8では、見易くするために添接板5、6が省略されている。
図7に示す鋼製連壁10Aは、隣り合う鋼矢板1、1同士で縦継ぎ面4の延長方向Yの位置が同じ位置となっている。
また、図8に示す鋼製連壁10Bは、隣り合う鋼矢板1、1同士で縦継ぎ面4の延長方向Yの位置がずれた位置となっている。すなわち、図8に示す中央に配置される第1鋼矢板1Aは上端側に縦継ぎ面4が配置され、第1鋼矢板1Aの両側に連結される第2鋼矢板1Bおよび第3鋼矢板1Cは下端側に縦継ぎ面4が配置された構成となっている。
このように左右に隣接する鋼矢板1における縦継ぎ面4の一対の溶接縦継ぎ水平面4A、4B同士が同一の水平断面上で一致せずに延長方向Yにずれていれば良いことから、鋼矢板1の縦継ぎ面4の延長方向Yの位置にかかわらず、鋼矢板1、1同士を自由に組み合わせて左右に連結して鋼矢板壁構造を構成することができる。
以上説明した鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造によれば、図1及び図2に示すように、フランジ21、31において延長方向Yに延在する縦継部40を設けることにより、下側鋼矢板2および上側鋼矢板3の一対の溶接縦継ぎ水平面4A、4Bが同一の水平断面上で一致せず互いに延長方向Yにずれた位置となる。これにより、縦継ぎ面4の断面欠損を一対の溶接縦継ぎ水平面4A、4Bの2断面に分担させることが可能となる。
そのため、縦継部40を覆うようにしてフランジ21、31に溶接された所定の断面性能を有する第1添接板5の形状を小さくすることができ、鋼重の低減を図ることができる。
また、本実施の形態では、縦継部40が無溶接となる構成であるが、鋼矢板壁が梁としての変形を想定して供用することから、縦継部40が無溶接であることによる、鋼矢板延長に関して構造的な性能の低下がない。これにより、縦継部40の溶接を省略することができる。
第1添接板5の寸法は、溶接縦継ぎ水平面4A、4Bの2断面の断面欠損を補える程度であればよく、これらの断面欠損は従来溶接に比べ小さくなっていることから、第1添接板5の寸法を小さくすることができる。すなわち鋼重の低減を図ることができる。
次に、上述した実施の形態による鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造の効果を裏付けるために行った実施例について以下説明する。
(実施例)
本実施例では、従来例による比較例1、2の鋼矢板の縦継ぎ構造と、上述した実施の形態による実施例1の鋼矢板の縦継ぎ構造とのそれぞれについて断面性能の計算を行い、本実施の形態による鋼矢板の縦継ぎ構造の効果を確認した。
鋼矢板としては、図5に示す寸法の「NS−SP−45H」(新日鐵住金社製)のハット形鋼矢板を使用した。図9に示すように、比較例1は、縦継ぎ面の無い鋼矢板のみを対象としている。比較例2は、従来の縦継ぎ構造であって、縦継ぎ面が同一の水平断面上で一致しているケースである。そして、実施例1は、上述した実施の形態のように縦継部と溶接縦継ぎ水平面を有して縦継ぎ面が同一の水平断面上で一致しないケースである。これら比較例1、2および実施例1のそれぞれにおいて、添接板は考慮していない。
そして、比較例1、2および実施例1において、表1に示すように断面2次モーメントI(cm)、断面係数Z(cm)、図9に示す断面(1)に作用する曲げモーメントの限界値M(Nmm)を計算し、さらに各計算値において比較例1を基準(1.00)とした比率を求め、それぞれの鋼矢板の性能を評価した。なお、表1には、各ケースにおける現場溶接による許容応力度σa(N/mm)を示している。
Figure 2016156247
表1に示すように、比較例2は、断面2次モーメントIおよび断面係数Zの比率が共に0.82となり比較例1に比べて18%の低減となっている。そして、現場溶接である場合、溶接部は許容応力度の90%として設計されるため、縦継ぎ面に作用することのできる限界の曲げモーメントMは0.74となり比較例1に比べて26%の低減となった。
一方、実施例1は、断面2次モーメントIおよび断面係数Zの比率が共に0.91となり比較例1に比べて低減は9%となる。そして、現場溶接である場合、溶接部は許容応力度の90%として設計されるため、縦継ぎ面に作用することのできる限界の曲げモーメントMは0.82となり比較例に比べて18%の低減となった。なお、実施例1は、比較例2に比べて断面2次モーメントIで11%向上し、曲げモーメントの限界値Mで8%向上したことになる。
このように、実施例1の場合には、比較例2に比べて断面欠損にともなう性能諸元の低減が抑制されていることを確認することができる。
したがって、縦継ぎ面に縦継部を設けることにより、鋼矢板の縦継ぎ面の全体が同一の水平断面上に位置しない構成となることから、縦継ぎ面の断面欠損を鋼矢板延長方向の2断面に分担させることができることを確認できた。
また、上述の実施例の計算結果により、実施例1が比較例2に比べて断面性能の低下が抑制されている。このことから、添接板の鋼矢板延長方向の長さ寸法や鋼矢板幅方向の幅寸法を従来のひし形の比較例2に比べて実施例1の寸法を小さくすることが可能となる。
例えば比較例2における従来のひし形状の添接板として、例えば図10に示すように鋼矢板延長方向の長さ寸法で810mm、鋼矢板幅方向の寸法で240mmに決定される。これに対して実施例1では、図6に示すように鋼矢板延長方向の長さ寸法で595mm、鋼矢板幅方向の寸法で165mmに設定することができる。
鋼矢板延長方向の縦継部の長さ寸法は35mm以上を必要とする。これは溶接による応力影響範囲T(図3に示す色付領域)を鋼矢板延長方向に板厚分であると仮定したことによる。しかしながら、溶接縦継ぎ水平面に必要とされる幅寸法が比較例2の240mmから実施例1の165mmに低減されたことを受け、上記35mmの縦継部を考慮しても、鋼矢板延長方向の長さを810mmから595mmまで低減することが可能である。
さらに、実施例1で比較例2よりも添接板の形状を小さくすることが可能であることから、添接板を鋼重換算すると、比較例2で14.4kgとなり、実施例1で7.7kgとなり、約半分にまで軽減される結果となった。
以上、本発明による鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では縦継部40を無溶接としているが、水平方向に不均等な土圧が作用する場合を想定すると、鋼矢板延長方向の継部端部に応力が集中する可能性があることから、鋼矢板延長方向の縦継部40を溶接してもよい。しかも、この場合には、さらに止水性を確保することができる。
また、本実施の形態では第1添接板5を全周溶接によりフランジ21、31に固定しているが、必ずしも全周溶接であることに制限されることはない。
さらに、フランジ21、31における縦継部40の幅方向Xの位置として、本実施の形態ではフランジ21、31の幅方向Xの中心に設けられているが、縦継部40はフランジ21、31おいて延長方向Yに沿って設けられていれば良いのであって、幅方向Xの中心からずれた位置であってもかまわない。
さらに、鋼矢板1における縦継ぎ面4の延長方向Yの位置や縦継部40の延長方向Yの長さ寸法は上述したように適宜設定することが可能であるので、下側鋼矢板2および上側鋼矢板3の延長方向の長さ寸法も適宜設定することができる。
また、本実施の形態では、ハット形の鋼矢板を対象としているが、U形鋼矢板など他の断面形状の鋼矢板を採用することも可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1、1A、1B、1C 鋼矢板
2 下側鋼矢板
3 上側鋼矢板
4 縦継ぎ面
4A、4B 溶接縦継ぎ水平面
5 第1添接板
6 第2添接板
10、10A、10B 鋼製連壁(鋼矢板壁構造)
21、31 フランジ
22、32 ウェブ
23、33 アーム
24、34 継手部
40 縦継部
51 直線部
52 第1傾斜部
53 第2傾斜部
X 幅方向(鋼矢板幅方向)
Y 延長方向(鋼矢板延長方向)
Z 壁厚方向

Claims (6)

  1. フランジを有して断面屈曲状に形成された鋼矢板を縦継ぎ面を介して上下に連結する鋼矢板の縦継ぎ構造であって、
    前記フランジにおいて鋼矢板延長方向に沿って延在する縦継部が設けられ、
    前記縦継ぎ面は、前記縦継部の両端から前記鋼矢板の継手部側に向けて水平方向に沿って延在する一対の溶接縦継ぎ水平面を有し、
    該溶接縦継ぎ水平面は、同一の水平断面上で一致せずに前記鋼矢板延長方向にずれた位置に設けられ、
    前記フランジには、前記縦継部を覆うようにして添接板が溶接により固定されていることを特徴とする鋼矢板の縦継ぎ構造。
  2. 前記縦継部は、溶接されていないことを特徴とする請求項1に記載の鋼矢板の縦継ぎ構造。
  3. 前記添接板の前記フランジに対する溶接部は、上下の前記鋼矢板同士のせん断力により破断しない周長を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼矢板の縦継ぎ構造。
  4. 前記添接板は、前記縦継部の延在方向に平行な一対の直線部を有する平面視で六角形状の外郭をなし、前記一対の直線部を前記縦継部の鋼矢板幅方向の両側に位置させた状態で前記フランジに固定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鋼矢板の縦継ぎ構造。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の鋼矢板の縦継ぎ構造を用いて上下の前記鋼矢板が連結されるとともに、該上下に連結された鋼矢板が左右に連続して設けられていることを特徴とする鋼矢板壁構造。
  6. 互いに隣接する鋼矢板は、それぞれの前記縦継ぎ面の位置が前記鋼矢板延長方向で一致していないことを特徴とする請求項5に記載の鋼矢板壁構造。
JP2015036482A 2015-02-26 2015-02-26 鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造 Expired - Fee Related JP6375995B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015036482A JP6375995B2 (ja) 2015-02-26 2015-02-26 鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015036482A JP6375995B2 (ja) 2015-02-26 2015-02-26 鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016156247A true JP2016156247A (ja) 2016-09-01
JP6375995B2 JP6375995B2 (ja) 2018-08-22

Family

ID=56825343

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015036482A Expired - Fee Related JP6375995B2 (ja) 2015-02-26 2015-02-26 鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6375995B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108672888A (zh) * 2018-05-28 2018-10-19 张化机(苏州)重装有限公司 一种海水淡化换热器壳体板的制造方法
JP2020033794A (ja) * 2018-08-31 2020-03-05 日本製鉄株式会社 鋼矢板の縦継構造
JP2021014703A (ja) * 2019-07-11 2021-02-12 日本製鉄株式会社 鋼矢板の縦継構造
JP2021116536A (ja) * 2020-01-22 2021-08-10 日本製鉄株式会社 鋼矢板壁および鋼矢板壁の製造方法
JP2021152306A (ja) * 2020-03-24 2021-09-30 日本製鉄株式会社 鋼矢板の縦継ぎ構造及び縦継ぎ構造の施工方法
CN113927195A (zh) * 2021-11-03 2022-01-14 上海城建隧道装备科技发展有限公司 一种地铁隧道施工缝的快速抢险焊接方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111764371B (zh) * 2020-06-09 2022-01-28 河海大学 一种拼接型雪花形钢板桩及其施工方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54119704A (en) * 1978-03-10 1979-09-17 Shimizu Construction Co Ltd Method of sheet pile placing construction
JPS5731339U (ja) * 1980-07-25 1982-02-18
JPS57124578A (en) * 1981-01-23 1982-08-03 Yamamoto Kenzai Lease Kk Joining method for steel sheet pile
JP2005023521A (ja) * 2003-06-30 2005-01-27 Nippon Steel Corp 広幅矢板セグメントセル構造物と砂防ダム

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54119704A (en) * 1978-03-10 1979-09-17 Shimizu Construction Co Ltd Method of sheet pile placing construction
JPS5731339U (ja) * 1980-07-25 1982-02-18
JPS57124578A (en) * 1981-01-23 1982-08-03 Yamamoto Kenzai Lease Kk Joining method for steel sheet pile
JP2005023521A (ja) * 2003-06-30 2005-01-27 Nippon Steel Corp 広幅矢板セグメントセル構造物と砂防ダム

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108672888A (zh) * 2018-05-28 2018-10-19 张化机(苏州)重装有限公司 一种海水淡化换热器壳体板的制造方法
JP2020033794A (ja) * 2018-08-31 2020-03-05 日本製鉄株式会社 鋼矢板の縦継構造
JP7407504B2 (ja) 2018-08-31 2024-01-04 日本製鉄株式会社 鋼矢板の縦継構造
JP2021014703A (ja) * 2019-07-11 2021-02-12 日本製鉄株式会社 鋼矢板の縦継構造
JP7238654B2 (ja) 2019-07-11 2023-03-14 日本製鉄株式会社 鋼矢板の縦継構造
JP2021116536A (ja) * 2020-01-22 2021-08-10 日本製鉄株式会社 鋼矢板壁および鋼矢板壁の製造方法
JP7360039B2 (ja) 2020-01-22 2023-10-12 日本製鉄株式会社 鋼矢板壁および鋼矢板壁の製造方法
JP2021152306A (ja) * 2020-03-24 2021-09-30 日本製鉄株式会社 鋼矢板の縦継ぎ構造及び縦継ぎ構造の施工方法
JP7425301B2 (ja) 2020-03-24 2024-01-31 日本製鉄株式会社 鋼矢板の縦継ぎ構造及び縦継ぎ構造の施工方法
CN113927195A (zh) * 2021-11-03 2022-01-14 上海城建隧道装备科技发展有限公司 一种地铁隧道施工缝的快速抢险焊接方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6375995B2 (ja) 2018-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6375995B2 (ja) 鋼矢板の縦継ぎ構造および鋼矢板壁構造
JP6381939B2 (ja) 切梁装置および山留め支保工
JP3209590U (ja) 箱形断面溶接切梁
JP5182251B2 (ja) 鋼矢板の継手構造および鋼矢板壁構造
JP6676341B2 (ja) 山留支保工構造及びその構築方法
JP2014020129A (ja) 鋼矢板及び鋼矢板壁体
JP6589922B2 (ja) 梁の補強構造および梁の補強工法
JP2016211164A (ja) 接合構造
JP6818510B2 (ja) 柱梁接合構造
JP6893799B2 (ja) 切梁火打接続構造および切梁火打接続ピース
JP2009235672A (ja) ハット形鋼矢板
JP2020033794A (ja) 鋼矢板の縦継構造
JP5633524B2 (ja) 鋼矢板地下壁構造
JP2019056231A (ja) 岸壁構造
JP7219529B2 (ja) 鋼材の組合せ構造体,山留支保工構造,及び構築方法
JP6924609B2 (ja) ブレースと柱梁との接合構造
JP6599377B2 (ja) 切梁材の切替金物
JP6119879B2 (ja) 組合せ鋼矢板連設用治具及び組合せ鋼矢板連設方法
KR20130038322A (ko) 용접 절점구조
JP6799425B2 (ja) アダプター部材及び山留支保工構造
JP5867326B2 (ja) 鋼矢板及びこれを用いた壁体
JP2021014703A (ja) 鋼矢板の縦継構造
JP2018172859A (ja) 箱形断面柱および柱梁接合構造
JP2015151796A (ja) 山留めh形鋼杭の接合構造および建込み方法
JP5434845B2 (ja) 鋼材の接合構造および鋼矢板の接合構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171005

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180618

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180626

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180709

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6375995

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees