JP2020033794A - 鋼矢板の縦継構造 - Google Patents

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【課題】断面積欠損を補い曲げ耐力を確保するための補強板として必要な性能を保持しつつ、従来に比べて軽量で溶接量を削減可能な鋼矢板の縦継構造を提供する。【解決手段】鋼矢板本体11,11どうしに、それらの縦継ライン16を跨ぐようにして溶接される菱形補強板20が2枚あり、菱形補強板20の重量が全強菱形補強板1の重量より小さく、さらに、菱形補強板20は、鋼矢板10に曲げが作用した際に、菱形補強板20と鋼矢板本体11との溶接部分において、菱形補強板20に生じる引張力に抵抗できるような溶接体積を有し、この溶接体積が全強菱形補強板1を鋼矢板本体11に溶接する場合の溶接体積以下であるので、継手部12による断面積欠損を補い曲げ耐力を確保するための補強板20として必要な性能を保持しつつ、従来に比べて軽量で溶接量を削減できる。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼矢板の縦継構造に関する。
土木建築分野における土留め壁や地下構造、基礎構造として、鋼矢板を左右に連結して構築される鋼製壁が利用されている。このような鋼製壁において、地盤への鋼矢板の打ち込み深さが深くなって鋼矢板の長さ寸法が大きくなると、製造上や運搬上の理由から鋼矢板を上下に分けて製造、運搬し、現場にて下側の鋼矢板を打設した後に、その上端縁に上側の鋼矢板を接合するという縦継構造が用いられる。
上下2本の鋼矢板を長手方向(材軸方向)に縦継する一般的な手法としては、鋼管杭・鋼矢板技術協会から提示されている、補強板を使用した溶接工法が実施されている。
この工法について説明すると、一方の鋼矢板の端縁部を工場で予め開先加工しておき上下の鋼矢板の端面を突合せた状態で、開先部分を全断面溶接することで上下の鋼矢板を連結する。但し継手部分においては、複雑な形状となるため開先加工や溶接が困難であること、継手内に溶着金属が溶け出し残置したままとなると隣接する鋼矢板を嵌合して打設する際に打設抵抗となり支障となること、から溶接をせず、突合せたままの状態としている。
鋼矢板の打設時においては、地盤条件によっては、過大な圧縮力や引き抜き力が鋼矢板に作用することがあるため、縦継箇所においても、鋼矢板本体と同等の軸方向圧縮・引張抵抗力を確保する必要がある。そのため、溶接を施さない継手部分相当の断面積欠損を補うために、上下鋼矢板の縦継ラインを跨ぐ形で補強板を溶接にて取り付ける。
補強板としては、軸方向抵抗力を確保することの他に、壁体方向全体に亘って曲げ耐力を確保するための性能も考慮してスペックを決定している。壁体に曲げが作用した際、縦継箇所での応力集中を避けるべく、縦継箇所が隣接する鋼矢板間で同一水平面上とならないように、縦継箇所は1m以上上下間距離を離して千鳥配置する(例えば特許文献1および特許文献2参照)。そのため、縦継が無い標準断面鋼矢板と、縦継がある鋼矢板との2枚一組を設計単位として、壁体としての曲げ耐力を確保する。
補強板は鋼矢板本体と隅肉溶接にて接合するが、壁体に曲げが作用した際に、補強板に生じる引張力に抵抗できるよう、溶接長さや脚長を取り決める。同じ脚長である一定量の溶接長を確保するためには、矩形とするより菱形とした方が補強板の鋼材重量を小さくすることができるため、特に大きな補強板となるウェブに取り付ける補強板としては、菱形のものが使用されている。
また、ボルトにより補強板を鋼矢板本体に接合する構造仕様も提案されている(例えば特許文献3および特許文献4参照)。しかしながら、鋼矢板本体にボルト穴を開ける必要があり断面欠損が生じること、ボルト穴のために止水性が低下すること、鋼矢板打設時の振動によりボルトに応力緩和が発生しボルト締め付け強度が低下することがあること、等の理由から、現場で溶接ができない場合など、特殊な施工現場条件下のみで使用されている。
特許第4419198号公報 特開2016−156247号公報 特許第5182251号公報 特開2017−66702号公報
ところで、鋼矢板が大型化すると、継手部が大きくなって当該縦継部で欠損する断面積が大きくなり、また鋼矢板の剛性が大きくなることから曲げ耐力も大きくなり、補強板に必要な厚みや幅も大きくなる。そのため、特に鋼矢板本体(例えばウェブ)に取り付ける補強板も大型化し重量が重くなることで、接続作業性が低下する。さらに、補強板を固定するための溶接量も嵩み、加工時間の長期化やコストアップをもたらす。溶接量が多くなることによって、特に1日当たりに打設できる鋼矢板の枚数が減り、全体の鋼矢板の施工コストが増加してしまう。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、断面積欠損を補い曲げ耐力を確保するための補強板として必要な性能を保持しつつ、従来に比べて軽量で溶接量を削減可能な鋼矢板の縦継構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の鋼矢板の縦継構造は、継手部を有する鋼矢板どうしを材軸方向に連結する鋼矢板の縦継構造であって、
前記継手部を除く鋼矢板本体どうしが溶接によって接合され、前記継手部どうしは溶接されておらず、
前記鋼矢板本体どうしに、それらの縦継ラインを跨ぐようにして補強板が溶接され、
前記補強板は、以下の(1)および(2)を同時に満たすように形成されていることを特徴とする。
(1)前記補強板は1枚または複数枚あり、前記補強板の1枚当たりの重量が全強菱形補強板の重量より小さいこと。
(2)前記補強板は、前記鋼矢板に曲げが作用した際に、前記補強板と前記鋼矢板本体との溶接部分において、前記補強板に生じる引張力に抵抗できるような溶接体積を有し、この溶接体積の合計が前記全強菱形補強板を前記鋼矢板本体に溶接する場合の溶接体積以下であること。
ここで、全強菱形補強板とは、鋼矢板どうしを縦継ぎする場合に、溶接されていない継手部に相当する断面積欠損を補って、鋼矢板の軸方向抵抗力および曲げ耐力を確保するために、継手部を除く鋼矢板本体どうしの縦継ラインを跨ぐようにして当該鋼矢板本体に溶接される補強板のことを言い、例えば鋼管杭・鋼矢板技術協会が規定している菱形の補強板がある。
また、前記補強板は、菱形形状をしていてもよいし、菱形形状以外のその他の形状をしていてもよい。
本発明においては、鋼矢板本体どうしに、それらの縦継ラインを跨ぐようにして溶接される補強板が1枚または複数枚あり、前記補強板の1枚当たりの重量が全強菱形補強板の重量より小さく、さらに、前記補強板は、前記鋼矢板に曲げが作用した際に、前記補強板と前記鋼矢板本体との溶接部分において、前記補強板に生じる引張力に抵抗できるような溶接体積を有し、この溶接体積の合計が前記全強菱形補強板を前記鋼矢板本体に溶接する場合の溶接体積以下であるので、継手部による断面積欠損を補い曲げ耐力を確保するための補強板として必要な性能を保持しつつ、従来に比べて軽量で溶接量を削減できる。
また、本発明の前記構成において、前記補強板にその厚さ方向に貫通する穴が設けられ、当該穴の縁に沿った溶接長に前記補強板の外周溶接長の合計を加えた全体溶接長が、前記全強菱形補強板の外周溶接長以上であってもよい。
このような構成によれば、補強板の外周溶接長が全強菱形補強板の外周溶接長より短い場合等に、補強板に設けられた穴の縁に沿って溶接することによって、穴の縁に沿った溶接長に補強板の外周溶接長の合計を加えた全体溶接長が、全強菱形補強板の外周溶接長以上となるように補強板を鋼矢板本体に溶接することによって、溶接量を確保し必要耐力を確保できる。
また、本発明の前記構成において、前記全強菱形補強板を同形・同大の菱形に4分割したうちの一つを菱形補強板とすると、
前記補強板は、2枚の前記菱形補強板によって構成され、
前記菱形補強板は、その板面の対向する鈍角どうしを結ぶ直線が前記継手ラインに一致するように配置されていてもよい。
ここで、菱形補強板が、その板面の対向する鈍角どうしを結ぶ直線が前記継手ラインに一致するように配置されるとは、菱形補強板を上下の鋼矢板本体の表面にそれらの継手ラインを跨ぐようにして配置した場合において、正面視において菱形補強板の板面の対角する鈍角どうしを結ぶ直線が継手ラインに重なるように一致することを言う。
このような構成によれば、2枚の菱形補強板の外周溶接長の合計が、全強菱形補強板の外周溶接長と等しくなるので、溶接の脚長を等しくすることによって、2枚の菱形補強板の外周溶接における溶接体積の合計が、全強菱形補強板の外周溶接における溶接体積と等しくなる一方で、2枚の菱形補強板の合計の重量は、全強菱形補強板の重量より小さくなる。したがって、従来に比して、補強板の重量を削減しても、縦継箇所において従来仕様(全強菱形補強板による溶接)と同様の軸力および曲げ耐力を確保できる。
また、本発明の前記構成において、前記菱形補強板の鋭角部が滑らかな曲面によって形成されていてもよい。
このような構成によれば、菱形補強板の鋭角部が滑らかな曲面によって形成されているので、鋭角部における溶接端部での応力集中を避けることができ、疲労き裂の発生を抑制できる。
また、本発明の前記構成において、2枚の前記菱形補強板にそれぞれ厚さ方向に貫通する穴が設けられ、当該穴の縁に沿った溶接長に2枚の前記菱形補強板の外周溶接長を加えた全体溶接長が、前記全強菱形補強板の外周溶接長以上であってもよい。
このような構成によれば、菱形補強板の鋭角部が滑らかな曲面によって形成されているため、その分だけ鋭角部を有する菱形補強板に比して外周溶接長が短くなる場合に、菱形補強板に設けられた穴の縁に沿って溶接することによって、穴の縁に沿った溶接長に2枚の菱形補強板の外周溶接長を加えた全体溶接長が、全強菱形補強板の外周溶接長以上となるように菱形補強板を鋼矢板本体に溶接することによって、溶接量を確保し必要耐力を確保できる。
また、本発明の前記構成において、1枚の前記補強板または1枚の前記菱形補強板の重量が13kg未満であってもよい。
このような構成によれば、1枚の補強板または1枚の菱形補強板の重量が13kg未満であるので、一人の作業員が片手で持ち運び取り付け作業をすることが可能となり、従来からの手法に比べて縦継作業負荷を軽減できる。労働基準法においては、継続して重い物を運ぶなどの作業をする場合、扱える重量物は、作業をする労働者の体重の概ね40%以下と制限されており、通常の工事現場では、一人の作業員が両手で運搬可能な重量としては一般的に25kgまでとされていることが多く、片手で持ち運べる重量はおよそ13kg以下となる。このように、補強板の軽量化により、現場作業性が向上する。
本発明によれば、断面積欠損を補い曲げ耐力を確保するための補強板として必要な性能を保持しつつ、従来に比べて軽量で溶接量を削減できる。溶接量を削減できることで、省力化・コスト削減となる。特に鋼矢板の施工速度向上に繋がり、トータルの鋼矢板施工費用を削減できる。また、施工現場での溶接量が減ることで、現場管理が容易となり、溶接品質を確保しやすくなる。補強板の長さが短くなることで、鋼矢板に重防食を塗布する必要がある場合に、重防食の塗布範囲との干渉を避けることができる。また、橋梁の桁下施工時など施工空間が狭い場合は、短尺の鋼矢板を使用する必要があり縦継箇所が多くなるが、鋼矢板施工速度アップ、施工コスト削減に対して、より軽量の補強板を用い溶接量を削減する効果が顕著になる。
本発明の第1の実施の形態を示すもので、鋼矢板の縦継構造を示す斜視図である。 従来の全強菱形補強板を示すもので、(a)は全強菱形補強板を接合した鋼矢板の縦継構造の要部を示す斜視図、(b)は全強菱形補強板の正面図である。 本発明の第1の実施の形態を示すもので、菱形補強板の正面図である。 本発明の第2の実施の形態を示すもので、菱形補強板の正面図である。 本発明の第3の実施の形態を示すもので、菱形補強板の正面図である。 本発明の第4の実施の形態を示すもので、菱形補強板の正面図である。 本発明の第5の実施の形態を示すもので、菱形補強板の正面図である。 本発明の第6の実施の形態を示すもので、菱形補強板の正面図である。 同、溶接部位の設定位置(荷重作用方向に対する溶接ラインの角度)によっては、トータル抵抗力を同等以上にすることができることを説明するための図である。 同、隅肉溶接部に対して任意の方向のPに対する分力およびのど厚をa、溶接長をeとしたとき、のど断面に働く応力を説明するための図である。 同、菱形外周ライン傾き角度とせん断強度比との関係を示すグラフである。 本発明の第7の実施の形態を示すもので、全体を楕円形にした補強板の正面図である。 本発明の第8〜第12の実施の形態を示すもので、(a)は第8の実施の形態の補強板の正面図、(b)は第9の実施の形態の補強板の正面図、(c)は第10の実施の形態の補強板の正面図、(d)は第11の実施の形態の補強板の正面図、(e)は第12の実施の形態の補強板の正面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る鋼矢板の縦継構造を示す斜視図である。
本実施形態では、上側の鋼矢板10と下側の鋼矢板10とが上下に接合されている。
鋼矢板10は、ハット形鋼矢板であり、鋼矢板本体11と、当該鋼矢板本体11の両側端縁に設けられた継手部12,12とを備えている。なお、鋼矢板はハット形鋼矢板に限ることはなく、例えばU形鋼矢板、直線形鋼矢板等であってもよい。
鋼矢板本体11は、断面中央に位置するウェブ13と、このウェブ13の両側端縁に設けられた左右一対のフランジ14,14と、当該フランジ14,14の側端縁に設けられた左右一対のアーム15,15とによって構成されており、当該一対のアーム15,15の側端縁に前記継手部12,12が設けられている。
このような鋼矢板10は、図示は省略するが、左右に隣り合う鋼矢板10,10の継手部12,12どうしを嵌合させることによって、横方向に連結され、これによって、鋼製壁が左右に連続して形成されるようになっている。
また、上下の鋼矢板10,10は接合されている。すなわち、鋼矢板10,10の鋼矢板本体11,11どうしは溶接によって接合されている。この場合、図示は省略するが上下の鋼矢板本体11,11の上下に対向する端部のうち何れか一方に開先部分を形成し、当該開先部分に溶接金属を流し込んで、当該開先部分を全断面溶接することによって、上下の鋼矢板本体11,11どうしが溶接によって接合されている。また、上下の鋼矢板10,10の上下に対向する継手部12,12どうしは溶接されておらず、単に当接されている。
このように、上下の継手部12,12どうしは溶接されていないので、上下に溶接される鋼矢板10,10においては、溶接されていない継手部12,12に相当する断面欠損を有している。
このため、本実施の形態では、前記断面欠損を補うべく、補強板20,20が上下の鋼矢板本体11,11にその縦継ライン16を跨ぐようにして外周を隅肉溶接によって接合され、これによっても鋼矢板本体11,11が溶接によって接合されている。ここで、縦継ライン16とは、上下の鋼矢板本体11,11を互いに突き合わせた際に生じる接合線のことであり、上下の鋼矢板本体11の一方の面と他方の面とにそれぞれ生じる。
本実施の形態では、上下の鋼矢板本体11,11の一方の面(凹形の鋼矢板本体11の凹部側の面)に生じる縦継ライン16を跨ぐようにして補強板20,20を配置するが、他方の面(凹形の鋼矢板本体11の凹部側と反対側の面)に生じる縦継ライン16を跨ぐようにして補強板20,20を配置してもよい。
前記補強板20は菱形に形成された菱形補強板20であり、以下の(1)および(2)を同時に満たすように形成されている。
(1)前記補強板20は1枚または複数枚あり、前記補強板20の1枚当たりの重量が全強菱形補強板1の重量より小さいこと。
(2)前記補強板20は、前記鋼矢板10,10に曲げが作用した際に、前記補強板20,20と前記鋼矢板本体11との溶接部分において、前記補強板20,20に生じる引張力に抵抗できるような溶接体積を有し、この溶接体積の合計が前記全強菱形補強板1を前記鋼矢板本体11に溶接する場合の溶接体積以下であること。
ここで、全強菱形補強板1について説明する。
図2に示すように、全強菱形補強板1とは、鋼板によって菱形板状に形成され、溶接されていない継手部12,12に相当する断面積欠損を補って、鋼矢板10,10の軸方向抵抗力および曲げ耐力を確保するために、継手部12,12を除く鋼矢板本体11,11どうしの縦継ライン16を跨ぐようにして当該鋼矢板本体11,11に外周溶接(隅肉溶接)される補強板のことを言い、例えば鋼管杭・鋼矢板技術協会が規定している菱形の補強板がある。
このような全強菱形補強板1は、その板面の対向する鈍角どうしを結ぶ直線1aを継手ライン16に一致するように配置され、当該全強菱形補強板1の外周(全周)が隅肉溶接によって鋼矢板本体11,11のウェブ13,13に接合される。
隅肉溶接の脚長をSとし、全強菱形補強板1の外周溶接長をLとすると、余盛など実際の溶接実態を踏まえると、溶接体積は脚長(S)×外周溶接長(L)で概略表すことができる(設計上は1/2×S×L)。
上述した(1)の条件については、本実施の形態では、補強板(菱形補強板)20は2枚あり、補強板20の1枚当たりの重量が全強菱形補強板1の重量より小さくなっている。
すなわち、図3に示すように、全強菱形補強板1を同形・同大の菱形に4分割したうちの一つを菱形補強板20とすると、2枚の菱形補強板20,20を備えている。
菱形補強板20と全強菱形補強板1とは同じ鋼板で形成され、同厚であるので、1枚の菱形補強板20の重量は全強菱形補強板1の1/4の重量となっている。
したがって、本実施の形態では(1)の条件を満たす。
次に上述した(2)の条件に対については、1枚の菱形補強板20の外周溶接長は、L/2となっており、菱形補強板20を2枚併せると、合計の外周溶接長はLとなり、全強菱形補強板1の外周溶接長Lと等しくなる。全強菱形補強板1の溶接体積は脚長(S)×外周溶接長(L)であるのに対し、2枚の菱形補強板20の合計の外周溶接長はLであり、脚長もSであるので、2枚の菱形補強板20の合計の溶接体積は脚長(S)×外周溶接長(L)となる。つまり、溶接体積は等しくなる。
したがって、2枚の菱形補強板20は、鋼矢板10に曲げが作用した際に、菱形補強板20と鋼矢板本体11との溶接部分において、菱形補強板20に生じる引張力に抵抗できるような溶接体積を有することになる。したがって、本実施の形態では(2)の条件を満たす。
さらに、本実施の形態では、2枚の菱形補強板20,20はその板面の対向する鈍角どうしを結ぶ直線20a,20aが前記継手ライン16に一致するように配置されている。このような2枚の菱形補強板20,20は、図1に示すように、上下の鋼矢板本体11,11のウェブ13,13に縦継ライン16の長手方向に所定間隔を隔てて隅肉溶接されて接合されているが、図3に示すように、2枚の菱形補強板20,20をそれらの鈍角部を突き合わせるようにして隣接配置したうえで、隅肉溶接されて接合されていてもよい。
さらに、本実施の形態では、2枚の菱形補強板20,20の縦継ライン16に沿う幅寸法の合計は、全強菱形補強板1の縦継ライン16に沿う幅寸法と等しくなっている。
また、本実施の形態では、2枚の菱形補強板20,20は、図1に示すように、上下の鋼矢板本体11,11のウェブ13,13に隅肉溶接によって接合されているが、これに代えて、または加えて、フランジ14,14やアーム15,15に隅肉溶接によって接合されていてもよい。
さらに本実施の形態では、1枚の菱形補強板20の重量が13kg未満となっている。
以上のように本実施の形態によれば、鋼矢板本体11,11どうしに、それらの縦継ライン16を跨ぐようにして溶接される菱形補強板20,20が2枚あり、当該菱形補強板20の1枚当たりの重量が全強菱形補強板1の重量より小さく、さらに、菱形補強板20は、鋼矢板10に曲げが作用した際に、菱形補強板20と鋼矢板本体11との溶接部分において、菱形補強板20に生じる引張力に抵抗できるような溶接体積を有し、この溶接体積の合計が全強菱形補強板1を鋼矢板本体11に溶接する場合の溶接体積と等しいので、継手部12,12による断面積欠損を補い曲げ耐力を確保するための菱形補強板20,20として必要な性能を保持しつつ、従来に比べて同等の溶接量で軽量とすることができる。
また、2枚の菱形補強板20,20の外周溶接長の合計が、全強菱形補強板1の外周溶接長と等しくなるので、溶接の脚長Sを等しくすることによって、2枚の菱形補強板20,20の外周溶接における溶接体積の合計が、全強菱形補強板1の外周溶接における溶接体積と等しくなる一方で、2枚の菱形補強板20,20の合計の重量は、全強菱形補強板1の重量より小さくなる。したがって、従来に比して、菱形補強板20の重量を削減しても、縦継箇所において従来仕様(全強菱形補強板1による溶接)と同様の軸力および曲げ耐力を確保できる。
さらに、1枚の菱形補強板20の重量が13kg未満であるので、一人の作業員が片手で持ち運び取り付け作業をすることが可能となり、従来からの手法に比べて縦継作業負荷を軽減できる。菱形補強板の軽量化により、現場作業性が向上する。
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態の鋼矢板の縦継構造に使用される補強板(菱形補強板)22を示す正面図である。
本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は補強板(菱形補強板)22の構成であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付して、その説明を省略することもある。
第2の実施の形態では、前記全強菱形補強板1を同形・同大の菱形に9分割したうちの一つを菱形補強板22とすると、3枚の菱形補強板22を備え、当該3枚の菱形補強板22は、その板面の対向する鈍角どうしを結ぶ直線22aが継手ライン16に一致するように配置されている。
上述した(1)の条件については、本実施の形態では、補強板(菱形補強板)22は3枚あり、補強板22の1枚当たりの重量が全強菱形補強板1の重量より小さくなっている。
すなわち、菱形補強板22と全強菱形補強板1は同じ鋼板で形成され、同厚であるので、1枚の菱形補強板20の重量は全強菱形補強板1の1/9の重量となっている。
したがって、本実施の形態では(1)の条件を満たす。
また、上述した(2)の条件に対については、1枚の菱形補強板22の外周溶接長は、L/3となっており、菱形補強板22を3枚併せると、合計の外周溶接長はLとなり、全強菱形補強板1の外周溶接長Lと等しくなる。全強菱形補強板1の溶接体積は脚長(S)×外周溶接長(L)であるのに対し、3枚の菱形補強板22の合計の外周溶接長はLであり、脚長もSであるので、3枚の菱形補強板22の合計の溶接体積は脚長(S)×外周溶接長(L)となる。つまり、溶接体積は等しくなる。
したがって、3枚の菱形補強板22は、鋼矢板10に曲げが作用した際に、菱形補強板22と鋼矢板本体11との溶接部分において、菱形補強板22に生じる引張力に抵抗できるような溶接体積を有することになる。したがって、本実施の形態では(2)の条件を満たす。
さらに、本実施の形態では、3枚の菱形補強板22,22,22はその板面の対向する鈍角どうしを結ぶ直線22a,22a,22aが前記継手ライン16に一致するように配置されている。このような3枚の菱形補強板22,22,22は、図示は省略するが、上下の鋼矢板本体11,11のウェブ13,13に縦継ライン16の長手方向に所定間隔を隔てて隅肉溶接されて接合されているが、図4に示すように、3枚の菱形補強板22・・・をそれらの鈍角部を突き合わせるようにして隣接配置したうえで、隅肉溶接されて接合されていてもよい。
さらに、本実施の形態では、3枚の菱形補強板22・・・の縦継ライン16に沿う幅寸法の合計は、全強菱形補強板1の縦継ライン16に沿う幅寸法と等しくなっている。
また、本実施の形態では、3枚の菱形補強板22,22,22は、第1の実施の形態と同様に、上下の鋼矢板本体11,11のウェブ13,13に隅肉溶接によって接合されているが、これに代えて、または加えて、フランジ14,14やアーム15,15に隅肉溶接によって接合されていてもよい。
さらに本実施の形態では、1枚の菱形補強板22の重量が13kg未満となっている。
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる他、1枚の菱形補強板22が1枚の菱形補強板20より軽量であるので、第1の実施の形態より現場作業性が向上するという利点がある。
(第3〜第5の実施の形態)
図5〜図7は、それぞれ第3〜第5の実施の形態の鋼矢板の縦継構造に使用される補強板(菱形補強板)23〜25を示す正面図である。
第3〜第5の実施の形態における菱形補強板23〜25は、図2(b)に示すような全強菱形補強板1より小さな菱形形状を有する補強板である。
図5〜図7にそれぞれ示すように、菱形補強板23〜25のそれぞれの長さをlp(mm)、幅をbp(mm)、厚さをt(mm)、重量をw(kg)、隅肉溶接の脚長をS(mm)、溶接体積をV(cm)とすると、既存のハット形鋼矢板45Hに対して現場で溶接加工をした場合、菱形補強板23〜25の仕様は表1に示すようになっている。また、表1には、第1および第2の実施の形態における菱形補強板20,22および従来の全強菱形補強板1の仕様も記載してある。補強板のスペックを算出する際は、継手部で溶接しない断面積欠損部の大きさや、鋼矢板・補強板・隅肉溶接の許容応力度は、従来仕様と同様の条件としている。また、溶接体積Vの値としては、縦継ラインで曲げ耐力を確保するために、従来と同様の矩形の補強板をアームに取り付けた隅肉溶接分も含んでいる。
Figure 2020033794
表1に示すように、第1および第2の実施の形態では、菱形補強板20,22の2枚合計幅bp(第1の実施の形態)または3枚合計幅bp(第2の実施の形態)、菱形補強板20,22の厚さt、隅肉溶接の脚長Sを、従来仕様の全強菱形補強板1と同じ設定としている。菱形補強板20,22は、溶接外周長の合計を従来仕様(全強菱形補強板1)と同じLとしつつ、鋼材重量をそれぞれ1/2、1/3に低減することができる。
また、第1および第2の実施の形態の菱形補強板20,22では、従来仕様(全強菱形補強板1)と合計の外周溶接長・脚長を同じにしているため、溶接体積は従来仕様と同等である。したがって、菱形補強板20,22の1枚当たりの鋼材重量を削減しても、縦継箇所において従来仕様と同様の軸力及び曲げ耐力を確保できる。
また、第3〜第5の実施の形態では、図示は省略するが、第1の形態と同様に、2枚ずつの菱形補強板23,24,25が、その板面の対向する鈍角どうしを結ぶ直線が前記継手ライン16に一致するように配置されている。このような2枚ずつの菱形補強板23,24,25は、上下の鋼矢板本体11,11のウェブ13,13に縦継ライン16の長手方向に所定間隔を隔てて隅肉溶接されて接合されているが、2枚ずつの菱形補強板23,24,25をそれらの鈍角部を突き合わせるようにして隣接配置したうえで、隅肉溶接されて接合されていてもよい。
上述した(1)の条件については、第3〜第5の実施の形態では、菱形補強板23〜25はそれぞれ2枚あり、菱形補強板23〜25のそれぞれの1枚当たりの重量が全強菱形補強板1の重量より小さくなっている。したがって、本実施の形態では(1)の条件を満たす。
また、上述した(2)の条件に対については、全強菱形補強板1の溶接体積は166cmであるのに対し、菱形補強板23〜25のそれぞれの2枚分の合計の溶接体積は、145cm、115cm、101cmであり、鋼矢板10に曲げが作用した際に、菱形補強板23〜25と鋼矢板本体11との溶接部分において、菱形補強板23〜25に生じる引張力に抵抗できるような溶接体積を有し、この溶接体積の合計が全強菱形補強板1を鋼矢板本体11に溶接する場合の溶接体積以下である。したがって、本実施の形態では(2)の条件を満たす。
また、第3〜第5の実施の形態においては、2枚ずつの菱形補強板23,24,25の合計幅bp、菱形補強板23,24,25の厚さtは従来仕様(全強菱形補強板1)と同じとしつつ、菱形補強板23,24,25の形状を第1の実施の形態と同様に2枚の菱形とし、隅肉溶接の脚長Sを従来仕様よりも低減している。実際の工事現場では、脚長に応じて溶接を行うパス回数が決まり、パス回数が少ない程、作業時間が少なくなり、一日当たりの矢板の施工枚数を増やすことができるためである。脚長Sを低減することで、菱形補強板23,24,25を鋼矢板本体11に溶接するためのトータルの溶接長は大きくなり、菱形補強板の長さlpは長くなるが、2つの菱形に分割することで、菱形補強板23,24,25、1枚当たりの重量は、従来仕様よりも軽くでき、一人作業員による片手での運搬作業が可能となる13kg未満に抑えることができる。また、脚長Sを小さくすることで、溶接体積の合計値を従来仕様よりも低減でき、加工コストや現場での溶接作業時間を削減することができる。実際の施工現場においては、数パスの作業が必要となる脚長12mm程度の溶接はサイズ不足となる虞があるが、必要な脚長を低減することで現場管理がし易く、溶接品質を確保し易くなり、溶接不良を避ける効果を期待できる。
(第6の実施の形態)
補強板として、第1〜第5の実施の形態のような菱形補強板20,22〜25をそのまま用いると、角部における鋭角点が増え、溶接端部での応力集中により、疲労亀裂の危険箇所が増えてしまうことが懸念される。そのため、図8に示す第6の実施の形態の菱形補強板26ように、鋭角部をなだらかな曲線状にして応力集中を避けることも可能である。
第6の実施の形態における菱形補強板26、すなわち菱形補強板の鋭角部が滑らかな曲面によって形成されている補強板において、菱形形状の鋼矢板の材軸方向両端部の鋭角部をなだらかな曲線状にした場合、縦継ラインに対する菱形外周傾き角度(θ)として下記式(1)を満足するようにすると、隅肉溶接部のせん断強度を確保しつつ、補強板の外周長を短くでき鋼重を削減できる。
図9に示すように、菱形補強板26の菱形の鋭角点において、鋭角ライン(長さcの部分)を曲線部(幅dの部分)に置換したとき、トータル溶接長は短くなる。但し、引張荷重(P)に対して、各溶接部に働く分力が異なり、溶接部に発生する応力が部位毎に異なってくるため、溶接部位の設定位置(荷重作用方向に対する溶接ラインの角度)によっては、トータル抵抗力を同等以上にすることができる。
図10に示すように、隅肉溶接部に対して任意の方向の引張荷重Pに対する分力は以下のようになる。
x方向分力:T=Psinθ
y方向分力:Ncosα=Pcosθ・cosα
z方向分力:Nsinα=Pcosθ・sinα
隅肉溶接ののど厚をa、溶接長をeとしたとき、のど断面に働く応力は以下のようになる。
x方向応力:τ=(P/ae)sinθ
y方向応力:τ=(P/ae)cosθ・cosα
z方向応力:σ=(P/ae)cosθ・sinα
せん断ひずみエネルギー説をベースに、単純せん断の破壊応力が単純引張の破壊応力の0.75倍となる実験結果から、隅肉溶接部で破壊が起こるときの条件として、各方向の応力の成分和の関係式として一般的に以下の式が示されている。
Figure 2020033794
よって、荷重Pに対して、ある方向の溶接断面に発生する応力pは以下のようになる。
Figure 2020033794
菱形の鋭角ラインの抵抗力Rは、鋭角ラインにおけるのど厚をaとし、α=45°を上式に代入すると以下のように求められる。
Figure 2020033794
曲線部における抵抗力Rは、曲線部におけるのど厚をaとし、引張荷重に対して直交する縦継ラインと平行な部分へ投影して近似すると、以下のように求められる。
=0.85σ・a×d
ここで、R≧Rであれば、鋭角ラインを曲線部に置換しても、隅肉溶接部における引張荷重Pに対する抵抗力が縮小することなく、合計の溶接長を削減できる。鋭角ラインと曲線部の関係として、
2C・cosθ=dが成り立つことから、以下の式を満足させることが条件となる。
Figure 2020033794
曲線ラインの曲率としては、菱形の直線と曲線が交わる接点において、菱形の直線が曲線の接線となる曲率より緩やかにすることで応力の流れを円滑にすることができる。
例えば、曲線部におけるのど厚を10mm、鋭角ラインにおけるのど厚を6mmとした場合、図11に示すように、菱形外周傾き角度として57°以下に抑えると、鋭角ラインから曲線部にしても全体引張力に対する抵抗力を確保できる。
第6の実施の形態の菱形補強板26のように、鋭角部をなだらかな曲線状にして応力集中を避けることも可能であるが、図12に示すように、第7の実施の形態の補強板27の全体を楕円形にして鋭角点をなくしてもいい。曲線状にして溶接長が短くなってしまう一方で溶接脚長を増やさない場合は、溶接量が不足するため、図8および図12に示すように、菱形補強板26または補強板27にそれぞれ厚さ方向に貫通する円形状の穴26a,27aを設けることで、溶接個所を増やしてもいい。
この場合、穴26a,27aの縁に沿った溶接長に2枚の菱形補強板26,26または補強板27,27の外周溶接長を加えた全体溶接長が、前記全強菱形補強板1の外周溶接長以上とする。
第6の実施の形態によれば、菱形補強板26の鋭角部が滑らかな曲面によって形成されているため、その分だけ鋭角部を有する菱形補強板に比して外周溶接長が短くなる場合に、菱形補強板26に設けられた穴26aの縁に沿って溶接することによって、穴26aの縁に沿った溶接長に2枚の菱形補強板26,26の外周溶接長を加えた全体溶接長が、全強菱形補強板1の外周溶接長以上となるように菱形補強板26,26を鋼矢板本体11に溶接することによって、溶接量を確保し必要耐力を確保できる。
また、菱形補強板の鋭角部が滑らかな曲面によって形成されている補強板において、菱形形状の鋼矢板の材軸方向両端部の鋭角部をなだらかな曲線状にした場合、縦継ラインに対する菱形外周傾き角度(θ)として上述した式(1)を満足するようにすると、隅肉溶接部のせん断強度を確保しつつ、補強板の外周長を短くでき鋼重を削減できる。
(第8〜第12の実施の形態)
図13(a)〜(e)は、第8〜第12の実施の形態における補強板をそれぞれ示す正面図である。
このような第8〜第12の実施の形態における補強板28〜32でも上述した(1)と(2)の条件を同時に満たしている。
また、第8〜第10の実施の形態における補強板28〜30では、全強菱形補強板1の外周ラインから内側への切欠き部を設けることで、補強板28〜30のそれぞれの全体の外周長の合計として、従来仕様の全強菱形補強板1、1枚の外周長以上の長さを確保しつつ、菱形よりも断面積を縮小させ鋼材重量を削減することが可能となり、材料費の削減、作業効率の向上、施工速度の向上をもたらすことができる。
また、第11の実施の形態における補強板31では、補強板31に厚さ方向に貫通する円形状の穴31a,31aが設けられ、当該穴31a,31aの縁に沿った溶接長に外周溶接長を加えた全体溶接長が、全強菱形補強板1の外周溶接長以上となっている。
このように補強板31の内部に穴31a,31aを設けることで、補強板31の重量を削減している。この穴31a,31aは運搬時の把持部として利用できるほか、外周溶接だけでは溶接量が不足する場合に、穴31a,31aに沿って溶接を施すことで溶接量を確保し必要耐力を確保できる。
また、第12の実施の形態における補強板32では、補強板32の軽量化を図るために、三角形状の2つの穴32a,32aを設けている。この2つの穴32a,32aは2等辺三角形状に形成され、その頂角に対向する辺どうしを合致させることで、外形の菱形と相似形の菱形形状を形成するようになっている。
第11および第12の実施の形態において、穴31a,31aや穴32a,32aを設ける位置としては、補強板31,32の縦継ライン16での引張強度を確保するために、縦継ライン16を挟んで両側に位置する穴31a,31a間や穴32a,32a間のせん断強度を確保すべく、縦継ライン16から穴,31a,32aの縁までの距離を、補強板31,32の幅の0.87倍以上を確保する。補強板31,32において、縦継ライン16を挟んで両側の穴31a,31a間や穴32a,32a間でせん断破壊面が2面形成されることを想定すると、当該せん断強度が、縦継ライン16の引張強度以上となるためには、以下の式を満足することが必要となる。
Figure 2020033794
これを式変形すると以下のようになる。
Figure 2020033794
また、第8〜第10実施の形態において、菱形外周ラインから内側への切欠き部を設ける場合も、縦継ライン16から切欠き部の最近傍点までの距離として、上式による距離を確保することが好ましい。
また、第1〜第12の実施の形態において、疲労き裂の起点となる、補強板の取り付け端(菱形補強板の場合の長軸方向端部の鋭角点)の応力集中は、取り付け長さ(lp)の影響を受け、lpが長いほど取り付け端への応力集中が大きくなる。また、縦継ライン位置の補強板の剛性と、取り付け端の剛性の差が大きくなるほど、取り付け端への応力集中は大きくなる。
特にlpが300mm以上となると、疲労き裂の起点となる溶接止端部の応力集中は、たとえグラインダーにより滑らかな面となるよう止端を仕上げたとしても、溶接ルート部が疲労き裂の起点となり、止端仕上げの効果を期待できなる。そのため、取り付け端への応力集中を緩和するために、鋭角点近傍に穴を開け、縦継ライン位置の補強板の剛性と比較した場合の、取り付け端近傍の剛性差変化を緩和することが有効である。このため、補強板の長軸方向の長さが300mm以上の場合、取り付け端付近の応力集中を緩和するために、補強板の中心となる縦継ライン16から150mm以上離れた位置に、穴を設けることが好ましい。
1 全強菱形補強板
10 鋼矢板
11 鋼矢板本体
12 継手部
13 ウェブ
14 フランジ
16 縦継ライン
20,22〜26 菱形補強板(補強板)
27〜32 補強板

Claims (6)

  1. 継手部を有する鋼矢板どうしを材軸方向に連結する鋼矢板の縦継構造であって、
    前記継手部を除く鋼矢板本体どうしが溶接によって接合され、前記継手部どうしは溶接されておらず、
    前記鋼矢板本体どうしに、それらの縦継ラインを跨ぐようにして補強板が溶接され、
    前記補強板は、以下の(1)および(2)を同時に満たすように形成されていることを特徴とする鋼矢板の縦継構造。
    (1)前記補強板は1枚または複数枚あり、前記補強板の1枚当たりの重量が全強菱形補強板の重量より小さいこと。
    (2)前記補強板は、前記鋼矢板に曲げが作用した際に、前記補強板と前記鋼矢板本体との溶接部分において、前記補強板に生じる引張力に抵抗できるような溶接体積を有し、この溶接体積の合計が前記全強菱形補強板を前記鋼矢板本体に溶接する場合の溶接体積以下であること。
  2. 前記補強板にその厚さ方向に貫通する穴が設けられ、当該穴の縁に沿った溶接長に前記補強板の外周溶接長の合計を加えた全体溶接長が、前記全強菱形補強板の外周溶接長以上であることを特徴とする請求項1に記載の鋼矢板の縦継構造。
  3. 前記全強菱形補強板を同形・同大の菱形に4分割したうちの一つを菱形補強板とすると、
    前記補強板は、2枚の前記菱形補強板によって構成され、
    前記菱形補強板は、その板面の対向する鈍角どうしを結ぶ直線が前記継手ラインに一致するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼矢板の縦継構造。
  4. 前記菱形補強板の鋭角部が滑らかな曲面によって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の鋼矢板の縦継構造。
  5. 2枚の前記菱形補強板にそれぞれ厚さ方向に貫通する穴が設けられ、当該穴の縁に沿った溶接長に2枚の前記菱形補強板の外周溶接長を加えた全体溶接長が、前記全強菱形補強板の外周溶接長以上であることを特徴とする請求項3に記載の鋼矢板の縦継構造。
  6. 1枚の前記補強板または1枚の前記菱形補強板の重量が13kg未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋼矢板の縦継構造。
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