JP6325809B2 - 鋼矢板の接合方法 - Google Patents
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Description
杭圧入機は、機械本体の下部に設けられ、既設の杭を掴むクランプ装置と、機械本体の前端部に設けられ、既設の杭に隣接した位置に圧入する杭を挟んで保持するチャック装置とを備えている。この杭圧入機は、クランプ装置で既設杭の上端側を掴み、その既設杭から反力を取った状態で、杭を把持するチャック装置を降下させるようにして、杭を地中に圧入するようになっている。
そして、杭圧入機を用いて硬質地盤に対して杭(例えば鋼矢板)の圧入施工を行う場合に、オーガ装置を併用することがある(例えば、特許文献1,2,3参照。)。
例えば、一方の鋼矢板の上端面と他方の鋼矢板の下端面を対向させて鋼矢板同士を縦継ぎする接合方法としては、その対向させた箇所の表側の溶接を行った後さらに裏側のガウジングを行って裏側の溶接を行うといった方法や、その対向させた箇所に裏波溶接を行うといった方法が知られている。
また裏波溶接であれば鋼矢板の裏側に作業スペースは無くてもよいが、裏波溶接は熟練を要する作業であり、溶接作業者の技量によって溶接部分の品質が左右されてしまうので、安定した接合強度を確保することが難しいという問題が生じる。
オーガ装置を併用し、鋼矢板を掴むパイルチャック部と前記オーガ装置のオーガケーシングを掴むケーシングチャック部とを有するチャック装置を備えた杭圧入機を用いて鋼矢板を地中に圧入する過程で、鋼矢板を縦継ぎする鋼矢板の接合方法であって、
一方の鋼矢板の上端部における前記オーガ装置のオーガケーシングが配されている面側に、裏当て金を接合する工程と、
前記一方の鋼矢板の上端に他方の鋼矢板の下端を対向させ、前記オーガケーシングが配されている面側とは反対面で、その対向させた箇所を開先溶接する工程と、
を有し、
前記裏当て金を接合する工程では、
前記チャック装置により前記オーガケーシングと前記鋼矢板との間に前記裏当て金を挿し込むことができる隙間を形成することを特徴とする。
前記一方の鋼矢板と前記他方の鋼矢板とを開先溶接した後、前記一方の鋼矢板および前記他方の鋼矢板の開先溶接した面側に添接板を接合する工程を備えることを特徴とする。
杭圧入機10は、図1に示すように、鋼矢板Pをチャック装置15で掴んで地中に圧入する機械であり、既に地中に埋設された既設の鋼矢板P(既設杭P)の上端側を掴んで支持する複数のクランプ装置11…を備えたサドル12と、サドル12に対して前後動可能なスライドベース13と、スライドベース13上で左右に旋回可能なリーダーマスト14と、リーダーマスト14の前面に昇降可能に取り付けられたチャック装置15と、リーダーマスト14に対してチャック装置15を昇降駆動するメイン油圧シリンダ16等を備えている。
オーガ装置20は、その先端部にオーガヘッドHを交換可能に備えるオーガスクリューSと、オーガスクリューSの周囲を覆う略筒状のオーガケーシングKと、オーガスクリューSを回転させる駆動モーターM等を備えて構成されている(図1参照)。なお、オーガ装置20の構成や動作は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
特に、クランプ装置11は、掴んで支持した既設の鋼矢板Pから反力を取って、杭圧入機10が新たに鋼矢板Pを圧入したり、埋設されている鋼矢板Pを引き抜いたりすることができるように、杭圧入機10を既設杭Pの上端部に固定し設置するようになっている。
なお、クランプ装置11が備える固定クランプ爪と可動クランプ爪とからなるクランプ爪や、可動クランプ爪を駆動させる油圧シリンダの構成や、クランプ爪が鋼矢板Pを掴む動作は周知であるので、ここでは詳述しない。
また、リーダーマスト14は、スライドベース13に対し左右に旋回してチャック装置15の向きを変えることにより、順次並んで圧入される杭の列の方向を直角に曲げたり、湾曲して曲げたりすることが可能となっている。
また、チャック装置15の内部には、鋼矢板Pを掴むパイルチャック部(図示省略)と、オーガ装置20のオーガケーシングKを掴むケーシングチャック部(図示省略)とが設けられている。そして、チャック装置15に挿通された鋼矢板PやオーガケーシングKを、図示しない油圧シリンダの駆動により作動するパイルチャック部やケーシングチャック部で把持して保持することができる。なお、チャック装置15が備える各チャック部や、各チャック部を駆動させる油圧シリンダの構成や動作は周知であるので、ここでは詳述しない。
なお、杭圧入機10が杭列上を自走する動作は周知であるので、ここでは詳述しない。
そして、オーガ装置20を併用した杭圧入機10を用いて鋼矢板Pを地中に圧入する過程で鋼矢板Pを縦継ぎする場合、まず、一方の鋼矢板Pを所定の深度まで圧入する。
次いで、図2(a)(b)に示すように、その一方の鋼矢板Pの上端部におけるオーガ装置20のオーガケーシングKが配されている面側に、裏当て金1を隅肉溶接によって接合する。このとき、鋼矢板Pの裏面側にオーガケーシングKが近接して配置されているが、例えば、チャック装置15のケーシングチャック部でオーガケーシングKを保持しつつ、鋼矢板Pを掴んだパイルチャック部を横方向にずらすことで、オーガケーシングKと鋼矢板Pの間に裏当て金1を挿し込むことができる隙間をつくることができる。
裏当て金1は、図3(a)(b)に示すように、鋼矢板Pのウェブ部分に沿う平面部1aと、平面部1aの両側であって鋼矢板Pのフランジ部分に沿う折曲部1b,1bを備えている。
例えば、裏当て金1は、U形鋼矢板のII型、III型、IV型、VL型、VIL型、IIw型、IIIw型、IVw型や、ハット形鋼矢板900(10H,25H)や、ハット形鋼矢板600mm幅(近接施工用土留鋼材 NS−SP−J)などに対応させたものが、各種準備されている。
そして、オーガケーシングKが配されている裏面側とは反対側の鋼矢板Pの表面における、一方の鋼矢板Pと他方の鋼矢板Pとを対向させた箇所にガウジングを施して開先溶接する。この開先溶接によって鋼矢板P間に溶接ビード2が形成され、一方の鋼矢板Pと他方の鋼矢板Pとが接合される(図4(a)参照)。なお、開先角度θは45±5[°]であることが好ましい。
また、開先溶接後に、他方の鋼矢板Pと裏当て金1とを隅肉溶接によって接合することが好ましい。
添接板4,5は、一方の鋼矢板Pと他方の鋼矢板Pとに跨って溶接され、一方の鋼矢板Pと他方の鋼矢板Pとを接合する鋼板である。
ここでは、鋼矢板Pのウェブ部分に、比較的大きな略菱形の添接板4が接合されており、また、鋼矢板Pのフランジ部分に、比較的小さな略矩形の添接板5が接合されている。
この添接板4,5を一方の鋼矢板Pと他方の鋼矢板Pとに跨らせ、その表面に添えて溶接することによって、開先溶接部分を補強することができる。
そして、所定の深度に鋼矢板Pが達するまで、換言すれば縦継ぎされた鋼矢板Pが必要な長さになるまで、こうした鋼矢板Pの接合を繰り返して行う。
そして、裏当て金1の隅肉溶接や鋼矢板Pの表面への開先溶接、また添接板4,5の隅肉溶接といった、比較的簡易な技法によって鋼矢板Pを接合することができるので、溶接作業者の技量に関係無く、欠陥の無い健全なビードの形成が可能となり溶接部分の品質向上や施工能率の向上を図ることができる。
特に、鋼矢板Pの形状に合わせた裏当て金1を用いることによって、その裏当て金1を鋼矢板Pの裏面に密着させるように配することができ、鋼矢板Pの表面への開先溶接を行う際に、鋼矢板Pの裏側へ溶融金属が抜け落ちるのを防止することができる。
そして、裏当て金1を用いて開先溶接時に鋼矢板Pの裏側への溶融金属の抜け落ちを防止することで、溶接部分の品質を向上させることができ、良好な接合強度で鋼矢板P同士を接合することができる。
2 溶接ビード
3 添接板
4 添接板
10 杭圧入装置
15 チャック装置
20 オーガ装置
K オーガケーシング
P 鋼矢板(既設杭)
Claims (2)
- オーガ装置を併用し、鋼矢板を掴むパイルチャック部と前記オーガ装置のオーガケーシングを掴むケーシングチャック部とを有するチャック装置を備えた杭圧入機を用いて鋼矢板を地中に圧入する過程で、鋼矢板を縦継ぎする鋼矢板の接合方法であって、
一方の鋼矢板の上端部における前記オーガ装置のオーガケーシングが配されている面側に、裏当て金を接合する工程と、
前記一方の鋼矢板の上端に他方の鋼矢板の下端を対向させ、前記オーガケーシングが配されている面側とは反対面で、その対向させた箇所を開先溶接する工程と、
を有し、
前記裏当て金を接合する工程では、
前記チャック装置により前記オーガケーシングと前記鋼矢板との間に前記裏当て金を挿し込むことができる隙間を形成することを特徴とする鋼矢板の接合方法。 - 前記一方の鋼矢板と前記他方の鋼矢板とを開先溶接した後、前記一方の鋼矢板および前記他方の鋼矢板の開先溶接した面側に添接板を接合する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の鋼矢板の接合方法。
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