JP3870146B2 - 岩盤への杭打用杭とその杭打工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は杭打用杭と、その杭を岩盤へ打設する際に、杭の打撃力により粉砕された粉砕岩を噴射水で排除しながら杭打ちをする岩盤への杭打工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の岩盤への杭打工法においては、H形鋼、I形鋼、鋼矢板及び鋼管杭等を振動杭打機により岩盤へ打設する際に、杭の先端に導水パイプの先端を固定して、多量の高圧水を噴射させ、杭先端部の粉砕岩を噴射水により排出して杭打の効果を高めるようにしたが、この工法ではN値(重量63.5kgのハンマーを75cm自由落下させ、標準貫入試験用サンプラーを30cm打ち込むのに要する打撃数)が50以上の硬土、岩盤には打込みが不可能とされていた。
【0003】
そこで上記のごとく不可能とされていた岩盤にでも杭等を容易に打ち込むことができ、しかも、作業能率が高く、経済的な岩盤への杭打工法(例えば、特許文献1参照)が実用化されている。
【0004】
【特許文献1】
特公昭57−13690号公報
【0005】
上記の実用化されている工法においては、図11に示すクレーンCからは振動杭打機、例えばバイブロハンマーAが吊り下げられており、このバイブロハンマーAには、岩盤Dに打ち込む杭本体1がバイブロハンマーAから発振する振動が伝達するように取り付けられている。
【0006】
また、この杭本体1には、好ましくはその内側縁部に沿わせて数本の導水パイプ2がその先端を杭本体1の岩盤Dへの打撃点(先端部)近傍に位置するように配置され、この導水パイプ2は、杭本体1に対して自由な状態、例えば上下方向、および水平方向にも移動可能に取り付け、この導水パイプ2は破砕岩を杭本体1の打撃点から排除できる圧力と水量をその先端の図14に示すノズル4から噴射させるように、例えば高水圧ポンプBと連結されている。
【0007】
さらに、導水パイプ2を杭本体1の内側縁部に沿わせ所定の範囲内で上下方向若しくは水平方向にも移動可能に図12に示すように取り付けている。
【0008】
即ち、図12において、H形鋼の場合にはウエッブ1aとそれぞれ平行に振れ止め金物3をそれぞれ両方のフランジ1b,1b′に固着して、振れ止め金物3とウエッブ1aとの間に形成された空隙に導水パイプ2を遊嵌している。
【0009】
ここで、導水パイプ2は上方で、ワイヤーまたはチェーン等吊り金物で、ある程度の余裕を持って杭本体1に取付けられている。
【0010】
一方、杭本体1が鋼管の場合には図13に示すように、例えば導水パイプ2を二本使用する場合において、鋼管の内縁に沿って相対向して二個所にそれぞれ振れ止め金物3を取り付け、鋼管の内縁と振れ止め金物3とにより形成されたそれぞれの空隙に導水パイプ2を遊嵌させている。
【0011】
そこで、船上にて杭本体1に高圧の導水パイプ2を吊り金物で取り付け、次に高水圧ポンプBを始動させてノズル4の点検を行なった後、杭本体1を立設させて、バイブロハンマー(振動杭打機)Aを杭本体1の末端に取り付け、この状態から高水圧ポンプBを始動し、バイブロハンマーAを始動させて杭本体1を打込む。
【0012】
この打込みの際、バイブロハンマーAによる振動が杭本体1に伝達されるので、杭本体1の先端は岩盤Dを打撃し、この打撃により杭本体1の先端で岩盤Dが打撃された部分を粉砕するとともに、杭本体1は反力により岩盤Dから離反する。この時、粉砕岩は導水パイプ2のノズル4から噴射される噴射水により排除されるので、杭本体1が続いて岩盤Dを打撃する時には粉砕岩によるクッションがないことと、導水パイプ2に逆噴射力が作用しても杭本体1には逆噴射力が作用しないため杭本体1のエネルギーが減殺されずにその先端が岩盤Dを打撃するので岩盤Dを容易に破砕できることを特徴としている。
【0013】
岩盤の強度が一軸圧縮強度(qu)で150kgf/cm2 (14,700KN/m2 )を越えるような硬い岩盤への杭打施工では、杭本体1が普通鋼の杭材では変形する恐れがあり、また岩盤強度がqu=150kgf/cm2 (14,700KN/m2 )以下であっても、岩盤への根入れが長く、1本(枚)の杭本体1の打設時間が15分を超える杭打施工の場合には、杭材が変形する恐れがある。
【0014】
そこで、岩盤の強度による杭材の変形や、岩盤への根入れが長い場合の杭材の変形を考慮する必要があるが、前記の実用化された杭打工法においては、そのような考慮ははらわれていなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来は不可能とされていた岩盤にでも杭類を容易に打ち込むことができ、しかも作業能率が高く経済的な岩盤への杭打工法において、その杭本体の下部先端に補強鋼を取付けて杭打施工をし、その岩盤強度、打設時間および岩盤への根入れ長さを考慮した補強を行なって確実な杭打施工を行ないうる岩盤への杭打工法を提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、杭本体の下端に補強鋼を固着し、補強鋼のフランジ同士又はフランジとウエブを夫々連結するごとく補強部材を、夫々の補強鋼の下端より上方に取付けた岩盤への杭打用杭からなり、また杭による杭打工法は、杭本体と導水パイプとからなり、該導水パイプは該杭本体に対して上下方向に移動可能で、かつ隣接して該杭本体に取付けられ、該杭本体の先端を振動杭打機により岩盤に打ちつけて岩盤を破砕し、この破砕した岩石を該導水パイプからの噴射水で排除することにより岩盤中に杭を打込む岩盤への杭打工法において、杭本体の下端に補強鋼を固着し、補強鋼のフランジ同士又はフランジとウエブを夫々連結するごとく補強部材を、夫々の補強鋼の下端より上方に取付けた岩盤への杭打工法からなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の杭打用杭とその杭打工法の実施の形態を説明する。
【0018】
本発明の基本原理は、前記図11で説明したように、導水パイプ2を杭本体1に対して上下方向に移動可能に、かつ隣接して杭本体1に取付け、その導水パイプ2の先端に取付けたノズル4からの水噴射による洗浄機能で岩盤Dへの直接杭打ちを行なう工法を用いるものであるが、図1の本発明の実施形態では、その鋼矢板からなる杭本体1の下部先端に補強鋼8を溶接し、杭本体1と補強鋼8にわたって当て板9を、その下端が補強鋼8の下端より上方に位置するごとく取り付けている。
【0019】
この補強鋼8の高さ寸法tは、杭本体1を杭打ちする岩盤の強度が大きい程、また打設時間が長くかかる程大きくする。図1の鋼矢板からなる杭本体1は、セクションS、フランジF、そしてウエブWからなり、杭本体1と補強鋼8にわたって取付ける当て板9は、杭打ち施工をする岩盤の強度quが小さいものから大きい順に、そして打設時間が短いものから長い順に等級を1から2、3、4とした場合、等級1の場合には図2のように鋼矢板からなる杭本体1の先端には補強鋼8のみを溶接して当て板9は用いない。等級2の場合には図3の鋼矢板の先端に溶接した補強鋼8のセクションSに対してのみ当て板9を取付け、また等級3の場合には図4に示すごとく、セクションSおよびウエブWに対して当て板9を取り付け、最も岩盤強度が高く、かつ打設時間が長い等級4の場合には図5に示すごとく、セクションS、ウエブW及びフランジFの全てに当て板9を取付けるようにしている。
【0020】
次に、H形鋼からなる杭本体1の場合には、図6〜図10に示すごとく、その杭本体1の下端に補強鋼8を溶接し、補強鋼8のフランジF同士、またはフランジFとウエブWを夫々連結するごとく補強部材10をそれぞれの補強鋼8の下端より上方に溶接する。
【0021】
つまり、岩盤の強度や打設時間による杭打ち施工の等級が1の場合には、図7のごとくH形鋼の下端に補強鋼8だけを溶接し、補強部材10は用いない。等級が2の場合には図8に示すごとく、フランジFとウエブWと補強部材10で補強する。
【0022】
また、等級が3の場合には図9に示すごとく両フランジF,F間にわたって補強部材10を介在させ、さらに等級4の場合には、図10に示すごとく、図9の状態にさらに斜行する補強部材10をフランジFとウエブW間に介在させる。
【0023】
【発明の効果】
以上に説明した本発明の工法によれば、導水パイプが杭本体に対して上下方向に移動可能で、かつ隣接して杭本体に取付けられており、杭本体が岩盤に打ちつけられ反発し、跳ね上がったとき、導水パイプの先端は未だ岩盤付近にあって、噴射水で杭本体の先端を岩盤に打ちつけて破砕した岩盤を排除し、次いで導水パイプが噴射力で、杭本体の反発から遅れて跳ね上がり、この時に杭本体は次の打撃のために落下して再び岩盤を打撃し、これらの上下運動を交互に繰り返しながらN値50以上の岩盤を容易に杭打ちができるとともに、特に本発明では、岩盤強度及び打設時間により杭本体の下部の先端に補強鋼を取付けて杭打ち施工する場合、その岩盤強度や打設時間及び岩盤への根入れ長さの等級に応じて杭本体と補強鋼とにわたって当て板や補強部材を溶接等で取り付けて補強しているので、岩盤強度が高かったり、岩盤への根入れ長さや打設時間が長い場合にも杭本体が変形する恐れなしに岩盤への杭打ち施工が円滑に施工できる。特に重要なことは、それらの補強部材は杭本体の先端部が岩盤に衝突して貫入することにより生じた孔を利用して岩盤中に入るようにしたので、貫入のための抵抗とならないようにした点である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の杭打工法の実施形態において使用される鋼矢板からなる杭本体の下端に補強鋼を溶接した説明用斜視側面図である。
【図2】図1の杭本体を等級1の岩盤に使用する場合を示す断面図である。
【図3】図1の杭本体を等級2の岩盤に使用する場合を示す断面図である。
【図4】図1の杭本体を等級3の岩盤に使用する場合を示す断面図である。
示す断面図である。
【図5】図1の杭本体を等級4の岩盤に使用する場合を示す断面図である。
【図6】本発明の杭打工法の実施形態において使用されるH形鋼からなる杭本体の下端に補強鋼を溶接した説明用斜視側面図である。
【図7】図6の杭本体を等級1の岩盤に使用する場合を示す断面図である。
【図8】図6の杭本体を等級2の岩盤に使用する場合を示す断面図である。
【図9】図6の杭本体を等級3の岩盤に使用する場合を示す断面図である。
【図10】図6の杭本体を等級4の岩盤に使用する場合を示す断面図である。
【図11】従来実用化されている杭打工法の例を示す説明図である。
【図12】図10の杭本体がH形鋼である例の断面図である。
【図13】図10の杭本体が鋼管である例の断面図である。
【図14】図10の導水パイプの先端のノズルの斜視図である。
【符号の説明】
1 杭本体
2 導水パイプ
8 補強鋼
9 当て板
10 補強部材
A 振動杭打機
D 岩盤
F フランジ
W ウエブ

Claims (2)

  1. 杭本体の下端に補強鋼を固着し、補強鋼のフランジ同士又はフランジとウエブを夫々連結するごとく補強部材を、夫々の補強鋼の下端より上方に取付けた岩盤への杭打用杭。
  2. 杭本体と導水パイプとからなり、該導水パイプは該杭本体に対して上下方向に移動可能で、かつ隣接して該杭本体に取付けられ、該杭本体の先端を振動杭打機により岩盤に打ちつけて岩盤を破砕し、この破砕した岩石を該導水パイプからの噴射水で排除することにより岩盤中に杭を打込む岩盤への杭打工法において、杭本体の下端に補強鋼を固着し、補強鋼のフランジ同士又はフランジとウエブを夫々連結するごとく補強部材を、夫々の補強鋼の下端より上方に取付けた岩盤への杭打工法。
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