JP4435016B2 - 連結鋼管杭及び連結鋼管矢板の打抜装置 - Google Patents
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Description
図5(A)は、公知の鋼矢板1sをチャック2で把持した状態を模式的に描いた斜視図、(B)は同じく水平断面図である。
図5(C)は、代表的な公知例のチャック3の模式的な垂直断面図であって、二又状の本体3aに油圧シリンダ3bが設けられている。3cはチャッキングプレートであって、この図には鋸歯状の断面が現れているが、片側の面に滑り止めの凹凸が形成された硬質の部材である。2個のチャッキングプレートの間に杭を挟みつけて把持する構造になっている。
図5(D)は、上記と異なる代表的な公知例のチャック4の模式図であって、チャック本体と一体に形成された固定アーム4aに対して可動アーム4bが回動可能に軸支され、油圧シリンダ4dによって開閉駆動される。4eはチャッキングプレートである。
図6は、公知の鋼管杭1pをチャック2で把持した状態を模式的に描いた斜視図、(B)は同じく水平断面図である。
この新規な「連結された鋼管から成る杭」は、比較的軽量で剛性が大きく、工業的生産に適している等、多くの長所が有って急速に普及しつつある。
しかし、従来には無かった新規な形状の鋼杭であるため、これを杭打抜機によって把持するに好適なチャックが未だ開発されていないのが現状である。
図7(A)は公知の1例である連結鋼管5を示す端面図である。2本の鋼管5aを平行に配置して、2枚のつなぎ板5bを溶接して一体の構造体が構成されている。上記つなぎ板は細長い長方形の鋼板である。
符号6cを付して示したのは杭継手である。
符号6e,6dを付して示したのは杭継手である。
厳密に言えば、この杭継手が無いものを連結鋼管杭と呼び、杭継手が有るものを連結鋼管矢板と呼ぶべきであるが、本発明の目的・構成・作用・効果について、杭継手の有無は関係が無いので、以下、紛らわしくない場合は、単に連結鋼管杭と言えば連結鋼管矢板を含むものとする。
図7(C)は、前掲の(B)図に示した連結鋼管6をチャックで把持して地中へ打込むための試案に係る未公知の連結鋼管7の端面図であって、チャック2で挟みつけて把持するためのつかみ板7a(斑点を付して示す)を溶接してある。
本発明者らの実験によれば、前記つかみ板7aを予め溶接しておくことによって、この連結鋼管7を杭として用い、杭打抜機によって打込み・引抜きを行ない得ることが確認された。
しかしながら、更に望むらくは前記のつかみ板7aを溶接する必要なく杭打ちできれば一層好都合である。
さらに、形状,寸法の異なる多種類の連結鋼管杭を同一の杭打抜機で打抜きできることが望ましい。
(図7参照)連結鋼管は、重量を軽減してしかも剛性を上昇せしめ得るという効果を奏するので、杭としても、また芯材その他の構造部材としても重宝される。ただし本発明は、これを杭として用いる場合を適用の対象とする。
そして、この連結鋼管杭に杭継手(6d,6e)を取り付けて連結鋼管矢板(図示せず)とし、隣接する連結鋼管矢板と結合される場合が少なくない。
(図7(C)参照)杭継手(6d,6e)を設けて他の構造部材と継手結合する場合、鎖線pで示した区域が大凡の打設指定席であって、この区域pの外には障害物が存在する可能性が有ると考えねばならない。特に、「杭継手によって結合されるべき、隣接する連結鋼管矢板(図示せず)」が、半ば打設されて自立状態に仮設されている場合が有り得る。
このため「杭チャック2を備えた杭打抜機」は、その平面投影における輪郭が前記の区域p(鎖線)内に収まることが望ましい。
本発明は上記の要請を容易にクリアーし得るように考慮を払って創作した。
2本の鋼管を平行に並べるとともに、該2本の鋼管を細長い鋼材によって一体的に連結してなる連結鋼管杭を打ち込み、および/または引き抜く装置において、
鋼管の中心線に垂直な面を想定し、この面上で2本の鋼管の中心点を結ぶ線をX軸とし、
起振機の下方に複数個のチャック(2)が設けられ、該チャック(2)が前記2本の鋼管のそれぞれを、X軸に関して対称な箇所で把持し得るようになっており、
前記複数個のチャック(2)が起振機に対し、スライド機構(9)を介して接続されていて、
上記スライド機構は、鋼管に直交する仮想の面に沿って相対的にスライドし、または回動し得る機能を有するものであることを特徴とする。
以上に説明した請求項1の発明方法によると、チャックを介して連結鋼管杭に加えられる重力荷重および杭打荷重の合力の作用線が、該連結鋼管杭の中心線と一致する。
このため、連結鋼管杭に対して、その長手方向に、均一な杭打抜力が与えられ、該連結鋼管杭を正しい方向に効率良く打ち込み、または引き抜くことができる。
その上、チャックによる連結鋼管の把持箇所が変わったり、連結鋼管の寸法が変わったりしても該連結鋼管を均一に把持することができる。
かつ、これらチャッキングプレートの複数種類が用意されていて、連結鋼管杭の形状,寸法に応じて着脱交換し得る構造であることを特徴とする。
以上に説明した請求項2の発明を適用すると、チャックによる連結鋼管の把持箇所が変わったり該鋼管の直径寸法が変わったりしても、チャックと連結鋼管とが均一に接触し、局部的な高圧で鋼管を傷つけたり曲げたりする虞れが無い。
このため、連結鋼管杭に対して、その長手方向に、均一な杭打抜力が与えられ、該連結鋼管杭を正しい方向に効率良く打ち込み、または引き抜くことができ、
かつ、チャックによる連結鋼管の把持箇所が変わったり該鋼管の直径寸法が変わったりしても、該連結鋼管を均一に把持することができる。
請求項2の発明によると、チャックによる連結鋼管の把持箇所が変わったり該鋼管の直径寸法が変わったりしても、チャックと連結鋼管とが均一に接触し、局部的な高圧で鋼管を傷つけたり曲げたりする虞れが無い。
符号8を付して示したのはチャック機構のベース板であって、図外の起振機の下部に固着されている。上記ベース板8の下側(本図(A)において紙面の手前側)に、スライド機構9を介して4組のチャック2A〜2Dが配設されている。
上記スライド機構は、ベース板8とチャックとを水平面で当接させ、ボルトナットと長孔(共に図示省略)で締結したものであって、水平面内の移動と回動とを調節できるようになっている。打ち抜き作業の対象である連結鋼管の仕様(形状寸法)が一定の場合は、上記スライド機構9を省略することもできる。
前記4組のチャックは相互に等しい構成機器であるが、説明の便宜上2A〜2Dと名付けて区別する。
上記4組のチャックは、平面図形において座標原点に関して対称に配置されている。
チャック2Bとチャック2Cとも座標原点Oに関して対称に配設されている。本発明を実施する際、少なくとも2組のチャック(例えばチャック2Aと同2Dと)が対称に位置していれば足りる。
本図の例においては、2組のチャック2Aとチャック2Bとを1グループと見、2組のチャック2Cとチャック2Dとを1グループと見たとき、上記双方のグループが座標原点Oに関して対称を成している。本発明を実施する場合、なるべく本例のように対称性を高く構成することが望ましい。
さらに、チャック2A,2Cとチャック2B,2Dとは、X軸に関して対称を成している。
このように各チャックを対称に配置しておくと、これらのチャックを介して連結鋼管6に与えられる振動および打抜力の合力の作用線が中心線と一致する。
鎖線で描かれているように大径の鋼管5bが溶接されている場合は、チャックによって矢印R−R′に挟みつけねばならない。
このような挟みつけ方向の変化に対応する一つの方策として、チャックを垂直軸周りに回動させることも有効である。チャックを垂直軸周りに回動させる手段としては、特開平10−147933号に開示された公知の機構を適用することができる。
鋼管の内周面の半径がr1,外周面の半径がr2である場合、半径r1の凸円柱面を有するチャッキングプレート10Aと、半径r2の凹円柱面を有するチャッキングプレート10Bとをチャック2の挟みつけ部に装着する。
鋼管の径が大きくなって、内周面の半径がR1,外周面の半径がR2になると、半径R1の凸円柱面を有するチャッキングプレート11A、および半径R2の凹円柱面を有するチャッキングプレート11Bに交換して装着する。これにより
、鋼管の被把持箇所の曲率の変化、および切線方向の変化に順応することができる。
この試案では、H型鋼6のウェブ6bwに平行な仮想の直径D−D上にチャック2が配置されていて、それぞれのチャック2が鋼管5aを、その直径方向に挟みつけて把持できるようになっている。この第2の試案は、比較的管径の小さい連結鋼管杭の把持に適している。
この図3(A)は、さらに、H型鋼6を挟みつけて把持するようにした構造のチャック15を点線で描いてある。本図3(A)に示した1組のチャック15でH型鋼6のウェブ6bwを挟みつけると、連結鋼管杭の打ち抜きに必要な把持力を得るために強い力で挟圧しても該H型鋼6が充分な剛性を示す。このような把持は、連結鋼管杭を圧入式打抜機で把持する場合に好適である。
その理由は次のとおりである。すなわち、振動式の杭打抜機は杭の上端部を把持して打抜作業を行なうことも、杭の中ほどの箇所を把持して打抜作業を行なうことも比較的容易である。しかし、圧入式の杭打抜機は通常、杭の長手方向に関して中ほどの箇所を該杭の外側から把持することが必要である。こうした観点から、チャックの1部分を連結鋼管の中へ挿入することなく、その外側から把持する構造のチャック15(点線)は圧入式の杭打抜機に好適である。
同様の観点から、H型鋼6のフランジ6bfの幅いっぱいに挟みつけたり、フランジ6bfの幅方向の端部(鋼管5aとの接合部)付近を挟みつけたりすることも推奨される。その理由は、フランジ6bf鋼管5a接されている箇所は、該鋼管5aによって補強された形になっているからである。
図3(B)は本発明を創作する過程における第3の試案を示し、実線で描いた2組のチャック2は、H型鋼6bのフランジ6bfの幅方向の端部を把持できるように、中心線(点)Oに関して対称に配設されている。
また、図3(B)に点線で描いたチャック2′は、H型鋼6bのウェブ6bwの中央部を把持できるように、中心線(点)Oに関して対称に配設されている。
前記図3(B)のチャック2のように配設し、またはチャック2′のように配設すると、連結鋼管杭に対して偏ることなく振動および/または打抜方向の力を与えることができる。
鋼管5aの肉厚寸法誤差や直径寸法の変化に対応できるように、直径D−D方向にスライドし得るスライド機構12が設けられている。
上記スライド機構12を設けておくと、前記のチャック2で鋼管5aを把持したとき、該鋼管を直径方向に押圧したり、直径方向に引っ張ったりすることなく正確かつ安定に把持することができる。
この図4(A)の参考例においては、比較的細長い形状のベース板8の両端付近に2個のチャック2が設置されている。これだけでは本発明の特徴を掴みにくいが、ベース板8に対し、スライド機構9を介してチャック2を装着することによって、座標原点Oに関して点対称の2箇所を把持できるようになる。
本発明の実施形態においては、図4(B)に示す如く、追加のベース板8´を設けて2組のチャック2を加えると、連結鋼管の4箇所を対称に把持するので、強い打ち抜き力を均等に与えることができる。
5…連結鋼管、5a…鋼管、5b…つなぎ板、6…連結鋼管、6a…鋼管、6b…H型鋼、6bf…フランジ、6bw…ウェブ、6c,6d,6e…杭継手、7…試案の連結鋼管、7a…つかみ板、8…チャックのベース板、8′…追加のベース板、9…スライド機構、10A,10B,11A,11B…チャッキングプレート、12…スライド、13…チャック、14…調節可能なチャック、15…チャック、16…作業対象杭。
Claims (2)
- 2本の鋼管を平行に並べるとともに、該2本の鋼管を細長い鋼材によって一体的に連結してなる連結鋼管杭を打ち込み、および/または引き抜く装置において、
鋼管の中心線に垂直な面を想定し、この面上で2本の鋼管の中心点を結ぶ線をX軸とし、
起振機の下方に複数個のチャック(2)が設けられ、該複数個のチャック(2)が前記2本の鋼管のそれぞれを、X軸に関して対称な箇所で把持し得るようになっており、
前記複数個のチャック(2)が起振機に対し、スライド機構(9)を介して接続されていて、
上記スライド機構は、鋼管に直交する仮想の面に沿って相対的にスライドし、または回動し得る機能を有するものであることを特徴とする、連結鋼管杭及び連結鋼管矢板の打抜装置。 - 前記複数個のチャックが、鋼管の内周面に対応する凸円柱面を有するチャッキングプレート(10A,11A)と、鋼管の外周面に対応する凹円柱面を有するチャッキングプレート(10B,11B)とを備えており、
かつ、これらチャッキングプレートの複数種類が用意されていて、連結鋼管杭の形状,寸法に応じて着脱交換し得る構造であることを特徴とする、請求項1に記載した連結鋼管杭及び連結鋼管矢板の打抜装置。
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