JP4997507B2 - 杭打抜機用チャックのアタッチメント - Google Patents
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Description
図5は、杭を正確に列設する工事を説明するために示した模式的な平面図である。
図5(A)は、多数の鋼矢板1が、継手を組み合わせて列設されている。その整列を規制するため導枠2が用いられている。
図5(B)は、ハット形矢板3が配列されている例であって、その整列を導枠4で規制されている。
なお、矢板とは板状の杭をいい、単に杭という場合は矢板を含む概念である。
符号4を付して示したのは導枠であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
導枠4を水面上に支持するため、導杭5と呼ばれる専用の杭が打設され、2本の導杭5,導杭5の上に導枠4が架け渡されている。
本例以外の構造の導杭も考えられるが、導枠によって規制される矢板(図5において符号1,3)と、導枠を支持する部材の支柱部分とは、互いに異なる型式の杭部材である。
この発明は、跳ねだし架台と定規(導枠と同意)との干渉を防止するための施工手順に関するものであって、水面上に定規(導枠)を設置する点で本願発明に類似しているが、杭を打設するという構成は含まれていない。
ところか、鋼矢板1,ハット形矢板3と、H型鋼杭部5bとは、杭材として異なる型式であるから同一のチャックで把持することができない。
そこで従来、一般には2台の杭打抜機(図示省略)を用い、その内の1台はH型鋼杭用のチャックを備えたものとし、他の1台は鋼矢板用またはハット形矢板用のチャックを備えたものとした。
(注)図示の鋼矢板1はJISに規定されており、詳しくはU形鋼矢板であるが、業界の通例として単に鋼矢板と言えばU形鋼矢板を意味する。
施工者がリース機を用いる場合はリース料金が高額となり、施工者が所有機を投入する場合は所有機械の稼働率が下がる。
こうした不具合を解消するため、杭打抜機の本体部分1個と、矢板用チャック1個と、H型鋼用チャック1個とを用いることも試みられた。即ち、1個の本体部分に対して2種類のチャックを着脱交換する工法である。
しかし、チャックの着脱交換を行なっている間、当該杭打抜機は作業を休止する。このため、杭の列設工事全体として工期が遅れてしまい、より多大な経済的損失を招いてしまうことになる。
図7は、主要な杭の断面図である。(A)はU形鋼矢板(略称:鋼矢板)1を示す。この種の杭は、固定爪7aと可動爪7bとによってウェブを挟みつけて把持される。
図7(B)はH型鋼杭6を示す。U形鋼矢板と同様にしてウェブを挟みつけて把持される。
ところが、U形鋼矢板やH型鋼杭には大小各種の型式が有るので、その大きさに適合するチャックを用いなければならない。
ハット形鋼矢板の形状寸法はJIS規格によって定められており、(C)図に示した10Hと(D)図に示した25Hとが有る。ただし、大小の種別は無く、杭継手間隔900ミリメートルに統一されている。
ハット形鋼矢板をチャックで把持する場合は、図のように2箇所のフランジ部をそれぞれ挟みつける。
固定爪7aと可動爪7bとを何れの側にしても良いのであるが、空間的余裕の少ない内側に固定爪7aを位置させるのが通例である。
(A)図のようにH型鋼杭を打ち抜きするには、起振機VにH型鋼用チャック8を装着しなければならない。
(B)図のようにハット形鋼矢板3を打ち抜きするには、起振機Vにハット形鋼矢板用チャック9を装着しなければならない。
先に図6を参照して説明したような事情、その他の事情によって、「H型鋼杭やU字形鋼矢板」と、ハット形鋼矢板とを交互に打ち抜きしなければならない場合、起振機Vに対してH型鋼用チャック8とハット形鋼矢板用チャック9とを着脱交換するには多大の時間と労力とを要し、著しく不経済である。
(注)(図7参照)U形鋼矢板の把持とH型鋼杭の把持とは同じチャック装置を兼用で きるが、ハット形鋼矢板はフランジの2箇所を把持しなければならないので、ハッ ト形専用のチャック装置を用いなければならない。
このため、図8(C)に示したように、同じハット形鋼矢板であっても、深いハット形鋼矢板25Hを打ち抜く際と、浅いハット形鋼矢板10Hを打ち抜く際とではチャック装置を着脱交換しなければならないという困難が有る。
チャック装置の着脱作業を免れるために2台の起振機Vを使用することは甚だ不経済である。
1台の起振機に対して、「U形鋼矢板及び又はH型鋼杭」と「浅いハット形鋼矢板(10H)又は深いハット形鋼矢板(25H)」とを交互に、かつ迅速容易に着脱交換し得る技術を提供するにある。
JIS規格SP−25Hハット形鋼矢板専用のチャック装着を装着してSP−25Hハット形鋼矢板を打ち抜きしている起振機であっても、
起振機に対してチャック装置を着脱交換することなく、迅速容易にU形鋼矢板又はH型鋼杭を把持して打ち抜きすることができる、杭打抜機用チャックのアタッチメントを提供することを目的とする。
後に詳しく説明するが、図10(B)に示した構造物は、10H専用チャックによってでも、25H専用チャックによってでも任意に挟みつけることができる。実際には、この図10(B)の構造物は如何にも弱々しいので補強リブを付して、図10(C)のような構造物として実用に供することとなる。
実線で描いた1対のチャック(9A,9A)によっても、鎖線で描いた1対のチャック(9B,9B)によっても、任意に把持したり解放したりすることができる。
図10(B)に描かれている垂直な4枚の板状部材は、図11において斑点を付して描かれている。説明の便宜上、これら4枚の垂直板をエレメント板と呼ぶ。
垂直とは、正常な使用状態における基準姿勢が地球に対して垂直であることを意味している。
杭用のチャックに対して着脱可能なベース部材の上に、フランジ連設体が固着されており、
上記のフランジ連設体は、垂直な4枚のエレメント板を有していて、次のように構成されていることを特徴とする。
すなわち、特定の型式のハット形鋼矢板(H10)を、2メートル以下の長さに切断して、ベース部材上に立てた状態を想定し、該ハット形鋼矢板の1対のフランジを抽出して、これら2枚のフランジに対応する2枚の垂直板を2枚のエレメント板とし、
前記と異なる型式のハット形鋼矢板(H25)を、2メートル以下の長さに切断して、ベース部材上に立てた状態を想定し、該ハット形鋼矢板の1対のフランジを抽出して、これら2枚のフランジに対応する2枚の垂直板を2枚のエレメント板とし、
上記計4枚のエレメント板によってフランジ連設体を構成する。
前記のフランジ連設体は、フランジに対応する4枚のエレメントに補強リブを設けて成り、
上記の補強リブが次のように構成されていることを特徴とする。
片方の型式のハット形鋼矢板のフランジに対応する2枚のエレメント板のそれぞれを、チャックの固定爪と可動爪とによって挟みつけた状態、および、他方の型式のハット形鋼矢板のフランジに対応する2枚のエレメント板を挟みつけた状態を想定し、何れの場合にもチャックの固定爪や可動爪と干渉しないように補強リブの形状寸法を設定する。
前記各2枚のエレメント板は、それぞれ、杭用チャックの中心線を含む仮想の面に関して対称であることを特徴とする。
上記の対称とは、いわゆる鏡像対称を意味するものである。
ベース部材の上に固着されている特定の型式(例えば10H)のハット形鋼矢板のフランジに対応する2枚のエレメント板からなるフランジ連設体は、これを特定の型式(10H)のハット形鋼矢板専用のチャック装着によって把持することができ、
かつ、前記ベース部材の上に固着されている他型式(例えば25H)のハット形鋼矢板のフランジに対応する2枚のエレメントから成るフランジ連設体は、これを他型式(25H)のハット形鋼矢板専用のチャック装着によって把持することができる。
しかも、前記のベース部材は杭用チャックに対して着脱可能であり、この杭用チャックはU形鋼矢板用のチャックとすることができる。(注)U形鋼矢板用チャックは、ほぼ同じ大きさのH型鋼杭を把持することができる。
そこで、予め、本発明アタッチメントのベース部材をU形鋼矢板用のチャックに装着しておいて、
起振機に装着されてハット形鋼矢板を把持し、打ち抜きしているハット形鋼矢板専用チャックの把持を解除し、本発明アタッチメントのフランジ連設体に持ち替えると、起振機を交換することなく、U形鋼矢板またはH型鋼杭を把持して打ち抜くことができる。
上述の作業の間に、起振機に対してチャック装置を着脱交換する操作を必要としない。
請求項1を適用して設けたエレメント板を、その把持操作の邪魔にならないように補強することができる。
フランジ連設体を把持したハット形鋼矢板専用チャックの中心線と、本発明に係るアタッチメントを介して杭用チャックに把持されたU形鋼矢板またはH型鋼杭の中心線とが同心に揃えられる。
このため、寸法的に正確であり、かつエネルギー効率の良い杭打抜作業を行なうことができる。
図9は、設計的に想定した仮想の平面図であって、符号11を付して示したのはベース部材である。このベース部材上に、浅いハット形鋼矢板10Hと、深いハット形鋼矢板25Hとを、それぞれ垂直に立てた状態を想定する。
鎖線で描いた浅いハット形鋼矢板10Hは、ウェブ10HWの両側にフランジ10HFが、更にその両側にアーム10HAが、一体に連設されている。
符号Haを付して示したのは、前記ベース部材11の中心を通り、該ベース部材に垂直な仮想の面である。
前記の浅いハット形鋼矢板を、前記仮想の垂直面Haに関して対称に配置する。
一つの垂直線を通る垂直面は無数に存在するが、本発明を実施する際、前記仮想の垂直面Ha,Hbは任意に設定することができる。
ただし本発明者らの実験的研究によれば、本例のように、相互に60度前後で交差するように垂直2面を設定すると好都合である(好都合ということの具体的な意味については図10(C)を参照して後に説明する)。
浅いハット形鋼矢板10Hを実体の部材としてベース部材11の上に直立させて固定すると、浅いハット形鋼矢板専用のチャック(図示省略)によってこれを把持することができる。この場合、十数メートルの長尺の鋼矢板を用いる必要は無いので、適宜の長さに切り用いれば良い。その長さ寸法は、要するに、チャックで把持するに必要で充分な程度であるが、いくら長くても2メートルは必要としない(ハット形鋼矢板の全幅寸法が900ミリメートルであるから、これと大差の無い長さが適当である)。
ところが、浅いハット形鋼矢板10Hと、深いハット形鋼矢板との両方をベース部材11の上に立設することができないという問題に直面する。
その理由は、浅いハット形鋼矢板用のチャック(図示省略)によって浅いハット形鋼矢板10Hを把持しようとすると、併設されている深いハット形鋼矢板が邪魔になって把持できない(その反対に、深いハット形鋼矢板25Hを把持しようとすると、今度は浅いハット形鋼矢板10Hが邪魔になって把持できない)からである。
図9において、浅いハット形鋼矢板10Hを把持するために必要なのは、その内で1対のフランジ10HFだけである。この、把持に必要な部分に斑点を付して示した。
同様に、深いハット形鋼矢板25Hを把持するに必要な部分は、その内で1対のフランジ25HFだけである。この、把持に必要な部分に斑点を付して示した。
上述のようにして斑点を付した部分をエレメント板と名付ける。
このエレメント板は、ハット形鋼矢板のフランジに対応する板状の部分であり、
また、ハット形鋼矢板用のチャック(図示省略)で把持するについての必要かつ充分な部分である。
ハッチングを付して示した部材はフランジに対応するエレメント板である。
この部材は図9において符号10HF,25HFを付した構成部分に相当しているが、鋼矢板の一部分ではなくて単品の板状部材であることを表して、10HF′,25HF′というようにダッシを付した。
符号12を付して示したのは、エレメント板を固着されたベース部材11を図外のH型鋼用チャック(図2を参照して後述)に装着するための継手フランジである。
図10(A)において、エレメント板10HF′と同25HF′とを同一平面上に揃えて配置すると見掛け上はエレメント板の数が減少する。しかし、機能的に2枚のエレメント板と等価であるから、本発明においては、これを2枚のエレメント板と見做す。
このように4枚の、フランジに対応するエレメント板10HF′,25HF′を設けると(図11参照)実線で描かれた1対の深ハット形鋼矢板用チャック9A,9Aでエレメント板25HF′,25HF′を把持することもでき、
鎖線で描かれた1対の浅ハット形鋼矢板用チャック9B,9Bによってエレメント板10HF′10HF′を把持することもできる。,
ただし、深ハット形鋼矢板用チャックと浅ハット形鋼矢板用チャックとは交互に交替してエレメント板を把持するのであって、同時に両方で把持することはできず、又、その必要も無い。
この状態は構造力学的に不安である。すなわち、エレメント板の上端付近に、板面と直交する方向の外力を受けると、付根付近(下端部)に大きい曲げ応力を生じて、変形したり破断したりする虞れが大きい。
そこで、適宜に補強リブを付して図10(C)のようなフランジ連設体14A,14Bを構成する。この状態の平面図を図10(D)に示す。
符号13を付して示したのは補強リブである。本実施形態においては2個のエレメント板が補強リブ13で連結されて、2個のフランジ連設体14A,14Bが形成されている。
このようにして2個のフランジ連設体を形成するについて、図9に示した2面の垂直面Ha,Hbの交角を約60度に設定すると好都合である。
図の左上部に描かれているエレメント板10HF′と同25HF′とが補強リブ13で連結され、さらに両端付近に補強リブ13を付してフランジ連設体14Aが構成されている。
図の右下部に描かれているエレメント板10HF′とエレメント板25HF′とが補強リブ13で連結され、さらに両端付近に補強リブ13を付してフランジ連設体14Bが構成されている。
図1(B)は、前述の(A)図に描かれた実施形態に係る構造体の斜視図である。
継手フランジ12はベース部材11に溶接されていて、図外のH型鋼用チャックに装着するための部材であり、取付ボルト用のボルト孔12aが穿たれている。
前記の継手フランジ12が、H型鋼用チャック8のチャック側フランジ8aに結合されている。
フランジ連結体14A,及び同14Bを利用すると、深いハット形鋼矢板用チャックでこれを把持することもでき、浅いハット形鋼矢板用チャックで把持することもできる。
一方、H型鋼用チャック8は、導杭5を形成するH型鋼杭部5bを把持することができる。また、図外のU形鋼矢板を把持することもできる。
前記実施形態と異なるところは、ベース部材11と継手フランジ12とを別体に構成することなく、円形ベース部材11にボルト孔11aを設けたことである。
これにより、図4に示したように、前記円形のベース部材11をチャック側フランジ8aに当接させてボルト15で結合することができる。
5a…アーム状部
5b…H型鋼杭部
8…H型鋼用チャック
8a…チャック側フランジ
10H…浅いハット形鋼矢板
10HA…アーム
10HF…フランジ
10HF′…フランジに対応するエレメント板(略称:エレメント板)
10HW…ウェブ
11…ベース部材
11a…ボルト孔
11R…円形ベース部材
12…継手フランジ
12a…ボルト孔
13…補強リブ
14A,14B…フランジ連設体
15…ボルト
25H…フランジ
25HA…アーム
25HF…フランジ
25HF′…フランジに対応するエレメント板(略称:エレメント板)
25HW…ウェブ
Claims (3)
- 杭用のチャックに対して着脱可能なベース部材の上に、フランジ連設体が固着されており、
上記のフランジ連設体は、垂直な4枚のエレメント板を有していて、次のように構成されていることを特徴とする、杭打抜機用チャックのアタッチメント。
特定の型式のハット形鋼矢板を、2メートル以下の長さに切断して、ベース部材上に立てた状態を想定し、該ハット形鋼矢板の1対のフランジを抽出して、これら2枚のフランジに対応する2枚の垂直板を2枚のエレメント板とし、
前記と異なる型式のハット形鋼矢板を、2メートル以下の長さに切断して、ベース部材上に立てた状態を想定し、該ハット形鋼矢板の1対のフランジを抽出して、これら2枚のフランジに対応する2枚の垂直板を2枚のエレメント板とし、
上記計4枚のエレメント板によってフランジ連設体を構成する。 - 前記のフランジ連設体は、フランジに対応する4枚のエレメントに補強リブを設けて成り、
上記の補強リブが次のように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載した杭打抜機用チャックのアタッチメント。
片方の型式のハット形鋼矢板のフランジに対応する2枚のエレメント板のそれぞれを、チャックの固定爪と可動爪とによって挟みつけた状態、および、他方の型式のハット形鋼矢板のフランジに対応する2枚のエレメント板を挟みつけた状態を想定し、何れの場合にもチャックの固定爪や可動爪と干渉しないように補強リブの形状寸法を設定する。 - 前記各2枚のエレメント板は、それぞれ、杭用チャックの中心線を含む仮想の面に関して対称であることを特徴とする、請求項1に記載した杭打抜機用チャックのアタッチメント。
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