JPH0211463Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、静荷重による杭打込・引抜き機（以
下「杭打機」という。）に着脱自在に装着される
アタツチメントとしての杭打込・引抜き装置に関
する。

（従来の技術） 土木建設工事の公害問題より、静荷重で打込む
無振動・無騒音の杭打機が出現してきたが、静荷
重で打込む方式であるので、その多くは、杭を挿
入する貫通穴と杭を挾持するチヤツキング機構を
有することを特徴としている。

（考案が解決しようとする課題） 従つて、杭打機の重量・強度・機構等より、作
業可能な杭の断面形状・広さに制約を受けるの
で、貫通穴に挿入できない杭はチヤツキングする
ことができない。従つて例えば、通常はコの字状
の鋼矢板を打込む杭打機では、Ｈ型或はＩ型等の
鋼材或はＴ字状等の特殊形状の鋼矢板を打込むこ
とができないため、これらの場合には、他の工法
や他の杭打機械を使用しなくてはならない。

しかも、これらを使用しても特殊形状の鋼矢板
等を少数本打込む割には、多くの手間と工数がか
かるばかりでなく、使用中の機械等を移動したり
休止したりしなければならないので非常に能率が
悪かつた。

本考案は、このような問題を解決して一つの杭
打機による作業範囲を拡大するための杭打込・引
抜き装置を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本考案の杭打込・引
抜き装置は、杭を挿通する切欠穴を上下方向に貫
通して形成すると共に前記切欠穴に連通する切欠
部を一側部に形成し、杭をチヤツキングする可動
爪と固定爪とが前記切欠部の対向壁面に対設して
構成された杭挾持部と、杭のチヤツキング状態で
上下動して杭を打込みまたは引抜く杭打込・引抜
き機のチヤツク内に挿入されて該チヤツクにより
挾持される案内部を有すると共に、上記杭挾持部
が一側に一体的に取り付けられた装置固着部とを
備えたことを特徴とする。

（作用） 杭挾持部は、その切欠穴に杭を挿入し、切欠部
の可動爪と固定爪とによつて杭をチヤツキングす
る構成であるため、Ｈ型、Ｉ型、Ｔ字状などの特
殊形状の鋼矢板であつても挾持できる。装置固着
部はこの杭挾持部を支持すると共に、その案内部
が杭打込・引抜き機のチヤツクに挾持されること
によつて杭打込・引抜き機への着脱部材として作
用する。従つて、装置固着部を既存の杭打込・引
抜き機のチヤツクに装着することによつて、その
杭打込・引抜き機は特殊形状の鋼矢板の打込み、
引抜き機能を備えるようになる。

（実施例） 以下、本考案の実施例について説明する。

本考案を杭打機或は杭抜き機にセツトして使用
した杭打込及び杭引抜きの機構は、荷重の方向が
逆になるだけで他は同様である。したがつて、説
明を簡潔にするため杭の打込みの場合についての
み説明する。そして、以下、「杭打込・引抜き装
置」を単に、「杭打装置」という。

第１図ないし第３図に示す如く、杭打装置は、
案内部１、装置固着部４、杭挾持部７及び流体圧
による公知のチヤツキング機構９〜１２を要部と
している。

直立し断面がコの字形の案内部１及び該案内部
１の下部一側方に杭打機１５のチヤツク１７（第
４図ないし第６図参照）を収容して杭打機１５へ
固着するための箱状の装置固着部４が形成されて
いる。該装置固着部４の前方適所に、前方を切欠
いて開放し垂直に貫通する杭挿入のための切欠穴
８を設けた杭挾持部７が形成されており、該切欠
穴８の外方へ開放された切欠部８ａ壁面には、杭
の両側面を掴む２個の可動爪９と１個の固定爪１
０が対向して設けられている。

摺動して出入する可動爪９は、該可動爪９の軸
心に設けられた流体圧シリンダー１２より突出し
たピストンロツド１１の前面に、また、固定爪１
０は、切欠穴８の切欠部８ａ壁面に、それぞれ螺
子機構によつて取付けられている。

このような杭打装置は第４図に示すように、杭
打機１５のチヤツク１７に挾持されて杭打機１５
に装着される。この装着は、装置固着部４の案内
部１を杭打機１５のチヤツク１７に形成されてい
る貫通穴１６（第６図参照）内に挿入し、チヤツ
ク１７によつて案内部１を挾持することにより簡
単に行なうことができる。この装着によつて杭打
機１５はそのチヤツク１７ではチヤツクすること
ができない特殊形状の異形鋼矢板のチヤツクが可
能となる。

次に、杭打装置を杭打機に固定して鋼矢板を打
込む作業例について説明する。第４図に示す如
く、杭打機１５によつて鋼矢板Ａを地中に直線状
に連設して打込み、杭打機が鋼矢板が交叉すると
ころまで達すると、鋼矢板Ａのセクシヨン部の形
状より、鋼矢板を交叉して繋合することができな
いので、例えば第５図に示す如きＴ字状の異形鋼
矢板Ｂの打込みを行う必要が生じる。第４図ない
し第６図に示す如き作業例の杭打機の場合には、
杭打機１５のチヤツク１７を開いて、チヤツク１
７の下方よりチヤツク１７上方の貫通穴１６へ案
内部１を挿通して、チヤツク１７で装置固着部４
を固着して杭打装置を杭打機１５に取付ける。

次に、打込む異形鋼矢板Ｂを切欠穴８の上方よ
り挿通して流体圧チヤツキング機構９〜１２でチ
ヤツキングを行う。次に、杭打機１５の駆動機構
によつてチヤツク１７の位置或は方向を変更し
て、隣接する既設鋼矢板Ａと異形鋼矢板Ｂのセク
シヨン部を繋合してから、杭打機１５のメインシ
リンダー１９によりチヤツク１７を下降させて打
込みを行う。

なお、第４図に示す如く、作業例の杭打機１５
の場合には、既に打込まれた４個の鋼矢板Ａをク
ランプ１８で掴み、該鋼矢板群を反力として前方
の鋼矢板を打込むので、異形鋼矢板Ｂの手前の鋼
矢板Ａを杭打装置の底に当らないよう予め深く打
込んでおく必要がある。

以上は、一作業例であつて、第５図に示す如
く、隣接した位置に杭打機１５の貫通穴１６に対
しては異形のＨ型或はＩ型等の鋼材２０を、杭打
機１５を鋼矢板Ａ上に定置せしめたまま、チヤツ
ク１７の位置或は方向を変更せしめて杭打装置で
打込むことができる。また、上記鋼材２０が隣接
した位置でなくても、通常行う打込操作を杭打装
置を固着して行えば打込むことも当然に可能であ
る。

また、作業例に示した杭打機１５以外であつて
も、静荷重による杭打機であつて類似機構を有す
るものであれば、繋子機構その他の固定或は固着
方法で杭打装置を取付けて使用することができる
ので本装置には汎用性もある。さらに、切欠穴８
の形状を変えたものを必要数揃えることにより、
杭打機の作業範囲が拡大し、能率を大巾にアツプ
することができる。

なお、第１図に示す如き杭打装置の実施例で
は、案内部１の両側面にリブ２，３が垂直に形成
されており、杭打機１５の貫通穴１６の挿入した
ときに杭打装置を垂直にガイドする機能と補強の
機能を有する。固定爪１０及び可動爪９の杭を挾
持する面には、深さ５ミリ程度の直交する多数の
溝が彫られて杭の挾持を容易にしている。杭挾持
部７の側方には、流体圧によるシリンダー機構を
内装するための蓋１３が繋子機構により取付けら
れており、また、杭打機１５等へ連結する流体圧
ホース１４が突出している。本実施例の杭打装置
では、チヤツキング機構に流体圧によるシリンダ
ー機構を用いているが、くさび等の他の方式を用
いて実施することもできる。

（考案の効果） 本考案は、特殊形状の杭をチヤツキングする構
造に形成された杭挾持部を備えると共に、この杭
挾持部を支持する装置固着部が杭打機のチヤツク
に着脱自在に挾持される構成であるため、杭打機
のチヤツクではチヤツキングすることができない
形状の杭でも打込み、引抜きすることができる。
このため既存の杭打機に対してその設計変更を何
ら伴うことなく、汎用性を付与することができる
効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
全体の斜視図、第２図は同平面図、第３図は同右
側面図、第４図は本考案を使用した作業例の左側
面図、第５図は同平面図、第６図は作業例の杭打
機の平面図をそれぞれ示す。 １……案内部、２，３……リブ、４……装置固
着部、５……穴、６……泥抜き穴、７……杭挾持
部、８……切欠穴、９……可動爪、１０……固定
爪、１１……ピストンロツド、１２……シリンダ
ー、１３……蓋、１４……流体圧用ホース、１５
……杭打・引抜き機、１６……貫通穴、１７……
チヤツク、１８……クランプ、１９……メインシ
リンダー、２０……異形鋼材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 杭を挿通する切欠穴を上下方向に貫通して形成
   すると共に前記切欠穴に連通する切欠部を一側部
   に形成し、杭をチヤツキングする可動爪と固定爪
   とが前記切欠部の対向壁面に対設して構成された
   杭挾持部と、杭のチヤツキング状態で上下動して
   杭を打込みまたは引抜く杭打込・引抜き機のチヤ
   ツク内に挿入されて該チヤツクにより挾持される
   案内部を有すると共に、上記杭挾持部が一側に一
   体的に取り付けられた装置固着部とを備え、前記
   杭打込・引抜き機のチヤツクによる案内部の挾持
   および解除によつて杭打込・引抜きに着脱自在に
   装着されることを特徴とする杭打込・引抜き装
   置。