以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書において、前方と後方、および、左右方向は、杭圧入機1の向きを基準に定められる。例えば、図1では右側が前方、左側が後方であり、紙面から上に離れる方向が右側方、紙面から下に離れる方向が左側方である。図2では、紙面下側が前方、紙面上側が後方であり、右側が右側方、左側が左側方ある。図3では、上側が前方、下側が後方であり、右側が右側方、左側が左側方ある。
図1〜3に示すように、本発明の実施の形態に係る杭圧入機1の本体となるサドル10の下部には、クランプ11が前後方向に三個並べて設けられている。各クランプ11は、固定爪12と可動爪13で構成され、可動爪13に内蔵されているシリンダーの稼働により、可動爪13は、固定爪12に対して接近離隔する。シリンダーの稼働により、固定爪12と可動爪13の間で既設杭Pの上端部を挟持して、既設杭Pにサドル10を固定した状態と、既設杭Pを開放した状態とに切り替えることができる。なお、図1では、既設の3本の杭Pの上端部を各クランプ11で挟持してサドル10を固定し、それら3本の杭Pの前方に、新しい1本の杭Pを圧入している状態を示している。また、実施の形態では、杭Pの一例として、U形鋼矢板を示す。
図2に示すように、クランプ11(固定爪12と可動爪13)は、サドル10の下部において左右にスライド移動できるようになっている。図2中、実線で示したクランプ11(固定爪12と可動爪13)は、サドル10の下部において右側方に移動した状態を示し、一点鎖線で示したクランプ11(固定爪12と可動爪13)は、サドル10の下部において左側方に移動した状態を示している。
図3に示す状態では、三個のクランプ11のうち、前方のクランプ11は、固定爪12が右、可動爪13が左にあり、中央のクランプ11は、固定爪12が左、可動爪13が右にあり、後方のクランプ11は、固定爪12が右、可動爪13が左にある状態となっている。但し、後述するように、サドル10の向きを平面視で180°回転させることにより、各クランプ11における固定爪12と可動爪13の位置関係を逆にすることができる。
各クランプ11を構成する固定爪12と可動爪13において、可動爪13はシリンダーを内蔵しているため、可動爪13の大きさは、固定爪12の大きさよりも大きくなっている。このため、各クランプ11で既設杭Pの上端部を挟持するに際し、可動爪13が配置される側は、固定爪12が配置される側に比べて、より広いスペースが必要となる。
サドル10の上部には、サドル10に対して前後方向にスライド自在なスライドフレーム15が設けられている。スライドフレーム15上には、旋回基台となるマスト20がスライドフレーム15の中央部に設けられた基軸16を中心として、スライドフレーム15に対して、平面視で360°旋回可能に構成されている。マスト20の旋回は、マスト20の例えば下面側に設けられたモータなどの回転駆動源(図示せず)によって行われる。
マスト20の前方には、昇降ガイド21に沿って昇降可能なチャック25が取り付けられている。チャック25は、マスト20前方の昇降ガイド21に昇降可能に取り付けられたチャックフレーム26にケーシングチャック27を装着した構成を有している。チャック25全体(チャックフレーム26およびケーシングチャック27)は、シリンダ30の伸縮動作によって一体的に昇降する。シリンダ30はロッド側がマスト20に取り付けられ、チューブ側がチャック25(チャックフレーム26)に取り付けられている。このため、シリンダ30の伸長稼働によりチャック25がマスト20に対して上昇し、シリンダ30の短縮稼働によりチャック25がマスト20に対して下降する。
ケーシングチャック27は、チャックフレーム26に対して、回転自在に装着されている。ケーシングチャック27は、全体として筒形状を有しており、ケーシングチャック27の内方には、縦方向に貫通する平面視でU字型の開口部31が設けられている。この開口部31に、U形鋼矢板である杭Pが通される。
ケーシングチャック27の内側下部には、固定爪32と可動爪33とが水平方向に対向して設けられている。可動爪33は、油圧シリンダ(図示せず)によって、固定爪32に対して接近離隔する。圧入対象となる杭Pは、ケーシングチャック27に設けられた固定爪32と可動爪33とによって把持される。
次に、以上のように構成された本発明の実施の形態にかかる杭圧入機1を用いて、杭Pの並ぶ方向が曲がるコーナー部Cにおいて、杭Pを圧入していく工程を順を追って説明する。なお、図4〜19では、コーナー部Cにおいて杭Pの並ぶ方向が右に90°曲がる場合を説明する。また、図20〜35では、コーナー部Cにおいて杭Pの並ぶ方向が左に90°曲がる場合を説明する。
図4〜6は、杭の並ぶ方向が曲がる前の列の杭Pを圧入している状態を示しており、図4は、コーナー部Cから手前に二本目の杭P2を圧入している状態を示し、図5、6は、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1を圧入している状態を示している。
図4に示すように、コーナー部Cから手前に二本目の杭P2を圧入する場合、サドル10の下部に設けられた三個のクランプ11により、コーナー部Cから手前に三本目の杭P3、四本目の杭P4、五本目の杭P5をそれぞれ挟持し、杭圧入機1のサドル10を既設の杭Pであるそれら三本目の杭P3、四本目の杭P4、五本目の杭P5に固定して反力を取る。なお、三個のクランプ11は、サドル10の下部において適宜左右方向に移動する。また、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(二本目の杭P2)を所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、三本目の杭P3の前端の継手と二本目の杭P2の後端の継手を係合させた状態で、二本目の杭P2を地盤に圧入していく。
なお、シリンダ30のストローク分だけ二本目の杭P2を地盤に圧入したら、一旦、二本目の杭P2の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、二本目の杭P2を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、二本目の杭P2をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、二本目の杭P2が所定の深さまで地盤に圧入され、コーナー部Cから手前に二本目の杭P2の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を三本目の杭P3、四本目の杭P4、五本目の杭P5に固定したままの状態で、スライドフレーム15が前方にスライド移動してマスト20が前方に移動し、図5に示すように、チャック25が、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(一本目の杭P1)を所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、二本目の杭P2の前端の継手と一本目の杭P1の後端の継手を係合させた状態で、一本目の杭P1を地盤に圧入していく。
また、シリンダ30のストローク分だけ一本目の杭P1を地盤に圧入したら、一旦、一本目の杭P1の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、一本目の杭P1を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、一本目の杭P1をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、まず一本目の杭P1を、少なくとも杭圧入機1を支持できるようになる深さまで圧入する。
次に、チャック25で一本目の杭P1を把持した状態で、サドル10の下部にある各クランプ11による挟持を開放する。(自走可能な位置でチャック25で一本目の杭P1を把持する。)次に、チャック25で一本目の杭P1を把持したままの状態で、シリンダ30が短縮稼働することにより、チャック25を支点として、杭圧入機1(サドル10)を三本目の杭P3、四本目の杭P4、五本目の杭P5の上方に持ち上げる。次に、図6に示すように、チャック25で一本目の杭P1を把持したままの状態で、スライドフレーム15のスライド移動により、杭圧入機1(サドル10)を二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4の上方まで移動させる。そして、シリンダ30の伸長稼働により、杭圧入機1(サドル10)を下降させ、サドル10の下部に設けられた三個のクランプ11により、二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4をそれぞれ挟持し(その際、サドル10の下部において三個のクランプ11は適宜左右にスライド移動する。)、杭圧入機1のサドル10を既設の杭Pであるそれら二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4に固定して反力を取る。その後、さらに一本目の杭P1を地盤に圧入し、一本目の杭P1が所定の深さまで地盤に圧入されて、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1の圧入が終了する。
ここまでが、杭Pの並ぶ方向が曲がる前の列の圧入手順であり、以後は、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列における圧入手順となる。また、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1の前端が、コーナー部Cの位置である。
次に、杭圧入機1のサドル10を二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4に固定したままの状態で、コーナー部Cから進行方向に一本目の杭Pc1の圧入を行う。すなわち、スライドフレーム15のスライド移動とマスト20の旋回により、図7に示すように、チャック25が、コーナー部Cから右に90°曲がった方向に一本目の杭Pc1を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(曲がった後の一本目の杭Pc1)を所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった後の一本目の杭Pc1を地盤に圧入していく。
ここで、ケーシングチャック27の回転により、曲がった後の一本目の杭Pc1は、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1に対して、右に90°曲がった姿勢とする。そして、図7(a)に拡大して示したように、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1の前端の継手と、曲がった後の一本目の杭Pc1の左端の継手を係合させた状態で、曲がった後の一本目の杭Pc1を地盤に圧入していく。
なお、シリンダ30のストローク分だけ曲がった後の一本目の杭Pc1を地盤に圧入したら、一旦、曲がった後の一本目の杭Pc1の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、曲がった後の一本目の杭Pc1を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった後の一本目の杭Pc1をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、曲がった後の一本目の杭Pc1が所定の深さまで地盤に圧入され、コーナー部Cから曲がった後の一本目の杭Pc1の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4に固定したままの状態で、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列におけるコーナー部Cから進行方向の反対方向に一本目の杭Pc-1を並べて圧入する。すなわち、スライドフレーム15のスライド移動とマスト20の旋回により、図8に示すように、チャック25が、コーナー部Cから左に90°曲がった方向に、反対方向の一本目の杭Pc-1を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1)を所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を地盤に圧入していく。
ここで、ケーシングチャック27の回転により、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1は、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1に対して、左に90°曲がった姿勢とする。なお、図8(a)に拡大して示したように、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の右端の継手は、コーナー部Cに位置させるが、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1の前端の継手および曲がった後の一本目の杭Pc1の左端の継手とは係合させない状態で、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を地盤に圧入していく。
なお、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を地盤に圧入したら、一旦、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1が所定の深さまで地盤に圧入され、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4に固定したままの状態で、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列におけるコーナー部Cから進行方向の反対方向に二本目の杭Pc-2を、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1に並べて圧入する。すなわち、スライドフレーム15のスライド移動とマスト20の旋回により、図9に示すように、チャック25が、コーナー部Cから左に90°曲がった方向に、反対方向の二本目の杭Pc-2を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2)を所定の姿勢で把持する。なお、杭Pを所定の姿勢で把持する際には、杭Pの適切な姿勢に合わせてケーシングチャック27が適宜回転する(以下同様)。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を地盤に圧入していく。
なお、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の右端の継手は、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の左端の継手と係合させた状態で、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を地盤に圧入していく。
なお、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を地盤に圧入したら、一旦、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2が所定の深さまで地盤に圧入され、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4に固定したままの状態で、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列におけるコーナー部Cから進行方向に二本目の杭Pc2の圧入を行う。すなわち、スライドフレーム15のスライド移動とマスト20の旋回により、図10に示すように、チャック25が、コーナー部Cから右に90°曲がった方向に二本目の杭Pc2を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(曲がった方向の二本目の杭Pc2)を所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の二本目の杭Pc2を地盤に圧入していく。
また、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の二本目の杭Pc2を地盤に圧入したら、一旦、曲がった方向の二本目の杭Pc2の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、曲がった方向の二本目の杭Pc2を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の二本目の杭Pc2をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、まず曲がった方向の二本目の杭Pc2を、少なくとも杭圧入機1を支持できるようになる深さまで圧入する。
次に、チャック25で曲がった方向の二本目の杭Pc2を把持した状態で、サドル10の下部にある各クランプ11による挟持を開放する。次に、チャック25で曲がった方向の二本目の杭Pc2を把持したままの状態で、シリンダ30が短縮稼働することにより、チャック25を支点として、杭圧入機1(サドル10)を二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4の上方に持ち上げる。次に、図11に示すように、チャック25で曲がった方向の二本目の杭Pc2を把持したままの状態で、スライドフレーム15のスライド移動とマスト20の旋回により、杭圧入機1(サドル10)を、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の上方まで移動させる。そして、シリンダ30の伸長稼働により、杭圧入機1(サドル10)を下降させ、サドル10の下部に設けられた三個のクランプ11により、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2をそれぞれ挟持し、杭圧入機1のサドル10を既設の杭Pであるそれら曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2に固定して反力を取る。その後、さらに曲がった方向の二本目の杭Pc2を地盤に圧入し、曲がった方向の二本目の杭Pc2が所定の深さまで地盤に圧入されて、曲がった方向の二本目の杭Pc2の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2に固定したままの状態で、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列におけるコーナー部Cから進行方向に三本目の杭Pc3の圧入を行う。すなわち、スライドフレーム15のスライド移動により、図12に示すように、チャック25が、コーナー部Cから右に90°曲がった方向に三本目の杭Pc3を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(曲がった方向の三本目の杭Pc3)を所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の三本目の杭Pc3を地盤に圧入していく。
また、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の三本目の杭Pc3を地盤に圧入したら、一旦、曲がった方向の三本目の杭Pc3の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、曲がった方向の三本目の杭Pc3を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の三本目の杭Pc3をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、まず、曲がった方向の三本目の杭Pc3を、少なくとも杭圧入機1を支持できるようになる深さまで圧入する。
次に、チャック25で曲がった方向の三本目の杭Pc3を把持した状態で、サドル10の下部にある各クランプ11による挟持を開放する。次に、チャック25で曲がった方向の三本目の杭Pc3を把持したままの状態で、シリンダ30が短縮稼働することにより、チャック25を支点として、杭圧入機1(サドル10)を、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の上方に持ち上げる。次に、図13に示すように、チャック25で曲がった方向の三本目の杭Pc3を把持したままの状態で、スライドフレーム15のスライド移動により、杭圧入機1(サドル10)を、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の上方まで移動させる。
そして、シリンダ30の伸長稼働により、杭圧入機1(サドル10)を下降させ、サドル10の下部に設けられた三個のクランプ11により、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1をそれぞれ挟持するのであるが、この時、コーナー部Cでは、クランプ11を構成する可動爪13が既設の杭Pと緩衝し、杭圧入機1(サドル10)の下降に支障をきたす場合がある。すなわち、上述したように、クランプ11を構成する固定爪12と可動爪13において、可動爪13はシリンダーを内蔵しているため、可動爪13の大きさは、固定爪12の大きさよりも大きくなっている。このため、クランプ11で既設杭Pの上端部を挟持するに際し、可動爪13が配置される側は、固定爪12が配置される側に比べて、より広いスペースが必要となる。
しかしながら、コーナー部Cでは、杭Pの並ぶ方向が曲がる前の列の杭Pと杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列における杭Pが交差した状態で存在するため、可動爪13を配置させるのに十分なスペースが無い場合がある。例えば、図13に示すように、コーナー部Cでは、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1と曲がった方向の一本目の杭Pc1との間に挟まれたスペースSが狭くなっている。このため、このスペースSには可動爪13が入らず、そのままでは杭圧入機1(サドル10)の下降の妨げとなる恐れがある。かかる場合、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1の上端部を切断したのでは、杭Pの損失が発生してしまう。また、切断後にその部分を溶接等で修復する作業も必要となる。
そこで、杭圧入機1(サドル10)を下降させる前に、図14に示すように、サドル10の向きを平面視で180°回転させる。(なお、サドル10とチャック25との緩衝を防ぐために、図12に示されるように、サドル10がまだ曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の上方にある状態で、自走する前にサドル10を回転させる。)これにより、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1と曲がった方向の一本目の杭Pc1との間に挟まれたスペースSには、可動爪13に比べて小さい固定爪12が入る状態となる。その結果、杭圧入機1(サドル10)の下降が円滑にできるようになる。
こうして、サドル10の向きを平面視で180°回転させた後、シリンダ30の伸長稼働により、杭圧入機1(サドル10)を下降させる。そして、サドル10の下部に設けられた三個のクランプ11により、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1をそれぞれ挟持し、杭圧入機1のサドル10を既設の杭Pであるそれら曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1に固定して反力を取る。その後、さらに曲がった方向の三本目の杭Pc3を地盤に圧入し、曲がった方向の三本目の杭Pc3が所定の深さまで地盤に圧入されて、曲がった方向の三本目の杭Pc3の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1に固定したままの状態で、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の引き抜きを行う。すなわち、先ずチャック25が三本目の杭Pc3の上方に上昇した後、マスト20の旋回により、図15に示すように、チャック25が、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の上方に移動する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、地盤に圧入されている曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2をチャック25のケーシングチャック27に把持する。そして、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させ、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を地盤から引き抜いていく。
なお、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を地盤から引き抜いたら、一旦、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の把持を解除し、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させる。そして、チャック25を下降させた位置で、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を再び把持する。そして、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させ、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2をさらに地盤から引き抜く。かかる動作を繰り返すことにより、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2が地盤から完全に引き抜かれ、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の引き抜きが終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を、杭圧入機1のサドル10を、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1に固定したままの状態で、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列におけるコーナー部Cから進行方向に四本目の杭Pc4の圧入を行う。すなわち、マスト20の旋回とスライドフレーム15のスライド移動により、図16に示すように、チャック25が、コーナー部Cから右に90°曲がった方向に四本目の杭Pc4を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(曲がった方向の四本目の杭Pc4)を、所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の4本目の杭Pc4を地盤に圧入していく。
また、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の四本目の杭Pc4を地盤に圧入したら、一旦、曲がった方向の四本目の杭Pc4の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、曲がった方向の四本目の杭Pc4を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の四本目の杭Pc4をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、まず、曲がった方向の四本目の杭Pc4を、少なくとも杭圧入機1を支持できるようになる深さまで圧入する。
次に、チャック25で曲がった方向の四本目の杭Pc4を把持した状態で、サドル10の下部にある各クランプ11による挟持を開放する。次に、チャック25で曲がった方向の四本目の杭Pc4を把持したままの状態で、シリンダ30が短縮稼働することにより、チャック25を支点として、杭圧入機1(サドル10)を、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の上方に持ち上げる。次に、図17に示すように、チャック25で曲がった方向の四本目の杭Pc4を把持したままの状態で、スライドフレーム15のスライド移動により、杭圧入機1(サドル10)を、曲がった方向の三本目の杭Pc3、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1の上方まで移動させる。
この場合も、図17に示すように、コーナー部Cでは、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1と曲がった方向の一本目の杭Pc1との間に挟まれたスペースSが狭くなっているため、このスペースSには可動爪13が入らず、そのままでは杭圧入機1(サドル10)の下降の妨げとなる恐れがある。そこで、先と同様に、杭圧入機1(サドル10)を下降させる前に、図17に示すように、サドル10の向きを平面視で180°回転させた後、シリンダ30の伸長稼働により、杭圧入機1(サドル10)を下降させる。なお、この場合も、圧入機1を自走させる前にサドル10が回転する。そして、サドル10の下部に設けられた三個のクランプ11により、曲がった方向の三本目の杭Pc3、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1をそれぞれ挟持し、杭圧入機1のサドル10を既設の杭Pであるそれら三本目の杭Pc3、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1に固定して反力を取る。その後、さらに曲がった方向の四本目の杭Pc4を地盤に圧入し、曲がった方向の四本目の杭Pc4が所定の深さまで地盤に圧入されて、曲がった方向の四本目の杭Pc4の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を、曲がった方向の三本目の杭Pc3、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1に固定したままの状態で、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の引き抜きを行う。すなわち、先ずチャック25が四本目の杭Pc4の上方に上昇した後、マスト20の旋回により、図18に示すように、チャック25が、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の上方に移動する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、地盤に圧入されている曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1をチャック25のケーシングチャック27に把持する。そして、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させ、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を地盤から引き抜いていく。
なお、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を地盤から引き抜いたら、一旦、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の把持を解除し、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させる。そして、チャック25を下降させた位置で、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を再び把持する。そして、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させ、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1をさらに地盤から引き抜く。かかる動作を繰り返すことにより、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1が地盤から完全に引き抜かれ、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の引き抜きが終了する。
次に、図19に示すように、チャック25が、コーナー部Cから右に90°曲がった方向に五本目の杭Pc5を圧入する位置まで移動する。そして、以後は、曲がった方向の五本目の杭Pc5以降を、順次圧入していく。こうして、コーナー部Cにおいて杭Pの並ぶ方向が右に90°曲がった杭列が施工されていく。
次に、図20〜35を参照に、コーナー部Cにおいて杭Pの並ぶ方向が左に90°曲がる場合を説明する。
図20〜22は、杭の並ぶ方向が曲がる前の列の杭Pを圧入している状態を示しており、図20は、コーナー部Cから手前に二本目の杭P2を圧入している状態を示し、図21、22は、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1を圧入している状態を示している。
図20に示すように、コーナー部Cから手前に二本目の杭P2を圧入する場合、サドル10の下部に設けられた三個のクランプ11により、コーナー部Cから手前に三本目の杭P3、四本目の杭P4、五本目の杭P5をそれぞれ挟持し、杭圧入機1のサドル10を既設の杭Pであるそれら三本目の杭P3、四本目の杭P4、五本目の杭P5に固定して反力を取る。また、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(二本目の杭P2)を所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、三本目の杭P3の前端の継手と二本目の杭P2の後端の継手を係合させた状態で、二本目の杭P2を地盤に圧入していく。
なお、シリンダ30のストローク分だけ二本目の杭P2を地盤に圧入したら、一旦、二本目の杭P2の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、二本目の杭P2を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、二本目の杭P2をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、二本目の杭P2が所定の深さまで地盤に圧入され、コーナー部Cから手前に二本目の杭P2の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を三本目の杭P3、四本目の杭P4、五本目の杭P5に固定したままの状態で、スライドフレーム15が前方にスライド移動してマスト20が前方に移動し、図21に示すように、チャック25が、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(一本目の杭P1)を、所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、二本目の杭P2の前端の継手と一本目の杭P1の後端の継手を係合させた状態で、一本目の杭P1を地盤に圧入していく。
また、シリンダ30のストローク分だけ一本目の杭P1を地盤に圧入したら、一旦、一本目の杭P1の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、一本目の杭P1を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、一本目の杭P1をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、まず一本目の杭P1を、少なくとも杭圧入機1を支持できるようになる深さまで圧入する。
次に、チャック25で一本目の杭P1を把持した状態で、サドル10の下部にある各クランプ11による挟持を開放する。次に、チャック25で一本目の杭P1を把持したままの状態で、シリンダ30が短縮稼働することにより、チャック25を支点として、杭圧入機1(サドル10)を三本目の杭P3、四本目の杭P4、五本目の杭P5の上方に持ち上げる。次に、図22に示すように、チャック25で一本目の杭P1を把持したままの状態で、スライドフレーム15のスライド移動により、杭圧入機1(サドル10)を二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4の上方まで移動させる。そして、シリンダ30の伸長稼働により、杭圧入機1(サドル10)を下降させ、サドル10の下部に設けられた三個のクランプ11により、二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4をそれぞれ挟持し(その際、サドル10の下部において三個のクランプ11は適宜左右に移動する)、杭圧入機1のサドル10を既設の杭Pであるそれら二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4に固定して反力を取る。その後、さらに一本目の杭P1を地盤に圧入し、一本目の杭P1が所定の深さまで地盤に圧入されて、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1の圧入が終了する。
ここまでが、杭Pの並ぶ方向が曲がる前の列の圧入手順であり、以後は、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列における圧入手順となる。また、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1の前端が、コーナー部Cの位置である。
次に、杭圧入機1のサドル10を二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4に固定したままの状態で、コーナー部Cから進行方向に一本目の杭Pc1の圧入を行う。すなわち、スライドフレーム15のスライド移動とマスト20の旋回により、図23に示すように、チャック25が、コーナー部Cから左に90°曲がった方向に一本目の杭Pc1を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(曲がった後の一本目の杭Pc1)を所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった後の一本目の杭Pc1を地盤に圧入していく。
ここで、ケーシングチャック27の回転により、曲がった後の一本目の杭Pc1は、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1に対して、左に90°曲がった姿勢とする。そして、図23(a)に拡大して示したように、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1の前端の継手と、曲がった後の一本目の杭Pc1の右端の継手を係合させた状態で、曲がった後の一本目の杭Pc1を地盤に圧入していく。
なお、シリンダ30のストローク分だけ曲がった後の一本目の杭Pc1を地盤に圧入したら、一旦、曲がった後の一本目の杭Pc1の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、曲がった後の一本目の杭Pc1を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった後の一本目の杭Pc1をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、曲がった後の一本目の杭Pc1が所定の深さまで地盤に圧入され、コーナー部Cから曲がった後の一本目の杭Pc1の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4に固定したままの状態で、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列におけるコーナー部Cから進行方向の反対方向に一本目の杭Pc-1を並べて圧入する。すなわち、スライドフレーム15のスライド移動とマスト20の旋回により、図24に示すように、チャック25が、コーナー部Cから右に90°曲がった方向に、反対方向の一本目の杭Pc-1を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1)を所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を地盤に圧入していく。
ここで、ケーシングチャック27の回転により、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1は、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1に対して、右に90°曲がった姿勢とする。なお、図24(a)に拡大して示したように、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の左端の継手は、コーナー部Cに位置させるが、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1の前端の継手および曲がった後の一本目の杭Pc1の右端の継手とは係合させない状態で、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を地盤に圧入していく。
なお、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を地盤に圧入したら、一旦、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1が所定の深さまで地盤に圧入され、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4に固定したままの状態で、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列におけるコーナー部Cから進行方向の反対方向に二本目の杭Pc-2を、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1に並べて圧入する。すなわち、スライドフレーム15のスライド移動とマスト20の旋回により、図25に示すように、チャック25が、コーナー部Cから右に90°曲がった方向に、反対方向の二本目の杭Pc-2を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2)を所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を地盤に圧入していく。
なお、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の左端の継手は、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の右端の継手と係合させた状態で、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を地盤に圧入していく。
なお、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を地盤に圧入したら、一旦、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2が所定の深さまで地盤に圧入され、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4に固定したままの状態で、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列におけるコーナー部Cから進行方向に二本目の杭Pc2の圧入を行う。すなわち、スライドフレーム15のスライド移動とマスト20の旋回により、図26に示すように、チャック25が、コーナー部Cから左に90°曲がった方向に二本目の杭Pc2を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(曲がった方向の二本目の杭Pc2)を所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の二本目の杭Pc2を地盤に圧入していく。
また、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の二本目の杭Pc2を地盤に圧入したら、一旦、曲がった方向の二本目の杭Pc2の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、曲がった方向の二本目の杭Pc2を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の二本目の杭Pc2をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、まず曲がった方向の二本目の杭Pc2を、少なくとも杭圧入機1を支持できるようになる深さまで圧入する。
次に、チャック25で曲がった方向の二本目の杭Pc2を把持した状態で、サドル10の下部にある各クランプ11による挟持を開放する。次に、チャック25で曲がった方向の二本目の杭Pc2を把持したままの状態で、シリンダ30が短縮稼働することにより、チャック25を支点として、杭圧入機1(サドル10)を二本目の杭P2、三本目の杭P3、四本目の杭P4の上方に持ち上げる。次に、図27に示すように、チャック25で曲がった方向の二本目の杭Pc2を把持したままの状態で、スライドフレーム15のスライド移動とマスト20の旋回により、杭圧入機1(サドル10)を、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の上方まで移動させる。そして、シリンダ30の伸長稼働により、杭圧入機1(サドル10)を下降させ、サドル10の下部に設けられた三個のクランプ11により、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2をそれぞれ挟持し、杭圧入機1のサドル10を既設の杭Pであるそれら曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2に固定して反力を取る。その後、さらに曲がった方向の二本目の杭Pc2を地盤に圧入し、曲がった方向の二本目の杭Pc2が所定の深さまで地盤に圧入されて、曲がった方向の二本目の杭Pc2の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2に固定したままの状態で、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列におけるコーナー部Cから進行方向に三本目の杭Pc3の圧入を行う。すなわち、スライドフレーム15のスライド移動により、図28に示すように、チャック25が、コーナー部Cから左に90°曲がった方向に三本目の杭Pc3を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(曲がった方向の三本目の杭Pc3)を所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の三本目の杭Pc3を地盤に圧入していく。
また、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の三本目の杭Pc3を地盤に圧入したら、一旦、曲がった方向の三本目の杭Pc3の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、曲がった方向の三本目の杭Pc3を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の三本目の杭Pc3をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、まず、曲がった方向の三本目の杭Pc3を、少なくとも杭圧入機1を支持できるようになる深さまで圧入する。
次に、チャック25で曲がった方向の三本目の杭Pc3を把持した状態で、サドル10の下部にある各クランプ11による挟持を開放する。次に、チャック25で曲がった方向の三本目の杭Pc3を把持したままの状態で、シリンダ30が短縮稼働することにより、チャック25を支点として、杭圧入機1(サドル10)を、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の上方に持ち上げる。次に、図29に示すように、チャック25で曲がった方向の三本目の杭Pc3を把持したままの状態で、スライドフレーム15のスライド移動により、杭圧入機1(サドル10)を、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の上方まで移動させる。
そして、シリンダ30の伸長稼働により、杭圧入機1(サドル10)を下降させ、サドル10の下部に設けられた三個のクランプ11により、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1をそれぞれ挟持するのであるが、この時、コーナー部Cでは、クランプ11を構成する可動爪13が既設の杭Pと緩衝し、杭圧入機1(サドル10)の下降に支障をきたす場合がある。すなわち、上述したように、クランプ11を構成する固定爪12と可動爪13において、可動爪13はシリンダーを内蔵しているため、可動爪13の大きさは、固定爪12の大きさよりも大きくなっている。このため、クランプ11で既設杭Pの上端部を挟持するに際し、可動爪13が配置される側は、固定爪12が配置される側に比べて、より広いスペースが必要となる。
しかしながら、コーナー部Cでは、杭Pの並ぶ方向が曲がる前の列の杭Pと杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列における杭Pが交差した状態で存在するため、可動爪13を配置させるのに十分なスペースが無い場合がある。例えば、図29に示すように、コーナー部Cでは、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1と曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1との間に挟まれたスペースSが狭くなっている。このため、このスペースSには可動爪13が入らず、そのままでは杭圧入機1(サドル10)の下降の妨げとなる恐れがある。かかる場合、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1の上端部を切断したのでは、杭Pの損失が発生してしまう。また、切断後にその部分を溶接等で修復する作業も必要となる。
そこで、杭圧入機1(サドル10)を下降させる前に、図30に示すように、サドル10の向きを平面視で180°回転させる。(なお、サドル10とチャック25との緩衝を防ぐために、図28に示されるように、サドル10がまだ曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の上方にある状態で、自走する前にサドル10を回転させる。)これにより、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1と曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1との間に挟まれたスペースSには、可動爪13に比べて小さい固定爪12が入る状態となる。その結果、杭圧入機1(サドル10)の下降が円滑にできるようになる。
こうして、サドル10の向きを平面視で180°回転させた後、シリンダ30の伸長稼働により、杭圧入機1(サドル10)を下降させる。そして、サドル10の下部に設けられた三個のクランプ11により、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1をそれぞれ挟持し、杭圧入機1のサドル10を既設の杭Pであるそれら曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1に固定して反力を取る。その後、さらに曲がった方向の三本目の杭Pc3を地盤に圧入し、曲がった方向の三本目の杭Pc3が所定の深さまで地盤に圧入されて、曲がった方向の三本目の杭Pc3の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1に固定したままの状態で、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の引き抜きを行う。すなわち、先ずチャック25が三本目の杭Pc3の上方に上昇した後、マスト20の旋回により、図31に示すように、チャック25が、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の上方に移動する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、地盤に圧入されている曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2をチャック25のケーシングチャック27に把持する。そして、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させ、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を地盤から引き抜いていく。
なお、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を地盤から引き抜いたら、一旦、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の把持を解除し、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させる。そして、チャック25を下降させた位置で、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2を再び把持する。そして、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させ、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2をさらに地盤から引き抜く。かかる動作を繰り返すことにより、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2が地盤から完全に引き抜かれ、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の引き抜きが終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1に固定したままの状態で、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列におけるコーナー部Cから進行方向に四本目の杭Pc4の圧入を行う。すなわち、スライドフレーム15のスライド移動とマスト20の旋回により、図32に示すように、チャック25が、コーナー部Cから左に90°曲がった方向に四本目の杭Pc4を圧入する位置まで移動する。そして、チャック25のケーシングチャック27に次に圧入する杭P(曲がった方向の四本目の杭Pc4)を所定の姿勢で把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の4本目の杭Pc4を地盤に圧入していく。
また、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の四本目の杭Pc4を地盤に圧入したら、一旦、曲がった方向の四本目の杭Pc4の把持を解除し、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させる。そして、チャック25を上昇させた位置で、曲がった方向の四本目の杭Pc4を再び把持する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、曲がった方向の四本目の杭Pc4をさらに地盤に圧入していく。かかる動作を繰り返すことにより、まず、曲がった方向の四本目の杭Pc4を、少なくとも杭圧入機1を支持できるようになる深さまで圧入する。
次に、チャック25で曲がった方向の四本目の杭Pc4を把持した状態で、サドル10の下部にある各クランプ11による挟持を開放する。次に、チャック25で曲がった方向の四本目の杭Pc4を把持したままの状態で、シリンダ30が短縮稼働することにより、チャック25を支点として、杭圧入機1(サドル10)を、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の上方に持ち上げる。次に、図33に示すように、チャック25で曲がった方向の四本目の杭Pc4を把持したままの状態で、スライドフレーム15のスライド移動により、杭圧入機1(サドル10)を、曲がった方向の三本目の杭Pc3、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1の上方まで移動させる。
この場合も、必要であれば、図33に示すように、サドル10の向きを平面視で180°回転させた後、シリンダ30の伸長稼働により、杭圧入機1(サドル10)を下降させる。なお、この場合も、圧入機1を自走させる前にサドル10が回転する。そして、サドル10の下部に設けられた三個のクランプ11により、曲がった方向の三本目の杭Pc3、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1をそれぞれ挟持し、杭圧入機1のサドル10を既設の杭Pであるそれら三本目の杭Pc3、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1に固定して反力を取る。その後、さらに曲がった方向の四本目の杭Pc4を地盤に圧入し、曲がった方向の四本目の杭Pc4が所定の深さまで地盤に圧入されて、曲がった方向の四本目の杭Pc4の圧入が終了する。
次に、杭圧入機1のサドル10を、曲がった方向の三本目の杭Pc3、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1に固定したままの状態で、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の引き抜きを行う。すなわち、先ずチャック25が四本目の杭Pc4の上方に上昇した後、マスト20の旋回により、図34に示すように、チャック25が、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の上方に移動する。そして、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させ、地盤に圧入されている曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1をチャック25のケーシングチャック27に把持する。そして、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させ、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を地盤から引き抜いていく。
なお、シリンダ30のストローク分だけ曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を地盤から引き抜いたら、一旦、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の把持を解除し、シリンダ30の短縮稼働によってチャック25を下降させる。そして、チャック25を下降させた位置で、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1を再び把持する。そして、シリンダ30の伸長稼働によってチャック25を上昇させ、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1をさらに地盤から引き抜く。かかる動作を繰り返すことにより、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1が地盤から完全に引き抜かれ、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の引き抜きが終了する。
次に、図35に示すように、チャック25が、コーナー部Cから左に90°曲がった方向に五本目の杭Pc5を圧入する位置まで移動する。そして、以後は、曲がった方向の五本目の杭Pc5以降を、順次圧入していく。こうして、コーナー部Cにおいて杭Pの並ぶ方向が右に90°曲がった杭列が施工されていく。
以上に説明した本発明の実施の形態にかかる杭圧入機1によれば、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列におけるコーナー部Cから進行方向の反対方向に並べて圧入した一本目の杭Pc-1と二本目の杭Pc-2を挟持して反力をとることによって、杭Pの並ぶ方向が曲がった後の列におけるコーナー部Cから進行方向に二本目の杭Pc2や三本目の杭Pc3などを円滑に圧入できるようになる。なお、杭Pの並ぶ方向が曲がるコーナー部Cでは、コーナー部Cから手前に一本目の杭P1と曲がった後の一本目の杭Pc1および曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1が交差して配置され、コーナー部Cでは、固定爪12と可動爪13で構成される複数のクランプ11が取り付けられたサドル10を既設杭Pに固定するに際し、クランプ11の可動爪13がコーナー部Cから手前に一本目の杭P1や曲がった後の一本目の杭Pc1、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1に緩衝してしまう恐れがある。かかる場合、必要に応じてサドル10の向きを平面視で180°回転させることにより、そのようなクランプ11がそれらの既設杭P(P1、Pc1、Pc-1)に緩衝することを回避できる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、以上に説明した本発明の実施の形態では、3本の既設の杭Pを挟持して反力を取る例を説明したが、反力を取る既設の杭Pは3本に限らず、2本あるいは1本でも良い。また、曲がった方向の三本目の杭Pc3を圧入後、曲がった方向の反対方向の二本目の杭Pc-2の引き抜きを行い、次に、曲がった方向の四本目の杭Pc4を圧入後、曲がった方向の反対方向の一本目の杭Pc-1の引き抜きを行う例を示した。しかしながら、曲がった方向の反対方向の杭Pc-1、Pc-2の引き抜きは、例えば図17図に示すように曲がった方向の三本目の杭Pc3、曲がった方向の二本目の杭Pc2、曲がった方向の一本目の杭Pc1で反力を取った状態で、2本まとめて引き抜くようにしても良い。このように2本まとめて引き抜くようにすれば手間が省ける。
以上では、杭Pの一例として、U形鋼矢板を示したが、ハット型鋼矢板、コンクリート矢板等、その他の杭を圧入する杭圧入機にも本発明は適用できる。