JP2005023521A - 広幅矢板セグメントセル構造物と砂防ダム - Google Patents

広幅矢板セグメントセル構造物と砂防ダム Download PDF

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Kenji Kawahito
健二 川人
Takamichi Higono
孝倫 肥後野
Tetsuo Kimura
哲夫 木村
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Abstract

【課題】スリットダムを構成する矢板セグメントを鋼板に嵌合継手を溶接して構成することで、広幅矢板を可能とし、少ない矢板セグメントの枚数で大径のセルダムを構築でき、嵌合施工、工期、組立てる手間、コスト等を大幅に低減できると共に、小径のセルダムにあっても多角形の角がない円形近似に構成できる。
【解決手段】鋼板18の両側縁に嵌合継手14を溶接して広幅矢板13を構成し、前記鋼板18の幅を、圧延成形の既成鋼矢板における最大有効幅よりも大きい寸法、望ましくは約1,000mm幅以上に設け、当該鋼板18の両側縁に嵌合継手14を溶接して広幅矢板13を構成し、複数の前記広幅矢板13を嵌合継手14を介して円筒状に連結し、円筒配置の各広幅矢板13を上方に複数継ぎ足して円筒形のセル12を構成し、セルに中詰め材15を充填したことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、治山治水分野で用いられるセル構造物に係り、さらには具体的には、山岳地の渓流や沢等における土石流を規制し、急斜面を落下する水流による斜面および河床の浸蝕荒廃、土石流の阻止、被害、泥流、土砂崩れ、これらによる被害を防ぐセル構造物、例えば砂防ダムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の鋼製砂防ダムの従来例として、(1)特開昭62−55319、(2)特開平3−158516(図7に示す)、従来例(3)(図8に示す)がある。
【0003】
特開昭62−55319(従来例1)に係る「鋼矢板セグメントセル構造物の構築方法」は、冷間圧延又は熱間圧延などで成形された既成の鋼矢板を継手を介して環状に連結すると共に上方に複数継ぎ足してセルを構成し、その内部に土砂を中詰めしてセグメントセル構造物を構築するものである。この従来例1における鋼矢板は既成のものを使用する関係から、その幅は500mm、最小板厚が9.5mm、継手回転角度が制約される直線矢板を使用している。
【0004】
従来例1の利点は、軽量でハンドリング性に富むため、道路条件の悪い山奥への運搬、大型の施工機械が不要である点である。
【0005】
従来例1の欠点は複数あり、第1の欠点は、既成の鋼矢板を使用すもであるが故に、既成の鋼矢板の最大幅である500mmに制限され、セグメントセル構造物(セルダム)の径が大きくなると、莫大な鋼矢板の嵌合施工手数、工期、人力、コストを必要とする。例えば、セルダムの径19m、高さ10m、の場合、前記500mm幅の鋼製矢板枚数が1260枚必要であり、前記の連結作業は、1260枚のそれぞれに渡って必要である。
【0006】
第2の欠点は、セルダムは、壁に発生する水平方向張力を壁面が円形としたワイヤー構造で設計するため、セルダムの径が小さくなると、直線形鋼矢板の幅500mmと継手部の回転角度の制約から、セルダムの円周方向の鋼矢板継手接合部の多角形が荒くなり、直線鋼矢板で小径のセルダムでは円形近時が問題となる。
【0007】
第3の欠点は、直線鋼矢板の最小板厚が、9.5mmまで板厚が必要でない場合は、鋼材重量が過大となり、コスト削減の制約となっており、特に、小径の場合この傾向が顕著である。
【0008】
特開平3−158516(従来例2)に係る「ハイブリッド構造砂防ダム」は、例えば、縦1m×横5mの円弧状の鋼製セグメントをボルト継手、現場溶接で円筒形に組立てるもので、円筒形鋼製セグメントの上流側下部に合成セグメントを設置することでハイブリッド構造とするものである。
【0009】
この従来例を図7によって簡単に説明すると、川底に構築された基礎1に円筒形セグメントセル2が複数個、川幅方向に併設され、上流側からの土石流7をこの円筒形セグメントセル2で受けるものである。この円筒形セグメントセル2は前記の通り、円弧状の鋼製セグメント3を円周方向に連結して円筒形鋼製セグメント2を構築し、かつ内部に中詰め材4を投入し、上部に蓋コンクリート5を設置する。そして、円筒形鋼製セグメント2の上流側の下部に合成セグメント6を設置し、この合成セグメント6で土石流7を受けることで鋼製セグメント3の損傷を少なくし、それに起因する腐食などを少なくするものである。
【0010】
従来例2の利点は、円弧状の鋼製セグメント(例えば、縦1m×横5m)をボルト継手、現場溶接で組立てるものであるから、設計に必要な板厚を選択できる、小径、大径共に対応できることである。
【0011】
従来例2の欠点は、鋼製セグメント同士の接続はボルト継手であるため、ボルト類その他の連結部材を必要とし、継手部の構成が複雑となり、また、使用するボルト本数が膨大となり、これの締結に多大の時間を要することである。例えば、幅5,500mm×高さ1,600mmのセグメントで、78本のボルトが必要であり、その締結作業に手間が掛る。
【0012】
図8はセルの平面配置の形式を示し、図(a)は、円形セル9aが連続した不透過型セルであって、1セルずつ施工を完成させていくので、施工上および構造上の安全性が高く、壁体を大きくしても鋼矢板の使用量が増加しないという特徴がある。図(b)は、たいこ型セル9bであってロックテンションを増大させずにセルの壁自体を自由に大きくできるが、各セルを単独に中詰めできないなどの長所と短所がある。図(c)は、グローバル型セル9cであって中詰めは1組のセルについて単独で行うことができ、しかも壁体幅を自由に選ぶことができる長所と、鋼矢板の使用量が他の形式に比べて多くなり、施工も複雑になることが指摘されている。図(d)は、分離型円形セル9dであって、図7に示した従来例などがこれに分類される。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−33333号公報
【特許文献2】
特開昭62−55319号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来例1の鋼矢板セグメントや、従来例2の鋼製セグメントでセルダムを構築する場合、ダム径が大きくなるとセグメントを円筒に組立てる施工手間が莫大になり、これが施工費のコストアップ、施工期間の長期化につながる問題がある。
【0015】
すなわち、従来例1の鋼矢板は圧延成形による既成の直線鋼矢板からなっているが、既存の鋼矢板の幅は最大でも500mmであるから、例えば、径19m、高さ10mの大径のセルダムでは、鋼製矢板枚数が1260枚必要であり、これだと莫大な鋼矢板の嵌合施工手数、工期、人力、コストを必要とする。他方、直線矢板は、小径のセルダムでは、継手部の多角形が荒くなり、円形近似が問題になる。
【0016】
従来例2の鋼製セグメントセルダムは、一枚が例えば、立て1m、横5mという、既成の圧延による鋼矢板に比べ10倍の横幅を持つセグメントを製作できるので、この鋼製セグメントセルダムで大径のセルダムを構築するとき、鋼製セグメントの枚数を減らすことができる。しかし、鋼製セグメント同士の継手部は複雑でかつ、ボルト接合であるためボルト類その他の連結部材を必要とし、また、使用するボルト本数が膨大となり、これの締結作業室に多大の時間を要し、これらの点で、施工費のコストアップ、施工期間の長期化という問題点を有している。
【0017】
本発明は、新規なセルダムのための広幅矢板セグメントを鋼板と嵌合継手とで構成し、かつ、複雑な継手部の構造や多数本のボルト接合を不要とし、もって従来例1、2の欠点を同時に解決したセグメントセル構造物を提案することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明は次のように構成する。
【0019】
第1の発明は、鋼板の両側縁に嵌合継手を溶接して広幅矢板を構成し、前記鋼板の幅を圧延成形の既成鋼矢板における最大有効幅よりも大きい寸法に設け、かつ複数の前記広幅矢板を嵌合継手を介して円筒状に連結し、円筒配置の前記広幅矢板で円筒形のセルを構成し、当該セルに中詰め材を充填したことを特徴とする。
【0020】
第2の発明は、第1の発明において、前記セルは、円筒配置の1枚物の前記広幅矢板で構成し、又は広幅矢板を上下に複数継ぎ足して構成したことを特徴とする。
【0021】
第3の発明は、第2の発明において、前記広幅矢板列を上下に複数継ぎ足す場合にあっては、その継ぎ目は隣り合う広幅矢板列間で相互にずらして設けたことを特徴とする。
【0022】
第4の発明は、第1〜第3の発明において、前記広幅矢板列における鋼板の幅を小型クレーンでハンドリングできる範囲で約1,000mm以上に設け、該鋼板をフラット又は円弧状に設けたことを特徴とする。
【0023】
第5の発明は、第1〜第4の発明に記載の円筒形セルを川底に設置した際の上流側に配置する広幅矢板における鋼板の厚みを、下流側に配置する広幅矢板における鋼板の厚みより厚く設けたことを特徴とする。
【0024】
第6の発明の砂防ダムは、第1〜第5の発明に記載のセルを、セル相互が連続した円形セル、セル相互が分離した分離円形セル、たいこ型セル、クローバー型セル等の任意の平面形態に構成し、前記何れかの川底に設置したことを特徴とする。
【0025】
【作用】
本発明に係る広幅矢板にあっては、圧延による既成の鋼矢板の最大有効幅(通常500mm)以上の幅を持つ鋼板を製作し、当該鋼板の両側縁に嵌合継手を溶接することで、従来よりも広幅の矢板を構成し、これによりセルを構築するので、多数枚の矢板セグメントを必要とする大径のセルダムの構築に際し、少ない矢板セグメントの枚数で当該セルダムを構築でき、矢板セグメントの嵌合施工、工期、組立てる手間、コスト等を大幅に削減できる。また、広幅矢板は、鋼板に嵌合継手を溶接して構成するものであるから、鋼板の大きさの自由度に加え、鋼板の板厚の選定も自由にでき、用途や使用部位に応じた強度を付与することが可能である。さらに、事前に鋼板にR加工を施すことができ、円弧状の広幅矢板を製作することで、小径のセルダムであっても多角形の角部をなくした自然な円筒体を構築でき、またさらに、ボルト接合も不要である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
【0027】
図1〜図3は、実施形態1を示し、図1(a)は、図1(b)のA−A断面図、図1(b)は、広幅矢板セグメント構造物の正面図、図2は、広幅矢板を円周方向に打設すると共に、上方に継ぎ足している工程を示す斜視図、図3(a)は、広幅矢板の正面図、(b)は、同図(a)のB−B断面図、(c)は、同図(a)の左端部において、鋼板と嵌合継手の開先溶接を説明するための拡大断面図である。
【0028】
図1は、川底10に設けた基礎地盤11に設置した円筒形のセル12を示し、この円筒形のセル12は、複数の広幅矢板13を円周方向と上下方向に継ぎ足して構成している。
【0029】
図2は、実施形態1に係る広幅矢板13を川底10に打設して複数の前記広幅矢板13を嵌合継手14を介して円筒状に連結し、円筒配置の各広幅矢板13を上方に複数継ぎ足して円筒形のセル12を構築し、その内部に小石などの中詰め材15を充填する途中の工程を示している。また、上下に複数継ぎ足した広幅矢板13において、上下の継ぎ目16は隣り合う広幅矢板列間で相互にずらして設けたいわゆる千鳥配置に設けている。この千鳥位置にするため、広幅矢板13の各列最下段と最上段の何れか一方を、他の広幅矢板13の長さの2分の1の高さ寸方の広幅矢板13aに設けることによって、下端と上端が円周方向に揃った円筒体のセル12を構成できる。セル12の上部はコンクリート蓋17で閉塞される。
【0030】
広幅矢板13は、本発明の主要素をなすものであり、図3に示すように、所定の幅、厚さ、長さを有した鋼板18の両側縁に沿って嵌合継手14を突合せ開先溶接19にて溶接して構成されるものである。広幅矢板13の構成をさらに説明すると、嵌合継手14の接合端部20の厚み(T)は、例えば約9.5mし、鋼板18の厚さ(t)は、約9.5mm〜6mmの範囲とする。また、鋼板18の外面と嵌合継手14の接合端部20の外面が揃うように配設し、かつ鋼板18の端面と接合端部20の間隔(t1)は、例えば約2mmとし、さらに、鋼板18の端部で厚み方向の略中間部から接合端部20の端面との間で約45°の角度に開先斜面21を設け、そこに形成された開先空間に突合せ開先溶接19を施して、鋼板18に嵌合継手14を溶接する。なお、前記接合端部20の間隔(t1)や開先角度は一例であって、これ以外の寸法に設定することもある。
【0031】
このように構成した広幅矢板13により、突合せ開先溶接部19が内側になるようにして円筒形のセル12を構築するとき、セル外側がフラットで段差が生じないと共に、外面から見える溶接部が小さく、外観上も好ましい。
【0032】
広幅矢板13は、前記のように鋼板18に嵌合継手14を溶接して構成するものであるから、圧延成形による既成の鋼矢板と異なり、鋼板18の大きさや厚さなどは、嵌合継手14の大きさや形状等に制限されず、矢板の有効幅、有効厚である、鋼板18の幅と厚み等が自由である。したがって、この自由度を生かして鋼板18の幅(W)に関しては、少なくとも圧延による既成鋼矢板の有効幅以上、より望ましくは、広幅矢板13を小型クレーンでハンドリングできる範囲で、鋼板幅1,000mm以上に構成する。
【0033】
また、鋼板18の厚みに関して自由であることから、同一の嵌合継手14でかつ同一の鋼板18の幅寸法に対し、鋼板18の厚みのみ変えた広幅矢板13も製作自由である。この利点を生かすことで、セル12を川底10に設置した場合において、土石流により大きな衝撃や損傷を受ける上流側に、下流側より厚い鋼板18を用いた広幅矢板13を配置して強度を部分的に向上することができる(請求項3の発明はこの技術内容を要旨としている)。これにより簡潔な構成で合理的なセルダムを構築できる。
【0034】
実施形態1における鋼板18はフラットであり、広幅矢板13は直線広幅矢板に構成されている。本来、小径のセルダムでは、直線矢板の場合は多角形の角が問題になるが、図1に示すような本発明の広幅矢板13を用いた大径のセルダムでは、直線矢板であっても多角形の角が問題になることは殆どない。
【0035】
実施形態1によると、鋼板18の大きさを適宜に設定することで、例えば矢板幅4000mmなどの広幅の直線矢板を製作でき、それを用いて大径のセルダムを少ない枚数の広幅矢板13で構築できる。したがって、セルダムの構築に要する矢板セグメントの嵌合施工、工期、組立てる手間、コスト等を大幅に削減できる。
【0036】
図4は、実施形態2を示し、同図(a)は、同図(b)のB−B断面図、同図(b)は、広幅矢板セグメント構造物の正面図である。実施形態2では、長尺の1枚物の広幅矢板13を円周方向に嵌合継手14を介して結合して円筒形のセル12を構築している。したがって、実施形態2では実施形態1における上下の継ぎ目は存在しない。その他の構成は実施形態1と同じであり、用途に応じて実施形態1と2を選択使用するのがよい。
【0037】
図5、図6は、実施形態3を示し、図5(a)は、図5(b)のD−D断面図、図5(b)は、広幅矢板セグメント構造物の正面図、図6(a)、(b)は、曲率が異なる2種類の円弧状広幅矢板の横断面図である。
【0038】
図5には、図6に示す円弧状広幅矢板13aによって、川底10に設けた基礎地盤11に設置した円筒形のセル12を示し、この円筒形のセル12は、複数の前記円弧状広幅矢板13aを円周方向と上下方向に継ぎ足して構成している。
【0039】
実施形態2が実施形態1と相異する点は、円弧状広幅矢板13aでは、鋼板18が所定の曲率に形成されていることである。円弧状広幅矢板13aは、鋼板18に嵌合継手14を溶接して構成するものであるから、鋼板18は、その大きさや板厚の自由度に加えて、加工の自由度も有する。実施形態2では鋼板の加工の自由度を生かして事前に当該鋼板18にベンダー加工を施すことで、円弧状の広幅矢板13aを構成し、この円弧状広幅矢板13aで円筒状のセル12を構築するものである。
【0040】
大径のセルでは直線形の広幅矢板1であっても多角形の角部の問題は生じないが、小径のセルでは圧延による既成の直線鋼矢板などでは多角形の角が問題となる。
【0041】
図6(a)、(b)に示す円弧状広幅矢板13aは、特に小径のセルダムにおいて、多角形の角の問題を解消できるものである。図6(a)、(b)の各円弧状広幅矢板13aにおいて、鋼板18の幅は何れも4000mmで両者同じであるが、図6(a)では鋼板18にR1=3,180の曲率のベンダー加工を施してある。また、図6(b)では鋼板18にR2=7,640の曲率のベンダー加工を施してなる例を示す。図6(a)の円弧状広幅矢板13aは一枚が72°をなしており、当該円弧状広幅矢板13aを円周方向に5枚連結して直径約6.4mのセルダムを構築できる。また、図5(b)の円弧状広幅矢板13aは一枚が30°をなしており、当該円弧状広幅矢板13aを円周方向に12枚用いて直径約15.0mのセルダムを構築できる。
【0042】
図6(a)、(b)の円弧状広幅矢板13aを用いることで、図5(a)、(b)に示すような比較的小径のセル12を構築でき、しかも各円弧状広幅矢板13a同士の嵌合継手14の位置に多角形が生じず、円形近似の円筒体を構築できる。その他の構成は、実施形態1と同じである。
【0043】
実施形態1、2、3の作用効果を整理すると次のとおりである。
【0044】
鋼板18と嵌合継手14との溶接により直線または円弧状の広幅矢板13、13aの構成が可能であることから、当該広幅矢板13、13aの継手間隔が例えば、1,000mm以上の幅広の、一つの広幅矢板を小型クレーンでハンドリングできる大きさの範囲に構成すること(つまりパネルの大型化)、広幅矢板13、13aは、ボルト継手でない嵌合継手であること等から、特に大きな径の透過型セルダムダムにおいて、使用する直線矢板の削減による鋼材重量の削減、矢板継手嵌合による建て込み枚数の削減による工期短縮、コスト削減などの効果が顕著である。
【0045】
さらに、広幅矢板13、13aは、鋼板の両端部に嵌合継手を溶接よって接合したことから、板厚の自由な選定に伴う板厚適正化によるコスト削減と、セルダムの上流側と下流側で鋼板18の厚みを変えることで、大きな衝撃を受ける上流側を部分的に強度補強でき、効率的かつ合理的な構成にできる。さらに、寸法、R加工が自由であり、特に、小さな径のセルダムを経済的に構築できる。
【0046】
なお、各実施形態で示した構成を適宜設計変更して実施することは、本発明の範囲に含まれる。例えば、各実施形態に示すセル12の平面形態を、図8(a)〜(d)に示す、円形セル9a、たいこ型セル9b、グローバル型セル9c、分離型円形セル9d等の任意の形態に構成し、これを川底の設置して砂防ダムを構築できる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によると、圧延による既成の鋼矢板の最大有効幅(通常500mm)以上の幅を持つ鋼板を製作し、当該鋼板の両側縁に嵌合継手を溶接することで、従来よりも広幅の矢板を構成し、これによりセルを構築するので、多数枚の矢板セグメントを必要とする大径のセルダムの構築に際し、少ない矢板セグメントの枚数で当該セルダムを構築でき、矢板セグメントの嵌合施工、工期、組立てる手間、コスト等を大幅に削減できる。
【0048】
また、広幅矢板は、鋼板に嵌合継手を溶接して構成するものであるから、鋼板の大きさの自由度に加え、鋼板の板厚の選定も自由にでき、用途や使用部位に応じた強度を付与することが可能である。さらに、事前に鋼板にR加工を施すことができ、円弧状の広幅矢板を製作することで、小径のセルダムであっても多角形の角部をなくした自然な円筒体を構築でき、またさらに、ボルト接合も不要である等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示し、図(a)は、同図(b)のA−A断面図、(b)は、広幅矢板セグメント構造物の正面図である。
【図2】広幅矢板を円周方向に打設すると共に、上下方向に継ぎ足している態様を示す斜視図である。
【図3】(a)は、広幅矢板の正面図(b)は、同図(a)のB−B断面図、(c)は、同図(a)の左端部において、鋼板と嵌合継手の開先溶接を説明するための拡大断面図である。
【図4】実施形態2を示し、図(a)は、同図(b)のC−C断面図、(b)は、広幅矢板セグメント構造物の正面図である。
【図5】実施形態3を示し、図(a)は、同図(b)のD−D断面図、(b)は、広幅矢板セグメント構造物の正面図である。
【図6】(a)、(b)は、実施形態3のセグメント構造物に用いる円弧状広幅矢板で、鋼板の曲げ角度が相異する2つの円弧状広幅矢板の横断面図である。
【図7】従来のセル式砂防ダムの斜視図である。
【図8】(a)、(b)、(c)、(d)は、従来のセル形式の平面形態の4例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 基礎
2 円筒形セグメントセル
3 鋼製セグメント
4 中詰め材
5 蓋コンクリート
6 合成セグメント
7 土石流
9a 円形セル
9b たいこ型セル
9c クローバー型セル
9d 分離型円形セル
10 川底
11 基礎地盤
12 セル
13 広幅矢板
13a 円弧状広幅矢板
14 嵌合継手
15 中詰め材
16 継ぎ目
17 コンクリート蓋
18 鋼板
19 突合せ溶接
20 接合端部
21 開先溶接

Claims (6)

  1. 鋼板の両側縁に嵌合継手を溶接して広幅矢板を構成し、前記鋼板の幅を圧延成形の既成鋼矢板における最大有効幅よりも大きい寸法に設け、かつ複数の前記広幅矢板を嵌合継手を介して円筒状に連結し、円筒配置の前記広幅矢板で円筒形のセルを構成し、当該セルに中詰め材を充填したことを特徴とする広幅矢板セグメント構造物。
  2. 前記セルは、円筒配置の1枚物の前記広幅矢板で構成し、又は広幅矢板を上下に複数継ぎ足して構成したことを特徴とする請求項1記載の広幅矢板セグメント構造物。
  3. 前記広幅矢板列を上下に複数継ぎ足す場合にあっては、その継ぎ目は隣り合う広幅矢板列間で相互にずらして設けたことを特徴とする請求項2記載の広幅矢板セグメント構造物。
  4. 前記広幅矢板列における鋼板の幅を小型クレーンでハンドリングできる範囲で約1,000mm以上に設け、該鋼板をフラット又は円弧状に設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の広幅矢板セグメント構造物。
  5. 前記円筒形セルを川底に設置した際の上流側に配置する広幅矢板における鋼板の厚みを、下流側に配置する広幅矢板における鋼板の厚みより厚く設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の広幅矢板セグメント構造物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項記載のセルを、セル相互が連続した円形セル、セル相互が分離した分離円形セル、たいこ型セル、クローバー型セル等の任意の平面形態に構成し、何れかのセルを川底に設置したことを特徴とする砂防ダム。
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