JP2013163906A - 鋼管杭 - Google Patents

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北村  精男
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Abstract

【課題】口径および杭長に制約を受けない大口径の鋼管杭を提供することを目的とする。
【解決手段】所定の口径に設定された管状部2と、管状部2の軸方向一端に接続される環状の刃口部3と、を備えており、管状部2は、該管状部2の周方向および軸方向に隣接するとともに、互いに接合されて略管状に組み立てられる複数の鋼板4…を有しており、鋼板4の、管状部2の周方向両側縁には継手5,5が設けられており、管状部2の周方向に隣接する鋼板4,4同士は、互いに隣接する継手5,5同士が嵌合されることによって接合されている。これにより、複数の鋼板の組み合わせ次第で、管状部を一定以上の口径および杭長に形成することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、口径および杭長に制約を受けない大口径の鋼管杭に関する。
従来、建築基礎や河川・海岸護岸として鋼管杭が用いられている(例えば、特許文献1参照)。この場合、小径の鋼管杭を多数打ち込むよりも、口径の大きい鋼管杭を打ち込む方が効率的である。
このように口径の大きい鋼管杭としては、例えばスパイラル鋼管や板巻鋼管等のアーク溶接鋼管が知られている(例えば、特許文献2、非特許文献1参照)。
スパイラル鋼管は、鋼帯を引き出しながら螺旋状に巻き立てて両端を溶接したものであり、螺旋の巻き方を緩やかにすることで、容易に大口径の鋼管を形成できる。また、板巻鋼管は、厚板をロールやプレスによって円筒状に整形し、両端を溶接したものである。
特開2006−299708号公報 特開2006−281313号公報
著者不明、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』"鋼管"、[online]、2011年3月17日(最終更新日)、[2012年2月6日検索]、インターネット〈URL: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8B%BC%E7%AE%A1〉
ところで、車両に積載される積載物は、車両積載時の幅や高さ、長さにおいて法律上の制約を受ける。
このため、上記のような大口径鋼管の場合も、車両に積載して輸送することを考慮すると、一定以下の口径および杭長の鋼管杭しか製造できないという問題がある。
本発明の課題は、口径および杭長に制約を受けない大口径の鋼管杭を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、所定の口径に設定された管状部と、
前記管状部の軸方向一端に接続される環状の刃口部と、を備えており、
前記管状部は、該管状部の周方向および軸方向に隣接するとともに、互いに接合されて略管状に組み立てられる複数の鋼板を有しており、
前記鋼板の前記管状部の周方向両側縁には継手が設けられており、
前記管状部の周方向に隣接する鋼板同士は、互いに隣接する前記継手同士が嵌合されることによって接合されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鋼管杭において、前記鋼板は、前記刃口部の曲率と同曲率の円弧状に形成されており、
前記鋼板の円弧の長さは、前記管状部を、この管状部の周方向に隣接する複数の鋼板の数で等角度に分割した分の長さに設定されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の鋼管杭において、前記刃口部は、この刃口部の先端面の周方向に等間隔に配置固定される複数個の切削刃を有することを特徴とする。
本発明によれば、車両に積載して輸送する際には鋼板ごとに分解した状態で輸送でき、輸送後に、複数の鋼板を、周方向および軸方向に隣接させ、互いに接合させることによって管状部を組み立てることができる。また、複数の鋼板を組み立ててなる管状部は複数の鋼板の形状・組み合わせ次第で、一定以上の口径および杭長とすることができる。
さらに、管状部の周方向に隣接する複数の鋼板同士は、互いに隣接する継手同士が嵌合されることによって接合されているので、例えば単に溶接する場合に比して、管状部の周方向に隣接する鋼板同士の接合状態を向上させることができる。また、継手構造を採用することによって、隣接する鋼板同士を容易に接合できるとともに、継手同士の強固な引張抵抗により、接合された鋼板同士の分離を確実に防ぐことができる。
これによって、口径および杭長について、車両積載時の法律上の制約を受けない大口径の鋼管杭を形成することが可能となる。延いては、このような鋼管杭を、建築基礎や河川・海岸護岸として確実に利用することができるので、効率が良く、施工性を向上させることができる。
本発明に係る鋼管杭を示す縦断面図である。 同、部分拡大斜視図である。 管状部を示す平断面図である。 刃口部を示す平断面図である。 内周面に補剛材が接合された状態を示す斜視図である。 切削刃を有する刃口部の実施例を示す断面図である。 図6の刃口部を備えた鋼管杭の打ち抜き方法の形態を示す平面図である。 同、中央縦断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図8において符号1は、鋼管杭を示す。この鋼管杭1は、断面略円状に形成されており、建築基礎や河川・海岸護岸として利用される。また、この鋼管杭1は、所定の口径に設定された管状部2と、前記管状部2の軸方向一端に接続される環状の刃口部3と、を備える。
なお、前記管状部2と前記刃口部3とは、溶接やボルト接合等を始めとする従来公知の接合方法により接合されている。また、複数の接合方法を併用してもよいものとする。
前記管状部2は、図1〜図3等に示すように、該管状部2の周方向および軸方向に隣接するとともに、互いに接合されて略管状に組み立てられる複数の鋼板4…を有する。すなわち、この管状部2は、前記複数の鋼板4を、周方向および軸方向に隣接させ、互いに接合することによって形成されている。
なお、前記管状部2は、前記複数の鋼板4…の形状・組み合わせ次第で、一定以上の口径および杭長とすることができる。
ここで、一定以上の口径および杭長とは、積載物を車両に積載した時に、法律上の制約を受ける規定の数値以上の口径および杭長を指している。したがって、前記管状部2は、前記複数の鋼板4…に分解して輸送しない限り、法律上の制約を受ける口径および杭長に設定されている。
また、前記鋼板4は、図3に示すように、前記刃口部3の曲率と同曲率の円弧状に形成されている。そして、この鋼板4の円弧の長さは、前記管状部2を、この管状部2の周方向に隣接する複数の鋼板4…の数で等角度に分割した分の長さに設定されている。
本実施の形態においては、前記管状部2の周方向に隣接する複数の鋼板4…の数は「16」とされている。すなわち、前記管状部2は、16等分割されており、前記鋼板4の円弧の長さは、前記管状部2の円周の長さを16等分割した分の長さに設定されている。
実際には、製造する予定の鋼管杭1のサイズに基づいて前記管状部2の円周の長さや軸方向長さを設定し、車両に積載可能な範囲で、前記鋼板4の円弧の長さや軸方向の長さを設定し、製造する。
また、前記鋼板4の、前記管状部2の周方向両側縁には、図2に示すように、継手5,5が設けられている。したがって、前記管状部2の周方向に隣接する鋼板4,4同士は、互いに隣接する前記継手5,5同士が嵌合されることによって接合されている。
前記継手5は、断面略C型に形成されており、前記鋼板4の両側縁部の軸方向に沿って設けられている。また、前記継手5は、この継手5の内周面によって形成される凹部5aと、一端に形成される玉部5bと、他端に形成される爪部5cと、を備えており、長さ方向に同一断面を有する。
互いに隣接する前記継手5,5同士は、図2に示すように、それぞれ前記玉部5b,5bが前記凹部5a,5a内に挿入され、さらに、前記爪部5c,5cが前記玉部5b,5b握り込むようにして嵌合されている。
また、前記継手5,5同士を嵌合させるには、前記一方の継手5の前記玉部5bを、前記管状部2の軸方向他端側(図2中の上方)から前記他方の継手5の凹部5a内に挿入するとともに、この凹部5aの長さ方向に沿ってスライドさせるようにして嵌合させることができる。つまり、図2中では、上方から下方に向かってスライドさせる。
なお、前記玉部5bを前記凹部5a内に挿入した際に、前記凹部5a内に隙間が形成される場合があるが、この隙間には充填材を充填して隙間を埋めるようにしてもよい。
このような継手構造を採用することによって、前記隣接する鋼板4,4同士を容易に接合できるとともに、前記継手5,5同士の強固な引張抵抗により、接合された前記鋼板4,4同士の分離を確実に防ぐことができる。
また、前記管状部2の周方向に隣接する鋼板4,4は、図1および図5に示すように、一方の鋼板4が、他方の鋼板4に対して上下方向にずれた千鳥状に配置されている。このように複数の鋼板4…が千鳥状に配置されていると、例えば図1に示す範囲Aのように、一つの鋼板4が、隣の列において前記管状部2の軸方向に隣接する少なくとも二つの鋼板4,4に対して接合される部分が発生することになる。
これによって、前記管状部2自体の軸方向の継手箇所が鋸歯状に構成されるため、前記管状部2自体の軸方向の継手箇所の剛性低下を抑制することができる。
前記管状部2の軸方向に隣接する前記鋼板4,4同士は突合せ溶接により接合されている。このように前記管状部2は、該管状部2の周方向に隣接する鋼板4,4同士を前記継手5,5によって接合し、該管状部2の軸方向に隣接する鋼板4,4同士を突合せ溶接するようにして形成されているので剛性に優れる。
なお、これら鋼板4,4間に、図示しない添接板を架設固定して、これら鋼板4,4同士をより強固に接合してもよい。また、この添接板を前記鋼板4,4の表面に接合する際は、例えば溶接やボルト接合等を始めとする従来公知の接合方法により接合されている。
また、本実施の形態においては、前記管状部2の内周面には、図5に示すように、この管状部2の周方向に沿って環状に形成された補剛材7が接合されている。なお、この補剛材7を接合する際は、例えば溶接やボルト接合等を始めとする従来公知の接合方法により接合されている。
このような補剛材7を前記管状部2の内周面に接合することによって、単に、前記管状部2の周方向に隣接する鋼板4,4同士を前記継手5,5によって接合し、前記管状部2の軸方向に隣接する鋼板4,4同士を突合せ溶接するだけで前記管状部2を形成する場合に比して、前記管状部2の剛性を向上させることができる。
また、このような補剛材7を、前記複数の鋼板4…が千鳥状に配置された前記管状部2自体の軸方向の継手箇所に接合することによって、該管状部2自体の軸方向の継手箇所の剛性低下をより確実に抑制できるので好ましい。
前記刃口部3は、図1および図2に示すように、先端部に向かって鋭角に形成される刃口先端部3aと、前記管状部2内に差し込まれる差込部3bとを有する。前記差込部3bの周方向深さは前記管状部2の厚さよりやや大きく形成され、前記刃口部3が鋼管杭のフリクションカットとして機能する。なお、これら刃口先端部3aと差込部3bは一体形成されている。
前記差込部3bの外径は、前記管状部2の内径に略等しくなるように、または若干小径となるように設定されている。すなわち、上述のように前記鋼板4は、前記刃口部3の曲率と同曲率の円弧状に形成されているので、前記差込部3bの外周面は、前記管状部2の内周面に対して密接することになる。
また、前記刃口先端部3aの外径は、前記差込部3bの外径よりも大径に設定されており、該刃口先端部3aの上面3cには、前記管状部2の軸方向一端が当接している。
なお、本実施の形態においては、前記差込部3bは、前記刃口部3の外周面に形成するようにしたが、刃口部3の内周面に形成してもよい。したがって、この場合、差込部3bの内周面には、管状部2の外周面が当接することになる。
前記刃口部3は、図1および図4に示すように、この刃口部3を周方向に等角度に分割した分の円弧の長さに設定された複数の刃口構成体6…によって構成されている。本実施の形態においては、前記刃口部3の周方向に隣接する複数の刃口構成体6…の数は「3」とされている。すなわち、前記刃口部3は、3等分割されており、前記刃口構成体6の円弧の長さは、前記刃口部3の円周の長さを3等分割した分の長さに設定されている。
なお、このような刃口構成体6は、製造する予定の鋼管杭1のサイズに基づいて、その円弧の長さ等のサイズが設定されており、車両に積載可能とされている。これによって、前記刃口構成体6は、車両積載時の法律上の制約を受けることなく輸送できる。
また、前記刃口部3は、3等分割されることにより、変形し難くなるように静定し、断面円状に形成された該刃口部3の形状を保持することができる。
以上のような鋼管杭1は、打撃工法や振動工法、圧入工法等の従来公知の方法によって地中に埋設されるものとする。なお、鋼管杭1の打設に用いられるハンマ等の各種設備においても、大口径の鋼管杭1に対応できるように、従来のものが適宜応用されているものとする。
また、以下の実施例では、鋼管杭1を地中に回転圧入する際の方法や、これに応じた刃口部8の構成について説明する。すなわち、以上の本実施の形態で説明した刃口部3は、先端部に向かって鋭角に形成される刃口先端部3aを有するものとしたが、以下の実施例では、例えば図6に示すような複数の切削刃9…を有する刃口部8を採用する。
<実施例>
本実施例の刃口部8は、この刃口部8の先端面の周方向に等間隔に配置固定される複数個の切削刃9…と、これら複数個の切削刃9…を保持する先端部8aと、前記管状部2内に差し込まれる差込部8bとを有する。なお、前記先端部8aと差込部8bは一体形成されている。また、この刃口部8も、前記刃口部3と同様に複数の刃口構成体6…によって構成されている。
前記差込部8bの外径は、前記管状部2の内径に略等しくなるように、または若干小径となるように設定されている。
また、前記先端部8aの外径は、前記差込部8bの外径よりも大径に設定されており、該先端部8aの上面8cには、前記管状部2の軸方向一端が当接している。
さらに、前記先端部8aの厚みは、前記切削刃9の厚みに対応するように設定されており、前記差込部8bよりも肉厚に形成されている。また、前記先端部8aには、この先端部8aの周方向に等間隔に複数の切欠部8d…が形成されており、前記複数個の切削刃9…は、これら複数の切欠部8dに嵌合され保持されている。なお、前記複数個の切削刃9…は前記先端部8aに対して溶接されて接合されている。
前記切削刃9は、前記複数の切欠部8d…に差し込まれて嵌合する部位と、圧入方向先端側に位置するとともに鋭角に形成される先端部とからなる。
そして、本実施例の刃口部8を備える鋼管杭1は、図7および図8に示すような杭打ち抜き装置10によって地中に圧入される。
前記杭打ち抜き装置10は、把持部11と、外面把持装置12と、駆動部13と、駆動装置14と、係止部材15と、反力装置16と、係止部材17と、固定手段18と、反力基盤19と、内面支持装置20とを備える。
図示のように、前記鋼管杭1はその外周面をリング状の把持部11の内側に外面把持装置12で把持される。前記外面把持装置12は、例えば鋼管チャック装置で構成され、図示例では、リング状の把持部11の内側に沿って等間隔に八個配置されている。
前記把持部11はその外周を前記駆動部13の内側に回転自在に支持される。前記把持部11は、前記駆動部13の同心円状に等間隔に設けた複数(図示例では四個)の駆動装置14により回転駆動される。
前記駆動装置14は、例えば前記把持部11の外周に固設したリングギヤにピニオンを噛み合わせる等して構成される。
また、前記駆動部13の外周に備える係止部材15に、前記反力装置16の前端に備える係止部材17が連結される。前記係止部材15は、前記駆動部13の外周に等間隔に突設した複数(図示例では四個)のブラケット等で構成される。
前記反力装置16は、例えばサイレントパイラー(登録商標)などの既往の油圧式杭圧入引抜機であって、所要数配置すればよく、静定的には三台以上が好適である。前記係止部材17は、前記反力装置16の前端に突設したチャック部、またはピンでもよい。
そして、前記反力装置16は、前記固定手段18により前記反力基盤19の上に固定される。
すなわち、前記鋼管杭1の打設予定位置の周囲には、予め前記駆動部13の外側に位置する同心円状で略等間隔の複数個所(図示例では四箇所)に前記反力基盤19を構築しておく。
ここで、前記反力基盤19は、例えば鋼矢板により構成されて、予め油圧式杭圧入引抜機やバイブロハンマで地盤に打設される。図示例において、鋼矢板による反力基盤19は、予め前記鋼管杭1の外周、すなわち、リング状の前記駆動部13の外側に沿って配置されている。
なお、前記固定手段18は、前記反力装置16を構成する油圧式杭圧入引抜機の下に備えられるクランプ装置で構成される。
前記内面支持装置20は、図8にも示すように、前記外面把持装置12の把持力作用点に対応して、前記鋼管杭1の内周面にそれぞれ接する当て部材21と、その当て部材21に直結されて、当て部材21を前記外面把持装置12に対抗して鋼管杭1の内面に押圧する油圧ジャッキまたは空気圧ジャッキによる押圧手段22とを備える。
これら当て部材21および押圧手段22の組は、前記外面把持装置12の位置に対応して、リング部材による台座23に対し放射状等間隔に押圧手段22の部分で複数(図示例では八組)取り付けられている。
また、前記台座23の上には、図示しないクレーン等で吊り上げ可能な吊り具24が複数個取り付けられている。
前記鋼管杭1の打設は、前記駆動部13の駆動装置14の同期駆動により前記把持部11(外面把持装置12)を介して前記鋼管杭1を回転させるとともに、四箇所の反力装置16…の同期駆動により前記係止部材17,15および前記駆動部13を介して鋼管杭1を軸方向に往復動させることで、鋼管杭1を地中に圧入する。
このとき、鋼管杭1の回転方向の反力と軸方向の反力は、四箇所の反力装置16…を介して前記反力基盤19により受け止められる。
同時に、前記鋼管杭1の内部において、前記内面支持装置20の押圧手段22の同期駆動(伸張動作)により前記当て部材21を、八箇所の外面把持装置12…の位置に対応して、前記鋼管杭1の内面にそれぞれ押圧させる。
ここで、前記外面把持装置12を開放して把持部11を移動する際に、前記内面支持装置20を台座23上の吊り具24でクレーン等により吊っておき、前記押圧手段22を開放(縮小動作)して把持部11に合わせて移動させる。
なお、リング状の台座23は、さらに梁等で補強しておいてもよい。
以上のとおり、前記鋼管杭1の径方向に対し直角方向に打設した反力基盤19が、大きな引抜抵抗・回転抵抗を発揮するので、静荷重での大口径の鋼管杭1の圧入を可能とし、騒音・振動など周辺への影響を抑止できる。
しかも、前記鋼管杭1の径方向に対し直角方向に打設する反力基盤19の施工は容易であり、別途他の機械を用意する必要がなく、したがって、安価に施工できる。
そして、製造可能範囲での大口径管にも容易に対応できる。また、左右両回転の反力にも容易に対抗できる。さらに、前記反力基盤19を打設しておけばよいので、省スペース化が図れる。
特に、前記鋼管杭1の回転圧入に際し、前記外面把持装置12の位置に対応して、前記鋼管杭1の内面に前記内面支持装置20の当て部材21を押圧させることにより、前記鋼管杭1の内外面から挟持するので、変形を抑止でき、確実に把持できる。
したがって、前記鋼管杭1に対し強力な把持力が伝達できるので、杭材の周りに密に外面把持装置12を配する必要がなく、経済的である。
また、前記外面把持装置12を開放して把持部11を移動する際には、前記内面支持装置20を前記台座23上の吊り具24でクレーン等により吊っておき、前記押圧手段22を開放(縮小動作)して把持部11に合わせて移動させることにより、圧入に伴って移動する外面把持装置12の把持力に対して、確実に内面から支持できる。
なお、本実施例では、杭の圧入について説明したが、既設の打設杭の引き抜きにも適用できる。
本実施例によれば、先端面の周方向に等間隔に配置固定される複数個の切削刃9…を有する刃口部8を採用することによって、鋼管杭1を回転圧入することができるので、工事現場の厳しい制約条件下でも、大口径の鋼管杭1を用いた施工を行うことができる。また、大口径の鋼管杭1を省スペース化した装置により静荷重で容易に回転打ち抜き施工できるため、工期・工費を抑えることができる。したがって、地すべり抑止杭や超高層ビルの基礎構築に適用範囲の拡大が見込める。
また、前記四箇所の反力基盤19…を鋼管杭1の外周に沿って配置したことによって、さらに省スペース化を達成できる。
しかも、前記外面把持装置12の位置に対応して、前記鋼管杭1の内面に前記内面支持装置20の当て部材21を押圧させるため、杭材を把持する際に変形を抑止することができる。したがって、特に大口径の薄肉鋼管類を容易に打ち抜きすることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、車両に積載して輸送する際には前記鋼板4ごとに分解した状態で輸送でき、輸送後に、前記複数の鋼板4…を、前記管状部2の周方向および軸方向に隣接させ、互いに接合させることによって管状部2を組み立てることができる。また、前記複数の鋼板4…を組み立ててなる管状部2は前記複数の鋼板4…の形状・組み合わせ次第で、一定以上の口径および杭長とすることができる。
さらに、前記管状部2の周方向に隣接する複数の鋼板4,4同士は、互いに隣接する前記継手5,5同士が嵌合されることによって接合されているので、例えば単に溶接する場合に比して、前記管状部2の周方向に隣接する鋼板4,4同士の接合状態を向上させることができる。また、前記継手5のような継手構造を採用することによって、隣接する鋼板4,4同士を容易に接合できるとともに、前記継手5,5同士の強固な引張抵抗により、接合された鋼板4,4同士の分離を確実に防ぐことができる。
これによって、口径および杭長について、車両積載時の法律上の制約を受けない大口径の鋼管杭1を形成することが可能となる。延いては、このような鋼管杭1を、建築基礎や河川・海岸護岸として確実に利用することができるので、効率が良く、施工性を向上させることができる。
また、前記管状部2の内部中空部は、輸送時においては無駄なスペースとなってしまう場合があるが、本実施の形態によれば、前記複数の鋼板4…に分割して輸送できるので、極力無駄なスペースを作らずに車両によって輸送することができる。しかも、前記複数の鋼板4…は、それぞれ幅や円弧の長さが略等しくなるように設定されているので、輸送車両の荷台に積載しやすい。
これによって、一度に輸送できる鋼板4の量、延いては管状部2の量を増やすことができるので好ましい。
また、以上のような大口径の鋼管杭1を、例えば既設堤防の改修に連続壁として適用すれば、地震による液状化や洪水時の越水による破堤を防げ、堤防天端が確実に保持されるため、交通網や緊急避難場所としての活用を見込むことができる。
1 鋼管杭
2 管状部
3 刃口部
4 鋼板
5 継手
6 刃口構成体
7 補剛材
8 刃口部
9 切削刃
10 杭打ち抜き装置

Claims (3)

  1. 所定の口径に設定された管状部と、
    前記管状部の軸方向一端に接続される環状の刃口部と、を備えており、
    前記管状部は、該管状部の周方向および軸方向に隣接するとともに、互いに接合されて略管状に組み立てられる複数の鋼板を有しており、
    前記鋼板の前記管状部の周方向両側縁には継手が設けられており、
    前記管状部の周方向に隣接する鋼板同士は、互いに隣接する前記継手同士が嵌合されることによって接合されていることを特徴とする鋼管杭。
  2. 前記鋼板は、前記刃口部の曲率と同曲率の円弧状に形成されており、
    前記鋼板の円弧の長さは、前記管状部を、この管状部の周方向に隣接する複数の鋼板の数で等角度に分割した分の長さに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼管杭。
  3. 前記刃口部は、この刃口部の先端面の周方向に等間隔に配置固定される複数個の切削刃を有することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼管杭。
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