JP4947650B2 - Pcウェル構造物の構築方法 - Google Patents
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そして、特許文献1では、接合部材が、弧状プレキャストブロックの両端部内側及び外側に表面を露出させた状態に埋設された平板状の埋設プレートからなり、隣接する弧状プレキャストブロックの両埋設プレートに平板状の連結プレートを掛け渡してそれぞれに接続させることにより、弧状プレキャストブロックどうしを連結している。
プレキャストブロック10,30には、鉛直鉄筋11(図3(c)参照)を建て込むための複数のシース管12、及びPC鋼棒13(図3(c)参照)を建て込むための複数のシース管14がそれぞれ鉛直方向に埋設され、プレキャストブロック10,30の円周方向端部には凹部15が形成されている。シース管12,14は、その内径が、それぞれ鉛直鉄筋11及びPC鋼棒13の外径よりも比較的大きなものが使用される。これは、鉛直鉄筋11及びPC鋼棒13をシース管12,14に挿入し易くするためである。したがって、シース管12,14に鉛直鉄筋11及びPC鋼棒13を挿入するだけでは、プレキャストブロック10,30を所定位置に高精度で位置決めすることはできない。
ここで、図2(a)はプレキャストブロック10,30を円周方向端部で接合したときの断面図であり、これに示したように、プレキャストブロック10,30の内側及び外側の円周方向には帯筋16が埋設され、帯筋16の端部16aに金属製の板体17が取り付けられている。この金属製板体17は、プレキャストブロックの生産工場で予めフレア溶接等により一体に取り付けられるものである。
プレキャストブロック10の上下面には、例えば、図1(a)(b)に示したようにダボ孔18a,18bが形成され、またプレキャストブロック30には、図1(c)(d)に示したように貫通孔31が形成される。プレキャストブロック10とプレキャストブロック30は、これらダボ孔18a,18bと貫通孔31とが異なるものの、これ以外の他の構成は共通する。ダボ孔18a,18bと貫通孔31は、所定長に切断された一般構造用鋼管をコンクリート中に埋設して形成することができる。
ダボ孔18a,18bには、図4(e)に示したようにダボ19が挿入され、このダボ19はテーパ19aと円柱部19bとを有するものである。ダボ19は、ダボ孔18aに挿入されたとき、円柱部19bの上端が僅かにダボ孔18aから上方に出ている。円柱部19bとダボ孔18a,18bとの間にはほとんど隙間がないことが好ましく、例えば、ダボ孔18a,18bの内径とダボ19の円柱部19bの外径との差は3.0mm程度以下にすることが好ましい。
また貫通孔31は、後述する丸鋼棒32を挿入するものであり、同様に、貫通孔31の内径と丸鋼棒の外径との差は3.0mm程度以下にすることが好ましい。
なお、図1(a)(b)及び図2(a)には、プレキャストブロック10,30の円周方向の端面が平らに形成されたものを例示したが、図2(b)の断面図のプレキャストブロック40のように、一方の円周方向の端面に凸接合部41を形成し、他方の円周方向の端面に凹接合部42を形成し、相互に嵌合可能なせん断キーとしても良い。
最初に、下端に刃口を有する環状の刃口ブロック(図示せず)を所定位置に設ける。刃口ブロックは場所打ち施工により構築するか、又は工場等により分割して製作されたものを施工現場で組み立てて構築する。このように構築した刃口ブロックの上にプレキャストブロック10,30を環状に配置し、これを所定段数積み上げることにより、PCウェル構造物を構築する。
ここで、図3(a)〜(d)は、先行ロットの上にプレキャストブロック10,30を環状に配置し、これを積み重ねて所定段からなる一ロット分を形成する工程を斜視図で示したものである。このプレキャストブロック10,30を一ロット分、積み重ねる工程は、刃口ブロックの上においても同様に実施されるものであるため、以下、図3(a)〜(d)、図4、図5−1及び図5−2を参照して、本発明の請求項1に記載した第一工程から第四工程について説明する。
また以下の説明では、プレキャストブロック10,30と併記するが、PCウェル構造物は、全てプレキャストブロック10から構成するか、あるいは全てプレキャストブロック30から構成するものである。
さらに、先行ロットがプレキャストブロック10で構成される場合には、図4(b)(e)に示したように、ダボ孔18aにダボ19を挿入し、一方、先行ロットがプレキャストブロック30で構成される場合には、図5−1(a)に示したように、貫通孔31に丸鋼棒32を挿入して立設する。
このとき、先行ロットがプレキャストブロック30で構成される場合には、図5−1(b)に示したように丸鋼棒32を貫通孔31に挿入するようにプレキャストブロック30を吊り降ろす。シース管12,14とそれぞれ鉛直鉄筋11及びPC鋼棒13との間には比較的大きな隙間があるが、貫通孔31と丸鋼棒32との間には図5−1(c)に示したように、ほとんど隙間がなく、上方から吊り下ろされるプレキャストブロック10,30は、これら貫通孔31と丸鋼棒32により導かれて、所望の位置から外れず、ほとんど誤差なく設置される。
一方、先行ロットがプレキャストブロック10で構成される場合、図4(c)(d)に示したように、ダボ孔18bがダボ19に環装されるように、プレキャストブロック10を吊り降ろす。図4(e)に示したように、ダボ孔18a,18bとダボ19の円柱部19bとの間にはほとんど隙間がない一方で、ダボ19のテーパ19a先端とダボ孔18bとの間には若干の隙間があるため、上方から吊り降ろされたプレキャストブロック10は、その下面のダボ孔18bが比較的容易にテーパ19aの先端に環装され、ダボ孔18bがテーパ19aに導かれて、プレキャストブロック10は所望の位置から外れず、ほとんど誤差なく設置される。
したがって、隣り合うプレキャストブロック10,30の円周方向の端部に取り付けられた金属製板体17は、隣り合うもの同士がほとんど隙間なく突き合わされる。
同様に、プレキャストブロック10,30を重機で吊り上げて、先に設置したプレキャストブロック10,30の円周方向の両端にそれぞれ隣接するように、プレキャストブロック10,30を吊り降ろす工程を繰り返し、3つのプレキャストブロック10,30からなる短円筒体を形成する。そして、この短円筒体の上面に接着剤を塗布し、同様に、プレキャストブロック10,30をクレーン車等の重機により吊り上げて、3つのプレキャストブロック10,30からなる短円筒体を、例えば、図3(c)に示したように4段に積み重ねる。
次に、図3(c)及び図2(a)に示したように、円周方向に隣り合うプレキャストブロック10,30の端部にそれぞれ取り付けられた金属製板体17を溶接により一体化する。このとき、隣り合う金属製板体17は、図6(a)の拡大図に示したように、先端辺同士がほとんど当接した状態で向き合っており、先端辺の裏側に裏当て金物23を点溶接した後に、鋼板完全溶込み開先溶接により連結する。この溶接部分24は、のど厚24aが金属製板体17の厚さとほぼ同じであり、隅肉溶接に比べて溶接量は極めて少ないものになる。参考までに、隅肉溶接による従来例を図6(b)に示したが、これは、帯筋40に取り付けられた一対の埋設プレート41に連結プレート42を掛け渡し、連結プレート42の両端を隅肉溶接43で埋設プレート41に固定するものであるが、隅肉溶接43では、のど厚43aを図示のように取るものであるため、図6(a)の本発明のものと比べると、溶接量が多くなり(溶接サイズ1.4倍、溶接長2倍)、溶接作業の手間が煩雑になってしまう。
一ロット分の全てのプレキャストブロック10,30で金属製板体17同士の溶接工程が終了したら、プレキャストブロック30を使用している場合には、図5−2(e)に示したように、クレーン等により丸鋼棒32を貫通孔31から抜き取る。
そして、図3(d)に示したように、円周方向に隣り合うプレキャストブロック10,30同士の接合部の凹部15を覆うように型枠プレート21を取り付けて、この凹部15に無収縮モルタル等のグラウト22を充填する。また鉛直鉄筋11が建て込まれたシース管12や、PC鋼棒13が建て込まれたシース管14にそれぞれ無収縮モルタル等のグラウト(図示せず)を充填し、さらに、図5−2(d)(f)に示したように、貫通孔31にそれぞれ無収縮モルタル等のグラウト33を充填すれば、一ロット分のプレキャストブロック10,30を積み重ねて一体化する工程は終了する。
11 鉛直鉄筋
12 シース管
13 PC鋼棒
14 シース管
15 凹部
16 帯筋
17 金属製の板体
18a,18b ダボ孔(位置決め手段)
19 ダボ(位置決め手段)
30 プレキャストブロック
31 貫通孔(位置決め手段)
32 丸鋼棒(位置決め手段)
Claims (2)
- 短円筒体が径方向に複数に分割された形状のプレキャストブロックの複数を、先行して組み立てた刃口ブロックの上に環状に配置する第一工程と、先行して環状に配置されたプレキャストブロックの上に更に複数のプレキャストブロックを環状に配置する第二工程と、当該第二工程を繰り返すことにより環状配置で所定高さに積み上げられたプレキャストブロックを軸方向にPC鋼棒で連結する第三工程と、プレキャストブロック同士を円周方向に連結する第四工程とを備え、
前記第一工程及び前記第二工程では、円周方向に隣り合うプレキャストブロック同士に生じる相対的な位置関係の誤差を抑制するため、各プレキャストブロックを棒状部材と、プレキャストブロックの所定位置に設けられた貫通孔とからなる位置決め手段により導いて所定位置に配置し、
前記第二工程では、先行して組み立てられた所定の短円筒体上に前記棒状部材を立設し、プレキャストブロックの貫通孔に前記棒状部材を挿通させながら所定位置に配置し、プレキャストブロックからなる短円筒体を所定数だけ積み重ねた後に、棒状部材を抜き取り、
前記第四工程では、各プレキャストブロックの円周方向両端の内周及び外周に表面が露出するように予め設けられた金属製の板体の先端を対向させ、完全溶込み開先溶接により金属製板体同士を連結し、複数のプレキャストブロックを円周方向に連結することを特徴とするPCウェル構造物の構築方法。 - 前記貫通孔の内径は、前記棒状部材の外径よりも大きく、相互の差が3.0mm以下に形成されるものである請求項1に記載のPCウェル構造物の構築方法。
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