JP2021014495A - 活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物及びそれを用いる塗膜形成方法と剥離ライナー - Google Patents

活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物及びそれを用いる塗膜形成方法と剥離ライナー Download PDF

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圭市 坂本
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義知 中崎
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淳一 亀井
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Abstract

【課題】良好な剥離力、残留接着率、耐溶剤性を有し、ポリエチレン等の塗工困難な基材に対しても塗工が可能な、シリコーンを含まない活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物及びそれを用いた塗膜形成方法と剥離ライナーを提供する。【解決手段】(メタ)アクリロイル基が一分子中に平均して3つ以上含まれ、その濃度が1kg当たり8当量以上であるウレタン(メタ)アクリレート(D)と、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)、有機イソシアネート(B)、及び炭素数8〜22の高級アルコール(C)を、(C)の水酸基当量/(B)のイソシアネート基当量=0.17〜0.67の比率で反応させて成る活性エネルギー線硬化剥離成分とを有し、(D)成分が、(A)成分とは異なる化学構造を有する水酸基含有(メタ)アクリレートを、有機イソシアネートでウレタン化した反応物である活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエチレン等、塗工が難しい基材にも問題なく塗工ができ、且つ電子材料用途等の粘着テープ、又は粘着シートに用いられる剥離ライナーに応用可能で、且つポリエチレン等の塗工が難しい基材にも問題なく塗工ができる活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物、その塗膜形成方法及びそれを用いた剥離ライナーに関する。
粘着テープ及び粘着シート類は、その取扱い性の良さと良好な接着特性から、各種業界で使用されている。電子機器分野においても、各種部材の接着等に多くの粘着テープ及び粘着シート類が用いられている。粘着テープ及び粘着シートの剥離ライナーは、狙い通りの剥離力を付与させるために様々な剥離剤が塗装されている。
これらに用いられる剥離剤に要求される性能としては安定した剥離力はもちろん、その他にも多くの性能が挙げられる。例えば、剥離剤を使用した後の残留接着率、より平滑な面を得るため塗膜外観も重要である。更に溶剤系の粘着剤を剥離シート上に塗装し、熱により乾燥する場合の耐溶剤性が必要となる。
従来の剥離剤は、熱可塑性、熱硬化性樹脂の二つに大別され、熱可塑性樹脂は、塗装後反応硬化させないため、成膜後の耐溶剤性、耐熱性等が低いという問題がある。一方、熱硬化性樹脂は、耐溶剤性、耐熱性等に優れるものの、塗装後加熱硬化することが前提となるため、厚みが薄く熱に弱い基材には使用できないという問題がある。熱硬化性樹脂の主要樹脂の一つとしては、例えば、アルキド樹脂をメラミン等の架橋剤で硬化させるものがある(特許文献1及び特許文献2を参照)。
特開2008−156498号公報 特開2008−156499号公報 特許第5567292号公報
アルキド樹脂をメラミン等の架橋剤で硬化させたものは高性能であるものの、前述した熱硬化であるという点に加え、原材料として使用したホルムアルデヒドの一部未反応物を不純物として含むため、環境問題の観点からも見直しが図られつつある。このため熱を介さない硬化系であり、且つ、環境汚染物質を含まない剥離剤が長く求められている。
また、電子材料用途等に使用する粘着シートの場合、剥離ライナーから剥離成分であるシリコーンが粘着シート側に移行してしまうと、このシリコーンが電気電子機器の故障の原因となるため、粘着シート側へのシリコーンの非移行性も重要な課題である。シリコーンは剥離成分としての適正が高く、広く用いられているが、シリコーンを使用せずに剥離性を発現する剥離剤組成物が望まれている。
そこで、本発明者らは、シリコーンを使用せず、ホルムアルデヒド含まず、且つ活性エネルギー線で硬化する剥離剤組成物を開発検討した(特許文献3参照)。
しかし、これらの剥離剤は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の基材には問題なく塗工できるものの、ポリエチレンや、これでラミネートした紙基材等においては塗工物がはじかれるため、均一な剥離層が形成できないという欠点があった。
本発明の目的は、良好な剥離力、残留接着率、塗膜外観、耐溶剤性を有し、且つ加熱処理後の剥離力の増加が小さく、シリコーンを含まない活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物、及びそれを用いる塗膜形成方法と剥離ライナーを提供することである。
本発明は、以下に関する。
[1]活性エネルギー線硬化性剥離成分と、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つ(メタ)アクリロイル基の濃度が1kg当たり8当量以上であるウレタン(メタ)アクリレート(D)と、を含む剥離ライナー用の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物であって、前記活性エネルギー線硬化性剥離成分が、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上有する水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)と、炭素数が8〜22の高級アルコール(C)とを、高級アルコール(C)の水酸基当量/有機イソシアネート(B)のイソシアネート基当量=0.17〜0.67の比率で反応させて成る反応物であり、前記ウレタン(メタ)アクリレート(D)が、前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と異なる化学構造を有する(メタ)アクリレート化合物であって、下記一般式(1)及び(2)で示される化合物の少なくともいずれかを、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びそれらの誘導体の内より選択される一種以上のイソシアネートでウレタン化せしめた反応物であり、活性エネルギー線硬化性剥離成分と(D)成分の配合比率が、質量比で、活性エネルギー線硬化性剥離成分/(D)成分=0.01/0.99〜0.5/0.5であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
Figure 2021014495
(一般式(1)、(2)中、X〜X10は、それぞれ独立に(メタ)アクリロイル基又は水酸基を表し、X〜Xのうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示し、X〜X10のうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示す。)
[2]前記有機イソシアネート(B)が、ヘキサメチレンジイソシアネートを原料とするイソシアヌレート、ビウレット、トリメチロールプロパンのアダクト体のいずれかである前記[1]に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
[3]前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)が、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上3つ未満有する、前記[1]又は[2]に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
[4]前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−アシッドフォスフェート、エポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加反応させることで得られるエポキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのグリシジルエーテルへの(メタ)アクリル酸付加物等のエポキシアクリレート、及び下記一般式(3)に示す構造を有する(メタ)アクリレートのいずれかである、前記[3]に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
Figure 2021014495
(一般式(3)中、X11は(メタ)アクリロイル基を表す。k、lはそれぞれ独立して2、3、4の何れかの整数を示し、m、nはそれぞれ独立して0〜30の整数を表し、m+nは2以上の整数である。)
[5]前記[1]〜[4]の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を基材に塗工し、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、樹脂固形分で膜厚が0.05〜10μmの塗膜を形成する塗膜形成方法。
[6]前記[5]に記載の塗膜形成方法により得られ、前記基材と、前記基材の上に形成された前記塗膜とを有する剥離ライナー。
本発明により、シリコーンを含まず、且つポリエチレン等の塗工が難しい基材にも塗工が可能な活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物、及び前記組成物を用いて、剥離力、残留接着率、塗膜外観、耐溶剤性が良好で、且つ加熱処理後の剥離力の増加が小さな塗膜を有する剥離ライナーを得ることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、活性エネルギー線硬化性剥離成分と、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つ(メタ)アクリロイル基の濃度が1kg当たり8当量以上であるウレタン(メタ)アクリレート(D)を含む剥離ライナー用の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物であって、前記活性エネルギー線硬化性剥離成分が、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上有する水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)と、炭素数が8〜22の高級アルコール(C)とを、高級アルコール(C)の水酸基当量/有機イソシアネート(B)のイソシアネート基当量=0.17〜0.67の比率で反応させて成る反応物であり、前記ウレタン(メタ)アクリレート(D)が、前記水酸基含有(メタ)アクリレートと化学構造が異なる化合物であって、下記一般式(1)及び(2)で示される化合物の少なくともいずれかを、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びそれらの誘導体の内より選択される一種以上のイソシアネートでウレタン化せしめた反応物であり、活性エネルギー線硬化性剥離成分と(D)成分の配合比率が、質量比で、活性エネルギー線硬化性剥離成分/(D)成分=0.01/0.99〜0.5/0.5であることを特徴とする。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート、メタアクリレート及びそれらの混合物を意味する。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に使用される水酸基含有(メタ)アクリレート(A)は、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上有したものであり、好ましくは(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上3つ未満有する。なお水酸基は、一分子中に平均して1つ以上存在すればよい。
水酸基含有(メタ)アクリレート(A)として使用される(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリレート(D)として使用される(メタ)アクリレートとは構造が異なる化合物である。仮に、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と(メタ)アクリレート(D)とが同一又は類似の構造を有する化合物である場合は、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)、有機イソシアネート(B)、及び高級アルコール(C)の反応物(活性エネルギー線硬化性剥離成分)と、(メタ)アクリレート(D)とが馴染みやすくなり、硬化時の熱により相溶しやすくなる。本発明において良好な剥離力を発現するためには、剥離性付与成分である水酸基含有(メタ)アクリレート(A)成分、有機イソシアネート(B)成分、及び高級アルコール(C)成分の反応によって得られる活性エネルギー線硬化性剥離成分が、硬化性、基材への密着性、耐溶剤性等の塗膜としての一般的な性能を決定する成分である(メタ)アクリレート(D)の表面に偏在し、配向した状態で硬化させることが必要である。このようにして形成される層分離状態が、剥離力の発現及びその維持に効果的である。すなわち、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)及び(メタ)アクリレート(D)として、それぞれ構造が異なる(メタ)アクリレート化合物を用いることにより、硬化時に熱を加えても両成分が相溶しにくくなり、相分離状態を保つことができるため、良好な剥離力が発現され、維持されるようになる。
水酸基含有(メタ)アクリレート(A)は、有機イソシアネート(B)を介して高級アルコール(C)と反応し、活性エネルギー線硬化性剥離成分となる。水酸基含有(メタ)アクリレート(A)、有機イソシアネート(B)、及び高級アルコール(C)の反応物(活性エネルギー線硬化性剥離成分)は、活性エネルギー硬化能を有しており、剥離力を発現させる要因の一つである高級アルコール(C)由来の長鎖アルキル基が、硬化時にラジカル重合を介して硬化塗膜に組み込まれ、残留接着率、耐溶剤性、耐摩耗性が向上する。
水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−アシッドフォスフェート、更にエポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加反応させることで得られるエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
更に、剥離力を調整したい場合、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのグリシジルエーテルへの(メタ)アクリル酸付加物等のエポキシアクリレートや、下記一般式(3)に示す構造を有する(メタ)アクリレート等、その構造中に芳香環や、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド骨格を有するものが好ましい。
Figure 2021014495
(一般式(3)中、X11は(メタ)アクリロイル基を表す。k、lはそれぞれ独立して2、3、4の何れかの整数を示し、m、nはそれぞれ独立して0〜30の整数を表し、m+nは2以上の整数である。)
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に使用される有機イソシアネート(B)は、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有してさえいれば、特に制限はない。代表例としては、トリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、更にはこれら各種ジイソシアネート化合物と水とを反応させて得られるビウレット型ポリイソシアネート化合物、又は各種ジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等の多価アルコールとを反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート化合物、又は各種化合物をイソシアヌレート化せしめて得られる多量体など公知慣用のものがあげられる。更にヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、ビウレット、トリメチロールプロパンのアダクト体のいずれかを有機イソシアネート(B)として用いる場合は、残留接着率が良好で、最も剥離が軽くなる(剥離力が小さくなる)傾向にあるため、望ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に使用される炭素数が8〜22の高級アルコール(C)は、有機イソシアネート(B)を介して、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と反応させるため、一分子中に少なくとも一つ以上の水酸基を有している。また、良好な剥離力を発現させるために、その炭素数は8〜22であるが、その他は特に制限はない。飽和高級アルコールは、炭素数18以上で、且つ直鎖状のものが、特に剥離力が軽く(小さく)なるため、望ましい。また、不飽和高級アルコール、及び分岐型高級アルコールも使用することができる。これらを使用する場合は、直鎖状飽和高級アルコールを使用する場合と比較して剥離力は重く(大きく)なりやすいものの、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物の結晶性が低くなるため、より透明度が高く、平滑な塗膜が得られやすく、塗膜外観の観点から望ましい。
直鎖状の飽和高級アルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニールアルコール等が、また、直鎖状の不飽和高級アルコールとしてはオレイルアルコール等が、分岐型高級アルコールとしては2−ヘキシルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラドデカノール等、公知慣用のものが挙げられる。
炭素数8〜22の高級アルコール(C)としては、市販品を使用することができ、例えば、直鎖状の飽和高級アルコールとしては、コノール10WS、コノール1098、コノール1275、コノール20F、コノール20P、コノール1495、コノール1670、コノール1695、コノール30CK、コノール30OC、コノール30RC、コノール30F、コノール30S、コノール30SS、コノール30T、コノール2265、コノール2280(新日本理化株式会社製商品名)、カルコール0898、カルコール0880、カルコール1098、カルコール2098、カルコール4098、カルコール6098、カルコール8098、カルコール200GD、カルコール2475、カルコール2474、カルコール2473、カルコール2463、カルコール2455、カルコール2450、カルコール4250、カルコール6870、カルコール6850、カルコール8688、カルコール8665、カルコール220−80(花王株式会社製商品名)、直鎖状の不飽和高級アルコールとしては、リカコール60B、リカコール70B、リカコール75BJ、リカコール85BJ、リカコール90B、リカコール90BR、リカコール90BHR、リカコール110BJ、アンジェコール50A、アンジェコール60AN、アンジェコール70AN、アンジェコール80AN、アンジェコール85AN、アンジェコール90AN、アンジェコール90NR、アンジェコール90NHR(新日本理化株式会社製商品名)、分岐型の高級アルコールとしてはエヌジェコール160BR、エヌジェコール200A、エヌジェコール240A(新日本理化株式会社製商品名)等が挙げられる。
更に、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)、有機イソシアネート(B)、高級アルコール(C)を反応させる際、高級アルコール(C)の水酸基当量/有機イソシアネート(B)のイソシアネート基当量=0.17〜0.67の比率で反応させることにより、安定した剥離力が得られ、且つ高級アルコール(C)のうち、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と反応せずに残存するものの量を減らすことができる。即ち、活性エネルギー線硬化能を持たない長鎖アルキル基含有化合物の量が減り、結果として残留接着率、耐溶剤性が良好になりやすいため、望ましい。また、最初に(B)成分と(C)成分を反応させ、それに(A)成分を反応させることが好ましい。(B)成分と(C)成分との反応によりNCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)を反応させ、有機イソシアネート(B)のイソシアネート基を消失させることにより、活性エネルギー線硬化性剥離成分が得られる。なお、NCO%が飽和するとは、(B)成分と(C)成分が完全に反応し、水分によるNCO%の減少を除き、NCO%がそれ以上変化しないことである。
従って、(B)成分と(C)成分の配合(質量)比は、前記の高級アルコール(C)の水酸基当量/有機イソシアネート(B)のイソシアネート基当量=0.17〜0.67の範囲内になるように調整すればよく、更に両者の当量比が0.33〜0.5になるように調整するのがより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に使用される(メタ)アクリレート(D)は、下記一般式(1)及び(2)で示される化合物の少なくともいずれかを、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びそれらの誘導体の内より選択される一種以上のイソシアネートでウレタン化せしめた反応物である必要がある。
活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、(メタ)アクリロイル基がラジカル反応を起こし、重合することで硬化が進行する。しかし、ラジカルは酸素分子に補足され、失活するため、酸素存在下では硬化阻害を受けること、更にその影響は薄膜になればなるほど顕著になることが一般に知られている。本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、基材に活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物層を設ける際、コストの問題や、より平滑な面を得るために0.05〜10μmという薄膜で塗工、塗装されることが多い。このような状況で十分な硬化性を発揮する活性エネルギー線硬化性組成物は限定される。十分な硬化性を有していない場合、活性エネルギー線を照射しても硬化不良を起こしやすくなる。その結果、見かけ上硬化していても、残留接着率、耐摩耗性、耐溶剤性等が悪くなり、剥離力も重くなりやすい。この問題は、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して三つ以上有し、且つ(メタ)アクリロイル基の濃度が1kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレートを用いて硬化性を高めることにより解決することができる。
しかしながら、下記一般式(1)又は(2)に示される(メタ)アクリレート化合物を単独でそのまま使用した場合、前述の硬化性に関しては十分な性能を発現するものの、組成物全体が低粘度となるため、ポリエチレン等、塗工が難しい基材に塗工した場合、ハジキやクレータが発生して塗工不良が起こり、塗工外観が悪くなる傾向にある。そのため、一般式(1)及び(2)で示される化合物を、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びそれらの誘導体の内より選択される一種以上のイソシアネートでウレタン化せしめる。このようにして得られる反応物であれば、前述の硬化性と良好な塗工外観を両立することができる。
Figure 2021014495
(一般式(1)、(2)中、X〜X10は、それぞれ独立に(メタ)アクリロイル基又は水酸基を表し、X〜Xのうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示し、X〜X10のうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示す。)
一般式(1)及び(2)に示される化合物においてより良い硬化性が求められる場合は、メタクリロイル基を含まないアクリレートを用いることが、望ましい。その中でも、ジペンタエリスリトールモノアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレートから選択される2種以上の混合物であり、含有するアクリロイル基が、平均して一分子中に三つ以上、且つその濃度が1kg当たり8当量以上に調整されたものが望ましい。
特に、(メタ)アクリレート(D)として、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートから選択される1種、又は2種以上が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物において、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを反応させて成る、活性エネルギー線硬化性剥離成分と(D)成分配合比率は、質量比で、活性エネルギー線硬化性剥離成分/(D)成分=0.01/0.99〜0.5/0.5の範囲である。両者の配合比率は、更に、0.05/0.95〜0.3/0.7が好ましく、0.1/0.90〜0.2/0.8がより好ましい。
活性エネルギー線硬化性剥離成分の配合比率が0.01未満であると、安定した剥離力が得られにくくなる。逆に0.5を超すと、(メタ)アクリレート(D)の含有量が低くなるため、耐溶剤性、残留接着率が悪くなり、更に直鎖状の飽和高級アルコールを使用する場合、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物の結晶性が高くなり、塗工した時に塗膜表面が白化、又は平滑性が損なわれやすくなる。前記の範囲内であれば安定した剥離力を発現し、耐溶剤性、残留接着率、塗膜外観が良好な活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を得ることができる。
本発明における活性エネルギー線としては、電子線、α線、β線、γ線、赤外線、可視光線、紫外線等公知慣用のものが挙げられる。中でも電子線、紫外線は比較的研究が進んでおり、特に紫外線はその照射装置が安価に手に入るなどの利点がある。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を活性エネルギー線で硬化させる場合、上記の電子線を用いれば、光重合開始剤を混合させる必要はない。なお、紫外線で硬化させる場合、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に、光重合開始剤を混合させる必要がある。
光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]エチルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−(4−1−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、エチルアントラキノン等公知慣用のものから一種、又は2種以上の混合物を用いることができる。特に表面硬化性が優れているとされる1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが望ましく、中でも1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンが特に望ましい。また、光重合開始剤の配合量は、硬化性、コスト等の面から、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物の樹脂固形分の全量に対して、3〜15質量%が望ましい。
また、上記光重合開始剤の効果を高めるため、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ−安息香酸エチルエステル、N−メチルジエタノールアミン、ビスエチルアミノベンゾフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート等の開始助剤を用いることもできる。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、使用上の利便性から通常は有機溶剤溶液とされるが、この有機溶剤としては各成分と溶解性が良く、反応性を有しないものであれば従来公知のものを用いることができる。例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソブタノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン等、単独又は2種以上の混合物を用いることができ、その使用量は、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物の樹脂固形分が1〜60質量%の範囲になるようにするのが望ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、基材に塗工(塗装)後、溶剤系の場合は加温して溶剤を揮発させてから活性エネルギー線を照射して硬化させることにより塗膜(剥離剤層)を形成することができる。加熱温度は、膜厚、希釈溶剤にもよるが一般的に50〜100℃である。前記塗膜(剥離剤層)は、剥離ライナーとして使用でき、基材に塗工する際、樹脂固形分で0.05〜10μmの膜厚となるように行う。更に、膜厚は0.1〜3μmが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を、基材に塗工して剥離ライナーを作製する場合、前記基材の上に形成される塗膜(剥離剤層)の厚さは0.05〜10μmにすることが好ましい。この範囲であれば、塗工面が平滑で、且つ安定した剥離力を持つ剥離ライナーを比較的安価に生産することができる。
剥離ライナー用の基材としては、具体的には、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリエチレンナフタレートフィルム等のフィルム基材、ならびに上質紙、中質紙、アート紙、キャストコート紙、及びコート紙等の紙基材が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。又、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量及び質量%を示す。
[製造例1]
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を装備したフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(東ソー株式会社製商品名、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)270部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてBHEA(株式会社日本触媒製商品名 2−ヒドロキシエチルアクリレート)を232部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分1を得た。なお、(高級アルコール(C)の水酸基当量)/(有機イソシアネート(B)のイソシアネート基当量)の比を表すR値(以下同様)は、0.33であった。
[製造例2]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製、一般式(1)に示す構造を有するペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を100部、イソホロンジイソシアネートを8部仕込み、85℃で7時間保温攪拌して反応させ、ウレタンアクリレート1を得た。
[製造例3]
製造例1と同様の装備を備えるフラスコに、KAYARAD PET30(日本化薬株式会社製、一般式(2)に示す構造を有するペンタエリスリトールトリアクリレート)を100部、スミジュールN3300(住化コベストロウレタン株式会社製 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)50部仕込み、85℃で7時間保温攪拌して反応させ、ウレタンアクリレート2を得た。
[実施例1]
製造例1と同様の装備を備えるフラスコに、製造例1で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分1を10部、ウレタンアクリレート(D)として、製造例2で得られたウレタンアクリレート1を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASFジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Aを得た。
[実施例2]
製造例1と同様の装備を備えるフラスコに、製造例1で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分1を10部、ウレタンアクリレート(D)として、製造例3で得られたウレタンアクリレート2を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASFジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Bを得た。
[比較例1]
製造例1と同様の装備を備えるフラスコに、製造例1で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分1を10部、KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製、上記一般式(1)に示す構造を有するペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASFジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Cを得た。
性能評価は下記方法に従って行った。
評価用剥離フィルムの基材として、未処理の厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)フィルム、及びポリエチレンフィルム(以下PEと略す)を用い、これに各供試樹脂(活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物A〜C)を、塗装(塗工)した。塗装(塗工)後、70℃、1分で溶剤分を揮発させ、紫外線照射装置(高圧水銀灯1灯80W/cm)を用いて200mJ/cmの紫外線を照射し、硬化させて成膜し、厚さ0.30μmの塗膜を有する評価用剥離フィルム(剥離ライナー)を得た。
1)塗膜外観:評価用剥離フィルム(剥離ライナー)の塗膜の外観を目視で観察した。
「○」:ハジキやクレータが無く良好(問題なし)
「×」:塗工面の大部分でハジキが発生
2)剥離力:作製した剥離フィルム上の処理面にポリエステル粘着テープ(ニットー31B、日東電工株式会社製商品名)を2kgのローラーで一往復圧着し、25mm幅に切断し、得たテープ試験片について、300mm/分の速度で180°に引っ張り、その剥離力を測定した。
3)残留接着率:上記2)の剥離力測定に供したテープ試験片(作製した剥離フィルム上の処理面にポリエステル粘着テープを圧着し、剥離フィルムを剥がしたポリエステル粘着テープ)をステンレス板に2kgローラーで一往復圧着し、300mm/分の速度で180°に引っ張り、その剥離力W(N/20mm)を測定した。一方、上記処理をしないポリエステル粘着テープをステンレス板に貼りつけ、これを上記と同様の条件でステンレス板から剥離するのに要する力W0(N/20mm幅)を測定し、このW0に対するWの比(W/W0)(百分率)を求めて残留接着率とした。
4)耐溶剤性:メチルエチルケトンを染み込ませたガーゼで、作製した評価用剥離フィルム表面を荷重1.0kgfの力で摩擦し、剥離層(塗膜)が溶剤に侵されて溶ける、又は基材より剥がれるまでのガーゼの往復回数を測定した。
評価結果を下記表1に示す。
Figure 2021014495
表1に示したように、(D)成分としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製、一般式(1)に示す構造を有するペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)のみを用いた比較例1では、PETでは塗工面に問題なく塗工ができ、良好な剥離力、残留接着率、耐溶剤性を発現しているものの、PEに塗工した場合は、塗工物の大部分がはじかれ、均一な剥離層を形成できなかった。それに対して、上記一般式(1)及び(2)で示される化合物の少なくともいずれかをイソシアネート化合物と反応して得られるウレタン(メタ)アクリレートを(D)成分として用いた実施例1、2では、PETだけでなく、PEにも問題なく塗工ができ、剥離層としての性能も十分に発現しており、剥離剤としての基材選択性が良好であることが分かる。
以上のように、本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、シリコーンを含まず、且つポリエチレン等塗工が難しい基材にも塗工が可能であり、本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を用いて基材の上に形成された塗膜を有する剥離ライナーは、良好な剥離力、残留接着率、及び耐溶剤性を有し、加熱処理後の剥離力の増加も小さくできる。

Claims (6)

  1. 活性エネルギー線硬化性剥離成分と、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つ(メタ)アクリロイル基の濃度が1kg当たり8当量以上であるウレタン(メタ)アクリレート(D)とを含む剥離ライナー用の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物であって、
    前記活性エネルギー線硬化性剥離成分が、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上有する水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)と、炭素数が8〜22の高級アルコール(C)とを、高級アルコール(C)の水酸基当量/有機イソシアネート(B)のイソシアネート基当量=0.17〜0.67の比率で反応させて成る反応物であり、
    前記ウレタン(メタ)アクリレート(D)が、前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)とは異なる化学構造を有する(メタ)アクリレート化合物であって、下記一般式(1)及び(2)で示される化合物の少なくともいずれかを、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びそれらの誘導体の内より選択される一種以上のイソシアネートでウレタン化した反応物であり、
    活性エネルギー線硬化性剥離成分と(D)成分の配合比率が、質量比で、活性エネルギー線硬化性剥離成分/(D)成分=0.01/0.95〜0.5/0.5であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
    Figure 2021014495
    (一般式(1)、(2)中、X〜X10は、それぞれ独立に(メタ)アクリロイル基又は水酸基を表し、X〜Xのうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示し、X〜X10のうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示す。)
  2. 前記有機イソシアネート(B)が、ヘキサメチレンジイソシアネートを原料とするイソシアヌレート、ビウレット、トリメチロールプロパンのアダクト体のいずれかである請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
  3. 前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)が、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上3つ未満有する、請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
  4. 前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−アシッドフォスフェート、エポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加反応させることで得られるエポキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのグリシジルエーテルへの(メタ)アクリル酸付加物等のエポキシアクリレート、及び一般式(3)に示す構造を有する(メタ)アクリレートのいずれかである、請求項3に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
    Figure 2021014495
    (一般式(3)中、X11は(メタ)アクリロイル基を表す。k、lはそれぞれ独立して2、3、4の何れかの整数を示し、m、nはそれぞれ独立して0〜30の整数を表し、m+nは2以上の整数である。)
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を基材に塗工し、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、樹脂固形分で膜厚が0.05〜10μmの塗膜を形成する塗膜形成方法。
  6. 請求項5に記載の塗膜形成方法により得られ、前記基材と、前記基材の上に形成される前記塗膜とを有する剥離ライナー。
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