JP6775727B2 - 剥離性付与成分、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物およびそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー - Google Patents

剥離性付与成分、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物およびそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー Download PDF

Info

Publication number
JP6775727B2
JP6775727B2 JP2015195744A JP2015195744A JP6775727B2 JP 6775727 B2 JP6775727 B2 JP 6775727B2 JP 2015195744 A JP2015195744 A JP 2015195744A JP 2015195744 A JP2015195744 A JP 2015195744A JP 6775727 B2 JP6775727 B2 JP 6775727B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
active energy
acrylate
energy ray
curable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015195744A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017066319A (ja
Inventor
圭市 坂本
圭市 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Showa Denko Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd, Showa Denko Materials Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP2015195744A priority Critical patent/JP6775727B2/ja
Publication of JP2017066319A publication Critical patent/JP2017066319A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6775727B2 publication Critical patent/JP6775727B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Description

本発明は、電子材料用途等の粘着テープまたは粘着シートに用いられる剥離ライナーに応用可能な活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物、塗膜形成方法及びそれを用いた剥離ライナーならびに活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に適用する剥離性付与成分に関する。
粘着テープおよび粘着シート類は、その取扱い性の良さと良好な接着特性から、各種業界で使用されている。電子機器分野においても、各種部材の接着等に多くの粘着テープおよび粘着シート類が用いられている。粘着テープおよび粘着シートの剥離ライナーは、狙いどおりの剥離力を付与させるために様々な剥離剤が塗装されている。
これらに用いられる剥離剤に要求される性能としては安定した剥離力はもちろん、その他にも多くの性能が挙げられる。例えば、剥離剤を使用した後の残留接着率、より平滑な面を得るため塗膜外観も重要である。更に溶剤系の粘着剤を剥離シート上に塗装し熱により乾燥する場合の耐溶剤性や、表面が擦られ摩耗した後でも剥離力が損なわれない耐摩耗性が必要となる。
従来の剥離剤は、熱可塑性と熱硬化性の二つに大別され、熱可塑性の剥離剤は塗装後に反応硬化しないため、成膜後の耐溶剤性および耐熱性が低い。一方、熱硬化性の剥離剤は耐溶剤性および耐熱性等に優れるものの、塗装後に加熱硬化させる必要があり、熱に弱い基材には使用できないという課題を有する。
熱硬化性の剥離剤に用いる主要な樹脂の一つに、アルキド樹脂をメラミン等の架橋剤で硬化させるものがある(特許文献1、特許文献2参照)。メラミン等の架橋剤で硬化させたアルキド樹脂は、高性能であるものの、前述した熱硬化性樹脂であるという点に加え、原材料として使用したホルムアルデヒドの一部が未反応物として含まれる。ホルムアルデヒドは懸念物質であるため、環境問題の観点からも使用抑制が図られつつある。このため熱を介さない硬化系で、且つ環境懸念物質を含まない剥離剤が長く求められている。
また、電子材料用途等に使用する粘着シートの場合、剥離ライナーから剥離成分であるシリコーンが粘着シート側に移行してしまうと、移行したシリコーンが電気電子機器の故障の原因となるため、粘着シート側へのシリコーンの非移行性も重要な課題である。
このように、シリコーンは剥離成分としての適正が高く、広く用いられているが、シリコーンを使用せずに剥離性を発現する剥離剤組成物が望まれている。
なお、シリコーンを使用せず、またホルムアルデヒドを含まず、且つ活性エネルギー線で硬化する剥離剤組成物としては、例えば、特許文献3に開示されている。
本発明者らは剥離剤組成物の検討を進め、加熱処理後の剥離力の増加が小さく、原材料としてシリコーンを使用しない活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物として、特許文献4に開示した技術を開発した。
特開2008−156498号公報 特開2008−156499号公報 特許5567292号公報 特開2010−100117号公報
剥離層を設けるセパレーターの使用環境は、剥離層上に粘着または接着剤、その他成型物等を塗工あるいは成型し、加熱処理を施した後、剥離する工程が多い。特許文献4に記載の剥離剤組成物は、剥離層を成型して、加熱処理を施した後の剥離力において、特許文献3に記載の剥離剤組成物よりも変化が小さく、良好な性能を示すが、粘着剤または接着剤と接触した状態での加熱処理後の剥離力においては未だ変化が大きく、耐熱性の観点でも改良検討が必要であった。
前記した課題を鑑み、本発明は、
(1) (メタ)アクリロイル基と水酸基を一分子中に平均してそれぞれ1以上ずつ有する(メタ)アクリレート(A)と、一分子中に二つのイソシアネート基を有し、且つ平均分子量が300以下のものから選択される少なくとも1種以上の有機イソシアネート(B)と、炭素数が12〜22の高級アルコール(C)とを反応させて得られる剥離性付与成分(α)であって、高級アルコール(C)のmol数/有機イソシアネート(B)のmol数=0.1〜2の範囲となるように調整、反応させた剥離性付与成分を提供するものである。
(2) (1)に記載の剥離性付与成分(α)と活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)とを含む活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物であって、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)が、一般式(1)または一般式(2)に示す構造を有するものである活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を提供するものである。
Figure 0006775727
(一般式(1)、(2)中、X〜X10は、それぞれ独立に(メタ)アクリロイル基又は水酸基を表し、X〜Xのうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示し、X〜X10のうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示す。)
(3) 剥離性付与成分中に含まれる高級アルコール(C)の含有量が、剥離性付与成分(α)と活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)の質量総和に対し質量比で0.5〜10%である(2)に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を提供するものである。
(4) (メタ)アクリレート(A)が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および一般式(3)に示す構造を有する(メタ)アクリレートのいずれかである、(2)または(3)に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を提供するものである。
Figure 0006775727
(一般式(3)中、X11は(メタ)アクリロイル基を表す。 k、lはそれぞれ独立して2、3、4のいずれかの整数を示し、m、nはそれぞれ独立して0〜30の整数を表す。)
(5) (2)〜(4)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を基材に樹脂固形分で0.05〜10μmの膜厚となるよう塗工し、活性エネルギー線を照射し、硬化させる塗膜形成方法である。
(6) (2)〜(4)に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物により得られる剥離ライナーを提供するものである。
本発明により、粘、接着剤と接触した状態で加熱処理を施した前後の、剥離力変化が小さく、原材料としてシリコーンを使用しない活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物と剥離ライナーを提供できる。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、(メタ)アクリロイル基と水酸基を一分子中に平均してそれぞれ1以上ずつ有する(メタ)アクリレート(A)と、一分子中に二つのイソシアネート基を有し、且つ平均分子量が300以下のものから選択される少なくとも1種以上の有機イソシアネート(B)と、炭素数が12〜22の高級アルコール(C)とを反応させて得られる剥離性付与成分(α)であって、高級アルコール(C)のmol数/有機イソシアネート(B)のmol数=0.1〜2の範囲となるように調整、反応させた剥離性付与成分である。
本発明の剥離性付与成分(α)に使用される(メタ)アクリレート(A)は、活性エネルギー線硬化性官能基である(メタ)アクリロイル基と、有機イソシアネート(B)とウレタン反応するための水酸基を一分子中にそれぞれ平均して1つ以上有したものである。水酸基は有機イソシアネート(B)と反応することで、剥離性付与成分に(メタ)アクリロイル基を組み込み、活性エネルギー線硬化能を付与できる。水酸基を含有せず、(メタ)アクリロイル基のみ有している場合は、剥離性付与成分の骨格中に組み込まれず、活性エネルギー線硬化性造膜成分として作用する。この場合、剥離性付与成分に活性エネルギー線硬化能が付与されないので、活性エネルギー線硬化性造膜成分と反応しなくなるため、耐溶剤性、耐摩耗性等の性能低下を招く恐れはあるが、有機イソシアネート(B)と高級アルコール(C)の反応物は融点が100℃程度と高いため、本発明の目的である高い耐熱性を有する剥離剤が提供できることになる。一方(メタ)アクリロイル基を含有していない場合は、可塑剤成分として作用し、耐熱性の低下を招く恐れがある。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に使用される有機イソシアネート(B)は、一分子中に二つのイソシアネート基を有し、且つ平均分子量が300以下のものである。(メタ)アクリレート(A)と同様、剥離性付与成分(α)の構造が複雑化するほど、他の樹脂との相溶性向上、剥離性付与成分の低融点化を誘発し、剥離性および耐熱性低下の要因となる。特に、高級アルコール(C)と直接反応する有機イソシアネート(B)は、その傾向がより顕著である。更に高い耐熱性を求めるなら、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートから選択される少なくとも1種以上のものが好適である。
本発明の有機イソシアネート(B)の平均分子量は300以下、好ましくは168〜264であり、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネートが好適である。それらの中でも、コストや取扱い性の良さを考慮すると、ヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)およびジフェニルメタンジイソシアネート(分子量250)が特に好ましい形態である。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に使用される炭素数が8〜22の高級アルコール(C)は、有機イソシアネート(B)と反応させるため、一分子中に少なくとも一つ以上の水酸基を有している。炭素数が8〜22であれば、良好な剥離力が発現できる。高級アルコール(C)は、特に飽和高級アルコールで、炭素数18以上で、且つ直鎖状のものが特に剥離力が軽く(小さく)なり、使い勝手が良い剥離剤組成物となり、顧客に喜ばれる。なお、不飽和の高級アルコールおよび分岐型の高級アルコールも使用することができるが、これらを使用した場合、直鎖状飽和高級アルコールを使用したものと比較して剥離力は重く(大きく)なるが、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物の結晶性が低くなるため、透明度が高く、平滑な塗膜が得られる。塗膜外観を重視する場合は、不飽和または分岐型の高級アルコールを使用することとなる。つまり、剥離剤組成物の用途に応じて高級アルコールを選択することが好ましい態様である。
直鎖状の高級アルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニールアルコール等が、また、直鎖状の不飽和高級アルコールとしてはオレイルアルコール等が、分岐型高級アルコールとしては2−ヘキシルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラドデカノール等、公知慣用のものが挙げられる。
本発明に適した炭素数8〜22の高級アルコール(C)としては、市販品を使用することができる。例えば、直鎖状の飽和高級アルコールとしては、コノール10WS、コノール1098、コノール1275、コノール20F、コノール20P、コノール1495、コノール1670、コノール1695、コノール30CK、コノール30OC、コノール30RC、コノール30F、コノール30S、コノール30SS、コノール30T、コノール2265、コノール2280(新日本理化株式会社製の商品名)、カルコール0898、カルコール0880、カルコール1098、カルコール2098、カルコール4098、カルコール6098、カルコール8098、カルコール200GD、カルコール2475、カルコール2474、カルコール2473、カルコール2463、カルコール2455、カルコール2450、カルコール4250、カルコール6870、カルコール6850、カルコール8688、カルコール8665、カルコール220−80(花王株式会社の商品名)、直鎖状の不飽和高級アルコールとしては、リカコール60B、リカコール70B、リカコール75BJ、リカコール85BJ、リカコール90B、リカコール90BR、リカコール90BHR、リカコール110BJ、アンジェコール50A、アンジェコール60AN、アンジェコール70AN、アンジェコール80AN、アンジェコール85AN、アンジェコール90AN、アンジェコール90NR、アンジェコール90NHR(新日本理化株式会社製の商品名)、分岐型の高級アルコールとしてはエヌジェコール160BR、エヌジェコール200A、エヌジェコール240A(新日本理化株式会社製の商品名)等が挙げられる。
(メタ)アクリレート(A)、有機イソシアネート(B)、高級アルコール(C)を反応させる際、高級アルコール(C)のmol数/有機イソシアネート(B)のmol数=0.1〜2となるように調整すると、安定した剥離力と耐熱性が得られる。高級アルコール(C)が0.1以上であれば安定した剥離力が得られ、耐熱性も良好である。一方、高級アルコール(C)のmol数/有機イソシアネート(B)のmol数が2を超えると、過剰分は有機イソシアネート(B)と反応せずに残存するため、この高級アルコール(C)の未反応物が耐熱性を低下させるおそれがある。
次に、本発明は、活性エネルギー線硬化性剥離性付与成分(α)と活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)とを含む活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物であって、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)が、一般式(1)または一般式(2)に示す構造を有するものである活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物である。
Figure 0006775727
(一般式(1)、(2)中、X〜X10は、それぞれ独立に(メタ)アクリロイル基又は水酸基を表し、X〜Xのうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示し、X〜X10のうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示す。)
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に使用される活性エネルギー線造膜成分(β)は、活性エネルギー線硬化性の官能基を有していれば、他は特に制限はない。酸素阻害の影響を受け難い数μm以上の厚膜、ないしは硬化成膜させた後、変形させる用途である程度の柔軟性が必要となる場合は、活性エネルギー線硬化性官能基等量が低い活性エネルギー線硬化性樹脂を用い、逆に酸素阻害を受け易い薄膜または塗工成膜から使用されるまでほぼ平面で取り扱われる大きな変形を伴わない用途では、上記一般式(1)または一般式(2)に代表される良好な硬化性を持つ高硬度の材料が好ましい。
より高い(良好な)硬化性を求めるなら、メタクリロイル基を含まないアクリレートを用いることが望ましい。その中でも、ジペンタエリスリトールモノアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレートから選択される2種以上の混合物であり、含有するアクリロイル基が、平均して一分子中に三つ以上、且つその濃度が1kg当たり8当量以上に調整されたものが望ましい。
特に、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)として、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートから選択される1種または2種以上が好ましい。
一般的に、本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に使用される(メタ)アクリレート(A)と活性エネルギー線硬化性増膜成分(β)は、それぞれ1種または2種以上の(メタ)アクリレート化合物からなる。よって、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)および活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)は、それぞれ混合物あるいは単一物である。水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−アシッドフォスフェート、更にエポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加反応させることで得られるエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに、剥離力を調整したい場合、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのグリシジルエーテルへの(メタ)アクリル酸付加物等のエポキシアクリレートや、下記一般式(3)に示す構造を有する(メタ)アクリレート等、その構造中に芳香環や、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド骨格を有するものが好ましい。
しかし、軽い剥離力やより優れた耐熱性を求めるならば、上記水酸基含有(メタ)アクリレートのうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。剥離性付与成分は剥離層成膜時に剥離層界面に配向することで剥離性および耐熱性を発現する。剥離性付与成分の構造が複雑化するほど、他の有機樹脂との相溶性の向上や融点の低下に繋がるため、剥離力が不安定になり、耐熱性が低下してしまうおそれがある。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、剥離性付与成分(α)中に含まれる高級アルコール(C)の含有量が、剥離性付与成分(α)と活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)の質量総和に対し質量比で0.5〜10%である。好ましくは1〜5%、特に好ましくは1.5〜2%である。高級アルコール(C)の含有量が0.5%以上であれば安定した剥離力が得られる。一方、10%を超えても耐熱性を含む剥離力は増加傾向が確認できず(性能飽和するため)、効果が無いだけでなく、高級アルコール(C)の含有量が多くなる分、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)の含有量が減少し、硬化特性に影響を及ぼす可能性があり、好ましくない。
次に、本発明の硬化性剥離剤組成物は、(メタ)アクリレート(A)が2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および一般式(3)に示す構造を有する(メタ)アクリレートのいずれかである活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物である。
Figure 0006775727
(一般式(3)中、X11は(メタ)アクリロイル基を表す。k、lはそれぞれ独立して2、3、4の何れかの整数を示し、m、nはそれぞれ独立して0〜30の整数を表す。)
本発明における活性エネルギー線としては、電子線、α線、β線、γ線、赤外線、可視光線、紫外線等公知慣用のものが挙げられる。中でも電子線、紫外線は比較的研究が進んでおり、特に紫外線はその照射装置が安価に手に入るなどの利点がある。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を活性エネルギー線で硬化させる場合、上記の電子線を用いれば、光重合開始剤を混合させる必要はない。なお、紫外線で硬化させる場合、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に、光重合開始剤を混合させる必要がある。
光重合開始剤に用いられるものとしては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]エチルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−(4−1−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、エチルアントラキノン等公知慣用のものから一種または2種以上の混合物を用いることができる。特に、表面硬化性が優れているとされる、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが望ましく、中でも2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンが特に望ましい。また、光重合開始剤の配合量は、硬化性やコスト等の観点から、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物の樹脂固形分に対して3〜15質量%が望ましい。
また、上記光重合開始剤の効果を高めるため、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ−安息香酸エチルエステル、N−メチルジエタノールアミン、ビスエチルアミノベンゾフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート等の開始助剤を用いることもできる。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、使用上の利便性から通常は有機溶剤溶液とされるが、この有機溶剤としては各成分と溶解性がよく、反応性を有しないものであれば従来公知のものを用いることができる。例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソブタノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン等の単独または2種以上の混合物を用いることができ、その使用量は活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物の樹脂固形分が1〜60質量%の範囲になるようにするのが望ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、基材に塗工(塗装)、溶剤系の場合は加温して溶剤を揮発させてから活性エネルギー線を照射して硬化させることにより塗膜(剥離剤層)を形成することができる。加熱温度は、膜厚、希釈溶剤にもよるが一般的に50〜100℃である。前記塗膜(剥離剤層)は、剥離ライナーとして使用でき、基材に塗工する際、樹脂固形分で0.05〜10μmの膜厚となるように行う。さらに、膜厚は0.1〜3μmが好ましい。この範囲であれば、塗工面が平滑で、且つ安定した剥離力を持つ剥離ライナーを比較的安価に生産することができる。
剥離ライナー用の基材としては、具体的には、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびポリエチレンナフタレートフィルム等のフィルム基材、ならびに上質紙、中質紙、アート紙、キャストコート紙およびコート紙等の紙基材が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。また、実施例において示す「部」および「%」は、特に明示しない限り質量部および質量%を示す。
[製造例1]
撹拌機、温度計を装備したフラスコに、水酸基含有(メタ)アクリレートとして、BH
EA(日本触媒株式会社製の商品名、2−ヒドロキシエチルアクリレート)を4,524
部、有機イソシアネート(B)としてミリオネートMT(日本ポリウレタン株式会社製の
商品名、ジフェニルメタンジイソシアネート)を5,000部、高級アルコール(C)と
してコノール30SS(新日本理化株式会社製の商品名、ステアリルアルコール)270
部を仕込み、100℃まで昇温して7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネ
ート基が消失したことを確認し、剥離性付与成分1を得た。なお、高級アルコール(C)
のmol数/有機イソシアネート(B)のmol数=0.05であった。
[製造例2]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、水酸基含有(メタ)アクリレートとして、
BHEA(日本触媒株式会社製の商品名、2−ヒドロキシエチルアクリレート)を2,204部、有機イソシアネート(B)としてミリオネートMT(日本ポリウレタン株式会社
製の商品名、ジフェニルメタンジイソシアネート)を2,500部、高級アルコール(C
)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製の商品名、ステアリルアルコール)2
70部を仕込み、100℃まで昇温して7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシ
アネート基が消失したことを確認し、剥離性付与成分2を得た。なお、高級アルコール(
C)のmol数/有機イソシアネート(B)のmol数=0.1であった。
[製造例3]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、水酸基含有(メタ)アクリレートとして、BHEA(日本触媒株式会社製の商品名、2−ヒドロキシエチルアクリレート)を580部、有機イソシアネート(B)としてHDI(日本ポリウレタン株式会社製の商品名、ヘキサメチレンジイソシアネート)を504部、高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製の商品名、ステアリルアルコール)270部を仕込み、100℃まで昇温して7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、剥離性付与成分3を得た。なお、高級アルコール(C)のmol数/有機イソシアネート(B)のmol数=0.33であった。
[製造例4]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、有機イソシアネート(B)としてミリオネートMT(日本ポリウレタン株式会社製の商品名、ジフェニルメタンジイソシアネート)を250部、高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製の商品名、ステアリルアルコール)を540部仕込み、100℃まで昇温して7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、剥離性付与成分4を得た。なお、高級アルコール(C)のmol数/有機イソシアネート(B)のmol数=2であった。
[製造例5]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、有機イソシアネート(B)としてミリオネートMT(日本ポリウレタン株式会社製の商品名、ジフェニルメタンジイソシアネート)を250部、高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製の商品名、ステアリルアルコール)を810部仕込み、100℃まで昇温して7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、剥離性付与成分5を得た。なお、高級アルコール(C)のmol数/有機イソシアネート(B)のmol数=3であった。
[製造例6]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、水酸基含有(メタ)アクリレートとして、BHEA(日本触媒株式会社製の商品名、2−ヒドロキシエチルアクリレート)を580部、有機イソシアネート(B)としてスミジュールN3400(住化バイエルウレタン株式会社製の商品名、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン)を1,008部、高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)270部を仕込み、100℃まで昇温して7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、剥離性付与成分6を得た。なお、高級アルコール(C)のmol数/有機イソシアネート(B)のmol数=0.33であった。
[製造例7]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、水酸基含有(メタ)アクリレートとして、BHEA(日本触媒株式会社製の商品名、2−ヒドロキシエチルアクリレート)を232部、有機イソシアネート(B)としてスミジュールN3300(住化バイエルウレタン株式会社製の商品名、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)を504部、高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製の商品名、ステアリルアルコール)270部を仕込み、100℃まで昇温して7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、剥離性付与成分7を得た。なお、高級アルコール(C)のmol数/有機イソシアネート(B)のmol数=1であった。
[実施例1]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例2で得られた剥離性付与成分2を276部、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)としてKAYARAD DPHA(日本
化薬株式会社製の商品名、一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサア
クリレートの混合物)を724部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会
社製の光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を100部
仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Aを
得た。なお、活性エネルギー線硬化性剥離剤中に含まれる高級アルコール(C)の含有量
は1.5%であった。
[実施例2]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例3で得られた剥離性付与成分3を25部、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)としてNKエコノマーA−PG5054E(新中村科学株式会社製の商品名、ポリグリセリンポリエチレングリコールポリアクリレート)を975部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製の光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を100部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Bを得た。なお、活性エネルギー線硬化性剥離剤中に含まれる高級アルコール(C)の含有量は0.5%であった。
[実施例3]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例3で得られた剥離性付与成分3を75部、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製の商品名、一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を925部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製の光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を100部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Cを得た。なお、活性エネルギー線硬化性剥離剤中に含まれる高級アルコール(C)の含有量は1.5%であった。
[実施例4]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例3で得られた剥離性付与成分3を501部、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)としてテスラック2300(日立化成株式会社製の商品名、ポリエステル系ウレタンアクリレート)を499部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製の光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を100部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Dを得た。なお、活性エネルギー線硬化性剥離剤中に含まれる高級アルコール(C)の含有量は10%であった。
参考例5]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例4で得られた剥離性付与成分4を2
2部、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)としてKAYARAD DPHA(日本化
薬株式会社製の商品名、一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアク
リレートの混合物)を978部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社
製の光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を100部仕
込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Eを得
た。なお、活性エネルギー線硬化性剥離剤中に含まれる高級アルコール(C)の含有量は
1.5%であった。
参考例6]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例3で得られた剥離性付与成分3を7
50部、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)としてKAYARAD DPHA(日本
化薬株式会社製の商品名、一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサア
クリレートの混合物)を250部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会
社製の光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を100部
仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Fを
得た。なお、活性エネルギー線硬化性剥離剤中に含まれる高級アルコール(C)の含有量
は15%であった。
[比較例1]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例で得られた剥離性付与成分415部、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製の商品名、一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を585部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製の光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を100部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Gを得た。なお、活性エネルギー線硬化性剥離剤中に含まれる高級アルコール(C)の含有量は1.5%であった。
[比較例2]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例5で得られた剥離性付与成分5を20部、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製の商品名、一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を980部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製の光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を100部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Hを得た。なお、活性エネルギー線硬化性剥離剤中に含まれる高級アルコール(C)の含有量は1.5%であった。
[比較例3]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例6で得られた剥離性付与成分6を138部、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製の商品名、一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を862部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製の光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を100部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Iを得た。なお、活性エネルギー線硬化性剥離剤中に含まれる高級アルコール(C)の含有量は2%であった。
[比較例4]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例7で得られた剥離性付与成分7を75部、活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製の商品名、一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を925部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製の光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を100部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Jを得た。なお、活性エネルギー線硬化性剥離剤中に含まれる高級アルコール(C)の含有量は2%であった。
[比較例5]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製の商品名、一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を1,000部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製の光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を100部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Kを得た。
[評価用剥離フィルムの作成]
評価用剥離フィルムを下記の方法で作製した。
評価用剥離フィルムの基材として、未処理の厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)フィルムを用い、これに溶剤で任意の濃度に調整した各供試樹脂(活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物A〜K)を、成膜後、乾燥膜厚で0.30μmになるように塗装した。次いで、温度80℃で1分間加熱乾燥し、紫外線照射装置(高圧水銀灯1灯80W/cm)を用いて200mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、評価用剥離フィルム(剥離ライナー)を得た。
[剥離力]
剥離力は下記の方法で測定した。
作製した各種評価用剥離フィルムおよびポリエステル粘着テープ(ニットー31B、日東電工株式会社製の商品名)を用い、下記条件に従い3種類の剥離力を測定した。なお、全ての剥離力評価は、2kgローラーで粘着テープを一往復圧着、試験幅25mm、300mm/分の速度で180°に引っ張り、その剥離力を測定した。
剥離力(1):剥離フィルムに粘着テープを圧着後、室温で30分放置した後に測定
剥離力(2):70℃で20時間養生した剥離フィルムに粘着テープを圧着後、室温で30分放置した後に測定
剥離力(3):剥離フィルムに粘着テープを圧着後、70℃で20時間養生した後に測定
表1に作製した活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物A〜Kに用いた剥離成分1〜7中
の(B)成分の分子量、(α)作製に用いた(B)成分、(C)成分のmol比、(α)
および(β)の質量総和に対する(C)成分の含有量、(β)成分の材料名、ならびに各実施例、参考例、および比較例の性能評価結果を纏めて示す。
Figure 0006775727
*(β)材料名の略号
DPHA:商品名 KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート)
5054E:商品名 NKエコノマー5054E(ポリグリセリンポリエチレングリコールポリアクリレート)
TL2300:商品名 テスラック2300(ポリエステル系ウレタンアクリレート)
表1に示したように、(C)/(B)mol比が本発明の範囲外の比較例1と比較例2、および(B)成分の分子量が本発明の範囲外の比較例3、比較例4では、剥離性付与成分(α)を含まない比較例5と比べ、剥離力(1)および(2)では軽い剥離力を発現するものの、粘着テープを貼り合せた状態で加熱後剥離する剥離力(3)の評価では大きく重剥離変化してしまい、十分な耐熱性を有していない。
これに対し(B)成分分子量、(C)/(B)mol比が請求項1に係る発明の範囲内の実施例1〜4ならびに参考例5および6の各試料は、活性エネルギー線硬化性増膜成分(β)の種類に関わらず、剥離力(1)〜(3)のすべてで軽い剥離力を発現する。剥離力(3)において実施例および参考例の群と比較例の群を比較すると、その差は明確である。なお、高級アルコール(C)の含有量が15%である参考例6の試料は、高級アルコール(C)の含有量が10%の実施例4の試料と剥離力(1)(2)(3)が同等であり、高級アルコール(C)の含有量が10%を超えて配合しても、これら特性に関しては変化が無いことが分かる。
これらの結果から、本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、軽い剥離力を有し、且つ粘着剤が接触した状態での耐熱性も良好であることから、加熱処理工程必須の剥離ライナーも含め、剥離ライナー用の組成物として、より好適であることがわかる。

Claims (5)

  1. 粘着テープ又は粘着シートに用いられる剥離ライナー用の剥離性付与成分(α)であって、
    剥離ライナーが、剥離性付与成分(α)と活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)とを含有する活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を用いて形成され、
    剥離性付与成分(α)が、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して一つと水酸基を一分子中に平均して一つ以上有する(メタ)アクリレート(A)と、一分子中に二つのイソシアネート基を有し、且つ平均分子量が300以下のものから選択される少なくとも1種以上の有機イソシアネート(B)と、炭素数が8〜22で水酸基が一つの高級アルコール(C)とを、高級アルコール(C)のmol数/有機イソシアネート(B)のmol数=0.1〜2の範囲で反応させて得られ
    (メタ)アクリレート(A)が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および一般式(3)に示す構造を有する(メタ)アクリレートのいずれかを含む、剥離性付与成分。
    Figure 0006775727

    (一般式(3)中、X 11 は(メタ)アクリロイルオキシ基を表す。kおよびlはそれぞ
    れ独立して2、3、または4のいずれかの整数を示し、mおよびnはそれぞれ独立して0
    〜30の整数を表す(ただし、m=n=0は除く。)。)
  2. (メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して一つと水酸基を一分子中に平均して一つ
    以上有する(メタ)アクリレート(A)と、一分子中に二つのイソシアネート基を有し、
    且つ平均分子量が300以下のものから選択される少なくとも1種以上の有機イソシアネ
    ート(B)と、炭素数が8〜22で水酸基が一つの高級アルコール(C)とを、高級アルコール(C)のmol数/有機イソシアネート(B)のmol数=0.1〜2の範囲で反応させて得られ、(メタ)アクリレート(A)が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および一般式(3)に示す構造を有する(メタ)アクリレートのいずれかを含む剥離性付与成分(α)と、
    活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)とを含有し、
    高級アルコール(C)の使用量が、剥離性付与成分(α)と活性エネルギー線硬化性造
    膜成分(β)との質量総和に対し質量比で0.5〜10%である、活性エネルギー線硬化
    性剥離剤組成物。
    Figure 0006775727

    (一般式(3)中、X 11 は(メタ)アクリロイルオキシ基を表す。kおよびlはそれぞ
    れ独立して2、3、または4のいずれかの整数を示し、mおよびnはそれぞれ独立して0
    〜30の整数を表す(ただし、m=n=0は除く。)。)
  3. 活性エネルギー線硬化性造膜成分(β)が、一般式(1)または一般式(2)に示す構
    造を有するものを含む、請求項2に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
    Figure 0006775727

    (一般式(1)および(2)中、X〜X10は、それぞれ独立に(メタ)アクリロイル
    オキシ基または水酸基を表し、X〜Xのうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリ
    ロイルオキシ基を示し、X〜X10のうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイ
    ルオキシ基を示す。)
  4. 請求項2又は3に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を、基材に樹脂固形分が0.05〜10μmの膜厚となるよう塗工し、活性エネルギー線を照射し、硬化させることを含む、剥離剤層の形成方法。
  5. 請求項2又は3に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物により得られる剥離ライナー。
JP2015195744A 2015-10-01 2015-10-01 剥離性付与成分、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物およびそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー Active JP6775727B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015195744A JP6775727B2 (ja) 2015-10-01 2015-10-01 剥離性付与成分、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物およびそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015195744A JP6775727B2 (ja) 2015-10-01 2015-10-01 剥離性付与成分、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物およびそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017066319A JP2017066319A (ja) 2017-04-06
JP6775727B2 true JP6775727B2 (ja) 2020-10-28

Family

ID=58491780

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015195744A Active JP6775727B2 (ja) 2015-10-01 2015-10-01 剥離性付与成分、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物およびそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6775727B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019188639A (ja) * 2018-04-20 2019-10-31 東レフィルム加工株式会社 シリコーン粘着層用離型フィルムおよびシリコーン粘着シート

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA940647A (en) * 1969-08-15 1974-01-22 Daniel J. Carlick Radiation-polymerizable compositions
EP0919576B1 (en) * 1996-06-13 2004-04-07 Daikin Industries, Limited Novel copolymer, process for the preparation of the same, and use thereof
JP3676260B2 (ja) * 2000-12-28 2005-07-27 ナトコ株式会社 活性エネルギー線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート及び活性エネルギー線硬化性組成物並びにそれらの用途
JP5567292B2 (ja) * 2009-06-01 2014-08-06 日立化成ポリマー株式会社 活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物及びそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー
JP5654848B2 (ja) * 2010-11-17 2015-01-14 日立化成ポリマー株式会社 活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物及びそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー
JP2013163704A (ja) * 2012-02-09 2013-08-22 Hitachi Kasei Polymer Co Ltd 活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物及びそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017066319A (ja) 2017-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5567292B2 (ja) 活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物及びそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー
JP2013163704A (ja) 活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物及びそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー
JP5658869B2 (ja) ハードコート用組成物及びハードコート層が形成された成形品
WO2007043728A1 (en) Low viscosity multi-functional urethane acrylate oligomer-containing high solid uv curable coating compostion
KR20120052192A (ko) 우레탄(메타)아크릴레이트 화합물 및 그것을 함유하는 수지 조성물
TWI631168B (zh) Solvent-free photocurable resin composition
JP5654848B2 (ja) 活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物及びそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー
JP2010265403A (ja) 活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物及びそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー
KR20150092202A (ko) 하드코트용 조성물 및 하드코트층이 형성된 성형품
JP5853859B2 (ja) プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物
TWI608021B (zh) Resin composition for forming a cured film
JP2024129072A (ja) 活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物、キャリア用剥離剤及びそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー形成方法
WO2015068860A1 (en) Acryloxy-functional silicone composition curable by high-energy radiation for release film for dielectric ceramic-forming material, and release film for dielectric ceramic-forming material using the same
JPWO2014013922A1 (ja) 防汚性を有する凹凸形状の表面を有する構造体及びその製造方法
EP1245968A3 (en) Laminate comprising a needle-like antimony-containing tin oxide and antireflection film comprising the same
JP6775727B2 (ja) 剥離性付与成分、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物およびそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー
JP7279560B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物、硬化物、積層体
CN103329246B (zh) 含有氨基甲酸酯化合物的高耐擦伤性压印材料
JP4951936B2 (ja) 帯電防止効果を有する印刷ワニス組成物、該組成物を用いてなる基材被覆物及び基材加工成型物。
JP2021014495A (ja) 活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物及びそれを用いる塗膜形成方法と剥離ライナー
JP2018203919A (ja) 活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物、それを用いた塗膜形成方法及び剥離ライナー
JP2012062357A (ja) 帯電防止性ハードコート組成物
JP5497303B2 (ja) カール抑制コーティング剤
JP6519946B2 (ja) 紫外線硬化型コーティング剤組成物及びその硬化膜
JP6040109B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型ラミネート接着剤樹脂組成物とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180925

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190628

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190725

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190903

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190903

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200303

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200603

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20200610

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200901

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200914

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6775727

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350