JP5654848B2 - 活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物及びそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー - Google Patents

活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物及びそれを用いた塗膜形成方法、剥離ライナー Download PDF

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Description

本発明は、電子材料用途等の粘着テープ、又は粘着シートに用いられる剥離ライナーに応用可能な活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物、塗膜形成方法及びそれを用いた剥離ライナーに関する。
粘着テープおよび粘着シート類は、その取扱い性の良さと良好な接着特性から、各種業界で使用されている。電子機器分野においても、各種部材の接着等に多くの粘着テープ及び粘着シート類が用いられている。粘着テープ及び粘着シートの剥離ライナーは、狙い通りの剥離力を付与させるために様々な剥離剤が塗装されている。
これ等に用いられる剥離剤に要求される性能としては安定した剥離力はもちろん、その他にも多くの性能が挙げられる。例えば、剥離剤を使用した後の残留接着率、より平滑な面を得るため塗膜外観も重要である。更に溶剤系の粘着剤を剥離シート上に塗装し熱により乾燥する場合の耐溶剤性や、表面が擦られ磨耗した後でも剥離力が損なわれない耐摩耗性が必要となる。
従来の剥離剤は、熱可塑性、熱硬化性樹脂の二つに大別され、熱可塑性樹脂は、塗装後反応硬化させないため、成膜後の耐溶剤性、耐熱性などが低いという問題がある。一方、熱硬化性樹脂は、耐溶剤性、耐熱性等に優れるものの、塗装後加熱硬化することが前提となるため、厚みが薄く熱に弱い基材には使用できないという問題がある。また、熱硬化性樹脂の主要樹脂の一つにアルキド樹脂をメラミン等の架橋剤で硬化させるものがある(特許文献1、特許文献2参照)。
特開2008−156498号公報 特開2008−156499号公報 特願2009−131992号
アルキド樹脂をメラミン等の架橋剤で硬化させたものは高性能であるものの、前述した熱硬化であるという点に加え、原材料として使用したホルムアルデヒドの一部未反応物を不純物として含むため、環境問題の観点からも見直しが図られつつある。このため熱を介さない硬化系であり、且つ、環境汚染物質を含まない剥離剤が長く求められている。
また、電子材料用途等に使用する粘着シートの場合、剥離ライナーから剥離成分であるシリコーンが粘着シート側に移行してしまうと、このシリコーンが電気電子機器の故障の原因となるため、粘着シート側へのシリコーンの非移行性も重要な課題である。シリコーンは剥離成分としての適正が高く、広く用いられているが、シリコーンを使用せずに剥離性を発現する剥離剤組成物が望まれている。
また、本発明者らは、シリコーンを使用せず、ホルムアルデヒド含まず、且つ活性エネルギー線で硬化する剥離剤組成物を開発検討している(特許文献3参照)。
本発明の目的は、良好な剥離力、残留接着率、塗膜外観、耐溶剤性、耐摩耗性を有し、且つ加熱処理後の剥離力の増加が小さく、原材料としてシリコーンを使用しない活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物、塗膜形成方法及びそれを用いた剥離ライナーを提供することである。
本発明は、以下に関する。
(1) 活性エネルギー線硬化性剥離成分と、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つ(メタ)アクリロイル基の濃度が1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)とを含む剥離ライナー用の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物であって、前記活性エネルギー線硬化性剥離成分が、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上有する水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)と、炭素数が8〜22の高級アルコール(C)とを、高級アルコール(C)の水酸基当量/有機イソシアネート(B)のイソシアネート基当量=0.17〜0.67となるように調整され、反応させて成る反応物であり、前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と、前記(メタ)アクリレート(D)が同一組成ではなく、活性エネルギー線硬化性剥離成分の含有量が、質量比で、活性エネルギー線硬化性剥離成分と(D)成分の合計に対し、0.01〜0.5であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
(2) (メタ)アクリレート(D)が、一般式(1)又は一般式(2)に示す構造を有するものである、前記(1)に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
Figure 0005654848
(一般式(1)、(2)中、X〜X10は、それぞれ独立に(メタ)アクリロイル基又は水酸基を表し、X〜Xのうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示し、X〜X10のうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示す。)
(3) 有機イソシアネート(B)が、ヘキサメチレンジイソシアネートを原料とするイソシアヌレート、ビウレット、トリメチロールプロパンのアダクト体のいずれかである前記(1)又は(2)に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
(4) 水酸基含有(メタ)アクリレート(A)が、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上3つ未満有する、前記(1)〜(3)の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
(5) 水酸基含有(メタ)アクリレート(A)が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−アシッドフォスフェート、エポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加反応させることで得られるエポキシ(メタ)アクリレート、及び一般式(3)に示す構造を有する(メタ)アクリレートのいずれかである、前記(1)〜(4)の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
Figure 0005654848
(一般式(3)中、X11は(メタ)アクリロイル基を表す。k、lはそれぞれ独立して2、3、4の何れかの整数を示し、m、nはそれぞれ独立して0〜30の整数を表す。)
(6) 前記(1)〜(5)の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を基材に樹脂固形分で0.05〜10μmの膜厚となるよう塗工し、活性エネルギー線を照射し、硬化させる塗膜形成方法。
(7) 前記(6)に記載の塗膜形成方法により得られる剥離ライナー。
本発明により、良好な剥離力、残留接着率、塗膜外観、耐溶剤性、耐摩耗性を有し、且つ加熱処理後の剥離力の増加が小さく、原材料としてシリコーンを使用しない活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物と剥離ライナーを得ることが出来る。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、活性エネルギー線硬化性剥離成分と、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つ(メタ)アクリロイル基の濃度が1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)とを含む剥離ライナー用の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物であって、前記活性エネルギー線硬化性剥離成分が、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上有する水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)と、炭素数が8〜22の高級アルコール(C)とを、高級アルコール(C)の水酸基当量/有機イソシアネート(B)のイソシアネート基当量=0.17〜0.67となるように調整され、反応させて成る反応物であり、前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と、前記(メタ)アクリレート(D)が同一組成ではなく、活性エネルギー線硬化性剥離成分の含有量が、質量比で、活性エネルギー線硬化性剥離成分と(D)成分の合計に対し、0.01〜0.5であることを特徴とする。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート、メタアクリレート及びそれらの混合物を意味する。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に使用される水酸基含有(メタ)アクリレート(A)は、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上有したものであり、好ましくは(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上3つ未満有する。なお水酸基は、一分子中に平均して1つ以上存在すればよい。
水酸基含有(メタ)アクリレート(A)は、有機イソシアネート(B)を介して高級アルコール(C)と反応し、活性エネルギー線硬化性剥離成分となる。水酸基含有(メタ)アクリレート(A)、有機イソシアネート(B)、高級アルコール(C)の反応物(活性エネルギー線硬化性剥離成分)は、活性エネルギー硬化能を有しており、剥離力を発現させる要因の一つである高級アルコール(C)由来の長鎖アルキル基が、硬化時にラジカル重合を介して硬化塗膜に組み込まれ、残留接着率、耐溶剤性、耐摩耗性が向上する
一般的に、本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に使用される、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)及び(メタ)アクリレート(D)は、それぞれ、1種、又は2種以上の(メタ)アクリレート化合物からなる。よって、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)及び(メタ)アクリレート(D)は、それぞれ、混合物、あるいは、単一物である。また、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)として使用される(メタ)アクリレート化合物は、(メタ)アクリレート(D)として使用される(メタ)アクリレート化合物と異なる構造を有するものが好ましい。水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と(メタ)アクリレート(D)が同一組成の場合、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)、有機イソシアネート(B)、高級アルコール(C)の反応物(活性エネルギー線硬化性剥離成分)と、(メタ)アクリレート(D)の組成が近くなるため、馴染みやすくなり、硬化後も熱により相溶しやすくなってしまう。よって、前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と、前記(メタ)アクリレート(D)とが同一組成(組成物)ではないことが必要である。
良好な剥離力を発現するためには、剥離性付与成分である(A)成分、(B)成分、(C)成分の反応物(活性エネルギー線硬化性剥離成分)が、硬化性、基材への密着性、耐溶剤性等の塗膜としての一般性能を決定する(メタ)アクリレート(D)の表面に配向した状態で硬化させることが必要であり、発現した剥離力を維持するためには、この相分離の状態を保つ必要がある。即ち、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と(メタ)アクリレート(D)に、それぞれ異なる(メタ)アクリレート化合物を用いることで、硬化後に熱を加えても両成分が相溶しにくくなり、相分離状態を保つことが出来るため、良好な剥離力を維持することが出来る。
従って、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としては、(メタ)アクリロイル基を一分子中に1つ以上3つ未満有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、1つ有する(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。また、(メタ)アクリレート(D)としては、(メタ)アクリロイル基を一分子中に3つ以上有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、混合物として使用する場合も、すべて、(メタ)アクリロイル基を一分子中に3つ以上有する(メタ)アクリレート化合物とすることがより好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−アシッドフォスフェート、更にエポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加反応させることで得られるエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
さらに、剥離力を調整したい場合、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのグリシジルエーテルへの(メタ)アクリル酸付加物等のエポキシアクリレートや、下記一般式(3)に示す構造を有する(メタ)アクリレート等、その構造中に芳香環や、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド骨格を有するものが好ましい。
Figure 0005654848
(一般式(3)中、X11は(メタ)アクリロイル基を表す。k、lはそれぞれ独立して2、3、4の何れかの整数を示し、m、nはそれぞれ独立して0〜30の整数を表す。)
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に使用される有機イソシアネート(B)は、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有してさえいれば、特に制限はない。代表例としては、トリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、さらにはこれら各種ジイソシアネート化合物と水とを反応させて得られるビウレット型ポリイソシアネート化合物、または各種ジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等の多価アルコールとを反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート化合物、または各種化合物をイソシアヌレート化せしめて得られる多量体等公知慣用のものがあげられる。さらにヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、ビウレット、トリメチロールプロパンのアダクト体のいずれかを有機イソシアネート(B)として用いた場合、残留接着率が良好で、最も剥離が軽くなる(剥離力が小さくなる)傾向にあるため、望ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に使用される炭素数が8〜22の高級アルコール(C)は、有機イソシアネート(B)を介して、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と反応させるため、一分子中に少なくとも一つ以上の水酸基を有している。また、良好な剥離力を発現させるために、その炭素数は8〜22であるが、その他は特に制限はない。飽和高級アルコールの炭素数18以上で、且つ直鎖状のものが特に剥離力が軽く(小さく)なるため望ましい。また、不飽和高級アルコール、及び分岐型のものも使用することが出来るが、これを使用した場合、直鎖状飽和高級アルコールを使用したものと比較して剥離力は重く(大きく)なりやすいものの、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物の結晶性が低くなるため、より透明度が高く、平滑な塗膜が得られやすく、塗膜外観の観点から望ましい。
直鎖状の高級アルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニールアルコール等が、また、直鎖状の不飽和高級アルコールとしてはオレイルアルコール等が、分岐型高級アルコールとしては2−ヘキシルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラドデカノール等、公知慣用のものが挙げられる。
炭素数8〜22の高級アルコール(C)としては、市販品を使用することができ、例えば、直鎖状の飽和高級アルコールとしては、コノール10WS、コノール1098、コノール1275、コノール20F、コノール20P、コノール1495、コノール1670、コノール1695、コノール30CK、コノール30OC、コノール30RC、コノール30F、コノール30S、コノール30SS、コノール30T、コノール2265、コノール2280(新日本理化株式会社製商品名)、カルコール0898、カルコール0880、カルコール1098、カルコール2098、カルコール4098、カルコール6098、カルコール8098、カルコール200GD、カルコール2475、カルコール2474、カルコール2473、カルコール2463、カルコール2455、カルコール2450、カルコール4250、カルコール6870、カルコール6850、カルコール8688、カルコール8665、カルコール220−80(花王株式会社製商品名)、直鎖状の不飽和高級アルコールとしては、リカコール60B、リカコール70B、リカコール75BJ、リカコール85BJ、リカコール90B、リカコール90BR、リカコール90BHR、リカコール110BJ、アンジェコール50A、アンジェコール60AN、アンジェコール70AN、アンジェコール80AN、アンジェコール85AN、アンジェコール90AN、アンジェコール90NR、アンジェコール90NHR(新日本理化株式会社製商品名)、分岐型の高級アルコールとしてはエヌジェコール160BR、エヌジェコール200A、エヌジェコール240A(新日本理化株式会社製商品名)などが挙げられる。
更に、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)、有機イソシアネート(B)、高級アルコール(C)を反応させる際、高級アルコール(C)の水酸基当量/有機イソシアネート(B)のイソシアネート基当量=0.17〜0.67となるよう調整すると、安定した剥離力が得られ、且つ高級アルコール(C)のうち、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と反応せずに残存するものの量を減らすことが出来る。即ち、活性エネルギー線硬化能を持たない長鎖アルキル基含有化合物の量が減り、結果として残留接着率、耐溶剤性が良好になりやすいため、望ましい。また、最初に(B)成分と(C)成分を反応させ、それに(A)成分を反応させることが好ましい。NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)を反応させ、有機イソシアネート(B)のイソシアネート基が消失することにより、活性エネルギー線硬化性剥離成分が得られる。なお、NCO%が飽和するとは、(A)成分と(B)成分が完全に反応し、水分によるNCO%の減少を除き、NCO%がそれ以上変化しないことである。
従って、(B)成分と(C)成分の配合(質量)比は、前記の高級アルコール(C)の水酸基当量/有機イソシアネート(B)のイソシアネート基当量=0.17〜0.67の範囲内であればよく、さらに0.33〜0.5がより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に使用される(メタ)アクリレート(D)は、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して三つ以上有し、且つ(メタ)アクリロイル基の濃度は1Kg当たり8当量以上である。さらに、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して五つ以上有することが好ましく、また、(メタ)アクリロイル基の濃度が1Kg当たり10当量以上であることが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して三つ以上有し、且つ(メタ)アクリロイル基の濃度が1Kg当たり8当量以上であることにより、十分な硬化性を保有させることが可能となる。活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、(メタ)アクリロイル基がラジカル反応を起こし、重合することで硬化が進行する。しかし、ラジカルは酸素分子に補足され、失活するため、酸素存在下では硬化阻害を受けること、さらにその影響は薄膜になればなるほど顕著になることが一般に知られている。本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、基材に活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物層を設ける際、コストの問題や、より平滑な面を得るために0.05〜10μmという薄膜で塗工、塗装されることが多い。このような状況で十分な硬化性を発揮する活性エネルギー線硬化性組成物は限定される。十分な硬化性を有していない場合、活性エネルギー線を照射しても硬化不良を起こしやすくなる。その結果、見かけが硬化していても、残留接着率、耐摩耗性、耐溶剤性等が悪くなり、剥離力も重くなりやすい。(メタ)アクリレート(D)が、(メタ)アクリロイル基を一分子中に三つ以上有し、且つその濃度が1Kg当たり8当量以上であれば、前述のような薄膜においても、十分な硬化性を有する。
また、(メタ)アクリレート(D)として、下記一般式(1)又は一般式(2)に示す構造を有するものが挙げられる。
Figure 0005654848
(一般式(1)、(2)中、X〜X10は、それぞれ独立に(メタ)アクリロイル基又は水酸基を表し、X〜Xのうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示し、X〜X10のうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示す。)
より良い硬化性を求めるなら、メタクリロイル基を含まないアクリレートを用いることが、望ましい。その中でも、ジペンタエリスリトールモノアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレートから選択される2種以上の混合物であり、含有するアクリロイル基が、平均して一分子中に三つ以上、且つその濃度が1Kg当たり8当量以上に調整されたものが望ましい。
特に、(メタ)アクリレート(D)として、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートから選択される1種、又は2種以上が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物において、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを反応させて成る、活性エネルギー線硬化性剥離成分の含有量は、質量比で、活性エネルギー線硬化性剥離成分と(D)成分の合計に対し、0.01〜0.5である。さらに、0.05〜0.3が好ましく、0.1〜0.2がより好ましい。
0.01未満であると、安定した剥離力が得られにくくなる。逆に0.5を超すと、(メタ)アクリレート(D)の含有量が低くなるため、耐溶剤性、残留接着率が悪くなり、更に直鎖状の飽和高級アルコールを使用していた場合、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物の結晶性が高くなり、塗工した時に塗膜表面が白化、又は平滑性が損なわれやすくなる。前記の範囲内であれば安定した剥離力を発現し、耐溶剤性、残留接着率、塗膜外観が良好な活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を得ることができる。
本発明における活性エネルギー線としては、電子線、α線、β線、γ線、赤外線、可視光線、紫外線等公知慣用のものが挙げられる。中でも電子線、紫外線は比較的研究が進んでおり、特に紫外線はその照射装置が安価に手に入るなどの利点がある。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を活性エネルギー線で硬化させる場合、上記の電子線を用いれば、光重合開始剤を混合させる必要はない。なお、紫外線で硬化させる場合、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物に、光重合開始剤を混合させる必要がある。
光重合開始剤に用いられるものとしては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]エチルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−(4−1−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、エチルアントラキノン等公知慣用のものから一種、又は2種以上の混合物を用いることが出来る。特に表面硬化性が優れているとされる1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが望ましく、中でも1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンが特に望ましい。また、光重合開始剤の配合量は、硬化性、コスト等の面から、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物の樹脂固形分に対して、3〜15質量%が望ましい。
また、上記光重合開始剤の効果を高めるため、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ−安息香酸エチルエステル、N−メチルジエタノールアミン、ビスエチルアミノベンゾフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート等の開始助剤を用いることも出来る。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、使用上の利便性から通常は有機溶剤溶液とされるが、この有機溶剤としては各成分と溶解性がよく、反応性を有しないものであれば従来公知のものを用いることができる。例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソブタノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタンなど、単独または2種以上の混合物を用いることができ、その使用量は、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物の樹脂固形分が1〜60質量%の範囲になるようにするのが望ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物は、基材に塗工(塗装)、溶剤系の場合は加温して溶剤を揮発させてから活性エネルギー線を照射して硬化させることにより塗膜(剥離剤層)を形成することができる。加熱温度は、膜厚、希釈溶剤にもよるが一般的に50〜100℃である。前記塗膜(剥離剤層)は、剥離ライナーとして使用でき、基材に塗工する際、樹脂固形分で0.05〜10μmの膜厚となるように行う。さらに、膜厚は0.1〜3μmが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を、基材に塗工して剥離ライナーを作製する場合、塗膜(剥離剤層)は0.05〜10μmにすることが好ましい。この範囲であれば、塗工面が平滑で、且つ安定した剥離力を持つ剥離ライナーを比較的安価に生産することが出来る。
剥離ライナー用の基材としては、具体的には、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびポリエチレンナフタレートフィルムなどのフィルム基材、ならびに上質紙、中質紙、アート紙、キャストコート紙、およびコート紙などの紙基材が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。又、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量及び質量%を示す。
[製造例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を装備したフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)81部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてBHEA(日本触媒株式会社製商品名 2−ヒドロキシエチルアクリレート)を313.2部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分1を得た。なお、R値((高級アルコール(C)の水酸基当量)/(有機イソシアネート(B)のイソシアネート基当量)以下同様。)は、0.10であった。
[製造例2]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)135部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてBHEA(日本触媒株式会社製商品名 2−ヒドロキシエチルアクリレート)を290部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分2を得た。なお、R値は、0.17であった。
[製造例3]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)270部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてBHEA(日本触媒株式会社製商品名 2−ヒドロキシエチルアクリレート)を232部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分3を得た。なお、R値は、0.33であった。
[製造例4]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)540部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてBHEA(日本触媒株式会社製商品名 2−ヒドロキシエチルアクリレート)を116部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分4を得た。なお、R値は、0.67であった。
[製造例5]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)675部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてBHEA(日本触媒株式会社製商品名 2−ヒドロキシエチルアクリレート)を58部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分5を得た。なお、R値は、0.83であった。
[製造例6]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、ブチルアルコール74部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてBHEA(日本触媒株式会社製商品名 2−ヒドロキシエチルアクリレート)を232部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分6を得た。なお、R値は、0.33であった。
[製造例7]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてカルコール0898(花王株式会社製商品名 オクチルアルコール)130部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてBHEA(日本触媒株式会社製商品名 2−ヒドロキシエチルアクリレート)を232部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分7を得た。なお、R値は、0.33であった。
[製造例8]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール2280(新日本理化株式会社製 ベヘニールアルコール80〜85質量%)326部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてBHEA(日本触媒株式会社製商品名 2−ヒドロキシエチルアクリレート)を232部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分8を得た。なお、R値は、0.33であった。
[製造例9]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)270部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてHPA(大阪有機化学工業株式会社製商品名 2−ヒドロキシプロピルアクリレート)を260部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分9を得た。なお、R値は、0.33であった。
[製造例10]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)270部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)として4HBA(大阪有機化学工業株式会社製商品名 4−ヒドロキシブチルアクリレート)を288部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分10を得た。なお、R値は、0.33であった。
[製造例11]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)270部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてNKエステル702A(新中村化学工業株式会社製商品名 2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート)を444部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分11を得た。なお、R値は、0.33であった。
[製造例12]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)270部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてブレンマーAP−400(日本油脂株式会社製商品名 一般式(3)の構造を有するポリプロピレングリコールのモノアクリレート k=3、m=6、n=0)を1122部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分12を得た。なお、R値は、0.33であった。
[製造例13]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)270部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)として2−HEMA(三菱ガス化学株式会社製商品名 2−ヒドロキシエチルメタクリレート)を260部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分13を得た。なお、R値は、0.33であった。
[製造例14]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてコロネートHX(日本ポリウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)570部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)270部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を2244部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分14を得た。なお、R値は、0.33であった。
[製造例15]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてデスモジュールN3200(住化バイエルウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット)548部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)270部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてBHEA(日本触媒株式会社製商品名 2−ヒドロキシエチルアクリレート)を232部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分15を得た。なお、R値は、0.33であった。
[製造例16]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)としてスミジュールHT(住化バイエルウレタン株式会社製商品名 ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体 固形分75%)969部、炭素数8〜22の高級アルコール(C)としてコノール30SS(新日本理化株式会社製商品名、ステアリルアルコール)270部を仕込み、85℃まで昇温して7時間保温して反応させ、NCO%が飽和したのを確認した後、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)としてBHEA(日本触媒株式会社製商品名 2−ヒドロキシエチルアクリレート)を232部仕込み、7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、活性エネルギー線硬化性剥離成分16を得た。なお、R値は、0.33であった。
[実施例1]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例2で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分2を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Aを得た。
[実施例2]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例3で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分3を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Bを得た。
[実施例3]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例4で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分4を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Cを得た。
[実施例4]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例7で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分7を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Dを得た。
[実施例5]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例8で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分8を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Eを得た。
[実施例6]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例9で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分9を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Fを得た。
[実施例7]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例10で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分10を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Gを得た。
[実施例8]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例11で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分11を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Hを得た。
[実施例9]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例12で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分12を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Iを得た。
[実施例10]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例13で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分13を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Jを得た。
[実施例11]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例15で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分15を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Kを得た。
[実施例12]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例16で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分16を12部(固形分として10部相当)、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを108部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Lを得た。
[実施例13]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例3で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分3を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD PET−30(日本化薬株式会社製商品名、一般式(2)に示す構造を持つトリアクリレートとテトラアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Mを得た。
[実施例14]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例3で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分3を1部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を99部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Nを得た。
[実施例15]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例3で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分3を50部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を50部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Oを得た。
[比較例1]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例1で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分1を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Pを得た。
[比較例2]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例5で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分5を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Qを得た。
[比較例3]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例6で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分6を10部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Rを得た。
[比較例4]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例14で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分14を50部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を50部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Sを得た。
[比較例5]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を100部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Tを得た。
[比較例6]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例3で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分3を0.5部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を99.5部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Uを得た。
[比較例7]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例3で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分3を60部、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つその濃度は1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)としてKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製 一般式(1)に示す構造を持つペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)を40部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Vを得た。
[比較例8]
製造例1と同様の装備を持ったフラスコに、製造例3で得られた活性エネルギー線硬化性剥離成分3を10部、(メタ)アクリレート(D)としてHPA(日本触媒株式会社製商品名 2−ヒドロキシプロピルアクリレート)を90部、トルエンを110部、Irgacure184(BASF・ジャパン株式会社製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を10部仕込み50℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物Wを得た。
性能評価は下記方法に従って行った。
評価用剥離フィルムの基材として、未処理の厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)フィルムを用い、これに各供試樹脂(活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物A〜W)を、成膜後、膜厚で0.30μmになるよう塗装(塗工)した。塗装(塗工)後、70℃、1分で溶剤分を揮発させ、紫外線照射装置(高圧水銀灯1灯80W/cm)を用いて200mJ/cmの紫外線を照射し硬化させ、評価用剥離フィルム(剥離ライナー)を得た。
1)剥離力:作製した剥離フィルム上の処理面にポリエステル粘着テープ(ニットー31B、日東電工株式会社製商品名)を2Kgのローラーで一往復圧着し、25mm幅に切断し、得たテープ試験片について、300mm/分の速度で180°に引っ張り、その剥離力を測定した。
2)残留接着率:1)で測定に供したテープ試験片(作製した剥離フィルム上の処理面にポリエステル粘着テープを圧着し、剥離フィルムを剥がしたポリエステル粘着テープ)をステンレス板に2Kgローラーで一往復圧着し、300mm/分の速度で180°に引っ張り、その剥離力W(N/20mm)を測定した。一方、上記処理をしないポリエステル粘着テープをステンレス板に貼りつけ、これを上記と同様の条件でステンレス板から剥離するのに要する力W(N/20mm幅)を測定し、このWに対するWの比(W/W)(百分率)を求めて残留接着率とした。
3)塗膜外観:評価用剥離フィルム(剥離ライナー)の塗膜の外観を目視で観察した。
「◎」:白化や荒れ、ブツのない外観良好なもの(問題なし)
「○」:僅かに白化(結晶化)
「△」:白化、僅かな荒れ
「×」:荒れ、ブツあり
4)耐溶剤性:メチルエチルケトンを染み込ませたガーゼで、作製した評価用剥離フィルム表面を荷重1.0Kgfの力で摩擦し、剥離層(塗膜)が溶剤に侵されて溶ける、又は基材より剥がれるまでのガーゼの往復回数を測定した。
5)耐摩耗性:評価用剥離フィルムの塗膜(剥離層)表面をガーゼで3回強くこすり、上記1)と同様に剥離力を測定し、塗膜(剥離層)表面をガーゼでこすった剥離力/塗膜表面をこすらない剥離力で剥離力の変化を測定した。その結果、剥離力の変化が±10%以内であるものを「○」、±10%を超えて変化したものを「×」として評価した。
6)耐熱性:評価用剥離フィルムを70℃で20時間養生した後、上記1)剥離力測定方法に従い、剥離力を測定した。
表1に上記で作製した活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物A〜Wに用いた剥離成分1〜16中の(A)、(B)成分の材料名、(C)成分の炭素数、R値((高級アルコール(C)の水酸基当量)/(有機イソシアネート(B)のイソシアネート基当量))及び(メタ)アクリレート(D)の材料名、更に剥離成分の質量比((剥離成分)/(剥離成分+(D))を纏めて示した。また、表2に各実施例、比較例の性能評価結果を纏めて示した。
下記表1中の(A)成分、(B)成分、(D)成分の略号の意味を以下に示す。
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート(商品名;BHEA)
HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
HEMA:2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(商品名;2−HEMA)
PGEA:2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(商品名;NKエステル702A)
AP−400:一般式(3)の構造を有するポリプロピレングリコールのモノアクリレート
DPHA:ジペンタエリスリトールのペンタ及びヘキサアクリレートの混合物(商品名;KAYARAD DPHA)
PETA:ペンタエリスリトールのトリ及びテトラアクリレートの混合物(商品名;KAYARAD PET−30)
HDIヌレート:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート(商品名;コロネートHX)
HDIビウレット:ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(商品名;デスモジュールN3200)
HDIアダクト:ヘキサメチレンジイソシアネートの(トリメチロールプロパン)アダクト(商品名;スミジュールHT)
Figure 0005654848
Figure 0005654848
表1、2に示したように、(D)成分が(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して三つ以上含有せず且つ濃度が1Kg当たり8当量未満である(HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレートを使用)比較例8では、残留接着率(66%)、耐溶剤性、耐摩耗性、何れも劣る。また、(C)成分の炭素数が8〜22の範囲から外れている(炭素数4)、比較例3は、剥離力が大きく(9600mN/25mm)、比較例5のような剥離成分を含まない樹脂組成物と比較しても剥離力に大きな変化は見られず、また残留接着率が90%未満であり、剥離ライナーとしては不適切である。剥離成分のR値が0.17より小さい(0.1)、比較例1でも、残留接着率が90%未満であり、また剥離力が大きく(9400mN/25mm)、剥離成分を含まない比較例5の剥離力と大差はない。剥離成分のR値が0.67より大きい(0.83)、比較例2では剥離力は小さいものの、残留接着率(80%)、塗膜外観、耐溶剤性、耐摩耗性何れも悪い。剥離成分の質量比が0.01〜0.50の範囲を外れる比較例6、7の場合、比較例6のような質量比が0.01未満の場合は、剥離力が大きく(9300mN/25mm)、剥離成分を含まない比較例5の剥離力から大きく変化しておらず、また残留接着率が90%未満であり、剥離成分の効果が得られていない。比較例7のように剥離成分の質量比が0.50を超えて多いと(0.6)、剥離力は小さくなるが、(メタ)アクリレート(D)の質量比が小さくなるため、耐溶剤性、耐摩耗性が悪くなり、その結果残留接着率(69%)も悪くなっている。更に活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物の結晶性も高くなるため、塗膜が白化しやすくなり、塗膜外観も悪くなっている。更に、(A)成分と(B)成分に同じDPHAを使用している比較例4は、70℃で20時間養生した後、剥離力が、250mN/25mmから2900mN/25mmになるなど、著しく剥離力が変化(増加)し、耐熱性に問題があり、加熱処理工程が必須の剥離ライナーには適さない。
これに対し、原材料としてシリコーンを使用せず、(D)成分の(メタ)アクリロイル基の数や濃度を調整し、剥離成分のR値、剥離成分の質量比及び(C)成分の炭素数を満たし、且つ(A)成分と(D)成分にそれぞれ異なる構造を有する(メタ)アクリレートを使用した実施例1〜15では、比較例5のように剥離成分を含まない樹脂組成物と比較して剥離力が明らかに小さくなっており、かつ、組成により剥離力を182〜7400mN/25mmと変化させることができ、残留接着率が90%以上と高いことから剥離剤による接着剤への影響が少なく、塗膜外観、耐溶剤性(すべて100回以上)、耐磨耗性にも優れることが分かる。更に70℃で20時間養生した後でも、剥離力の変化が極めて小さいなど、耐熱性も良好であることから、加熱処理工程必須の剥離ライナーも含め、剥離ライナー用の組成物として好適であることがわかる。

Claims (7)

  1. 活性エネルギー線硬化性剥離成分と、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して3つ以上有し、且つ(メタ)アクリロイル基の濃度が1Kg当たり8当量以上である(メタ)アクリレート(D)とを含む剥離ライナー用の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物であって、
    前記活性エネルギー線硬化性剥離成分が、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上有する水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と、一分子中に少なくとも二個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(B)と、炭素数が8〜22の高級アルコール(C)とを、高級アルコール(C)の水酸基当量/有機イソシアネート(B)のイソシアネート基当量=0.17〜0.67となるように調整され、反応させて成る反応物であり、前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と、前記(メタ)アクリレート(D)が同一組成ではなく、活性エネルギー線硬化性剥離成分の含有量が、質量比で、活性エネルギー線硬化性剥離成分と(D)成分の合計に対し、0.01〜0.5であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
  2. (メタ)アクリレート(D)が、一般式(1)又は一般式(2)に示す構造を有するものである、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
    Figure 0005654848
    (一般式(1)、(2)中、X〜X10は、それぞれ独立に(メタ)アクリロイル基又は水酸基を表し、X〜Xのうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示し、X〜X10のうち少なくとも3個以上は、(メタ)アクリロイル基を示す。)
  3. 有機イソシアネート(B)が、ヘキサメチレンジイソシアネートを原料とするイソシアヌレート、ビウレット、トリメチロールプロパンのアダクト体のいずれかである請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
  4. 水酸基含有(メタ)アクリレート(A)が、(メタ)アクリロイル基を一分子中に平均して1つ以上3つ未満有する、請求項1〜3の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
  5. 水酸基含有(メタ)アクリレート(A)が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−アシッドフォスフェート、エポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加反応させることで得られるエポキシ(メタ)アクリレート、及び一般式(3)に示す構造を有する(メタ)アクリレートのいずれかである、請求項1〜4の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物。
    Figure 0005654848
    (一般式(3)中、X11は(メタ)アクリロイル基を表す。k、lはそれぞれ独立して2、3、4の何れかの整数を示し、m、nはそれぞれ独立して0〜30の整数を表す。)
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性剥離剤組成物を基材に樹脂固形分で0.05〜10μmの膜厚となるよう塗工し、活性エネルギー線を照射し、硬化させる塗膜形成方法。
  7. 請求項6に記載の塗膜形成方法により得られる剥離ライナー。
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