JP2021011455A - フロレチン−4−α−グルコシドの結晶 - Google Patents

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Abstract

【課題】水溶性や安定性に優れるフロレチングルコシドの新規な結晶とその用途の提供。【解決手段】フロレチン−4−α−グルコシドの結晶。好ましくは、粉末X線回折において、少なくとも、回折角(2θ)4.3°、9.7°、14.4°、及び、21.5°に回折ピークを示すフロレチン−4−α−グルコシドの結晶。【選択図】図4

Description

本発明は、新規なフロレチン−4−α−グルコシドの結晶に関する。
フロレチン(下記化学式1に示す構造を有する分子量274.08の化合物)は、リンゴ、ナシ又はサクランボの未熟果実の搾汁果汁又は抽出液から得られるポリフェノールの一種であり、フリーラジカルを消去しDNAへのダメージを抑える効果、また、皮膚からの吸収率が高く、肌のたるみと密接な関係のある皮膚の糖化を未然に防ぐ効果、並びに、コラーゲンを破壊するマトリックス分解酵素を阻害する効果を有している。このため、フロレチンはアンチエイジング成分として、近年、注目され、化粧品等に配合されている。しかしながら、フロレチンは、酸化や経時変化により着色(褐変)し易いことから、これを配合した化粧品等の組成物の色目を損い、また、水にほとんど溶解しないため、調製時の配合濃度(許容量)に制限が伴うなどの利用上の欠点を有している。
化学式1
一方、難水溶性の天然有機化合物を水に可溶化するための一手段として、配糖化が知られている。配糖化は、天然有機化合物と同じく天然物である糖を結合させるだけであるので、ナチュラルで、クリーンな手法であるというメリットを有しており、化粧品業界のみならず、各方面での天然(自然)志向に適合しており、さらに、配糖化によって得られた配糖体を生体に適用した場合、生体内のグルコシターゼにより分解され、アグリコンが徐放されることから、アグリコンの有する生理活性が持続するというメリットも有している。
ここで、フロレチンの配糖体としては、フロレチンの2´位の水酸基にグルコースがβ結合した構造を有する配糖体として、フロリジン(フロレチン−2´−β−グルコシド:下記化学式2参照、分子量:436.41)が知られており、アルブチン、コウジ酸等と同様にメラニンの生成を抑制する作用を有し、化粧品用途の美白剤として用いられている(例えば、特許文献1及び2などを参照)。しかしながら、フロリジンは、フロレチンに比べれば水溶性に優れているものの、室温(25℃)下での水への溶解度は0.04g/L未満と低いため、組成物や配合液とする際、充分な水溶性を有しているとは言えない。
化学式2
さらに、フロリジン以外のフロレチン配糖体として、特許文献2には、フロレチン−4´−グルコシド、フロレチン−4−グルコシド、フロレチン−2´,4´−ジグルコシド、フロレチン−2´,4−ジグルコシド、フロレチン−4,4´−ジグルコシド、フロレチン−2´,4,4´−トリグルコシド等が記載され、また、非特許文献1には、フロレチンにUDP−グルコース共存下でバチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)由来のUDP−グリコシルトランスフェラーゼ(UDP−glycosyltransferase)を作用させて得られるフロレチン−4´−グルコシド、フロレチン−2´−グルコシド、フロレチン−4´,4−ジグルコシド、フロレチン−6´,4−ジグルコシド、フロレチン−2´,4´,4−トリグルコシドなどが開示されている。しかし、特許文献2には、これら配糖体の水溶性などの諸性質についての詳細な記載はない。また、例えば特許文献3にはフロレチン配糖体類の精製方法が開示されているが、この精製品は非結晶粉末であるにすぎない。本発明者らの知見によれば、より安定な結晶の形態にあり、かつ、フロリジンよりも水溶性が高い配糖体は報告されていない。
特開平8−259448号公報 特開2006−262910号公報 特開2018―150276号公報
『アプライド アンド エンバイロメンタル マイクロバイオロジー(Applied and Environmental Microbiology)』、第79巻、11号、3516頁乃至3521頁(2013年)
本発明は、水溶性や安定性に優れる新規なフロレチン配糖体の結晶を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意研究する過程において、受容体としてのフロレチンと糖供与体としてのマルトースを含有する基質溶液に特定のα−グルコシダーゼを作用させることにより、フロリジン(フロレチン−2´−β−グルコシド)とは異なるフロレチン配糖体が効率よく生成することを見出した。単離した当該配糖体を1H−NMR分析に供したところ、当該配糖体は、フロレチンの4位にグルコースがα結合したフロレチン−4−α−グルコシドであることが判明した。次いで、当該配糖体を水に溶解し、低温に保持したところ、結晶が析出することを見出した。取得した結晶を粉末X線回折法に供し、さらに、本発明者らは、この新規なフロレチン−4−α−グルコシド結晶の物性を明らかにして本発明を完成した。
すなわち、本発明は、新規なフロレチン−4−α−グルコシドの結晶を提供することによって上記課題を解決するものである。
本発明のフロレチン−4−α−グルコシドの結晶は、水溶性に優れるとともに、アモルファス粉末に比べ、着色等し難く、保存安定性に優れていることから、他の各種素材に配合して組成物とする場合には取り扱いが容易であるという利便性を備え、飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬品等の素材として利用しやすいという利点を有している。
糖転移反応後の反応液のHPLCクロマトグラムである。 フロレチン配糖体精製標品のHPLCクロマトグラムである。 (a)フロレチン配糖体及び(b)フロレチンの1H−NMRスペクトルである。 フロレチン−4−α−グルコシド結晶の光学顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。 フロレチン−4−α−グルコシド結晶の粉末X線回折パターンである。 フロレチン−4−α−グルコシド結晶の示差走査熱量分析の曲線図である。
本発明は、フロレチン−4−α−グルコシドの結晶に係るものである。本発明のフロレチン−4−α−グルコシドの結晶は、本発明者らが独自に見出した、全く新規な結晶であり、特定の製造方法によって製造されたものに限定されるものではない。
本発明のフロレチン−4−α−グルコシドの結晶は、後述する実験の項において示すとおり、X線源としてCuKα線を用いた粉末X線回折法に供して得られる粉末X線回折パターンにおいて、少なくとも、回折角(2θ)4.3°、9.7°、14.4°、及び、21.5°に特徴的な回折ピークを示すことを特徴とする。
また、本発明のフロレチン−4−α−グルコシドの結晶は、常法のカールフィッシャー法で水分測定を行ったところ、4.5乃至5.5質量%の水分を含有していたことから、その分子量比より、一含水結晶の形態にあることが判明した。
フロレチン−4−α−グルコシドを調製する上で、原料(糖転移反応の受容体)として用いるフロレチンの由来は問わず、有機合成によって得られるものであってもよいが、一般的には従来公知の果実の搾汁果汁又は抽出液から得られるものが好適に用いられる。また、フロレチンの配糖化は有機合成によっても行えるものの、有機合成では、水酸基の脱保護等の工程や分離、単離処理が煩雑であり、また、有機溶剤を用いるため危険物の取扱いや廃液の処理、環境負荷の問題など、種々の問題があることから、水系の反応が選択できる酵素反応により配糖化する方法が好ましい。ここで、フロレチンは水に不溶であるものの、フェノール性水酸基を有しているので、アルカリ性の水には比較的よく溶解し、アルカリ性条件下で酵素反応を実施することができる。ただし、強アルカリ性条件(例えば、pH9.0以上の強アルカリ性条件)のまま長時間(例えば、24時間以上)の反応を進めると、原料のフロレチンが分解し、配糖体の生成率の低下や、一旦生成した配糖体の分解などが生じる場合があるため、反応開始後1時間が経過した時点で、反応液のpHを弱アルカリ性(pH7.0以上9.0以下)に調整することが好ましい。
一方、糖転移反応における糖供与体としては、糖転移酵素を作用させたとき、フロレチンにグルコースが転移できるものであれば特に限定されず用いることができる。糖転移反応に用いる糖転移酵素の種類によっても異なるものの、α-グルコシダーゼを用いる場合には、マルトース、スクロース等の二糖、さらにはマルトオリゴ糖を用いるのが好適であり、また、α−アミラーゼやシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase)を用いる場合には、澱粉、澱粉部分分解物、デキストリン等を用いるのが好適である。
フロレチンにグルコースを転移する上で使用する糖転移酵素については、フロレチンに糖転移しフロレチン−4−α−グルコシドを生成させる活性を有する限り如何なる糖転移酵素も使用することができるものの、サーモモナス ハイドロサーマリス(Thermomonas hydrothermalis)由来のα−グルコシダーゼを用いるのが好適である。
反応に供するα−グルコシダーゼの酵素活性は、当分野で汎用されているp−ニトロフェニル−α−グルコシド(PNPG)分解活性を測定した。具体的には、終濃度0.5mMとなるようにPNPGを50mMのリン酸緩衝液(pH7.5)に溶解した基質溶液に酵素を添加し、40℃で30分間反応させ、30分後に200μLの反応液をサンプリングし、100mM炭酸ナトリウム水溶液400μLと混合することにより酵素反応を停止させ、反応によりPNPGから遊離したp−ニトロフェノールの量を420nmにおける吸光度を測定することにより定量した。ここで、α−グルコシダーゼ活性1単位は、本条件下で1分間に1μmolのp−ニトロフェノールを生成させる酵素量と定義した。
フロレチン配糖体の生成反応条件としては、受容体フロレチンをアルカリ水溶液に溶解し、糖供与体、糖転移酵素を加え、所定のpH、温度、時間で反応させ、酵素反応溶液を調製する。ここで、反応中のpHについては、反応開始後1時間経過した後に、塩酸水溶液にて弱アルカリ性にpHを下げることにより、原料と生成物である配糖体の分解を防ぐことがより好適である。
酵素反応により得られるフロレチン配糖体の精製方法としては、物理的、化学的な各種手法を用いることができるが、例えば、限外ろ過、pH調整による沈殿、溶媒抽出、活性炭もしくは合成吸着樹脂を用いたカラムクロマトグラフィー、分取HPLCなど種々の方法を用いることができる。精製の前処理として、未反応フロレチンを析出させ、反応液中に残る酵素とともに限外ろ過にて除去することも有利に実施できる。さらに、pH調整と溶媒抽出の後、分取HPLC、減圧濃縮等を適宜組合せることにより、高純度のフロレチン−4−α−グルコシドの精製標品を取得することができる。
上記の分取HPLCで得られたフロレチン−4−α−グルコシドの高純度な精製標品を適量の水に溶解し、低温下で静置することによりフロレチン−4−α−グルコシドの高純度精製標品の結晶が析出する。析出した結晶は、ろ過、遠心分離など通常の固液分離法により回収することができる。ここで、結晶を析出させる操作において添加する水は特に限定されないものの、斯界で汎用されているイオン交換水もしくは蒸留水が好適に使用できる。
このため、本発明者らが創製した新規なフロレチン−4−α−グルコシドの結晶を構成素材として用いて組成物を調製する場合には、使用時までの安定性を確保できるとともに、水溶性も向上していることから、配合時の調整及び、取り扱い時の利便性も高まり、これまで以上に飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬品等の構成素材として好適に用いることができる。
飲食品の用途としては、通常の飲食品のほか、特定保健用食品等の特別用途食品や栄養機能食品などであってもよく、例えば、栄養補助食品(錠剤形態のサプリメントなど)、清涼飲料水、ヨーグルト、ゼリー、キャンディ、パン、ビスケット、クラッカー、ピッツァクラスト、バターケーキ、アイスクリーム、グミ、ガムなどの菓子、パン類、流動食、病者用食品等を挙げることができる。飲料については、特に限定されないが、容器詰飲料とすることができ、アルコールが添加されてアルコール飲料として構成されていてもよい。さらに、ヒトのための飲食品等に限らず、例えば、家畜、ペットのための飼料、餌料に添加してもよい。
化粧品用途としては、皮膚からの吸収率が高く、肌のたるみと密接な関係のある皮膚の糖化を未然に防ぐ効果、並びに、コラーゲンを破壊するマトリックス分解酵素を阻害する効果を有するとされるフロレチンを配糖化することにより、水溶性を大幅に向上することができ、組成物を配合、調製する際に配合量の自由度が増した本発明のフロレチン−4−α−グルコシドの結晶は、クリーム、軟膏、乳液、ローション、化粧水、ジェル、ムース、パック、又は浴用剤などの様々な形態に調合することができる。
医薬品用途としては、薬剤用担体、賦形剤等を用いて通常使用されている方法により液剤、注射剤、軟膏剤等に調製することができる。投与は、一般的には、塗布、噴霧等により行われるが、本剤が有効に作用する限り静注等他の方法により行ってもよい。投与量は投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。また、本発明のフロレチン−4−α−グルコシドの結晶を有効成分として、賦型剤、結合剤、安定剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、懸濁剤、コーティング剤、その他の任意の成分と適宜混合して定法に従い製剤化することができる。剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、シロップ剤等を挙げることができる。
以下、実験により本発明を詳細に説明する。
<実験1:糖転移能を有する酵素の選定>
まず、フロレチンを受容体とし、マルトースを糖供与体として用い、これに各種酵素を作用させ、反応液中にフロレチン配糖体が生成するか否かを調べることによりフロレチン配糖化能を有する酵素のスクリーニングを行った。
<酵素スクリーニングの条件>
フロレチン(東京化成工業株式会社販売)をジメチルスルホキシドに濃度10質量%になるよう溶解して調製した受容体溶液10μLをマイクロチューブに分注した。次いで、それぞれのマイクロチューブに、マルトース(商品名『サンマルトS』(登録商標)、株式会社林原販売)をジメチルスルホキシドに濃度10質量%になるよう溶解した糖供与体溶液90μLを加え、それぞれ計100μLの基質溶液とした。これら基質溶液に、さらに、自社で調製した酵素標品又は市販の酵素剤(約80種)をそれぞれ任意濃度含んだ水溶液2.5μLを加えた後、40℃の恒温槽(シェイキングインキュベータ BT100、ヤマト科学株式会社販売)に漬け、pH6.8の条件下で24時間反応させた。得られた各反応液を下記条件のTLC(Thin−Layer Chromatography)分析(以下、「TLC分析」と略称する。)に供し、フロレチンを配糖化する能力を有する酵素を検索した。
<TLC分析の条件>
TLCプレート:「TLCシリカゲル60F254」(メルク社販売)
展開条件:1−ブタノール:酢酸:水=3:1:1(容積比)、上昇法 1回展開
検出条件:展開後のTLCプレートに、リンモリブデン酸5gをエタノール100mLに溶解し、更に、20質量%硫酸−エタノール溶液2mLを添加した溶液を噴霧し、120℃のオーブンで5分間加熱した。
TLC分析において、原料のフロレチンのスポットとは異なる新たなスポット(原点付近の原料スポットの上部に新たに出現する配糖化生成物)を示した酵素反応液6種を『配糖化能あり』と判定し、さらなる検討に供した。
前記6種類の酵素のうち、高い配糖化率を示す酵素を調べるためにHPLC分析を行った。HPLCクロマトグラムにおける全ピーク面積中に占めるフロレチン以外の生成物のピーク面積(すなわち「配糖化率」)を測定したところ、サーモモナス ハイドロサーマリス ATCC BAA−470株由来のα−グルコシダーゼ標品(株式会社林原調製品)を作用させた酵素反応液が、最も高い配糖化率を示したことから当該酵素をフロレチンの配糖化酵素として選択した。
因みに、サーモモナス ハイドロサーマリス ATCC BAA−470株からのα−グルコシダーゼ標品の調製は以下のようにして行った。すなわち、凍結保存したサーモモナス ハイドロサーマリス ATCC BAA−470株の菌体ペレット22.5gに、10mMの酢酸バッファー(pH6.0)を680mL、3%(v/v)t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノールを含有した10mM酢酸バッファー(pH6.0)を120mL加え、凍結融解を行い、200mLずつに分け、それぞれ超音波破砕機(QSONICA Q700、ワケンビーテック株式会社販売)にて菌体を破砕した。得られた菌体破砕液を微量高速冷却遠心機(MX−105、株式会社トミー精工販売)にて10,000rpm、40分遠心分離し、上清を回収した。回収した上清は0.22μmのフィルターろ過を行い酵素液とした。この回収した上清(酵素液)にα−グルコシダーゼが含まれていることの確認は後述するp−ニトロフェノール−α−グルコシドに当該酵素液を作用させ、遊離したp−ニトロフェノールの呈色(PNPG法)により、活性を有していることを確認することによって行った。
サーモモナス ハイドロサーマリス ATCC BAA−470株由来のα−グルコシダーゼ標品を作用させた反応液のHPLCクロマトグラムを図1に示した。
<HPLC条件>
液送ユニット:「LC−20AD」(株式会社島津製作所販売)
カラム:「CAPCELL PAK C18 UG120」
(φ4.6mmx250mm、株式会社資生堂販売)
デガッサー:「DGU−20A3」(株式会社島津製作所販売)
移動相:0.01%酢酸水溶液:アセトニトリル=3:1(容積比)
カラム温度:40℃
流速:0.4mL/分
検出:UV検出器「SPD−20A」(株式会社島津製作所販売)
検出波長:UV280nm
データ処理装置:「クロマトパック C−R7A」(株式会社島津製作所販売)
図1に見られるとおり、未反応フロレチン(原料)は保持時間50.8分と53.0分に溶出する。ここで、フロレチンの何れか1箇所もしくは複数の水酸基に配糖化したと考えられる、原料ピークを除く全てのピークを何らかの配糖体と見なし、その割合は、全ピーク面積に占める全配糖体のピーク面積(すなわち配糖化率)は、38.0%であった。
<実験2:酵素反応条件の検討>
実製造を想定して酵素反応時にジメチルスルホキシドを使用せず、水系での酵素反応が進行する条件を検討した。ここで、フロレチンはフェノール性水酸基を有するため、アルカリ性条件下で水に溶解し易くなることから、一旦、アルカリ性の水に溶解させ、酵素反応時のpHを検討すると同時に、反応温度、反応時間についても検討を行った。また、至適酵素量を決定するために、反応に供する酵素であるサーモモナス ハイドロサーマリス ATCC BAA−470株由来のα−グルコシダーゼの酵素活性を測定した。
酵素活性測定は以下のようにして行った。すなわち、250mMのリン酸ナトリウム緩衝液400μL(pH7.5)、脱イオン水1,400μL、10mMのp−ニトロフェニル−α−グルコシド水溶液100μL(和光純薬株式会社販売)、及びサーモモナス ハイドロサーマリス ATCC BAA−470株の菌体破砕液を遠心分離して得た上清を濾過した上記酵素液100μLをマイクロチューブに計量混合し、40℃の恒温槽(サーモメイト BF−400、ヤマト科学株式会社販売)にて反応を行った。
上記酵素反応において、30秒、及び、30分30秒にそれぞれ200μLの反応液をサンプリングし、100mM炭酸ナトリウム水溶液400μLを混合して酵素反応を停止させ、420nmにおける吸光度(p−ニトロフェノールの呈色)を分光光度計(UV−1800、株式会社島津製作所販売)にて測定し、α−グルコシダーゼ活性を求めた。本実験で使用したサーモモナス ハイドロサーマリス由来のα−グルコシダーゼ標品の酵素活性は2.35U/mLであった。
反応条件の検討としては、例えば、反応開始時のpHとして5Nの水酸化ナトリウム水溶液を数滴加えることにより、3系統(pH8.0、8.8、9.8)、反応温度として4系統(35、40、45、50℃)、反応時間として4系統(2、4、24、48時間)、酵素作用量として4系統(0.5、1、2、6単位(U))を添加する条件について検討を行った。各反応系の配糖化率については、実験1の測定条件と同じHPLC分析にて、反応開始時のフロレチンピーク面積とサンプル採取時点の配糖体ピーク面積から、配糖体の生成率を算出することにより判断した。
上記検討の結果、弱アルカリ性条件下(pH8.0乃至8.8)では、長時間の反応でも原料のフロレチンや生成物(配糖体)の分解は認められなかったが、強アルカリ性条件下(pH9.8)での長時間反応(24時間以上)においては、フロレチンの分解が生じ、配糖化率の低下が認められたため、最終的な配糖化反応の条件としては、受容体2質量%、糖供与体10質量%、及び糖供与体1gに対してα−グルコシダーゼ6単位(U)を加え、温度35℃にて4時間反応を行うこととした。ただし、反応時のpHについては、強アルカリ性(pH9.8)にて反応を開始し、反応開始1時間後に弱アルカリ性(pH8.0乃至8.8)に低下させることとした。
<実験3:フロレチン配糖体の標品調製>
<実験3−1:フロレチン配糖体の調製>
まず、イオン交換水476mLに糖供与体であるマルトース80g(商品名『サンマルトS』(登録商標)株式会社林原販売)を溶解し、次に受容体であるフロレチン16g(HPLC純度95%、Guilin Layn Natural Corp.販売)を加え懸濁させた後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を24mL加えてpH9.8に調整しフロレチンを溶解させた。次いで、上記のようにして調製したサーモモナス ハイドロサーマリス ATCC BAA−470株由来のα−グルコシダーゼ酵素液(酵素活性2.35U/mL、株式会社林原調製品)を糖供与体1g当たり6単位となるように204mL加えて、35℃で攪拌下反応を開始した。反応開始1時間後に6Nの塩酸を4.8mL加え、pH8.5乃至8.7に調整し、さらに反応温度35℃にて3時間反応を行った。その後、煮沸により酵素を失活させ反応停止した後、後述する精製に供した。
<実験3−2:フロレチン配糖体の部分精製>
実験3−1で調製した酵素反応液は、以下に述べるように、酢酸エチルを用いた分配抽出に供し、フロレチン配糖体の部分精製を行った。
酵素反応液(約800mL)に対して等量の酢酸エチルにて5回分配抽出を行った。ここで、未反応の原料として酵素反応液中に残るフロレチンを有機層に移動させ除去した。一方、フロレチン配糖体は水層に残る。この分液した水層に6Nの塩酸水を加えpH4以下の酸性とした後、再度、酢酸エチルにて抽出し、フロレチン配糖体を有機層から回収した。この回収液を減圧溜去、減圧乾燥し、フロレチン配糖体の部分精製標品3.4gを取得した。得られたフロレチン配糖体の部分精製標品の純度は、実験4と同一の条件にてHPLCを用いて分析したところ、62.8質量%であった。
<3−3:フロレチン配糖体の精製>
上記の部分精製標品全量を下記条件による分取HPLCに供し精製した。すなわち、部分精製標品を分取HPLCで移動相に用いる溶媒にて10%(w/v)になるよう溶解し、2回に分けて下記条件による分取HPLCに供し、波長280nmの吸光度を指標にフロレチン配糖体画分を回収した。さらに、回収画分を減圧濃縮することによりフロレチン配糖体の精製標品2.0gを得た。
<分取HPLC条件>
装置:「GX271 Liquid Handler」(ギルソン社販売)
ポンプ:「306 Pump」(ギルソン社販売)
カラム:「YMC−Pack ODS−AQ S−15」
(φ50mmx500mm、株式会社ワイエムシィ販売)
移動相:0.01質量%ギ酸アンモニウム水溶液:アセトニトリル=3:1(容積比)
カラム温度:40℃
流速:10mL/分
検出器:「UV/VIS−151」(ギルソン社販売)
検出波長:UV280nm
<実験4:フロレチン配糖体精製標品の純度及び配糖体の構造解析>
(1)HPLC分析
実験3−3で得たフロレチン配糖体の精製標品の純度を、流速を0.8mL/分にした以外は実験1と同一の条件にてHPLCを用いて分析した。HPLCクロマトグラムを図2に示した。図2に見られるとおり、保持時間8.5分付近に目的とするフロレチン配糖体のピークが認められ、原料であるフロレチンのピーク並びに副生配糖体のピークは痕跡程度しか認められなかった。今回取得した精製標品の純度は99.0%であった。
実験3−3で得たフロレチン配糖体の精製標品を用いて、以下に示す物性測定を実施した。
(2)H−NMR分析
実検3−3で得たフロレチン配糖体の構造を明らかにするため、フロレチン配糖体精製標品を試料としてH−NMRスペクトルを測定した。
H−NMR分析条件>
装置:「JNM−AL−300FT−NMR 300MHz」
(日本電子株式会社販売)
解析ソフト:「JEOL Delta NMR Software
v.5.0.4.3」
測定溶媒:ジメチルスルホキシド−d
積算回数:8回
フロレチン配糖体のH−NMRスペクトルを図3に示した(図3−(a))。また、プロトンピークを帰属する上で参考としたフロレチンのH−NMRスペクトルも併せて示した(図3−(b))。
フロレチンは4個のフェノール性水酸基(OH基)を有しており、それらは
4位のOH基による1プロトン:9.1ppm、4´位のOH基による1プロトン:10.3ppm、及び2´位と6´位の等価なOH基による2プロトン:12.2ppmとして確認される。一方、フロレチン配糖体については、フロレチンの4位のOH基ピークに相当する9.1ppmのプロトンのピークが消失していた。また、3.4〜5.7ppm付近にグルコース由来のプロトンのピークを確認した。したがって、今回得たフロレチン配糖体におけるグルコースの結合位置はフロレチンの4位のOH基であることが判明した。また、上記のフロレチン配糖体にα−グルコシダーゼを作用させたところ、グルコースの脱離が認められ、フロレチン単体が確認された。以上の結果から、フロレチン配糖体をフロレチンの4位にグルコースがα結合した、フロレチン−4−α−グルコシド(分子量:436.14)であると決定した。以下にその構造を示す(化学式3)。
化学式3
<実験5:フロレチン−4−α−グルコシド結晶の調製>
実験3−3で得たフロレチン−4−α−グルコシドの精製標品1gを室温下にて水5mL加え溶解させた後、冷蔵保管10℃以下にて20時間保持したところ結晶が析出した。結晶懸濁液を吸引ろ過することにより晶出した結晶を回収し、冷水にて洗浄した後、減圧乾燥し、フロレチン−4−α−グルコシドの白色結晶0.6gを得た。
<実験6:フロレチン−4−α−グルコシド結晶の物性>
<実験6−1:光学顕微鏡観察>
実験5で得たフロレチン−4−α−グルコシドの結晶について、倒立型顕微鏡(「TMS−F型」、日本分光工業株式会社販売)を用いて撮影した光学顕微鏡写真(倍率1,000倍)を図4に示した。図4に見られるとおり、フロレチン−4−α−グルコシドの結晶は、針状結晶であった。
<実験6−2:粉末X線回折>
実験5で得たフロレチン−4−α−グルコシドの結晶について、下記の条件により粉末X線回折パターンを測定した。得られた粉末X線回折パターンを図5に示した。
<粉末X線回折パターンの測定条件>
装置:「X’Pert PRO MPD」(スペクトリス株式会社販売)
入射X線:CuΚα
波長:1.5405Å
出力:45kV、40mA
検出器:半導体アレイ検出器
検出器:「X’Celerator PW3015/20」
(スペクトリス株式会社販売)
測定温度:室温
フロレチン−4−α−グルコシド結晶の粉末X線回折パターンを図5に示す。フロレチン−4−α−グルコシドの結晶は、回折角(2θ)4.3°、9.7°、14.4°及び21.5°に特徴的な回折ピーク(それぞれ、図4の符号a、b、c、及び、d)を示した。
<実験6−3:熱重量示差熱分析(TG/DTA分析)>
実験5で得たフロレチン−4−α−グルコシド結晶の熱重量示差熱分析を、下記条件にて行った。
<TG/DTA分析条件>
装置:「TGDTA6200R」(セイコーインスツルメンツ販売)
解析ソフト:「HITACHI熱分析ソフトウェア TA7000」
サンプル昇温速度:30〜550℃、10℃/分、窒素ガス気流下
熱重量示差熱分析より、実験5で得たフロレチン−4−α−グルコシド結晶の分解温度は、253.8℃であることが判った。
<実験6−4:示差走査熱量分析(DSC分析)>
実験5で得たフロレチン−4−α−グルコシド結晶の示差走査熱量分析を、以下の条件にて測定を行った。示差走査熱量分析の曲線図を図6に示した。
<DSC分析条件>
装置:「DSC Q20」(TA Instruments販売)
解析ソフト:「TA Universal Analysis」
サンプル昇温速度:30〜300℃、5℃/分
図6に見られるとおり、102.6℃と188.9℃にそれぞれ88.8J/gと48.0J/gの吸熱量ピークを確認した。上述の実験6−3で確認した熱重量示差熱分析(TG/DTA分析)による分解温度が253.8℃であることから、これら2つの急峻な吸熱ピークは、それぞれ異なる状態で結晶に含まれている水分が気化するピークに相当すると考えられた。
<実験6−5:水分測定>
実験5で得たフロレチン−4−α−グルコシド結晶について、常法に従いカールフィッシャー法により水分測定したところ、含水量が5.0質量%であった。この水分含量は、分子量より、フロレチン−4−α−グルコシド1モルに対し1.3モルに相当することから、フロレチン−4−α−グルコシド結晶は一含水結晶であると考えられた。
<実験6−6:フロレチン−4−α−グルコシド結晶の水への溶解性>
フロレチンが水に対してほとんど溶解しないのに対し、実験5で得たフロレチン−4−α−グルコシド結晶は、脱イオン水100mLを室温(25℃)攪拌下、これにフロレチン−4−α−グルコシドの結晶20mgを秤量し、添加したところ完溶することを確認した。一方、フロリジン(フロレチン−2´−β−グルコシド)結晶については、同一の条件では完溶することなく、さらに5倍希釈しても溶け残りが確認された。したがって、実験5−1で得たフロレチン−4−α−グルコシドの結晶は、フロリジン(フロレチン−2´−β−グルコシド)結晶に比べ5倍以上の溶解性向上が認められた。
<実験6−7:フロレチン−4−α−グルコシド結晶の安定性試験>
実験5で得たフロレチン−4−α−グルコシドの結晶と、実検3−3で得たフロレチン−4−α−グルコシド精製標品の水溶液を凍結乾燥することにより調製したフロレチン−4−α−グルコシドのアモルファス粉末との安定性を比較した。すなわち、それぞれの試料を40℃、相対湿度80%の条件下で72時間静置し、目視にて外観の変化を比較した。すると、フロレチン−4−α−グルコシドの結晶に外観の変化は認められなかったが、アモルファス粉末には褐色の着色が認められた。
この時、目視にて着色が認められたフロレチン−4−α−グルコシドのアモルファス粉末をHPLC分析に供したところ、前記安定性試験の前に行ったHPLC分析におけるクロマトグラムと比べて、フロレチン配糖体のピーク面積が3乃至5%減少していることを確認した。
したがって、本発明の新規なフロレチン−4−α−グルコシドの結晶は、アモルファス粉末より安定で、着色しにくいことが判明した。
以上より、本発明の新規なフロレチン−4−α−グルコシドの結晶の特徴としては、室温下で湿度の影響を受けることなく、保存安定性に優れ、さらに着色することもなく、公知のフロリジンよりも水溶性が高いことである。
よって、本発明の新規なフロレチン−4−α−グルコシドの結晶は、飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬品等の素材として有利に用いることができる。
以下、実施例によりさらに詳細に本発明を説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
<乳液>
常法により下記(1)〜(9)を混合し加熱溶解した後、(10)〜(13)を加えホモジナイザーにて乳化し、更に適量の香料を加えて撹拌混合することにより乳液を製造した。
配合成分 質量部
(1) ポリオキシエチレンベヘニルエーテル 0.5
(2) テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール 1.0
(3) 親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0
(4) ピルビン酸 0.5
(5) ベヘニルアルコール 0.5
(6) アボガド油 1.0
(7) 実験5の方法で得たフロレチン−4−α−グルコシドの結晶
1.0
(8) ビタミンE 適 量
(9) 防腐剤 適 量
(10) L−乳酸ナトリウム 1.0
(11) 1,3−ブチレングリコール 5.0
(12) カルボキシビニルポリマー 0.1
(13) 精製水 85.3
本乳液は、フロレチン−4−α−グルコシドを含んでおり、当該配糖体は生体内のグルコシターゼにより分解され、フロレチンが徐放されるので、フリーラジカルの発生やDNAへのダメージを防ぐ効果や、アンチエイジング効果が期待できる。また、本乳液は、上記の理由により、肌のたるみと密接な関係のある皮膚の糖化を未然に防ぐ効果、並びに、コラーゲンを破壊するマトリックス分解酵素を阻害する効果を有することから、化粧品用途の抗シワ剤、美肌剤として有利に利用できる。
<経管(糖尿病)治療剤>
下記成分を下記配合に基づき混合して常法により経管(糖尿病)治療剤を調製し、24gずつをラミネートアルミ製小袋に充填し、ヒートシールした。
配合成分 質量部
(1) 結晶性α−マルトース 20.0
(2) グリシン 1.1
(3) グルタミン酸ナトリウム 0.18
(4) 食塩 1.2
(5) クエン酸 1.0
(6) 乳酸カルシウム 0.4
(7) 炭酸マグネシウム 0.1
(8) 実験5の方法で得たフロレチン−4−α−グルコシドの結晶
0.1
(9) チアミン 0.01
(10) リボフラビン 0.01
本経管(糖尿病)治療剤は、フロレチン−4−α−グルコシドを含んでおり、これを生体に適用する場合、フロレチンよりも水溶性や安定性に優れる効果が期待でき、腸管及び腎臓の絨毛膜に存在するナトリウム−グルコース共輸送体を阻害することにより、腸管でのグルコースの吸収ならびに腎臓でのグルコースの再吸収を阻害し、血糖を降下させる効果が期待できることから、経管(糖尿病)治療剤並びに予防剤として、一袋を約300mL乃至500mLの水に溶解し、経管方法により鼻腔、胃、腸などへの経口的又は非経口的経管(糖尿病)治療剤としても有利に利用できる。
<錠剤>
下記の成分を下記配合に基づき均一に混合した後、常法に従って打錠し、一錠150mgの錠剤を製造した。
配合成分 質量部
(1) 実験5の方法で得たフロレチン−4−α−グルコシドの結晶
20.0
(2) 結晶性β−マルトース 13.0
(3) コーンスターチ 4.0
(4) ルチン(ビタミンP) 1.0
(5) リボフラビン(ビタミンB2) 0.5
本錠剤は、フロレチン−4−α−グルコシドを含んでおり、これを生体に適用する場合、フロレチンよりも水溶性や安定性に優れる効果が期待でき、また、その他有効成分としてルチン(ビタミンP)、リボフラビン(ビタミンB2)を配合したことにより、複合ビタミン剤、又は、栄養補給剤として有利に利用できる。また、その他有効成分としては、ビタミンA、ビタミンC等を配合することもできる。
<カプセル剤>
下記成分(1)〜(5)を下記配合にて均一に混合し、顆粒成形機にかけて顆粒とした後、常法に従って、ゼラチンカプセルに封入して、カプセル1個当たり150mg入のカプセル剤を製造した。
配合成分 質量部
(1) 酢酸カルシウム・一水和物 10.0
(2) L−乳酸マグネシウム・三水和物 50.0
(3) マルトース 57.0
(4) 実験5の方法で得たフロレチン−4−α−グルコシドの結晶
20.0
(5) エイコサペンタエン酸20%含有
γ−シクロデキストリン包接化合物 12.0
本カプセル剤は、フロレチン−4−α−グルコシドを含んでおり、これを生体に適用する場合、生体内のグルコシターゼにより分解され、アグリコン(フロレチン)が徐放されることにより、フロレチンの有する生理活性が持続する効果が期待でき、血中コレステロール低下剤、美肌剤、健康増進用食品などとして安定性もよく、飲み易いカプセル剤として有利に利用できる。
本発明のフロレチン−4−α−グルコシドの結晶は、保存安定性に優れた結晶として取り扱えるため、安定性が保持できるとともに、水溶性も有しており、各用途分野での組成物の構成素材としても取り扱いの利便性が高まることから、本発明は、斯くも顕著な作用効果を奏する発明であり、斯界に多大の貢献をする、誠に意義のある発明である。
図5において、
↓:フロレチン−4−α−グルコシド結晶の粉末X線回折パターンにおける特徴的な4つの回折ピーク
a:回折角(2θ) 4.3°の回折ピーク
b:回折角(2θ) 9.7°の回折ピーク
c:回折角(2θ)14.4°の回折ピーク
d:回折角(2θ)21.5°の回折ピーク

Claims (5)

  1. フロレチン−4−α−グルコシドの結晶。
  2. 粉末X線回折において、少なくとも、回折角(2θ)4.3°、9.7°、14.4°、及び、21.5°に回折ピークを示す請求項1記載のフロレチン−4−α−グルコシドの結晶。
  3. 一含水結晶の形態にある請求項1又は2記載のフロレチン−4−α−グルコシドの結晶。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のフロレチン−4−α−グルコシドの結晶を含む組成物。
  5. 請求項4記載の組成物を含んでなる飲食品、化粧品、医薬部外品、又は、医薬品。
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