本開示の様々な実施形態をこれより詳細に参照していく。これらの実施形態の1つ又は複数の実施例が図面に示されている。図面についての以下の説明の中で、同じ参照番号は、同じ構成要素を表している。下記において、個々の実施形態に関する違いのみが説明される。各実施例は、本開示の説明のために提供されており、本開示の限定が意図されているわけではない。さらに、ある実施形態の一部として図示且つ説明されている特徴は、他の実施形態において用いてもよく、又は、他の実施形態と共に用いてもよく、それにより、さらに別の実施形態が生じる。本記載は、このような修正例及び変形例を含むことが意図されている。
本明細書に記載された実施形態は、特に、例えば、OLEDディスプレイ製造用の、大面積基板上での、有機材料の堆積に関する。幾つかの実施形態によれば、大面積基板、或いは、1つ又は複数の基板を支持するキャリア、すなわち、大面積キャリアは、少なくとも0.174m2のサイズを有し得る。典型的には、キャリアのサイズは、約1.4m2から約8m2、より典型的には、約2m2から約9m2、又は最大12m2となることがある。典型的には、基板が支持される長方形領域であって、本明細書に記載された実施形態に係る保持構成体、装置、及び方法の提供の対象である長方形領域は、本明細書に記載されたように、大面積基板用のサイズを有するキャリアである。例えば、単一の大面積基板の面積に対応するであろう大面積キャリアは、約1.4m2の基板(1.1m×1.3m)に対応するGEN5、約4.29m2の基板(1.95m×2.2m)に対応するGEN7.5、約5.7m2の基板(2.2m×2.5m)に対応するGEN8.5、又は約8.7m2の基板(2.85m×3.05m)に対応するGEN10であり得る。GEN11及びGEN12などのさらに次の世代及びそれに相当する基板領域を同様に実装することができる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、基板の厚さは、0.1から1.8mmであり得、保持構成体、特に保持デバイスは、このような基板の厚さに適合し得る。しかしながら、特に基板の厚さは、約0.9mm以下(0.5mm又は0,3mm等)であり得、保持構成体、特に保持デバイスは、このような基板の厚さに適合される。
本明細書で使用される「基板」という用語は、例えば、ウエハ、サファイアなどの透明結晶体の薄片、又はガラスプレートといった、実質的に非フレキシブルな基板を特に包含し得る。しかしながら、本開示は、これらに限定されず、「基板」という用語は、例えば、ウェブ又はホイル等のフレキシブル基板も包含し得る。「実質的に非フレキシブル」という表現は、「フレキシブル」とは区別して理解される。具体的には、例えば、0.5mm以下の厚さを有するガラスプレートのように、実質的に非フレキシブルな基板はある程度の可撓性を有し得るが、実質的に非フレキシブルな基板の可撓性は、フレキシブル基板と比べて低い。
本明細書に記載された実施形態によれば、基板は、材料堆積に適した任意の材料から作られ得る。例えば、基板は、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス等)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、又は堆積プロセスによってコーティングされ得る任意の他の材料若しくは材料の組合せからなる群から選択された材料から作られ得る。
図1Aは、デバイス、特に有機材料をその中に含むデバイスを製造するための処理システム100を示す。例えば、デバイスは、光電子デバイス及び特にディスプレイなどの、電子デバイス又は半導体デバイスであり得る。具体的には、本明細書に記載された処理システムは、基板上に層を堆積する間の改善されたキャリアハンドリング及び/又はマスクハンドリングのために構成される。これらの改善は、OLEDデバイス製造において有益に利用され得る。しかしながら、本明細書に記載された様々なシステムモジュール(チャンバとも呼ばれる)の配置の概念によってもたされたキャリアハンドリング及び/又はマスクハンドリングの改善は、他の基板処理システム、例えば、蒸発源、スパッタ源、特に、回転式スパッタターゲット、PECVD堆積源などのCVD堆積源、又はこれらの組み合わせを含む基板処理システムのためにも利用され得る。本開示の実施形態は、特に大面積基板を処理するための製造システムに関する。この製造システムは、OLED製造システムに関して説明される。なぜなら、これらのOLED製造システムが本明細書に記載された概念から特に益を得るからである。
より具体的には、本明細書に記載された処理システム100は、蒸発堆積方法の実行のために構成される。蒸発堆積方法は、コーティング材料が、真空制御環境内で蒸発して、冷たい表面上で凝縮するという原理に基づいている。蒸発材料の沸点に達することなく十分な蒸発を達成するために、蒸発処理は真空環境で行われる。蒸発堆積の原理は、通常、3つの段階を含む。第1の段階は、蒸発段階である。この段階では、蒸発する材料がるつぼ内で動作温度まで加熱される。材料をるつぼから基板へと動かすのに十分な蒸気圧を生成するよう動作温度が設定される。第2の段階は、搬送段階である。この段階では、蒸気の均一な層を基板上に供給するために、蒸気が、例えば、ノズルを備えた水蒸気分配管を通して、るつぼから基板上へと移動させられる。第3の段階は、凝縮段階である。この段階では、基板の表面は、蒸発した材料より低い温度を有し、これにより、蒸発した材料が基板に付着することが可能になる。
図1を例示的に参照すると、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、処理システムは、真空スイングモジュール130、基板キャリアモジュール220、ルーティングモジュール410、処理モジュール510、サービスモジュール610、マスクキャリアローダ310、マスクキャリアマガジン320、及び搬送システム710を含み得る。通常、使用される基板キャリアが格納される基板キャリアローダ210は、基板キャリアモジュール220に接続される。同様に、マスクキャリアマガジン320は、基板の処理中に使用されるよう意図されているマスクを格納するように構成されている。幾つかの実施形態では、処理システムのルーティングモジュールは、図1Aに例示されているように、互いに直接接続されてもよい。代替的に、処理システムの隣接するルーティングモジュールは、図1Bに例示するように、移送モジュール415を介して接続され得る。言い換えると、典型的に、真空移送チャンバを含む移送モジュール415は、隣接するルーティングモジュール同士の間に実装され得る。したがって、典型的に、移送モジュールは、真空移送チャンバの内部に真空条件をもたらすよう構成されている。さらに、図1Bで概略的に示されているように、搬送システム710、具体的には、図11Aから図11Dを参照してより詳細に説明されるような、キャリアアセンブリの無接触の浮揚及び搬送のための搬送装置は、移送モジュール415内に設けられ得る。さらに、移送モジュール415は、クライオポンプ(cryo−pump)用のゲートバルブ、クライオポンプ用の接続フランジ、及びルーティングモジュールを接続するための接続フランジ(ここでは移送フランジとも呼ばれる)を含み得る。典型的に、移送フランジは、接続される処理モジュールに対して真空気密接続をもたらすよう適合されたフレーム及び密封面を含む。幾つかの実施形態では、移送モジュール415は、移送モジュールの内部にアクセスをもたらすよう構成されたアクセスドアを含み得る。これは、例えば、メンテナンスサービスのためのものである。
図1A及び図1Bを例示的に参照すると、本明細書に記載された処理システムは、ディスプレイデバイス、具体的には、OLEDの生産に使用され得る。本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、処理システム100は、基板の処理を真空条件下で行うことができるようなものである。基板は、真空スイングモジュール130、具体的には、第1の真空スイングモジュール131内にロードされる。マスク及び基板キャリアローダは、処理システム内で使用され得るすべてのキャリア(例えば、マスクキャリア及び基板キャリア)を格納する。ルーティングモジュール410は、適用可能な処理モジュール内でマスク及び基板キャリアを送る。処理された後、基板は、さらなる真空スイングモジュール132によって、処理システムからアンロードされ得る。代替的に、基板は、同じ真空スイングモジュール、例えば、第1の真空スイングモジュール131によって、処理システムにロードされたり、処理システムからアンロードされたりし得る。したがって、基板、具体的には、基板を有する基板キャリアは、ループトラック上で搬送され得る。それにより、同じ真空スイングモジュールへのアンロードのために基板が戻される。このモジュールは、基板を処理システムにロードするために使用されたものである。
より具体的には、図1Aを例示的に参照すると、幾つかの実施形態によれば、処理システム100は、第1の基板ハンドリングチャンバ121に接続されるロードロックチャンバ110を含み得る。基板は、第1の基板ハンドリングチャンバ121から第1の真空スイングモジュール131まで移送させられ得る。この場合、基板は、キャリア上の水平位置でロードされる。キャリア上に基板を水平位置でロードした後、第1の真空スイングモジュール131は、基板が上部に設けられたキャリアを垂直又は実質的に垂直な配向に回転させる。次に、垂直配向の基板を処理モジュール510.に移送するために、基板が上部に設けられたキャリアは、第1のルーティングモジュール411及びさらなるルーティングモジュール412を通して移送される。例えば、図1では、6つのルーティングモジュールと10個の処理モジュールが示されている。
図1Aを例示的に参照すると、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の事前処理チャンバ111及び第2の事前処理チャンバ112が設けられ得る。さらに、ロボット(図示せず)又は別のハンドリングシステムが、基板ハンドリングチャンバ120内に設けられ得る。ロボット又は別のハンドリングシステムは、基板をロードロックチャンバ110から基板ハンドリングチャンバ120内にロードして、基板を事前処理チャンバのうちの1つ又は複数に移送することができる。例えば、事前処理チャンバは、基板のプラズマ事前処理、基板の洗浄、基板のUV及び/又はオゾン処理、基板のイオン源処理、基板のRF又はマイクロ波プラズマ処理、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択された事前処理のツールを含み得る。基板の事前処理の後、ロボット又は別のハンドリングシステムは、基板を事前処理チャンバから出して、基板ハンドリングチャンバを介して、真空スイングモジュール130の中へと移送し得る。
基板のロードのために、且つ/又は、大気条件下で基板ハンドリングチャンバ120内の基板を取り扱うために、ロードロックチャンバ110の排気を可能にするため、少なくとも1つのゲートバルブが、基板ハンドリングチャンバ120と真空スイングモジュール130との間に設けられ得る。したがって、ゲートバルブ115が開かれて基板が第1の真空スイングモジュール131内に移送される前に、基板ハンドリングチャンバ120と、所望される場合、ロードロックチャンバ110、第1の事前処理チャンバ111、及び第2の事前処理チャンバ112のうちの1つ又は複数とが排気され得る。したがって、基板が第1の真空スイングモジュール131内にロードされる前に、大気条件下で基板のロード、処理、及び加工が行われ得る。
諸実施形態によると、典型的に、処理モジュール510は、ルーティングモジュール410に接続され得る。例えば、図1Aに例示的に示すように、10個の処理モジュールが設けられてもよく、それぞれルーティングモジュールのうちの1つに接続される。具体的には、処理モジュール510は、例えば、ゲートバルブ115を介して、ルーティングモジュール410に接続され得る。本明細書に記載されたゲートバルブ115は、ロックバルブとも呼ばれ得る。本明細書に記載された実施形態によれば、ゲートバルブ又はロックバルブは、個々の処理システムモジュール(処理システムチャンバとも呼ばれる)を互いから分離するために使用され得る。したがって、本明細書に記載された処理システムは、個々の処理システムチャンバ内の真空圧力を、別々に且つ互いから独立させて、制御し、変化させることができるよう構成される。
幾つかの実施形態では、処理システムは、層検査チャンバ(図示せず)をさらに含み得る。例えば、電子層検査ツール及び/又はイオン層検査ツールなどの層検査ツールは、層検査チャンバ内に設けられ得る。例えば、処理システム内にもたらされた1つ又は複数の堆積動作又は処理動作の後に層検査を行うことができる。したがって、典型的に、層検査チャンバは、本明細書に記載されているように、処理モジュール又はルーティングモジュールに接続され得る。例えば、処理システムは、基板を内部に有するキャリアが、処理モジュールから層検査チャンバへと移動され得るように構成され得る。したがって、本明細書に記載された処理システムは、検査される基板は、処理システムに内部で、すなわち、基板を処理システムから取り除くことなく、検査され得る。したがって、有利には、本明細書に記載された処理システムは、オンライン層検査のために構成され得る。オンライン層検査は、堆積動作又は処理動作のうちの1つ又は複数の後に行われ得る。
幾つかの実施形態では、且つ図1Aに示すように、1つ又は複数のルーティングモジュール(ここでは回転モジュールとも呼ばれる)は、基板をある処理モジュールから別の処理モジュールへと搬送するためのインライン搬送システムを設けるためのラインに沿って設けられる。典型的に、図1Aに例示的に示すように、搬送システム710が、処理システム100内に設けられる。搬送システム710は、処理システム100の個々のモジュール又はチャンバ間で、通常、キャリアアセンブリによって支持されている処理対象基板を搬送且つ移送するように構成されている。例えば、搬送システム710は、第1の搬送トラック711及び第2の搬送トラック712を含み得、これらに沿って、基板又はマスクを支持するためのキャリアが搬送され得る。具体的には、搬送システム710は、図11Aから図11Eを参照してより詳しく説明されるように、無接触の浮揚及び搬送のための少なくとも1つの搬送装置を含み得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、搬送システム710は、図1Aに例示的に示すように、2つ以上のルーティングモジュールの内部に設けられたさらなるトラック713を含み得る。具体的には、さらなるトラック713は、キャリアリターントラックであってもよい。
典型的には、キャリアリターントラックは、第1の搬送トラック711と第2の搬送トラック712との間に設けられ得る。キャリアリターントラックは、図1Aに例示的に示すように、さらなる真空スイングモジュール132から第1の真空スイングモジュール131まで空のキャリアを戻すことを可能にする。したがって、空のキャリアは、真空条件下で戻すことができることを理解するべきである。真空条件下で、及び任意選択的に、制御された不活性雰囲気(例えば、Ar、N2、又はこれらの組み合わせ)下で、キャリアを戻すと、キャリアの周囲空気への露出が減る。湿気との接触を低減又は回避することができる。したがって、製造システム内でデバイスを製造する間、キャリアのガス放出を低減することができる。これにより、製造されたデバイスの品質を改善することができ、且つ/又は、時間を延長して洗浄することなく、キャリアを作動させることができる。
図1Aを例示的に参照すると、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、位置合わせシステム550は、処理モジュール510、具体的には、真空処理チャンバ540において設けられ得る。処理モジュール510のさらなる詳細は、図4Aから図4Eを参照して説明され、位置合わせシステム550のさらなる詳細は、図12B及び図12Cに関連して説明される。
典型的な実施形態によれば、サービスモジュール610(ここでメンテナンスモジュールとも呼ばれる)は、例えば、ゲートバルブ115を介して、処理モジュール510に接続され得る。典型的には、処理システムは、2つ以上のサービスモジュール、例えば、第1のサービスモジュール611及び少なくとも1つの第2のサービスモジュール612を含む。本明細書に記載されたように、サービスモジュールは、処理システム内での堆積源のメンテナンスを可能にする。サービスモジュールのさらなる詳細は、図8Aから図8Eに関連して説明される。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、図1A及び図1Bに例示的に示すように、処理システムは、基板キャリアローダ210、及び基板キャリアモジュール220を含み得る。例えば、基板キャリアモジュール220は、1つ又は複数の基板キャリアをバッファリングするように構成され得る。例えば、基板キャリアモジュール220は、第1の真空スイングモジュール131に接続された第1のルーティングモジュール411に接続され得る。追加的に又は代替的に、基板キャリアモジュール及び基板キャリアローダは、最後のルーティングモジュール、例えば、図1Aに示す6番目のルーティングモジュールに接続され得る。したがって、典型的に、基板キャリアモジュール220は、真空スイングモジュールのうちの1つに接続されるルーティングモジュールのうちの1つに接続され得る。基板が真空スイングモジュール内でロード且つアンロードされるので、基板キャリアモジュールを真空スイングモジュールの近くに設けることが有利である。典型的に、基板キャリアモジュール220は、1つ又は複数(例えば、5から30個)の基板キャリアの格納を与えるように構成されている。したがって、有利には、本明細書に記載された堆積の実施形態は、例えば、洗浄のようなメンテンアンスのために、基板キャリアを交換することができるように構成されている。
図1A及び図1Bを例示的に参照すると、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、処理システム100は、マスクキャリアローダ310(例えば、第1のマスクキャリアローダ311及び第2のマスクキャリアローダ312)、並びに様々なマスクをバッファリングするためのマスクキャリアマガジン320を含み得る。具体的には、マスクキャリアマガジン320は、特定の堆積ステップのために格納する必要がある交換マスク及び/又はマスクに格納を与えるように構成され得る。したがって、処理システム内で利用されるマスクは、洗浄などのメンテンアンス、又は、様々な堆積パターンのうちのいずれかのために交換され得る。典型的に、マスクキャリアマガジン320は、例えば、ゲートバルブ115を介して、ルーティングモジュール、例えば、図1Aに示すさらなるルーティングモジュールのうちの1つに接続され得る。したがって、マスクを大気圧に曝すことを避けることができるように、真空処理チャンバ及び/又はルーティングモジュールを排気せずに、マスクを交換することができる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、マスク洗浄チャンバ313が、図1Aに例示的に示すように、例えば、ゲートバルブ115を介して、マスクキャリアマガジン320に接続され得る。例えば、プラズマ洗浄ツールは、マスク洗浄チャンバ313内に設けられ得る。追加的に又は代替的には、図1Aに示すように、さらなるゲートバルブ115が、マスク洗浄チャンバ313において設けられ得る。このマスク洗浄チャンバ313を通して、洗浄されたマスクが処理システム100からアンロードされ得る。したがって、マスクを処理システム100からアンロードすることができ、排気する必要があるのはマスク洗浄チャンバ313のみである。マスクを製造システムからアンロードすることによって、製造システムがフルに動作している間に、マスク洗浄を外部で行うことができる。図1Aは、マスクキャリアマガジン320に隣接するマスク洗浄チャンバ313を示す。対応する又は類似する洗浄チャンバ(図示せず)をさらに基板キャリアモジュール220に隣接して設けてもよい。洗浄チャンバを基板キャリアモジュール220に隣接して設けることにより、処理システムの内部で基板キャリアが洗浄され得る。
基板の処理後、基板が載っている基板キャリアは、垂直配向で最後のルーティングモジュールからさらなる真空スイングモジュール132内に移送される。さらなる真空スイングモジュール132は、基板が載っているキャリアを垂直配向から水平配向に回転させる。その後、基板は、さらなる水平基板ハンドリングチャンバ内にアンロードされ得る。処理された基板は、ロードロックチャンバ110を通して、処理システム100からアンロードされ得る。追加的に又は代替的に、処理された基板は、図1Aに例示的に説明するように、さらなる真空スイングモジュール132に接続され得る薄膜封入チャンバ810内に封入され得る。1つ又は複数の薄膜封入チャンバは、封入装置を含み得る。堆積した層及び/又は処理された層、特にOLED材料は、堆積された且つ/又は処理された材料が周囲空気及び/又は大気条件に露出されないよう保護するため、処理された基板とさらなる基板との間で封入(すなわち、挟持)される。しかしながら、ガラス板、ポリマー板、又は金属板を用いた積層、或いは、カバーガラスのレーザ溶融などの他の封入方法が、代替的に、薄膜封入チャンバのうちの1つに設けられた封入装置によって適用され得る。
本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、幾つかのマスクキャリア及び基板キャリアを、同時に処理システムを通して動かすことができる。典型的に、マスクキャリア及び基板キャリアの動作は、連続タクトタイムと調整される。タクトタイムは、処理及びモジュールの型に依存し得る。例えば、ルーティングモジュールは、90°から180°まで、5秒間の回転時間をもたらすように構成され得る。さらに、処理システムは、ゲートバルブの動作(すなわち、ゲートバルブの開放/閉鎖)がない状態で、2つの隣接するモジュールの間の基板搬送が、通常、5秒間であるように構成され得る。処理システム、特に処理システムの位置合わせシステムは、すべての位置合わせ操作を含む基板マスク位置合わせ処理が、25秒以内で実行され得るように構成され得る。さらに、処理システムは、処理(例えば、コーティング)の後に、アライナ及び磁石板からの放出が10秒間であるように構成され得る。典型的な実施形態によれば、スイングモジュールは、基板を10秒以内でロードするように構成されている。さらに、基板キャリアモジュールは、基板を10秒以内で位置合わせ且つチャックするように構成され得る。典型的に、スイングモジュールは、スイングを10秒内で水平位置から垂直位置へと動かすように構成され得る。典型的な実施形態によれば、搬送システムは、5秒以内の約100mmの短い直線状動作をもたらすように構成されている。処理モジュールは、処理方法(例えば、コーティング方法)を、例えば、パスを完了するための3秒の源回転を伴って、60秒以内で実行するように構成され得る。処理率(例えば、堆積率)及び処理速度(例えば、堆積源が基板の上を動く速度)は、処理結果(例えば、コーティングの厚さ)を制御するために調節し得ることを理解するべきである。
したがって、OLEDディスプレイなどのデバイスは、図1A及び図1Bで例示的に示されるように、処理システム100内で以下のように製造され得る。基板は、ロードロックチャンバ110を介して、第1の基板ハンドリングチャンバ121内にロードされ得る。基板が第1の真空スイングモジュール131内にロードされる前に、基板の事前処理を第1の事前処理チャンバ111及び/又は第1の事前処理チャンバ112の内部で実現することができる。基板は、第1の真空スイングモジュール131内での基板キャリア上にロードされ、水平配向から垂直配向へと回転させられる。その後、基板は、第1のルーティングモジュール411及び1つ又は複数のさらなるルーティングモジュールを通して移送される。ルーティングモジュールは、図1Aに例示的に示すように、基板を備えたキャリアを隣接する処理モジュール510に移動させることができるように、上部に基板がある状態で基板キャリアを回転させように構成されている。例えば、第1の処理モジュール511内では、デバイスのアノードを基板上に堆積するために、電極堆積が行われ得る。その後、基板を備えたキャリアを第1の処理モジュール511から取り除いて、ルーティングモジュールに接続されたさらなる処理モジュール512のうちの1つに移動させられ得る。例えば、さらなる処理モジュールのうちの1つ又は複数は、孔注入層を堆積するように構成され得、さらなる処理モジュールのうちの1つ又は複数は、青色発光層、緑色発光層、又は赤色発光層を堆積するように構成され得、さらなる処理モジュールのうちの1つ又は複数は、電子搬送層を堆積するように構成され得、この電子搬送層は、典型的に、発光層間及び/又は発光層上に設けられる。製造の終了時、カソードが、さらなる処理モジュールのうちの1つの中で堆積され得る。さらに、1つ又は複数の励起子遮断層(又は孔遮断層)或いは1つ又は複数の電子注入層が、さらなる処理モジュールのうちの1つの中でアノードとカソードとの間に堆積され得る。すべての所望の層を堆積した後、キャリアがさらなる真空スイングモジュール132内に移送され、基板を備えたキャリアは、垂直配向から水平配向へと回転させられる。その後、基板は、さらなる基板ハンドリングチャンバ122内でキャリアからアンロードされ、堆積した層スタックを封入するために薄膜封入チャンバ810のうちの1つに移送され得る。その後、製造されたデバイスを有する基板は、アンロードロックチャンバ116を通して、処理システムからアンロードされ得る。
図1Bを例示的に参照すると、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、処理システムは、図2Aから図2Hを参照してより詳細に例示されるように、具体的には、同じ側で2つの真空スイングモジュールを利用することにより、基板のロード及びアンロードが処理システムの同じ側で行われ得るように構成され得る。具体的には、図1Bを例示的に参照すると、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、1つ又は複数の層を堆積するための処理システム100は、第1の真空スイングモジュール131、第1のバッファチャンバ151、ルーティングモジュール410(例えば、第1のルーティングモジュール411)、第2のバッファチャンバ152、さらなる真空スイングモジュール132、及び処理構成体1000を含み得る。
より具体的には、図1B、及び図2Aから図2Hを例示的に参照すると、第1の真空スイングモジュール131は、第1の基板101Aを水平状態から垂直状態へと回転させるように構成されている。第1のバッファチャンバ151は、第1の真空スイングモジュール131に接続される。第1のバッファチャンバ151は、第1の基板搬送方向106で第1の真空スイングモジュール131から受け取った第1の基板101Aを、バッファリングするように構成されている。さらに、第1のバッファチャンバ151は、第2の基板搬送方向107でルーティングモジュール410から受け取った第3の基板101Cをバッファリングするように構成されている。ルーティングモジュール410、具体的には、第1のルーティングモジュール411は、第1のバッファチャンバ151に接続され、第1の基板101Aを処理構成体1000に搬送するように構成されている。処理構成体1000は、本明細書に記載されているように、通常、少なくとも1つの堆積源を含む。さらに、第2のバッファチャンバ152は、ルーティングモジュール410、具体的には、第1のルーティングモジュール411に接続されている。第2のバッファチャンバ152は、第2の基板搬送方向107でさらなる真空スイングモジュール132から受け取った第2の基板101Bを、バッファリングするように構成されている。さらに、第2のバッファチャンバ152は、ルーティングモジュール410、具体的には、第1のルーティングモジュール411から、第1の基板搬送方向106で受け取った第4の基板101Dをバッファリングするように構成されている。図2Dに例示するように、さらなる真空スイングモジュール132は、第2のバッファチャンバ152に接続され、第2の基板101Bを垂直状態から水平状態に回転させるように構成されている。
本開示では、「バッファチャンバ」は、2つ以上の基板、とりわけ基板キャリアによって支持された2つ以上の基板を、垂直配向でバッファリングするように構成されたチャンバであると理解することができる。より具体的には、本明細書に記載された「バッファチャンバ」は、バッファチャンバの内部に真空条件を設けるように構成された真空チャンバであり得る。
本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、処理構成体1000は、本明細書に記載されたさらなるルーティングモジュール412、及び本明細書に記載された処理モジュール510を含み得る。さらに、処理構成体1000は、本明細書に記載された実施形態に係るサービスモジュール610を含み得る。幾つかの実施形態では、処理構成体1000は、本明細書に記載されたマスクキャリアマガジン320、本明細書に記載されたマスクキャリアローダ310、本明細書に記載された堆積源の無接触搬送のための搬送装置720、本明細書に記載されたキャリアアセンブリの無接触の浮揚、搬送、及び/又は位置合わせのためのさらなる搬送装置820、本明細書に記載された位置合わせシステム550、本明細書に記載されたマスク洗浄チャンバ133、及び層検査チャンバからなる群のうちの少なくとも1つをさらに含み得る。したがって、図1B及び図2Aから図2Hに関して説明された処理構成体1000は、図1A及び図3Aから図12Cに関連して説明されたように、幾つかの又はすべての処理モジュール及び処理構成要素を含み得ることを理解するべきである。例えば、基板のロード及びアンロードが本明細書に記載されたロードロックチャンバ110の処理システムの同じ側で実行され得るレイアウト構成では、本明細書に記載されたアンロードロックチャンバ116、本明細書に記載された第1の事前処理チャンバ111及び/又は第2の事前処理チャンバ112、並びに本明細書に記載された封入チャンバ810が設けられ得る。
図2Aから図2Hを例示的に参照すると、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1のバッファチャンバ151は、第1の基板搬送方向106に対して横断的に、基板、例えば、第1の基板101A及び/又は第3の基板101Cを移動させるように構成された第1の切り替えトラック161を含み得る。同様に、第2のバッファチャンバ152は、第2の基板搬送方向107に対して横断的に、基板、例えば、第2の基板101B及び/又は第4の基板101Dを移動させるように構成された第2の切り替えトラック162を含み得る。典型的に、図2Aから図2Hに例示されているように、第1の基板搬送方向106は、第2の基板搬送方向107の反対方向である。
本開示では、「切り替えトラック」は、2つ以上の平行なトラックを有するトラック構成体であると理解することができ、これらは、2つ以上の基板、とりわけ基板キャリアによって支持された2つ以上の基板を、垂直配向で受け入れるように構成されている。より具体的には、本明細書に記載された「切り替えトラック」は、2つ以上の垂直な基板が、基板の表面に対して実施的に直角に移動し得るように構成されたトラック構成体であり、これは、2つ以上の基板がトラック構成体によって受け入れられる基板搬送方向に対して実質的に直角な移動方向に対応し得ると理解することができる。
本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、ルーティングモジュール410、例えば、図1B、及び図2Aから図2Eに示す第1のルーティングモジュール411は、第1の基板101Aが、第1の基板搬送方向106とは異なるローディング方向で処理構成体1000内にロードされ得るように、第1のバッファチャンバ151から受け取った第1の基板を回転させるように構成され得る。典型的に、ローディング方向は、第1の基板搬送方向に対して直角である。さらに、図2Dを参照して例示されているように、ルーティングモジュール410、具体的には、第1のルーティングモジュール411は、ローディング方向と異なるアンローディング方向で第4の基板101Dを処理構成体1000から受け取るように構成されている。典型的に、図1B、及び図2Aから図2Eで例示されているように、ロード及びアンロードが処理システムの同じ側で行うことができる処理システムのレイアウトでは、ローディング方向はアンローディング方向の反対方向である。
図1B、及び図2Aから図2Hに例示するように、ゲートバルブ115は、第1の真空スイングモジュール131と第1のバッファチャンバ151との間、第1のバッファチャンバ151とルーティングモジュール410(例えば、第1のルーティングモジュール411)との間、ルーティングモジュール410と処理構成体1000との間、ルーティングモジュール410と第2のバッファチャンバ152との間、第2のバッファチャンバ152とさらなる真空スイングモジュール132との間に設けられ得る。
したがって、図1B、及び図2Aから図2Eを参照して説明されるレイアウト構成の処理システムは、有益には、処理構成体に基板をロード且つアンロードするタクトタイムを減少させることができるように、本明細書に記載された処理システムの処理構成体に基板をロード且つアンロードするための改善された方法を提供する。図13Aは、本明細書に記載された実施形態に係る、処理システムの処理構成体に基板をロード且つアンロードするための方法1100を示すブロック図を示す。
具体的には、図2Aから図2H、及び図13Aを例示的に参照すると、基板を処理構成体にロード且つアンロードする方法1100は、第1の基板101Aを第1の真空スイングモジュール131から第1のバッファチャンバ151内へと第1の基板搬送方向106に搬送すること(図13Aのブロック1110によって表される)、第1の基板101Aと、第2の基板搬送方向107でルーティングモジュール410から受け取った第3の基板101Cとを第1のバッファチャンバ151内でバッファリングすること(図13Aのブロック1120によって表される)、第1のバッファチャンバ151内で第1の基板101A及び第3の基板101Cを第1の基板搬送方向106に対して横断的に移動させること(図13Aのブロック1130によって表される)、第3の基板101Cを第1のバッファチャンバ151から第1の真空スイングモジュール131の中へと搬送すること(図13Aのブロック1140によって表される)、第1の基板101Aを第1のバッファチャンバ151内で横断的に逆移動させること(図13Aのブロック1150によって表される)、第1の基板101Aを第1のバッファチャンバ151からルーティングモジュール410の中へと第1の基板搬送方向106に搬送すること(図13Aのブロック1160によって表される)、第1の基板101Aが、ルーティングモジュール410に接続された処理構成体1000の中へとローディング方向にロードされ得るように、第1の基板101Aをルーティングモジュール410内で回転させること(図13Aのブロック1170によって表される)、第1の基板101Aをルーティングモジュール410から処理構成体1000の中へとロードすること(図13Aのブロック1180によって表される)、第4の基板101Dを処理構成体1000からルーティングモジュール410の中へとアンロードすること(図13Aのブロック1190によって表される)、第4の基板101Dが、ルーティングモジュール410からルーティングモジュール410に接続された第2のバッファチャンバ152の中へと第1の基板搬送方向106に搬送され得るように、第4の基板101Dをルーティングモジュール410内で回転させること(図13Aのブロック1200によって表される)、第4の基板101Dを第2のバッファチャンバ152の中へと第1の基板搬送方向106に搬送すること(図13Aのブロック1210によって表される)、第4の基板101Dを第2のバッファチャンバ152内で第1の基板搬送方向106に対して横断的に移動させること(図13Aのブロック1220によって表される)、第2の基板101Bをさらなる真空スイングモジュール132から第2のバッファチャンバ152の中へと第2の基板搬送方向107に搬送すること(図13Aのブロック1230によって表される)、第2のバッファチャンバ152内で第4の基板101D及び第2の基板を横断的に逆移動させること(図13Aのブロック1240によって表される)、並びに第4の基板101Dを第2のバッファチャンバ152からさらなる真空スイングモジュール132の中へと搬送することと(図13Aのブロック1250によって表される)を含む。
図2Aは、基板を処理構成体1000にロードする間の状態を示し、ここで、第1の基板101A、例えば、未処理の基板が、第1の真空スイングモジュール131から第1のバッファチャンバ151の中へと第1の基板搬送方向106に搬送される。第1のバッファチャンバ151では、第2の基板搬送方向107でルーティングモジュール410から受け取った第3の基板101C、例えば、未処理の基板が、第1の切り替えトラック161の第1のトラック上にバッファリングされる。したがって、第1の基板101Aが、第1のバッファチャンバ151、具体的には、第1の切り替えトラック161の第2のトラックに搬送された後、第1の基板101A及び第3の基板101Cは、第1のバッファチャンバ151内でバッファリングされる。典型的に、第1のバッファチャンバ151及び第1の切り替えトラック161は、本明細書に記載されたように、少なくとも2つの基板を垂直基板配向でバッファリング且つ搬送するように構成されている。図2Aから図2Hでは、第3の基板101C及び第4の基板101Dは、処理された基板であり、これはハッチングで示されている。したがって、図2Aから図2Hの第1の基板101A及び第2の基板101Bは、未処理の基板、例えば、新しい基板である。
その後、図2Bの垂直の矢印によって例示されているように、第1の基板101A及び第3の基板101Cは、第1のバッファチャンバ151内で第1の基板搬送方向106に対して横断的に移動させられ得る。典型的に、第1の基板101A及び第3の基板101Cの第1の基板搬送方向106に対する横断的移動は、第1の切り替えトラック161によって行われる。図2Bの水平の矢印によって示されているように、第1の基板101A及び第3の基板101Cが移動させられた後、第3の基板101Cが、第1のバッファチャンバ151から第1の真空スイングモジュール131の中へと第2の基板搬送方向107に搬送され得る。
その後、図2Cの垂直の矢印によって示されているように、第1のバッファチャンバ151内の第1の基板101Aは、具体的には第1の切り替えトラック161のよる逆移動によって、横断的に逆移動させられる。さらに、図2Cの左側の湾曲した矢印によって示されているように、第3の基板101Cは、垂直状態から水平状態へと回転させられ得る。図2Cの水平の矢印によって示されているように、第1の基板101Aは、第1のバッファチャンバ151からルーティングモジュール410の中へと第1の基板搬送方向106に搬送させられ得る。
図2Dを例示的に参照すると、第1の基板101Aがルーティングモジュール410の中に搬送させられた後、第1の基板101Aは、ルーティングモジュール410内で回転させられ、ルーティングモジュール410に接続された処理構成体1000の中へとローディング方向にロードされ得る。したがって、その後、図2Dの上方を指し示す垂直矢印によって示されているように、第1の基板101Aが、ルーティングモジュール410から処理構成体1000の中へとロードされ得る。さらに、図2Dの下方を指し示す垂直の矢印によって示されているように、第4の基板が、処理構成体1000からルーティングモジュール410の中へとアンロードされ得る。さらに、水平の矢印によって示されているように、第1の真空スイングモジュール131において、水平の第3の基板が第1の真空スイングモジュール131から取り出され得る。また、さらなる真空スイングモジュール132の右側の湾曲した矢印によって示されているように、第2のスイングモジュール内において水平状態で設けられた第2の基板101Bが、垂直状態に回転させられ得る。
以下では、第1の基板が、処理構成体1000の中にロードされ、第4の基板が、処理構成体1000からルーティングモジュール410の中へとアンロードされた後、第4の基板101Dは、図2Eで例示するように、ルーティングモジュール410内で回転させられ、ルーティングモジュール410からルーティングモジュール410に接続された第2のバッファチャンバ152の中へと第1の基板搬送方向106に搬送され得る。一方で、図2Eに例示するように、新しい基板101Nが、水平状態で第1の真空スイングモジュール131内にロードされ得る。さらに、第1の切り替えトラック161及び/又は第2の切り替えトラック162は、図2Eの垂直の矢印によって示されたように、基板搬送方向に対して横断的に移動させられ得る。
図2Fで例示するように、その後、第4の基板101Dが、ルーティングモジュール410から第2のバッファチャンバ152の中へと第1の基板搬送方向106に搬送させられ得る。その次に、第4の基板101Dは、図2Gの下方を指し示す垂直の矢印によって例示されているように、第2のバッファチャンバ152内で第1の基板搬送方向106に対して横断的に移動させられ得る。したがって、第2のバッファチャンバ152内の第2の切り替えトラック162は、さらなる真空スイングモジュール132から第2のバッファチャンバ152の中へと第2の基板101Bが第2の基板搬送方向107に搬送させられ得るように、位置付けされ得る。典型的に、第2のバッファチャンバ152及び第2の切り替えトラック162は、本明細書に記載されたように、少なくとも2つの基板を垂直基板配向でバッファリング且つ搬送するように構成されている。さらに、第1の真空スイングモジュール131の左側の湾曲した矢印によって示されているように、一方で、引き続き新しい基板101Nを第1のバッファチャンバ151の中へとロードするために、新しい基板が水平状態から垂直状態へと回転させられ得る。
図2Hの上方を示す垂直の矢印によって例示されているように、第2の基板101Bが第2のバッファチャンバ152によって受け入れられた後、第4の基板101Dが、第2のバッファチャンバ152からさらなる真空スイングモジュール132の中へと搬送させられ得るように、第4の基板101D及び第2の基板101Bは、第2のバッファチャンバ152内で横断的に逆移動させられる。以下では、第4の基板は、次いで、さらなる真空スイングモジュール132の内部で垂直状態から水平状態へと回転させられ得、それにより、第4の基板は、水平状態でさらなる真空スイングモジュール132からアンロードされ得る。
したがって、図1B、及び図2Aから図2Hを参照して例示されているように、基板のロード及びアンロードを処理システムの同じ側で行うことができる処理システムレイアウトを設けることにより、空のキャリア用のキャリアリターントラックを省くことができる。したがって、有益には、処理システムのタクトタイム、スループット、及び効率を改善することができる。
本明細書に記載された処理システムの実施形態の観点から、処理システムのモジュラー構成は、処理システムを顧客のニーズに適合させる可能性をもたらすことを理解するべきである。例えば、処理システムは、例えば、単一層及び/又は多層として、OLEDを生産するように構成され得る。具体的には、利用される処理モジュールの数は、本明細書に記載された実施形態に係る処理システムを使用して生成されることを意図されたデバイスの複雑性に応じて選択されてもよい。さらに、処理システムのレイアウトは、顧客の空間的条件及び物流境界条件に適合され得る。
図3Aでは、本明細書に記載された実施形態に係る処理システム100の真空スイングモジュール130、例えば、第1の真空スイングモジュール131又はさらなる真空スイングモジュール132の概略図を示す。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、真空スイングモジュール130は、真空スイングチャンバ133を含む。真空スイングチャンバは、典型的に、排気ユニット(例えば、真空ポンプ)を真空スイングチャンバに接続する1つ又は複数のフランジを有する。したがって、真空スイングチャンバ133を、例えば、10mbar以下の技術的真空(technical vacuum)まで排気することができ、これは、本明細書に記載された処理システムの1つ又は複数のモジュール又はチャンバ内にもたらされ得る。さらに、図3Aに例示するように、真空スイングモジュール130は、基部137を含む。基部137は、基板キャリア910上にロードされた基板101が垂直配向又は水平配向で支持されている間、安定性をもたらすよう構成されている。後者の配向は、図3Aに示されている。
さらに、真空スイングモジュール130には、アクチュエータ135、例えば、トルクモータが設けられ得る。アクチュエータ135は、回転軸136の周りで支持体134を回転させるように構成されている。回転可能な支持体は、ここではスイングステーションと呼ばれてもよい。したがって、支持体及び/又はそれに接続されたテーブルを水平配向から垂直配向へと回転させることができ、逆も可能である。上記に照らして、支持体が水平配向で設けられている間、基板101を基板キャリア910上にロードすることができる。具体的には、図3Aに例示するように、基板101は、基板入口開口138を通して、真空スイングモジュール130の中に移動し得る。典型的に、基板が水平状態で真空スイングモジュールに中に移動し得るように、基板入口開口138は構成される。その後、基板101を支持する基板キャリア910は、水平配向から垂直配向へと回転させられ、搬送経路に沿って、第1のルーティングモジュールの中へと移動させられ、そして、例えば、図3Aの点線で示された垂直に配向された出口開口139を通して、第1の真空スイングモジュール131から出される。
したがって、基板を実質的に垂直な状態で処理した後、図1A及び図1Bに例示するように、上部に処理された基板を備えた基板キャリアをルーティングモジュールから出して、さらなる真空スイングモジュール132の中へと移動させることができる。さらなる真空スイングモジュール132内では、基板101を支持する基板キャリア910を垂直配向から水平配向に回転させることができる。その後、基板101を基板キャリア910からアンロードすることができる。したがって、本明細書に記載された真空スイングモジュールは、処理システム内で基板を処理するため、基板をロード且つ/又はアンロードするために使用され得ることを理解されたい。
典型的に、本明細書に記載された真空スイングモジュールは、高真空条件下にあるように構成されている。したがって、真空スイングモジュールには、少なくとも1つのゲートバルブが設けられてもよく、それにより、基板キャリアは、真空スイングチャンバ内の真空を破壊することなく、真空スイングモジュールを出入りするように移動することができる。さらに、真空スイングステーションには、静電チャックが設けられてもよい。静電チャックは、スイングステーション、例えば、回転可能な支持体に対して基板を保持するように構成されている。基板をスイングステーションから基板キャリアへと移送するためには、基板がスイングステーションの静電チャックから解放される一方で、基板キャリアの静電チャックが、基板を受け入れ且つ保持するように位置付けされる。
図3Bは、基板キャリア910に設けられた基板101を水平配向から垂直配向へと又は垂直配向から水平配向へと回転させる順序を示す。左から右へと、基板101が基板キャリア910に設けられる。リフトピン140が基板キャリア910の下方に設けられ得る。それにより、リフトピン140が垂直運動すると、基板101が基板キャリア910に対して上昇又は下降する。キャリアは、典型的に、基板受容部、上方誘導部911、及び下方誘導部を含む。上方誘導部は、図11A及び図11Bを参照してより詳細に例示されるように、キャリアの磁気誘導を可能にする1つ又は複数のパッシブ磁気素子を含み得る。
基板101が基板キャリア910上にロードされる前に、リフトピン140が上昇位置へと垂直に動かされる。ロボット又は別のアクチュエータは、基板を真空スイングモジュール内にロードし、基板をリフトピン140の上に置くことができる。したがって、リフトピン140は、基板101を支持するように構成されている。その後、基板101が基板キャリア910の上にロードされるようにリフトピンを下降させることができる。その後、例えば、基板キャリア910のロッドが搬送システムの1つ又は複数のローラ912において位置している間、図3Bの順序によって示されているように、基板キャリア910を回転させることができる。代替的に、基板キャリアの下方誘導部には、1つ又は複数のローラが設けられてもよい。このローラは、基板キャリアを対応する搬送トラック上で誘導するように構成され得る。さらに、図11Cから図11Eを参照して例示されているように、特に基板キャリアの上方誘導部は、第1のパッシブ磁気素子851を含み得、基板キャリアの下方誘導部は、第2のパッシブ磁気素子852を含み得る。したがって、基板キャリアが垂直位置に上昇した後、図11A及び図11Bを参照してより詳細に説明されるように、基板キャリアは、処理システムの搬送経路に沿って、特に、例えば、キャリアの無接触搬送用の搬送装置の誘導構造体に沿って、移動させられ得る。
図4Aは、例えば、有機材料を堆積するための、本明細書に記載された実施形態に係る処理システムのための処理モジュール510の実施形態を示す。典型的には、堆積源520、特に蒸発源が、処理モジュール510の真空処理チャンバ540内に設けられる。具体的には、堆積源520は、図4Aに例示するように、トラック又はリニアガイド522上に設けられ得る。リニアガイド522は、堆積源520の並進運動のために構成され得る。さらに、堆積源520の並進運動をもたらすための駆動部が設けられ得る。具体的には、図10Aから図10Cを参照してより詳細に説明されるように、堆積源の無接触搬送用の搬送装置720が、真空処理チャンバ540内に設けられ得る。図4Aに例示したように、真空処理チャンバ540は、ゲートバルブ115を有し得る。図1A及び図1Bに例示するように、ゲートバルブ115を介して、真空堆積チャンバは、隣接するルーティングモジュール又は隣接するサービスモジュールに接続され得る。具体的には、ゲートバルブは、隣接する真空チャンバに対する真空密封を可能にし、基板及び/又はマスクが処理モジュールに出入りするよう開閉することができる。
本開示では、「真空処理チャンバ」とは、真空チャンバ又は真空堆積チャンバであると理解されたい。本明細書で使用する「真空」という用語は、例えば、10mbar未満の真空圧を有する技術的真空を意味すると理解することができる。典型的には、本明細書に記載された真空チャンバの圧力は、10−5mbarと約10−8mbarとの間、より典型的には、10−5mbarと10−7mbarとの間、さらにより典型的には、約10−6mbarと約10−7mbarとの間であってよい。幾つかの実施形態によれば、真空チャンバ内の圧力は、真空チャンバ内部の蒸発した材料の分圧、又は、全圧のいずれかと見なすことができる(分圧及び全圧は、真空チャンバ内で堆積させる構成要素として蒸発材料のみが存在する場合、おおよそ同じであり得る)。幾つかの実施形態では、真空チャンバ内の全圧は、特に真空チャンバ内に蒸発材料以外の第2の構成要素(例えばガス等)が存在する場合、約10−4mbarから約10−7mbarまでの範囲であり得る。
処理システムは、真空チャンバの内部に真空を発生させるために真空チャンバに接続された、ターボポンプ及び/又はクライオポンプなどの1つ又は複数の真空ポンプを含み得る。さらに、幾つかの実施形態では、例えば、本明細書に記載された処理システムの真空チャンバ内で前段真空を発生させるために、前段真空ポンプ(fore−vacuum pump)が設けられ得る。さらに、高真空ポンプ、すなわち、ターボポンプ及び/又はクライオポンプのための排出口に注入するために、前段真空が供給され得る。
図4Aを例示的に参照すると、本明細書に記載された任意の他の任意の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、2つの基板、例えば、第1の基板101A及び第2の基板101Bは、真空処理チャンバ540内でそれぞれの搬送トラック上で支持され得る。さらに、その上にマスク330を設ける2つのトラックが設けられ得る。具体的には、図11Aから図11Bを参照してより詳細に説明されるように、キャリアの非接触搬送のためのさらなる搬送装置に、基板キャリア及び/又はマスクキャリアの搬送用のトラックが設けられ得る。
典型的には、基板のコーティングには、それぞれのマスクによって、図12Aを参照して例示するように、例えば、エッジ除外マスクによって、又は、図12Bを参照して例示するように、シャドウマスクによって、基板をマスキングすることが含まれ得る。典型的な実施形態によれば、図4Aに例示的に示したように、マスク、例えば、第1の基板101Aに対応する第1のマスク330Aと、第2の基板101Bに対応する第2のマスク330Bとは、マスクを所定の位置で保持するマスクフレーム331内に設けられる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によると、基板101は、例えば、接続要素124によって、位置合わせシステム550に接続され得る基板支持体102よって支持され得る。位置合わせシステム550は、マスク330に対する基板101の位置を調整することができる。したがって、有機材料の堆積中に基板とマスクとの間で適切な位置合わせを行うために、基板をマスク330に対して移動させることができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、代替的に又は追加的に、マスク330及び/又はマスク330を保持するマスクフレーム331は、位置合わせユニット550に接続され得る。したがって、マスクを基板101に対して位置付け得るか、又は、マスク330と基板101の双方を互いに対して位置付け得るかのいずれかが可能である。したがって、図12B及び図12Cを参照してより詳細に説明されるように、本明細書に記載された位置合わせシステムは、堆積処理中のマスキングの適切な位置合わせを可能とし、これは、高品質又はLEDディスプレイ製造にとって有益である。
マスクと基板の互いに対する位置合わせの実施例には、位置合わせユニットが含まれる。位置合わせユニットは、基板の平面とマスクの平面に対して実質的に平行である平面を画定する少なくとも2つの方向において相対的な位置合わせを可能にする例えば、位置合わせは、少なくともx方向及びy方向、すなわち、上述の平行な平面を画定する2つのデカルト方向において実行され得る。典型的には、マスク及び基板は、互いに実質的に平行であり得る。具体的には、位置合わせは、基板の平面及びマスクの平面に対して実質的に直角な方向でも実行され得る。したがって、位置合わせユニットは、マスクと基板との互いに対する、少なくともX−Y方向の位置合わせ、具体的には、X−Y−Z方向の位置合わせのために構成される。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一具体例は、真空処理チャンバ内で静止して保持され得るマスクに対して、基板をx方向、y方向、及びz方向に位置合わせすることである。
図4Aに示されるように、リニアガイド522は、蒸発源520の並進運動の方向をもたらす。堆積装置520の両側には、マスク330、例えば、第1の基板101Aをマスキングするための第1のマスク330Aと、第2の基板101Bをマスキングするための第2のマスク330Bとを設けることができる。マスクは、堆積源520の並進運動の方向に対して実質的に平行して延在し得る。さらに、蒸発源の両側の基板も並進運動の方向に対して実質的に平行に延在し得る。典型的な実施形態によれば、ゲートバルブ115を通して、基板101を、真空処理チャンバ540の中へ、そして真空処理チャンバ540の外へ移動させることができる。したがって、処理モジュール510は、それぞれの基板の搬送のための対応する搬送トラック、例えば、第1の基板のための第1の搬送トラック、及び第2の基板のための第2の搬送トラックを含み得る。典型的に、搬送トラックは、基板配向に対して平行に延在する。
本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、マスクを保持するマスクフレームを支持するためにさらなるトラックが設けられ得る。したがって、4つのトラックが、真空処理チャンバの内部に設けられ得る。例えば、マスクの洗浄のためにマスクのうちの1つを真空処理チャンバから外に移動させるため、マスクと共にマスクフレームを基板の搬送トラック上に移動させることができる。それから、それぞれのマスクフレームは、基板用の搬送トラック上で真空処理チャンバを出入りすることができる。マスクフレーム用に、真空チャンバの中と外に別々の搬送トラックを設けることは可能であるが、2つのトラック、すなわち、基板用の搬送トラックのみが真空チャンバの中と外に延在し、さらに、適切なアクチュエータ又はロボットによって、マスクフレームを基板用の搬送トラックのうちの対応する1つの上に移動させることができる場合、処理モジュールの所有コストを減らすことができる。
図4Aを例示的に参照すると、リニアガイド522に沿って堆積源520を並進運動させるように構成された源支持体531が設けられ得る。典型的に、源支持体531は、蒸発るつぼ521、及び蒸発るつぼ521の上方に設けられた分配アセンブリ530を支持し得る。したがって、蒸発るつぼ内で生成された蒸気は、上方に移動し、分配アセンブリの1つ又は複数の排出口から排出され得る。したがって、図4Bから図4Eに例示されているように、分配アセンブリ530は、蒸発した有機材料、特に、蒸発した源材料のプルーム318を、分配アセンブリ530から基板101へと供給するよう構成される。
1つ又は複数の排出口は、1つ又は複数の開口若しくは1つ又は複数のノズルであり得、例えば、シャワーヘッド又は別の蒸気分配システムにおいて設けられ得る本明細書では、シャワーヘッドは、シャワーヘッドの中の圧力がシャワーヘッドの外側の圧力よりも(例えば、少なくとも一桁)高くなるように開口を有する筐体を含むと理解することができる。本明細書に記載された堆積システム内で利用された蒸発るつぼ及び分配アセンブリは、それぞれ、図6Aから図6D、図5A、及び図7Aから図7Cのそれぞれを参照して説明される。
さらに、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、図4Aに示し、且つ図7Aから図7Dを参照してより詳細に説明されるように、堆積源は、シールドデバイス517を含み得る。さらに、図4Aに例示するように、遮蔽壁として構成され得る材料収集ユニット40が設けられ得る。さらに、図4Dに例示されているように、堆積源が回転位置にあるとき、堆積源(例えば、蒸発源)から排出された蒸発源材料を収集するために、材料収集ユニット40が、真空チャンバ内に配設されてもよい。図4Aに例示するように、堆積源のサービス位置においてシェーパシールドデバイス517を洗浄するために、加熱デバイス50が設けられ得る。サービス位置とは、排出口がコーティングされる基板に向かって方向付けられた分配アセンブリの堆積位置に比べて、本明細書に記載された分配アセンブリの排出口が回転位置にある堆積源の位置であり得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、分配アセンブリの回転は、少なくとも分配アセンブリが取り付けられる蒸発制御ハウジングの回転によりもたらされ得る。典型的には、蒸発るつぼも蒸発器制御ハウジングに取り付けられる。したがって、堆積源は、少なくとも分配アセンブリが回転可能に取り付けられるように、又は、るつぼと分配アセンブリの両方が共に回転可能に取り付けられるように、構成され得る。代替的に、制御ハウジング、分配アセンブリ、及び蒸発るつぼが、回転可能に共に取り付けられ得る。典型的に、材料収集ユニットは、分配アセンブリと共に回転しないように固定的に取り付けられ、分配アセンブリの回転に対して静止状態を保つ。また、図4Bから図4Eに例示するように、材料収集ユニットは、並進運動に従い、並進運動に関連して移動可能である。
図4Bから図4Eは、真空処理チャンバ540の様々な位置における堆積源520、具体的には、蒸発源を示す。種々の位置間の運動は、矢印102B、102C、及び102Dによって示されている。図4Bでは、堆積源520が第1の位置で示されている。図4Cに示すように、真空チャンバ540内の左側の基板は、矢印102Bで示される堆積源の並進運動によって有機材料の層が堆積される。左側の基板、例えば、第1の基板101Aが、有機材料の層で堆積されている間、点線で示すように、第2の基板101B、例えば、図4Bから図4Eの右手側にある基板を交換することができる。第1の基板101Aが有機材料の層で堆積された後、堆積源520の分配アセンブリ530は、図4Dの矢印102Cで示されているように回転し得る。有機材料を第1の基板101A上に堆積する間、第2の基板101Bは、第2のマスク330Bに対して位置付け且つ位置合わせされる。したがって、図4Dに示す回転の後、第2の基板101Bは、矢印102Dで示す堆積源の並進運動によって、有機材料の層がコーティングされ得る。第2の基板101Bが有機材料でコーティングされている間、点線で示すように、第1の基板101Aが真空チャンバ540から搬出され得る。
したがって、本明細書に記載された実施形態に係る2つ以上の処理モジュールを含む処理システムを設けることで、例えば、特にOLED生産のための有機材料の蒸発プロセスにより、種々の層が処理モジュールの内部の基板上に堆積され得る。図4Aから図4Eを参照して以上で例示されているように、2つ以上の処理モジュールの各処理モジュールは、典型的に、2つの処理側部を有する。図11Aから図11Eを参照してより詳細に説明されているように、各処理面の内部には、マスクキャリア及び基板キャリアを処理位置内に移動させる磁気浮揚レールが設けられる。各処理側部の外部には、基板をマスクに対して位置合わせするように構成された位置合わせシステムが設けられる。典型的に、処理モジュールは、マスクキャリアを、処理位置内に移動させ、ロックボルトで所定位置に保持するように構成されている。次いで、基板キャリアは、処理位置に移動させられ、位置合わせシステムは、基板とマスクの位置合わせを行う。
図5Aは、本明細書に記載された実施形態に係る堆積源520の斜視図を示す。図4Aに例示されているように、堆積源520は、蒸発るつぼ521に接続された分配アセンブリ530を含み得る。例えば、分配アセンブリ530は、細長いキューブであり得る分配管を含み得る。例えば、本明細書に記載された分配管は、分配管の長さに沿って少なくとも1つのライン上に配置された複数の開口及び/又はノズルを有するライン源を設け得る。代替的に、少なくとも1つのラインに沿って延びる1つの細長い開口が設けられ得る。例えば、細長い開口は、スリットであり得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、このラインは、実質的に垂直であり得る。
したがって、分配アセンブリは、例えば、内部に複数の開口が配置された線形分配シャワーヘッドとして設けられる分配管を含み得る。本明細書で理解されるシャワーヘッドは、例えば、蒸発るつぼから材料が供給又は誘導され得る筐体、内部空洞、又は管を有する。シャワーヘッドは、シャワーヘッドの内部の圧力がシャワーヘッドの外部の圧力より高くなるように、複数の開口(又は細長いスリット)を有し得る。例えば、シャワーヘッドの内部の圧力は、シャワーヘッドの外部の圧力よりも少なくとも1桁高い場合がある。
さらに、図5Aに例示するように、分配アセンブリには、典型的に、実質的に垂直に延在するライン源が設けられる。本開示では、「実質的に垂直に」という表現は、特に基板の配向を指すときに、垂直方向からの10°以下の偏差を許容するものと理解される。垂直配向からある程度の偏差を有する基板支持がより安定した基板位置をもたらす場合があるので、このような偏差が設けられ得る。しかし、有機材料の堆積中の基板配向は、実質的に垂直とみなされ、水平の基板配向と異なるとみなされる。したがって、基板の表面は、1つの基板寸法と、他の基板寸法に対応する他の方向に沿った並進運動とに対応する1つの方向に延びるライン源によってコーティングされ得る。
本明細書に記載された任意の他の実施形態とも組み合わせることができる実施形態によれば、分配管の長さは、少なくとも堆積される基板の高さに相当し得る。具体的には、分配管の長さは、堆積される基板の高さよりも、少なくとも10%又はさらに20%長くてよい。例えば、分配管の長さは、1.3m以上であってよく、例えば、2.5m以上であってよい。したがって、基板の上端及び/又は基板の下端において均一な堆積がもたらされ得る。代替構成によれば、分配アセンブリは、垂直軸に沿って配置され得る1つ又は複数の点源を含み得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、図5Bに示すように、蒸発るつぼ521は、分配アセンブリ530と流体連通しており、分配アセンブリ530の下端に設けられている。具体的には、蒸発るつぼ521と分配アセンブリ530との間の接続をもたらすように構成されたコネクタ(例えば、フランジユニット)が設けられ得る。例えば、蒸発るつぼと分配アセンブリは、別個のユニットとして設けられ得る。これらは、例えば、蒸発源を操作するために、コネクタにおいて分離したり、接続したり、又は組み立てたりすることができる。典型的に、蒸発るつぼは、るつぼの加熱により蒸発される有機材料のためのリザーバである。したがって、蒸発した有機材料は、特に分配管の底で分配アセンブリに入り、例えば、実質的に垂直な基板に向かって、分配管内の複数の開口を通って本質的に横方向に誘導される。
図5Aに例示されるように、分配アセンブリ530は、三角形状に設計され得る。図7A及び図7Bを参照してより詳細に説明されるように、分配アセンブリ530の三角形状は、2つ以上の分配管が隣同士に配置され得る場合、有益であり得る。特に、分配アセンブリ530の三角形状により、隣接し合う分配管の出口をできるだけ互いに接近させることが可能になる。これにより、例えば、2つ、3つ、又はさらに多くの異なる材料を同時蒸発させる場合、種々の分配管からの種々の材料の混合を改善することが可能となる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、分配アセンブリ530は、壁(例えば、側壁525B、及び分配アセンブリ530の裏側525Aにおける壁)を含み得、それにより、内部空洞が分配アセンブリの内部に設けられる。図4Aに例示するように、加熱ユニット515は、分配アセンブリ、具体的には、分配管を加熱するために設けられ得る。加熱ユニット515は、分配アセンブリ530の壁に装着又は取り付けられ得る。したがって、分配アセンブリ530は、蒸発るつぼ521によって供給された有機材料の蒸気が分配アセンブリ530の壁の内側部で凝縮しない温度まで加熱され得る。さらに、加熱ユニット515がもたらす熱エネルギーを空洞空間に戻すように反射するためには、分配アセンブリの管、特に分配管の周囲に熱シールドが設けられ得る。
蒸発源の外側への熱放射を低減するために、熱シールドは幾つかのシールド層を含み得る。さらなる選択肢として、熱シールドは、空気、窒素、水、又は他の適切な冷却流体などの流体によって能動的に冷却されるシールド層を含み得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる、さらに別の実施形態によれば、1つ又は複数の熱シールドが、蒸発源のために設けられ得る。熱シールドは、蒸発源のそれぞれの部分を囲む金属板を含み得る。例えば、金属板は、0.1mmから3mmの厚さを有し得、鉄合金(SS)及び非鉄合金(Cu、Ti、Al)からなる群から選択された少なくとも1つの材料から選択され得、且つ/又は、例えば、0.1mm以上の間隙で互いから離間され得る。したがって、熱損失を最小限にすることができるので、本明細書に記載された分配アセンブリは、その加熱に利用されるエネルギーを低減することができるように構成される。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、堆積源520は、シールドデバイス、具体的には、シェーパシールドデバイス517を含み得、それにより、基板に供給される蒸発材料の分配円錐の限界を定める。さらに、シールドデバイスは、堆積領域に向けた熱放射を低減するように構成され得る。さらに、シールドは、冷却素子516によって冷却され得る。例えば、冷却素子516は、シェーパシールドデバイス517の背面に装着されてもよく、冷却流体用の導管を含み得る。
幾つかの実装形態では、蒸発源は、特に蒸発中、軸の周りで回転するように構成され得る。したがって、回転駆動部が、堆積源カートと堆積源との間の接続部に設けられ得る。回転駆動部は、例えば、基板の堆積が実行される前、蒸発源を基板に対して平行になるよう回すように構成されている。OLEDデバイス製造のための様々な適用例には、2つ以上の有機材料を同時に蒸発させるプロセスが含まれる。したがって、幾つかの実施形態では、2つ以上の分配アセンブリ、具体的には、分配管及び対応する蒸発るつぼが、互いに隣接するように設けられ得る。このような蒸発源は、蒸発源アレイと呼ばれることもあり、例えば、2種類以上の有機材料が同時に蒸発される。蒸発源アレイの実施例は、図7A及び図7Bを参照して説明される。
さらに、図5Aを例示的に参照すると、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積率測定アセンブリ580が設けられ得る。具体的には、堆積率測定アセンブリ580は、分配アセンブリ530の測定出口535の背後で、分配アセンブリの上端に設けられ得る。図4Aの測定出口535を出る矢印によって例示されているように、測定出口535は、蒸発材料が、分配管530の内側から、測定出口535を通って、堆積率測定アセンブリ580へと供給されるように構成され得る。
図5Bを例示的に参照すると、堆積率測定アセンブリ580は、堆積率を測定するための発振水晶581、及び発振水晶581を保持するためのホルダ582を含み得る。ホルダ582は、k=30W/(mK)を超える、具体的には、k=50W/(mK)を超える、より具体的には、k=70W/(mK)を超える(例えば、k=150W/(mK)を超える熱伝導率kを有する材料を含み得る。例えば、ホルダ582は、銅、アルミニウム、銅合金、アルミニウム合金、黄銅、鉄、銀、銀合金、金合金、マグネシウム、ウォルフラム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、又はその他の適切な材料からなる群から選択された少なくとも1つの材料を含む固体であってもよい。したがって、測定精度を低下させ得るような、発振水晶に対する熱効果を減少させることができる。
典型的に、発振水晶581は、測定開口583を有するホルダ582の内部に配置されている。具体的には、熱が発振水晶からホルダに伝達されるように、発振水晶は、ホルダの固体と接近し得る。図5Bに例示するように、蒸発材料の堆積率を測定するために、蒸発材料が発振水晶上に堆積され得るように、測定開口583が構成及び配置され得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる堆積率測定アセンブリの代替構成(明示せず)によれば、堆積率測定アセンブリは、堆積率を測定するための第1の発振水晶、堆積率を測定するための第2の発振水晶、及び可動式シャッターを含み得る。可動式シャッターは、第1の測定出口から供給された蒸発材料を遮蔽するように構成される。第1の測定出口は、蒸気材料を第1の発振水晶に供給するように方向付けられ、可動式シャッターは、第2の測定出口から供給された蒸発材料を遮蔽するように構成され、第2の測定出口は、蒸発材料を第2の発振水晶に供給するように方向付けられる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積率測定アセンブリの代替構成の可動式シャッターは、少なくとも1つの開孔を有する回転可能素子、具体的には、回転可能ディスクである。少なくとも1つの開孔は、回転可能素子が第1の状態にあるときに、第1の測定出口から第1の発振水晶に供給される蒸発材料のためのアクセスをもたらすように構成されている。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、堆積率測定アセンブリの代替構成の少なくとも1つの開孔は、回転可能素子が第2の状態にあるときに、第2の測定出口から第2の発振水晶に供給される蒸発材料のためのアクセスをもたらすように構成されている。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積率測定アセンブリの代替構成の少なくとも1つの開孔は、互いに対して正反対に配置された第1の開孔及び第2の開孔を含む。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積率測定アセンブリの代替構成の少なくとも1つの開孔は、第1の開孔及び/又は第2の開孔の両側に配置された第3の開孔及び第4の開孔を含む。典型的に、第3の開孔及び第4の開孔は、第1の開孔の半径方向位置及び/又は第2の開孔の半径方向位置に実質的に対応する半径方向位置に配置される。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、堆積率測定アセンブリの代替構成は、第1の発振水晶及び/又は第2の発振水晶に堆積された材料を蒸発させることができるように、熱を第1の発振水晶及び/又は第2の発振水晶に加えるように構成されたヒータをさらに備えている。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、堆積率測定アセンブリの代替構成は、可動式シャッターに堆積された材料を蒸発させることができるように、熱を可動式シャッターに加えるように構成された、可動式シャッター内に設けられたさらなるヒータをさらに備えている。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積率測定アセンブリの代替構成のヒータは、第1の発振水晶用の第1のホルダ、及び第2の発振水晶用の第2のホルダ内に設けられる。
本開示における「発振水晶」とは、発振水晶共振器の周波数の変化を測定することにより、単位面積当たりの発振水晶上の堆積材料の質量変化を測定するように構成された発振水晶であると理解してもよい。特に、本開示では、発振水晶は、水晶共振器であると理解してもよい。より具体的には、「堆積率を測定するための発振水晶」は、水晶マイクロバランス(quartz crystal microbalance:QCM)であると理解してもよい。
図5Bに例示されるように、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、熱交換器584は、例えば、発振水晶581に隣接又は近接するホルダ582内に配置され得る。熱交換器584は、発振水晶及び/又はホルダ582と熱を交換するように構成され得る。例えば、熱交換器は、管を含み得、この管を通って、冷却流体が供給され得る。冷却流体は、液体(例えば、水)、又は気体(例えば、空気)であってよい。具体的には、冷却流体は、冷却した圧縮空気であり得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、熱交換器584は、ホルダ582及び/又は発振水晶581を15℃以下、具体的には、10℃以下(例えば、8℃以下)の温度まで冷却するように構成され得る。したがって、堆積率測定の質、精度、及び安定性に対する高温の負の効果を低減又はさらに除去することができる。具体的には、本明細書に記載された測定アセンブリを設けることにより、発振水晶の熱変動を低減又はさらに除去することができ、これは、堆積率測定の精度にとって有益であり得る。
図5Bを例示的に参照すると、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、温度センサ585が設けられ得る。温度センサ585は、ホルダ582及び/又は発振水晶581の温度を測定するように配置且つ構成され得る。したがって、発振水晶が不正確に測定する傾向のある臨界温度を検出することができるように、堆積率測定アセンブリの温度(例えば、絶対温度又は温度変化)に関する情報を得ることができる。したがって、温度センサによって、測定アセンブリの、特にホルダ及び/又は発振水晶の臨界絶対温度又は臨界温度変動が検出された場合、本明細書に記載された熱交換器を利用することにより、適切な反応(例えば、冷却)が開始され得る。これは、堆積率測定の正確さに関して有益であり得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積率測定アセンブリ580は、発振水晶581及び/又はホルダ582の温度を制御するための温度制御システム586を含み得る。具体的には、温度制御システム586は、温度センサ585、熱交換器584、及びコントローラ575のうちの1つ又は複数を含み得る。図5Bに例示されているように、コントローラ575は、温度センサ585によって測定されたデータを受信するため、温度センサ585に接続され得る。さらに、コントローラ575は、ホルダ582及び/又は発振水晶581の温度を制御するために、熱交換器584に接続され得る。したがって、コントローラは、温度センサ585によって測定された温度に応じて、ホルダ582及び/又は発振水晶581の温度を制御するように構成され得る。例えば、温度センサ585が、発振水晶が不正確に測定する傾向のある臨界温度を検出した場合、コントローラは、ホルダ582及び/又は発振水晶581を冷却するために、熱交換器584に制御信号を伝達し得る。したがって、発振水晶の理想的な測定温度、例えば、15℃未満、具体的には、10℃未満、より具体的には5℃未満が温度センサ585によって検出された場合、冷却を停止することができるように対応する制御信号を熱交換器に送信することにより、前に開始された冷却が停止し得る。
図5Bを例示的に参照すると、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積率測定アセンブリ580は、測定出口535から供給された蒸発材料を遮蔽するためのシャッター587を含み得る。具体的には、シャッター587は、図5Bの矢印によって例示されているように、シャッターの第1の状態からシャッターの第2の状態へと可動であるように構成され得る。例えば、シャッターの第1の状態は、シャッター587が測定出口535を遮蔽しない開放状態であり得、シャッター587の第2の状態は、図5Bに例示するように、発振水晶581が測定出口535を通して供給された蒸発材料から保護されるように、シャッター587が測定出口535を遮蔽する状態であり得る。したがって、堆積率が測定されなくてもよい状況では、発振水晶及び/又はホルダは、蒸発材料の高温から保護され得る。
さらに、シャッター587は、測定出口535を通して供給された蒸発材料の熱から発振水晶581及び/又はホルダ582を保護するための熱保護シールド588を含み得る。追加的に又は代替的に、シャッター587は、シャッター冷却素子589を含み得る。図5Bに例示的に示されるように、熱保護シールド588は、測定出口535に面するシャッター587の側面に配置され得る。特に、熱保護シールド588は、測定出口535を通って供給される蒸発材料が供給する熱エネルギーを反射するように構成され得る。例えば、熱保護シールド588は、プレート(例えば、金属板)であってよく、又は、例えば、0.1mm以上の間隙によって互いに対して離間され得る2つ以上のプレート(例えば、2つ以上の金属シート)であってよい。例えば、シート金属は、0.1mmから3.0mmの厚さを有し得る。具体的には、熱保護シールドは、鉄材料又は非鉄材料、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銅合金、アルミニウム合金、黄銅、鉄、チタン(Ti)、セラミック、及び他の適した材料からなる群から選択された少なくとも1つの材料を含み得る。
図6Aは、蒸発るつぼ521の例示的な実施形態を示す。蒸発るつぼ521は、源材料(例えば、有機材料)を受け入れるための内部容積560を囲む内表面を有する壁を含む。例えば、蒸発るつぼの容積は、100cm3から3000cm3の間、具体的には700cm3から1700cm3の間、より具体的には1200cm3であってよい。図6Aに示するつぼは、2つの半分部として示され、対称面501に対して鏡面対称である。典型的に、蒸発るつぼ521は、コネクタ524を含み得る。コネクタ524を介して、るつぼと、分配アセンブリ、特に分配管とが、例えば、互いに形状を適合させて接続され得る。蒸発るつぼ521は、底壁557、及び上壁558を含み得る。底壁及び上壁は、側壁561〜566を介して互いに接続されてもよい。したがって、蒸発るつぼ521の内部容積560は、底壁557、上壁558、及び側壁561〜566によって囲まれ得る。るつぼの実施形態によれば、少なくとも上壁558はるつぼ開孔504を含み得る。るつぼ開孔504は、蒸発した源材料が、るつぼから出て、分配アセンブリ(例えば、蒸発した源材料を基板に誘導するように構成された分配管)に入ることを可能にする。
図6Aに示す実施形態によれば、るつぼ加熱ユニット523が、蒸発るつぼ521の壁において又は壁の中に設けられ得る。例えば、加熱ユニットは、1つ又は複数のヒータを含み得る。るつぼ加熱ユニットは、少なくともるつぼの壁の一部に沿って延在し得る。本明細書に記載された実装形態によれば、蒸発るつぼ521は、るつぼシールド527をさらに含み得る。るつぼシールド527は、るつぼ加熱ユニット523が供給する熱エネルギーをるつぼの筐体に向けて反射するように構成される。したがって、るつぼシールドは、蒸発るつぼの内部容積の内部での源材料の効率的な加熱を支えることができる。
諸実施形態によれば、蒸発るつぼ521は、蒸発るつぼ521の内部容積560内部に配置された1つ又は複数の熱伝達素子570を含み得る。熱伝達素子570は、るつぼの内部容積の間接加熱をもたらすよう構成され得る。したがって、1つ又は複数の熱伝達素子からの熱が源材料に直接付加され得る。源材料は、粉末、液体、及び/又はペレットの形態であってよい。例えば、熱伝達素子は、熱を受動的に受け入れように構成され得、例えば、加熱ユニット及び/又は電力供給部への直接接続を必要としない場合がある。具体的には、熱伝達素子570は、例えば、るつぼ壁から及び/又はるつぼの外部から熱を受け入れることができる。したがって、堆積処理中、るつぼの壁及び/又は外部からの熱は、熱伝達素子によって、るつぼの内部容積内部に分配され、源材料の均質な加熱及び連続蒸発が確実になされる。具体的には、熱伝達素子は、るつぼの内部容積の内部に配置されてもよく、それにより、るつぼの内部容積の任意の特定の位置で測定された温度は、所定の温度に比べて、且つ/又は、るつぼの内部容積の内部の別の特定の位置における温度に比べて、10℃以下、例えば、5℃以下(0.5℃から3℃等)の最大温度差により異なる。またさらに、追加的に又は代替的に、最大温度差は、4%以下、例えば、2%以下(0.2%から1.1%)であり得る。
図6Aを例示的に参照すると、熱伝達素子570は、壁から蒸発るつぼ521の内部容積560の中に突出し得る。例えば、第1の熱伝達素子571及び第2の熱伝達素子572は、例えば、第1の熱伝達素子及び第2の熱伝達素子のそれぞれの中で液体源材料を収容するためにカップ形状で設けられ得る。さらに、第1の熱伝達素子及び第2の熱伝達素子は、蒸発るつぼ521の側壁561〜566のうちのいずれかの少なくとも一部に接続され得る。より具体的には、第1の熱伝達素子571は、第2の熱伝達素子572の上方に配置され得る。すなわち、第1の熱伝達素子571は、第2の熱伝達素子572よりもるつぼ開孔504の近くに配置される。
本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の熱伝達素子と第2の熱伝達素子は、同じ形状であってもよく、又は、形状寸法及び/若しくは大きさが異なっていてもよい。具体的には、熱伝達素子570は、プレート状部分570a、及びチューブ状部分570bを有する。プレート状部分570aは、蒸発るつぼ521の内表面の少なくとも一部に沿って、側壁561〜566に接続され得る。チューブ状部分570bは、プレート状部分570aの中央に配置され得る。具体的には、チューブ状部分570bは、るつぼ開孔504に向かって延在してもよく、これにより、るつぼと分配アセンブリ(例えば、分配管)との間の流体交換のための接続が設けられる。より具体的には、熱伝達素子570のチューブ状部分570bの開孔の中心と、るつぼ開孔504の中心とは、蒸発るつぼ521の中央軸505に沿って位置合わせされるように配置され得る。
本明細書に記載された幾つかの実施形態によれば、1つ又は複数の熱伝達素子は、高い熱伝導率を有する金属又は合金を含む材料から作られ得る。例えば、熱伝達素子は、チタン、ステンレス鋼、及びダイヤモンド状炭素(DLC)から選択された任意の1つ又は複数の要素を含み得る。本明細書の実施形態では、蒸発処理中に熱伝達素子が源材料に対して反応しないように、1つ又は複数の熱伝達素子の材料は、源材料に対して不活性であり得る。使用される源材料の蒸発温度に応じて、1つ又は複数の熱伝達素子の材料は、少なくとも源材料の蒸発温度(例えば、150℃から650℃以上の範囲であり得る)まで安定且つ不活性であるべきである。
図6Bを例示的に参照すると、るつぼの代替的な実施形態によれば、蒸発るつぼ521は、壁、特に側壁からるつぼの内部容積560の中へと突出する1つ又は複数の熱伝達素子570を含み得る。具体的には、1つ又は複数の熱伝達素子570は、プレート573、例えば、図6Bに示す6つのプレートの形態で設けられてもよく、蒸発した源材料を分配アセンブリに向けて誘導するためにるつぼの内部容積の内部に配置され得る。より具体的には、6つのプレートはそれぞれ、壁から蒸発るつぼ521の内部容積560の中心に向けて突出し得る。例えば、6つのプレートはそれぞれ、図6Dに例示するように、蒸発るつぼ521のそれぞれの側壁に対して直角に配置され得る。具体的には、プレート573のうちの任意の1つ又はすべてが、るつぼの壁の中に、又は壁を通って延在し得る。例えば、図6Dに例示するように、6つのプレートのうちのいずれかが、それぞれの側壁を通って、且つ/又は底壁557を通って、且つ/又は蒸発るつぼ521の上壁558を通って延在し得る。
るつぼの幾つかの実施形態によると、るつぼの壁は、プレート573を収容するための複数のスリットを含み得る。スリットは、るつぼの壁を完全に通って延在し得る。したがって、スリットは、組み立て手順を簡略化し、確実に熱が外部からるつぼの内部容積へと効果的に伝達されるようにすることができる。例えば、るつぼを組み立てている間、プレートがスリット内に挿入されて、るつぼの外部からさらに溶接され得る。さらに、6つのプレートのいずれかが、蒸発るつぼ521の内部容積560の総長さ569の約0%から約100%の範囲内で蒸発るつぼ521の中央軸505に平行に長手方向に延在し得る。例えば、6つのプレートのいずれかが、るつぼの内部容積の総長さの少なくとも約90%にわたって延在し得る。
図6Cを例示的に参照すると、るつぼの代替的な実施形態によれば、1つ又は複数の熱伝達素子570は、複数のプレート573、例えば、蒸発るつぼ521の内部容積560の内部に配置された18個のプレートを含み得る。図5Bに示す実施形態と同じように、18個のプレートはそれぞれるつぼの壁を通って延在し得る。プレートの数を増やすことにより、るつぼの内部容積内部の1つ又は複数の熱伝達素子の表面積を拡大することができる。さらに、複数の熱伝達素子を有することにより、るつぼの内部容積内の熱伝達及び空間に関する特定の有益な実装形態に応じて、熱伝達素子を、るつぼの内部容積に追加したり、且つ/又は、るつぼの内部容積から取り出したりするという意味で、るつぼがモジュール式であることを可能にする。本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、プレートは、2つの隣接する平面(各平面はプレートのうちの1つに対して平行に延在する)の間の交点における最小絶対角が、約5°から約175°の間の範囲内、例えば、約30°、約45°、又は約60°であるように、るつぼの内部に配置され得る。
図6Dは、線A−Aに沿った、図6Bに示す蒸発るつぼ521の断面斜視図を示す。図6Dは、それぞれの側壁に対して、約90°の角度で突出する6つの熱伝達素子、例えば、プレート573を示す。図6Dに示すように、6つのプレートは、それぞれ、るつぼの外端部に延在し得る。具体的には、図6Dに例示するように、6つのプレートのうちの少なくとも4つのプレートが、るつぼの内部容積の中へと同じ距離で突出し得る。代替的に、6つのプレート若しくはそれより多くのプレートのすべてが、同じ距離で突出し得るか、又は、それぞれ異なる距離でるつぼの内部容積の中へと突出し得る。
さらに、図6Dを例示的に参照すると、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、蒸発るつぼ521は、六角形状を有し得る。代替的に、蒸発るつぼ521は、長方形、円形、楕円形、又は三角形などの他の幾何形状を含んでもよい。代替的に、蒸発るつぼ521は、図6Eに例示するように、円形形状を有し得る。具体的には、図6Eに示す実施形態によれば、熱伝達素子は、8つのプレートの形態で設けられ得る。この8つのプレートは、2つの隣接する平面(各平面はプレートのうちの1つに対して平行に延在する)の間の交点における最小絶対角が、約45°であるように、るつぼの内部容積560内に配置される。図6Eに示すように、複数の熱伝達素子の対称配置は、るつぼの内部容積内の均質分配を確実なものとするために有益であり得る。
図6Eに例示するように、1つ又は複数の熱伝達素子は、内部容積の中心が、自由空間、例えば、自由円筒空間(直径Dが少なくとも10mmからD=35mm)を含むように、るつぼの内部容積内に配置され得る。
本明細書に記載された実施形態によれば、蒸発源は、1つ又は複数の蒸発るつぼ、及び1つ又は複数の分配アセンブリ、具体的には、1つ又は複数の分配管を含み得る。典型的に、1つ又は複数の分配管のうちのそれぞれの分配管は、1つ又は複数の蒸発るつぼのうちのそれぞれの蒸発るつぼと流体連結し得る。このような構成は、1つ又は複数の材料が同時に蒸発するOLEDデバイスにおいて特に有益であり得る。したがって、図7Aで例示された実施例のように、3つの分配管、及び対応する蒸発るつぼが、互いに隣接するように設けられ得る。したがって、蒸発源は、蒸発源アレイと呼ばれてもよく、例えば、2種類以上の有機材料が同時に蒸発させられる。さらに、3つの分配管と、有機材料を蒸発させるように構成された対応する蒸発るつぼとを有する蒸発源アレイは、三重有機源とも呼ばれ得る。
図7Aから図7Cを例示的に参照すると、本明細書に記載された処理システム内で利用される分配アセンブリ530の実施形態が説明される。図7Aは、分配アセンブリの断面の上面図を示す。分配アセンブリは、図7Aに例示するように、少なくとも1つの分配管、例えば、3つの分配管を含み得る。分配管533は、内部チューブ537及び外部チューブ536を有する細長い管であり得る。図7Aに例示するように、典型的に、3つの分配管が設けられ得る。これらの分配管は、その長さに対して直角に非円形断面を有する。具体的には、分配管の長さに対して直角な断面は、丸みを帯びた角部を有する三角形、及び/又は、角が切り取られた三角形であり得る。
したがって、2つ以上の分配管を有する分配アセンブリを設けることにより、種々の材料の同時蒸発及び同時堆積のための蒸発源が設けられ得る。具体的には、隣接する分配管の排出口は、最小距離で設けられ得る。距離がより短いことにより、互いに隣接する排出口を通して排出される蒸発材料の混合が改善される。
さらに、図7Aに例示するように、各分配管の1つ又は複数の排出口の蒸発方向が、分配管の長さに沿って設けられた対称平面に傾くように、分配管は構成且つ配置され得る。例えば、基板面に直交する表面に対する分配管の主要な蒸発方向の放出の角度は、20°以下、例えば、3°から10°であり得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、分配管の長さと分配管の水力直径によって除算された分配管のすべての排出口の面積との積、即ち、式N*A*L/Dによって計算された値は、7000mm2以下、例えば、1000mm2から5000mm2であり得る。この式では、Nは、分配管の排出口の数であり、Aは、1つの排出口の断面積であり、Lは、分配管の長さであり、Dは、分配管の水力直径である。
幾つかの実施形態では、分配管533は、内部チューブの内部に設けられた加熱素子によって加熱され得る。加熱素子は、加熱ワイヤ(例えば、コーティングされた加熱ワイヤ)によって設けられ得る電気ヒータであり得、内部チューブに留められたり、又はさもなければ固定されたりする。さらに、冷却シールド538が、分配管を取り囲むように設けられ得る。図6Aに例示するように、幾つかの実施形態によれば、第1の冷却シールド538Aは、2つ以上の分配管を取り囲むことができる。
上述のように、蒸発るつぼ内で蒸発する源材料は、少なくとも1つの分配管内に分配され、排出口539を通して分配管から排出され得る。典型的には、複数の排出口539が分配管の長さに沿って分配される。例えば、排出口は、ノズルによって設けられ得る。典型的に、ノズルは、分配アセンブリの熱シールド又は熱シールドの積層体を通って延在する。したがって、ノズルが熱シールドを通して金属材料を誘導するので、熱シールドにおける蒸発材料の凝縮を減らすことができる。さらに、内部の温度と同様の温度まで加熱することができるノズルを設けることができる。このノズルは、分配管の加熱された壁と接触する。
上述のように、各分配管は、蒸発るつぼと流体連結している。さらに、図7Aに例示するように、典型的に、少なくとも1つの分配管は、分配管の長さに対して直角な断面を有し、この断面は、非円形であり、1つ又は複数の排出口が設けられる排出側を含む。断面の排出側の幅は、断面の最大寸法の30%以下である。
本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、図7Aに例示したように、蒸発器制御ハウジング541が、分配アセンブリ530、具体的には、分配管に隣接して設けられ得、断熱材542を介して、分配アセンブリ530に接続される。具体的には、蒸発器制御ハウジングは、内部で大気圧を維持するように構成され、スイッチ、バルブ、コントローラ、冷却ユニット、冷却制御ユニット、加熱制御ユニット、電源、及び測定装置から成る群から選択された少なくとも1つの素子を収納するように構成され得る。したがって、蒸発源アレイ用の蒸発源を操作するための構成要素を、蒸発るつぼと分配管の近くに大気圧下で設けることができ、蒸発源と共に堆積装置を通して移動させることができる。
図7Aを例示的に参照すると、第1の冷却シールド538Aに加えて、第2の冷却シールド538Bが設けられ得る。第2の冷却シールド538Bは、堆積領域(すなわち、基板及び/又はマスク)に向かう熱放射を低減するため、U字型の冷却シールドを設けるよう配置される側壁を含み得る。例えば、冷却シールドは、水などの冷却流体用の導管を有する金属板として設けられ得る。導管は、冷却シールドに取り付けられるか、又は、その内部に設けられる。追加的又は代替的に、熱電冷却手段又はその他の冷却手段が、冷却シールドを冷却するために設けられ得る。典型的には、外側シールド、すなわち、分配管の内部空洞を取り囲む最も外側のシールドを冷却することができる。
したがって、上述のように、各分配管は、分配管の内外の温度を制御するために、加熱素子(例えば、加熱プレート)、及び冷却シールド(例えば、水冷プレート)を含み得る。典型的に、図7Aに例示するように、3つの分配管すべてが、シールド、特に冷却シールドによって取り囲まれ得る。
本明細書に記載された蒸発源アレイのための加熱素子及び冷却シールドを設けることにより、コーティングされる基板の熱負荷への露出を最小限にすることができると同時に、蒸発チューブの内部の蒸発材料の早期凝縮を防ぐことができる。
図7Aでは、例示を目的として、分配管の排出口から排出される蒸発した源材料が矢印で示されている。分配管が本質的に三角形状であるため、3つの分配管に基づく蒸発円錐は、互いに接近しており、それにより、種々の分配管からの有機材料の混合が改善され得る。具体的には、分配管の断面形状が、隣接する分配管同士の排出口又はノズルを互いに接近させて置くことを可能にする。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、第1の分配管の第1の排出口又はノズル、及び第2の分配管の第2の排出口又はノズルは、25mm以下の距離、例えば、5mmから25mmまでの距離を有し得る。さら具体的には、第1の排出口又はノズルから第2の排出口又はノズルまでの距離は、10mm以下であり得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態によれば、ノズルの管を延長することができる。分配管間の距離が短いことを考慮すると、このような管の延長は、内部での詰まり又は凝結を回避するために十分に短くてもよい。2つの源又はさらに3つの源のノズルを、互いの上に一直線に、すなわち、垂直な延長であり得る分配管の延長に沿って一直線に設けることができるように、管の延長が設計され得る。この特別な設計により、2つ又は3つの源のノズルを小さな管の延長上に一直線に配列することがさらに可能になり、完璧な混合が実現される。
図7Aにさらに示すように、シールドデバイス、具体的には、シェーパシールドデバイス517が、例えば、第2の冷却シールド538Bに取り付けられるように、又は、第2の冷却シールドの一部として、設けられ得る。シェーパシールドを設けることにより、排出口を通って1つ又は複数の分配管から排出される蒸気の方向を制御する、すなわち、蒸気放出の角度を狭めることができる。幾つかの実施形態によれば、排出口又はノズルを通って蒸発する金属材料の少なくとも一部が、シェーパシールドによって遮断される。したがって、放出角度の幅を制御することができる。幾つかの実施形態によれば、シェーパシールドデバイスは、堆積エリアに向かって放出される熱負荷をさらに低減するために冷却することもできる。シェーパシールドは、基板に向かって分配された有機材料の分配円錐の範囲を定め、すなわち、シェーパシールドは、蒸発した源材料の少なくとも一部を遮断するように構成される。
したがって、熱シールド及び/又は冷却シールドを含む分配アセンブリの実施形態は、感温性有機材料が堆積され得る基板の温度上昇を抑えるように構成されている。具体的には、温度上昇を5ケルビン未満、又はさらに1ケルビン未満に抑えることができる。さらに、蒸発源から基板への熱伝達を低下させるために、金属板の積層体、例えば、最大10枚の金属板を設けることができる。さらに、蒸発源の三角形状は、基板に向かって熱を放射する加熱領域の縮小について有益であり得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、熱シールド又は金属板には、排出口又はノズルのためのオリフィスが設けられ得る。熱シールド又は金属板は、蒸発源の少なくとも前側、すなわち、基板に面する側面に取り付けられ得る。
本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、外側排出口、具体的には、外側ノズルは、ノズルの排出口が互いにより近づくように、中央分配管チューブ延長部のノズルチューブに向かって延長する短いチューブを含み得る。具体的には、チューブ延長部は、60度から120度、例えば、90度の屈曲を有し得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態によれば、さらなるシールド543が、分配管の間に設けられ得る。例えば、さらなるシールド543は、冷却されたシールド又は冷却されたラグであり得る。したがって、このようなさらなるシールドによって、分配管の温度を互いから独立させて制御することができる。例えば、互いに隣接する分配管を通して種々の材料を蒸発させる場合、これらの材料は、異なる温度で蒸発させる必要があり得る。したがって、さらなるシールド543、例えば、冷却されたシールドは、蒸発源又は蒸発源アレイの中の分配管間のクロストークを低減することができる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、排出口(例えば、ノズル)は、主要な蒸発方向が水平に±20°であるように配置され得る。幾つかの特定の実施形態によれば、蒸発方向は、僅かに上方に、例えば、3°から7°上方に等、水平方向から15°までの範囲で上方に配向され得る。
図7Bは、本明細書に記載された実施形態に係る、蒸発源の分配アセンブリ530の概略断面図を示す。分配アセンブリ530は、3つの分配管533を含み、それぞれ、分配管の長さ方向に沿って配置され得る複数のノズル544を有する。図7Bの分配管の長さ方向は、図7Bの描画面に対して直角である。図7Bの断面は、3つの例示された分配管におけるそれぞれのノズルの排出口を通して交差する。図7Bに例示するように、蒸発した源材料は、分配管533の内部から、ノズル544の排出口を通って、基板101に向かって流出し得る。ノズル544は、蒸発した源材料のプルーム318を基板101に向けて方向付けるように構成されている。
図7Bを例示的に参照すると、実施形態によれば、分配アセンブリ530は、複数のノズル544から下流に配置され得るシェーパシールドデバイス517をさらに含み得る。シールドデバイスは、蒸発した源材料を基板101に向けて誘導し、蒸発した源材料のプルームを個々に成形するように構成され得る。シールドデバイスは、例えば、スクリューなどの固定要素を介して、分配管に着脱可能に固定されてもよい。シールドデバイスは、複数の開孔545を含み得る。複数の開孔545のうちの少なくとも1つの開孔は、単一の関連付けられたノズルから放出された蒸発した源材料のプリームを個々に形成するよう構成され得る。代替的に、シールドデバイスの複数の開孔の各開孔が、単一の関連付けられたノズルから放出された蒸発した源材料の単一のプリームを個々に形成するよう構成され得る。言い換えると、複数のノズルのうちのすべてのノズルの前に別々の開孔が配置され得る。
したがって、複数のノズルから放出された蒸発した源材料の各プルームは、複数の開孔のうちの関連付けられた開孔によって個々に成形され得る。蒸発した源材料のプルームを個々に成形することにより、堆積精度の向上をもたらすことができ、マスクがもたらしたシャドーイング効果を低減させることができる。具体的には、蒸発した源材料のプルームを個々に成形することにより、プルーム側面がより明確に画定された、より小さなプルーム開口角度がもたらされ得る。マスク及び/又は基板に対してプル−ムの衝突角度が大きくなることを避けることができる。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの開孔は、3mm以上及び25mm以下、特に、5mm以上及び15mm以下の直径を有し得る。ここでは、開孔の直径は、開孔の前端549で測定されてもよい。開孔の前端549は、基板101に向かって広がるプルーム318の最大放出角度を画定する。
幾つかの実施形態では、図7Bに例示するように、開孔は、関連付けられたノズルの前方に配置され得る。例えば、ノズルの主要な放出方向Xは、ノズルの排出口の中心と開孔の中心との間の接続線に対応し得る。開孔545は、周壁によって囲まれたプルーム318用通路546として構成され得る。周壁547は、ノズルから放出された蒸発した源材料のプルーム318の少なくとも一部を遮蔽するように構成され得る。幾つかの実施形態では、周壁547は、蒸発した源材料のプルーム318の外側角部を遮蔽するように構成され得る。幾つかの実施形態では、周壁547は、シールドデバイスの底壁548から主要放出方向Xに対して平行に延在し得る。底壁548は、主要放出方向Xに対して実質的に直角に延在し得る。底壁は、開孔に入るための、プルームのための又はノズルの排出口のための開口を有し得る。
本明細書に記載された「開孔」は、蒸発した源材料の単一のプルームを成形するように構成された壁によって少なくとも部分的に囲まれた開口又は通路のことを表し得る。特に、プルームの最大開口角度を制限し、プルームの外側角部を遮蔽するために、この壁を通して、蒸発した源材料の単一のプルームが誘導される。幾つかの実施形態では、通路は、周壁によって完全に囲まれてもよく、それにより、関連付けられたノズルの主要放出方向Xを含むすべての断面においてプルームを成形する。
本明細書の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、シールドデバイスは、分配管に近い距離に、例えば、主要放出方向Xにおいて5cm以下又は1cm以下の距離に配置され得る。ノズルから下流の近い距離に開孔を配置することは、有益であり得る。なぜなら、複数のノズルの互いに隣接するノズルを互いに対して近い距離で配置しても、プルームを個々に成形することが可能であり得るからである。
幾つかの実施形態では、ノズルは、少なくとも部分的にシールドデバイス内に突出し得る。言い換えると、ノズルとシールドデバイスの両方と交差する、主要放出方向Xに対して直角な断面があり得る。例えば、図7Bに例示するように、ノズルの排出口は、開孔内に突出し得る。具体的には、ノズルの排出口は、底壁548の開口又は周壁547によって囲まれた通路546の中に突出し得る。これにより、ノズルの排出口の直接下流でノズルから放出されたプルーム318を成形することが可能となり、隣接するノズル同士を互いに近い位置に位置付けすることができる。
図7Bを例示的に参照すると、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、ノズルは、シールドデバイスと直接機械的に接触しないことがあってよい。具体的には、ノズルは、開孔壁から一定の距離で開孔の中に突出し得る。例えば、ノズルとシールドデバイスとの間の最小距離は、3mm以下若しくは1mm以下、及び/又は0.1mmを越えてもよい。ノズルとシールドデバイスとの間の直接接触を避けることにより、ノズルとシールドデバイスとの間の熱分離をもたらすことができる。したがって、典型的に熱いノズルとシールドデバイスとの間の直接熱伝達を避けることができ、シールドデバイスから基板に向かう熱放射を低減させることができる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、周壁547は、蒸発した源材料のプルーム318の蒸発した源材料を遮蔽するように構成され得る。ここで、蒸発した源材料のプルーム318は、第1の断面における主要放出方向Xに対する第1の最大放出角度αより大きな放出角度を有する。図7Bの描画面は、第1の断面を示す。第1の断面は、主要放出方向Xを含み得る。幾つかの実施形態では、第1の断面は、水平面、及び/又は、分配アセンブリ、具体的には、分配管の長さ方向に対して直角に延在する平面である。図7Bに示すように、開孔545の周壁547は、放出円錐の開口角度が2θの角度に制限されるように、第1の断面における蒸発した源材料のプルーム318の外側角部を遮蔽するように構成されている。言い換えると、周壁547は、第1の最大放出角度αより大きな放出角度で、ノズルによって放出された蒸発した源材料の一部を遮蔽する。例えば、第1の最大放出角度αは、10°から45°、具体的には、20°から30°、より具体的には、約25°の角度であり得る。したがって、第1の断面における放出円錐の開口角度2αは、20°以上及び90°以下、具体的には、約50°であってよい。図7Bに示されているように、第1の最大放出角度αを狭めることによって、マスクに起因するシャドーイング効果を低減させることができる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、周壁547は、蒸発した源材料のプルーム318の蒸発した源材料を遮蔽するように構成され得る。ここで、蒸発した源材料のプルーム318は、第1の断面に対して直角な第2の断面における主要放出方向Xに対する第2の最大放出角度より大きな放出角度を有する。第2の断面は、図7Bの描画面に対して直角な平面であり得る。第2の断面は、主要放出方向Xを含み得る。幾つかの実施形態では、第2の断面は、垂直面、及び/又は、分配管の長さ方向に対して平行に延在する平面である。例えば、開孔の周壁547は、放出円錐の開口角度が2βの角度に制限されるように、第2の断面における蒸発した源材料のプルーム318の外側角部を遮蔽するように構成され得る。言い換えると、周壁547は、第2の断面における第2の最大放出角度βより大きな放出角度で、ノズルによって放出された蒸発した源材料の一部を遮蔽し得る。例えば、第2の最大放出角度βは、10°から60°、具体的には、30°から40°、より具体的には、約45°の角度であり得る。したがって、第2の断面における放出円錐の開口角度は、20°以上及び120°以下、具体的には、約90°であってよい。第2の最大放出角度βを狭めることによって、図3の描画面に対して直角な平面においてマスク330に起因するシャドーイング効果を低減させることができる。
幾つかの実施形態では、第2の最大放出角度は、第1の最大放出角度と異なる角度、具体的には、第1の最大放出角度より大きな角度である。これは、より大きな最大放出角度が、分配管の長さ方向において可能であるからである。具体的には、分配管の長さ方向において、隣接するノズルは、典型的に、同じ蒸発材料を放出するように構成されており、分配管に沿って隣接するノズルの間隔をより容易に調節することができる。他方で、分配管の長さ方向に対して直角な方向で互いに隣接するノズルは、異なる材料を放出するように構成されてもよく、互いに隣接するノズルのプルームの重複を正確に設定することが有益であり得る。
より具体的には、第1の断面は、水平面であり得、第1の最大放出角度αは、20°から30°であり得、第2の断面は、垂直面であり得、第2の最大放出角度βは、40°から50°であり得る。幾つかの実施形態では、分配管の長さ方向における2つの隣接するノズル間の距離は、1cmから5cm、具体的には、2cmから4cmであってもよい。したがって、複数の開孔のうちの2つの隣接する開孔間の距離、すなわち、それぞれの開孔の中心間の距離は、1cmから5cm、具体的には、2cmから4cmであってもよい。例えば、2つの隣接する開孔の間の距離は、2つの隣接する関連付けられたそれぞれのノゾルの間の距離に対応し得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、開孔545は、周壁547によって囲まれたプルーム318のための丸い通路として構成されている。「丸い通路」とは、主要放出方向Xに対して直角な断面において、曲線的な輪郭、例えば、湾曲した輪郭、円形の輪郭、又は楕円形の輪郭をもつ通路であると理解してよい。例えば、周壁547は、主要放出方向Xに対して直角な断面において、円形又は楕円形を有し得る。円形の通路は、主要放出方向に対して回転対称であるように、プルーム318を成形し得る。楕円形の通路は、楕円形の通路の長軸に対応する第1の断面において大きな開口角度を有し、楕円形の通路の短軸に対応する第2の断面において小さな開口角度を有するように、プルーム318を成形し得る。楕円形の通路の長軸は、垂直方向に配置されてもよく、楕円形の通路の短軸は、水平方向に配置されてもよい。
例えば、幾つかの実施形態では、周壁547は、主要放出方向Xに対して直角な断面に円形を形成し得る。円形の直径、すなわち、通路の内径は、3mm以上及び25mm以下、具体的には、5mm以上及び15mm以下であり得る。通路の直径は、通路の下流端で測定されてもよい。通路の下流端は、プルーム318の最大開口角度を画定する。幾つかの実施形態では、主要放出方向Xにおける周壁547の長さは、一定であり得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態によれば、開孔545は、周壁547によって囲まれたプルーム318のための通路546として構成され得、主要放出方向Xにおける周壁の長さは周方向で変動する。より具体的には、基板に向けて方向付けられた周壁547の前端549は、周方向で変動する、ノズルの排出口からの一定の距離を有し得る。周方向で周壁の長さの変動をもたらすことにより、プルーム318の開口角度が、様々な断面で異なるように構成され得る。
より具体的には、図7Bに例示するように、周壁547は、主要放出方向Xを含む第1の断面において第1の長さT1を有し得、周壁は、第2の断面において第1の長さT1より短い第2の長さT2を有し得る。第2の断面は、主要放出方向Xを含み、第1の断面に対して直角に延在する。第1の断面は、分配管の長さ方向に対して直角であり得る(例えば、水平面)。第2の断面は、分配管の長さ方向に対して平行であり得る(例えば、垂直面)。
周壁の長さは、第1の断面における第1の長さT1から第2の断面における第2の長さT2まで継続的に変動し得る。言い換えると、周壁547の前端549は、周方向において段差又は不連続を含まないことがある。したがって、プルーム318の開口角度は、周方向において段階的に変動し得、これは、堆積精度の改善に有益であり得る。具体的には、幾つかの実施形態では、第1の長さT1は、8mmと20mmとの間、具体的には、約12mmの長さであり得、且つ/又は、第2の長さT2は、3mmと15mmとの間、具体的には、約6.5mmの長さであり得る。周壁の「長さ」は、主要放出方向X上のそれぞれの断面において、ノズルの排出口と周壁の前端とを接続するベクトルの突出の長さに対応し得る。
さらに、周壁の前端549が、周方向で波状又は緩波状の形状を有するときに、鋭角を有するピクセルが基板上に堆積され得ることに留意するべきである。したがって、波の天井が、第1の断面、すなわち、図7Bの描画面において位置付けされ得、波の底が、第2の断面、すなわち、第1の断面に対して直角な平面に配置され得る。周壁547の前端549は、2つの波の天井と2つの波の底を含み得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、シェーパシールドデバイスは、互いに隣り合うように配置された複数の別々のシールドユニットを含み得る。複数の別々のシールドユニットの各シールドユニットは、複数の開孔545のうちの1つ又は複数の開孔を含み得る。本明細書に記載された「別々の」シールドユニットとは、互いに直接接触せず、直接的な機械的接続なく別々の構成要素として設けられる2つ以上のシールドユニットのことを指し得る。図7Bに示すように、複数の別々のシールドユニットのシールドユニットは、互いに直接接触しない。例えば、別々のシールドユニットは、1つ又は複数の対応する固定要素によって、対応する分配管に別々に固定され得る。幾つかの実施形態では、複数の別々のシールドユニットの各シールドユニットは、複数の開孔545のうちの単一の開孔を含み得る。各開孔は、蒸発した源材料の単一のプルームを成形するように構成された遮蔽壁によって囲まれた通路として構成され得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、複数の別々のシールドユニットのうちの少なくとも1つのシェーパシールドユニットは、複数の開孔545のうちの2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の開孔を含み、これらは、例えば、線形配置で支持構造体によって互いに接続され得る。少なくとも1つのシールドユニットの2つの隣接する開孔間の距離は、1cm以上及び5cm以下であり得る。幾つかの実施形態では、複数のシールドユニットのうちの各シールドユニットは、複数の開孔のうちの2つ以上の開孔を含み得る。シェーパシールドデバイスのシールドユニットの数が減ると、シールドデバイスを分配管に取り付けることが容易になり得る。したがって、シールドユニットごとに開孔の数を増やすことが有益であり得る。
幾つかの実施形態では、シールドユニットごとの開孔の数は、10個以下、具体的には、5個以下である。シールドユニットが実質的な長さにわたって延在しないときに、シールドユニットは、より容易に分配管のうちの1つの局所的な熱膨張及び収縮に追随することができる。具体的には、分配管のうちの1つが熱膨張且つ収縮すると、隣接するシールドユニットが、互いに対して移動し得る。図7Bでは、分配管533に接続されたシールドユニットが、残りのシールドユニットに対して移動可能であるように、残りのシールドユニットから機械的に分離されていることを示す。例えば、堆積中に分配管が互いに対してわずかに移動し得るように、第1の分配管533Aの温度は、第2の分配管533Bの温度及び第3の分配管533Cの温度から異なるよう変動し得る。シールドユニットは、残りのそれぞれのシールドユニットから機械的に分離されているので、シールドユニットは、それぞれの分配管の移動に追随することができる。したがって、蒸発した源材料のプルームは、分配管が互いに対して移動するときも、又は、分配管のうちの1つが熱的に膨張又は収縮するときにも、安定的に成形され得る。シールドユニットの1つ又は複数の開孔は、それぞれ、1つ又は複数の関連付けられたノズルの移動に追随し得る。したがって、幾つかの実施形態では、複数の別々のシールドユニットの各シールドユニットは、複数の別々のシールドユニットのうちの残りのシールドユニットの熱起因移動に追随しないように、残りのシールドユニットから機械的に分離され得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、複数の別々のシールドユニットのうちの少なくとも1つのシールドユニットは、単一の分配管の長さ方向で単一の分配管の熱膨張及び収縮に追随するように、具体的には、単一の分配管が熱的に収縮又は膨張するときに、単一の分配管に接続されたさらなるシールドユニットに対して移動するように、単一の分配管に接続され得る。
図7Bを例示的に参照すると、幾つかの実施形態によれば、第1の分配管533Aのノズルの主要放出方向は、第2の分配管533B及び/又は第3の分配管533Cのノズルの主要放出方向に対して傾くことがある。例えば、第1の分配管533Aから放出された蒸発した源材料のプルームが、第2の分配管533B及び/又は第3の分配管533Cから放出された蒸発した源材料のプルームと重複し得るように、主要放出方向は傾き得る。幾つかの実施形態では、分配管の主要放出方向が基板の表面上で実質的に交差し得るように、分配管は配置され得る。断面において種々の分配管から放出されたプルームは、基板上の実質的に同じ領域に方向付けられ得る。
図7Cは、本明細書に記載された実施形態に係る分配アセンブリ530を断面図で示し、断面は、分配管533の長さ方向に延びる。分配管の長さ方向は、垂直方向であり得る。幾つかの実施形態では、第2の分配管533B及び/又は第3の分配管533Cは、図7Bに示すように、垂直方向で第1の分配管533Aに対して実質的に平行に延びることがある。図7Cに例示するように、典型的に、分配管533は、分配管の長さ方向で互いに隣に配置された複数のノズル544を含む。複数のノズルのうちの第1のノズル544A及び第2のノズル544Bが図7Cに示される。蒸発した源材料の第1のプルーム318Aは、第1のノズル544Aによって放出され、蒸発した源材料の第2のプルーム318Bは、第2のノズル544Bによって放出される。
典型的に、シェーパシールドデバイス517は、複数のノズルから下流に配置され、複数のノズルから放出された蒸発した源材料のプルームを成形する。シェーパシールドデバイスは、複数の独立したシールドユニットを含み得る。複数のシールドユニット518のうちの第1のシールドユニット518Aが図7Cに示されている。第1のシールドユニット518Aは、第1の開孔545A及び第2の開孔545Bを含み得、図7Bを参照して説明された開孔545に従って構成され得る。第1の開孔545Aは、第1のノズル544Aから放出された第1のプルーム318Aを個別に成形するように構成され得、第2の開孔545Bは、第2のノズル544Bから放出された第2のプルーム318Bを個別に成形するように構成され得る。
典型的な実施形態によれば、シールドユニットは、複数の開孔のうちの3つ以上の開孔、例えば、3つ、4つ、又は5つの開孔を線形配置で含み得る。開孔は、支持構造体、例えば、プレート要素によって接続され得る。シールドユニットの開孔は、分配管の長さ方向に沿って互いに隣同士に設けられた、3つ、4つ、又は5つの隣接するノズルの蒸発した源材料のプルームを個別に成形するように構成され得る。分配管は、直線配置で設けられた10個以上のノズルを含み得る。したがって、2つ以上のシールドユニット、例えば、2つ、3つ、又はそれ以上のシールドユニットが、直線配置で分配管に固定され得る。複数の別々のシールドユニットの各シールドユニットは、蒸発源の2つ以上の分配管の単一の分配管に機械的に固定され得る。個々のシールドユニット同士の間の相対的移動が可能であり得るように、シールドユニットは、機械的に且つ/又は熱的に互いから分離され得る。したがって、シールドユニット上の分配管が伸張又は収縮するように固定されるとき、シールドユニットは、互いに対して移動し得る。
例えば、図7Cに示す第1のシールドユニット518Aなどのシールドユニットは、分配管533から熱的に分離されるように分配管533に固定され得る。例えば、第1のシールドユニット518Aは、シールドユニットと分配管との間に配置され得る1つ又は複数のスペーサ要素519によって、分配管533から一定距離で保持され得る。スペーサ要素519は、分配管のノズル間に配置された支持部として構成され得る。スペーサ要素519は、分配管533からシールドユニット518に向かう熱流を減らすために、小さな接触領域を設け得る。例えば、スペーサ要素519の接触領域は、1mm2以下、特に、0.25mm2以下であり得る。シールドユニット518は、1つ又は複数の固定要素、例えば、スクリューを介して、分配管に固定され得る。固定要素は、熱伝導率が低い材料から作られ得る。
分配管の長さ方向におけるシールドユニット518の長さは、20cm以下、特に、10cm以下であり得る。シールドユニットの長さが短いことにより、シールドユニットは、分配管の熱に起因する局所運動、例えば、膨張又は収縮運動に追随することができる。例えば、分配管に固定された第1のシールドユニットは、分配管が膨張したとき、同じ分配管に固定された第2のシールドユニットから離れるように移動することができる。分配管に固定された第1のシールドユニットは、分配管が収縮したとき、同じ分配管に固定された第2のシールドユニットに向かって移動することができる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、シールドユニットは、シールドユニットの長さ方向に沿って、例えば、シールドユニットの中央部分において、単一の固定部分において分配管に堅く締着される。さらなる位置では、シールドユニットは、シールドユニットと分配管との間の相対的運動を可能にするように、分配管533に固定され得る。例えば、図7Cに示す実施形態では、シールドユニット(例えば、第1のシールドユニット518A)の第1の端部518Cと、シールドユニットの第2の端部518Dとは、例えば、シールドデバイスに設けられ得るスロット孔を貫通するスクリューなどの固定要素を介して、分配管に移動可能に固定され得る。幾つかの実施形態では、スロット孔は、シールドユニットの長さ方向において分配管とシールドユニットとの間に、0.01mm以上及び0.5mm以下、例えば、約0.1mmのクリアランスを設け得る。
図7Dは、本明細書に記載された実施形態に係る蒸発源のためのシェーパシールドデバイスのシールドユニット518を斜視図で示す。上述のように、シェーパシールドデバイスは、複数の別々のシールドユニット、例えば、3つ以上の、特に、12個以上のシールドユニットを含み得る。典型的に、シールドユニット518は、2つ以上の開孔545及び/又は10個以下の開孔、特に、5つの開孔を含み得る。各開孔は、遮蔽壁、例えば、周壁547によって囲まれた通路として構成され得る。丸い通路、特に、円形の通路は、空間を節約し、製造し易いことがある。丸い通路には、回転対称により、蒸発した源材料が、周方向において同じ衝突角度で遮蔽壁に衝突し得るというさらなる利点があり得る。堆積中、蒸発した源材料は、周方向で遮蔽壁に均一に堆積され得る。シールドユニットの洗浄がより簡単となり得る。
図7Dに例示するように、シールドユニット518の開孔は、隣接する開孔同士の間に1cm以上及び5cm以上、具体的には、約2cmの距離がある状態で線形配置され得る。シールドユニット518は、一体型構成要素として構成されてもよい。開孔は、シールド支持構造体518B、例えば、細長いプレート要素によって接続され得る。シールドユニット518は、3cm以下、2cm以下、又はさらに1cm以下の幅を有し得る。シールド支持構造体518Bは、例えば、スクリュー又はボルトを介して、シールドユニットを分配管に固定するための、第1の端部における1つ又は複数の孔、及び第1の端部の反対側の第2の端部における1つ又は複数の孔を含み得る。幾つかの実施形態では、さらなる孔が、それぞれ、開孔間に設けられ得る。シールドユニット518の各開孔は、蒸発源の単一の関連付けられたノズルから放出された蒸発した源材料のプルームを個々に成形するように構成され得る。本明細書に記載された幾つかの実施形態では、シールドユニット518の開孔は、それぞれ、3mmと25mmとの間の直径、具体的には、5mmと15mmとの間の直径を有し得る。シールドユニットの開孔の小径により、堆積精度が改善され得る。しかしながら、開孔の小径は、より簡単に詰まってしまう傾向があり、堆積の効率及び堆積の均一性の劣化を引き起こす恐れがある。したがって、本明細書に記載された分配アセンブリは、長期間にわたって高い堆積精度を維持し、それと同時に、開孔の詰まりを防ぐ。
図7E及び図7Fを例示的に参照すると、本明細書に記載された分配アセンブリのためのノズルの例示的な実施形態が説明される。典型的に、ノズル590は、蒸発した材料をコーティングされる基板へと誘導する方向付け部591を含み得る。方向付け部は、例えば、ノズルから放出される蒸気プルームの所望の形状と強度を生じさせるように形成且つ設計され得る。さらに、ノズル590は、本明細書に記載されたように、ノズルを分配管533などの分配アセンブリに交換可能に接続するための接続部592を含む。具体的には、ノズル590の接続部592は、ノズルを分配管にねじ込むように構成され得る。例えば、ノズルの接続部は、図7Eに例示するように、ねじ山領域593、具体的には、外ねじ山を含み得る。本明細書に記載された幾つかの実施形態に係る分配管は、ノズルを分配管に接続するための内ねじ山を含み得る。幾つかの実施形態によると、ノズルのねじ山は、典型的には、約5mmと約15mmの間、より典型的には、6mmと12mmの間、さらにより典型的には、8mmと10mmの間の外径を有し得る。
図7Fに例示するように、典型的には、ノズル590は、ノズル入口594、ノズル出口595、及びノズル入口とノズル出口との間の通路596を含む。したがって、るつぼから来る蒸発材料は、分配管内に誘導され、ノズル入口594を通して、ノズル590に入る。蒸発材料は、次いで、ノズルの通路596を通過し、ノズル出口595においてノズルから排出される。幾つかの実施形態では、通路596の形状は、ノズルを通して蒸発材料を誘導するための任意の適切な形状であってよい。例えば、ノズルの通路の断面は、実質的に円形形状を有し得るが、楕円形であってもよく、又は細長いい孔の形状であってもよい。幾つかの実施形態では、ノズルの通路の断面は、実質的に長方形、実質的に正方形、又はさらに実質的に三角形であってもよい。
さらに、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、ノズルの通路596は、第1のセクション596A、及び第2のセクション596Bを含み得る。ノズルの第1のセクション596Aには、第1のセクションサイズ598A(例えば、第1の直径)、及び第1のセクション長さ597Aが設けられる。ノズルの第2のセクション596Bには、第2のセクションサイズ598B(例えば、第2の直径)、及び第2のセクション長さ597Bが設けられる。本明細書に記載された実施形態によれば、第2のセクションサイズは、第1のセクションサイズより、2から10倍大きいか、より典型的には、2から8倍大きいか、さらにより典型的には、3から7倍大きくてよい。一例では、第2のセクションサイズは、第1のセクションサイズより4倍大きくてよい。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、ノズルの通路596の第1のセクション596Aは、ノズル入口594を含み得、通路596の第2のセクション596Bは、ノズル出口595を含み得る。幾つかの実施形態では、第1のセクションサイズ598Aは、典型的には、1.5mmと約8mmの間、例えば、約2mmと約4mmの間であり得る。第2のセクションサイズ598Bは、3mmと約20mmの間、例えば、約4mmと約10mmの間であり得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、通路の第1のセクション596Aの長さ、及び通路の第2のセクション596B長さは、2mmと約20mmの間、より典型的には、約2mmと約15mmの間、さらにより典型的には、約2mmと約10mmの間であり得る。
幾つかの実施形態では、第1のセクションは、特に、第2のセクションより小さいサイズを有することにより、分配管からノズルの中へと誘導される蒸発材料の均一性を増すように構成され得る。幾つかの実施形態では、比較的狭い第1のセクションは、蒸発材料の粒子がより均一に配置されるように押し出すことができる。第1のセクションで蒸発材料をより均一にすることは、例えば、蒸発材料の密度、単一の粒子の速度、及び/又は蒸発材料の圧力をより均一にすることを含み得る。
本明細書に記載された実施形態によれば、第2のセクション(典型的に、第1のセクションに隣接するように配置される)は、蒸発材料の方向性を向上するように構成され得る。例えば、第1のセクションから第2のセクションへと流れる蒸発材料は、第2のセクションよりサイズが小さい第1のセクションを離れるときに広がることになる。しかしながら、第2のセクションは、第1のセクションから広がる蒸発材料を捕捉して、蒸発材料を基板に向けて方向付けることができる。本明細書に記載された実施形態に係る材料堆積構成体からの蒸発材料のプルームを既知のシステムの蒸発材料のプルームと比べると、プルームは、基板又はマスク(例えば、ピクセルマスク)に向けてより正確に方向付けられる。
本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、第1のセクション596Aと第2のセクション596Bとの間に移行セクションが設けられ得る。例えば、図7Fに示す段差移行とは対称的に、移行セクションは、第1のセクション596Aと第2のセクション596Bとの間にスロープを設けるように構成され得る。典型的に、移行セクションの長さは、第1の及び/又は第2のセクションの長さの、1/6から4/6の間、より具体的には、1/6から1/2の間、さらにより具体的には、1/3から1/2の間であり得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態によると、本明細書で言及されたノズルは、cosnのような形状プロファイルを有するプルームを形成するように設計され得る。ここで、nは具体的には4より大きい。一実施例では、ノズルは、cos6のような形状プロファイルを有するプルームを形成するように設計される。蒸発した材料のcos6形状のプルームを実現するノズルは、狭い形状のプルームが望まれる場合に役立ち得る。例えば、開口部が小さい(約50μm以下(20μmなど)のサイズを有する開口部など)基板用マスクを含む堆積プロセスは、狭いcos6形状プルームから恩恵を受ける場合があり、蒸発した材料のプルームは、マスクの上で広がらず、マスクの開口部を通過するため、材料の利用度が増加し得る。幾つかの実施形態によると、ノズルは、ノズルの長さとノズルの通路のサイズとの関係が規定された関係に留まるように、例えば、2:1以上の比率を有するように設計され得る。追加の又は代替の実施形態によれば、所望のプルーム形状を達成するために、ノズルの通路は、ステップ、傾斜、1つ又は複数のコリメータ構造、及び/又は圧力段階を含み得る。
幾つかの実施形態では、ノズルは、1sccm未満、より典型的には、1sccmの端数のみ、さらにより典型的には、0.5sccm未満の質量を供給するように構成されている。一例では、本明細書に記載された実施形態に係るノズルにおける質量は、0.1sccm未満(0.05又は0.03sccm)であり得る。幾つかの実施形態では、分配管内の圧力、及び少なくとも部分的にノズル内の圧力は、約10ー2mbarと約10ー5mbarとの間、より典型的には、約10ー2mbarと約10ー3mbarとの間であり得る。
図7Fを例示的に参照すると、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わさることができる幾つかの実施形態によれば、ノズルは、第1のノズル材料599Aと第2のノズル材料599Bを含み得る。例えば、第1のノズル材料599Aは、21W/mKよりも大きい熱伝導率値を有するように選択され得る。第2のノズル材料599Bは、蒸気した有機材料に対して不活性であるように選択され得る。例えば、第2のノズル材料599Bは、ノズルの一部であり得る。代替的に、第2のノズル材料599Bは、通路の内表面にコーティングをもたらすように使用され得る。
幾つかの実施形態によると、第2のノズル材料の厚さは、典型的に、数ナノメートルから数マイクロメートルの範囲内であり得る。一実施例では、ノズル開口部における第2のノズル材料の厚さは、典型的に、約10nmから約50μmの間、より典型的には、約100nmから約50μmの間、さらにより典型的には、約500nmから約50μmの間であり得る。一実施例では、第2のノズル材料の厚さは、約10μmであり得る。
典型的に、第1のノズル材料は、ノズルが接続され得る分配管の熱伝導率より大きな熱伝導率を有するように選択され得る。幾つかの実施形態では、第1のノズル材料は、蒸発した有機材料に対して不活性であるように選択され得る。典型的に、第1のノズル材料は、Cu、Ty、Ta、Nb、Ti、DLC、又は黒鉛からなる群のうちの少なくとも1つの材料を含み得る。一実施例では、ノズルは、銅を含み、ノズルの通路内側に材料コーティング(例えば、Ta、Nb、Ti、DLC、ステンレス鋼、石英ガラス、及び黒鉛)をもたらす。
したがって、上記の観点から、本明細書に記載された実施形態に係るノズルを有する分配アセンブリを設けることにより、蒸発材料のプルームを基板又はマスクに向けてより正確に方向付けることができ、それにより、堆積精度を改善することができることを理解するべきである。
図8Aから図8Eを例示的に参照すると、処理システムのためのサービスモジュール610の実施形態が説明される。図1A及び図1Bを参照して説明されるように、典型的に、サービスモジュールは、本明細書に記載された処理システムの処理モジュールに接続され得る。具体的には、サービスモジュールの真空保守チャンバは、堆積源、具体的には、蒸発源を真空処理チャンバから真空保守チャンバへと移送するために構成された開口を介して、処理モジュールの真空処理チャンバに接続され得る。具体的には、開口は、真空処理チャンバと真空保守チャンバとの間の真空密封を開閉するように構成されたゲートバルブを含み得る。したがって、堆積源は、ゲートバルブが開放状態にある間に、サービスモジュールへと移送され得る。その後、ゲートバルブを閉じて、真空処理チャンバと真空保守チャンバとの間に真空密封を設けることができる。バルブが閉じられた場合、真空保守チャンバは、真空処理チャンバ内の真空を破壊することなく、材料源の保守のために、排気且つ開放され得る。代替的に、図8Cから図8Eを参照して説明されるように、真空処理チャンバと真空保守チャンバとの間の開口を封止するように構成された密封デバイスが設けられ得る。
図8Aは、本明細書に記載された処理システム100内で利用され得るサービスモジュール610の斜視図を示す。具体的には、図8Aに例示するように、サービスモジュールは、本明細書に記載された堆積源520を収容するように構成されている。より具体的には、サービスモジュールは、処理モジュール内で交換可能に使用され得る2つの堆積源を収容するように構成され得る。例えば、第2の堆積源がサービスモジュール内で保守されている間、第1の堆積源が、処理モジュール内の堆積処理のために使用されてもよい。
例えば、図8Aに示す例示的な実施形態では、堆積源520は、源支持体(例えば、源カート)上に装着される。堆積源によって供給される蒸発材料の任意の過剰噴射からサービスモジュール610のサービスフランジ615を保護するために、源支持体の上部に源シールド(例えば、図7Aから図7Eを参照してより詳細に説明される材料収集ユニット40)が装着される。具体的には、サービスフランジ615は、サービスモジュール内の堆積源がサービスフランジ615によって囲まれるように構成且つ配置され得る。より具体的には、典型的に、サービスモジュールは、2つの堆積源のための2つのサービスフランジを含み、これらは、サービスモジュール内に存在し得る。例えば、第2の源サービスフランジがサービスモジュールの内部のサービス位置にあると同時に、第1の源サービスフランジが処理モジュールに電磁的に取り付けられ得る。具体的には、サービスフランジは、真空処理チャンバと真空保守チャンバとの間に密封を設けるように構成され得る。
典型的に、源サービスフランジは、大気ボックスを含み得るアルミニウム鋳物である。大気ボックスは、電力ケーブル、通信ケーブル、及び冷却水供給ラインなどの媒体アームのためのすべての主要な接続部を含み得る。媒体アームは、ここでは接続デバイス630とも呼ばれ、図8Bを参照してより詳細に説明される。
図8Aを例示的に参照して、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、サービスモジュール610は、堆積源を保守するために、保守領域にアクセスをもたらすサービスモジュールドア614を含み得る。具体的には、サービスモジュールドア614は、サービスモジュールドア614を開くための摺動機構613を含み得る。例えば、サービスモジュールが大気条件下にあるとき、サービスモジュールドア614が開かれてもよい。具体的には、サービスモジュールドアは、クランプを開閉して、ドアを自動開放するためのハンドレールを使用することによって、開けられ得る。図8Aに例示するように、サービスモジュールドアは、摺動機構613のレール、特に線形レール上で移動し得る。したがって、真空処理チャンバから独立して排気され得る真空保守チャンバを有するサービスモジュールを設けることにより、例えば、ディスプレイデバイスの生産プロセスを継続することができるように、真空処理チャンバを排気せずに、真空保守チャンバ内で堆積源を保守又は交換することが可能である。
さらに、図8Aに例示するように、典型的には、サービスモジュールは、堆積源のための媒体供給部640を含む。具体的には、媒体供給部640は、図8Aに例示するように、サービスモジュールの上部から堆積源への供給を行うことができるように構成且つ配置され得る供給通路を含む。より具体的には、供給通路は、堆積源に対して、例えば、電気接続及び/又は流体(例えば、水)などの媒体及び/又は気体の供給を行うように構成され得る。供給通路は、水供給ライン、気体供給ライン、及び/又は電気ケーブルなどの1つ又は複数のライン及び/又はケーブルを、供給通路を通して誘導するように構成され得る。幾つかの実装形態では、供給通路は、大気環境をもたらすように構成され得、すなわち、真空処理チャンバ及び/又は真空保守チャンバなどの周囲チャンバが技術的真空に排気されるときでも、供給通路は、大気圧を維持するように構成され得る。
図8Bに例示するように、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、図10Aから図10Cを参照してより詳細に説明されるように、サービスモジュール610には、堆積源アセンブリの無接触搬送のための搬送装置720が設けられ得る。典型的に、堆積源アセンブリの無接触搬送のための搬送装置は、源支持体531を誘導するように構成された誘導構造体770を含む。典型的に、源支持体531は、図8Bにおいて点線で示された堆積源アセンブリ730によって示された堆積源と共に、真空処理チャンバから真空保守チャンバへと(逆も可能)移送可能であるように構成されている。
図8Bを参照して例示して、幾つかの実施形態では、真空処理チャンバと真空保守チャンバとの間の接続を開閉するように構成され得る密封デバイス620が設けられ得る。幾つかの実装形態では、密封デバイス620は、堆積源アセンブリに取り付けられ得る。例えば、密封デバイス620は、真空処理チャンバと真空保守チャンバとの間の開口を実質的に真空気密に封止するように構成されたプレートであり得る。したがって、真空処理チャンバと真空保守チャンバとの間の開口が、密封デバイスによって、閉じられたり、又は密封されたりすると、真空保守チャンバは、真空処理チャンバ内の真空を破壊せずに、堆積源の保守のために排気且つ開放され得る。
図8Bの双方向矢印によって例示されているように、典型的に、堆積源(図8Bで図示せず)が上部に装着され得る源支持体531は、密封デバイス620に対して移動可能である。具体的には、図8Bに例示するように、源支持体531と密封デバイス620とを接続する接続デバイス630が設けられ得る。ここでは、接続デバイスは媒体供給アームとも呼ばれ得る。具体的には、媒体供給アームは、テレスコープアームであり、処理モジュールの内部の堆積源と共に同時に前後に動くように構成されている。一例として、接続デバイス630は、密封デバイス620に対する源支持体531の並進運動を誘導するように構成され得る。追加的に又は代替的に、接続デバイス630は、堆積源のための媒体供給を供給又は収容し得る。一例として、接続デバイス630は、アーム、特に受動アームであり得る。幾つかの実施形態では、媒体供給物に対する任意の粒子衝突を防ぐために、接続デバイス630の少なくとも一部が大気環境を設ける。一例として、大気環境は、接続デバイス630の内部に設けられ得、具体的には、アームの内部に設けられ得る。
幾つかの実装形態では、アームは、それぞれのヒンジによって接続された2つ以上のアーム部分を含み得、それにより、源支持体531と密封デバイス620との間の相対運動が可能になる。一例として、接続デバイス630は、図8Bに例示するように、第1のアーム632及び第2のアーム634を含み得る。典型的に、第1のアーム及び/又は第2のアームは、供給ラインを収容するための供給チューブとして構成される。第1のアーム632は、ヒンジ636を介して、源支持体531に接続された第1の端部部分632Aと、第2のアーム634の第3の端部部分634Cに接続された第2の端部部分632Bとを有し、これらは、ハウジングの内部に配置され得る。幾つかの実施形態では、例えば、供給装置を収容するための大気ボックスが、第1のアーム632の第1の端部部分632Aと源支持体531との間の接続部に設けられ得る。第2のアーム634は、真空処理チャンバ及び/又は真空保守チャンバ616に接続された第4の端部部分634Dを有する。典型的な実施形態によれば、接続デバイス630は、サービスフランジ615の内部に設けられる。
さらに、典型的には、媒体供給アームの膨張と収縮の間の荷重平衡を目的に、ばねシステムが、媒体供給アームにおいて実装されてもよい。具体的には、ばねシステムは、媒体供給アームが延長される間、例えば、源支持体が密封デバイスから離れるように動くとき、ばねシステムの1つ又は複数のばねが延長され、テレスコープアームの重みに反作用する平衡引き込み力(balancing retraction force)が生成されるように配置且つ構成され得る。
図8Bを例示的に参照すると、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、回転可能なデバイス625が、基板保守チャンバ616の内部に設けられ得る。具体的には、回転可能なデバイス625は、堆積源が上部に装着され得る源支持体を受け入れるように構成され得る。典型的に、回転可能なデバイス625も、サービスフランジを受け入れるように構成され得る。一例として、回転可能なデバイス625は、回転可能なプラットフォームであり得る。幾つかの実施形態では、回転可能なデバイス625を駆動又は回転させるように構成された駆動部が設けられ得る。例えば、駆動部は、シャフト、例えば、中空シャフトを介して、回転可能なデバイス625に接続され得る。
幾つかの実施形態では、回転可能なデバイス625は、2つ以上の堆積源を支持するように構成され得る。一例として、例えば、点検修理(サービス)又は交換されるべき第1の堆積源は、真空処理チャンバから真空保守チャンバへと、特に回転可能なデバイス625上に移送され得る。第2の堆積源、例えば、点検修理された又は新しい堆積源も回転可能なデバイス625上に設けられ得る。両方の堆積源、すなわち、第1の堆積源及び第2の堆積源が、回転可能なデバイス625上に位置付けされると、回転可能なデバイス625は、例えば、約180度回転し、第1の堆積源と第2の堆積源が位置を交換する。次いで、第2の堆積源は、真空処理チャンバの内部に移送され得、例えば、第2の堆積源に接続され得る密封デバイス620によって、真空処理チャンバと真空保守チャンバとを接続する開口が密封され得る。
図8Cから図8Eは、本明細書に記載された実施形態に係る、処理システムのサービスモジュール610に取り付けられた処理モジュール510の概略上面図を示し、第1の堆積源520A及び第2の堆積源520Bは、処理システムの動作中の、それぞれ異なる状態で示されている。具体的には、図8Cは、真空処理チャンバ540内に位置付けされた第1の堆積源520Aと、真空保守チャンバ616、具体的には、回転可能なデバイス625上に位置付けされた第2の堆積源520Bとを示す。
図8Dに示すように、例えば、点検修理又は交換されるべき第1の堆積源Aは、真空処理チャンバ540から真空保守チャンバ616へと、特に回転可能なデバイス625上に移送され得る。一例として、第1の堆積源520A及び第2の堆積源520Bは、例えば、各々の密封デバイスが互いに向けて配向された状態で、回転可能なデバイス625上で背中合わせに位置付けされ得る。言い換えると、両方の密封デバイスが、第1の堆積源と第2の堆積源との間に位置付け又は挟持され得る。
両方の堆積源、すなわち、第1の堆積源520A及び第2の堆積源520Bが、回転可能なデバイス625上に位置付けされると、回転可能なデバイス625は、例えば、約180度回転し、第1の堆積源520Aと第2の堆積源520Bが位置を交換する。図8Dでは、回転が矢印で示される。次いで、第2の堆積源520Bは、真空処理チャンバ540の内部に移送され得、例えば、第2の堆積源520Bの密封デバイス620によって、真空処理チャンバ540と真空保守チャンバ616とを接続する開口が密封され得る。第1の堆積源520Aの点検修理又は取り出しのために、真空保守チャンバ616が排気され得る。したがって、本明細書に記載された処理システムの実施形態は、真空処理チャンバ内の真空を破壊せずに、堆積源の交換を可能にする。例えば、本明細書に記載されたサービスモジュール610を利用することにより、第1の堆積源520Aを第2の堆積源520Bと交換することができるこのような構成では、1つの処理モジュール内で2つの異なる層又は2つの異なる層の積層体を基板上に堆積するときに有益であり得る。具体的には、異なる材料の2つの層を基板上に堆積するために、第1の堆積源によって第1の層を基板上に堆積することができ、続けて、第2の堆積源によって、第2の層を基板上に堆積することができる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つの堆積源、例えば、第1の堆積源520A及び第2の堆積源520Bは、アクチュエータ、例えば、トルクモータ、電気ロータ、又は空気圧ロータを含み得る。アクチュエータは、真空回転フィードスルー、例えば、強磁性流体密封回転フィードスルー(vacuum rotation feed−through)を介して、トルクをもたらすことができる。具体的には、アクチュエータは、少なくとも、分配アセンブリ、具体的には、分配管を実質的に垂直な軸の周りで回転させるように構成され得る。典型的に、源支持体531は、アクチュエータ及びフィードスルーを収容するように構成されている。
図9A及び図9Bを例示的に参照すると、処理システム100のためのルーティングモジュール410の実施形態が説明される。具体的には、図9Aでは、ルーティングモジュール410の斜視図が示され、図9Bでは、処理モジュール510にそれぞれ接続された2つの隣接するルーティングモジュールの上面図が示されている。
図9Aに例示するように、典型的には、ルーティングモジュール410は、基板キャリア及び/又はマスクキャリアを隣接接続された処理モジュールに移送することができるように、基板キャリア及び/又はマスクキャリアを回転させるように構成された回転ユニット420を含む。具体的には、回転ユニット420は、真空ルーティングチャンバ417、具体的には、本明細書に記載されているように真空条件を設けるように構成され得る真空ルーティングチャンバ内に設けられ得る。より具体的には、回転ユニットは、図9Aに例示するように、基板キャリア及び/又はマスクキャリアを支持する支持構造体418を回転軸419の周りで回転させるように構成された回転駆動部を含み得る。具体的には、回転駆動部は、時計回り及び反時計回り方向の、回転ユニットの少なくとも180°回転をもたらすように構成され得る。
さらに、図9Aに例示するように、ルーティングモジュール410は、典型的に、少なくとも1つの第1の接続フランジ431及び少なくとも1つの第2の接続フランジ432を含む。例えば、少なくとも1つの第1の接続フランジ431は、本明細書に記載された処理モジュールを接続するように構成され得る。少なくとも1つの第2の接続フランジ432は、図1A及び図1Bに関連して例示的に説明されるように、さらなるルーティングモジュール又は真空スイングモジュールを接続するように構成され得る。典型的に、ルーティングモジュールは、4つの接続フランジ、例えば、2つの第1の接続フランジ、及び2つの第2の接続フランジを含み、これらの各ペアは、ルーティングモジュールの両側に配置される。したがって、ルーティングモジュールは、ここではルーティングフランジとも呼ばれ得る3つの種類の接続フランジ、例えば、処理モジュールを接続するための接続フランジ、スイングモジュールを接続するための接続フランジ、及びさらなるルーティングモジュールを接続するための接続フランジを含み得る。典型的に、様々な異なる種類の接続フランジの幾つか又はすべてが、内部に真空条件を設けるように構成されているケーシング枠状の構造を有する。さらに、典型的には、接続フランジは、マスクキャリアのための入口/出口、及び基板キャリアのための入口/出口を含み得る。
図9Bでは、2つの隣接するルーティングモジュールを介して、2つの処理モジュールが互いに接続されている処理システムの一部が示されている。具体的には、図9Bは、第1のルーティングモジュール411が、第1の処理モジュール511に、並びにさらなるルーティングモジュール412に接続されている処理システムの一部を示す。さらなるルーティングモジュール412は、さらなる処理モジュール512に接続される。図9Bに示すように、ゲートバルブ115が、隣接するルーティングモジュール同士の間に設けられ得る。ゲートバルブ115は、ルーティングモジュール間に真空密封をもたらすように開閉され得る。ゲートバルブの存在は、処理システムの適用の仕方、例えば、基板上に堆積される有機材料の層の種類、数、及び/又は順序に依存し得る。したがって、1つ又は複数のゲートバルブが、移送チャンバ間に設けられ得る。代替例として、ゲートバルブは、いずれの移送チャンバ間にも設けられない。
図9Aを参照して説明されるように、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、ルーティングモジュールのうちの1つ又は複数は、回転ユニット420が設けられた真空ルーティングチャンバ417を含み得る。ここで、処理システムの動作の間に利用される基板キャリア内に設けられた基板及び/又はマスクキャリア内に設けられたマスクは、回転軸419、例えば、垂直中央軸の周りで回転し得る。
典型的に、回転ユニット420は、図9Bに例示されているように、第1の搬送トラック711及び第2の搬送トラック712を含む搬送トラック構成体715を回転させるように構成されている。したがって、ルーティングモジュールの内部の搬送トラック構成体715の配向を変えることができる。具体的には、ルーティングモジュールは、第1の搬送トラック711及び第2の搬送トラック712が、少なくとも90°、例えば、90°、180°、又は360°回転することができるように構成され得、それにより、トラック上のキャリアは、処理システムの隣接するチャンバのうちの1つに移送される位置に回転される。
典型的な実施形態によれば、第1の搬送トラック711及び第2の搬送トラック712は、基板キャリア及びマスクキャリアの無接触搬送のために構成される。具体的には、図11Aから図11Eを参照してより詳細に説明されるように、第1の搬送トラック711及び第2の搬送トラック712は、基板キャリア及びマスクキャリアの無接触移動のために構成されたさらなる誘導構造体870及び駆動構造体890を含み得る。
図9Bに示すように、第1のルーティングモジュール411では、2つの基板、例えば、第1の基板101A及び第2の基板101Bが回転させられる。基板が位置する2つ搬送トラック、例えば、第1の搬送トラック711及び第2の搬送トラック712は、第1の処理モジュール511の搬送トラック構成体715から延びる2つの搬送トラックに対して回転させられる。したがって、搬送トラック上の2つの基板は、隣接するさらなるルーティングモジュール412に移送される位置に設けられる。
図9Bに例示するように、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、搬送トラック構成体715の搬送トラックは、真空処理チャンバ540から真空ルーティングチャンバ417の中に延在し得る。したがって、基板101のうちの1つ又は複数は、真空処理チャンバから隣接する真空ルーティングチャンバへと移送され得る。さらに、図9Bに例示するように、ゲートバルブ115が、処理モジュールとルーティングモジュールとの間に設けられ得る。ゲートバルブ115は、1つ又は複数の基板の搬送のために開放され得る。図9Bに例示するように、さらなる処理モジュール512も、ゲートバルブ115によって、さらなるルーティングモジュール412に接続され得る。したがって、基板は、第1の処理モジュールから第1のルーティングモジュールへと、第1のルーティングモジュールからさらなるルーティングモジュールへと、且つさらなるルーティングモジュールからさらなる処理モジュールへと移送され得ることを理解するべきである。したがって、基板を、望まれない環境(例えば、大気環境又は非真空環境)に曝すことをせずに、幾つかの処理(例えば、基板上への有機材料の様々な層の堆積)を行うことができる。
上述のように、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、処理システムは、基板を、第1の方向に沿って、処理モジュールの外に移動することができるように構成され得る。このようにして、基板は、実質的に真っ直ぐな経路に沿って、隣接する真空チャンバ(例えば、真空ルーティングチャンバ)に移動させられる。このチャンバは、ここでは真空移送チャンバとも呼ばれ得る。移送チャンバでは、基板は、第1の方向とは異なる第2の方向に、第2の真っ直ぐな経路に沿って移動させられ得るように、回転させられ得る。図9Bに例示するように、第2の方向は、第1の方向に対して実質的に直角であり得る。基板をさらなる処理モジュール512に移送するために、基板を、第1のルーティングモジュール411からさらなるルーティングモジュール412の中へと第2の方向に移動することができ、次いで、さらなるルーティングモジュール412内で、例えば、180°回転させることができる。その後、基板をさらなる処理モジュール512内に移動させることができる。
図10Aから図10Cを例示的に参照すると、堆積源アセンブリの無接触搬送のための搬送装置720が説明される。典型的に、搬送装置720は、本明細書に記載されたように、処理モジュール510の真空処理チャンバ540内に配置される。具体的には、搬送装置720は、堆積源の無接触の浮揚、搬送、及び/又は位置合わせのために構成される。堆積源の無接触の浮揚、搬送、及び/又は位置合わせは、例えば、誘導レールとの機械的接触により、粒子が搬送中に生成されないという点で有益である。したがって、無接触の浮揚、搬送、及び/又は位置合わせを使用すると、粒子の発生が最小限に抑えられるので、本明細書に記載された搬送装置720の実施形態は、基板に堆積された層の純度及び均一性の改善をもたらす。
本開示全体で使用される「無接触」という用語は、処理システム内で使用される要素(例えば、堆積源アセンブリ、キャリア、又は基板)の重量が、機械的接触又は機械的力によって保持されず、磁力によって保持されるという意味であると理解することができる。具体的には、堆積源アセンブリ又はキャリアアセンブリは、機械的な力の代わりに磁力を使用して、浮上状態又は浮揚状態で保持される。一例としては、本明細書に記載された搬送装置は、堆積源アセンブリの重量を支持する機械的レールなどの機械的手段を有さないことがある。幾つかの実装形態では、堆積源が基板を通り過ぎる動きの間、堆積源アセンブリと搬送装置の残りの部分との間には、機械的接触は一切あり得ない。
堆積源を誘導する機械的手段に比べた場合のさらなる利点は、本明細書に記載された実施形態が、コーティングされる基板に沿った堆積源の運動の直線性に影響を与える摩擦によって悪影響を受けないことである。堆積源の無接触搬送は、堆積源の無摩擦運動を可能にし、堆積源と基板との間の目標距離が、高精度且つ高速度で制御且つ維持され得る。さらに、浮揚により、堆積源の速度の迅速な加速若しくは減速、及び/又は、堆積源の速度の微調整が可能になる。したがって、本明細書に記載された処理システムは、層の均一性の改善をもたらす。これは、幾つかの要因、例えば、堆積源と基板との間の距離の変動、又は、材料の放出中、基板に沿った堆積源の移動速度の変動の影響を受けやすい。
さらに、機械的レールの材料は、通常、チャンバの排気によって、また、温度、使用法、摩耗などによって引き起こされ得る変形に悩まされる。かかる変形は、堆積源と基板との間の距離に影響を与え、ひいては、堆積された層の均一性に影響を与える。これとは対照的に、本明細書に記載された搬送装置の実施形態は、例えば、誘導構造体に存在する任意の潜在的変形の補正を可能にする。具体的には、本明細書に記載された搬送装置の実施形態は、堆積源を位置合わせするための、1つ、2つ、又は3つの空間方向に沿った、堆積源アセンブリの無接触移動を可能にする。堆積源の位置合わせは、例えば、堆積源をコーティングされる基板から目標距離に置くための、基板に対する位置合わせ(例えば、並進運動又は回転運動)であり得る。典型的に、材料を基板上に堆積するため、堆積源が基板を通り過ぎるように動かされている間、基板に対する位置合わせ又は位置付けが行われる。より具体的には、図10Aから図10Cを参照してより詳細に説明されるように、装置は、垂直方向(例えば、y方向)に沿った、及び/又は、1つ又は複数の横方向(例えば、x方向及びz方向)に沿った、堆積源アセンブリの無接触移動のために構成され得る。堆積源のための位置合わせ範囲は、2mm以下、より具体的には、1mm以下であり得る。
さらには、本明細書に記載された搬送装置の実施形態は、堆積源を角度的に位置合わせするために、1つ、2つ、又は3つの回転軸に対する、堆積源アセンブリの無接触回転を可能にする。堆積源の位置合わせには、例えば、堆積源を基板に対して目標垂直配向に位置付けすることが含まれ得る。具体的には、搬送装置は、第1の回転軸、第2の回転軸、及び/又は第3の回転軸の周りの、堆積源アセンブリの無接触回転のために構成され得る。第1の回転軸は、横方向、例えば、x方向又は源搬送方向に延在し得る。第2の回転軸は、横方向、例えば、z方向に延在し得る。第3の回転軸は、垂直方向、例えば、y方向に延在し得る。任意の回転軸に対する堆積源アセンブリの回転は、2°以下の角度、例えば、0.1°から2°、又は、0.5°から2°の範囲内でもたらされ得る。
本開示では、「実質的に平行(substantially parallel)」な方向という表現は、互いに対して最大10度の又はさらに最大15度の小さな角度をなす複数の方向を含み得る。さらに、「実質的に直角(substantially perpendicular)」な方向という表現は、互いに対して90°未満(例えば、少なくとも80°、又は少なくとも75°)の角度をなす複数の方向を含み得る。同様の考えが、実質的に平行な又は直角な軸、平面、領域等の概念に適用される。
本明細書に記載された幾つかの実施形態は、「垂直方向(vertical direction)」という概念を伴う。垂直方向とは、重力が伸びる方向とほぼ平行な方向であると考えられている。垂直方向は、厳密な垂直性(重力によって規定される)から、例えば、最大15度の角度でずれる場合がある。例えば、本明細書に記載されたy方向(図では「Y」と示す)は、垂直方向である。具体的には、図示されているy方向は、重力の方向を画定している。
具体的には、本明細書に記載された搬送装置は、垂直基板処理のために使用され得る。かかる装置では、基板は、その処理中に垂直に配向される。すなわち、基板は、本明細書に記載されているように、垂直方向に対して平行に配置され、すなわち、厳密な垂直性からの起こり得る偏差が許容される。例えば、基板配向の厳密な垂直性から小さな偏差がもたらされてもよい。なぜなら、かかる偏差を基板支持体が伴うことで、より安定的な基板位置、又は、基板表面への粒子付着の低減がもたらされる場合があるからである。実質的に垂直な基板は、垂直配向から、+/−15°以下の偏差を有し得る。
本明細書に記載された実施形態には、「横方向(transversal direction)」という概念がさらに伴い得る。横方向は、垂直方向と区別して理解するべきである。横方向は、重力によって規定される厳密な垂直方向に対して直角又は実質的に直角であり得る。例えば、本明細書に記載されたx方向及びz方向(図10Aから図10Cでは「X」及び「Z」で示される)は、横方向である。具体的には、図示されているx方向及びz方向は、y方向に対して(且つ互いに対して)直角である。さらなる実施例では、本明細書に記載された、横方向力又は対向力は、横方向に沿って延びると考えられている。
図10Aに例示されているように、搬送装置720は、典型的に、本明細書に記載された堆積源520を含む堆積源アセンブリ730、及び堆積源520を支持するための源支持体531を含む。具体的には、源支持体531は、源カートであってよい。堆積源520は、源支持体531に装着され得る。図10Aに矢印で示されているように、堆積源520は、基板101上に堆積するために、材料を放出するよう適合される。さらに、図10Aに例示するように、マスク330が、基板101と堆積源520との間に配置され得る。堆積源520によって放出された材料が基板101の1つ又は複数の領域上に堆積されるのを防止するために、マスク330が設けられ得る。例えば、マスク330は、基板101のコーティングの間、材料が1つ又は複数の端部領域に一切堆積されないように、基板101の1つ又は複数の端部領域をマスキングするように構成された端部除外シールドであり得る。別の例として、マスクは、堆積源アセンブリからの材料により基板上に堆積した複数の特徴をマスキングするためのシャドウマスクであってよい。
さらに、図10Aを例示的に参照すると、堆積源アセンブリ730は、第1のアクティブ磁気ユニット741、及び第2のアクティブ磁気ユニット742を含み得る。搬送装置720は、典型的に、堆積源搬送方向に延在する誘導構造体770をさらに含む。誘導構造体770は、源搬送方向に沿って延びる直線形状を有し得る。源搬送方向に沿った誘導構造体770の長さは、1m〜6mであり得る。第1のアクティブ磁気ユニット741、第2のアクティブ磁気ユニット742、及び誘導構造体770は、図10Aに例示するように、堆積源アセンブリ730を浮揚させるための、第1の磁気浮揚力F1及び第2の磁気浮揚力F2を加えるように構成されている。
本開示では、「アクティブ磁気ユニット」又は「アクティブ磁気素子」は、調節可能な磁界を発生させるように適合された磁気ユニット又は磁気素子であり得る。調節可能な磁界は、搬送装置の動作中、動的に調節可能であり得る。例えば、磁界は、基板101上に材料を堆積するための堆積源520によって、材料の放出中に調節可能であってよく、且つ/又は、層形成工程の堆積サイクルと堆積サイクルとの間に調節可能であってよい。代替的に又は追加的に、磁界は、誘導構造体に対する堆積源アセンブリ730の位置に基づいて調節可能であり得る。調節可能な磁界は、静磁界又は動磁界であってもよい。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、アクティブ磁気ユニット又は素子は、垂直方向に沿って延びる磁気浮揚力をもたらすための磁界を生成するように構成され得る。代替的に、アクティブ磁気ユニット又はアクティブ磁気素子は、横方向に沿って延びる磁力、例えば、以下で説明されるような対向する磁力をもたらすように構成され得る。例えば、本明細書に記載されたアクティブ磁気ユニット又はアクティブ磁気素子は、電磁デバイス、ソレノイド、コイル、超伝導マグネット、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された素子であってもよく、又はその素子を含み得る。
図10Aに例示的に示すように、搬送装置720の動作中、誘導構造体770の少なくとも一部が、第1のアクティブ磁気ユニット741に面していてよい。誘導構造体770及び/又は第1のアクティブ磁気ユニット741は、少なくとも部分的に、堆積源520の下方に配置され得る。
動作中、堆積源アセンブリ730は、x方向に沿って、誘導構造体に対して移動可能である。さらに、y方向に沿って、z方向に沿って、且つ/又は任意の空間方向に沿って、位置調節をもたらすことができる。誘導構造体は、堆積源アセンブリの運動を非接触誘導するように構成されている。誘導構造体770は、真空処理チャンバ内に静的に配置され得る静的誘導構造体であってよい。具体的には、誘導構造体770は、磁気特性を有し得る。例えば、誘導構造体770は、磁性材料、例えば、強磁性体、具体的には、強磁性鋼から作られてよい。したがって、誘導構造体は、パッシブ磁気ユニットであるか、又はパッシブ磁気ユニットを含んでいてよい。
本明細書では、「パッシブ磁気ユニット」又は「パッシブ磁気素子」という表現は、「アクティブ」な磁気ユニット又は素子という概念と区別するために用いられている。パッシブ磁気ユニット又はパッシブ磁気素子とは、アクティブな制御又は調節の対象とならない磁気特性を有するユニット又は素子を指し得る。例えば、パッシブ磁気ユニット又はパッシブ磁気素子は、磁界(例えば、静磁界)を生成するように適合され得る。パッシブ磁気ユニット又はパッシブ磁気素子は、調節可能な磁界を生成するように構成されない場合がある。典型的には、パッシブ磁気ユニット又はパッシブ磁気素子は、永久磁石であってよく、又は永久磁気特性を有していてよい。
アクティブ磁気ユニット又はアクティブ磁気素子は、パッシブ磁気ユニット又はパッシブ磁気素子に比べると、アクティブ磁気ユニット又はアクティブ磁気素子が生成する磁界の調節性及び制御性を考慮すると、より多くの柔軟性及び精度をもたらす。本明細書に記載された実施形態によれば、アクティブ磁気ユニット又はアクティブ磁気素子によって生成される磁界を制御して、堆積源の位置合わせをもたらすことができる。例えば、調節可能な磁界を制御することにより、堆積源アセンブリに作用する磁気浮揚力を高精度で制御することができ、したがって、アクティブ磁気ユニット又はアクティブ磁気素子によって、堆積源の無接触垂直位置合わせが可能となる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、搬送装置は、堆積源アセンブリ730を誘導構造体770に沿って駆動するように構成された駆動システムを含み得る。駆動システムは、堆積源アセンブリ730を源搬送方向で誘導構造体770に沿って接触することなく搬送するように構成された磁気駆動システムであり得る。駆動システムは、線形モータであってよい。駆動システムは、誘導構造体に沿って、堆積源アセンブリの動作を開始及び/又は停止するように構成され得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によると、無接触駆動システムは、パッシブ磁気ユニット、具体的には、誘導構造体に設けられたパッシブ磁気ユニットと、アクティブ磁気ユニット、具体的には、堆積源アセンブリにおいて又はその中に設けられたアクティブ磁気ユニットとの組み合わせであり得る。
諸実施形態によれば、堆積速度を制御するために、源搬送方向に沿った堆積源アセンブリの速度を制御してもよい。堆積源アセンブリの速度は、コントローラの制御の下でリアルタイムに調整され得る。堆積速度の変化を補正するために調整が行われ得る。速度プロファイルが規定されてもよい。速度プロファイルは、種々の位置において堆積源アセンブリの速度を決定し得る。速度プロファイルは、コントローラに与えられてもよく、又は、コントローラ内に記憶されてもよい。コントローラは、堆積源アセンブリの速度が速度プロファイルに準じるように、駆動システムを制御し得る。したがって、層の均一性をさらに改善することができるように、堆積速度のリアルタイムの制御及び調節をもたらすことができる。本明細書に記載された実施形態に従って考慮されるように、源搬送方向に沿った堆積源アセンブリの並進運動は、コーティング処理の間、高いコーティング精度、特に高いマスキング精度を可能にする。なぜなら、コーティング中、基板及びマスクが静止状態に留まることができるからである。
誘導構造体770に沿った堆積源アセンブリ730の無接触運動の間、堆積源520は、基板をコーティングするための基板受容領域における基板に向けて、材料を放出、例えば、連続的に放出し得る。堆積源アセンブリ730は、一回のコーティングスイープの間、基板が源搬送方向に沿って全体にわたってコーティングされ得るように、基板に沿ってスイープし得る。コーティングスイープにおいて、堆積源アセンブリ730は、方向を変えずに、初期位置から始まって、最終位置に移動し得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積源搬送方向に沿った誘導構造体770の長さは、源搬送方向に沿った基板受容領域の範囲の90%以上、100%以上、又はさらに110%以上であってもよい。典型的に、基板受容領域は、対応する基板寸法と同じか、又は、それよりも若干(例えば、5〜20%)大きい寸法(例えば、長さ及び幅)を有する。したがって、基板の端部に均一な堆積をもたらすことができる。さらに、源搬送方向に沿った堆積源アセンブリの並進運動は、コーティング処理の間、高いコーティング精度、特に高いマスキング精度を可能にする。なぜなら、コーティング中、基板及びマスクが静止状態に留まることができるからである。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、基板上に材料を堆積するために、堆積源が基板に沿って移動する間、堆積源は、接触がない状態で位置合わせされ得る(例えば、本明細書に記載されたように、垂直に、角度的に、又は横方向に位置合わせされ得る)。堆積源が誘導構造体に沿って搬送されている間、堆積源は位置合わせされ得る。堆積源の運動の間、位置合わせは、連続的又は断続的な位置合わせであり得る。堆積源の動作中の位置合わせは、コントローラの制御の下で行われ得る。コントローラは、誘導構造体に沿った堆積源の現在位置に関する情報を受け取ることができる。堆積源の位置合わせは、堆積源の現在位置に関する情報に基づいて、コントローラの制御の下で行われ得る。したがって、誘導構造体の潜在的な変形を補正することができる。したがって、基板に沿った堆積源の動作にわたって、いかなる時でも堆積源を基板に対する目標距離又は目標配向に維持することができ、それにより、基板上に堆積される層の均一性をさらに改善する。代替的に又は追加的に、堆積源の位置合わせは、堆積源が静止している時に行われ得る。例えば、堆積サイクル間の一時静止した堆積源に対して位置合わせが行われ得る。
図10Aを例示的に参照すると、搬送装置720は、堆積源アセンブリ730の第1の回転軸734を含む第1の平面733を有する堆積源アセンブリ730を含み得る。堆積源アセンブリ730は、第1の平面733の第1の側733Aに配置された第1のアクティブ磁気ユニット741と、第1の平面733の第2の側733Bに配置された第2のアクティブ磁気ユニット742とを含み得る。第1のアクティブ磁気ユニット741及び第2のアクティブ磁気ユニット742は、堆積源アセンブリ730を磁気的に浮揚させるように構成されている。具体的には、第1のアクティブ磁気ユニット741及び第2のアクティブ磁気ユニット742は、堆積源アセンブリ730に作用するそれぞれの磁気浮揚力を加えるために、磁界(例えば、調整可能な磁界)を生成するよう、それぞれ適合されている。したがって、第1のアクティブ磁気ユニット741及び第2のアクティブ磁気ユニット742は、堆積源520を位置合わせするために、第1の回転軸734の周りで堆積源520を回転させるように構成されている。
図10Aに例示するように、第1の平面733は、堆積源アセンブリ730を通って、具体的には、堆積源アセンブリ730の本体部分を通って、延在し得る。第1の平面733は、堆積源アセンブリ730の第1の回転軸734を含み得る。典型的な実施形態によると、第1の回転軸734は、堆積源アセンブリ730の重心を通って延在し得る。動作において、第1の平面733は、垂直方向に延在し得る。第1の平面733は、基板受容領域又は基板に対して、実質的に平行又は実質的に直角であってよい。動作において、第1の回転軸734は、横方向に沿って延在し得る。
第1のアクティブ磁気ユニット741によって生成された磁界は、誘導構造体770の磁気特性と相互作用し、堆積源アセンブリ730に作用する第1の磁気浮揚力F1をもたらす。第1の磁気浮揚力F1は、第1の平面733の第1の側733A上の堆積源アセンブリ730の一部分に対して作用する。図10Aでは、第1の磁気浮揚力F1は、第1の平面733の左側に設けられたベクトルによって表わされる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の磁気浮揚力F1は、堆積源アセンブリ730の重量Gと少なくとも部分的に反作用し得る。
本明細書で説明されたように、磁気浮揚力が「部分的に」重量Gと反作用するという概念には、磁気浮揚力が、堆積源アセンブリに浮揚作用、すなわち、上向きの力を加えるが、その磁気浮揚力だけでは、堆積源アセンブリを浮揚させるのに十分ではない場合がある、ということが伴う。重量に部分的に反作用する磁気浮揚力の大きさは、重量Gの大きさよりも小さいものである。
図9Eに示す第2のアクティブ磁気ユニット742によって生成された磁界は、誘導構造体770の磁気特性と相互作用し、堆積源アセンブリ730に作用する第2の磁気浮揚力F2をもたらす。第2の磁気浮揚力F2は、第1の平面733の第2の側733B上の堆積源アセンブリ730の一部分に対して作用する。図10Aでは、第2の磁気浮揚力F2は、第1の平面733の右側に設けられたベクトルによって表される。第2の磁気浮揚力F2は、堆積源アセンブリの重力Gに対して、少なくとも部分的に反作用し得る。
第1の磁気浮揚力F1と第2の磁気浮揚力F2とが重なり合うことによって、堆積源アセンブリ730に作用する重なり合った磁気浮揚力がもたらされる。重なり合った磁気浮揚力は、堆積源アセンブリの重力G対して完全に反作用し得る。重なり合った磁気浮揚力は、図10Aに示すように、堆積源アセンブリ730の無接触浮揚をもたらすのに十分であり得る。しかし、第1の磁気浮揚力F1及び第2の磁気浮揚力F2が、重量Gに部分的に反作用し得る重なり合った浮揚力をもたらし、第1の磁気浮揚力F1、第2の磁気浮揚力F2、及びさらなる無接触力が、重量Gと完全に反作用し得る重なり合った磁気浮揚力をもたらすように、さらなる無接触力が加えられてもよい。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1のアクティブ磁気ユニットは、第1の磁気浮揚力F1を加えるために、第1の調節可能な磁界を生成するように構成され得る。第2のアクティブ磁気ユニットは、第2の磁気浮揚力F2を加えるために、第2の調節可能な磁界を生成するように構成され得る。装置は、堆積源を位置合わせするための、第1の調節可能な磁界及び/又は第2の調節可能な磁界を制御するために、第1のアクティブ磁気ユニット741及び/又は第2のアクティブ磁気ユニット742を個別に制御するように構成されたコントローラ755を含み得る。より具体的には、コントローラ755は、堆積源を垂直方向に並進移動させて位置合わせするために、第1のアクティブ磁気ユニット及び第2のアクティブ磁気ユニットを制御するように構成され得る。第1のアクティブ磁気ユニット及び第2のアクティブ磁気ユニットを制御することにより、堆積源アセンブリは、目標垂直位置に位置付けされ得る。さらに、堆積源アセンブリは、コントローラの制御の下で、目標垂直位置に維持され得る。
第1のアクティブ磁気ユニット及び/又は第2のアクティブ磁気ユニットの個別制御は、堆積源の位置合わせに関してさらなる恩恵をもたらし得る。個別の制御によって、堆積源520を角度的に位置合わせするために、第1の回転軸734の周りで堆積源アセンブリ730を回転させることが可能になる。例えば、図10Aを参照すると、第1の磁気浮揚力F1が第2の磁気浮揚力F2よりも大きくなるように、第1のアクティブ磁気ユニット741及び/又は第2のアクティブ磁気ユニット742を個別に制御すると、第1の回転軸734の周りでの堆積源アセンブリ730の時計回り回転をもたらし得るトルクが生じる結果となる。同様に、第1の磁気浮揚力F1よりも大きい第2の磁気浮揚力F2により、第1の回転軸734の周りでの堆積源アセンブリ730の反時計回り回転が生じる結果となり得る。
第1のアクティブ磁気ユニット741及び第2のアクティブ磁気ユニット742の個別制御性によってもたらされる回転自由度により、第1の回転軸734に対して堆積源アセンブリ730の角度配向を制御することが可能になる。コントローラ755の制御の下で、目標角度配向がもたらされるか、且つ/又は維持され得る。堆積源アセンブリの目標角度配向は、垂直配向、例えば、図10Aに示すように、第1の平面733がy方向に対して平行である配向であってよい。代替的に、目標配向は、第1の平面733がy方向に対して目標角度だけ傾いているような、傾いた又はわずかに傾いた配向であってもよい。
図10Aを例示的に参照すると、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、搬送装置720は、第1のパッシブ磁気ユニット745(例えば、永久磁石)、及びさらなるアクティブ磁気ユニット743を含み得る。第1のパッシブ磁気ユニット745は、第1の平面733の第2の側733Bに配置され得る。動作において、第1のパッシブ磁気ユニット745は、誘導構造体770の第2の部分772に面してもよく、且つ/又は、第1の平面733と第2の部分772との間に設けられてもよい。
さらなるアクティブ磁気ユニット743は、第1の平面733の第1の側733Aに配置され得る。動作において、さらなるアクティブ磁気ユニット743は、誘導構造体770の第1の部分771に面してもよく、且つ/又は、少なくとも部分的に、第1の平面733と第1の部分771との間に設けられてもよい。典型的には、さらなるアクティブ磁気ユニット743は、第1のアクティブ磁気ユニット741、第2のアクティブ磁気ユニット742と同じ種類であってよい。例えば、さらなるアクティブ磁気ユニット743、第1のアクティブ磁気ユニット741、及び/又は第2のアクティブ磁気ユニット742は、同一の種類の電磁石であってよい。第1のアクティブ磁気ユニット741及び第2のアクティブ磁気ユニットと比べて、さらなるアクティブ磁気ユニット743は、異なる空間配向を有し得る。具体的には、例えば、第1のアクティブ磁気ユニット741に対して、さらなるアクティブ磁気ユニット743は、図10Aの描画面に対して直角な横軸の周りで、例えば、約90°回転し得る。
さらなるアクティブ磁気ユニット743は、磁界、具体的には、調節可能な磁界を生成するように構成され得る。さらなるアクティブ磁気ユニット743によって生成された磁界は、誘導構造体770の磁気特性と相互作用し、堆積源アセンブリ730に作用する第1の対向横方向力O1をもたらす。第1の対向横方向力O1は、磁力である。したがって、さらなるアクティブ磁気ユニット743及び誘導構造体770は、第1の対向横方向力O1をもたらすように構成されている。第1の対向横方向力は、第1の横方向力と反作用する、調節可能な力である。さらに、図10Aを例示的に参照すると、コントローラ755は、さらなるアクティブ磁気ユニット743を制御して、横方向の位置合わせをもたらすように構成され得る。
典型的に、第1のパッシブ磁気ユニット745及び誘導構造体770は、第1の横方向力T1をもたらすように構成されている。
具体的には、第1のパッシブ磁気ユニット745は、磁界を生成するように構成され得る。第1のパッシブ磁気ユニット745によって生成された磁界は、誘導構造体770の磁気特性と相互作用し、堆積源アセンブリ730に作用する第1の横方向力T1をもたらし得る。第1の横方向力T1は、磁力である。第1の横方向力T1は、本明細書に記載されたように、横方向に沿って延びている。第1の横方向力T1は、源搬送方向に対して実質的に直角な方向に沿って延びてもよい。例えば、第1の横方向力T1は、図10Aに示すように、z方向に対して実質的に平行であり得る。
図10Aを例示的に参照すると、第1の対向横方向力O1が、横方向に沿って延びることを理解するべきである。この横方向は、第1の横方向力T1が沿って延びる横方向と、同一であるか、又はほぼ平行であり得る。例えば、図10Aに示す力T1とO1は、どちらもz方向に沿って延びる。具体的には、第1の対向横方向力O1と、第1の横方向力T1は、対向し合う力、或いは、反作用し合う力である。これは、力T1と力O1とが、z方向に沿って反対方向を指す同じ長さの2つベクトルで表されている態様によって、図10Aに示されている。第1の対向横方向力O1と第1の横方向力T1とは、同じ大きさを有していてよい。第1の対向横方向力O1と第1の横方向力T1は、横方向に沿ってそれぞれの反対方向に延びていてよい。第1の横方向力T1と第1の対向横方向力O1は、基板受容領域若しくは基板、又は源搬送方向に対して実質的に直角であり得る。
例えば、図10Aに示すように、第1の横方向力T1は、第1のパッシブ磁気ユニット745と誘導構造体770との間の磁気吸引力から生じ得る。磁気吸引力によって、第1のパッシブ磁気ユニット745は、誘導構造体770に向けて、具体的には、誘導構造体770の第2の部分772に向けて付勢される。第1の対向横方向力O1は、さらなるアクティブ磁気ユニット743と誘導構造体770との間の磁気吸引力から生じ得る。磁気吸引力によって、さらなるアクティブ磁気ユニット743が、誘導構造体770に向けて、具体的には、誘導構造体770の第1の部分771に向けて付勢される。
代替的に、第1の横方向力T1は、第1のパッシブ磁気ユニット745と誘導構造体770との間の磁気反発から生じ得る。第1の対向横方向力O1は、さらなるアクティブ磁気ユニット743と誘導構造体770との間の磁気反発から生じ得る。さらに、この場合、力T1とO1とは、反作用し合う力である。したがって、第1の対向横方向力O1は、第1の横方向力T1と完全に反作用し得る。横方向(例えば、z方向)に沿って堆積源アセンブリ730に作用する合力がゼロになるように、第1の対向力O1が第1の横方向力T1と反作用し得る。したがって、堆積源アセンブリ730は、横方向に沿って、接触がない状態で目標位置に保持され得る。
図10Aに示すように、コントローラ755は、さらなるアクティブ磁気ユニット743を制御するように構成され得る。さらなるアクティブ磁気ユニット743の制御は、第1の対向横方向力O1を制御するためにさらなるアクティブ磁気ユニット743によって生成された調節可能な磁界の制御を含み得る。さらなるアクティブ磁気ユニット743を制御することによって、横方向(例えば、z方向)に沿った、堆積源520の無接触位置合わせが可能になり得る。具体的には、さらなるアクティブ磁気ユニット743を適切に制御することにより、堆積源アセンブリ730が、横方向に沿って目標位置に位置付けされ得る。堆積源アセンブリは、コントローラの制御の下で、目標位置に維持され得る。
パッシブ磁気ユニットによってもたらされる第1の横方向力T1は、搬送装置の動作中に調節又は制御を受けない静的な力である。したがって、第1の横方向力T1は、横方向に沿って作用する仮想の「重力型の」力をシミュレートする力と見なされ得る。例えば、第1の横方向力T1は、横方向に沿った物体の仮想重量をシミュレートすると見なされ得る。次に、このパラダイムの中で、第1の対向横方向力O1は、横方向に沿った物体の仮想重量に反作用する仮想の「浮揚型の」力をシミュレートすると見なされ得る。したがって、第1の横方向力T1に反作用するために、さらなるアクティブ磁気ユニットの制御によってもたらされる堆積源の無接触横方向位置合わせは、堆積源アセンブリの実際の、すなわち、垂直の重量Gに反作用する第1のアクティブ磁気ユニットの制御によってもたらされる、堆積源の無接触垂直位置合わせと同じ原理から理解することができる。したがって、堆積源を横方向に位置合わせするためのさらなるアクティブ磁気ユニットの制御は、垂直の位置合わせをもたらすための第1のアクティブ磁気ユニットの制御に使用されるのと同じ技術を用いて、同じ制御アルゴリズムに基づいて、実行され得る。これは、堆積源を位置合わせする簡略化されたアプローチをもたらす。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、誘導構造体770の第1の部分771及び第2の部分772は、誘導構造体770の別々の部分であり得る。動作において、誘導構造体770の第1の部分771は、第1の平面733の第1の側733Aに配置され得る。誘導構造体770の第2の部分772は、第1の平面733の第2の側733Bに配置され得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積源アセンブリ730内に含まれる、磁気ユニットのうちの1つ以上、又は、すべての磁気ユニットが、源支持体531に装着され得る。例えば、図10A及び図10Bに示すように、本明細書に記載された第1のアクティブ磁気ユニット741、第2のアクティブ磁気ユニット742、第1のパッシブ磁気ユニット745、及び/又はさらなるアクティブ磁気ユニット743が、源支持体531に装着され得る。
誘導構造体770の第1の部分771及び第2の部分772は、それぞれパッシブ磁気ユニットであってもよく、且つ/又は、1つ又は複数のパッシブ磁気アセンブリを含んでもよい。例えば、第1の部分771及び第2の部分772は、それぞれ、強磁性材料、例えば、強磁性鋼から作られ得る。第1の部分771は、第1の凹部773及び第2の凹部774を含み得る。動作において、堆積源アセンブリ730の磁気ユニット、例えば、図10Bに示す第1のアクティブ磁気ユニット741は、少なくとも部分的に、第1の凹部773内に配置され得る。動作において、堆積源アセンブリの別の磁気ユニット、例えば、さらなるアクティブ磁気ユニット743は、少なくとも部分的に、第2の凹部774内に配置され得る。誘導構造体770の第1の部分771は、源搬送方向(例えば、x方向)に対して直角な断面において、E字形の輪郭を有し得る。第1の部分771の長さに実質的に沿ったE字形の輪郭は、第1の凹部773及び第2の凹部774を画定し得る。同様に、第2の部分772は、第3の凹部775及び第4の凹部776を含み得る。動作において、堆積源アセンブリ730の磁気ユニット、例えば、図9Bに示す第2のアクティブ磁気ユニット742は、少なくとも部分的に第3の凹部775内に配置されてもよく、第1のパッシブ磁気ユニット745は、少なくとも部分的に第4の凹部776内に設けられてもよい。第1のパッシブ磁気ユニット745は、誘導構造体770に設けられたさらなるパッシブ磁気ユニット746と相互作用し得る。第2の部分772は、源搬送方向に対して直角な断面においてE字形の輪郭を有し得る。第2の部分772の長さに実質的に沿ったE字形の輪郭は、第3の凹部775及び第4の凹部776を画定し得る。
堆積源アセンブリ730の磁気ユニットを少なくとも部分的に誘導構造体770のそれぞれの凹部内に配置することにより、本明細書に記載されているように、力F1、F2、T1、及び/又はO1をもたらすための、それぞれの凹部内における誘導構造体と磁気ユニットとの間の改善された磁気相互作用が得られる。
図10Bを例示的に参照すると、搬送装置の幾つかの実施形態によれば、パッシブ磁気駆動ユニット780が誘導構造体に設けられ得る。例えば、パッシブ磁気駆動ユニット780は、複数の永久磁石、具体的には、変動する極性配向を有するパッシブ磁気アセンブリを形成する複数の永久磁石であってもよい。複数の磁石は、パッシブ磁気アセンブリを形成するために、交互する極性配向を有し得る。アクティブ磁気駆動ユニット781が、源アセンブリ(例えば、源支持体531)において、又は、その中に設けられ得る。パッシブ磁気駆動ユニット780及びアクティブ磁気駆動ユニット781は、堆積源アセンブリが浮揚されている間、誘導構造体に沿った運動のための推進力(例えば、非接触推進力)を与えることができる。
図10Cは、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態に係る、源支持体531、例えば、源カートを示す。図示されているように、源支持体531には、次のユニット、すなわち、堆積源520、第1のアクティブ磁気ユニット741、第2のアクティブ磁気ユニット742、第3のアクティブ磁気ユニット747、第4のアクティブ磁気ユニット748、第5のアクティブ磁気ユニット749、第6のアクティブ磁気ユニット750、第1のパッシブ磁気ユニット751、第2のパッシブ磁気ユニット752、及びこれらの任意の組み合わせが装着され得る。第5のアクティブ磁気ユニット749は、図10Aを参照して説明されるように、さらなるアクティブ磁気ユニット743であり得る。
図10Cは、本明細書に記載された、源支持体531を通って延在する第1の平面733を示す。第1の平面733は、本明細書に記載されたように、第1の回転軸734を含む。図9Cに示すように、動作においては、第1の回転軸734は、x方向に対して実質的に平行であり得る。
動作において、第1の回転軸は、横方向に沿って、例えば、x方向に対して実質的に平行に延在し得る。第1のアクティブ磁気ユニット741、第3のアクティブ磁気ユニット747、第5のアクティブ磁気ユニット749、及び/又は第6のアクティブ磁気ユニット750は、第1の平面733の第1の側に配置され得る。第2のアクティブ磁気ユニット742、第4のアクティブ磁気ユニット748、第1のパッシブ磁気ユニット751、及び第2のパッシブ磁気ユニット752は、第1の平面733の第2の側に配置され得る。
さらに、図10Cは、源支持体531を通って延在する第2の平面766を示す。第2の平面766は、第1の平面に対して直角であり得る。装置720の動作中、第2の平面は、垂直方向に延在し得る。動作中、第1の平面733は、基板受容領域又は基板に対して実質的に平行であってよい。第2の平面766は、基板受容領域に対して実質的に直角であってよい。第2の平面766は、堆積源アセンブリの第2の回転軸767を含む。第2の回転軸767は、第1の回転軸に対して実質的に直角であり得る。動作において、第2の回転軸767は、横方向に沿って、例えば、図10Cに示すように、z方向に対して実質的に平行に延在し得る。
図10Cに例示的に示すように、第1のアクティブ磁気ユニット741、第2のアクティブ磁気ユニット742、第5のアクティブ磁気ユニット749、及び/又は第1のパッシブ磁気ユニット751は、第2の平面766の第1の側に配置され得る。第3のアクティブ磁気ユニット747、第4のアクティブ磁気ユニット748、第6のアクティブ磁気ユニット750、及び第2のパッシブ磁気ユニット752は、第2の平面766の第2の側に配置され得る。
動作において、図10Cに示す8個の磁石ユニットが装着された源支持体531は、図10Bに示すように、凹部を画定するE字形の輪郭を有する第1の部分及び第2の部分を含む誘導構造体に対して配置され得る。第1のアクティブ磁気ユニット741及び第3のアクティブ磁気ユニット747は、少なくとも部分的に、第1の凹部773内に配置され得る。第5のアクティブ磁気ユニット749及び第6のアクティブ磁気ユニット750は、少なくとも部分的に、第2の凹部774内に配置され得る。第2のアクティブ磁気ユニット742及び第4のアクティブ磁気ユニット748は、少なくとも部分的に、第3の凹部775内に配置され得る。第1のパッシブ磁気ユニット751及び第2のパッシブ磁気ユニット752は、少なくとも部分的に、第4の凹部776内に配置され得る。
第1のアクティブ磁気ユニット、第2のアクティブ磁気ユニット、第3のアクティブ磁気ユニット、及び第4のアクティブ磁気ユニットは、それぞれ、堆積源アセンブリに作用する磁気浮揚力をもたらすように構成され得る。これら4つの磁気浮揚力は、それぞれ、堆積源アセンブリの重量と部分的に反作用し得る。これら4つの磁気浮揚力の重なり合いによって、堆積源アセンブリの重量に完全に反作用するような重なり合った磁気浮揚力がもたらされ、非接触浮揚がもたらされ得る。
第1のアクティブ磁気ユニット、第2のアクティブ磁気ユニット、第3のアクティブ磁気ユニット、及び第4のアクティブ磁気ユニットを制御することにより、堆積源を垂直方向に沿って並進移動させて位置合わせすることができる。コントローラの制御の下で、堆積源は、垂直方向、例えば、y方向に沿って、目標位置に位置付けされ得る。
第1のアクティブ磁気ユニット、第2のアクティブ磁気ユニット、第3のアクティブ磁気ユニット、及び第4のアクティブ磁気ユニットを制御、具体的には、個別に制御することにより、堆積源アセンブリを第1の回転軸の周りで回転させることができる。同様に、ユニット群を制御することにより、堆積源アセンブリを第2の回転軸の周りで回転させることができる。アクティブ磁気ユニットを制御することによって、堆積減を位置合わせするために、第1の回転軸に対する堆積源アセンブリの角度配向と、第2の回転軸に対する角度配向とを制御することが可能になる。したがって、堆積源を角度的に位置合わせするために、2つの回転自由度がもたらされ得る。
第1のパッシブ磁気ユニット751及び第2のパッシブ磁気ユニット752は、それぞれ、第1の横方向力T1と第2の横方向力T2を加えるように構成されている。第5のアクティブ磁気ユニット749及び第6のアクティブ磁気ユニット750は、それぞれ、第1の対向横方向力O1と第2の対向横方向力O2を加えるように構成されている。図10Aに関連して示された説明を検討すると、第1の対向力O1及び第2の対向力O2は、第1の横方向力T1及び第2の横方向力T2と反作用する。
第5のアクティブ磁気ユニット749及び第6のアクティブ磁気ユニット750を制御し、ひいては、力T1及びT2を制御することにより、堆積源を、横方向、例えば、z方向に沿って並進移動させて位置合わせすることができる。コントローラの制御の下で、堆積源は、横方向に沿って目標位置に位置付けされ得る。
第5のアクティブ磁気ユニット749及び第6のアクティブ磁気ユニット750を個別に制御することによって、図10Cに示すように、堆積源アセンブリを第3の回転軸768の周りで回転させることができる。第3の回転軸768は、第1の回転軸734に対して直角であってよく、且つ/又は、第2の回転軸767に対して直角であってよい。動作において、第3の回転軸768は、垂直方向に沿って延在し得る。第5のアクティブ磁気ユニット749及び第6のアクティブ磁気ユニット750を個別に制御することにより、堆積源を角度的に位置合わせするために、第3の回転軸768に対して堆積源アセンブリの角度配向を制御することが可能になる。
図11Aから図11Eを例示的に参照すると、本明細書に記載された処理システム内でのキャリアアセンブリ又は基板の無接触の浮揚、搬送、及び/又は位置合わせのためのさらなる搬送装置820が説明される。本開示では、「キャリアアセンブリ」は、基板を支持するキャリア、基板なしのキャリア、基板、又は支持体によって支持された基板からなる群のうちの1つ又は複数の要素を含み得る。具体的には、キャリアアセンブリは、機械的な力の代わりに磁力を用いて、浮揚状態又は浮上状態で保持される。一例として、本明細書に記載されたさらなる搬送装置は、堆積源アセンブリの重量を支持する機械的レールなどの機械的手段を有しないことがある。幾つかの実装形態では、システム内でキャリアアセンブリが浮揚(例えば、移動)している間、キャリアアセンブリとさらなる搬送装置の残りの部分との間の機械的接触は一切あり得ない。
本開示の実施形態によれば、浮揚(levitating or levitation)とは、物体が機械的な接触又は支持を伴わずに浮上する物体の状態のことを指す。さらに、物体を移動させるということは、駆動力(例えば、浮揚力とは異なる方向の力)を加えることを指しており、この場合、物体は、ある位置から別の異なる位置(例えば、異なる横方向位置)へと移動させられる。例えば、キャリアアセンブリなどの物体を、すなわり、重力と反作用する力によって浮揚させることができ、浮揚している間、重力と平行な方向とは異なる方向へ移動させることができる。
本明細書に記載された実施形態に係るキャリアアセンブリの無接触の浮揚、搬送、及び/又は位置合わせは、キャリアアセンブリの搬送又は位置合わせの間、堆積源アセンブリと機械的レールなどの装置の部分との機械的接触によって粒子が発生しないという点で有益である。したがって、特に無接触の浮揚、搬送、及び/又は位置合わせを用いると、粒子発生が最小限に抑えられるので、本明細書に記載された処理システムは、基板上に堆積される層の改善された純度及び均一性をもたらす。
キャリアアセンブリを誘導するための機械的手段と比べた場合、さらなる利点は、本明細書に記載された実施形態が、キャリアアセンブリの移動の直線性及び/又は精度に影響を与える摩擦の関与を受けないことである。キャリアアセンブリの無接触搬送により、キャリアアセンブリの無摩擦移動が可能となり、マスクに対するキャリアアセンブリの位置合わせが、高精度に制御且つ維持され得る。さらに、浮揚することにより、キャリアアセンブリの速度の迅速な加速又は減速、及び/又は、キャリアアセンブリの速度の微調節が可能になる。
さらに、機械的レールの材料は、典型的に、変形に悩まされる。かような変形は、チャンバの排気によって、また、温度、使用法、摩耗などによって生じる恐れがある。かかる変形は、キャリアアセンブリの位置に影響を与え、ひいては、堆積層の品質に影響を与える。それとは対照的に、本明細書に記載されたさらなる搬送装置820の実施形態は、例えば、本明細書に記載された誘導構造体に存在する潜在的な変形の補正を可能にする。キャリアアセンブリが浮揚且つ搬送させられる無接触態様の観点からすると、キャリアアセンブリの無接触位置合わせをもたらすことができる。したがって、改善された且つ/又はより効率的な、マスクに対する基板の位置合わせをもたらすことができる。
具体的には、さらなる搬送装置820は、垂直方向(例えば、y方向)に沿った、且つ/又は、1つは複数の横方向(例えば、x方向)に沿った、キャリアアセンブリの無接触並進運動のために構成されている。さらに、さらなる搬送装置は、例えば、マスクに対してキャリアアセンブリを角度的に位置合わせするために、少なくとも1つの回転軸に対してキャリアアセンブリを無接触回転させるように構成され得る。回転軸に対するキャリアアセンブリの回転は、0.003°から3°の角度範囲内でもたらされ得る。さらに、さらなる搬送装置820は、例えば、マスクに対してキャリアアセンブリを角度的に位置合わせするために、少なくとも1つの回転軸に対してキャリアアセンブリを追加的に接触回転(すなわち、接触が伴う回転)させるように構成され得る。回転軸に対する堆積源アセンブリの機械的回転は、0.0001°から3°の角度範囲内で行われ得る。
図11Aは、x−y面における例示的なさらなる搬送装置820の前面図を示し、図11Cは、図11Aに示したさらなる搬送装置820のx−z面における側面図を示す。典型的に、さらなる搬送装置820は、処理モジュール内、具体的には、真空処理チャンバ内に配置され得る。さらに、さらなる搬送装置は、処理システムの少なくとも1つのさらなるモジュールの中に、例えば、移送モジュール415及び/若しくはルーティングモジュール410及び/若しくはサービスモジュールの中に、並びに/又は、マスクキャリアマガジン320及び/若しくはマスクキャリアローダ310及び/若しくは第1のバッファチャンバ151及び/若しくは第2のバッファチャンバ及び/若しくは第1の真空スイングモジュール131及び/若しくはさらなる真空スイングモジュール132の中にさらに設けられ得る。
図11Aから図11Eに例示するように、さらなる搬送装置820は、例えば、本明細書に記載された基板キャリアにおいて、搬送すべき基板101を含み得るキャリアアセンブリ880を含み得る。キャリアアセンブリ880は、典型的に、第1のパッシブ磁気素子851を含む。図11Aに例示するように、さらなる搬送装置は、キャリアアセンブリ搬送方向に延びるさらなる誘導構造体870を含み得る。誘導構造体は、複数のアクティブ磁気素子875を含む。図11Aの水平方向の矢印によって例示されているように、キャリアアセンブリ880は、さらなる誘導構造体770に沿って移動可能であるように構成されている。さらなる誘導構造体870の第1のパッシブ磁気素子851及び複数のアクティブ磁気素子875は、キャリアアセンブリ880を浮揚させる第1の磁気浮揚力を加えるように構成されている。
さらに、図11Aに例示するように、さらなる搬送装置は、駆動構造体890を含み得る。誘導構造体は、複数のさらなるアクティブ磁気素子895を含み得る。キャリアアセンブリは、誘導構造体890のさらなるアクティブ磁気素子895と相互作用するための、第2のパッシブ磁気素子852(例えば、強磁性材料のバー)を含み得る。典型的には、複数のアクティブ磁気素子875のうちの1つのアクティブ磁気素子によって、キャリアアセンブリ880の第1のパッシブ磁気素子851と相互作用する磁力がもたらされる。例えば、第1のパッシブ磁気素子851は、強磁性材料のバー又はロッドであり得、これは、キャリアアセンブリ880の一部であり得る。代替的に、第1のパッシブ磁気素子は、基板支持体と一体的に形成されてもよい。さらに、図11A及び図11Bに例示するように、典型的には、キャリアアセンブリ880は、第2のパッシブ磁気素子852(例えば、強磁性材料のさらなるバー又はさらなるロッド)を含み、これは、キャリアアセンブリ880に接続されてもよく、又は、基板支持体と一体的に形成されてもよい。
本明細書に記載された実施形態によれば、複数のアクティブ磁気素子875は、第1のパッシブ磁気素子851に、ひいてはキャリアアンブリ880に磁力を供給する。したがって、複数のアクティブ磁気素子875が、キャリアアセンブリ880を浮揚させる。典型的には、さらなるアクティブ磁気素子895は、処理システムの内部でキャリアを、基板搬送方向、例えば、図11A及び図11Bに示すX方向に沿って、すなわち、第1の方向に沿って駆動するように構成されている。したがって、複数のさらなるアクティブ磁気素子895は、キャリアアセンブリ880を、複数のアクティブ磁気素子875によって浮揚させられている間に移動させる駆動構造体を形成する。さらなるアクティブ磁気素子895は、第2のパッシブ磁気素子852と相互作用して、基板搬送方向に沿った力を加える。例えば、第2のパッシブ磁気素子852は、複数の永久磁石を含み得、これらは、交互する極性で配置される。その結果生じる第2のパッシブ磁気素子852の磁界は、複数のさらなるアクティブ磁気素子895と相互作用して、キャリアアセンブリ880を浮揚中に移動させることができる。
複数のさらなるアクティブ磁気素子895を用いてキャリアアセンブリ880を浮揚させ、且つ/又は、複数のさらなるアクティブ磁気素子895を用いてキャリアアセンブリ880を移動させるためには、アクティブ磁気素子は、調節可能な磁界をもたらすように制御され得る。調節可能な磁界は、静磁界又は動磁界であってもよい。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、アクティブ磁気素子は、垂直方向に沿って延びる磁気浮揚力をもたらすための磁界を発生させるように構成されている。本明細書に記載されたさらなる実施形態と組み合わせることができる他の実施形態によれば、アクティブ磁気素子は、横方向に沿って延びる磁力をもたらすように構成され得る。本明細書に記載されたアクティブ磁気素子は、電磁デバイス、ソレノイド、コイル、超電導磁石、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された素子であるか、又はそれを含んでもよい。
図11A及び図11Bは、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態に係る、さらなる搬送装置820の動作状態の側面図を示す。図示されているように、さらなる誘導構造体870は、キャリアアセンブリの搬送方向、すなわち、図11A及び図11BのX方向に沿って延在し得る。キャリアアセンブリの搬送方向は、本明細書で説明された横方向である。さらなる誘導構造体870は、搬送方向に沿って延びる直線形状を有し得る。源搬送方向に沿ったさらなる誘導構造体870の長さは、1から30mであり得る。基板101は、例えば、+15°の偏差で、描画面に対して実質的に平行に配置され得る。基板処理(例えば、層堆積処理)の間、基板は、基板受容領域内に設けられてもよい。基板受容領域は、対応する基板寸法と同じか又はそれよりも若干(例えば、5〜20%)大きい寸法(例えば、長さ及び幅)を有する。
さらなる搬送装置820の動作中、キャリアアセンブリ880は、さらなる誘導構造体870に沿って、搬送方向(例えば、x方向)に並進移動可能であり得る。図11A及び図11Bは、さらなる誘導構造体870に対して、x方向に沿って異なる位置にあるキャリアアセンブリ880を示す。水平方向の矢印は、駆動構造体890の駆動力を示す。結果として、さらなる誘導構造体870に沿って、左から右へのキャリアアセンブリ880の並進運動がもたらされる。垂直方向の矢印は、キャリアアセンブリに対して作用する浮揚力を示す。
第1のパッシブ磁気素子851は、搬送方向で第1のパッシブ磁気素子851の長さに実質的に沿った磁気特性を有し得る。アクティブ磁気素子875’によって生成された磁界は、第1のパッシブ磁気素子851の磁気特性と相互作用し、第1の磁気浮揚力及び第2の磁気浮揚力をもたらす。したがって、キャリアアセンブリ880の無接触の浮揚、搬送、及び位置合わせが行われ得る。
図11Aに示すように、キャリアアセンブリ880は、第1の位置に設けられる。本開示の実施形態によれば、2つ以上のアクティブ磁気素子875’、例えば、2つ又は3つのアクティブ磁気素子875’が、キャリアコントローラ840によって活性化され、キャリアアセンブリ880を浮揚させるための磁界を発生させる。本開示の実施形態によれば、キャリアアセンブリは、機械的接触を伴わずに、さらなる誘導構造体870の下方に垂れ下がる。
図11Aでは、2つのアクティブ磁気素子875’が、垂直の矢印で示された磁力をもたらす。この磁力は、キャリアアセンブリを浮揚させるために重力に反作用する。キャリアコントローラ840は、2つのアクティブ磁気素子875’を個別に制御して、キャリアアセンブリを浮揚状態に維持する。さらに、1つ又は複数のさらなるアクティブ磁気素子895’が、キャリアコントローラ840によって制御され得る。さらなるアクティブ磁気素子は、第2のパッシブ磁気素子852(例えば、交互する永久磁石のセット)と相互作用して、水平方向の矢印で示される駆動力を生成する。駆動力は、基板(例えば、キャリアアセンブリの支持部によって支持された基板)を搬送方向に沿って移動させる。図11Aに示すように、搬送方向は、X方向であり得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる本開示の幾つかの実施形態によれば、駆動力をもたらすために同時に制御されるさらなるアクティブ磁気素子895’の数は、1から3である。キャリアアセンブリの移動により、基板は、搬送方向(例えば、X方向)に沿って移動する。したがって、第1の位置では、基板は、アクティブ磁気素子の第1の群の下方に位置付けされ、さらに別の位置では、基板は、アクティブ磁気素子のさらに別の群の下方に位置付けされる。コントローラは、それぞれの位置に対してどのアクティブ磁気素子が浮揚力を加えるかを制御し、且つ、それぞれのアクティブ磁気素子を制御して、キャリアアセンブリを浮揚させる。例えば、基板が移動している間、後続のアクティブ磁気素子によって浮揚力が加えられ得る。本明細書に記載された実施形態によれば、キャリアアセンブリは、アクティブ磁気素子の1つのセットからアクティブ磁気素子の別のセットへと渡されていく。
図11Bは、第2の位置、例えば、基板が処理モジュール内で処理される処理位置にあるキャリアアセンブリを示す。この処理位置では、キャリアアセンブリは、所望の位置に移動し得る。基板は、本開示に記載された無接触搬送システムを用いて、マスクに対して位置合わせさせられる。
図11Bに例示するように、第2位置では、2つのアクティブ磁気素子875’が、左矢印で示す第1磁力と、右矢印で示す第2の磁力とをもたらす。キャリアコントローラ840は、2つのアクティブ磁気素子875’を制御して、垂直方向、例えば、図11Bに示すY方向の位置合わせをもたらす。さらに、追加的に又は代替的に、キャリアコントローラ840は、2つのアクティブ磁気素子875’を制御して位置合わせをもたらし、キャリアアセンブリは、X−Y面で回転する。この両方の位置合わせ運動は、点線のキャリアアセンブリの位置と実線で描かれたキャリアアセンブリ880の位置とを比較することにより、図11Bで例示として確認することができる。
コントローラは、キャリアアセンブリを垂直方向に並進移動させて位置合わせするためにアクティブ磁気素子875’を制御するように構成され得る。アクティブ磁気素子を制御することによって、キャリアアセンブリ880は、目標垂直位置に位置付けされ得る。キャリアアセンブリ880は、キャリアコントローラ840の制御の下で、目標垂直位置に維持され得る。したがって、コントローラは、第1の回転軸(例えば、主要基板面に対して直角な回転軸、例えば、本開示のZ方向に延在する回転軸)に対して堆積源を角度的に位置合わせするために、アクティブ磁気素子875’を制御するように構成され得る。
さらなる搬送装置の実施形態によれば、垂直方向(Y方向)のキャリアアセンブリの位置合わせ、具体的には、無接触位置合わせは、0.1mmから3mmの位置合わせ範囲で行うことができる。さらに、垂直方向における、位置合わせの精度、具体的には、無接触位置合わせの精度は、50μm以下、例えば、1μmから10μm(5μm等)であり得る。本開示の実施形態によれば、回転位置合わせの精度、具体的には、無接触位置合わせの精度は、3°以下であり得る。
さらなる搬送装置の実施形態によれば、1つ又は複数のさらなるアクティブ磁気素子895’は、図10Bの双方向の水平矢印で示す駆動力を与えることができる。コントローラは、1つ又は複数のさらなるアクティブ磁気素子895’を制御して、搬送方向、例えば、図10A及び図10BにおけるX方向の位置合わせをもたらす。本開示の実施形態によれば、搬送方向(X方向)でのキャリアアセンブリの位置合わせは、誘導構造体の長さに沿って延在する位置合わせ範囲内で行われ得る。さらに、搬送方向での位置合わせの精度、具体的には、無接触位置合わせの精度は、50μm以下、例えば、5μm又は30μmであり得る。
したがって、さらなる搬送装置の実施形態は、浮揚したキャリアアセンブリの運動を実現し、これにより、搬送方向及び/又は垂直方向で基板を高精度で位置付けすることが可能となる。さらに、本明細書に記載された実施形態に係るキャリアアセンブリの位置付けの精度により、マスクに対する、キャリアアセンブリのキャリアによって支持された基板の改善された位置合わせが可能となる。位置合わせは、一部のマスク構成については、所望の精度を実現するように改善され得、又は、その他の一部のマスク構成については、別の位置合わせシステムの複雑性の低減を可能にするように改善され得る。
図11D及び図11Eは、垂直な基板配向をもたらすためのさらなる搬送装置820の幾つかの代替的構成の可能性を示しており、15°以下の絶対値を有する小さな偏差が設けられ得る。図11D及び図11Eに例示するように、基板支持体102によって支持された基板101は、下方に向くよう若干傾けてもよい。したがって、基板処理中の基板表面への粒子の付着を低減させることができる。さらなる誘導構造体870の長さに沿って分散する追加のアクティブ磁気素子876又は複数の追加のアクティブ磁気素子を設けることにより、図11Dに示すキャリアアセンブリは、傾く(すなわち、垂直配向からの若干の偏差を有し)。ここで、第2のパッシブ磁気素子852は、さらなるアクティブ磁気素子によって誘引される。したがって、キャリアアセンブリは、浮揚状態で設けられ、キャリアアセンブリの下端部は、さらなるアクティブ磁気素子によって側方に引っ張られる。機械的接触を伴わずにキャリアアセンブリの下端部を側方に引っ張る他の素子も設けられ得る。
さらに別の実施形態によれば、垂直配向からの偏差は、パッシブ磁気素子、例えば、永久磁石によっても実現し得る。例えば、キャリアアセンブリは、第2のパッシブ磁気素子852として、又は、例えば、第2のパッシブ磁気素子852に加えて、例えば、第2のパッシブ磁気素子852に隣接して設けられた永久磁石を有し得る。さらなる永久磁石は、永久磁石の下方に設けられ得る。さらなる永久磁石と永久磁石は、互いを誘引するために、極性が逆になるよう設けられ得る。この誘引力によって、キャリアアセンブリは、垂直配向から偏向させられ得る。さらに、この誘引力により、搬送方向に沿った誘導が行われ得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態によれば、キャリアの上端部において誘導力を加えるため、さらに別の永久磁石の対が設けられ得る。したがって、永久磁石の第2の対のうちの片方の永久磁石をキャリアアセンブリの上方領域に設けることができ、第2の対の永久磁石のうちの対応する永久磁石を誘導構造体の領域に隣接するよう設けることができる。第2の対の永久磁石同士の間の誘引力により、搬送方向に沿った誘導がもたらされ得る。
図11Eは、さらなる搬送装置820のさらなる代替的構成の可能性を示す。具体的には、傾いた(すなわち、垂直配向から若干(例えば、15°以下の絶対値)偏差した)基板101の基板配向を設けるために、基板支持体102は、キャリアアセンブリが垂直である間に基板の傾きをもたらすよう形成される。
さらなる搬送装置の実施形態によれば、キャリアアセンブリ880は、基板101を基板支持体102で保持するように構成された1つ又は複数の保持デバイス(図示せず)を含み得る。1つ又は複数の保持デバイスは、機械的クランプ及び/又は磁気クランプなどの、機械的手段、静電的手段、動電(ファンデルワールス)的手段、電磁的手段、及び/又は磁気的手段のうちの少なくとも1つを含み得る。
幾つかの実装形態では、キャリアアセンブリは、静電チャック(Eチャック)を含むか、又は、Eチャックである。Eチャックは、表面上に基板101を支持するための支持面(例えば、図11Aから図11Eに示す基板支持体102)を有し得る。一実施形態では、Eチャックは、電極が内部に埋め込まれた誘電本体を含む。誘電本体は、誘電材料、好ましくは、熱分解窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナ、又は等価材料などの高熱伝導性誘電材料から製作され得る。電極は電源に連結されて得る。電源は、電極に電力を供給して、チャック力を制御する。チャック力は、基板を支持体の支持面に固定するように基板に作用する静電力である。
幾つかの実装形態では、キャリアアセンブリ880は、動電チャック若しくはゲッコチャック(Gecko chuck)(Gチャック)を含むか、又は、動電チャック若しくはGチャックである。Gチャックは、表面上で基板を支持する支持面を有し得る。チャック力は、基板を支持面に固定するように基板に作用する動電力であり得る。
図4Aから図4Eを参照して例示的に説明されているように、マスク330が、堆積源520とキャリアアセンブリ880によって支持され得る基板101との間に設けられ得る。例えば、マスクは、図12Aに示すように端部除外マスクであってもよく、又は、図12Bに示すように、基板上にパターンを堆積するためのマスクであってもよい。典型的に、マスクは、マスクキャリアによって支持され得る。
図12Aに例示するように、典型的に、端部除外マスクは、マスク端部332を設けることにより、基板101の端部の一部を覆うように構成されている。例えば、基板101の一部の幅333は、10mm以下、例えば、5mm以下であり得る。開放領域334又は開口が、マスク端部332によって設けられ、すなわち、マスク端部332によって囲まれる。対応する端部によって囲まれた開口が2つ以上あるように、端部除外マスクの中央には、仕切り壁が任意選択的に設けられ得る。しかし、開口は、パターン特徴を画定するように構成されていない。開口は、基板の領域を画定するよう構成されている。例えば、図12Aに示す開口の開口領域334は、基板の面積の少なくとも80%であり得る。2つ以上の開口を有する実施形態については、各開口は、基板領域の少なくとも0.1%の面積を有する。
さらに、図12Aでは、基板101が上部で支持されているキャリアアセンブリ880が点線で示されている。したがって、本明細書に記載されたさらなる搬送装置820を利用することにより、キャリアアセンブリ880、ひいては、基板101をマスク330に対して位置合わせすることができることを理解するべきである。
図12Bは、複数の小さな開口341を含むシャドウマスク340を示す。例えば、小さな開口の領域、すなわち、生成されるパターンのうちの一特徴の領域は、基板面積の0.01%未満であり得る。図12Bは、表面上で基板101を支持しているキャリアアセンブリ880を示している。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる本開示の幾つかの実施形態によれば、基板とマスクを互いに対して事前に位置合わせすることは、機械的接触を伴わずに基板を浮揚させるように構成されたさらなる搬送装置820によって実現し得る。事前の位置合わせは、50μm以下の精度を有し得る。このような事前の位置合わせの精度により、最終的な位置合わせを行うためのさらなる位置合わせアクチュエータ、例えば、圧電アクチュエータ(圧電位置合わせアクチュエータ(piezoelectric alignment actuator)等)の利用が可能になる。
具体的には、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、図4Aを参照して簡潔に説明された位置合わせシステム550が設けられ得る。図12B及び図12Cを例示的に参照すると、典型的に、位置合わせシステム550は、図12Bに例示するように、2つ以上の位置合わせアクチュエータ350、例えば、4つの位置合わせアクチュエータを含む。事前の位置合わせが行われる幾つかの実施形態によれば、例えば、以上に記載されたさらなる搬送装置を利用することにより、位置合わせアクチュエータは、上述の事前の位置合わせの精度がない状態で利用される一般的な位置合わせアクチュエータに比べて、複雑性が低減し得る。例えば、本明細書に記載されたさらなる搬送装置の事前の位置合わせは、処理モジュールの内部で、位置合わせされるキャリアを予め設定された位置に停止するように構成されたレールを含み得る。例えば、マスクキャリアは、処理モジュールの内部で予め設定された位置まで移動することができ、次いで、位置合わせシステム550は、所望の位置の微調節を行うことができる。その後、ロックボルト、例えば、マスクキャリアの各角部に1つある4つのロックボルトが、マスクキャリアを保持するために前進し得る。マスクキャリアが位置付けされた後、基板キャリアは、処理モジュールの内部の予め設定された位置に移動させられ得る。次いで、例えば、位置合わせシステムによって、基板キャリアを位置合わせすることができる。基板キャリア及びマスクキャリアが正確な位置にあるとき、基板キャリア及びマスクキャリアの正確な位置を保つために、ロックボルトが利用され得る。
さらに、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、1つ又は複数のカメラが、処理モジュールの内部に実装され得る。カメラは、例えば、マスクキャリア及び/又はマスク及び/又は基板キャリア及び/又は基板に設けられた位置検出印をモニタリングすることにより、基板に対するマスクの位置合わせをチェックすることができるように構成且つ配置される。例えば、検出印は、黒い点又は孔であり得る。
幾つかの実施形態では、位置合わせシステム550は、図4Aに例示するように、真空処理チャンバの外から、すなわち、大気側から作動するように構成され得る。典型的に、位置合わせシステムは、2つ以上の位置合わせアクチュエータを有する保持構成体を含み、これらのアクチュエータは、マスクキャリアと基板キャリアとの間に短い接続経路を設ける。具体的には、保持構成体900は、基板キャリア910とマスクキャリア335のうちの少なくとも1つに接続可能な2つ以上の位置合わせアクチュエータ350を含み、保持構成体900は、基板キャリア910を支持するように構成されている。
図12Cに例示するように、幾つかの実施形態によれば、2つ以上の位置合わせアクチュエータ350のうちの第1の位置合わせアクチュエータ350Aは、キャリアアセンブリ880とマスクキャリア335を互いに対して少なくとも第1の方向Yに移動させるように構成され得る。さらに、2つ以上の位置合わせアクチュエータのうちの第2の位置合わせアクチュエータ350Bが設けられ得る。第2の位置合わせアクチュエータ350Bは、キャリアアセンブリ880とマスクキャリア335を互いに対して第1の方向Yに、及び第1の方向Yと異なる第2の方向Xに移動させるように構成され得る。幾つかの実装態様によれば、第1の位置合わせアクチュエータ350Aは、第2の方向Xに関して浮上している。「浮上している(floating)」という用語は、第1の位置合わせアクチュエータ350Aが、例えば第2の位置合わせアクチュエータ350Bによって駆動される、第2の方向Xへの基板キャリア910の運動を許容していることであると理解することできる。
典型的に、保持構成体は、第3の位置合わせアクチュエータ350C及び第4の位置合わせアクチュエータ350Dのうちの少なくとも1つをさらに含み得る。したがって、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、キャリアアセンブリ又は基板キャリア910又はマスクキャリア335を、第1の平面内で又は第1の平面に対して平行に(例えば、x方向及びy方向に)移動又は位置合わせさせるように構成され、且つ、基板キャリア910又はマスクキャリア335の角度位置を第1の平面内で又は第1の平面に対して平行に、調整又は変更するように構成されている。したがって、基板101をマスク330に対して位置合わせすることができ、堆積された層の品質を改善することができる。
図12Cに例示されていないが、典型的には、図12A及び図12Bを参照して例示的に説明されているように、マスク330は、マスクキャリア335に取り付けられ得ることを理解するべきである。図12B及び図12Cで例示するように、典型的に、保持構成体900は、基板キャリア910及びマスクキャリア335のうちの少なくとも1つを実質的に垂直な配向で支持するよう構成されている。
さらに、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、キャリアアセンブリとマスクキャリア335のうちの少なくとも1つの要素に接続され得ることを理解するべきである。一例として、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、基板キャリア910に接続可能であり、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、基板キャリア910をマスクキャリア335に対して移動させるように構成されており、マスクキャリア335は、固定位置又は静止位置にあり得る。他の例として、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、マスクキャリア335に接続可能であり、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、マスクキャリア335を基板キャリア910に対して移動させるように構成されており、基板キャリア910は、固定位置又は静止位置にあり得る。
幾つかの実装形態では、2つ以上の位置合わせアクチュエータのうちの少なくとも1つの位置合わせアクチュエータは、基板101とマスクキャリア335を互いに対して第3の方向Zに移動させるよう構成されており、具体的には、第3の方向は、第1の平面及び/又は基板表面103に対して実質的に直角である。一例として、第1の位置合わせアクチュエータ350A及び第2の位置合わせアクチュエータ350Bは、基板キャリア910又はマスクキャリア335を第3の方向Zに移動させるように構成され得る。幾つかの実装形態では、基板101とマスク330との間の距離は、キャリアアセンブリ又は基板キャリア910又はマスクキャリア335を第3の方向Zに移動させることによって調節することができる。一例としては、基板101又は基板キャリア910とマスク330との間の距離は、層が表面上に堆積されるように構成された基板表面103の領域において、実質的に一定であるように調節され得る。幾つかの実施形態によれば、この距離は、1mm未満、具体的には、500マイクロメートル未満、さらに具体的には、50マイクロメートル未満であり得る。
図12Cに例示するように、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、第1の位置合わせアクチュエータ350A及び第2の位置合わせアクチュエータ350Bは、基板キャリアの第1の端部部分921に設けられ、第3の位置合わせアクチュエータ350C及び第4の位置合わせアクチュエータ350Dは、基板キャリアの第2の端部部分922に設けられる。具体的には、第1の位置合わせアクチュエータ350A、第2の位置合わせアクチュエータ350B、第3の位置合わせアクチュエータ350C、及び第4の位置合わせアクチュエータ350Dは、基板キャリア910の角部又は角領域(例えば、第1の端部部分921又は第2の端部部分922の角部又は角領域)に設けられ得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、電気アクチュエータ又は空気圧アクチュエータであり得る。2つ以上の位置合わせアクチュエータは、例えば、線形位置合わせアクチュエータであり得る。幾つかの実装形態では、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、ステッパアクチュエータ(stepper actuator)、ブラシレスアクチュエータ(brushless actuator)、DC(直流)アクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータ、及び圧電アクチュエータからなる群から選択された少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。「アクチュエータ(actuator)」という語は、ステッパモータなどのモータを表し得る。2つ以上の位置合わせアクチュエータは、キャリアアセンブリ又は基板キャリア、ひいては基板を、約±1マイクロメートル未満の精度で移動させたり、又は位置付けしたりするように構成され得る。一例として、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、基板キャリアを、約±0.5マイクロメートル、特に約0.1マイクロメートルの精度で、第1の方向Y、第2の方向X、及び第3の方向Zのうちの少なくとも1つの方向に移動させたり、又は位置付けしたりするように構成され得る。幾つかの実装形態では、基板を第1の方向、第2の方向、及び第3の方向のうちの少なくとも1つの方向に移動させることは、2つ以上の位置合わせアクチュエータを同時に又は連続的に駆動することによって行われ得る。
したがって、本明細書に記載された処理システムの実施形態は、有益には、大面積ディスプレイデバイス、例えば、高解像度又はさらに超高解像度を有するOLEDデバイスを製造するように構成されている。
簡潔に要約されているように、本明細書に記載された処理システムの実施形態は、キャリアによって支持された基板上に1つ又は複数の層、具体的には、有機材料をその中に含む層を堆積するように構成されている。処理システムは、典型的に、処理される基板をロードするためのロードロックチャンバ110、キャリアによって支持された基板を搬送するように構成されたルーティングモジュール410、ロードロックチャンバ110とルーティングモジュール410との間に設けられた第1の真空スイングモジュール131、及びルーティングモジュールに接続された処理モジュール510であって、その真空処理チャンバ540内で材料を堆積するための堆積源520を含む、処理モジュール510を含む。当該処理システムは、処理モジュールに接続されたサービスモジュール610であって、堆積源520が、真空処理チャンバ540からサービスモジュール610へと、且つサービスモジュールから真空処理チャンバへと移送され得るように構成されている、サービスモジュール610をさらに含み得る。さらに、処理システムは、処理された基板をアンロードするためのアンロードロックチャンバ116を含む。本明細書に記載されたように、処理システムは、典型的に、キャリアによって支持された基板を搬送するように構成されたさらなるルーティングモジュール412、さらなるルーティングモジュール412に接続されたマスクキャリアマガジン320であって、処理システムの動作の間に利用されるマスクを格納且つ搬送するように構成されたマスクキャリアマガジン320、アンロードロックチャンバ116とさらなるルーティングモジュール412との間に設けられたさらなる真空スイングモジュール132、並びに真空条件の下及び/又は制御された不活性雰囲気の下で、第1の真空スイングモジュール131とさらなる真空スイングモジュール132との間でキャリアを搬送するように構成された搬送システムを含む。
本明細書に記載された任意の他の実施形態とも組み合わせることができる実施形態によれば、堆積源520は、材料を蒸発させるように構成された蒸発るつぼ521を含む。さらに、堆積源520は、典型的に、1つ又は複数の排出口を有する分配アセンブリ530を含み、蒸発るつぼ521に流体連結されている。本明細書に記載されたように、堆積源は、複数のノズル544を有する分配管533を含み、複数のノズルの各ノズルは、蒸発した源材料のプルーム318を基板101に向けて方向付けるように構成されている。さらに、堆積源は、複数の開孔545を含むシェーパシールドデバイス517を含み得、複数の開孔545のうちの少なくとも1つの開孔は、単一の関連付けられたノズルから発せられる蒸発した源材料のプルーム318を個別に成形するように構成されている。
さらに、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、処理システムは、堆積源520の無接触浮揚のための搬送装置720を含む。典型的に、搬送装置720は、堆積源520を含む堆積源アセンブリ730、第1のアクティブ磁気ユニット741、及び堆積源搬送方向に延びる誘導構造体770を含む。第1のアクティブ磁気ユニット及び誘導構造体は、堆積源アセンブリを浮揚させるための第1の磁気浮揚力F1をもたらすように構成されている。さらに、キャリアアセンブリの無接触の浮揚、搬送、及び/又は位置合わせのためのさらなる搬送装置820が設けられ得る。さらなる搬送装置820は、複数のアクティブ磁気素子875を有するさらなる誘導構造体870であって、キャリアを浮揚させるように構成されたさらなる誘導構造体870、及び複数のさらなるアクティブ磁気素子895を有する駆動構造体890であって、機械的接触がない状態でキャリアアセンブリを搬送方向に沿って駆動させるように構成された駆動構造体890を含む。さらに、本明細書に記載されたように、キャリアアセンブリ880とマスクキャリア335を互いに対して移動させるように構成された2つ以上の位置合わせアクチュエータ350が、処理システム内に設けられ得る。
図13Bは、キャリアによって支持された基板上に1つ又は複数の層、具体的には、有機材料をその中に含む層を堆積するための処理システム、具体的には、本明細書に記載された実施形態に係る処理システムを操作するための方法1300を示すブロック図を示す。処理システムを操作するための方法は、水平配向で基板を処理システム内にロードすることと、真空スイングモジュール内で基板をキャリア上にロードすることと、真空スイングモジュール内で、ロードされた基板と共にキャリアを垂直配向に回転させることと、処理システムを通して、且つ真空条件下で処理モジュールを出入りするように、ロードされた基板と共にキャリアを移送することと、さらなる真空スイングモジュール内でキャリアを水平配向に回転させることと、水平配向で、さらなる真空スイングモジュール内のキャリアから基板をアンロードすることとを含む。
具体的には、フロー図の第1のブロック1310は、基板が水平配向で本明細書に記載された処理システム内にロードされることを表す。フロー図の第2のブロック1320は、基板が水平配向でキャリア上にロードされることを表す。フロー図の第3のブロック1330は、具体的には、本明細書に記載された真空スイングモジュールを用いて、キャリアを水平配向から垂直配向に回転させることにより、基板が回転させられることを表す。フロー図の第4のブロック1340は、処理システムを通して、例えば、本明細書に記載された1つ又は複数の処理モジュールを通して、キャリアを基板と共に垂直配向で移送することによって、基板が移送されることを表す。具体的には、処理システムを通してキャリアを移送することは、本明細書に記載された搬送システムを利用することを含み得る。当該搬送システムは、本明細書に記載された処理システムの一部の又はすべてのモジュール及びチャンバの中に設けられ得る。基板を処理した後、基板が載っているキャリアは、垂直配向から水平配向へと回転させられる。これは、フロー図の第5のブロック1350によって表されている。次いで、フロー図の第6のブロック1360によって表されるステップにおいて、基板が水平配向でアンロードされる。したがって、本明細書に記載された処理システムは、有益には、例えば、OLEDデバイスを製造するため、特に有機材料を含む1つ又は複数の層を堆積するために使用されてもよい。
さらに、上述の実施形態によれば、処理システムは、典型的に、例えば、堆積源、サービスフランジ、及びルーティングモジュールの回転ユニットを移動させるための幾つかの駆動ユニットを含むことを理解するべきである。具体的には、堆積源のための回転駆動部が、源カートの内部に設けられ、堆積源を定位置から適切な処理位置に回転させるように構成され得る。図11Aから図11Cを参照して説明されるように、源カートは、典型的に、源を処理モジュールの内部で前後に移動させる磁気浮揚システムを使用する。図8A及び図8Bを参照して例示的に説明されるように、サービスフランジは、典型的に、サービスフランジロータの上部に実装される。サービスフランジロータは、サービスフランジをサービス位置から処理モジュールへと回転させ、サービス位置へと戻すように構成された回転駆動部及び駆動ベルトを含み得る。さらに、図9A及び図9Bを参照して説明されるように、ルーティングモジュール内に設けられた回転駆動部は、典型的に、マスクキャリア及び/又は基板キャリアが適切な処理モジュール内に搬送され得るように、マスクキャリア及び/又は基板キャリアを回転させるよう構成されている。
さらに、本明細書に記載された処理システムの実施形態には、真空システムが設けられ得ることを理解するべきである。当該真空システムは、前段真空ポンプ(fore−vacuum pump)、乾燥真空ポンプ、高真空ポンプ、例えば、気体を凝縮して、これらの気体をシステムから除去するために非常に冷たい表面を使用し得る低温(クライオ)ポンプ、真空チャンバを通気するための通気装置(例えば、バルブ)、粒子フィルタであって、それを通って通気気体(例えば、圧縮された乾燥空気)が真空チャンバに入ることができる粒子フィルタ、処理システムの個々のモジュール及びチャンバの電流圧力を測定且つ表示し、個々のモジュール及びチャンバの圧力でそれぞれのポンピングステーションを制御且つモニタリングするための圧力測定システムからなる群から選択された構成要素のうちの1つ又は複数を含む。
さらに、本明細書に記載された処理システムの実施形態は、典型的に、ハードリアルタイムサーバ(HRTS)及び仮想システムインターフェース(VSI)などの制御デバイス、並びに処理システムの受電デバイス(例えば、ヒータ又は蒸発カソード)に電力を供給するように構成された電気システムを含むことを理解するべきである。典型的に、電気システムのデバイスは、種々のキャビネット、例えば、処理システムの近くに実装された供給及び分配キャブネット、並びにそれぞれのモジュール又はチャンバに取り付けられ得る制御キャビネットの中に配置される。
さらに、本明細書に記載された処理システムの典型的な実施形態は、冷却水供給部、空圧供給部、及びベントガス供給部を含み得ることを理解するべきである。典型的に、処理モジュール及び有機3重源(organic triple source)は、冷却水が供給される。具体的には、処理システムは、冷却水用の主要供給ラインを含み得る。主要供給ラインから、個々の冷却水分配ユニットを介して、各モジュールのサブシステムに冷却水が供給され得る。幾つかの実装態様によれば、処理モジュールのために、追加の水供給ボックスが設けられ得る。さらに、空気圧バルブアセンブリ及び流量コントローラが、冷却水供給を制御且つモニタリングするために、個々の冷却水回路内に設けられ得る。空気圧供給部は、典型的に、加圧気体(例えば、圧縮された乾燥空気又は窒素)により作動し、水供給部、ゲートバルブ、及びベントガス装置のバルブ及びポンプを気体作用により作動させるよう構成されている。典型的な実装形態によれば、空圧供給部は、6barから8barの圧力が主要入力調節器で設定され得る主要供給ラインを含む。保守ユニットが、加圧気体を個々のモジュールに設けられたそれぞれのバルブユニットに送達し得る。バルブユニットは、空気圧駆動構成要素を通して加圧気体流を制御する電動式パイロットバルブを含む。
本明細書に記載された処理システムの実施形態の観点から、処理システムは、一週間以上の時間尺度で、例えば、約±5%以下の安定した蒸発率を可能にすることを理解するべきである。これは、特に、改善された保守条件によって実現することができる。さらに、本明細書に記載された処理システムの実施形態は、真空を破壊せずに、さらに処理を中断させずに、蒸発るつぼ内への有機材料の再充填を可能にする。ある蒸発源の保守及び/又は再充填は、別の蒸発源の動作とは別個に行われ得る。これにより、所有コスト(CoO)が改善される。というのは、多くの他のOLED製造システムにおいて、蒸発源の保守及び再充填がボトルネックであったからである。言い換えると、定期保守又はマスク交換の間に基板ハンドリングチャンバ又は堆積チャンバを通気する必要がないことにより生じる高いシステム稼働時間が、所有コストを著しく改善することができる。上述のように、この改善の1つの理由は、蒸発源の保守と事前調整を別々のチャンバで実現することができる、保守真空チャンバ、及び/又は、本明細書に記載された保守真空チャンバに関連付けられた他の構成要素の存在である。
さらに、本明細書に記載された処理システムの実施形態は、垂直基板処理のために構成されている。垂直基板処理は、図1Aを参照して例示的に説明されているように、特に幾つかの処理モジュールが設置される際に、処理システムの設置面積の縮小を可能にする。具体的には、垂直基板処理により、現在及び未来の基板サイズ世代に対する良好なスケーラビリティが可能になる。したがって、本明細書に記載された処理システムの実施形態は、有機材料の幾つかの層を2つ以上の基板、特に大面積基板にコーティングすることを可能にする。
さらに、本明細書に記載されたように、処理モジュールの内部の移動可能及び回転可能な蒸発源により、高い材料利用率で連続的に又はほぼ連続的にコーティングすることが可能になる。したがって、本明細書に記載された実施形態は、2つの基板を交互にコーティングするために、180度回転機構を用いた走査源アプローチを使用することによって、高い堆積源効率(85%超)と高い材料利用率(少なくとも50%以上)が可能となる。源効率においては、コーティングされる基板の全面積にわたって均一なコーティングを可能にするために蒸気ビームが大面積基板のサイズに広がることにより発生する材料損失が考慮される。材料利用率においては、蒸発源の遊休時間(すなわち、蒸発源が蒸発した材料を基板上に堆積することができない時間)に発生する損失がさらに考慮される。
さらに、本明細書に記載された実施形態によれば、蒸発源(例えば、線形蒸気分配シャワーヘッド)の並進運動と、蒸発源の回転との組み合わせにより、OLEDディスプレイ製造のための高い蒸発源効率と高い材料利用率が可能になる。優れた信頼性、歩留り率、及び高いマスキング精度を達成するために、典型的に、本明細書に記載されたように、処理モジュール内での基板の処理中に、マスク及び基板は静止状態に留まる。したがって、本明細書に記載された処理システムは、従来の処理システムに比べて、遊休時間の減少をもたらす。従来の処理システムでは、堆積後毎に基板を交換する必要があり、この作業には、マスクと基板を互いに対して位置合わせする新たな工程が含まれる。さらに、遊休時間中、堆積源は材料を浪費してしまう。したがって、本明細書に記載されたように、第2の基板が、堆積位置にあって、マスクに対して容易に位置合わせされることにより、遊休時間が短縮され、材料利用率が増加する。
したがって、以上の観点から、本明細書に記載された処理システムの実施形態、及びその方法は、特に、大面積基板上にディスプレイデバイス(例えば、OLEDディスプレイデバイス)を製造する際の高スループット及び低コストに関連して、従来の処理システムに比べて改善されている。
本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上記に簡単に要約された本開示のより詳細な説明を得ることができる。添付の図面は、例示的な実施形態を示すのみであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではないことに留意されたい。
本明細書に記載された実施形態に係る、第1のモジュラーレイアウト構成を有する処理システムの概略図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、第2のモジュラーレイアウト構成を有する処理システムの一部の概略図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、基板のロード及びアンロードの間の、第2のモジュラーレイアウト構成を有する処理システムの一部の様々な状態を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、処理システムの真空スイングモジュールの概略図を示す。
図3Aに関連して説明されたような真空スイングモジュール内での、基板が支持されたキャリアの回転の概略図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、処理システムの処理モジュールの概略図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る処理システム内で基板を処理する間、堆積源が様々な位置にある処理モジュールの概略図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、処理システム内で利用される堆積源を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、堆積源の堆積速度を測定するための測定アセンブリを示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、蒸発るつぼの様々な実施形態の種々の断面図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、堆積源の分配アセンブリの概略断面図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、シールドデバイスを有する分配アセンブリの種々の詳細な概略断面図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、シールドデバイスの概略斜視図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、分配アセンブリのノズルの概略図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、処理システムのサービスモジュールの種々の概略斜視図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、処理システムのサービスモジュール及び処理モジュールの中の2つの堆積源の種々の状態を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、処理システムのルーティングモジュールの概略斜視図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、それぞれに処理モジュールが接続された2つの隣接するルーティングモジュールの概略図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、処理システム内で堆積源を搬送するための搬送装置の概略図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、堆積源を支持するための堆積源支持体の概略図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、処理システム内でキャリアアセンブリを搬送するためのさらなる搬送装置の様々な実施形態の概略図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、処理システム内で利用されるキャリアアセンブリ及びマスクの概略図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、処理システム内のマスクに対して基板を位置合わせするための位置合わせシステムを含むキャリアアセンブリの概略図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、処理システム内のマスクに対して基板を位置合わせするための位置合わせシステムを含むキャリアアセンブリの概略斜視図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、処理システムの処理構成体に基板をロード且つアンロードするための方法を示すブロック図を示す。
本明細書に記載された実施形態に係る、処理システムを操作するための方法を示すブロック図を示す。
より具体的には、図1Aを例示的に参照すると、幾つかの実施形態によれば、処理システム100は、第1の基板ハンドリングチャンバ121に接続されるロードロックチャンバ110を含み得る。基板は、第1の基板ハンドリングチャンバ121から第1の真空スイングモジュール131まで移送させられ得る。この場合、基板は、キャリア上の水平位置でロードされる。キャリア上に基板を水平位置でロードした後、第1の真空スイングモジュール131は、基板が上部に設けられたキャリアを垂直又は実質的に垂直な配向に回転させる。次に、垂直配向の基板を処理モジュール510に移送するために、基板が上部に設けられたキャリアは、第1のルーティングモジュール411及びさらなるルーティングモジュール412を通して移送される。例えば、図1Aでは、6つのルーティングモジュールと9つの処理モジュールが示されている。
基板の処理後、基板が載っている基板キャリアは、垂直配向で最後のルーティングモジュールからさらなる真空スイングモジュール132内に移送される。さらなる真空スイングモジュール132は、基板が載っているキャリアを垂直配向から水平配向に回転させる。その後、基板は、さらなる水平基板ハンドリングチャンバ内にアンロードされ得る。処理された基板は、アンロードロックチャンバ116を通して、処理システム100からアンロードされ得る。追加的に又は代替的に、処理された基板は、図1Aに例示的に説明するように、さらなる真空スイングモジュール132に接続され得る薄膜封入チャンバ810内に封入され得る。1つ又は複数の薄膜封入チャンバは、封入装置を含み得る。堆積した層及び/又は処理された層、特にOLED材料は、堆積された且つ/又は処理された材料が周囲空気及び/又は大気条件に露出されないよう保護するため、処理された基板とさらなる基板との間で封入(すなわち、挟持)される。しかしながら、ガラス板、ポリマー板、又は金属板を用いた積層、或いは、カバーガラスのレーザ溶融などの他の封入方法が、代替的に、薄膜封入チャンバのうちの1つに設けられた封入装置によって適用され得る。
本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、処理構成体1000は、本明細書に記載されたさらなるルーティングモジュール412、及び本明細書に記載された処理モジュール510を含み得る。さらに、処理構成体1000は、本明細書に記載された実施形態に係るサービスモジュール610を含み得る。幾つかの実施形態では、処理構成体1000は、本明細書に記載されたマスクキャリアマガジン320、本明細書に記載されたマスクキャリアローダ310、本明細書に記載された堆積源の無接触搬送のための搬送装置720、本明細書に記載されたキャリアアセンブリの無接触の浮揚、搬送、及び/又は位置合わせのためのさらなる搬送装置820、本明細書に記載された位置合わせシステム550、本明細書に記載されたマスク洗浄チャンバ313、及び層検査チャンバからなる群のうちの少なくとも1つをさらに含み得る。したがって、図1B及び図2Aから図2Hに関して説明された処理構成体1000は、図1A及び図3Aから図12Cに関連して説明されたように、幾つかの又はすべての処理モジュール及び処理構成要素を含み得ることを理解するべきである。例えば、基板のロード及びアンロードが本明細書に記載されたロードロックチャンバ110の処理システムの同じ側で実行され得るレイアウト構成では、本明細書に記載されたアンロードロックチャンバ116、本明細書に記載された第1の事前処理チャンバ111及び/又は第2の事前処理チャンバ112、並びに本明細書に記載された薄膜封入チャンバ810が設けられ得る。
さらに、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、図4Aに示し、且つ図7Aから図7Dを参照してより詳細に説明されるように、堆積源は、シェーパシールドデバイス517を含み得る。さらに、図4Aに例示するように、遮蔽壁として構成され得る材料収集ユニット40が設けられ得る。さらに、図4Dに例示されているように、堆積源が回転位置にあるとき、堆積源(例えば、蒸発源)から排出された蒸発源材料を収集するために、材料収集ユニット40が、真空チャンバ内に配設されてもよい。図4Aに例示するように、堆積源のサービス位置においてシェーパシールドデバイス517を洗浄するために、加熱デバイス50が設けられ得る。サービス位置とは、排出口がコーティングされる基板に向かって方向付けられた分配アセンブリの堆積位置に比べて、本明細書に記載された分配アセンブリの排出口が回転位置にある堆積源の位置であり得る。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、分配アセンブリ530は、壁(例えば、側壁525B、及び分配アセンブリ530の裏側525Aにおける壁)を含み得、それにより、内部空洞が分配アセンブリの内部に設けられる。図5Aに例示するように、加熱ユニット515は、分配アセンブリ、具体的には、分配管を加熱するために設けられ得る。加熱ユニット515は、分配アセンブリ530の壁に装着又は取り付けられ得る。したがって、分配アセンブリ530は、蒸発るつぼ521によって供給された有機材料の蒸気が分配アセンブリ530の壁の内側部で凝縮しない温度まで加熱され得る。さらに、加熱ユニット515がもたらす熱エネルギーを空洞空間に戻すように反射するためには、分配アセンブリの管、特に分配管の周囲に熱シールドが設けられ得る。
さらに、図5Aを例示的に参照すると、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積率測定アセンブリ580が設けられ得る。具体的には、堆積率測定アセンブリ580は、分配アセンブリ530の測定出口535の背後で、分配アセンブリの上端に設けられ得る。図5Aの測定出口535を出る矢印によって例示されているように、測定出口535は、蒸発材料が、分配管530の内側から、測定出口535を通って、堆積率測定アセンブリ580へと供給されるように構成され得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、分配管の長さと分配管の水力直径によって除算された分配管のすべての排出口の面積との積、即ち、式N*A*L/dによって計算された値は、7000mm2以下、例えば、1000mm2から5000mm2であり得る。この式では、Nは、分配管の排出口の数であり、Aは、1つの排出口の断面積であり、Lは、分配管の長さであり、dは、分配管の水力直径である。
幾つかの実施形態では、分配管533は、内部チューブの内部に設けられた加熱素子によって加熱され得る。加熱素子は、加熱ワイヤ(例えば、コーティングされた加熱ワイヤ)によって設けられ得る電気ヒータであり得、内部チューブに留められたり、又はさもなければ固定されたりする。さらに、冷却シールド538が、分配管を取り囲むように設けられ得る。図7Aに例示するように、幾つかの実施形態によれば、第1の冷却シールド538Aは、2つ以上の分配管を取り囲むことができる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、周壁547は、蒸発した源材料のプルーム318の蒸発した源材料を遮蔽するように構成され得る。ここで、蒸発した源材料のプルーム318は、第1の断面に対して直角な第2の断面における主要放出方向Xに対する第2の最大放出角度より大きな放出角度を有する。第2の断面は、図7Bの描画面に対して直角な平面であり得る。第2の断面は、主要放出方向Xを含み得る。幾つかの実施形態では、第2の断面は、垂直面、及び/又は、分配管の長さ方向に対して平行に延在する平面である。例えば、開孔の周壁547は、放出円錐の開口角度が2βの角度に制限されるように、第2の断面における蒸発した源材料のプルーム318の外側角部を遮蔽するように構成され得る。言い換えると、周壁547は、第2の断面における第2の最大放出角度βより大きな放出角度で、ノズルによって放出された蒸発した源材料の一部を遮蔽し得る。例えば、第2の最大放出角度βは、10°から60°、具体的には、30°から40°、より具体的には、約45°の角度であり得る。したがって、第2の断面における放出円錐の開口角度は、20°以上及び120°以下、具体的には、約90°であってよい。第2の最大放出角度βを狭めることによって、図7Bの描画面に対して直角な平面においてマスク330に起因するシャドーイング効果を低減させることができる。
図10Aを例示的に参照すると、第1の対向横方向力O1が、横方向に沿って延びることを理解するべきである。この横方向は、第1の横方向力T1が沿って延びる横方向と、同一であるか、又はほぼ平行であり得る。例えば、図10Aに示す第1の横方向力T1と第1の対向横方向O1は、どちらもz方向に沿って延びる。具体的には、第1の対向横方向力O1と、第1の横方向力T1は、対向し合う力、或いは、反作用し合う力である。これは、第1の横方向力T1と第1の対向横方向力O1とが、z方向に沿って反対方向を指す同じ長さの2つベクトルで表されている態様によって、図10Aに示されている。第1の対向横方向力O1と第1の横方向力T1とは、同じ大きさを有していてよい。第1の対向横方向力O1と第1の横方向力T1は、横方向に沿ってそれぞれの反対方向に延びていてよい。第1の横方向力T1と第1の対向横方向力O1は、基板受容領域若しくは基板、又は源搬送方向に対して実質的に直角であり得る。
代替的に、第1の横方向力T1は、第1のパッシブ磁気ユニット745と誘導構造体770との間の磁気反発から生じ得る。第1の対向横方向力O1は、さらなるアクティブ磁気ユニット743と誘導構造体770との間の磁気反発から生じ得る。さらに、この場合、第1の横方向力T1と第1の対向横方向力O1とは、反作用し合う力である。したがって、第1の対向横方向力O1は、第1の横方向力T1と完全に反作用し得る。横方向(例えば、z方向)に沿って堆積源アセンブリ730に作用する合力がゼロになるように、第1の対向力O1が第1の横方向力T1と反作用し得る。したがって、堆積源アセンブリ730は、横方向に沿って、接触がない状態で目標位置に保持され得る。
誘導構造体770の第1の部分771及び第2の部分772は、それぞれパッシブ磁気ユニットであってもよく、且つ/又は、1つ又は複数のパッシブ磁気アセンブリを含んでもよい。例えば、第1の部分771及び第2の部分772は、それぞれ、強磁性材料、例えば、強磁性鋼から作られ得る。第1の部分771は、第1の凹部773及び第2の凹部774を含み得る。動作において、堆積源アセンブリ730の磁気ユニット、例えば、図10Bに示す第1のアクティブ磁気ユニット741は、少なくとも部分的に、第1の凹部773内に配置され得る。動作において、堆積源アセンブリの別の磁気ユニット、例えば、さらなるアクティブ磁気ユニット743は、少なくとも部分的に、第2の凹部774内に配置され得る。誘導構造体770の第1の部分771は、源搬送方向(例えば、x方向)に対して直角な断面において、E字形の輪郭を有し得る。第1の部分771の長さに実質的に沿ったE字形の輪郭は、第1の凹部773及び第2の凹部774を画定し得る。同様に、第2の部分772は、第3の凹部775及び第4の凹部776を含み得る。動作において、堆積源アセンブリ730の磁気ユニット、例えば、図10Bに示す第2のアクティブ磁気ユニット742は、少なくとも部分的に第3の凹部775内に配置されてもよく、第1のパッシブ磁気ユニット745は、少なくとも部分的に第4の凹部776内に設けられてもよい。第1のパッシブ磁気ユニット745は、誘導構造体770に設けられたさらなるパッシブ磁気ユニット746と相互作用し得る。第2の部分772は、源搬送方向に対して直角な断面においてE字形の輪郭を有し得る。第2の部分772の長さに実質的に沿ったE字形の輪郭は、第3の凹部775及び第4の凹部776を画定し得る。
図10Cは、本明細書に記載された、源支持体531を通って延在する第1の平面733を示す。第1の平面733は、本明細書に記載されたように、第1の回転軸734を含む。図10Cに示すように、動作においては、第1の回転軸734は、x方向に対して実質的に平行であり得る。
図12Cに例示するように、幾つかの実施形態によれば、2つ以上の位置合わせアクチュエータ350のうちの第1の位置合わせアクチュエータ350Aは、キャリアアセンブリ880とマスクキャリア335を互いに対して少なくとも第1の方向yに移動させるように構成され得る。さらに、2つ以上の位置合わせアクチュエータのうちの第2の位置合わせアクチュエータ350Bが設けられ得る。第2の位置合わせアクチュエータ350Bは、キャリアアセンブリ880とマスクキャリア335を互いに対して第1の方向yに、及び第1の方向yと異なる第2の方向xに移動させるように構成され得る。幾つかの実装態様によれば、第1の位置合わせアクチュエータ350Aは、第2の方向xに関して浮上している。「浮上している(floating)」という用語は、第1の位置合わせアクチュエータ350Aが、例えば第2の位置合わせアクチュエータ350Bによって駆動される、第2の方向xへの基板キャリア910の運動を許容していることであると理解することできる。
幾つかの実装形態では、2つ以上の位置合わせアクチュエータのうちの少なくとも1つの位置合わせアクチュエータは、基板101とマスクキャリア335を互いに対して第3の方向zに移動させるよう構成されており、具体的には、第3の方向は、第1の平面及び/又は基板表面103に対して実質的に直角である。一例として、第1の位置合わせアクチュエータ350A及び第2の位置合わせアクチュエータ350Bは、基板キャリア910又はマスクキャリア335を第3の方向zに移動させるように構成され得る。幾つかの実装形態では、基板101とマスク330との間の距離は、キャリアアセンブリ又は基板キャリア910又はマスクキャリア335を第3の方向zに移動させることによって調節することができる。一例としては、基板101又は基板キャリア910とマスク330との間の距離は、層が表面上に堆積されるように構成された基板表面103の領域において、実質的に一定であるように調節され得る。幾つかの実施形態によれば、この距離は、1mm未満、具体的には、500マイクロメートル未満、さらに具体的には、50マイクロメートル未満であり得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、電気アクチュエータ又は空気圧アクチュエータであり得る。2つ以上の位置合わせアクチュエータは、例えば、線形位置合わせアクチュエータであり得る。幾つかの実装形態では、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、ステッパアクチュエータ(stepper actuator)、ブラシレスアクチュエータ(brushless actuator)、DC(直流)アクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータ、及び圧電アクチュエータからなる群から選択された少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。「アクチュエータ(actuator)」という語は、ステッパモータなどのモータを表し得る。2つ以上の位置合わせアクチュエータは、キャリアアセンブリ又は基板キャリア、ひいては基板を、約±1マイクロメートル未満の精度で移動させたり、又は位置付けしたりするように構成され得る。一例として、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、基板キャリアを、約±0.5マイクロメートル、特に約0.1マイクロメートルの精度で、第1の方向y、第2の方向x、及び第3の方向zのうちの少なくとも1つの方向に移動させたり、又は位置付けしたりするように構成され得る。幾つかの実装形態では、基板を第1の方向、第2の方向、及び第3の方向のうちの少なくとも1つの方向に移動させることは、2つ以上の位置合わせアクチュエータを同時に又は連続的に駆動することによって行われ得る。