これより本発明の種々の実施形態が詳細に参照されるが、その一又は複数の例が図示されている。図面に関する以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ構成要素を指している。概して、個々の実施形態に関する相違のみが説明される。各例は、本発明の説明として提供されているが、本発明を限定することを意図するものではない。更に、1つの実施形態の一部として図示又は説明される特徴を、他の実施形態で、又は他の実施形態と併用して、更なる実施形態を得ることが可能である。本明細書は、かかる修正及び改変を含むことが意図されている。
図1Aから図1Dは、真空チャンバ110の中の様々な位置における蒸発源100を示す。異なる位置の間の移動は、矢印101B、101C、及び101Dによって示される。本明細書に記載の実施形態によれば、蒸発源は、並進運動及び軸周囲の回転のために構成される。図1Aから図1Dは、蒸発るつぼ104及び分配管106を有する蒸発源100を示す。分配管106は、支持体102によって支持される。更に、いくつかの実施形態によれば、蒸発るつぼ104はまた、支持体102によって支持することができる。2つの基板121は、真空チャンバ110の中に提供される。典型的には、基板上での層堆積のマスキング用マスク132を基板と蒸発源100との間に提供することができる。図1Aから図1Dに示されるように、有機材料は、分配管106から蒸発する。これは、参照番号10により示される。
図1Aでは、蒸発源100が第1の位置に示される。図1Bに示されるように、真空チャンバ110の左側の基板は、矢印101Bにより示されるように、蒸発源の並進運動によって有機材料の層で堆積される。左側の基板121が有機材料の層で堆積されている間、第2の基板、例えば、図1Aから図1Dの右側の基板を交換することができる。図1Bは、基板用の搬送軌道124を示す。左側の基板121が有機材料の層で堆積された後に、蒸発源の分配管106は、図1Cの矢印101Cによって示されるように回転する。有機材料の第1の基板(図1Bの左側の基板)への堆積中に、第2の基板が、マスク132に対して位置決め及び位置合わせされた。したがって、図1Cに示される回転後に、右側の基板、即ち、第2の基板121は、矢印101Dによって示されるように有機材料の層でコーティングすることができる。第2の基板121が有機材料でコーティングされる間、第1の基板を真空チャンバ110から移動させることができる。図1Dは、第1の基板(図1Dの左側)の位置にある搬送軌道124を示す。
本明細書に記載される実施形態によれば、基板は、本質的に垂直位置において有機材料でコーティングされる。要するに、図1Aから図1Dに示される図は、蒸発源100を含む装置の上面図である。典型的には、分配管は、蒸気分配シャワーヘッド、特に直線的蒸気分配シャワーヘッドである。これにより、分配管は、本質的に垂直に延びる線源を提供する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の実施形態によれば、本質的に垂直とは、特に基板配向に言及する際に、10度又はそれを下回る垂直方向からの偏差を許容すると理解される。この偏差は、垂直配向からのいくらかの偏差を有する基板支持体がより安定した基板位置をもたらし得るので、提供することができる。しかし、有機材料の堆積中の基板配向は、本質的に垂直と考えられ、水平な基板配向とは異なると考えられる。これにより、基板の表面は、1つの基板寸法に対応する1つの方向に延びる線源及び他の基板寸法に対応する他の方向に沿った並進運動によってコーティングされる。
図1Cに示されるように、分配管106の回転、即ち、第1の基板121から第2の基板121までの回転は180度とすることができる。第2の基板が図1Dに示されるように堆積された後に、分配管106は、後方に180度回転させることができるか、図1Cに示された方向と同一の方向に回転させることができるかのどちらかである。これにより、基板は、合計で360度回転する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の実施形態によれば、分配管106は、例えば、参照番号10で示された蒸発コイルが基板121の表面に直角に提供されない場合には、最も少なく160度回転される。しかしながら、典型的には、基板は、180度又は少なくとも360度回転される。
本明細書に記載の実施形態によれば、例えば、直線的蒸気分配シャワーヘッドなどの線源の並進運動と、例えば、直線的蒸気分配シャワーヘッドなどの線源の回転との組み合わせにより、OLEDディスプレイ製造に対する高い蒸発源効率と高い材料利用が可能になり、この場合、基板の高精度のマスキングが所望される。基板及びマスクが静止状態を維持することができるので、源の並進運動により、高いマスキング精度が可能になる。別の基板が有機材料でコーティングされている間、回転移動によってある基板の基板交換が可能である。このことは、アイドル時間、即ち、蒸発源が基板をコーティングせずに有機材料を蒸発させる時間が著しく短縮されるので、材料利用を著しく改善する。
本明細書に記載される実施形態は、特に、例えば、OLEDディスプレイ製造用の、大面積基板上での、有機材料の堆積に関する。いくつかの実施形態によれば、大面積基板、又は一又は複数の基板を支持するキャリア、即ち、大面積キャリアは、少なくとも0.174m2のサイズを有しうる。典型的には、キャリアのサイズを、約1.4m2から約8m2、より典型的には、約2m2から約9m2、更に最大で12m2とすることができる。典型的には、本明細書に記載の大面積基板のサイズを有するキャリアは、本明細書に記載の実施形態による保持設備、装置、及び方法が提供される基板が支持される長方形の面積である。例えば、単一の大面積基板の面積に対応するであろう大面積キャリアを、約1.4m2の基板(1.1m×1.3m)に対応するGEN5、約4.29m2の基板(1.95m×2.2m)に対応するGEN7.5、約5.7m2の基板(2.2m×2.5m)に対応するGEN8.5、又は約8.7m2の基板(2.85m×3.05m)に対応するGEN10とすることができる。GEN11及びGEN12などの更に大きな世代並びにこれらに対応する基板面積が、同様に実現されうる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、基板の厚さを0.1から1.8mmとすることができ、保持設備及び特に保持デバイスをこのような基板の厚さに対して適合させることができる。しかしながら、特に基板の厚さを約0.9mm又はそれを下回る、例えば、0.5mm又は0.3mmとすることができ、保持設備及び特に保持デバイスがそのような基板の厚さに適合される。典型的には、基板は、材料堆積に適した任意の材料から作られ得る。例えば、基板は、ガラス(例えばソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、或いは堆積処理によって被覆することできる他の材料及び材料の組合せからなるグループから選択された材料から作成されたものであってもよい。
良好な信頼性及び歩留まり率を実現するために、本明細書に記載の実施形態は、有機材料の堆積中にマスク及び基板を静止状態に維持する。大面積基板の均一コーティングのための移動可能な直線的源が提供される。アイドル時間が、各堆積後に、基板が交換される必要があるが、ここにはマスク及び基板の互いに対する新たな位置合わせのステップが含まれる操作と比較して短縮される。アイドル時間中には、源が材料を浪費している。従って、堆積位置でマスクに対して容易に位置合わせされる第2の基板を有することにより、アイドル時間が短縮され、材料利用率が増加する。
図2は、真空チャンバ110の中に有機材料を堆積させるための堆積装置200の実施形態を示す。蒸発源100は、軌道又は直線的ガイド220上で真空チャンバ110の中に提供される。直線的ガイド220は、蒸発源100の並進運動のために構成される。これにより、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる異なる実施形態によれば、並進運動のためのドライバを、蒸発源100の中に、軌道又は直線的ガイド220において、真空チャンバ110内で、又はそれらの組み合わせにおいて、提供することができる。図2は、例えば、ゲートバルブなどのバルブ205を示す。バルブ205は、隣接する真空チャンバ(図2に示されず)への真空密閉を可能にする。バルブは、基板121又はマスク132の真空チャンバ110内への又は真空チャンバ110からの搬送のために開放することができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、保守真空チャンバ210などの更なる真空チャンバが、真空チャンバ110に隣接して提供される。これにより、真空チャンバ110及び保守真空チャンバ210は、バルブ207で連結される。バルブ207は、真空チャンバ110と保守真空チャンバ210との間の真空密閉を開閉するように構成される。蒸発源100は、バルブ207が開放状態にある間、保守真空チャンバ210に移送することができる。その後、バルブは、真空チャンバ110と保守真空チャンバ210との間に真空密閉を提供するように閉鎖することができる。バルブ207が閉鎖される場合、保守真空チャンバ210は、真空チャンバ110の中の真空を破壊せずに、蒸発源100保守のために換気及び開放することができる。
2つの基板121は、真空チャンバ110内のそれぞれの搬送軌道上で支持される。更に、その上にマスク132を提供する2つの軌道が提供される。これにより、基板121のコーティングは、それぞれのマスク132によってマスクすることができる。典型的な実施形態によれば、マスク132、即ち、第1の基板121に対応する第1のマスク132、及び第2の基板121に対応する第2のマスク132が、マスクフレーム131の中に提供され、所定の位置でマスク132を保持する。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、基板121は、位置合わせユニット112に連結された基板支持体126によって支持することができる。位置合わせユニット112は、マスク132に対する基板121の位置を調整することができる。図2は、基板支持体126が位置合わせユニット112に連結されている実施形態を示す。したがって、基板は、有機材料の堆積中に基板とマスクとの間の適切な位置合わせを行うために、マスク132に対して移動される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、代替的に又は追加的に、マスク132及び/又はマスク132を保持するマスクフレーム131を位置合わせユニット112に連結することができる。これにより、マスクを基板121に対して位置決めすることができるか、マスク132及び基板121双方を互いに対して位置決めすることができるかのどちらかとなる。位置合わせユニット112は、基板121とマスク132との間の相対位置を互いに対して調整するように構成されているが、堆積処理中にマスキングの適切な位置合わせを可能にし、高品質のディスプレイ製造又はLEDディスプレイ製造に有益となる。
マスク及び基板の互いに対する位置合わせの例は、基板の平面及びマスクの平面に実質的に平行である平面を画定する少なくとも2つの方向における相対的な位置合わせを可能にする位置合わせユニットを含む。例えば、位置合わせは、x−方向及びy−方向で、即ち、上記平行な平面を画定する2つのデカルト方向で少なくとも行うことができる。典型的には、マスク及び基板は、本質的に互いに平行とすることができる。特に、位置合わせは、更に、基板の平面及びマスクの平面に本質的に直角な方向に行うことができる。したがって、位置合わせユニットは、少なくともX−Yの位置合わせ、特にマスク及び基板の互いに対するX−Y−Zの位置合わせにおいて構成される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの特定の例は、基板をx−方向、y−方向及びz−方向に、真空チャンバ110の中で静止状態に保持できるマスクに位置合わせすることである。
図2に示されるように、直線的ガイド220は、蒸発源100の並進運動の方向を提供する。蒸発源100の両側に、マスク132が提供される。これにより、マスク132は、並進運動の方向に本質的に平行に延びることができる。更に、蒸発源100の対向する側における基板121はまた、並進運動の方向に本質的に平行に延びることができる。典型的な実施形態によれば、基板121は、バルブ205を介して、真空チャンバ110内へ及び真空チャンバ110から移動させることができる。これにより、堆積装置200は、基板121各々の搬送用のそれぞれの搬送軌道を含むことができる。例えば、搬送軌道は、図2に示される基板位置に平行に、真空チャンバ110内へかつ真空チャンバ110から延びることができる。
典型的には、更なる軌道が、マスクフレーム131及びゆえにマスク132を支持するように提供される。したがって、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態は、処理真空チャンバ110内に4つの軌道を含むことができる。例えば、マスク洗浄のためなど、チャンバからマスク132のうちの1つを移動させるために、マスクフレーム131及びこれによりマスクを基板121の搬送軌道上に移動させることができる。次いで、それぞれのマスクフレームは、基板の搬送軌道上で真空チャンバ110を出入りすることができる。真空チャンバ110内へ及び真空チャンバ110外への別の搬送軌道をマスクフレーム131に提供することが可能であるにせよ、堆積装置200の所有コストは、ただ2つの軌道、即ち、基板に対する搬送軌道が、真空チャンバ110内に及び真空チャンバ110から延び、加えて、マスクフレーム131は、適切なアクチュエータ又はロボットによって基板に対する搬送軌道のそれぞれに移動することができる場合に、削減することができる。
図2は、蒸発源100の別の例示的実施形態を示す。蒸発源100は、支持体102を含む。支持体102は、直線的ガイド220に沿った並進運動のために構成される。支持体102は、蒸発るつぼ104、及び蒸発るつぼ104上に提供された分配管106を支持する。これにより、蒸発るつぼで発生した蒸気は、上に向かって、分配管の一又は複数の排出口から移動することができる。本明細書に記載された実施形態によれば、分配管106はまた、蒸気分配シャワーヘッド、例えば、直線的蒸気分配シャワーヘッドと見なすことができる。
一又は複数の排出口は、例えば、シャワーヘッド又は他の蒸気分配システムに設けられる、一又は複数の開口部或いは一又は複数のノズルとすることができる。蒸発源は、蒸気分配シャワーヘッド、例えば、複数のノズル又は開口を有する直線的蒸気分配シャワーヘッドを含むことができる。シャワーヘッドは、シャワーヘッドの中の圧力がシャワーヘッドの外側の圧力よりも、例えば、少なくとも1桁ほど高くなるような開口を有する筐体を含むと本明細書では理解できる。
図2は、少なくとも1つのシールド202を有するシールドアセンブリを更に示す。典型的には、図2に示すように、実施形態は、2つのシールド202、例えば、サイドシールドを含むことができる。これにより、有機材料の蒸発は、基板に向かった方向に範囲を定めることができる。分配管に対する側方への蒸発、即ち、例えば、正常な(normal)蒸発方向に対して直角な方向への蒸発は、回避するかアイドルモードだけで使用することができる。有機材料の蒸気ビームのスイッチを切ることと比較して、有機材料の蒸気ビームを遮断することの方が容易であり得るという事実を考慮すると、分配管106はまた、蒸気放出が望ましくない操作モード中に蒸気が蒸発源100から出ていくのを回避するために、サイドシールド202のうちの1つに向かって回転され得る。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の実施形態によれば、分配管の回転は、少なくとも分配管が装着される蒸発器制御ハウジングの回転により提供することができる。典型的には、蒸発るつぼもまた、蒸発器制御ハウジングに装着される。したがって、蒸発源は、少なくとも回転可能に装着される分配管、特に双方が、即ち、一緒に、回転可能に装着される分配管及び蒸発るつぼ、更に具体的には、一緒に回転可能に装着される制御ハウジング、分配管及び蒸発るつぼを含む。典型的には、一又は複数のサイドシールドは、固定して装着することができ、よって分配管と一緒に回転しない。典型的な例によれば、図2及び図3に示されるように、サイドシールドは、蒸気排出口が蒸発源の2つの側面に提供されるように提供でき、2つの側面は、それぞれ2つの基板のうちの1つに面している。したがって、固定されたサイドシールドは、軸周囲で分配管の回転に対して静止している。しかし、サイドシールドは、並進運動に従い、並進運動に対して移動可能である。
図3は、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる修正例を示す。これにより、図2に対して既に記載された詳細、態様及び特徴は、参照の便宜上省略されることになる。図2と比較して、図3に示された蒸発源100は、3つの蒸発るつぼ104及び3つの分配管106を含む。有機材料の層で基板をコーティングするために、有機材料の1つの層を堆積させることを目的に、1つの有機材料を蒸発させることができる、又は複数の有機材料を蒸発させることができる。これにより、複数の有機材料が蒸気の状態で及び/又は基板の表面で混ざり、有機材料の1つの層を形成する。このことを考慮し、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、複数の蒸発るつぼ104及び複数の分配管106を支持体102によって支持することができる。前述のように、分配管は、例えば、直線的分配シャワーヘッドなどの線源を提供することができ、更に、支持体102は、有機材料を基板121上に堆積させるために、直線的ガイド220に沿って移動する。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、保守真空チャンバ210における蒸発源100の移送を、直線的ガイド220の延長された部分によって提供することができる。これにより、更なる直線的ガイド320が、保守真空チャンバ210の中に提供される。更に、第2の蒸発源100を保守真空チャンバ210の中の待機位置に提供することができる。図3は、保守真空チャンバの左側の待機位置にある更なる蒸発源100を示す。堆積装置200を操作するいくつかの実施形態によれば、真空チャンバ110に示された蒸発源100は、例えば、保守が所望されると、保守真空チャンバ210内に移動することができる。この移動のために、バルブ207を開放することができる。待機位置にあり、作動準備のできた状態にある図3に示された更なる蒸発源100を真空チャンバ110内に移動させることができる。その後、バルブ207を閉鎖することができ、保守真空チャンバ210を、保守真空チャンバの中の待機位置内に移動したばかりの第1の蒸発源100の保守のために換気及び開放することができる。これにより、蒸発源の迅速な交換が可能になる。したがって、堆積装置200は、既知の堆積装置の所有コストのかなりの部分を生み出すダウンタイムを短縮した。
更に、本明細書に記載の実施形態により、1週間又はそれを上回る時間的尺度で、例えば、約±5%又はそれを下回る安定した蒸発率が可能になる。これは、特に、改善した保守状況によって提供することができる。しかし、更に有機材料を作用させる方法によれば、蒸発るつぼの中に有機材料を補充することは、真空を破壊することなく、更には堆積装置の蒸発を停止させることなく実行することができる。1つの蒸発源の保守及び補充は、別の源の動作から独立して実行することができる。源の保守及び補充は多くの他のOLED製造システムにおいて障害であるため、これは、所有コスト(CoO)を改善する。要するに、ルーチン保守中に又はマスク交換中に基板ハンドリングチャンバ又は堆積チャンバを換気する必要性がないことによる高いシステム稼働時間が、CoOを著しく改善することができる。前述のように、この改善の1つの理由は、保守真空チャンバ及び/又は本明細書に記載の保守真空チャンバと関連した他の構成要素であり、排気することができる別個のチャンバ、即ち、保守真空チャンバ又は別の源ストレージチャンバの中の一又は複数の蒸発源の保守及び事前調整が提供される。
図4A及び4Bは、有機材料を堆積させるための堆積装置200の概略側断面図を示す。これにより、図4Aは、真空チャンバ110の中の左側の基板121は、有機材料でコーティングされる動作状況を示す。図4Bは、真空チャンバ110の中の右側の基板121は、分配管106(2つの分配管は、図4A及び図4Bの中で見ることができる)が回転された後に、有機材料でコーティングされる動作状況を示す。
図4A及び図4Bは、第1の基板121に対する第1の搬送軌道、及び第2の基板121に対する第2の搬送軌道を示す。第1のローラアセンブリが、真空チャンバ110の片側に示され、第2のローラアセンブリが、真空チャンバの反対側に示される。図4A及び図4Bには、第1のローラアセンブリ及び第2のローラアセンブリのそれぞれのローラ424が示される。ローラは、軸425周囲を回転することができ、ドライバシステムによって駆動される。典型的には、複数のローラが、1つのモータによって回転される。基板121は、キャリア421の中で支持される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、キャリア421は、その下側にロッドを有し、ロッドはローラと係合することができる。したがって、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、第1の基板に対する第1の搬送トレック(trek)及び第2の基板に対する第2の搬送トレックが提供される。2つの更なる軌道が、例えば、それぞれのローラアセンブリによって提供される。図4A及び図4Bは、真空チャンバ110の両側のローラ403を示す。更なる軌道が、マスクフレーム131の中で支持することができるマスク132を支持するように構成される。例示的実施形態によれば、マスクフレーム131は、それぞれのローラアセンブリのローラ403と係合するためのロッド431をその下側に有することができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、処理システムで使用するように適合されたキャリアは、電極アセンブリ及び支持体ベースを含む。電極アセンブリは、基板を基板キャリアに固定するための静電チャッキング力を生成するように構成される。更なる追加的又は代替的な修正例によれば、支持体ベースは内部に形成された加熱/冷却リザーバを有する。電極アセンブリ及び支持体ベースは、処理システム内部での搬送のために構成された単一本体(unitary body)を形成する。キャリアは、処理システムの中で供給媒体に連結することができる。クイックディスコネクト(quick disconnect)は、本体に結合することができ、本体が熱調節媒体の源から分離されると、リザーバ加熱/冷却リザーバの中で熱調節媒体を捕捉するように構成することができる。クイックディスコネクトは、チャッキング電荷を加えるために結合することができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、ローラ403からローラ424までマスクフレーム131を移動させるためのアクチュエータ又はロボットが、真空チャンバ110の中に提供される。これにより、マスクフレーム、更にはマスクが、搬送軌道を提供するローラアセンブリ上に提供される。したがって、マスクフレーム131は、基板のローラアセンブリにより提供される搬送軌道に沿って、真空チャンバ110内へ及び真空チャンバから移動させることができる。
図4Aでは、左側の基板121は、有機材料でコーティングされる。これは、有機材料の蒸気が分配管106の中の複数の排出開口又はノズルから案内されていることを図示している参照番号10によって示される。真空チャンバ110の右側の基板及びキャリアが、点線で図4Aに示される。点線は、基板が真空チャンバ110内への若しくは真空チャンバ110からの搬送下にあること、又は基板及びマスク132が互いに対して現在位置合わせされていることを示す。典型的には、有機材料でコーティングされる基板の搬送及びマスクの位置合わせは、左側の基板上への有機材料の堆積が終了する前に、終了する。これにより、蒸発源100は、左側の基板の堆積位置から、右側の基板の堆積位置まで直ちに回転することができ、これが図4Bに示されている。
蒸発源100は、例えば、トルクモータ、電気ロータ又は空気圧ロータなどのアクチュエータ108を含む。アクチュエータ108は、例えば、強磁性流体フィードスルーなどの真空回転フィードスルー109を介して、トルクを提供することができる。アクチュエータ108は、本質的に垂直である軸周囲で少なくとも分配管106を回転させるように構成される。蒸発源は、例えば、アクチュエータ108及びフィードスルー109を収納することができる支持体102を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、蒸発源100は、蒸発器制御ハウジング402を更に含む。蒸発器制御ハウジング402は、大気ボックス、即ち、真空チャンバ110が技術的真空になるまで排気されるときでさえ、内部の大気圧を維持するように構成されたボックスとすることができる。例えば、スイッチ、バルブ、コントローラ、冷却ユニット及び冷却制御ユニットから成るグループから選択された少なくとも1つの要素を蒸発器制御ハウジング402の中に提供することができる。支持体102は、蒸発るつぼ104及び分配管106を更に支持する。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、支持体102は、直線的ガイド433と係合される。蒸発源の並進運動は、直線的ガイド433内部で又は直線的ガイド433上に支持体102を移動させることにより提供することができる。これにより、アクチュエータ、ドライバ、モータ、ドライバベルト、及び/又はドライバチェーンを直線的ガイドの中に又は支持体102の中に提供することができる。更なる代替案によれば、アクチュエータ、ドライバ、モータ、ドライバベルト、及び/又はドライバチェーンのそれぞれの部分を直線的ガイド及び支持体の双方の中に提供することができる。
分配管が、真空チャンバ110の中の左側の基板121がコーティングされるコーティング位置(図1Aを参照)から、真空チャンバ110の中の右側の基板121が有機材料でコーティングされる位置(図4Bを参照)まで回転された後に、蒸発源100は、真空チャンバ110の中の右側の基板121を堆積させるために直線的ガイド433に沿った並進運動によって移動される。図4Bの左側の点線によって示されるように、有機材料で事前にコーティングされた第1の基板は、真空チャンバ110からこの時点で移動される。新たな基板が左側の真空チャンバ110の中の処理領域内に提供され、マスク132及び基板121が互いに対して位置合わせされる。したがって、右側の基板121が有機材料の層でコーティングされた後に、左側の新たな基板121上に有機材料を再び堆積させるために、分配管106をアクチュエータ108により回転させることができる。
前述のように、本明細書に記載される実施形態は、基板121の1つの寸法に沿って線源を提供する少なくとも1つの分配管の並進運動と、第1の処理領域から第2の処理領域までの少なくとも1つの分配管の回転とを含み、第1の処理領域及び第2の処理領域の各々は、内部で支持される基板を有するように構成される。例えば、処理領域の中の基板は、キャリアの中で支持され、次にキャリアは、基板位置の位置合わせのために搬送軌道及び/又はアクチュエータ上に提供される。典型的には、線源を形成する少なくとも1つの分配管106が、本質的に垂直方向に延び、即ち、線源を定める線が、本質的に垂直方向に延び、少なくとも1つの分配管106の回転軸もまた、本質的に垂直方向に延びる。少なくとも1つの分配管106は、動作中に回転するように構成される。例えば図4A及び図4Bに関して分かるように、線源を形成する方向及び回転軸の方向は、平行とすることができる。
いくつかの実施形態によれば、蒸発源は、例えば、スライド式コンタクトを有するなど、源への機械信号及び/又は電力伝送を含み得る。例えば、直線的ドライバ、真空回転ユニット及び/又はスライド式コンタクトの組み合わせを、蒸発源への信号及び/又は電力伝送のために提供することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、蒸発源は、誘導性電力伝送及び/又は誘導性信号伝送を含むことができる。図4A及び図4Bは、蒸発源100における、例えば、支持体102における第1のコイル配置452、及び真空チャンバ110の中の第2のコイル配置453を示す。これにより、電力及び/又は制御信号を真空チャンバ110内から蒸発源100まで誘導的に伝送することができる。例えば、コイル配置453は、電力及び/又は信号伝送を並進運動の位置に関係なく提供することができるように、真空チャンバの中を延びることができる。異なる実施態様によれば、蒸発るつぼ用電力、即ち、有機材料を蒸発させるための電力、アクチュエータ108用の電力、即ち、分配管回転用の電力、蒸発制御用の制御信号、分配管の回転制御用の制御信号、及び並進運動用の制御信号のうちの少なくとも1つは、コイル配置の組み合わせによって提供することができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、蒸発源は、少なくとも1つの蒸発るつぼと、少なくとも1つの分配管、例えば、少なくとも1つの直線的蒸気分配シャワーヘッドとを含む。しかしながら、蒸発源は、2つ又は3つの、最終的には4つ又は5つでさえある蒸発るつぼと、対応する分配管とを含むことができる。これにより、異なる有機材料は、基板上に1つの有機層を形成するように、いくつかのるつぼのうちの少なくとも2つの中で蒸発させることができる。追加的に又は代替的には、類似の有機材料は、堆積速度が上昇可能となるように、いくつかのるつぼのうちの少なくとも2つの中で蒸発させることができる。有機材料は、多くの場合、比較的小さな温度範囲の中だけで(例えば、20℃又はそれを下回る)蒸発させることができ、ゆえに、るつぼの中の温度を上昇させることによって、蒸発率を著しく高めることができないので、これが特にあてはまる。
本明細書に記載の実施形態によれば、蒸発源、堆積装置、蒸発源及び/又は堆積装置を操作する方法、並びに蒸発源及び/又は堆積装置を製造する方法が、垂直堆積のために構成される、即ち、基板は、層堆積中に、本質的に垂直配向(例えば、垂直±10度)で支持される。更に、線源、並進運動及び蒸発方向の回転、特に本質的に垂直である軸、例えば、基板配向及び/又は線源の線延長方向に平行である軸周囲の回転の組み合わせにより、約80%又はそれを上回る高い材料利用率が可能になる。これは、他のシステムと比較して、少なくとも30%の改善である。
処理チャンバ内、即ち、内部での層堆積用の真空チャンバ内での移動可能かつ回転可能な蒸発源により、高い材料利用率での連続的又はほぼ連続的なコーティングが可能になる。一般的に、本明細書に記載の実施形態により、交互の2つの基板をコーティングするために180度回転機構を有する走査源アプローチを使用することによって、高い蒸発源効率(>85%)及び高い材料利用率(少なくとも50%又はそれを上回る)が可能になる。これにより、源効率は、蒸気ビームが、コーティング対象の基板の全体面積を均一にコーティングできるように、大面積基板のサイズを超えて広がるという事実により生じる材料損失を考慮に入れる。加えて、材料利用率は、蒸発源のアイドル時間中に、即ち、蒸発源が蒸発した材料を基板上に堆積させることができない時間中に生じる損失も考慮に入れる。
更にまた、本明細書に記載され、垂直基板配向に関する実施形態により、堆積装置の小さな設置面積、及び特に基板上で有機材料のいくつかの層をコーティングするためのいくつかの堆積装置を含む堆積システムの小さな設置面積が可能になる。これにより、本明細書に記載の装置は、大面積基板処理又は大面積キャリアの中の複数の基板の処理のために構成されていると見なすことができる。垂直配向により、すなわち現在及び未来のガラスサイズである、現在及び未来の基板サイズ世代に対する良好なスケーラビリティが更に可能になる。
図5A及び図5Bは、堆積装置500の更なる実施形態を示す。図5Aは、堆積装置500の概略上面図を示す。図5Bは、堆積装置500の概略側断面図を示す。堆積装置500は、真空チャンバ110を含む。バルブ205、例えば、ゲートバルブは、隣接する真空チャンバへの真空密閉を可能にする。バルブは、基板121又はマスク132の真空チャンバ110内への又は真空チャンバ110からの搬送のために開放することができる。2つ又はそれを上回る蒸発源100が、真空チャンバ110の中に提供される。図5Aに示された例は、7つの蒸発源を示す。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、2つの蒸発源、3つの蒸発源、又は4つの蒸発源を、有利には提供することができる。またいくつかの実施形態により提供され得る蒸発源のより大きな数と比較して、蒸発源の限定された数(例えば、2から4)の保守のロジスティックの方が容易であり得る。したがって、そのようなシステムに対する所有コストの方が好ましい可能性がある。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、また例えば図5Aに示されているように、ループ状軌道530を提供することができる。ループ状軌道530は、真っすぐな部分534及び湾曲部分533を含むことができる。ループ状軌道530は、蒸発源の並進運動及び蒸発源の回転を提供する。前述のように、蒸発源は、典型的には線源、例えば、直線的蒸気分配シャワーヘッドとすることができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、ループ状軌道は、ループ状軌道に沿って一又は複数の蒸発源を移動させるために、レール若しくはレール装置、ローラ装置又は磁気ガイドを含む。
ループ状軌道530に基づき、源の列は、典型的にはマスク132によってマスクされる基板121に沿って並進運動で移動することができる。ループ状軌道530の湾曲部分533は、蒸発源100を回転させる。更に、湾曲部分533は、第2の基板121の前に蒸発源を位置決めするように提供することができる。ループ状軌道530の更なる真っすぐな部分534は、更なる基板121に沿って更なる並進運動を提供する。これにより、前述のように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、基板121及びマスク132は、堆積中に本質的に静止したままである。線源、例えば、線が本質的に垂直配向の複数の線源を提供する蒸発源は、静止した基板に沿って移動される。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、真空チャンバ110の中に示された基板121は、ローラ403及び424を有する基板支持体によって、更に静止した堆積位置では、位置合わせユニット112に連結されている基板支持体126によって、支持することができる。位置合わせユニット112は、マスク132に対する基板121の位置を調整することができる。したがって、基板は、有機材料の堆積中に基板とマスクとの間の適切な位置合わせを行うために、マスク132に対して移動することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、代替的に又は追加的に、マスク132及び/又はマスク132を保持するマスクフレーム131を位置合わせユニット112に連結することができる。これにより、マスクを基板121に対して位置決めすることができるか、マスク132及び基板121双方を互いに対して位置決めすることができるかのどちらかとなる。
図5A及び図5Bに示される実施形態は、真空チャンバ110の中に提供される2つの基板121を示す。しかし、特に真空チャンバの中に蒸発源100の列を含む実施形態について、少なくとも3つの基板又は少なくとも4つの基板を提供することができる。これにより、基板の交換のための十分な時間、即ち、真空チャンバ内への新しい基板の搬送及び真空チャンバからの処理された基板の搬送のための十分な時間を、多数の蒸発源と、それゆえにより高いスループットとを有する堆積装置500にさえも提供することができる。
図5A及び図5Bは、第1の基板121に対する第1の搬送軌道、及び第2の基板121に対する第2の搬送軌道を示す。第1のローラアセンブリが、真空チャンバ110の片側に示される。第1のローラアセンブリは、ローラ424を含む。更に、搬送システムは、磁気案内エレメント524を含む。同様に、ローラ及び磁気案内エレメントを有する第2の搬送システムが、真空チャンバの反対側に提供される。搬送システムは、例えば、図4A及び図4Bに関して記載されたように操作することができる。キャリア421の上部は、磁気案内エレメント524によって案内される。同様に、いくつかの実施形態によれば、マスクフレーム131は、ローラ403及び磁気案内エレメント503によって支持することができる。
図5Bは、ループ状軌道530のそれぞれ真っすぐな部分534上に提供された2つの支持体102を例示的に示す。蒸発るつぼ104及び分配管106は、それぞれの支持体102によって支持される。これにより、図5Bは、支持体102によって支持された2つの分配管106を示す。支持体102は、ループ状軌道の真っすぐな部分534上に案内さているように示される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、アクチュエータ、ドライバ、モータ、ドライバベルト、及び/又はドライバチェーンは、ループ状軌道に沿って、即ち、ループ状軌道の真っすぐな部分534に沿って、且つループ状軌道の湾曲部分533(図5Aを参照)に沿って、支持体102を移動させるように提供することができる。
図6は、第1の堆積装置200及び第2の堆積装置200を有する堆積システム600の実施形態を示す。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の実施形態によれば、一又は複数の移送チャンバが提供される。図6は、第1の移送チャンバ610及び第2の移送チャンバ611を例示的に示す。更に、移送チャンバ609及び612の部分が示される。図6に示されるように、ゲートバルブ605が、移送チャンバ610と移送チャンバ609との間に提供される。ゲートバルブ605は、移送チャンバ610と移送チャンバ609との間に真空密閉を提供するように開閉することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、一又は複数のゲートバルブを2つの隣接する移送チャンバの間に提供することができる。ゲートバルブ605の存在は、堆積システム600の用途、即ち、基板上に堆積された有機材料層の種類、数、及び/又は順番によって決まる。したがって、一又は複数のゲートバルブ605を移送チャンバの間に提供することができる。代替的には、ゲートバルブは、移送チャンバのどの間にも提供されない。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、移送チャンバのうちの一又は複数を真空回転チャンバとして提供することができる。その内部で、基板121を中心軸、例えば、垂直な中心軸周囲で回転させることができる。これによって、搬送軌道621の配向を変更することができる。移送チャンバ611の中に示されるように、2つの基板121が回転される。基板121が位置する2つの搬送軌道621Rは、2つの搬送軌道621に対して回転し、堆積装置200の搬送軌道621から延在する。これらを考慮し、搬送軌道621R上の2つの基板121が、隣接する移送チャンバ610又は612に移送される位置にそれぞれ提供される。
第1の堆積装置200は、バルブ205によって、第1の移送チャンバ610に連結される。図6に示されるように、且つ本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、搬送軌道621は、真空チャンバ110から移送チャンバ610内まで延びる。これにより、基板121の一又は複数を真空チャンバ110から移送チャンバ610まで移送することができる。これにより、バルブ205は、典型的には、一又は複数の基板の搬送のために開放される。更なる堆積装置200は、更なるバルブ205によって、第2の移送チャンバ611に連結される。したがって、1つの堆積装置から移送チャンバへ、移送チャンバから更なる移送チャンバへ、且つ更なる移送チャンバから更なる堆積装置へ、基板を移送することができる。これによって、基板を大気、及び非真空状態、及び/又は不所望な環境に露出せずに、有機材料のいくつかの層を基板上に堆積させることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、移送チャンバは、例えば、真空状態及び/又は所望の環境下で一又は複数の基板を移送するように構成されている真空移送チャンバである。
図6に示された堆積装置200は、図3に関して記載された堆積装置に類似である又はそれに相当する。本明細書中で位置装置について記載された態様、詳細及び特徴はまた、図6に例示的に示された堆積システム600に提供することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、蒸発源100’を堆積装置200の中に提供することができる。蒸発源100’は、基板121上で有機材料を案内するように構成されている4つの分配管を含む。これにより、異なる有機材料は、基板上に1つの有機層を形成するように、4つのるつぼのうちの少なくとも2つの中で蒸発させることができる。追加的に又は代替的には、類似の有機材料は、堆積速度が上昇可能となるように、4つのるつぼのうちの少なくとも2つの中で蒸発させることができる。4つの蒸発るつぼの中で蒸発したそれぞれの材料は、図6に示された4つの分配管のそれぞれによって、基板121の方に案内される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、例えば、図2及び図3に関して示されたサイドシールドは、いくつかの実施形態によれば、省略することができる。これは、蒸発源100’に対して例示的に示される。
前述のように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、基板121は、真空チャンバ110から第1の方向に沿って移動させることができる。これにより、基板121は、本質的に真っすぐな経路に沿って、隣接する真空チャンバ内に、例えば、移送チャンバ内に移動される。移送チャンバの中で、基板は、第1の方向と異なる第2の方向に第2の真っすぐな経路に沿って移動できるように、回転させることができる。典型的な実施形態によれば、第2の方向は、第1の方向に対して実質的に直角である。これは、堆積システムの容易な設計を可能にする。基板を真空チャンバ110の中に積み込むために、基板を第2の方向に沿って移送チャンバの中に移動させることができ、その内部で回転させることができる。その後、第2の方向と異なる第1の方向に沿って、基板を真空チャンバ110内に移動させることができる。
図7Aから図7Cは、本明細書に記載の実施形態従って利用することができる蒸発源の部分を示す。蒸発源は、図7Aに示すように、分配管106及び蒸発るつぼ104を含むことができる。これにより、例えば、この分配管は、加熱ユニット715を有する細長い立方体とすることができる。蒸発るつぼは、加熱ユニット725で蒸発する有機材料用のリザーバとすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、分配管106は、線源を提供する。例えば、複数の開口及び/又はノズルが、少なくとも1つの線に沿って配置される。代替的実施形態によれば、少なくとも1つの線に沿って延びる1つの細長い開口を提供することができる。例えば、細長い開口は、スリットとすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、線は本質的に垂直に延びる。例えば、分配管106の長さは、少なくとも堆積装置の中に堆積される基板の高さに対応する。多くの場合、分配管106の長さは、堆積される基板の高さよりも、少なくとも10%ほど又は20%ほど長くなるだろう。これにより、基板の上端及び/又は基板の下端における均一な堆積を提供することができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、分配管の長さは、1.3m又はそれを上回る、例えば、2.5m又はそれを上回るとすることができる。1つの構成によれば、図7Aに示されるように、蒸発るつぼ104は、分配管106の下端に提供される。有機材料は、蒸発るつぼ104の中で蒸発する。有機材料の蒸気が、分配管の底で分配管106に入り、本質的に側方から、分配管の中の複数の開口を通って、例えば、本質的に垂直な基板の方へ案内される。例示的目的で、熱シールドを含まない、蒸発るつぼ104及び分配管106が、図7Aに示される。これにより、加熱ユニット715及び加熱ユニット725が、図7Aに示される概略斜視図の中に見られる。
図7Bは、蒸発源の一部の拡大概略図を示し、分配管106が蒸発るつぼ104に連結されている。蒸発るつぼ104と分配管106との間を連結するように構成されているフランジユニット703が提供される。例えば、蒸発るつぼ及び分配管が、例えば、蒸発源の動作のために、フランジユニットで分離及び連結又は組み立てることができる分離ユニットとして提供される。
分配管106は、内側が中空の空間710を有している。加熱ユニット715は、分配管を加熱するために提供される。したがって、分配管106は、蒸発るつぼ104によって提供される有機材料の蒸気が、分配管106の壁の内側部分で液化しない温度まで加熱することができる。シールド717が、分配管106の管周囲に提供される。シールドは、加熱ユニット715により提供される熱エネルギーを中空スペース710の方に反射し返すように構成される。これにより、分配管を加熱するのに必要なエネルギー、即ち、加熱ユニット715に提供されるエネルギーは、シールド717が熱損失を低下させるので、低下させることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シールド717は、1つの加熱シールド層を含むことができる。代替的には、2つ又はそれを上回る加熱シールド層を加熱シールド717内に提供することができる。
典型的には、図7Bに示されるように、熱シールド717は、分配管106の中の開口712の位置に開口を含む。図7Bに示される蒸発源の拡大図は、4つの開口712を示す。開口712は、分配管106の軸に本質的に平行な線に沿って提供される。本明細書に記載されるように、分配管106は、例えば、内部に配置された複数の開口を有する、直線的分配シャワーヘッドとして提供することができる。これにより、本明細書中で理解されるシャワーヘッドは、例えば、蒸発るつぼから、材料を提供又は案内することができる、筐体、中空スペース、又はパイプを有する。シャワーヘッドは、シャワーヘッド内の圧力がシャワーヘッドの外側の圧力より高くなるような複数の開口(又は細長いスリット)を有することができる。例えば、シャワーヘッド内の圧力は、シャワーヘッドの外側の圧力よりも少なくとも1桁高いとすることができる。
動作中に、分配管106が、フランジユニット703で蒸発るつぼ104と連結される。蒸発るつぼ104は、蒸発させる対象となる有機材料を受け取り、有機材料を蒸発させるように構成される。図7Bは、蒸発るつぼ104のハウジングを通る断面図を示す。リフィル開口は、例えば、プラグ722、蓋、カバー又は蒸発るつぼ104の筐体を閉じるための同種のものを使用して閉鎖することができる、蒸発るつぼの上部に提供される。
外側加熱ユニット725は、蒸発るつぼ104の筐体内に提供される。外側加熱要素は、少なくとも蒸発るつぼ104の壁の一部に沿って延びるとすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、一又は複数の中央加熱要素726を追加的に又は代替的に提供することができる。図7Bは、2つの中央加熱要素726を示す。中央加熱要素726は、中央加熱要素に電力を供給するための導体729を含むことができる。いくつかの実施態様によれば、蒸発るつぼ104は、シールド727を更に含むことができる。シールド727は、外側加熱ユニット725、及び存在する場合には、中央加熱要素726によって提供される熱エネルギーを蒸発るつぼ104の筐体内に反射し返すように構成することができる。これにより、蒸発るつぼ104内での有機材料の効率的加熱を提供することができる。
本明細書に記載された、いくつかの実施形態によれば、シールド717及びシールド727などの熱シールドを蒸発源に提供することができる。熱シールドは、蒸発源のエネルギー損失を減少させることができる。これにより、エネルギー消費を縮小させることができる。しかしながら、更なる態様として、特に有機材料の堆積について、蒸発源から生じた熱放射、特に堆積中にマスク及び基板に向かった熱放射を減少させることができる。特にマスクされた基板上への有機材料の堆積について、更にディスプレイ製造について、基板及びマスクの温度を正確に制御する必要がある。したがって、蒸発源から生じた熱放射を低下させる又は回避することができる。したがって、本明細書に記載された、いくつかの実施形態は、シールド717及びシールド727などの熱シールドを含む。
これらのシールドは、蒸発源の外側への熱放射を減少させるためのいくつかのシールド層を含むことができる。更なるオプションとして、熱シールドは、空気、窒素、水又は他の適切な冷却流体などの流体によって能動的に冷却されるシールド層を含み得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、蒸発源に提供される一又は複数の熱シールドは、分配管106及び/又は蒸発るつぼ104など、蒸発源のそれぞれの部分を取り囲む薄板金属を含むことができる。例えば、薄板金属は、0.1mmから3mmの厚さを有することができ、鉄系金属(SS)及び非鉄金属(Cu、Ti、Al)から成るグループから選択された少なくとも1つの材料から選択することができ、及び/又は例えば、0.1mm又はそれを上回る間隙によって、互いに対して間隔を空けることができる。
いくつかの実施形態によれば、図7A及び図7Bに例示的に示されるように、蒸発るつぼ104は、分配管106の下端に提供される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、蒸気導管732は、分配管の中央部分又は分配管の下端と分配管の上端との間の別の位置で分配管1006に提供することができる。図7Cは、分配管106及び分配管の中央部分に提供される蒸発導管732を有する蒸発源の例を示す。有機材料の蒸気は、蒸発るつぼ104の中で発生し、蒸気導管732を通って分配管106の中央部分に案内される。蒸気は、複数の開口712を通って分配管106を出る。分配管106は、本明細書に記載された他の実施形態に関して説明されたように、支持体102によって支持される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、2つ又はそれを上回る蒸気導管732が、分配管106の長さに沿って異なる位置に提供できる。これによって、蒸気導管732は、1つの蒸発るつぼ104かいくつかの蒸発るつぼ104かのどちらかに連結することができる。例えば、各蒸気導管732は、対応する蒸発るつぼ104を有することができる。代替的には、蒸発るつぼ104は、分配管106に連結されている2つ又はそれを上回る蒸気導管732と流体連通することができる。
本明細書に記載されるように、分配管は、中空の円筒とすることができる。これにより、用語「円筒」は、円形の底形状及び円形の上部形状、並びに上部円形及び小さな下部円形と連結する湾曲した表面積又はシェルを有すると一般的に認められると理解することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、用語「円筒」は、任意の底形状及び一致する上部形状、並びに上部形状及び下部形状と連結する湾曲した表面積又はシェルを有すると数学的意味において更に理解することができる。したがって、円筒は、必ずしも円形の断面を有する必要はない。その代わりに、ベース面及び上面は、円と異なる形状を有することができる。
図5A及び図5Bについて記載されたように、蒸発源の列を有する実施形態及び/又は蒸発源の並進運動及び回転運動のためのループ状軌道を有する実施形態は、3つ以上の基板を真空チャンバの中に提供することから恩恵を受けることができる。3つ以上の基板を真空チャンバ110内に提供する異なる実施形態が、図8A、図8B及び図9に示される。図8Aに示された例について、真空チャンバ110は、基板121を処理することができる、例えば、有機材料を基板121上で堆積することができる、4つの位置又は処理領域を含み得る。これにより、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、特に、複数の蒸発源が提供される堆積装置500について、スループットを増加させるために、基板の交換を加速することができる。図8Aに示される堆積装置500は、2つの移送チャンバ810を含む。移送チャンバの各々は、真空チャンバ110に隣接して提供される。例えば、移送チャンバ810は、バルブ205を介して、真空チャンバ110に連結することができる。本明細書に示される他の実施形態に関して記載されるように、図8Aに示された2つの移送チャンバ810の代わりに、1つの移送チャンバを提供することができる。
搬送軌道621が、移送チャンバ810の中に提供される。搬送軌道621は、真空チャンバ110内に延びる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、搬送軌道は、ローラの配置、磁気案内エレメントの配置、及び/又は基板及び/又は基板を有するキャリアの本質的な直線的運動のために構成された他の搬送要素によって画定することができ、基板は、典型的には、本質的に垂直に配向される。図8Aに示されるように、例えば、基板を内部に配置したキャリア421を支持することによって、基板を支持する基板支持体126を提供することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、基板121は、搬送軌道621から自然にずれる処理位置に提供することができる。例えば、基板121は、処理位置内へ又は処理位置から基板を位置決めするための搬送軌道621の方向と本質的に直角な方向に移動させることができる。
4つの基板121が真空チャンバ110の中に提供され、2つの基板は、搬送軌道621の方向と本質的に平行な線に沿って位置決めすることができる。したがって、2つの基板は、第1の線に沿って位置決めされ、2つ基板は、第2の線に沿って位置決めされる。複数の蒸発源100を移動させるためのループ状軌道530は、第1の線と第2の線との間に提供される。いくつかの実施形態によれば、ループ状軌道は、2つの真っすぐな部分及び2つの湾曲した部分を含むことができる。2つの真っすぐな部分は、第1の線と本質的に平行とすることができ、及び/又は基板121と本質的に平行とすることができる。蒸発源100は、例えば、直線的分配シャワーヘッドで、基板上の有機材料の位置に並進運動を提供するように、ループ状軌道530の真っすぐな位置に沿って移動させることができる。蒸発源100は、ループ状軌道の湾曲部分に沿って、蒸発源の移動によって回転される。これにより、有機材料の蒸気が蒸発源の分配管により案内される方向は、例えば180度、回転される。したがって、蒸発源の分配管は、少なくとも160度回転可能である。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、例えば、マスクフレーム131によって支持することができるマスク132が、基板位置によって画定される第1の線とループ状軌道530との間、又は更なる基板位置によって画定される第2の線とループ軌道530との間にそれぞれ提供される。ループ軌道530は、マスク132によってマスクされる基板に沿って複数の蒸発源100の並進運動を可能にする。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、2つ又はそれを上回る蒸発源100が、ループ状軌道530上に提供される。例えば、図8Aは、ループ軌道530上に提供された8つの蒸発源100を示す。2つ又はそれを上回る蒸発源は、並進運動が次々に行われている状態で、基板を越えて搬送することができる。これにより、例えば、蒸発源100の各々が、有機材料の1つの層を堆積させることができる。したがって、有機材料のいくつかの異なる層を、処理位置に提供される基板上に堆積させることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、2つ若しくはそれを上回る蒸発源100、又は蒸発源の各々でさえ、基板上に異なる有機材料の異なる層を堆積させることができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、保守真空チャンバ210を提供することができる。例えば、保守真空チャンバ210は、バルブ207により真空チャンバ110から分離させることができる。バルブ207は、真空チャンバ110と保守真空チャンバ210との間の真空密閉を開閉するように構成される。蒸発源100は、保守真空チャンバ210に移送することができる。その後、バルブは、真空チャンバ110と保守真空チャンバ210との間に真空密閉を提供するように閉鎖することができる。従って、保守真空チャンバは、真空チャンバ110の真空を破壊せずに、換気及び開放することができる。
更なる軌道820、例えば、更なるループ状軌道が、保守真空チャンバ210の中に提供される。図8Aに例示的に示されるように、更なる軌道820の湾曲部分は、ループ状軌道530の湾曲部分と重なることができる。これにより、ループ状軌道530から更なる軌道820への蒸発源100の移送が可能になる。従って、蒸発源をループ状軌道530から更なる軌道820まで、及びその逆に移動させることができる。これにより、蒸発源の保守のため、及び保守真空チャンバ210から真空チャンバ110内への維持された蒸発源の移動のために、保守真空チャンバ210の中での蒸発源の移動が可能になる。維持された蒸発源は、真空チャンバ110の中の基板上で有機材料を蒸発させることができる。
図8Aには示されないが、基板及びマスクの互いに対する位置合わせのための一又は複数の位置合わせユニットは、図8Aに示される堆積装置500の中に提供することができる。図8Aは、ループ状軌道530が、2つの基板の処理位置によって画定された第1の線と2つの更なる基板の処理位置によって画定された第2の線との間に提供される実施形態を示す。
ループ状軌道530の代替的な配置が図8Bに示される。これにより、ループ状軌道530は、少なくとも1つの基板、典型的には、基板の処理位置によって画定された線に沿って配置された2つ又はそれを上回る基板を取り囲む。上記を考慮し、1つのオプションによれば(図8Aを参照)、少なくとも2つの基板は、有機材料が堆積されたそれらの基板のそれぞれの表面が互いに向かい合うように配向することができる。別のオプションによれば(図8Bを参照)、真空チャンバ110の中の基板と、有機材料が堆積されるそれらそれぞれの表面とは、同一方向に配向される。図8A及び図8Bに示された堆積装置500は、4つの基板121を収納するように構成されている真空チャンバ110を示しているが、それぞれの改良を2つの基板121を収納するように構成されている真空チャンバに提供することもできる。例えば、保守真空チャンバ210、更なる軌道820、搬送軌道621、移送チャンバ810又は同種のものに関する、更なる詳細、態様及び特徴を、図8Aに示された実施形態に対して記載された類似の方法で、図8Bに示された実施形態において実施することができる。
本明細書に記載の実施形態によれば、堆積装置は、2つ又はそれを上回る基板を有するチャンバ、即ち、基板処理領域を含む。1つの基板が処理されている際に、別の基板がチャンバ内へ又はチャンバから移動される。したがって、1つの基板を1つの基板処理領域の中で処理することができる。更に、第2の基板処理領域に位置する基板を除去することができ、新しい基板を第2の基板処理領域内に移動させることができる。
本明細書に記載されるように、一又は複数の蒸発源を、並進運動により静止した基板を走査する一又は複数の線源として提供することができる。特に源の列及び/又はループ状軌道を有する実施形態について、有機層毎に少なくとも1つの線源を提供することができる。例えば、ディスプレイを製造している場合に、線源を発光層、孔搬送層、孔注入層又は同種のものに提供することができる。
図9は、堆積装置500の更なる実施形態を示す。堆積装置500は、本明細書に記載された他の実施形態に対して先ほど説明されたような移送チャンバ810、バルブ205、保守真空チャンバ210、及び更なる軌道820を含む。図9に示された実施形態が、基板上に有機材料を堆積させるように真空チャンバ内への基板121の更に良好な交換を支援するために、4つの移送チャンバ810を含むにもかかわらず、類似の搬送軌道が移送チャンバ810の中に提供される。搬送軌道は、真空回転区画内への及び真空回転区画からの基板の搬送のための真空回転区画910内へ延びる。図9は、4つの真空回転区画910が真空チャンバ110に連結される例を示す。ループ状軌道530が、真空チャンバ110の中に提供される。複数の蒸発源100は、ループ状軌道530により支持され、ゆえにループ状軌道の真っすぐな部分に沿った並進運動、及びループ状軌道の湾曲部分に沿った回転移動を行うことができる。
真空回転区画910は、真空チャンバ110及び真空回転区画910を含むシステムが排気できるように、真空チャンバ110に連結される。代替的には、回転モジュールを含む1つのチャンバを提供することができる。真空回転区画910内での基板の回転は、参照番号911で表示された円によって示される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、真空回転区画の各々は、真空回転モジュールを含み、基板を真空回転モジュールの第1の部分に積み込む又はそこから取り外すことができる。例えば180度、移送チャンバ810から積み込まれた基板を回転させると、処理位置において基板121が移動し、蒸発源が基板の表面に沿って走査を行う。更なる代替例によれば、基板を処理位置内へ提供するための基板の回転はまた、例えば、真空チャンバ及び区画が別様に配置される場合に、180度とは異なる角度で行うことができる。しかしながら、移送位置から処理位置まで基板を移動させるための180度の回転は、比較的小さな設置面積を提供する。
図9に示されるように、例えば、回転モジュールは、基板121及びマスク132が、回転モジュールの中に提供された2つの基板の場所毎に互いに対して位置合わせできるような2つの位置合わせユニット112を含むことができる。1つの実施形態によれば、堆積装置は、例えば、4つの真空回転モジュールと、8つの基板支持体位置とを含むことができる。しかしながら、本明細書に記載の更なる実施形態と組み合わせることができる他の実施形態によれば、異なる数の基板支持体位置及び/又は異なる数の真空回転モジュールを提供することができる。例えば、少なくとも2つの基板処理位置は、本明細書に記載の実施形態にしたがって提供される。これによって、基板処理位置は、蒸発源の少なくとも分配管の回転によって基板の処理が可能になるように配置される。別の例として、少なくとも2つの回転モジュール、少なくとも2つの基板処理位置及び少なくとも4つの基板支持体位置(そのうちの2つは基板処理位置でもある)を提供することができる。
図10は、本明細書に記載された実施形態による有機材料を蒸発させる方法を示すフローチャートを図示する。一般的に、金属利用率を改善するために、2つの基板位置が提供される。これは、蒸発源の、特に直線的分配シャワーヘッドなどの線源の並進運動及び回転運動と組み合わされる。ステップ802では、本質的に垂直配向で提供される第1の基板は、第1の処理位置において移動される。ステップ804において、蒸発源は、少なくとも並進運動で、例えば、第1の基板を走査するなど、第1の処理位置に位置する第1の基板に沿って移動し、有機材料が第1の基板上に堆積される。第1の基板が処理される間、第2の処理位置を、内部での第2の基板処理のために準備することができる。ステップ806において、例えば、第2の基板は、第1の処理位置とは異なる第2の処理位置の中で移動することができる。更に、第2の基板の準備は、第2の処理位置から事前に処理された基板を除去すること、及び/又はマスク及び第2の基板を互いに対して位置合わせすることを含み得る。ステップ808では、蒸発源のすくなくとも分配管が回転され、次に、第2の処理位置に向けられる。本明細書に記載されるように、本質的に垂直な軸周囲、典型的には、線源が延びる軸周囲で回転を行うことができる。ステップ809において、蒸発源は、少なくとも並進運動で、例えば、第2の基板を走査するなど、第2の処理位置に位置する第2の基板に沿って移動し、有機材料が第2の基板上に堆積される。
蒸発システムの上記様々な実施形態を考慮して、堆積装置、及び本明細書の他の実施形態と組み合わせることができる、特に本明細書に記載の製造システムの何れかで使用することができる、有機材料を蒸発させるための方法が、本明細書で提供される。これらの実施形態が以下に示される。
実施形態1. 有機材料用の蒸発源であって、有機材料を蒸発させるように構成されている蒸発るつぼと;蒸発るつぼと流体連通しており、蒸発中に軸周囲を回転可能である、一又は複数の排出口を有する分配管と;第1のドライバと連結可能であり又は第1のドライバを含む、分配管の支持体であって、第1のドライバが支持体及び分配管の並進運動のために構成される、支持体とを含む蒸発源。
実施形態2. 分配管が、一又は複数の排出口を含む蒸気分配シャワーヘッドであり、特に蒸気分配シャワーヘッドが、直線的蒸気分配シャワーヘッドである、実施形態1に記載の蒸発源。
実施形態3. 分配管が、本質的に垂直に延びる線源を提供し、及び/又は分配管を回転させる軸が、本質的に垂直に延びる、実施形態1又は2に記載の蒸発源。
実施形態4. 分配管が、少なくとも160度、特に180度又は少なくとも360度回転可能である、実施形態1から3の何れかに記載の蒸発源。
実施形態5. 分配管が、支持体に対して分配管を回転させ、特に支持体に対して蒸発るつぼも回転させる第2のドライバによって、軸周囲を回転可能である、実施形態1から4の何れかに記載の蒸発源。
実施形態6. 支持体が、内部で大気圧を維持するように構成された支持体ハウジングを含み、支持体が、回転可能な真空フィードスルー、特に磁性流体フィードスルーを介して、分配管を支持する、実施形態5に記載の蒸発源。
実施形態7. 分配管が、ループ状軌道に沿って進行することによって、軸周囲を回転可能である、実施形態1から4の何れかに記載の蒸発源。
実施形態8. 内部で大気圧を維持するように構成された蒸発器制御ハウジングであって、支持体によって支持され、スイッチ、バルブ、コントローラ、冷却ユニット及び冷却制御ユニットから成るグループから選択された少なくとも1つの要素を収納するように構成されたハウジングを更に備える、実施形態1から7の何れかに記載の蒸発源。
実施形態9. 有機材料の蒸発をシールドするための、少なくとも片側シールド、特に両側シールドを更に含む、実施形態1から8の何れかに記載の蒸発源。
実施形態10. 誘導性電力伝送及び誘導性信号伝送の少なくとも1つのためのコイルを更に含む、実施形態1から9の何れかに記載の蒸発源。
実施形態11. 支持体によって支持された少なくとも1つの第2の蒸発るつぼと;支持体によって支持された少なくとも1つの第2の分配管とを更に含み、少なくとも1つの第2の分配管が、少なくとも1つの第2の蒸発源と流体連通する、実施形態1から10の何れかに記載の蒸発源。
実施形態12. 真空チャンバの中で有機材料を堆積させるための堆積装置であって、処理真空チャンバと;実施形態1から11の何れかに記載の蒸発源であって、処理真空チャンバの中で有機材料を蒸発させる蒸発源と;真空チャンバの中に配置され、少なくとも2つの軌道を有する基板支持体システムであって、基板支持体システムの少なくとも2つの軌道が、基板又は真空チャンバの中で基板を運ぶキャリアの本質的に垂直な支持のために構成される、基板支持体システムとを含む堆積装置。
実施形態13. 処理真空チャンバと連結された保守真空チャンバと;処理真空チャンバと保守真空チャンバとの間の真空密閉を開閉するための真空バルブであって、蒸発源を処理真空チャンバから保守真空チャンバへ及び保守真空チャンバから処理真空チャンバへ移送することができる、真空バルブとを更に備える、実施形態12に記載の堆積装置。
実施形態14. 有機材料を蒸発させる方法であって、本質的に垂直な第1の処理位置で第1の基板を移動させることと;蒸発源が有機材料を蒸発させる間に、少なくとも並進運動で第1の基板に沿って蒸発源を移動させることと;第1の処理位置と異なる本質的に垂直な第2の処理位置で第2の基板を移動させることと;蒸発中に軸周囲で蒸発源の分配管を回転させることと;蒸発源が有機材料を蒸発させる間に、少なくとも更なる並進運動で第2の基板に沿って蒸発源を移動させることとを含む方法。
実施形態15. 第2の基板は、蒸発源が第1の基板に沿って移動される間に、本質的に垂直な第2の処理位置で移動される、実施形態14に記載の方法。
図11は、デバイス、特に有機材料をその内部に含むデバイスを製造するためのシステム1000を示す。例えば、デバイスは、光電子デバイス及び特にディスプレイなどの電子デバイス又は半導体デバイスとすることができる。大量生産システムの改良されたキャリアハンドリング及び/又はマスクハンドリングを提供することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、これらの改良点は、OLEDデバイス製造に有利に用いることができ、ゆえに図1Aから図10を参照して記載されるような堆積装置、その構成要素、及び堆積装置を操作する方法を含むことができる。しかしながら、本明細書に記載されたように様々なチャンバの配置の概念によって提供されるキャリアハンドリング及びマスクハンドリングの改良はまた、他の基板処理システム、例えば、蒸発源、スパッタ源、特にロータリスパッタターゲット、PECVD堆積源などのCVD堆積源、又はそれらの組み合わせを含む基板処理システムにも用いられうる。特に大面積基板、例えば大面積ガラス基板上の製造システムに関する本開示は、特に以下に記載される概念から利益が得られる可能性があるため、OLED製造システムに関して記載される。
本明細書に記載される実施形態は、特に、例えば、ディスプレイ製造用の、大面積基板上での、材料の堆積に関する。いくつかの実施形態によれば、大面積基板、又は一又は複数の基板を支持するキャリア、即ち、大面積キャリアは、少なくとも0.174m2のサイズを有しうる。典型的には、キャリアのサイズを、約1.4m2から約8m2、より典型的には、約2m2から約9m2、更に最大で12m2とすることができる。典型的には、基板が支持され、本明細書に記載の実施形態による保持設備、装置、及び方法が提供される長方形の面積が、本明細書に記載の大面積基板のサイズを有するキャリアである。例えば、単一の大面積基板の面積に対応するであろう大面積キャリアを、約1.4m2の基板(1.1m×1.3m)に対応するGEN5、約4.29m2の基板(1.95m×2.2m)に対応するGEN7.5、約5.7m2の基板(2.2m×2.5m)に対応するGEN8.5、又は約8.7m2の基板(2.85m×3.05m)に対応するGEN10とすることができる。GEN11及びGEN12などの更に大きな世代並びにこれらに対応する基板面積が、同様に実現されうる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、基板の厚さを0.1から1.8mmとすることができ、保持設備及び特に保持デバイスをこのような基板の厚さに対して適合させることができる。しかしながら、特に基板の厚さを約0.9mm又はそれを下回る、例えば、0.5mm又は0.3mmとすることができ、保持設備及び特に保持デバイスがそのような基板の厚さに適合される。典型的には、基板は、材料堆積に適した任意の材料から作られ得る。例えば、基板は、ガラス(例えばソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、或いは堆積処理によって被覆することできる他の材料及び材料の組合せからなるグループから選択された材料から作成されたものであってもよい。
コータ又は堆積システムの概念、例えば、いくつかの実施形態によるOLED大量生産の概念は、垂直クラスタアプローチを提供し、ゆえに例えば、すべてのチャンバへの「ランダムな」アクセスが提供されうる。したがって、そのような概念は、所望の数の必要とされるモジュールを加える際にフレキシビリティを提供することによって、CF(色フィルタ)堆積上のRGB及びWhiteに有効である。このフレキシビリティはまた、冗長性を形成するためにも使用できるだろう。一般的に、OLEDディスプレイ製造には、2つの概念を提供することができる。一方で、赤色光、緑色光、及び青色光の発光を有するRGB(赤緑青)ディスプレイが製造される。他方で、CFディスプレイ上のWhiteが製造され、白色光が発光され、色フィルタによって色が生成される。CFディスプレイ上のWhiteがそのようなデバイスを製造するためのチャンバの減数を必要としようとも、両概念が実施され、賛否両論がある。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、OLEDデバイス製造は、典型的には、堆積用基板のマスキングを含む。更に、大面積基板は、典型的には、その処理中にキャリアによって支持される。マスクハンドリング及びキャリアハンドリングの双方が、温度安定、マスク及びキャリアなどの洗浄に関して、特にOLEDデバイスには重要でありうる。したがって、本明細書に記載の実施形態は、真空条件下、又は保護ガスなどの定義されたガス雰囲気下で、キャリア戻り経路、及び改良された洗浄の任意選択をキャリア及びマスクに提供する。加えて、図1Aから図10までに関して記載された堆積装置配置について記載された、改良されたシステム稼働時間、改良された堆積源効率、及び/又は改良された材料利用率が提供されうる。これらの配置により、ルーチン保守中又はマスク交換中に、基板ハンドリングチャンバ又は堆積チャンバを換気する必要性が回避される。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、マスク洗浄は、例えば、任意選択的なプラズマ洗浄によって、インシトゥで提供することができるか、製造システムの処理チャンバ又は移送チャンバを換気せずに外側のマスク洗浄を可能にするために、マスク交換インターフェースを提供することによって提供することができるかのどちらかである。
図11に示される製造システム1000は、水平基板ハンドリングチャンバ1100に連結されているロードロックチャンバ1120を含む。基板は、ガラスハンドリングチャンバ1102から真空スイングモジュール1160まで移送することができ、キャリア上の水平位置に載置される。キャリア上で水平位置に基板を載置した後に、真空スイングモジュール1160は、垂直な又は本質的に垂直な配向で上部に提供された基板を有するキャリアを回転させる。上部に提供された基板を有するキャリアは、次いで垂直配向を有する第1の移送チャンバ610及び少なくとも1つの更なる移送チャンバ(611−615)を通って移送される。一又は複数の堆積装置200は、移送チャンバに連結することができる。更に、他の基板処理チャンバ又は他の真空チャンバは、移送チャンバの一又は複数に連結することができる。基板の処理後に、上部に基板を有するキャリアが、移送チャンバ615から垂直配向の更なる真空スイングモジュール1161内に移送される。更なる真空スイングモジュール1161は、上部に基板を有するキャリアを垂直配向から水平配向に回転させる。その後、基板は、更なる水平ガラスハンドリングチャンバ内に取り出すことができる。処理された基板は、例えば、製造されたデバイスが薄膜のカプセル化チャンバ1140又は1141の1つにカプセル化された後に、処理システム1000からロードロックチャンバ1121を通って取り出すことができる。
図11には、第1の移送チャンバ610、第2の移送チャンバ611、第3の移送チャンバ612、第4の移送チャンバ613、第5の移送チャンバ614、及び第6の移送チャンバ615が提供される。本明細書に記載の実施形態によれば、少なくとも2つの移送チャンバが製造システムの中に含まれ、典型的には2つから8つの移送チャンバを製造システムの中に含むことができる。各々が真空チャンバ110を有し、かつ各々が例示的に移送チャンバの1つに連結されている、例えば、図11の9つの堆積装置200など、いくつかの堆積装置が提供される。いくつかの実施形態によれば、堆積装置の真空チャンバの一又は複数は、ゲートバルブ205を介して移送チャンバに連結される。
位置合わせユニット112は、図1Aから図10に関して記載された実施形態の何れかに従って、真空チャンバ110に提供することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、真空保守チャンバ210は、例えば、ゲートバルブ207を介して、真空チャンバ110に連結することができる。真空保守チャンバ210は、製造システム1000の中の堆積源の保守を可能にする。保守真空チャンバが210の更なる詳細を図1Aから図10を参照して説明したが、製造システムに関する実施形態に対しても同様に提供することができる。
いくつかの実施形態によれば、図11に示されるように、一又は複数の移送チャンバ610−615が、一列に並んだ搬送システム部分を提供するための線に沿って提供される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、デュアル軌道搬送装置が提供され、移送チャンバが、第1の軌道及び第2の軌道の少なくとも1つに沿って、キャリア、即ち、基板を支持するキャリアを移送するために、第1の軌道1111及び第2の軌道1112を含む。移送チャンバの中の第1の軌道1111及び第2の軌道1112は、製造システム1000の中にデュアル軌道搬送装置を提供する。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、移送チャンバ610−615のうちの一又は複数が、真空回転チャンバとして提供される。第1の軌道1111及び第2の軌道1112を、少なくとも90度、例えば、90度、180度又は360度回転させることができる。軌道上のキャリアは、堆積装置200の真空チャンバの1つ、又は以下に記載される他の真空チャンバの1つにおいて移送される位置で回転する。移送チャンバは、垂直配向されたキャリア及び/又は基板を回転させるように構成され、例えば、移送チャンバの中の軌道が、垂直回転軸周囲を回転する。これが、図11の矢印によって示される。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、移送チャンバは、10ミリバール未満の圧力下で基板を回転させるための真空回転モジュールである。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、更なる軌道が、複数の移送チャンバ(610−615)内部に提供され、キャリア戻り軌道が提供される。典型的実施形態によれば、キャリア戻り軌道1125は、第1の軌道1111と第2の軌道1112との間に提供することができる。キャリア戻り軌道1125は、真空条件下で、更なる真空スイングモジュール1161から真空スイングモジュール1160まで空のキャリアを戻すことを可能にする。真空条件下で、及び任意選択的には、制御された不活性雰囲気(例えば、Ar、N2、又はそれらの組み合わせ)下で、キャリアを戻すことは、キャリアの周囲空気への露出を減らす。湿気へのコンタクトを低減又は回避することができる。したがって、製造システム1000でのデバイス製造中のキャリアのガス放出を低減することができる。これは、製造されたデバイスの品質を向上させ得、及び/又は延長時間中に洗浄されることなく、キャリアを動作中にすることができる。
図11は、第1の事前処理チャンバ1130及び第2の事前処理チャンバ1131を更に示す。ロボット(図示されず)又は別のハンドリングシステムを基板ハンドリングチャンバ1100の中に提供することができる。ロボット又は別のハンドリングシステムは、ロードロックチャンバ1120から基板ハンドリングチャンバ1100の中に基板を載置し、事前処理チャンバ(1130、1131)の一又は複数内に基板を移送することができる。例えば、事前処理チャンバは、基板のプラズマ事前処理、基板の洗浄、基板のUV及び/又はオゾン処理、基板のイオン源処理、基板のRF又はマイクロ波プラズマ処理、及びそれらの組み合わせから成るグループから選択された事前処理ツールを含むことができる。基板の事前処理後に、ロボット又は別のハンドリングシステムは、事前処理チャンバから基板ハンドリングチャンバを介して真空スイングモジュール1160内に基板を移送する。基板載置用のロードロックチャンバ1120を換気し、大気条件下で基板ハンドリングチャンバ1100の中の基板をハンドリングすることができるように、ゲートバルブ205が、基板ハンドリングチャンバ1100と真空スイングモジュール1160との間に提供される。従って、基板ハンドリングチャンバ1110、及び必要に応じてロードロックチャンバ1120の一又は複数、第1の事前処理チャンバ1130、並びに第2の事前処理チャンバ1131は、ゲートバルブ205が開放され、基板が真空スイングモジュール1160内に移送される前に、排気することができる。従って、基板の載置及び処理(treatment and processing)は、基板が真空スイングモジュール160内に載置される前に、大気条件下で行われうる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる本明細書に記載に実施形態によれば、基板が真空スイングモジュール160内に載置される前に行われうる基板の載置及び処理は、基板が水平に配向される又は本質的に水平に配向される間に行われる。本明細書に記載の更なる実施形態による、図11に示された製造システム1000は、水平配向での基板ハンドリング、垂直配向での基板の回転、垂直配向での基板上への材料堆積、材料堆積後の水平配向での基板の回転、及び水平配向での基板の取り出しを組み合わせる。
図11に示された製造システム1000だけではなく、本明細書に記載の他の製造システムもまた、少なくとも1つの薄膜カプセル化チャンバを含む。図11は、第1の薄膜カプセル化チャンバ1140及び第2の薄膜カプセル化チャンバ1141を示す。一又は複数の薄膜カプセル化チャンバは、カプセル化装置を含み、堆積材料及び/又は処理材料が周囲空気及び/又は大気条件に露出されないよう保護するために、堆積層及び/又は処理層、特にOLED材料が、処理基板と更なる基板との間でカプセル化される、即ち、それらの間に挟まれる。典型的には、薄膜カプセル化は、2つの基板、例えば、ガラス基板の間に材料を挟むことによって、提供することができる。しかしながら、ガラス、ポリマー若しくは金属シートでの積層、カバーガラスのレーザ融解のような他のカプセル化方法が、薄膜カプセル化チャンバの1つに提供されたカプセル化装置によって代替的に適用され得る。特に、OLED材料層が周囲空気並びに/又は酸素及び湿気への露出を被りうる。従って、製造システム1000は、例えば、図11に示されるように、ロードロックチャンバ1121を介して処理基板を取り出す前に、薄膜をカプセル化することができる。
図11に示された製造システム1000だけではなく、本明細書に記載の他の製造システムもまた、層検査チャンバ1150を更に含むことができる。電子及び/又はイオン層検査ツールなどの層検査ツールを層検査チャンバ1150の中の提供することができる。製造システム1000に提供された一又は複数の堆積ステップ又は処理ステップ後に、層検査を行うことができる。したがって、基板を内部に有するキャリアは、堆積又は処理チャンバから、層検査チャンバ1150がゲートバルブ205を介して連結される移送チャンバ611まで移動することができる。検査される基板は、層検査チャンバの中に移送され、製造システム内部で検査することができる、即ち、製造システムから基板を除去しなくてよい。オンライン層検査は、製造システム1000の中で行われうる堆積ステップ又は処理ステップの一又は複数の後に提供することができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、製造システムは、キャリアバッファ1421を含むことができる。例えば、キャリアバッファは、真空スイングモジュール1160及び/又は最後の移送チャンバ、即ち、第6の移送チャンバ615に連結される第1の移送チャンバ610に連結することができる。例えば、キャリアバッファは、真空スイングモジュールの1つに連結される移送チャンバの1つに連結することができる。基板が真空スイングモジュールの中で載置され取り出されるので、キャリアバッファ1421が、真空スイングモジュールに接近して提供される場合には有利である。キャリアバッファは、一又は複数の、例えば、5から30のキャリアにストレージを提供するように構成される。バッファの中のキャリアは、別のキャリアが、例えば、洗浄などの保守のために交換が必要である際に、製造システムの工程中に使用することができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、製造システムは、マスク棚1132、即ち、マスクバッファを更に含むことができる。マスク棚1132は、特定の堆積ステップのために保管しなければならない交換マスク用ストレージ又はマスクを提供するように構成される。製造システム1000を操作する方法によれば、第1の軌道1111及び第2の軌道1112を有するデュアル軌道搬送装置を介して、マスク棚1132から堆積装置200まで移送することができる。したがって、堆積装置の中のマスクは、堆積装置を排気せず、移送チャンバを排気せず、及び/又はマスクを大気圧にさらさずに、洗浄などの保守、又は堆積パターン変化のどちらかのために交換することができる。
図11は、マスク洗浄チャンバ1133を更に示す。マスク洗浄チャンバ1133は、ゲートバルブ1205を介してマスク棚1132に連結される。したがって、マスク棚1132とマスク洗浄用のマスク洗浄チャンバ1133との間に真空気密閉を提供することができる。異なる実施形態によれば、マスクは、プラズマ洗浄ツールなどの洗浄ツールによって、製造システム1000内部で洗浄することができる。プラズマ洗浄ツールは、マスク洗浄チャンバ1133の中に提供することができる。加えて又は代替的には、図11に示されるように、更なるゲートバルブ1206をマスク洗浄チャンバ1133に提供することができる。したがって、マスク洗浄チャンバ1133だけを排気する必要がある際には、マスクを製造システム1000から取り出すことができる。マスクを製造システムから取り出すことによって、製造システムが完全に動作し続ける間、外側のマスク洗浄を提供することができる。図11は、マスク棚1132に隣接したマスク洗浄チャンバ1133を示す。対応する又は類似の洗浄チャンバ(図示されず)もまた、キャリアバッファ1421に隣接して提供され得る。洗浄チャンバをキャリアバッファ1421に隣接して提供することによって、キャリアが製造システム1000内部で洗浄され得、又は洗浄チャンバに連結したゲートバルブを通って製造システムから取り出すことができる。
OLEDディスプレイなどのデバイスを図11に示される製造システム1000の中で以下のように製造することができる。これは、単に例示的製造方法に過ぎず、多くの他のデバイスが他の製造方法によって製造され得る。基板は、ロードロックチャンバ1120を介して、基板ハンドリングチャンバ1100内に載置することができる。基板事前処理は、基板が真空スイングモジュール1160の中に載置される前に、事前処理チャンバ1130及び/又は1131内部に提供することができる。基板は、真空スイングモジュール1160の中でキャリア上に載置され、水平配向から垂直配向に回転する。その後、基板は、移送チャンバ610−615を通して移送される。移送チャンバ615に提供された真空回転モジュールは、基板を含むキャリアが図11の移送チャンバ615の下面に提供された堆積装置まで移動できるように、回転する。移送チャンバの1つの中の真空回転モジュールの1つの更なる回転ステップ、及び移送チャンバの一又は複数を通した移送ステップは、本節によるディスプレイ製造の記載における参照の便宜上、以下では省略される。堆積装置の中で、基板上にデバイスのアノードを堆積させるために、電極堆積が行われる。キャリアは、電極堆積チャンバから除去され、移送チャンバ610に連結され、両方が第1の孔注入層を堆積させるように構成されている、堆積装置200の1つに移動する。移送チャンバ610に連結された2つの堆積装置は、例えば、代替的には、異なる基板上での孔注入層の堆積に用いることができる。キャリアは次いで、移送チャンバ612(図11)に連結された下位チャンバに移送され、これにより第1の孔搬送層を図11の移送チャンバ612下に提供された堆積装置200によって堆積させることができる。この後、キャリアは、図11の移送チャンバの下側に提供された堆積装置200に搬送され、ゆえに青色発光層を第1の孔搬送層上に堆積させることができる。キャリアは次いで、第1の電子搬送層を堆積させるために、移送チャンバ614の下端で連結した堆積装置に搬送される。続くステップでは、赤色発光層を図11の移送チャンバ612の上側の堆積装置の中に提供し、緑色発光層を図11の移送チャンバ614の上側に提供された堆積装置の中に提供することができる前に、更なる孔注入層を、例えば、図11の移送チャンバ611の下側に提供された堆積装置の中に、堆積させることができる。更に、電子搬送層は、発光層の間又は発光層の上に提供され得る。製造の終わりに、カソードを図11の移送チャンバ615下に提供された堆積装置の中に堆積させることができる。更なる実施形態によれば、加えて一又は複数の励起子ブロッキング層(若しくは孔ブロッキング層)又は一又は複数の電子注入層が、アノードとカソードとの間に堆積され得る。カソード堆積後、キャリアは、更なる真空スイングモジュール1161に移送され、基板を含むキャリアが垂直配向から水平配向に回転する。その後、基板が、更なる基板ハンドリングチャンバ1101の中のキャリアから取り出され、堆積した積層をカプセル化するための薄膜カプセル化チャンバ1140/1141の1つに移送される。その後、製造デバイスは、ロードロックチャンバ1121を通して取り出すことができる。
図12Aは、真空スイングモジュール1160を示す。図11に示された更なる真空スイングモジュール1161のような他の真空スイングモジュールは、類似の特徴、詳細、及び態様を含むことができる。真空スイングモジュール1160は、真空チャンバ1261を含む。真空チャンバは、典型的には、例えば、真空ポンプなどの排気ユニットを真空チャンバに連結するための一又は複数のフランジを有する。したがって、真空チャンバ1261は、典型的には、例えば、10ミリバール又はそれを下回る、本明細書に記載の製造システムの一又は複数のチャンバに提供される、技術的真空に排気することができる。真空スイングモジュールは、真空チャンバ1261内部に提供される。スイングモジュールは、ベース1202を含む。ベース1202は、キャリア421上に載置されている基板121が垂直配向又は水平配向に支持されつつ、安定性を提供するように構成される。後者の配向が、図12Aに示される。例えば、トルクモータなどのアクチュエータ1204は、軸1205周囲で支持体1206を回転させることができる。したがって、支持体及び/又はそれに連結されたテーブルは、水平配向から垂直配向に及びその逆に回転させることができる。上記を考慮し、基板121は、水平配向を有して提供されつつ、キャリア421上に載置することができる。その後、基板121を支持するキャリア421を、水平配向から垂直配向に回転させ、真空チャンバ1261から垂直に配向されつつ、搬送経路に沿って移動させることができる。逆のプロセスでは、キャリアは、真空チャンバ1261内に垂直に配向されつつ、搬送経路に沿って移動させることができる。基板121を支持するキャリア421は、真空チャンバ1261内部でスイングモジュールによって、垂直配向から水平配向に回転させることができる。その後、基板121は、キャリア421から取り出すことができる。
図12Bは、水平配向から垂直配向に又はその逆にキャリア421に提供された基板121を回転させる順序を示す。左から右に、基板121がキャリア421の中に提供される。基板121が、リフトピン1210が垂直移動するとすぐに、キャリア421に対して上下するように、リフトピン1210をキャリア421の下に提供することができる。キャリアは、典型的には、基板受容部分、上方案内部分1241、及び下方案内部分を含む。上方案内部分は、搬送装置の中でキャリアの磁気案内を可能にする一又は複数の永久磁石を含むことができる。下方案内部分は、一又は複数のローラ424上で案内されるように構成されているロッドを含むことができる。複数のローラ424は、搬送装置の下方部分を形成することができる。
前記基板121がキャリア421上に載置される前に、リフトピン1210は、上昇位置に垂直に移動する。ロボット又は別のアクチュエータは、真空スイングモジュールの中に基板を載置し、リフトピン1210上に基板を置くことができる。したがって、リフトピン1210は、基板121を支持する。その後、リフトピン1000、2010を下げることができ、これによって基板121は、キャリア421上に載置される。その後、キャリア421は、図12Bの順序によって示されるように回転させることができ、他方でキャリア421のロッドは、搬送システムの一又は複数のローラ424に位置する。キャリア(及び、ゆえに基板)が垂直位置まで上昇した後に、キャリアは、製造システムの搬送経路に沿って移動させることができる。
図13Aは、2つの隣接する移送チャンバ1361の部分を示す。2つの支持体1310が、チャンバの各々に提供される。支持体1310は、互いに平行であり、共通の垂直回転軸について一緒に回転可能となるように配置することができる。複数のローラ424が、移送チャンバ1361の壁に面した支持体1310のそれぞれの側面に提供される。このように、搬送軌道が、支持体1310の各々に沿って提供され、デュアル軌道搬送システムが提供される。追加の組のローラ1342が、他のそれぞれの支持体に面した支持体1310の1つの側面に提供される。追加の組のローラ1342は、移送チャンバ1361内部でキャリア戻り軌道を提供する。図13Aは、図13Cにより詳しく示されているデュアル軌道搬送装置の下方部分を示す。図13Bは、搬送装置の1つの軌道の上方部分を示す。磁気案内要素524が、搬送軌道の上方部分に提供される。第1の磁石1324及び第2の磁石1325が、磁石支持体要素1323のそれぞれの側面部分に提供される。磁石支持要素1323は、第1の磁石1324及び第2の磁石1325をキャリア421の対向側面又はキャリアの上方案内部分1241にそれぞれ提供できるようなU字型の支持体要素とすることができる。キャリア421の上方案内部分1241は、永久磁石を含み、ゆえにキャリアは、第1の磁石1324と第2の磁石1325との間で接触することなく案内される。
図13Cは、搬送装置の1つの軌道の下方部分を示す。複数のローラ424は、それぞれの軸425に回転可能に装着される。ローラ424は、湾曲した外面、特に凹形の外面を有しており、ゆえにキャリア421のロッド1321を複数のローラに沿って案内することができる。異なる実施形態によれば、ローラ424の一又は複数は、モータ又は同種のものによって駆動することができる。例えば、モータは、ベルトシステム又はドライバチェーンに連結することができ、次に共通の回転速度でローラを回転させるためにローラの複数に連結される。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、キャリアはまた、磁気浮上されうる。そのような実施形態によれば、キャリアの磁気浮上は、デュアル軌道搬送システムの軌道の各々の下方位置に提供することができる。加えて、キャリアの磁気浮上は、デュアル軌道搬送システムの軌道の各々の上方位置に提供することができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、処理システムで使用するように適合されたキャリアは、電極アセンブリ及び支持体ベースを含む。電極アセンブリは、基板を基板キャリアに固定するための静電チャッキング力を生成するように構成される。更なる追加的又は代替的な修正例によれば、支持体ベースは内部に形成された加熱/冷却リザーバを有する。電極アセンブリ及び支持体ベースは、処理システム内部での搬送のために構成された単一本体(unitary body)を形成する。キャリアは、処理システムの中で供給媒体に連結することができる。クイックディスコネクト(quick disconnect)は、本体に結合することができ、本体が熱調節媒体の源から分離されると、リザーバ加熱/冷却リザーバの中で熱調節媒体を捕捉するように構成することができる。クイックディスコネクト(quick disconnect)は、本体に結合することができ、本体が熱調節媒体の源から分離されると、リザーバ加熱/冷却リザーバの中で熱調節媒体を捕捉するように構成することができる。クイックディスコネクトは、チャッキング電荷を加えるために結合することができる。
更なる実施形態によれば、誘導性電力結合要素は、デュアル軌道搬送装置の一又は複数の軌道の下方部分及び/又はデュアル軌道搬送装置の一又は複数の軌道の上方部分で静電気キャリアに電力供給するための移送チャンバ1361の一又は複数に提供することができる。例えば、一又は複数のコイル、即ち、伝導性ループ(複数可)をキャリアの下端及び/又は上端に提供することができる。例えば、これらのループは、デュアル軌道搬送装置の軌道に提供された更なるコイル装置と比較して、小さなループとすることができる。デュアル軌道搬送装置の軌道は、例えば、大きなループなど、更なるコイル装置を有しうる。キャリアの一又は複数のコイル及び軌道の更なるコイル装置を考慮すると、誘導性電力伝送を提供することができる。特定の例によれば、軌道での大きなループは、図13Aに示された支持体1310の長さに沿って、延在することができる。大きなループは、少なくとも支持体1310の全長の50%に沿って、特に全長の少なくとも90%に沿って延在することが可能となり得る。異なる又は代替的な実施態様によれば、電気コンタクト、即ち、スライディングコンタクトは、キャリアが移送チャンバ1361の軌道に沿って搬送される間に提供され得る。
図14は、本明細書に記載の実施形態による更なる製造システム1000を示す。図11を参照して説明された実施形態の製造システムに類似するチャンバ、構成要素、特徴、態様、及び要素は、図14を参照する際に再び説明されない。要するに、異なる実施形態に関する相違のみが説明される。図14は、第1の移送チャンバ610及び第2の移送チャンバ611を有する製造システム1000を示す。一又は複数の堆積装置200が、第1の移送チャンバ610と第2の移送チャンバ611との間に提供される。図14は、例として3つの堆積装置を示し、第2と第3の堆積装置の間の点は、第1の移送チャンバ610と第2の移送チャンバ611との間に提供された、更に多くの堆積装置、即ち、堆積チャンバを有する任意選択を示している。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つの堆積チャンバ、即ち、堆積装置を、移送チャンバの間に提供することができる。製造装置1000の一部は、一列に並んだ堆積システム部分として提供される。図14に示された製造システム1000の本概念、即ち、一列に並んだ堆積システム部分を有しているとの概念を考慮すると、堆積チャンバ又は堆積装置200の数は、図11と比較して減らされてもよい。数が減少した堆積チャンバは、例えば、CFディスプレイのWhiteに使用することができる。
キャリアバッファ1421は、ゲートバルブ205を介して、第1の移送チャンバ610に連結され、マスク棚1132は、ゲートバルブ205を介して、第2の移送チャンバ611に連結される。堆積装置200は、本明細書に記載の様々な実施形態、特に図1Aから図10を参照して、提供することができ、蒸発源100の保守用の一又は複数の保守真空チャンバは、1つの堆積装置から隣接する堆積装置への一列に並んだキャリアの搬送を提供できるように、堆積装置の真空チャンバの側面に提供される。
図11及び図14において例示的に見られるように、実施形態は、例えば、基板の載置及び事前処理並びに取り出し及び事後処理のための、クラスタ堆積システム部分(図11)及び/又は一列に並んだ堆積システム部分並びに一又は複数のクラスタ部分を含むシステムを対象とすることができる。システムは、一列に並んだ処理システムとクラスタ処理システムとの間のハイブリットシステムとすることができる。
図14に示されるように、堆積装置200は各々、材料を基板上に堆積させることができる。2つの基板は、移送チャンバ610から更なる移送チャンバ611までデュアル軌道搬送システムに沿って搬送することができる。
図14に関して記載された実施形態は、いくつかのキャリア戻りチャンバ1410によってキャリア戻り経路を提供する。キャリア戻りチャンバ1410は、ゲートバルブ1405を介して、移送チャンバ610及び611の各々にそれぞれ連結することができる。移送チャンバに連結されたキャリア戻りチャンバの一又は複数は、ロードロックチャンバ、即ち、換気及び排気されるチャンバとしても提供されうる。キャリア戻りチャンバをロードロックチャンバとして提供することは、移送チャンバ(例えば、製造システム1000の移送チャンバ610又は611)と、次に例えば、不活性ガス雰囲気を伴うより高い圧力で操作されうる隣接するチャンバ、例えば、真空回転モジュール又は別のキャリア戻りチャンバとの間での圧力差の補償を可能にする。図14に示されたように、2つの真空回転モジュール1461が提供される。例えば、2つの真空回転モジュールはまた、ゲートバルブ1405を介して、キャリア戻りチャンバ1410に連結され得る。複数のキャリア戻りチャンバ1410は、製造システム1000の一列に並んだ堆積部分の延長に沿って延在する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、キャリア戻りチャンバを有するキャリア戻り経路は、真空条件下、又は制御された不活性大気、若しくはアルゴン、窒素、それらの組み合わせなどの定義されたガス混合物を有する制御されたガス条件下で、キャリアに戻るように構成することができる。このキャリア戻り軌道を考慮して、キャリアの周囲空気への露出を回避することができる。これは、製造システム1000におけるキャリアのガス抜きを低減することができる。例えば、不活性雰囲気は、不活性ガスを含有する。不活性雰囲気は、10ppm又はそれを下回る濃度、例えば、1ppm又はそれを下回る濃度を有する、酸素又は湿気などの反応性ガスを含有する。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、キャリア戻りチャンバ1410の一又は複数は、一又は複数の保守アクセスポート1420を含むことができる。例えば、保守アクセスポートを有するキャリア戻りチャンバ1410は、ゲートバルブ1405を介して、隣接するキャリア戻りチャンバに連結することができる。したがって、ゲートバルブを閉鎖することができ、保守アクセスポートを有するキャリア戻りチャンバは、キャリアにアクセスするために、換気及び開放することができる。これは、例えば、洗浄などの保守のための、キャリアの載置及び取出しに使用することができる。
しかし、製造システム1000の更なる実施態様を図15A及び15Bを参照して説明することができる。図14同様に、一列に並んだ堆積システム部分が提供される。しかしながら、キャリア戻り経路チャンバ1510が、その堆積装置200の真空チャンバ110の下に提供される。キャリア戻り経路チャンバ1510は、水平に延びる筐体1512を有し、キャリアを、水平に配向されている間に、更なる真空スイングモジュール1161から真空スイングモジュール1160まで搬送し返すことができる。
更なる実施形態によれば、製造システム1000は、加えて又は代替的に、図16を参照して説明するように変更することができる。図16は、図11に類似したクラスタ堆積システム部分を有する製造システム1000を示す。図16に示されるように、複数の移送チャンバ、例えば、第1の移送チャンバ610、第2の移送チャンバ611、第3の移送チャンバ612、及び第4の移送チャンバ613を、第1の軌道1111及び第2の軌道1112を有するデュアル軌道搬送装置を有する1つの線に提供することができる。いくつかの実施形態によれば、キャリア戻り軌道1125は、第1の軌道1111と第2の軌道1112との間に提供される。
図16を参照して説明される製造システム1000は、移送チャンバ610−613の1つに連結されたいくつかの堆積チャンバ又は堆積装置を有する。図11は、図1Aから図4B及び図6を参照して説明された実施形態の何れかによる複数の堆積装置200を示す。図16に例示的に示される更なる実施形態は、一又は複数の堆積装置500を含むことができ、それらの実施形態は、図5A、図5B、及び図8Aから図9を参照して説明されている。更なる実施形態によれば、製造システムは、一又は複数の堆積装置を含み得、それらの装置すべてが、図5A、図5B、及び図8Aから図9を参照して説明されている実施形態にしたがって提供されている。
そのような堆積装置500において、ループ状軌道に基づき、源の列は、典型的にはマスクによってマスクされる基板に沿って並進運動で移動することができる。ループ状軌道の湾曲部分は、蒸発源100を回転させる。更に、湾曲部分は、第2の基板の前に蒸発源を位置決めするように提供することができる。ループ状軌道の更なる真っすぐな部分は、更なる基板に沿って更なる並進運動を提供する。前述のように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、基板及びマスクは、堆積中に本質的に静止したままである。線源、例えば、複数の線源に線の本質的に垂直配向を提供する蒸発源は、静止した基板に沿って移動する。蒸発源の列を有する実施形態及び/又は蒸発源の並進運動及び回転運動のためのループ状軌道を有する実施形態は、真空チャンバの中に提供された3つ以上の基板から恩恵を受けることができる。
例えば、更なる移送チャンバ613に連結された堆積装置500は、複数の蒸発源100がループ状軌道530に沿って移動する間の4つの基板上でのOLED材料堆積のために構成される。更に、ループ状軌道820は、蒸発源保守用の保守真空チャンバの中に提供することができる。移送チャンバ610に連結された堆積装置500は、2つの基板上でのOLED材料堆積のために構成される。同様に、並進回転運動を提供するために、複数の蒸発源をループ状軌道に沿って移動させることができる。他の列のような堆積源装置の更なる実施態様又は変更例を、本明細書に記載の他の実施形態に従って提供することができる。
図17に示される製造システム1000に関して例示的に説明されている、製造システムの更なる実施形態は、図14を参照して先ほど説明された一列に並んだ堆積システム部分を含むことができ、堆積装置500は、一列に並んだ堆積システム部分に提供された一又は複数の堆積チャンバとしてループ状軌道を有する源の列構成を含む。
堆積装置500又はそのそれぞれの堆積チャンバが、移送チャンバ610又は別の堆積装置に連結される。堆積装置500は、ループ状軌道、即ち、源−列構成を含み、例示的な3つの源100が、静止基板、例えば、静止したマスクによってマスクされている静止基板に沿って移動する。蒸発源100は、軌道又は直線的ガイド220上で真空チャンバ110の中に提供される。直線的ガイド220は、蒸発源100の並進運動のために構成される。その後、一又は複数の更なる堆積装置200、その2つが図17に示されている、が、一列に並んだ堆積システム部分の1つの堆積装置から隣接する堆積装置までキャリアを搬送するように提供される。これにより、更なる堆積装置200は、軌道又は直線的ガイド220上で真空チャンバ110の中に提供される蒸発源100を有する。直線的ガイド220は、蒸発源100の並進運動のために構成される。更に、蒸発源の回転運動を、モータ又は蒸発源を回転させるための別の手段によって提供することができる。図17に示される堆積装置500及び200は各々、基板上に材料を堆積させることができる。2つの基板は、移送チャンバ610から更なる移送チャンバ611までデュアル軌道搬送システムに沿って搬送することができる。更なる実施形態によれば、製造システムは、一又は複数の堆積装置を含み得、それらの装置すべてが、図5A、図5B、及び図8Aから図9を参照して説明されている実施形態にしたがって提供されている。
したがって、図17は、基板が水平配向にハンドリングされる場合の、基板ハンドリングチャンバ1100を含む先ほど説明されたクラスタ部分を有する製造システム1000、並びに基板が水平配向にハンドリングされる場合の、真空スイングモジュール1160、第1の移送チャンバと第2の移送チャンバ、第1の移送チャンバと第2の移送チャンバとの間の複数の堆積装置、更なる真空スイングモジュール1161、及び基板ハンドリングチャンバ1101を有するクラスタ部分を示す。更に、キャリア戻り軌道が、先ほど説明されたように、複数のキャリア戻りチャンバ1410及び一又は複数の真空回転モジュール1416によって提供される。図17に示された製造システム1000の変更例として提供することができる様々な実施形態の更なる詳細、態様、特徴は、先ほど説明された他の実施形態の実施態様によって得ることができる。
図18は、本明細書に記載の実施形態による製造デバイスを操作する実施形態のフローチャートを示す。基板が、水平配向で製造システム内に載置される(ステップ1802を参照)。基板をキャリア上に水平配向で載置することができ、ステップ1804で水平配向から垂直配向にキャリアを回転させることによって、基板を回転させる。ステップ1806では、基板は、基板と共にキャリアを垂直配向に移送することによって、製造システム、即ち、一又は複数の堆積チャンバ又は処理チャンバを通して、移送される。その後、ステップ1808において、基板をその上に有するキャリアを垂直配向から水平配向まで回転させる。ステップ1810で、基板は、水平配向に取り出される。ステップ1812で、真空条件下で、及び/又は、例えば、チャンバの中に提供されたアルゴン、窒素、又はそれらの組み合わせを有する一又は複数のチャンバの中の定義され若しくは制御された不活性雰囲気などの定義されたガス雰囲気で、キャリアが戻される。例えば、不活性雰囲気は、不活性ガスを含有する。不活性雰囲気は、10ppm又はそれを下回る濃度、例えば、1ppm又はそれを下回る濃度を有する、酸素又は湿気などの反応性ガスを含有する。
上記を考慮して、本明細書に記載された実施形態は、複数の改良点、特に以下に記載される改良点の少なくとも一又は複数を提供することができる。全てのチャンバへの「ランダムな」アクセスは、垂直クラスタアプローチを用いてそのようなシステムに、即ち、クラスタ堆積システム部分を有するシステムに提供することができる。システム概念は、多くのモジュール、即ち、堆積装置、を加える際にフレキシビリティを提供することによって、CF堆積上のRGB及びWhite双方に対して実施することができる。このフレキシビリティはまた、冗長性を形成するためにも使用できるだろう。ルーチン保守中又はマスク交換中に基板ハンドリング又は堆積チャンバを換気する必要性が低減される又はなくなることによって、高いシステム稼働時間を提供することができる。任意選択的プラズマ洗浄によりインシトゥで又はマスク交換インターフェースを提供することによって外部でのどちらかで、マスク洗浄を提供することができる。高い堆積源効率(>85%)及び高い材料利用率(>50%)は、1つの真空チャンバにおいて2以上の基板を交互に又は同時に(源−列構成)コーティングするために180度旋回機構での走査源アプローチを使用して提供することができる。キャリアが、一体化したキャリア戻り軌道のために真空中に又は制御されたガス環境下に留まる。堆積源の保守及び事前調整を、別個の保守真空チャンバ又は源ストレージチャンバの中に提供することができる。水平なガラスのハンドリング、例えば、水平な大気ガラスのハンドリングは、真空スイングモジュールを実施することによって、製造システムの所有者の既存のガラスハンドリング機器を使用して、より容易に適合することができる。真空カプセル化システムに対するインターフェースを提供することができる。基板検査(オンラインの層解析)、マスク又はキャリアストレージ用のモジュールを加える高いフレキシビリティがある。システムの設置面積は小さい。更に、現在及び将来のガラスサイズに対する良好なスケーラビリティを提供することができる。
上記は本発明の実施形態を対象とするが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他の更なる実施形態を考案することもでき、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。