JP2020195947A - イオン交換樹脂の前処理装置およびイオン交換樹脂の前処理方法 - Google Patents

イオン交換樹脂の前処理装置およびイオン交換樹脂の前処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶出金属による汚染を抑制しつつ、簡便かつ経済的に含有水分量を低減可能なイオン交換樹脂の前処理装置を提供する。【解決手段】非水溶媒を貯蔵する原液タンク、イオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂容器、非水溶媒中の水分を除去する水分除去装置並びに陽イオン交換体および陰イオン交換体を収容したイオン除去装置を少なくとも有するとともに、原液タンクから、イオン交換樹脂容器、水分除去装置およびイオン除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を原液タンクに返送する循環送液管、原液タンクから、水分除去装置、イオン除去装置およびイオン交換樹脂容器の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を原液タンクに返送する循環送液管並びに原液タンクから、イオン除去装置、イオン交換樹脂容器および水分除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を原液タンクに返送する循環送液管から選ばれる少なくとも一つの循環送液管を有するイオン交換樹脂の前処理装置である。【選択図】 図1

Description

本発明は、イオン交換樹脂の前処理装置およびイオン交換樹脂の前処理方法に関するものである。
近年、半導体製造工程やリチウムイオン電池の電解液等として、不純物が高度に除去され、精製された非水溶媒が用いられるようになっている。
非水溶媒の精製方法としては、不純物を蒸留除去する蒸留法が知られているが、設備費用負担が大きく、蒸留処理に多大なエネルギーを要するばかりか、高度な精製を行い難い等の技術課題が存在していた。
そこで、近年では、イオン交換樹脂やイオン交換フィルターを用いたイオン交換法により非水溶媒を精製する方法が提案されるようになっている。
イオン交換法によれば、設備費用負担が小さく、省エネルギーで、不純物を高度に精製除去し得るとされている。
ところで、例えばリチウムイオン電池の電解液はフッ素系のリチウム塩等の電解質を非水溶媒に溶解して製造されるが、係る電解液においては酸(主にフッ酸)が不純物となるため、これをイオン交換樹脂で除去しようとすると、同時に水分も不純物となるため、イオン交換樹脂の含有水分を電解液中へ溶出させないようにイオン交換樹脂の含有水分を予め低減する処理が必要になる。
上記イオン交換樹脂の含有水分を低減する方法としては、イオン交換樹脂を減圧乾燥する方法や、減圧乾燥に加えてイオン交換樹脂に非水溶媒を通液して除去する方法が知られている(例えば、特許文献1(特表2000−505042号公報)参照)。
特表2000−505042号公報
しかしながら、本発明者等が検討したところ、減圧乾燥ではイオン交換樹脂の含有水分を十分に低減することができず、減圧乾燥に加えて非水溶媒を通液する方法でも、イオン交換樹脂に対して数十倍〜数百倍量もの多量の非水溶媒が必要になることが判明した。
上記技術課題を解決する方法として、本発明者等は、イオン交換樹脂に非水溶媒を通液し、同非水溶媒をさらにゼオライト等を収容した水分除去装置に通液して水分を除去した後、水分除去装置から排出された非水溶媒を再度循環して使用することにより、非水溶媒の使用量を抑制しつつイオン交換樹脂の含有する含有水分を低減する方法を着想した。一方、係る方法においては、水分除去装置内に収容したゼオライト等の水分吸着物質から微量の金属が陽イオン(カチオン)や陰イオン(オキソアニオン)として溶出し、非水溶媒を循環する過程で上記溶出した金属がイオン交換樹脂のイオン交換基を消費し、却って交換容量を低下させてしまうことから、実用には供し難かった。
このような状況下、本発明は、金属イオンの混入による影響を抑制しつつ、簡便かつ経済的に含有水分量を低減可能なイオン交換樹脂の前処理装置およびイオン交換樹脂の前処理方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、非水溶媒を貯蔵する原液タンク、イオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂容器、非水溶媒中の水分を除去する水分除去装置並びに陽イオン交換体および陰イオン交換体を収容したイオン除去装置を少なくとも有するとともに、前記原液タンクから、前記イオン交換樹脂容器、前記水分除去装置および前記イオン除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する循環送液管、前記原液タンクから、前記水分除去装置、前記イオン除去装置および前記イオン交換樹脂容器の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する循環送液管並びに前記原液タンクから、前記イオン除去装置、前記イオン交換樹脂容器および前記水分除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する循環送液管から選ばれる少なくとも一つの循環送液管を有するイオン交換樹脂の前処理装置により、上記技術課題を解決し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)非水溶媒を貯蔵する原液タンク、イオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂容器、非水溶媒中の水分を除去する水分除去装置並びに陽イオン交換体および陰イオン交換体を収容したイオン除去装置を少なくとも有するとともに、
前記原液タンクから、前記イオン交換樹脂容器、前記水分除去装置および前記イオン除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する循環送液管、
前記原液タンクから、前記水分除去装置、前記イオン除去装置および前記イオン交換樹脂容器の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する循環送液管並びに
前記原液タンクから、前記イオン除去装置、前記イオン交換樹脂容器および前記水分除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する循環送液管
から選ばれる少なくとも一つの循環送液管を有する
ことを特徴とするイオン交換樹脂の前処理装置、
(2)前記イオン交換樹脂が、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂から選ばれる一種以上である上記(1)に記載のイオン交換樹脂の前処理装置、
(3)前記水分除去装置が、ゼオライトを収容した水分吸着装置である上記(1)または(2)に記載のイオン交換樹脂の前処理装置、
(4)前記イオン除去装置が、陽イオン交換体として、モノリス状有機多孔質カチオン交換体、陽イオン交換樹脂、陽イオン交換基を有するイオン吸着膜およびキレート樹脂から選ばれる一種以上であり、前記陰イオン交換体がモノリス状有機多孔質アニオン交換体および陰イオン交換樹脂から選ばれる一種以上である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のイオン交換樹脂の前処理装置、
(5)前記イオン除去装置に収容される陽イオン交換体または陰イオン交換体の含水率が、10質量%以下である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のイオン交換樹脂の前処理装置、
(6)前記水分吸着装置に収容されたゼオライトに対し、前記循環送液管内を流通する非水溶媒が上向流で通液するように前記循環送液管が配置されている上記(3)〜(5)のいずれかに記載のイオン交換樹脂の前処理装置、
(7)非水溶媒を貯蔵する原液タンク、イオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂容器、非水溶媒中の水分を除去する水分除去装置並びに陽イオン交換体および陰イオン交換体を収容したイオン除去装置を少なくとも有するイオン交換樹脂の前処理装置に対し、
前記原液タンクから、前記イオン交換樹脂容器、前記水分除去装置および前記イオン除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する送液
前記原液タンクから、前記水分除去装置、前記イオン除去装置および前記イオン交換樹脂容器の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する送液並びに
前記原液タンクから、前記イオン除去装置、前記イオン交換樹脂容器および前記水分除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する送液
から選ばれる一種以上の送液を非水溶媒を循環しながら行う
ことを特徴とするイオン交換樹脂の前処理方法
を提供するものである。
本発明によれば、金属イオンの混入による影響を抑制しつつ、簡便かつ経済的に含有水分量を低減可能なイオン交換樹脂の前処理装置およびイオン交換樹脂の前処理方法を提供することができる。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置の構成を説明するための図である。 本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置の形態例を示す図である。 本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置の形態例を示す図である。 本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置の形態例を示す図である。 本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置の形態例を示す図である。 本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置の形態例を示す図である。 本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置の形態例を示す図である。 本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置の形態例を示す図である。 本発明の実施例で用いたイオン交換樹脂の前処理装置の形態例を示す図である。 本発明の比較例で用いたイオン交換樹脂の前処理装置の形態例を示す図である。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置は、非水溶媒を貯蔵する原液タンク、イオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂容器、非水溶媒中の水分を除去する水分除去装置並びに陽イオン交換体および陰イオン交換体を収容したイオン除去装置を少なくとも有するとともに、
前記原液タンクから、前記イオン交換樹脂容器、前記水分除去装置および前記イオン除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する循環送液管、
前記原液タンクから、前記水分除去装置、前記イオン除去装置および前記イオン交換樹脂容器の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する循環送液管並びに
前記原液タンクから、前記イオン除去装置、前記イオン交換樹脂容器および前記水分除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する循環送液管
から選ばれる少なくとも一つの循環送液管を有する
ことを特徴とするものである。
以下、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置について、適宜、図面を例示しつつ説明するものとする。
図1は、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置の構成例を示すものである。
図1(a)、図1(b)および図1(c)に示すように、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置1は、非水溶媒を貯蔵する原液タンク2、イオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂容器3、非水溶媒中の水分を除去する水分除去装置4および陽イオン交換体および陰イオン交換体を収容したイオン除去装置5を少なくとも有している。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置は、原液タンクから送出した非水溶媒を原液タンクに返送する循環送液管を有している。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置1は、図1(a)に例示するように、原液タンク2からイオン交換樹脂容器3、水分除去装置4およびイオン除去装置5の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を原液タンク2に返送する循環送液管Lか、図1(b)に例示するように、原液タンク2から水分除去装置4、イオン除去装置5およびイオン交換樹脂容器3の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を原液タンク2に返送する循環送液管Lか、図1(c)に例示するように、原液タンク2からイオン除去装置5、イオン交換樹脂容器3および水分除去装置4の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を原液タンク2に返送する循環送液管Lから選ばれる少なくとも一つの循環送液管を有している。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置1は、図1(d)に例示するように、原液タンク2からイオン交換樹脂容器3、水分除去装置4およびイオン除去装置5の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を原液タンク2に返送する循環送液管L1を有するとともに、原液タンク2から、水分除去装置4、イオン除去装置5およびイオン交換樹脂容器3の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を原液タンク2に返送する循環送液管L2や、原液タンク2から、イオン除去装置5、イオン交換樹脂容器3および水分除去装置4の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を原液タンク2に返送する循環送液管L3を有するものであってもよい。
図1(d)に例示する態様においては、非水溶媒の通液時に、循環送液管L1、循環送液管L2または循環送液管L3に各々設けられた送液管のバルブを開閉することにより、少なくとも一つの送液管内を通液させることになる。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置において、非水溶媒としては有機非水溶媒を挙げることができる。
非水溶媒としては、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置による前処理後にイオン交換樹脂を流通させる非水溶媒と同一のものであることが好ましい。
有機非水溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ブチルカルビトール(BDG)、モノエタノールアミン(MEA)、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、エトキシメトキシエタン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置は、非水溶媒を通液するイオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂容器を有している。
イオン交換樹脂としては、特に制限されないが、有機高分子を母体とする有機高分子系のイオン交換樹脂が好ましく、母体となる有機高分子としては、スチレン系樹脂またはアクリル系樹脂を挙げることができる。
本出願書類において、スチレン系樹脂とは、スチレン又はスチレン誘導体を単独または共重合した、スチレン又はスチレン誘導体に由来する構成単位を50質量%以上含む樹脂を意味する。
上記スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、スチレンまたはスチレン誘導体の単独または共重合体を主成分とするものであれば、共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体であってもよく、このようなビニルモノマーとしては、例えば、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性モノマーや、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記共重合可能な他のビニルモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン重合数が4〜16のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンがより好ましく、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましく、ジビニルベンゼンがさらに好ましい。
本出願書類において、アクリル系樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選ばれる一種以上を単独重合または共重合した、アクリル酸に由来する構成単位、メタクリル酸に由来する構成単位、アクリル酸エステルに由来する構成単位およびメタクリル酸エステルに由来する構成単位から選ばれる構成単位を50質量%以上含む樹脂を意味する。
上記アクリル系樹脂として、より具体的には、アクリル酸の単独重合体、メタクリル酸の単独重合体、アクリル酸エステルの単独重合体、メタクリル酸エステルの単独重合体、アクリル酸と他のモノマー(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、α−オレフィン(例えばエチレン、ジビニルベンゼン等)等)との共重合体、メタクリル酸と他のモノマー(例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、α−オレフィン(例えばエチレン、ジビニルベンゼン等)等)との共重合体、アクリル酸エステルと他のモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、α−オレフィン(例えばエチレン、ジビニルベンゼン等)等)との共重合体、メタクリル酸エステルと他のモノマー(例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、α−オレフィン(例えばエチレン、ジビニルベンゼン等))との共重合体から選ばれる一種以上を挙げることができ、これ等のうち、メタクリル酸・ジビニルベンゼン共重合体またはアクリル酸・ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸の直鎖アルキルエステル又は分岐鎖アルキルエステルがより好ましく、アクリル酸の直鎖アルキルエステルが更に好ましい。
アクリル酸エステルとしては、アルキルエステルの部位に含まれるアルキル基の炭素数が1〜4であるアクリル酸アルキルエステルが更に好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが更に好ましく、アクリル酸メチルが特に好ましい。
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸の直鎖アルキルエステル又は分岐鎖アルキルエステルがより好ましく、メタクリル酸の直鎖アルキルエステルが更に好ましい。
メタクリル酸エステルとしては、アルキルエステルの部位に含まれるアルキル基の炭素数が1〜4であるメタクリル酸アルキルエステルがより好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルが更に好ましく、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
上記イオン交換樹脂としては、陽イオン交換基を有する陽イオン交換樹脂、陰イオン交換基を有する陰イオン交換樹脂およびキレート樹脂から選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記陽イオン交換樹脂としては、陽イオン交換基としてスルホ基を有する強酸性のものや、陽イオン交換基としてカルボキシ基を有する弱酸性のものを挙げることができる。
上記陰イオン交換樹脂としては、陰イオン交換基として四級アンモニウム基を有する強塩基性のものや、陰イオン交換基としてアミノ基を有する弱塩基性のものを挙げることができる。
上記キレート樹脂としては、キレート基として、イミノジ酢酸基、アミノメチルリン酸基、イミノプロピオン酸基等から選ばれる一種以上のアミノ基を有するものを挙げることができる。
上記イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂およびキレート樹脂から選ばれる一種以上が適当であり、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂から選ばれる一種以上がより適当である。
上記イオン交換樹脂容器に収容されるイオン交換樹脂は、ゲル型構造を有するものであってもよいし、マクロレティキュラー型(MR型)構造を有するものであってもよいし、マクロポーラス型(MP型)構造を有するものであってもよいし、ポーラス型構造を有するものであってもよい。
上記イオン交換樹脂容器に収容されるイオン交換樹脂のサイズは特に制限されないが、その調和平均径が、300〜1000μmであるものが好ましく、400〜800μmであるものがより好ましく、500〜700μmであるものがさらに好ましい。
また、上記イオン交換樹脂容器に収容されるイオン交換樹脂としては、その湿潤状態の総イオン交換容量が、0.1〜3.5(eq/L−R)であるものが好ましく、0.5〜3.5(eq/L−R)であるものがより好ましく、1.0〜3.5(eq/L−R)であるものがさらに好ましい。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置において、イオン交換樹脂容器内に収容されるイオン交換樹脂の収容形態は、非水溶媒とイオン交換樹脂とが接触し得る形態であれば特に制限されない。
例えば、イオン交換樹脂容器が、非水溶媒を通液し得るイオン交換樹脂を充填したカラム、塔または槽であってもよい。
また、イオン交換樹脂容器は、非水溶媒を通液するためのポンプを備えたものであってもよい。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置において、非水溶媒をイオン交換樹脂容器内のイオン交換樹脂に通液する通液速度(液空間速度)は、イオン交換樹脂中の水分を除去、低減し得る速度から適宜選定すればよい。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置は、イオン交換樹脂容器に収容されたイオン交換樹脂に対し、循環送液管内を流通する非水溶媒が上向流または下向流で通液するように循環送液管が配置されていることが好ましい。
処理性能の面からは、イオン交換樹脂容器に収容されたイオン交換樹脂に対し、非水溶媒が下向流で通液するように循環送液管が配置されていることが好ましい。
非水溶媒を下向流で通液する場合、イオン交換樹脂容器内を流通する非水溶媒を加圧してイオン交換樹脂内で気泡が発生しないように調整することが好ましい。
この場合、上記非水溶媒を加圧する手段(圧力調整手段)として、イオン交換樹脂容器の後段にイオン交換樹脂容器内を所定の圧力まで加圧する背圧弁またはリリーフ弁を設けることが好ましい。上記背圧弁またはリリーフ弁により送液量を絞ることでイオン交換樹脂容器内を加圧してイオン交換樹脂容器内からの気泡の発生を抑制することができる。
上記圧力調整手段は、イオン交換樹脂容器のみならず送液系全体に一定の圧力を付与し得るように、イオン交換樹脂容器とともに、後述する水分除去装置の後段やイオン除去装置の後段にも適宜設けることが好ましい。
図2〜図4は、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置1として、非水溶媒を貯蔵する原液タンク2から供給され、流通する非水溶媒Sが、イオン交換樹脂容器3に収容されたイオン交換樹脂に対し下向流で通液するように循環送液管Lが配置されていることを示す例である。
図2〜図4に例示するように、イオン交換樹脂容器3内に収容されたイオン交換樹脂に対し、循環送液管内を流通する非水溶媒が下向流で通液するように循環送液管Lが配置されている場合、圧力調整手段として、イオン交換樹脂容器3の後段にイオン交換樹脂容器内を所定の圧力まで加圧する背圧弁またはリリーフ弁Vを設け、係る背圧弁またはリリーフ弁Vにより送液量を絞ることでイオン交換樹脂容器3内を加圧してイオン交換樹脂容器3内からの気泡の発生を抑制することができる。
一方、イオン交換樹脂容器に収容されたイオン交換樹脂に対し、循環送液管内を流通する非水溶媒が上向流で通液するように循環送液管Lが配置されている場合、イオン交換樹脂容器内に収容されたイオン交換樹脂中に気泡等が混入した場合であっても、非水溶媒がイオン交換樹脂容器内を上向に流通する際にイオン交換樹脂中の気泡を脱泡しながら流通してこれを除去することができる。
図5〜図7は、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置1として、非水溶媒を貯蔵する原液タンク2から供給され、流通する非水溶媒Sが、イオン交換樹脂容器3に収容されたイオン交換樹脂に対し上向流で通液するように循環送液管Lが配置されていることを示す例である。
図5〜図7に例示するように、イオン交換樹脂容器に収容されたイオン交換樹脂に対し、循環送液管内を流通する非水溶媒が上向流で通液するように循環送液管Lが配置されている場合、イオン交換樹脂容器内に収容されたイオン交換樹脂中に気泡等が混入した場合であっても、これを脱泡し、非水溶媒とイオン交換樹脂との接触性を好適に維持しながらイオン交換樹脂中の水分を除去、低減することができる。
循環送液管内を流通する非水溶媒が上向流で通液するように循環送液管Lが配置されている場合も、イオン交換樹脂容器の後段にさらに上述した圧力調整手段が設けられていてもよい。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置は、非水溶媒中の水分を除去する水分除去装置を有している。
水分除去装置としては、水分吸着装置、膜分離装置または気液分離装置を挙げることができ、水分吸着装置が好ましい。
水分除去装置が水分吸着装置である場合、水分吸着装置は、水分吸着材としてゼオライトを収容したものが好ましい。
水分吸着装置に収容するゼオライトとしては、非水溶媒中の水分を吸着し得るものであれば特に制限されず、結晶性ゼオライトから選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記結晶性ゼオライトとしては、A型、Y型、X型、チャバサイト、フェリエライト、ZSM−5およびクリノプチロライト等から選ばれる一種以上の結晶性ゼオライトを挙げることができる。
さらに、上記結晶性ゼオライトは、結晶性ゼオライトを構成するSi/Alモル比が1〜5であるものが好ましい。Si/Alモル比が上記範囲内にあることにより、構造上安定であるとともに、適度なカチオン含有率を有し好適に水分を吸着除去することができる。
上記結晶性ゼオライトは、カチオンがリチウムイオンやカルシウムイオン等で交換されたものであってもよいし、交換されていないものであってもよい。
上記結晶性ゼオライトは、その細孔径が3Å〜10Åであるものが好ましく、3Å〜6Åであるものがより好ましく、3Å〜5Åであるものがさらに好ましい。
結晶性ゼオライトの細孔径が上記範囲内にあることにより、非水溶媒中の水分を好適に吸着除去することができる。
なお、本出願書類において、上記細孔径は、結晶構造と保持するカチオン種から推定される理論値を意味する。
上記結晶性ゼオライトとしては、球状や円柱状のものが好ましく、直径が、0.5〜5mmのものが好ましい。
結晶性ゼオライト直径が上記範囲内にあることにより、ハンドリング性を低下させることなく、非水溶媒を好適に含侵することができる。
水分吸着装置に収容する水分吸着材としてゼオライトを使用する場合、その溶出を抑制するために、中性付近に調整された非水溶媒を使用することが望ましい。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置において、水分吸着装置内に収容されるゼオライトの収容形態は、非水溶媒とゼオライトとが接触し得る形態であれば特に制限されない。
例えば、水分吸着装置が、非水溶媒を通液し得るゼオライトを充填したカラム、塔または槽であってもよい。
また、水分吸着装置は、非水溶媒を通液するためのポンプを備えたものであってもよい。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置において、非水溶媒をゼオライトに通液する通液速度(液空間速度)は、非水溶媒中の水分を除去し得る速度から適宜選定すればよい。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置は、水分吸着装置に収容されたゼオライト等の水分吸着材に対し、循環送液管内を流通する非水溶媒が上向流または下向流で通液するように循環送液管が配置されていることが好ましい。
処理性能の面からは、水分吸着装置に収容された水分吸着材に対し、非水溶媒が下向流で通液するように循環送液管が配置されていることが好ましい。
非水溶媒を下向流で通液する場合、上述したように、水分吸着装置内を流通する非水溶媒を加圧して水分吸着材内で気泡が発生しないように調整することが好ましい。
この場合、上記非水溶媒を加圧する手段(圧力調整手段)として、水分吸着装置の後段に水分吸着装置内を所定の圧力まで加圧する背圧弁またはリリーフ弁を設けることが好ましい。
図2〜図4は、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置1として、水分除去装置4に収容されたゼオライト等の水分吸着材に対し、循環送液管L内を流通する非水溶媒が下向流で通液するように循環送液管Lが配置されていることを示す例である。
図2〜図4に例示するように、水分除去装置4に収容されたゼオライト等の水分吸着材に対し、循環送液管L内を流通する非水溶媒が下向流で通液するように循環送液管Lが配置されている場合、圧力調整手段として、水分除去装置4の後段に水分吸着装置4内を所定の圧力まで加圧する背圧弁またはリリーフ弁Vを設け、係る背圧弁またはリリーフ弁Vにより送液量を絞ることで水分吸着装置4内を加圧して水分吸着装置4内からの気泡の発生を抑制することができる。
一方、水分吸着装置に収容されたゼオライト等の水分吸着材に対し、循環送液管内を流通する非水溶媒が上向流で通液するように循環送液管Lが配置されている場合、水分吸着装置内に収容されたゼオライト中に気泡等が混入した場合であっても、非水溶媒が水分吸着装置内を上向に流通する際にゼオライト中の気泡を脱泡しながら流通してこれを除去することができる。
図5〜図7は、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置1として、水分除去装置4に収容されたゼオライト等の水分吸着材に対し、循環送液管L内を流通する非水溶媒が上向流で通液するように循環送液管Lが配置されていることを示す例である。
図5〜図7に例示するように、水分吸着装置に収容された水分吸着材に対し、循環送液管内を流通する非水溶媒が上向流で通液するように循環送液管Lが配置されている場合、水分吸着装置内に収容された水分吸着材中に気泡等が混入した場合であっても、これを脱泡し、非水溶媒と水分吸着材との接触性を好適に維持しながら水分吸着材中の水分を除去、低減することができる。
循環送液管内を流通する非水溶媒が上向流で通液するように循環送液管Lが配置されている場合も、水分吸着装置の後段にさらに上述した圧力調整手段が設けられていてもよい。
図2〜図7に例示するように、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置においては、循環送液管Lが、原液タンク2からイオン交換樹脂容器3、水分除去装置4およびイオン除去装置5の順に非水溶媒Sを通液した後、通液した非水溶媒Sを原液タンク2に返送し、非水溶媒Sを継続して循環し得るように配置されているか(図2および図5)、原液タンク2から、水分除去装置4、イオン除去装置5およびイオン交換樹脂容器3の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送し、非水溶媒Sを継続して循環し得るように配置されているか(図3および図6)、または、原液タンク2からイオン除去装置5、イオン交換樹脂容器3および水分除去装置4の順に非水溶媒Sを通液した後、通液した非水溶媒Sを原液タンク2に返送し、非水溶媒Sを継続して循環し得るように配置されている(図4および図7)。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置においては、循環送液管が、原液タンク内の非水溶媒を、イオン交換樹脂容器、水分除去装置および(以下に説明する)イオン除去装置内を循環し得るように配置されていることにより、イオン交換樹脂内に残留する水分の非水溶媒による溶出と、非水溶媒中に溶出した水分の水分除去装置による吸着除去と、水分除去装置から溶出する陽イオン化ないし陰イオン化した金属分の除去とを繰り返しつつ、イオン交換樹脂を前処理することができる。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置は、水分除去装置の後段(下流側)にさらに陽イオン交換体および陰イオン交換体を収容したイオン除去装置を有している。
上記イオン除去装置の設置位置は、水分除去装置の直後であることが好ましい。
例えば、図2、図3、図5および図6に例示するように、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置1は、水分除去装置4の直後にイオン除去装置5を設けることにより、水分除去装置4から流出した非水溶媒をイオン除去装置5内に流通させることが好ましい。
上記イオン除去装置を水分除去装置の直後に設けることにより、水分吸着装置内に収容したゼオライト等の水分吸着物質から微量の金属が陽イオン(カチオン)や陰イオン(オキソアニオン)として溶出した場合であっても、容易にこれを捕捉することができる。
また、上記イオン除去装置の設置位置は、水分除去装置の後に配置した原液タンクの直後であってもよい。
例えば、図4および図7に例示するように、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置1は、水分除去装置4の後に配置した原液タンク2の直後にイオン除去装置5を設けることにより、水分除去装置4から流出した非水溶媒を原液タンク2を介してイオン除去装置5内に流通させることが好ましい。
上記イオン除去装置を水分除去装置の後に配置した原液タンクの直後に設けることにより、水分吸着装置に流入する非水溶媒中の水分やpH等の影響によって水分吸着装置から流出する微量金属の濃度が変動しても、非水溶媒を一旦原液タンクに返送し、原液タンク内に微量金属を分散した後にイオン除去装置に流入させることにより、水分吸着装置に対する負荷変動を容易に抑制することができる。
本出願書類において、陽イオン交換体とは、陽イオン交換能を有するイオン交換体を意味し、陰イオン交換体とは、陰イオン交換能を有するイオン交換体を意味する。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置は、イオン除去装置が、陽イオン交換体として、モノリス状有機多孔質カチオン交換体、陽イオン交換樹脂、陽イオン交換基を有するイオン吸着膜およびキレート樹脂から選ばれる一種以上を含むものが好ましい。
イオン除去装置に収容されるモノリス状有機多孔質カチオン交換体としては、モノリス状の有機多孔質体にカチオン交換基が導入されているものであれば、特に制限されない。
上記モノリス状有機多孔質カチオン交換体としては、例えば、以下に示すモノリス状有機多孔質イオン交換体であって、イオン交換基としてカチオン交換基が導入されているものが挙げられる。
モノリス状有機多孔質イオン交換体としては、例えば、連続骨格相と連続空孔相からなり、連続骨格の厚みは1〜100μm、連続空孔の平均直径は1〜1000μm、全細孔容積は0.5〜50mL/gであり、カチオン交換基が導入されており、乾燥状態での重量当たりのイオン交換容量が1〜6mg当量/gであり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に均一に分布しているモノリス状有機多孔質イオン交換体(以下、第一の形態のモノリス状有機多孔質イオン交換体とも記載する。)が挙げられる。
第一の形態のモノリス状有機多孔質イオン交換体としては、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が平均直径1〜1000μmの開口となる連続気泡構造を有し、全細孔容積が1〜50mL/gであり、カチオン交換基が導入されており、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量が1〜6mg当量/gであり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に均一に分布しているモノリス状有機多孔質イオン交換体が挙げられる。
また、第一の形態のモノリス状有機多孔質イオン交換体としては、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が平均直径30〜300μmの開口となる連続マクロポア構造体であり、全細孔容積が0.5〜10ml/g、カチオン交換基又はアニオン交換基が導入されており、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量が1〜6mg当量/gであり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に均一に分布しており、且つ、連続マクロポア構造体(乾燥体)の切断面のSEM画像において、断面に表れる骨格部面積が、画像領域中25〜50%であるモノリス状有機多孔質イオン交換体が挙げられる。
また、第一の形態のモノリス状有機多孔質イオン交換体としては、前記モノリス状有機多孔質イオン交換体が、イオン交換基が導入された全構成単位中、架橋構造単位を0.1〜5.0モル%含有する芳香族ビニルポリマーからなる平均太さが1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が10〜200μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であり、全細孔容積が0.5〜10mL/gであり、カチオン交換基が導入されており、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量が1〜6mg当量/gであり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に均一に分布しているモノリス状有機多孔質イオン交換体が挙げられる。
モノリス状有機多孔質カチオン交換体において、モノリス状の有機多孔質体に導入されているカチオン交換基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、イミノ二酢酸基、リン酸基、リン酸エステル基等から選ばれる一種以上が挙げられる。
イオン除去装置に収容される陽イオン交換体がモノリス状有機多孔質カチオン交換体である場合、イオン交換容量の大容量化を容易に図ることができ、長期間使用した場合の交換頻度を容易に低減することができる。
イオン除去装置に収容される陽イオン交換樹脂としては、上述したイオン交換樹脂容器に収容される陽イオン交換樹脂として例示したものと同様のものを挙げることができる。
イオン除去装置に収容される陽イオン交換基を有するイオン吸着膜としては、多孔性の膜素材を有しその膜素材の表面に陽イオン交換基(カチオン交換能を有する官能基)を導入したものや、陽イオン交換基を有する繊維を膜状に加工したもの等を挙げることができる。
上記イオン吸着膜を構成する母材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、ナイロン、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホンまたはポリアミド等から選ばれる一種以上が挙げられる。
また、イオン吸着膜が有する陽イオン交換基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、イミノ二酢酸基、リン酸基、リン酸エステル基等から選ばれる一種以上が挙げられる。
また、イオン除去装置は、上記イオン交換基を有するイオン吸着膜とともに、上記イオン吸着膜の前段側または後段側に微粒子除去膜を収容してなるものであってもよく、上記イオン吸着膜の前段側に微粒子除去膜を収容してなるものが好ましい。
上記微粒子除去膜としては、表面に孔径0.002〜0.2μmの微細孔を有するものが好ましく、表面に孔径0.002〜0.02μmの微細孔を有するものがより好ましい。
イオン除去装置に収容されるイオン交換体がイオン交換基を有するイオン吸着膜である場合、非水溶媒の通過断面積あたりの処理量(通液量)を容易に向上させることができることから、前処理装置のコンパクト化を容易に達成することができる。
イオン除去装置に収容されるキレート樹脂としては、上述したイオン交換樹脂容器に収容されるキレート樹脂と同様のものを挙げることができ、キレート基として、イミノジ酢酸基、アミノメチルリン酸基、イミノプロピオン酸基等から選ばれる一種以上のアミノ基を有するものが挙げられる。
キレート樹脂としては、市販品であってもよく、例えば、三菱化学社製のCR−10、CR−11、住化ケムテックス社製のデュオライトC−467、住友化学社製のMC−700、ランクセス社製のレバチットTP207、レバチットTP208、レバチットTP260、ピュロライト社製のS930、S950、オルガノ社製オルライトDS−21、DS−22等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置は、イオン除去装置が、陰イオン交換体として、モノリス状有機多孔質アニオン交換体および陰イオン交換樹脂から選ばれる一種以上を含むものが好ましい。
イオン除去装置に収容されるモノリス状有機多孔質アニオン交換体としては、モノリス状の有機多孔質体にアニオン交換基が導入されているもの、すなわち上述したモノリス状有機多孔質イオン交換体であって、イオン交換基としてカチオン交換基に代えてアニオン交換基が導入されているものであれば、特に制限されない。
上記モノリス状有機多孔質アニオン交換体としては、例えば、上述したモノリス状有機多孔質イオン交換体であって、イオン交換基としてアニオン交換基が導入されているものが挙げられる。
モノリス状有機多孔質アニオン交換体において、モノリス状の有機多孔質体に導入されているアニオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基や、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
イオン除去装置に収容される陰イオン交換樹脂としては、上述したイオン交換樹脂容器に収容される陰イオン交換樹脂として例示したものと同様のものを挙げることができる。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置において、上記イオン除去装置に収容される陽イオン交換体または陰イオン交換体の含水率は、10質量%以下(0〜10質量%)であることが好ましい。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置において、上記イオン除去装置に収容される陽イオン交換体または陰イオン交換体は、含水率50質量ppm以下の非水溶媒を空間速度(SV)5hr−1で通液した場合に、陽イオン交換体または陰イオン交換体から溶出する水分と通液に使用した非水溶媒との水分濃度の差が、50質量ppm以下であるものが好ましく、20質量ppm以下であるものがより好ましい。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置において、イオン除去装置に収容される陽イオン交換体または陰イオン交換体の含水率が上記範囲内にあることにより、処理対象となる(イオン交換樹脂容器中の)イオン交換樹脂の含有水分量を効果的に低減することができる。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置において、イオン除去装置に収容される陽イオン交換体が、モノリス状有機多孔質カチオン交換体や陽イオン交換樹脂である場合には、高温で加熱処理することにより容易に含水率を低減することができる。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置において、イオン除去装置に収容される陰イオン交換体が、モノリス状有機多孔質アニオン交換体である場合には、低温で加熱処理して乾燥し含水率を低減することが好ましい。
なお、本出願書類において、陽イオン交換体や陰イオン交換体の含水率は、下記の方法で測定したときの値を意味する。
以下、飽和平衡状態にあるイオン交換体の含水率Aと飽和平衡状態にないイオン交換体の含水率Bに分けて、含水率の測定方法を各々記載しており、評価対象となるイオン交換体の状態に応じて算出方法を使い分ける。例えば、前処理装置に導入され、使用状態にある(飽和平衡状態にある)イオン交換体の含水率としては下記イオン交換体の含水率Aを使用し、販売時の荷姿におけるイオン交換体等、前処理装置導入前の状態における(飽和平衡状態にない)イオン交換体の含水率としては、下記イオン交換体の含水率Bを使用する。
1.飽和平衡状態にあるイオン交換体の含水率A
(1) イオン交換体を、25℃で相対湿度100%の大気に30分間以上接触させ、飽和平衡状態のイオン交換体を得る。
(2) 上記飽和平衡状態のイオン交換体を、恒温乾燥器内において105℃で16時間乾燥処理することにより乾燥状態のイオン交換体を得る。
(3) 飽和平衡状態のイオン交換体の含水率A(質量%)を、下記式により算出する。
飽和平衡状態のイオン交換体の含水率A (質量%)=((乾燥前の飽和平衡状態のイオン交換体の重量(g)−乾燥状態のイオン交換体の重量(g))/乾燥前の飽和平衡状態のイオン交換体の重量(g))×100
(測定の正確性を高めるため、乾燥前の飽和平衡状態のイオン交換体を、5g以上採取して測定する)。
2.飽和平衡状態にないイオン交換体の含水率B
(1) 飽和平衡状態にないイオン交換体を恒温乾燥器で105℃で16時間乾燥させることで乾燥状態のイオン交換体を得る。
(2) 飽和平衡状態にないイオン交換体の含水率B(質量%)を、下記式により算出する。
飽和平衡状態にないイオン交換体の含水率B(質量%)=((乾燥前の飽和平衡状態にないイオン交換体の重量(g)−乾燥状態のイオン交換体の重量(g))/乾燥前の飽和平衡状態にないイオン交換体の重量(g))×100
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置において、イオン除去装置内に収容されるイオン交換体(陽イオン交換体および陰イオン交換体)の収容形態は、非水溶媒とイオン交換体とが接触し得る形態であれば特に制限されない。
例えば、イオン除去装置が、非水溶媒を通液し得るイオン交換体を充填したカラム、塔または槽であってもよい。
また、イオン除去装置は、非水溶媒を通液するためのポンプを備えたものであってもよい。
イオン除去装置に収容される陽イオン交換体および陰イオン交換体は、混床形式で収容されていてもよいし、複床形式で収容されていてもよい。
また、図8に例示するように、イオン除去装置5が、陽イオン交換体および陰イオン交換体のいずれかを各々収容した装置5a、5bを有するものであってもよい。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置が上記イオン除去装置を有することにより、水分除去装置等から金属成分が陽イオンないし陰イオンとして溶出した場合であってもこれを好適に除去することができる。
水分除去装置内に収容される水分吸着材としてゼオライト等を採用した場合、上述したように溶媒を流通させるとゼオライト等から金属成分が陽イオン(カチオン)または陰イオン(オキソアニオン)として溶出することから、従来の技術常識に従えば、上記溶媒を再利用すると上記溶出した金属成分がイオン交換樹脂を汚染する(イオン交換樹脂のイオン交換基を消費してしまう)とされていた。
これに対して、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置においては、水分除去装置内のゼオライト等に流通させた後、さらにイオン除去装置を流通させ金属イオンを除去した上で敢えて循環使用することにより、少量の非水溶媒を流通させることのみで、溶出した金属成分による影響を抑制しつつイオン交換樹脂中の含有水分を容易に低減することができる。
特に本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置においては、イオン除去装置内に陽イオン交換体とともに陰イオン交換体を収容してなるものであることから、水分除去装置内のゼオライト等から陽イオン(カチオン)のみならず陰イオン(オキソアニオン)が溶出するような場合であっても、これを容易に吸着除去することができる。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置は、イオン除去装置の直前に上述したイオン交換基を有するイオン吸着膜を収容した予備処理装置をさらに有するものであってもよく、かかる予備処理装置を有することにより、イオン除去装置の負荷を容易に軽減することができる。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置は、水分除去装置の下流側にさらに濾過装置を有するものであってもよい。
例えば、図5〜図7に示す形態例においては、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置1は、図2および図5の態様における水分除去装置4とイオン除去装置5との間、図3および図6の態様におけるイオン除去装置5とイオン交換樹脂容器3との間、図4および図7の態様における水分除去装置4と原液タンク2との間または原液タンク2とイオン除去装置5との間に、(図示しない)濾過装置を設けることにより、水分除去装置から流出した非水溶媒を濾過装置F内に流通させることが好ましい。
上記濾過装置は、微細孔を有する樹脂製の濾材を有するものが好ましく、係る樹脂製の濾材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホンまたはポリアミドからなる濾材から選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記濾材は、表面に孔径0.01〜10μmの微細孔を有するものが好ましく、表面に孔径0.1〜1μmの微細孔を有するものがさらに好ましい。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置は、水分除去装置に収容したゼオライト等から、金属イオンの他にゼオライト等の微粒子を漏出する場合があるが、上記前処理装置が濾過装置を有することにより、水分除去装置からゼオライト微粒子等が漏出した場合であってもこれを好適に除去することができる。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置において、イオン交換樹脂の前処理に使用する非水溶媒量は、イオン交換樹脂容器内のイオン交換樹脂単位体積あたり、1〜30倍の体積であることが好ましく、1〜20倍の体積であることがより好ましく、1〜10倍の体積であることがさらに好ましい。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置において、上記循環送液管内を流通させる非水溶媒の循環量は、イオン交換樹脂の吸着水分が所望程度まで低減する循環量から適宜選定すればよい。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置においては、上記イオン交換樹脂の水分を所望程度まで除去処理した後、除去処理に使用した非水溶媒と同一の非水溶媒を用いる場合には、そのまま使用に供することができる。
イオン交換樹脂中の水分を除去するために使用した非水溶媒とは異なる溶媒を処理する場合は、例えば、被処理対象となる非水溶媒を通液して前処理に用いた非水溶媒の置換を行ってから使用に供することができる。
その上で、常法に従い逆洗・押出し操作等を行った後、被処理対象となる非水溶媒を、好ましくはSV(流量/イオン交換樹脂体積比)1〜100hr-1、より好ましくはSV2〜50hr−1、さらに好ましくはSV5〜20hr-1で通液することにより処理することができる。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置においては、循環送液管が、原液タンク内の非水溶媒を、イオン交換樹脂容器、水分除去装置およびイオン除去装置内を循環し得るように配置されていることにより、イオン交換樹脂内に残留する水分の非水溶媒による溶出と、非水溶媒中に溶出した水分の水分除去装置による吸着除去と、水分除去装置から溶出する陽イオン化(カチオン化)または陰イオン化(オキソアニオン化)した金属成分の除去とを繰り返しつつ、イオン交換樹脂を前処理することができる。
このため、本発明によれば、循環送液管の流路に少量の非水溶媒を流通させることのみで、非水溶媒中に溶出した金属による交換容量の低下を抑制しつつ、簡便かつ経済的にイオン交換樹脂中の含有水分を低減可能なイオン交換樹脂の前処理装置を提供することができる。
次に、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理方法について説明する。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理方法は、非水溶媒を貯蔵する原液タンク、イオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂容器、非水溶媒中の水分を除去する水分除去装置並びに陽イオン交換体および陰イオン交換体を収容したイオン除去装置を少なくとも有するイオン交換樹脂の前処理装置に対し、
前記原液タンクから、前記イオン交換樹脂容器、前記水分除去装置および前記イオン除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する送液、
前記原液タンクから、前記水分除去装置、前記イオン除去装置および前記イオン交換樹脂容器の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する送液並びに
前記原液タンクから、前記イオン除去装置、前記イオン交換樹脂容器および前記水分除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する送液
から選ばれる一種以上の送液を非水溶媒を循環しながら行う
ことを特徴とするものである。
本発明に係るイオン交換樹脂の前処理方法は、実質的に、本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置を用いてイオン交換樹脂を前処理する方法に係るものであり、その処理方法の詳細は、上述した本発明に係るイオン交換樹脂の前処理装置の使用形態の説明と共通する。
本発明によれば、金属イオンの混入による影響を抑制しつつ、簡便かつ経済的に含有水分量を低減可能なイオン交換樹脂の前処理方法を提供することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
以下の実施例および比較例において、処理前における有機非水溶媒中の水分量(質量ppm)および処理後における有機非水溶媒中の水分量(質量ppm)は、カールフィッシャー容量法水分計(平沼産業(株)製Aquacounter AQ−2200)を用いててカール・フィッシャー法により測定した値を意味する。
また、有機非水溶媒中の金属元素量(質量ppb)は、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS、アジレント・テクノロジー(株)製Agilent8900 ICP−QQQ)により測定した値を意味する。
(実施例1)
1.装置構成
図9に示す構成を有するイオン交換樹脂の前処理装置1を用いて、イオン交換樹脂容器3中のイオン交換樹脂の前処理を行った。
上記前処理装置1を構成する、イオン交換樹脂容器3(カラム)に収容されたイオン交換樹脂、水分除去装置4(カラム)内に収容されたゼオライト、およびイオン除去装置5内の装置5aおよび装置5bに各々収容された陰イオン交換体および陽イオン交換体は、各々以下のとおりである。
<イオン交換樹脂>
マクロポーラス型の強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ株式会社製(オルライト DS−4)、詳細は以下のとおり)。
母体(樹脂の材質):スチレン−ジビニルベンゼン共重合体
イオン交換基 :スルホン酸基
イオン交換当量 :カチオン交換基1.7mg当量/ml湿潤樹脂以上
飽和平衡状態の含水率 :55質量%
飽和水湿潤状態のイオン形:H形
充填量 :40ml
上記イオン交換樹脂を、予めイソプロピルアルコールを用いイオン交換樹脂の体積に対してベットボリューム(BV)が10となるまで通液して樹脂と樹脂の間の間隙水を洗い流したものをカラムに充填し、イオン交換樹脂容器とした。
<ゼオライト>
東ソー製ゼオラムA−5 SA−500A(詳細は以下のとおり)を150℃で16時間乾燥したもの。
平均細孔径 :4Å
充填量 :40ml
上記ゼオライトを、予めイソプロピルアルコールを用いゼオライトの体積に対してベットボリューム(BV)が10となるまで通液して内部の金属微粒子等を洗い流したものをカラムに充填し、水分除去装置とした。
<陰イオン交換体>
ゲル型の強塩基性陰イオン交換樹脂を(オルガノ株式会社製(オルライト DS−2)詳細は以下のとおり)。
母体(樹脂の材質):スチレン−ジビニルベンゼン共重合体
イオン交換基 :第四アンモニウム塩基
イオン交換当量 :アニオン交換基1.0mg当量/ml湿潤樹脂以上
飽和平衡状態の含水率 :55質量%
飽和水湿潤状態のイオン形:OH形
充填量 :40ml
<陽イオン交換体>
陽イオン交換基を有するイオン吸着膜(インテグリス社製 Protego Plus、詳細は以下のとおり)。
イオン交換メディア :親水性超高分子量ポリエチレン
イオン交換基 :スルホン酸基
イオン交換容量 :≧16ミリ当量/ユニット
除粒子孔径 :0.1μm
膜面積 :0.11m
2.前処理
図9に示す原液タンク2に貯蔵された非水溶媒であるイソプロピルアルコール(SEグレード、含水率50質量ppm以下)を、原液タンク2から、循環送液管Lを介して、イオン交換樹脂容器3、水分除去装置4およびイオン除去装置5の順に、ポンプPを用いて1時間あたり上記イオン交換樹脂容器3内に収容されたイオン交換樹脂体積の5倍量を通液する速度で通液した後、通液したイソプロピルアルコールを原液タンク2に返送した。
上記イオン交換樹脂容器3内に収容したイオン交換樹の体積に対してベットボリューム(BV)が100となるまで(通液時間が20時間となるまで)継続してイソプロピルアルコールを循環しつつ通液処理した後、イオン除去装置5出口におけるイソプロピルアルコール中の各金属元素濃度を測定した。その結果、イオン除去装置5の出口におけるイソプロピルアルコール中の各金属元素(Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、As、Sr、Ag、Cd、Ba、Pb)は何れも50質量ppt以下であった。
(実施例2)
実施例1と同様に、図9に示す構成を有するイオン交換樹脂の前処理装置1を用いて、イオン交換樹脂容器3中のイオン交換樹脂の前処理を行った。
上記前処理装置1を構成する、イオン交換樹脂容器3(カラム)に収容されたイオン交換樹脂、水分除去装置4(カラム)内に収容されたゼオライトとしては、実施例1で用いたものと同一のものを用いた。
また、イオン除去装置5内の装置5aおよび装置5bに各々収容された陰イオン交換体および陽イオン交換体として、各々以下のものを用いた。
<陰イオン交換体>
母体(樹脂の材質) :スチレン−ジビニルベンゼン共重合体
イオン交換基 :第四アンモニウム塩基、
イオン交換当量 :アニオン交換基1.0mg当量/ml湿潤樹脂以上
飽和平衡状態の含水率:55質量%
飽和水湿潤状態のイオン形:OH形
充填量 :20ml
<陽イオン交換体>
母体(樹脂の材質) :スチレン−ジビニルベンゼン共重合体
イオン交換基 :スルホン酸基、
イオン交換当量 :カチオン交換基1.7mg当量/ml湿潤樹脂以上
飽和平衡状態の含水率:55質量%
飽和水湿潤状態のイオン形:H形
充填量 :40ml
2.前処理
実施例1の「2.前処理」と同様の条件で、上記イオン交換樹脂容器3内に収容したイオン交換樹の体積に対してベットボリューム(BV)が105となるまで(通液時間が20時間となるまで)継続してイソプロピルアルコールを循環しつつ通液処理した後、水分除去装置4の出口およびイオン除去装置5の出口におけるイソプロピルアルコール中の各金属元素濃度を測定した。その結果、イオン除去装置5の出口におけるイソプロピルアルコール中の各金属元素(Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、As、Sr、Ag、Cd、Ba、Pb)は何れも50質量ppt以下であった。
結果を表1に示す(表1において、「<50」は50質量ppt以下を示す)。
Figure 2020195947
(実施例3)
実施例1の「2.前処理」において、イソプロピルアルコール(SEグレード、含水率50質量ppm以下)の通液時間(循環処理時間)を20時間から16時間に変更した以外は、実施例1と同様にしてイオン交換樹脂の前処理を行った。
このとき、イオン除去装置5出口におけるイソプロピルアルコール中の水分濃度を測定したところ、水分濃度が20質量ppm以下であった。
(比較例1)
1.装置構成
実施例1において、イオン除去装置5を用いず、水分除去装置4から流出する非水溶媒を原液タンク2に返送するように循環送液管Lを配置した以外は、実施例1と同様にイオン交換樹脂の前処理装置を構成した。
2.前処理
上記前処理装置を用いて、実施例1の「2.前処理」と同様の条件で、イオン交換樹脂の体積に対してベットボリューム(BV)が105となるまでイソプロピルアルコール(SEグレード、含水率50質量ppm以下)を通液してイオン交換樹脂の前処理を行った。
このとき、水分除去装置4の出口におけるイソプロピルアルコール中の各金属元素の含有濃度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2020195947
(比較例2)
図10に示す前処理装置11を用い、イオン交換樹脂容器3中に収容した以下に示すイオン交換樹脂を下記条件下で前処理した。
<イオン交換樹脂>
マクロポーラス型の強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ株式会社製(オルライト DS−4))
母体(樹脂の材質) :スチレン−ジビニルベンゼン共重合体
イオン交換基 :スルホン酸基
イオン交換当量 :カチオン交換基1.7mg当量/ml湿潤樹脂以上
飽和平衡状態の含水率 :55質量%
飽和水湿潤状態のイオン形:H形
充填量 :40ml
図10に示すように、原液タンク2に貯蔵したイソプロピルアルコール(SEグレード、含水率50質量ppm以下)を、上記イオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂容器3の底部から頂部方向にポンプPを用いて1時間あたりイオン交換樹脂量の5倍量となる通液速度で上向流で通液した後、流出した有機非水溶媒Wを貯留タンク6内に貯留する処理を、陽イオン交換体の体積に対してベットボリューム(BV)が40となるまで行うことにより、イオン交換樹脂の前処理を行った。
このとき、ベットボリューム(BV)毎のイオン交換樹脂容器3の出口におけるイソプロピルアルコール中の水分濃度を測定した。結果を表3に示す。表3には、参考のため、実施例3の結果も併記する。
Figure 2020195947
実施例1〜実施例3の結果より、本発明においては、特定の構成を有するイオン交換樹脂の前処理装置を用いていることから、金属イオンの混入による影響を抑制しつつ、イオン交換樹脂中の含有水分量を簡便かつ経済的に低減し得ることが分かる。
一方、比較例1や比較例2においては、本発明に係る特定の構成を有するイオン交換樹脂の前処理装置を用いていないことから、溶出した金属によりイオン交換樹脂のイオン交換基が消費されてしまい、その影響を抑制し得ないものであったり(比較例1)、イオン交換樹脂中の水分濃度を一定値以下まで低減するために多量の非水溶媒を必要とする(比較例2)ことが分かる。
本発明によれば、金属イオンの混入による影響を抑制しつつ、簡便かつ経済的に含有水分量を低減可能なイオン交換樹脂の前処理装置およびイオン交換樹脂の前処理方法を提供することができる。
1 イオン交換樹脂の前処理装置
2 原液タンク
3 イオン交換樹脂容器
4 水分除去装置
5 イオン除去装置
6 貯留タンク
P ポンプ
L、L1、L2 非水溶媒

Claims (7)

  1. 非水溶媒を貯蔵する原液タンク、イオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂容器、非水溶媒中の水分を除去する水分除去装置並びに陽イオン交換体および陰イオン交換体を収容したイオン除去装置を少なくとも有するとともに、
    前記原液タンクから、前記イオン交換樹脂容器、前記水分除去装置および前記イオン除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する循環送液管、
    前記原液タンクから、前記水分除去装置、前記イオン除去装置および前記イオン交換樹脂容器の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する循環送液管並びに
    前記原液タンクから、前記イオン除去装置、前記イオン交換樹脂容器および前記水分除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する循環送液管
    から選ばれる少なくとも一つの循環送液管を有する
    ことを特徴とするイオン交換樹脂の前処理装置。
  2. 前記イオン交換樹脂が、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂から選ばれる一種以上である請求項1に記載のイオン交換樹脂の前処理装置。
  3. 前記水分除去装置が、ゼオライトを収容した水分吸着装置である請求項1または請求項2に記載のイオン交換樹脂の前処理装置。
  4. 前記イオン除去装置が、陽イオン交換体として、モノリス状有機多孔質カチオン交換体、陽イオン交換樹脂、陽イオン交換基を有するイオン吸着膜およびキレート樹脂から選ばれる一種以上であり、前記陰イオン交換体がモノリス状有機多孔質アニオン交換体および陰イオン交換樹脂から選ばれる一種以上である請求項1〜請求項3のいずれかに記載のイオン交換樹脂の前処理装置。
  5. 前記イオン除去装置に収容される陽イオン交換体または陰イオン交換体の含水率が、10質量%以下である請求項1〜請求項4のいずれかに記載のイオン交換樹脂の前処理装置。
  6. 前記水分吸着装置に収容されたゼオライトに対し、前記循環送液管内を流通する非水溶媒が上向流で通液するように前記循環送液管が配置されている請求項3〜請求項5のいずれかに記載のイオン交換樹脂の前処理装置。
  7. 非水溶媒を貯蔵する原液タンク、イオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂容器、非水溶媒中の水分を除去する水分除去装置並びに陽イオン交換体および陰イオン交換体を収容したイオン除去装置を少なくとも有するイオン交換樹脂の前処理装置に対し、
    前記原液タンクから、前記イオン交換樹脂容器、前記水分除去装置および前記イオン除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する送液、
    前記原液タンクから、前記水分除去装置、前記イオン除去装置および前記イオン交換樹脂容器の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する送液並びに
    前記原液タンクから、前記イオン除去装置、前記イオン交換樹脂容器および前記水分除去装置の順に非水溶媒を通液した後、通液した非水溶媒を前記原液タンクに返送する送液
    から選ばれる一種以上の送液を非水溶媒を循環しながら行う
    ことを特徴とするイオン交換樹脂の前処理方法。
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