JP2020194951A - リアクトル - Google Patents
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Abstract
Description
並列に配置される一対の巻回部を有するコイルと、
前記巻回部の内側及び外側に配置される磁性コアと、
前記コイルと前記磁性コアとの相互の位置を規定する保持部材と、
前記コイル、前記磁性コア及び前記保持部材を含む組合体を収納するケースと、
前記ケース内に充填される封止樹脂部と、を備え、
前記ケースは、前記組合体が載置される底板部と、前記組合体を囲む側壁部と、前記底板部に対向する開口部と、を備え、
前記組合体は、前記巻回部の各々の軸方向が前記ケースの深さ方向に沿うように前記ケースに収納され、
前記磁性コアは、前記巻回部の外側であって前記開口部側に配置される外側コア部を備え、
前記保持部材は、前記外側コア部の外周面の少なくとも一部を覆う外壁部と、前記外壁部から前記側壁部の内周面に向かって突出する少なくとも一つの突起部とを備え、
前記突起部は、前記封止樹脂部に埋設される。
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
並列に配置される一対の巻回部を有するコイルと、
前記巻回部の内側及び外側に配置される磁性コアと、
前記コイルと前記磁性コアとの相互の位置を規定する保持部材と、
前記コイル、前記磁性コア及び前記保持部材を含む組合体を収納するケースと、
前記ケース内に充填される封止樹脂部と、を備え、
前記ケースは、前記組合体が載置される底板部と、前記組合体を囲む側壁部と、前記底板部に対向する開口部と、を備え、
前記組合体は、前記巻回部の各々の軸方向が前記ケースの深さ方向に沿うように前記ケースに収納され、
前記磁性コアは、前記巻回部の外側であって前記開口部側に配置される外側コア部を備え、
前記保持部材は、前記外側コア部の外周面の少なくとも一部を覆う外壁部と、前記外壁部から前記側壁部の内周面に向かって突出する少なくとも一つの突起部とを備え、
前記突起部は、前記封止樹脂部に埋設される。
前記内周面は、前記底板部側から前記開口部側に向かって広がるように傾斜している形態が挙げられる。
前記深さ方向からの平面視において、前記組合体を内包する第一の長方形を仮想的にとり、前記第一の長方形の長辺方向に沿った大きさを長辺長さとし、前記第一の長方形の短辺方向に沿った大きさを短辺長さとし、
前記組合体における前記深さ方向に沿った大きさを前記組合体の高さとし、
前記長辺長さに対する前記高さの比及び前記短辺長さに対する前記高さの比の少なくとも一方が1.0超である形態が挙げられる。
前記深さ方向からの平面視において、前記外壁部を内包する第二の長方形を仮想的にとり、
前記外壁部は、前記第二の長方形の長辺方向に沿った第一面と、前記第二の長方形の短辺方向に沿った第二面とを有し、
前記保持部材は、前記第一面に設けられる第一の前記突起部と、前記第二面に設けられる第二の前記突起部とを含む形態が挙げられる。
少なくとも一つの前記突起部の形状は、球欠状である形態が挙げられる。
前記保持部材は、複数の前記突起部を備え、
少なくとも一つの前記突起部は、前記内周面に接していない形態が挙げられる。
前記組合体は、前記底板部に対向する端面と、脚部とを備え、
前記脚部は、前記端面から前記底板部に向かって突出する形態が挙げられる。
本開示の実施形態に係るリアクトルの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。図面における各部の寸法比も実際と異なる場合がある。
図1から図4を参照して、実施形態1に係るリアクトル1を説明する。
図1、図3は、リアクトル1に備えられるケース5及び封止樹脂部6をケース5の深さ方向に平行な平面で切断した部分断面図である。図1、図3の組合体10は、断面ではなく、外観を示す。
図1の断面図は、図2に示す切断線I−Iによって切断した断面図に相当する。
図3の断面図は、図2に示す切断線III−IIIによって切断した断面図に相当する。
図4は、リアクトル1に備えられる組合体10において、後述するモールド樹脂部8を備えていない状態を分解して示す。
リアクトル1は、図1に示すように、コイル2と、磁性コア3と、保持部材4と、ケース5と、封止樹脂部6とを備える。コイル2は、並列に配置される一対の巻回部21、22を有する。磁性コア3は、巻回部21、22の内側及び外側に配置される。保持部材4は、コイル2と磁性コア3との相互の位置を規定する。ケース5は、コイル2、磁性コア3及び保持部材4を含む組合体10を収納する。ケース5は、底板部51と、側壁部52と、開口部55とを備える。底板部51には、組合体10が載置される。側壁部52は、組合体10を囲む。開口部55は、底板部51に対向して開口する。封止樹脂部6は、ケース5内に充填される。なお、図2は、封止樹脂部6を省略している。
以下、実施形態1のリアクトル1の構成について詳しく説明する。
ケース5の深さ方向は、この上下方向である。この上下方向、即ち図1、図3では紙面上下方向を高さ方向と呼ぶことがある。
また、高さ方向に直交し、ケース5の側壁部52において図2に示す長辺部541、542に沿った方向を長さ方向とする。長辺部541、542は、図2に示すように、ケース5を深さ方向に平面視した状態において、開口部55を内包する最小の長方形を仮想的にとり、側壁部52において、上記仮想の長方形の長辺方向に沿った部分である。後述する短辺部531、532は、側壁部52において、上記仮想の長方形の短辺方向に沿った部分である。以下、平面視は、ケース5の深さ方向から見た状態をいう。
高さ方向に直交し、ケース5の側壁部52の短辺部531、532に沿った方向を幅方向とする。
長さ方向は、図1、図2では紙面左右方向である。幅方向は、図2では紙面上下方向であり、図3では紙面左右方向である。
なお、高さ方向、長さ方向、幅方向については、後述する実施形態2、3、図5Aから図10についても同様に適用される。
本例の組合体10は、コイル2、磁性コア3、保持部材4に加えて、後述するモールド樹脂部8を備える。
以下、組合体10がケース5に収納された状態をケース収納状態と呼ぶことがある。
コイル2は、一対の巻回部21、22を有する。巻回部21、22は、巻線を螺旋状に巻回してなる。両巻回部21、22は、互いの軸方向が平行するように並列に配置されている。上述のケース収納状態において、両巻回部21、22の軸方向は、高さ方向に一致する。
この例の磁性コア3は、内側コア部31、32と、一対の外側コア部33、33とを有する。内側コア部31、32は、主として、各巻回部21、22の内側に配置される箇所を構成する。内側コア部31、32の軸方向の端部は、巻回部21、22の端面から突出される。外側コア部33、33は、両巻回部21、22の外側に配置される。外側コア部33、33は、両内側コア部31、32の各端部同士を接続するように設けられる。この例では、両内側コア部31、32を両端から挟むように外側コア部33、33がそれぞれ配置される(図4も参照)。磁性コア3は、両内側コア部31、32の各端面と外側コア部33、33の各内端面33e(図4も参照)とが接続されることによって、環状に構成される。磁性コア3には、コイル2を励磁した際に磁束が流れ、閉磁路が形成される。
この例の内側コア部31、32の形状は、巻回部21、22の内周形状に概ね対応した形状である。巻回部21、22の内周面と内側コア部31、32の外周面との間には隙間が存在する。この隙間には、後述するモールド樹脂部8を構成する樹脂が充填される。この例では、内側コア部31、32の形状が四角柱状、より具体的には直方体状である。内側コア部31、32を軸方向から見た端面形状が矩形状である。内側コア部31、32の角部は、巻回部21、22の角部に沿うように丸められている。両内側コア部31、32の形状、大きさは同じである。内側コア部31、32において巻回部21、22の端面から突出する両端部は、後述する保持部材41、42の貫通孔43に挿入される(図4も参照)。
外側コア部33、33の形状は、両内側コア部31、32の各端部同士をつなぐ形状であれば、特に限定されない。この例では、外側コア部33、33は、両内側コア部31、32の各端面に対向する内端面33eを有する直方体状である。両外側コア部33の形状、大きさは同じである。外側コア部33、33はそれぞれ、1つの柱状のコア片で構成されている。
内側コア部31、32及び外側コア部33、33は、軟磁性材料を含む成形体で構成されている。軟磁性材料としては、鉄や鉄合金などの金属、フェライトなどの非金属が挙げられる。鉄合金は、例えばFe−Si合金、Fe−Ni合金などが挙げられる。軟磁性材料を含む成形体としては、圧粉成形体や複合材料の成形体などが挙げられる。
この例のリアクトル1は、保持部材4として、二つの保持部材41、42を備える。保持部材41、42は、図1及び図4に示すように、両巻回部21、22の各端面に対向するように配置される箇所である後述の枠板を備える。また、保持部材41、42は、外側コア部33の外周面を囲む箇所である後述の外壁部40を備える。一方の保持部材41は、ケース5の開口部55側に配置されて、上側の外側コア部33を囲む。他方の保持部材42は、ケース5の底板部51側に配置されて、下側の外側コア部33を囲む。
この例の保持部材4は、貫通孔43を有する枠板と、外壁部40とを備える。枠板は、巻回部21、22の端面と外側コア部33、33の内端面33eとの間に介在される。外壁部40は、外側コア部33の外周面の少なくとも一部、本例では全周を覆う。
保持部材41に備えられる突起部4pは、図1から図3に示すように、外壁部40からケース5の内周面520に向かって設けられる。この例の保持部材41は、複数の突起部47、48を備える。第一の突起部47は、第一面441、442、ここでは長辺部541、542に対向する面に設けられる(図2)。第二の突起部48は、第二面431、432、ここでは短辺部531、532に対向する面に設けられる(図2、図3)。
例えば、突起部4pの数は、1つであってもよいが、本例のように複数が好ましい。また、本例のように外壁部40の外周面を構成する各面441、442、431、432にそれぞれ、1つ以上の突起部4pを備えることが好ましい。更に、本例のように比較的長い面、ここでは第一面441、442はそれぞれ、複数の突起部4pを備えることが好ましい。この理由の一つは、組合体10が上述の交差方向に振動した際に、組合体10における任意の上記交差方向の変位量、即ち振幅を小さくし易いことが挙げられる。特に、後述するように、側壁部52の内周面520が底板部51側から開口部55側に向かって広がるように傾斜する場合、突起部4pによって、上述の振幅を効果的に小さくすることができる。別の理由は、突起部4pが側壁部52の内周面520、ここでは長辺部541、542の内面及び短辺部531の内面にそれぞれ接することで、ケース5内で組合体10が過度に傾くことを抑制できることが挙げられる。
保持部材4の構成材料は、電気絶縁材料が挙げられる。電気絶縁材料としては、代表的には樹脂が挙げられる。具体的な樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、例えば、PPS樹脂、PA樹脂、LCP、PI樹脂、フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂などが挙げられる。保持部材4の構成材料は、上記樹脂に加えて、フィラーを含有してもよい。フィラーを含有することで、保持部材4の放熱性を向上させることができる。フィラーの具体例は、複合材料の項を参照するとよい。この例では、保持部材4の構成材料はPPS樹脂である。
本例の組合体10は、図1に示すように、モールド樹脂部8を備える。モールド樹脂部8は、外側コア部33、33の外周面の少なくとも一部を覆うと共に、巻回部21、22の内周面と内側コア部31、32の外周面との間に介在される。このモールド樹脂部8により、内側コア部31、32と外側コア部33とが一体に保持され、コイル2の巻回部21、22と磁性コア3の内側コア部31、32及び外側コア部33とが一体化されている。そのため、コイル2と磁性コア3とを一体物として取り扱うことができる。また、モールド樹脂部8によって各外側コア部33、33と各保持部材41、42とが一体化されている。つまり、この例では、モールド樹脂部8によって、コイル2、磁性コア3及び保持部材41、42が一体化されている。そのため、組合体10は一体物として取り扱うことができる。なお、巻回部21、22の外周面は、モールド樹脂部8によって覆われておらず、モールド樹脂部8から露出している。
本例のように、脚部49の数が複数であれば、組合体10は、ケース5の内底面510に安定して載置され、振動し難い。脚部49の数が多いほど、組合体10の載置状態が安定し易い。脚部49の数が少ないほど、組合体10と内底面510との接触面積が小さくなり易い。
本例のように、脚部49が端面105において対称位置に設けられると、組合体10がケース5の内底面510に安定して載置され、振動し難い。また、本例のように、脚部49が端面105の中央位置ではなく、周縁寄りの位置に設けられていると、組合体10の載置状態が安定し易い。
モールド樹脂部8を構成する樹脂は、保持部材4の項で説明した樹脂を利用できる。モールド樹脂部8の構成材料は、上記樹脂に加えて、上述したフィラーを含有してもよい。この例では、モールド樹脂部8がPPS樹脂で構成されている。
ケース5は、図1に示すように組合体10を収納することで、組合体10の機械的保護及び外部環境からの保護を図ることができる。外部環境からの保護は、防食性の向上などを目的とする。本例のケース5は、金属によって構成されている。金属は樹脂よりも熱伝導率が高い。そのため、金属製のケース5は、組合体10の熱をケース5を介して外部に放出し易い。よって、金属製のケース5は、組合体10の放熱性の向上に寄与する。
この例では、底板部51は、組合体10が載置される平板部材である。側壁部52は、組合体10の周囲を囲む角筒状体である。底板部51と側壁部52とで組合体10の収納空間が形成される。この例では、底板部51と側壁部52とが一体に形成されている。側壁部52は、組合体10の高さと同等以上の高さを有する。
ケース5の長さは、例えば80mm以上120mm以下、更に90mm以上115mm以下が挙げられる。
ケース5の幅は、例えば30mm以上80mm以下、更に35mm以上70mm以下が挙げられる。
ケース5の高さは、例えば70mm以上140mm以下、更に80mm以上130mm以下が挙げられる。
ケース5の容積は、例えば120cm3以上1200cm3以下、更に200cm3以上900cm3以下が挙げられる。
本例のケース5は、長さが幅より大きく、かつ、高さが幅より大きい。よって、ケース5の長さ×幅によって求められる面積は、ケース5の長さ×高さによって求められる面積よりも小さい。つまり、底板部51の面積は、側壁部52の面積のうち、長さ方向に沿った部分の面積、ここでは長辺部541又は542の面積より小さい。
ケース5は非磁性の金属で構成されている。非磁性金属としては、例えばアルミニウムやその合金、マグネシウムやその合金、銅やその合金、銀やその合金、オーステナイト系ステンレス鋼などが挙げられる。これらの金属の熱伝導率は比較的高い。そのため、ケース5を放熱経路に利用でき、ケース5を介して、組合体10の熱が外部に効率よく放出される。よって、組合体10の放熱性が向上する。ケース5を構成する材料としては、金属以外にも樹脂などを用いることができる。
ケース5に対する組合体10の配置形態は直立型である。この場合、組合体10は、図1に示すように、両巻回部21、22の各々の軸方向が底板部51の内底面510と直交するようにケース5に収納される。また、本例の組合体10は、両巻回部21、22の並列方向が長辺部541、542に沿うようにケース5に収納されている。
封止樹脂部6は、ケース5内に充填されて、組合体10の少なくとも一部を封止する。封止樹脂部6によって、組合体10の機械的保護及び外部環境からの保護を図ることができる。外部環境からの保護は、防食性の向上などを目的とする。
封止樹脂部6の樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、例えば、PPS樹脂などが挙げられる。この例の封止樹脂部6は、シリコーン樹脂、より具体的には、シリコーンゲルによって構成されている。封止樹脂部6の熱伝導率は高いほど好ましい。この理由は、コイル2の熱をケース5に伝達させ易いからである。そのため、封止樹脂部6を構成する材料は、上記樹脂に加えて、例えば上述したようなフィラーを含有してもよい。封止樹脂部6の熱伝導率を高めるために、上記材料の成分が調整されていてもよい。封止樹脂部6の熱伝導率は、例えば1W/m・K以上、更に1.5W/m・K以上が好ましい。
図4を適宜参照して、上述したリアクトル1の製造方法の一例を説明する。
リアクトル1は、例えば、以下の第1〜第3の工程を備える製造方法により製造できる。
第1の工程は、組合体10とケース5とを用意する。
第2の工程は、組合体10をケース5に収納する。
第3の工程は、ケース5内に封止樹脂部6を形成する。
第1の工程では、上述の突起部4pを備える保持部材41を含む組合体10と、ケース5とを用意する。この例では、組合体10は、コイル2と、磁性コア3と、保持部材4とを組み付けて作製する。また、この例では、モールド樹脂部8(図1)を形成し、モールド樹脂部8によってコイル2、磁性コア3及び保持部材4を一体化しておく。具体的には、保持部材41、42によってコイル2及び磁性コア3が所定の位置に保持された状態において、外側コア部33の外周面を覆うようにモールド樹脂部8を形成する。このとき、モールド樹脂部8を構成する樹脂の一部は、上述したように、外側コア部33と凹部44との間の隙間と、内側コア部31、32と貫通孔43との間の隙間とを通って、巻回部21、22と内側コア部31、32との間に充填される。そのため、モールド樹脂部8が巻回部21、22と内側コア部31、32との間に介在するように形成される。
第2の工程では、ケース5の開口部55から組合体10をケース5に収納する。組合体10の配置形態が上述の直立型となるように、組合体10をケース5に収納する。本例では、脚部49がケース5の内底面510に接することで、組合体10がケース5に収納された状態が安定して維持される。また、本例では、保持部材41の突起部47、48によって、組合体10の外周面100とケース5の内周面520との間に所定の間隔を設けた状態を確保することができる。
第3の工程では、ケース5内に樹脂を充填して、封止樹脂部6(図1)を形成する。具体的には、ケース5内に組合体10を収納した状態で封止樹脂部6となる樹脂を充填する。この例では、封止樹脂部6となる樹脂がシリコーン樹脂、より具体的にはシリコーンゲルである。
リアクトル1は、電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品に利用できる。リアクトル1は、例えば、種々のコンバータや電力変換装置の構成部品などに利用できる。コンバータの一例としては、車両に搭載される車載用コンバータ、代表的にはDC−DCコンバータや、空調機のコンバータなどが挙げられる。上記車両は、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などが挙げられる。
実施形態1のリアクトル1は、ケース5の開口部55側に配置される保持部材41が突起部4pを備えるため、組合体10がケース5の深さ方向に交差する方向に振動した際の振幅を小さくすることができる。この理由の一つは、突起部4pによって、ケース5の開口部55側において、組合体10の外周面100とケース5の内周面520との間隔が局所的に狭められることが挙げられる。その結果、組合体10における上述の交差方向の変位量、即ち振幅が小さくなり易い。別の理由は、組合体10の外周面100とケース5の内周面520とが接触した際に、接触面積が突起部4pの大きさ程度であることが挙げられる。そのため、突起部4pを有さない場合に比較して、組合体10の外周面100とケース5の内周面520との接触面積が小さく、組合体10とケース5との間において振動が伝わり難い。
(i)以下の理由により、小型化が可能である。
(1)組合体10の配置形態が直立型であるため、上述の平置き型に比較して、ケース5の底板部51に対する組合体10の設置面積を小さくできる。
(2)組合体10の配置形態が直立型であるため、巻回部21、22と側壁部52との対向面積を上記平置き型に比較して、大きく確保することができる。また、巻回部21、22と側壁部52との間隔を均一的に小さくすることができる。組合体10とケース5との間隔が小さい点で、リアクトル1は、薄型である。
(3)ケース5の四隅に特許文献2に記載される樹脂導入路を設ける必要がない。そのため、ケース5が小さくなり易い。
(1)突起部4pによって、両巻回部21、22とケース5の内周面520との間隔が適切に維持される。そのため、巻回部21、22とケース5の内周面520との間に封止樹脂部6が適切に存在する。
(2)突起部4pの形状が球欠状であるため、突起部4pによって封止樹脂部6がせん断され難い。即ち、封止樹脂部6による伝熱路の切断が抑制される。
(1)突起部4pがケース5の内周面520に接することで、両巻回部21,22とケース5の内周面520との接触を防止することができる。
(2)脚部49によって、組合体10の端面105とケース5の内底面510との間に隙間が設けられる。
(1)突起部4pによって、両巻回部21、22とケース5の内周面520との間隔が適切に維持される。そのため、封止樹脂部6となる樹脂が巻回部21、22とケース5の内周面520との間に流れ易い。
(2)脚部49によって、ケース5内に収納された組合体10は、ケース5の内底面510に安定して支持される。そのため、封止樹脂部6の充填時に、ケース5内で組合体10が倒れて、過度に狭い隙間が生じることが防止される。
図5Aから図8Bを参照して、実施形態2係るリアクトル1Aを説明する。
リアクトル1Aの基本的な構成は、実施形態1のリアクトル1と同様である。概略を述べると、リアクトル1Aは、図5Bに示すように、コイル2と、磁性コア3と、保持部材41、42と、ケース5と、封止樹脂部6とを備える。保持部材41、42は、両巻回部21、22の各端面に対向するように配置される。組合体10の配置形態は直立型である。ケース5の開口部55側に配置される保持部材41は突起部47,48を備える(図5A、図6も参照)。
以下、張出し部45及び隙間46を詳細に説明し、実施形態1と重複する構成及び効果については、詳細な説明を省略する。
図5B及び図5Cは、リアクトル1Aの内部構造を分かり易くするため、ケース5及び封止樹脂部6を断面で示している。
図5Bは、図5Aに示すB−B線で切断した部分断面図である。図5B中、ケース5内の組合体10は側面から見た外観を示し、ケース5及び封止樹脂部6は側面と平行な平面で切断した断面を示す。
図5Cは、図5Aに示すC−C線で切断した部分断面図である。図5C中、ケース5内の組合体10は正面から見た外観を示し、ケース5及び封止樹脂部6は正面と平行な平面で切断した断面を示す。
保持部材41、42のうち、ケース5の開口部55側に位置する一方の保持部材41は、図5A及び図5Bに示すように、対向する一方の短辺部531に向かって突出する張出し部45を有する。この例の保持部材41は、短辺部532に向かって突出する突起部48を有するものの(図6、図7も参照)、短辺部531に向かって突出する突起部48を有していない(図5C、図7も参照)。
張出し部45の位置は、保持部材41の幅方向、即ち図5Aの紙面上下方向の中央であってもよいし、中央からずれていてもよい。
張出し部45の数は少なくとも1つあればよく、複数あってもよい。
この例では、張出し部45が、保持部材41の幅方向の中央に1つ設けられている。
この例では、張出し部45の形状が平面視で矩形状である(図5A参照)。張出し部45の形状は、平面視で矩形状に限らず、多角形状、半円形状、半楕円形状など、その他の形状であってもよい。多角形状としては、例えば三角形状、台形状などが挙げられる。
例えば、張出し部45の突出長さは5mm以上15mm以下、更に6mm以上12mm以下が挙げられる。張出し部45の突出長さが大き過ぎると、長辺部541、542の長さが長くなり、ケース5が大型化する。この例では、上記突出長さは、上述のように静止状態において、張出し部45の先端が短辺部531の内面に接しないように調整されている。
また、張出し部45の幅は、保持部材41の幅よりも小さい。張出し部45の幅は、少なくとも一方の長辺部541、542と張出し部45の外周面との間隔が5mm以上、更に6mm以上となるように設定されていることが挙げられる。
隙間46は、図5Aに示すように、リアクトル1Aを平面視したとき、少なくとも一方の長辺部541、542と張出し部45との間に形成されている。この例では、両長辺部541、542と張出し部45との間にそれぞれ隙間46を有する。つまり、隙間46は、一方の短辺部531側において、張出し部45の両側に設けられている。換言すれば、隙間46は、一方の短辺部531に対向する保持部材41の第二面431と、短辺部531の内面と、長辺部541、542の各内面とで囲まれる領域のうち、張出し部45を除く領域に設けられている。
この例では、図5Aに示すように、ケース5の側壁部52のうち、巻回部21、22に対向する長辺部541、542及び短辺部532の各部分の内面は実質的に平面で構成されている。また、短辺部531の内面のうち、張出し部45と対向する短辺部531の部分が実質的に平面で構成されている。短辺部531の内面のうち、短辺部531から両長辺部541、542につながる部分が湾曲面で構成されている。本例の側壁部52では、長辺部541、542の端部、ここでは短辺部531側の端部が比較的大きな曲率半径を有する曲面で形成されている。
本例の場合、保持部材41が一方の短辺部531側に張出し部45を有する。そのため、図5Bに示すように、ケース5に対して組合体10が他方の短辺部532側に片寄って配置される。
以下、図8A、図8Bを主に参照して、上述したリアクトル1Aの製造方法の一例を説明する。
図8Aは、封止樹脂部6を形成する工程において、ノズル65の配置位置を示している。図8Bは、図8Aに示すB−B線で切断した部分断面図である。図8Bでは、上述の図5Bと同じように、ケース5内の組合体10は側面から見た外観を示し、ケース5は側面と平行な平面で切断した断面を示す。
第3の工程では、図8A、図8Bに示すように、ケース5内に組合体10を収納した状態で封止樹脂部6となる樹脂を充填し、封止樹脂部6を形成する。この例では、上記樹脂の充填は、上記樹脂を注入するノズル65を使用して行う。
実施形態2のリアクトル1Aは、張出し部45を備えることで、上述の実施形態1のリアクトル1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(1)ケース5と張出し部45との間に隙間46を設けることができる。ケース5内に組合体10を収納した状態で、隙間46にノズル65を挿入して、隙間46から封止樹脂部6となる樹脂をケース5内に充填することができる。張出し部45の大きさを調整すれば、大きな径を有するノズル65を利用することができる。ノズル65の径が大きければ、上記樹脂の充填作業を効率的に行うことができる。
張出し部45が、保持部材41の外周面のうち、対向する一方の短辺部531側にのみ設けられており、隙間46が一方の短辺部531側にのみ形成されている。そのため、張出し部45が他方の短辺部532側にも設けられており、隙間46が両方の短辺部531、532側に設けられる場合に比較して、ケース5が小型になり易い。
図9Aから図10を参照して、実施形態3に係るリアクトル1Bを説明する。
実施形態3のリアクトル1Bは、短辺部531が保持部材41の張出し部45を支持する取付け座56を有し、張出し部45と取付け座56とが締結されている点が実施形態2のリアクトル1Aと相違する。以下の説明は、上述した実施形態2との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図9Bは、図9Aに示すB−B線で切断した部分断面図である。図9Bでは、上述の図5Bと同じように、ケース5内の組合体10は側面から見た外観を示し、ケース5及び封止樹脂部6は側面と平行な平面で切断した断面を示す。
取付け座56は、図9Bに示すように、短辺部531からケース5内に突出して、張出し部45の底板部51側の面、即ち下側の面を支持する。取付け座56は、図9Aに示すように、リアクトル1Bを平面視したとき、張出し部45と重なるように設けられている。この例では、取付け座56が底板部51から短辺部531の内面に沿って延びる。
突起部が設けられた保持部材を備えるリアクトルと、突起部を有さない保持部材を備えるリアクトルとについて、組合体の振動特性を評価した。
例えば、実施形態1のリアクトル1などに対して、以下の少なくとも一つの変更が可能である。
(1)外壁部40は、外側コア部33の外周面の一部のみを覆う。
例えば、保持部材4は、枠板の周縁から立設される複数の壁片を備える。各壁片は、枠板の周縁の周方向に離間して設けられる。少なくとも一つの壁片が突起部4pを備える。この形態は、組合体10と封止樹脂部6との接触面積が増大し易い。
(2)外壁部40の形状は、貫通孔43の軸方向からの平面視、又はケース5の深さ方向からの平面視で、長方形以外の形状である。
具体的な形状として、外壁部40の外周面が曲面を含む形状、例えば楕円状やレーストラック状などが挙げられる。
(1)磁性コア3を構成するコア片の個数が一つ、二つ、三つ、又は五つ以上である。
(2)磁性コア3は、コイル2の巻回部内に配置される部分と巻回部外に配置される部分とを有するコア片を備える。このようなコア片として、例えば、U字状のコア片、L字状のコア片などが挙げられる。
(3)内側コア部31、32の外周形状が巻回部21、22の内周形状に非相似である。例えば、巻回部21が四角筒状であり、内側コア部31が円柱状であることが挙げられる。
接着層により、組合体10はケース5に強固に固定される。そのため、組合体10の熱をケース5の底板部51に伝え易い。また、接着層が電気絶縁樹脂で構成される場合、組合体10と底板部51との間の電気絶縁性が高められる。接着層を構成する電気絶縁樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、例えば、PPS樹脂、LCPなどが挙げられる。接着層の構成材料は、上記樹脂に加えて、上述したフィラーを含有してもよい。接着層は、市販の接着シートを利用したり、市販の接着剤を塗布して形成してもよい。
10 組合体
100 外周面
105 端面
2 コイル
21、22 巻回部
3 磁性コア
31、32 内側コア部
33 外側コア部
33e 内端面
4、41、42 保持部材
40 外壁部
43 貫通孔
44 凹部
45 張出し部
46 隙間
4p、47、48 突起部
49 脚部
441、442 第一面
431、432 第二面
450 貫通孔
451 カラー
5 ケース
51 底板部
52 側壁部
510 内底面
520 内周面
531、532 短辺部
541、542 長辺部
55 開口部
56 取付け座
57 ネジ穴
59 ボルト
6 封止樹脂部
65 ノズル
8 モールド樹脂部
Claims (7)
- 並列に配置される一対の巻回部を有するコイルと、
前記巻回部の内側及び外側に配置される磁性コアと、
前記コイルと前記磁性コアとの相互の位置を規定する保持部材と、
前記コイル、前記磁性コア及び前記保持部材を含む組合体を収納するケースと、
前記ケース内に充填される封止樹脂部と、を備え、
前記ケースは、前記組合体が載置される底板部と、前記組合体を囲む側壁部と、前記底板部に対向する開口部と、を備え、
前記組合体は、前記巻回部の各々の軸方向が前記ケースの深さ方向に沿うように前記ケースに収納され、
前記磁性コアは、前記巻回部の外側であって前記開口部側に配置される外側コア部を備え、
前記保持部材は、前記外側コア部の外周面の少なくとも一部を覆う外壁部と、前記外壁部から前記側壁部の内周面に向かって突出する少なくとも一つの突起部とを備え、
前記突起部は、前記封止樹脂部に埋設される、
リアクトル。 - 前記内周面は、前記底板部側から前記開口部側に向かって広がるように傾斜している請求項1に記載のリアクトル。
- 前記深さ方向からの平面視において、前記組合体を内包する第一の長方形を仮想的にとり、前記第一の長方形の長辺方向に沿った大きさを長辺長さとし、前記第一の長方形の短辺方向に沿った大きさを短辺長さとし、
前記組合体における前記深さ方向に沿った大きさを前記組合体の高さとし、
前記長辺長さに対する前記高さの比及び前記短辺長さに対する前記高さの比の少なくとも一方が1.0超である請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。 - 前記深さ方向からの平面視において、前記外壁部を内包する第二の長方形を仮想的にとり、
前記外壁部は、前記第二の長方形の長辺方向に沿った第一面と、前記第二の長方形の短辺方向に沿った第二面とを有し、
前記保持部材は、前記第一面に設けられる第一の前記突起部と、前記第二面に設けられる第二の前記突起部とを含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 少なくとも一つの前記突起部の形状は、球欠状である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記保持部材は、複数の前記突起部を備え、
少なくとも一つの前記突起部は、前記内周面に接していない請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記組合体は、前記底板部に対向する端面と、脚部とを備え、
前記脚部は、前記端面から前記底板部に向かって突出する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のリアクトル。
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