JP2020183844A - 点火システム及び燃焼器 - Google Patents

点火システム及び燃焼器 Download PDF

Info

Publication number
JP2020183844A
JP2020183844A JP2019088968A JP2019088968A JP2020183844A JP 2020183844 A JP2020183844 A JP 2020183844A JP 2019088968 A JP2019088968 A JP 2019088968A JP 2019088968 A JP2019088968 A JP 2019088968A JP 2020183844 A JP2020183844 A JP 2020183844A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
dielectric barrier
ignition
barrier discharge
coil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019088968A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7324044B2 (ja
Inventor
光宏 泉
Mitsuhiro Izumi
光宏 泉
功 楠原
Isao Kusuhara
功 楠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Save the Planet Co Ltd
Original Assignee
Save the Planet Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Save the Planet Co Ltd filed Critical Save the Planet Co Ltd
Priority to JP2019088968A priority Critical patent/JP7324044B2/ja
Publication of JP2020183844A publication Critical patent/JP2020183844A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7324044B2 publication Critical patent/JP7324044B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】新たな制御装置を追加することなしに、難燃性のアンモニアを効率良く燃焼させる点火システムを提供する。【解決手段】一次電流が流れる一次コイルと、一次電流の増減により二次電流を発生させる二次コイルとを有する点火コイルと、二次コイルに電気的に接続された放電極を一端に有する点火プラグと、誘電体バリア放電を発生させる誘電体バリア放電リアクタとを備え、点火プラグの放電極と誘電体バリア放電リアクタとが電気的に接続される。【選択図】図2

Description

本発明は点火システム及び燃焼器に関し、より詳しくは、難燃性のアンモニア等を燃料とする点火システム及び燃焼器に関する。
近年、二酸化炭素の排出量削減に要求に伴い、炭素系の燃料に代わる燃料として、燃焼しても二酸化炭素を排出しないアンモニアへの期待が高まっている。一方で、アンモニアは、難燃性燃料であって、炭素系の燃料と比較すると、点火(着火)しにくく燃焼速度が遅いという特性を有している。具体的には、炭素系燃料を点火するのに必要とするエネルギーが80mJから120mJ程度であるのに対して、アンモニアを点火するには400mJから600mJ程度のエネルギーが必要となる。そして、アンモニアの層流燃焼速度は、炭素系燃料(例えばメタンやプロパンなどの一般的な炭化水素系燃料)の層流燃焼速度よりも約7倍程度遅い。
この難燃性のアンモニアを燃料とした燃焼器における点火システムでは、燃料の不完全燃焼により、未燃のアンモニアや窒素酸化物が生成されることがある。そこで、アンモニアを効率よく燃焼させるための技術が種々提案されている。例えば、アンモニアを燃焼させる前に易燃性の水素ガス(水素分子)を供給し、先ずこの水素ガスを点火させた後にアンモニアを供給することにより難燃性のアンモニアを効率良く燃焼させる技術がある。
一方、アンモニアを原料ガスとして水素ガスを生成する技術がある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、高電圧電源により電圧を電極に印加させることで、該電極と電極との間で誘電体バリア放電を発生させ、該放電によってアンモニアを大気圧非平衡プラズマ状態とした後に水素原子を取り出しこれらを再結合させて水素ガスを生成する技術が開示されている。
特許第6241804号公報
しかしながら、上述したアンモニアを効率良く燃焼させる技術において、必要とする水素ガスの生成に特許文献1の技術を採用する場合には、誘電体バリア放電を発生させるための制御装置を別途必要とし、非常にコストが高くなるという問題があった。
本発明の目的は上記の問題点を解決し、新たな制御装置を追加することなしに、難燃性のアンモニアを効率良く燃焼させる点火システム等を提供することにある。
本発明に係る点火システムは、一次電流が流れる一次コイルと、前記一次電流の増減により二次電流を発生させる二次コイルとを有する点火コイルと、前記二次コイルに電気的に接続された放電極を一端に有する点火プラグと、誘電体バリア放電を発生させる誘電体バリア放電リアクタとを備え、前記点火プラグの放電極と誘電体バリア放電リアクタとが電気的に接続される。
この発明の点火システムでは、同一のパルス信号を用いて点火プラグに対する点火放電と、難燃性の高いアンモニアガスをプラズマ化するための誘電体バリア放電とを行うことが可能となる。従って、上述したアンモニアを効率良く燃焼させる技術において、必要とする水素ガスの生成に誘電体バリア放電を発生させるための制御装置を別途必要とすることがないので、製造コストの上昇を抑制することが可能となる。
一実施形態の点火システムでは、前記二次コイルと前記点火プラグの放電極との間にツェナーダイオードまたは抵抗が接続される。
この発明の点火システムでは、二次コイルから点火プラグに供給するエネルギーを調整することが可能となる。
一実施形態の点火システムでは、前記二次コイルと前記誘電体バリア放電リアクタとの間にツェナーダイオードまたは抵抗が接続される。
この発明の点火システムでは、二次コイルから誘電体バリア放電リアクタに供給するエネルギーを調整することが可能となる。
一実施形態の点火システムでは、前記一次コイルに接続されたバッテリーと、前記一次コイルの一次電流の増減を制御する点火コイル駆動用回路とをさらに備え、前記点火コイル用駆動回路は、前記点火コイルの一次コイルに接続されるスイッチング素子と、前記スイッチング素子の通電または遮断を制御する駆動部とを備え、前記駆動部は、バッテリーの電圧及び前記一次コイルと前記スイッチング素子との間の電圧のうちの少なくとも一つの電圧に基づいて前記スイッチング素子の通電または遮断を制御する。
この発明の点火システムでは、二次コイルの両端間電圧は、一次コイルの両端間電圧に巻き数比を乗じた値となるので、二次コイルの両端間電圧の値を容易に把握することが可能となる。
一実施形態の点火システムでは、前記誘電体バリア放電によりアンモニアガスを改質して、アンモニアガスよりも燃焼性が高い水素ガスを生成する改質器をさらに備え、前記駆動部は、前記改質器内における前記誘電体バリア放電を制御する。
この発明の点火システムでは、点火プラグの点火動作を制御する駆動部において、アンモニアガスを改質してアンモニアガスよりも燃焼性が高い水素ガスを生成する誘電体バリア放電を制御することが可能となる。従って、上述したアンモニアガスを効率良く燃焼させる技術において、必要とする水素ガスの生成に誘電体バリア放電を発生させるための制御装置を別途必要とすることがないので、製造コストの上昇を抑制することが可能となる。
別の局面では、本発明の燃焼器は、
投入された燃料が内部で燃焼される燃焼器本体と、
前記燃焼器本体内に設けられ、第1燃料を前記燃焼器本体内に旋回気流として送り込むスワラと、
誘電体バリア放電により前記第1燃料を改質して、前記第1燃料よりも燃焼性が高い第2燃料を生成する改質器と、
前記燃焼器本体内に前記第1燃料よりも燃焼性が高い第2燃料を噴出するパイロットバーナと、
前記パイロットバーナを点火する点火プラグと、
前記点火プラグの点火動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記改質器内の前記誘電体バリア放電を制御する。
この発明の燃焼器では、点火プラグの点火動作を制御する制御手段において、第1燃料を改質して第1燃料よりも燃焼性が高い第2燃料を生成する誘電体バリア放電を制御することが可能となる。従って、上述したアンモニアガスを効率良く燃焼させる技術において、必要とする水素ガスの生成に誘電体バリア放電を発生させるための制御装置を別途必要とすることがないので、製造コストの上昇を抑制することが可能となる。
一実施形態の燃焼器では、前記第1燃料はアンモニアガスであり、前記第2燃料は水素ガスである。
この一実施形態の燃焼器では、第1燃料がアンモニアガスであり、第2燃料が水素ガスであるので、パイロット火炎が予混合気を燃焼させて予混合火炎を形成するための火移りがより効率的となる。
本発明に係る点火システムによれば、点火プラグに対する点火放電を制御する制御装置と、難燃性の高いアンモニアガスをプラズマ化するための誘電体バリア放電を制御する制御装置とを共通とすることが可能となる。従って、上述したアンモニアを効率良く燃焼させる技術において、必要とする水素ガスの生成に誘電体バリア放電を発生させるための制御装置を別途必要とすることがないので、製造コストの上昇を抑制することが可能となる。
本発明の実施形態に係る燃焼器2の一部切り欠き側面図及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。 図1の制御装置1を備えた点火システム10の構成要素を示すブロック図である。 図2の点火システム10の動作を示す各信号のタイミングチャートである。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
実施形態.
図1は本発明の実施形態に係る燃焼器2の一部切り欠き側面図及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。図1の燃焼器2は、筒状の耐熱ガラス製又はステンレス製であって、投入された燃料が内部で燃焼される燃焼器本体4と、該燃焼器本体4内に燃料が送り込まれる円形状の投入口22と、該投入口22に位置し、燃焼器本体4内に設けられたスワラ(旋回羽根)23と、難燃性の高いアンモニアガス(第1燃料)を格納する燃料タンク12aと、誘電体バリア放電によりアンモニアガスを改質して、該アンモニアガスよりも燃焼性が高い水素ガス(第2燃料)を生成して燃焼器本体4内に供給する水素生成装置である改質器13と、酸化剤である空気を供給するエアコンプレッサ12bと、アンモニアガス、水素ガス及び空気の供給量をそれぞれ調整するバルブ21と、燃焼器本体4の底部18に支持されるパイロットバーナ14と、該パイロットバーナ14近傍にはパイロットバーナ14を点火する点火プラグ7と、該点火プラグ7の点火動作及び改質器13での誘電体バリア放電の双方を制御する制御手段である制御装置1とを備えて構成される。
図1の点火プラグ7は、先端部が鉤状である放電極7aと、先端部が鉤状である接地電極7bとを有し、放電極7a及び接地電極7bは底部18から燃焼器本体4の内部に突出するようにそれぞれ形成されている。なお、放電極7aには、制御装置1から高電圧が印加され、これにより、放電極7aの先端部と接地電極7bの先端部との間に火花が発生し、パイロットバーナ14から噴出された水素ガスに点火される。
図1の燃焼器本体4は、重力方向Xに細長い筒状の耐熱ガラス製又はステンレス製の胴部25と、該胴部25の上側開口部を覆う蓋部20と、該胴部25の下側開口部を覆う底部18とを備えて構成される。図1の底部18の中央部(中心部)には、難燃性のアンモニアガスが燃焼器本体4内に送り込まれる円形状の投入口22が設けられる。また、図1の蓋部20の中央部には炎が噴出する出力口24が設けられている。
スワラ23は、燃焼器本体4を水平に切断したときの中心部付近で燃焼器本体4の底部18に支持されている。このスワラ23は介してアンモニアガスが燃焼器本体4内に旋回気流S1として送り込まれる。ここで、アンモニアガスは燃料タンク12aに接続されたバルブ21と、エアコンプレッサ12bに接続されたバルブ21とを調整することにより、所定の濃度のアンモニアガスを燃焼器本体4内に旋回気流S1として送り込むことが可能となる。なお、投入口22から流れ込んだ旋回気流S1は、旋回しながら燃焼器本体4の内壁(内周面)に沿うように広がりつつ上方に進む。燃焼器本体4の中央部分のアンモニアガスは、この流れに引っ張られ、燃焼器本体4の中央部分では、アンモニアガスは渦巻き状となりながら、下方から上方に流れる。
また、パイロットバーナ14は、スワラ23の外部領域に複数配設される。詳細には、パイロットバーナ14は、スワラ23に対して同心で投入口22の周縁部(スワラ23の周縁部)を取り囲むように円周方向に等ピッチで燃焼器本体4の内壁近傍に複数配設されており、アンモニアガスよりも燃焼性が高い水素ガスを噴出する。ここで、水素ガスは改質器13に接続されたバルブ21と、エアコンプレッサ12bに接続されたバルブ21とを調整することにより、所定の濃度の水素ガスを各パイロットバーナ14に送り込むことが可能となる。
図1の改質器13は、アンモニアガス流路を規定する誘電体と、該誘電体に接して配置される高電圧電極と、誘電体を挟んで高電圧電極に対向し、アースされて接地電極として機能する水素分離膜と、該水素分離膜が分離した水素を導出する水素流路と、高電圧電極に対して、両極性パルス波形を印加し、水素分離膜と高電圧電極との間で誘電体バリア放電を発生させる高電圧電源とを備えて構成されている。ここで、水素分離膜と高電圧電極との間の放電作用によって、アンモニアガスから水素ガスを高収率に生成することが可能となる。すなわち、図1の改質器13はプラズマ方式の水素生成装置である。
図2は図1の制御装置1を備えた点火システム10の構成要素を示すブロック図である。図2の点火システム10は、点火プラグ7と、改質器13内に配置され、誘電体バリア放電を発生させて分子結合を弱くさせる誘電体バリア放電リアクタ8と、点火プラグ7の点火動作及び誘電体バリア放電を制御する制御手段である制御装置1とを備えて構成される。ここで、点火プラグ7の放電極7aと誘電体バリア放電リアクタ8とは電気的に接続されている。
図2の制御装置1は、点火コイル用駆動回路30と、点火コイル5と、負極の−側端子が接地された電源部であるバッテリー6とを備えて構成される。点火コイル5は、一次コイルL1と、二次コイルL2と、鉄心とを備えて構成される。一次コイルL1の一端は、二次コイルL2の一端と、バッテリー6の正極の+側端子に接続されており、一次コイルL1の他端は、一次電流入力用端子を介して、後述する絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以下、単に「IGBT」と称す。)31のコレクタ端子に接続されている。二次コイルL2の他端は、点火プラグ7及び誘電体バリア放電リアクタ8に電気的に接続される。
点火コイル用駆動回路30は、一次コイルL1に流れる一次電流I1に応じた電圧を検出する電流検出部40と、スイッチング素子であるIGBT31と、該IGBT31のスイッチング動作を制御する駆動部32とを備えて構成される。また、電流検出部40は、基準電圧Vrefを有する電源42と、比較器41と、IGBT31に流れる電流を検出する抵抗43とを備えて構成される。ここで、抵抗43の一端はIGBT31のエミッタ端子Eに接続され、抵抗43の他端は接地されている。
比較器41は、IGBT31に流れる電流I1に相当する抵抗43の両端電圧差(一次コイルL1に流れる一次電流I1に応じた検出電圧)の値を非反転入力端子に入力し、基準電圧Vrefの値を反転入力端子に入力する。ここで、比較器41は、抵抗43の両端電圧差と、基準電圧Vrefとの値を比較して当該比較結果信号COを発生して駆動部32に出力する。すなわち、比較器41は、抵抗43の両端電圧差が基準電圧Vrefよりも大きいときは比較結果信号COとしてハイレベル信号(H)を出力し、抵抗43の両端電圧差が基準電圧Vref以下であるときは比較結果信号COとしてローレベル信号(L)を出力する。
駆動部32は、燃焼制御に関する制御処理や演算処理を行うCPUや燃焼制御に必要なデータやプログラム等を記憶して保持する各種メモリなどを含み、CPUの処理結果に基づき、燃焼パラメータに応じた所定のパルス幅を有するパルス信号を点火信号Sとして生成し、該点火信号Sに基づいて、IGBT31の通電または遮断を制御する。また、駆動部32は、比較結果信号COに基づいて、一次電流I1が所定のしきい値を超えないように、IGBT31の制御端子の電圧を制御する。すなわち、電流検出部40は、過電流保護回路として機能する。ここで、各種メモリには、ハードディスク(HDD)、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ(SSD)のような不揮発性の記録媒体などが含まれる。
以上のように構成された燃焼器2の作用効果について以下に説明する。
図1の燃焼器2による燃料の燃焼方法では、燃焼の開始時では、燃焼性の高い水素ガスが各パイロットバーナ14に送り込まれて、先ずこの水素ガスを点火させる。この水素ガスを点火させた後に難燃性の高いアンモニアガスを供給する。
ここで、先ず、各パイロットバーナ14から噴出された水素ガスが点火プラグ7により点火されてパイロット火炎が形成される。次に、難燃性の高いアンモニアガスがスワラ23を介して、燃焼器本体4内に旋回気流S1として送り込まれる。ここで、各パイロットバーナ14のパイロット火炎からアンモニアガスに火移りし、予混合火炎を形成し、出力口24から炎が噴出される。
この構成により、先ずは燃焼性の高い水素ガスを燃焼させて円周方向において安定した火炎を形成した後に難燃性の高いアンモニアガスへの火移りの効率を向上させることにより、該アンモニアガスの燃焼をより安定させることが可能となる。従って、アンモニアガスの燃焼をより安定させることが可能となるので、難燃性の高いアンモニアガスによる火炎を形成させてより安定的にアンモニアガスを燃焼させることが可能となる。ここで、「アンモニアによる火炎を形成させて安定的にアンモニアを燃焼させる」という効果には、燃料が燃焼状態を変化させる状態である燃焼変動を小さくするという効果を含み、さらには、燃焼が間歇的に起こることによる燃焼ガス圧の脈動に起因する装置全体を震わせる現象である燃焼振動を小さくするという効果も含んでいる。
上述したように、図1の燃焼器2では、難燃性の高いアンモニアガスを燃焼させる前に燃焼性の高い水素ガスに燃焼させた後にアンモニアガスに火移りさせてアンモニアガスを安定的に燃焼させている。本発明では、誘電バリア放電を利用してアンモニアガスから水素ガスを分離生成しており、この誘電バリア放電と点火プラグ7の火花放電とが共通の制御装置1において制御されることを特徴としている。以下に、図2の点火システム10の動作について説明する。
図3は図2の点火システム10の動作を示す各信号のタイミングチャートである。ここで、図3はパルス信号である点火信号SがIGBT31に入力されたときの点火システム10の動作について説明したタイミングチャートである。
図3(a)は点火信号Sの時間tに対する振幅レベルの変化を示す時間軸波形図であり、図3(b)は図3(a)の点火信号Sの時間軸波形図と経過時間軸を共通にし、二次コイルL2に誘起される二次電圧Vの時間tに対する振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図3(a)、(b)に示すように、最初の1パルスでは、一次コイルL1に流れる一次電流I1の通電及び遮断を制御するIGBT31に入力される点火信号Sは、時間t0から時間t1までハイレベル信号である。ここで、時間t0のとき、IGBT31はオンされ一次コイルL1に流れる一次電流I1の通電が開始され、一次コイルL1のL成分により一次電流I1は徐々に上昇していく。ここで、一次電流I1が上昇し始めると同時に二次電圧Vはオン時電圧V3まで急峻に立ち上がった後にIGBT31のオン期間(時間期間T1)にわたって徐々に減衰していく。この減衰は、バッテリー6の内部抵抗及びバッテリー6と一次コイルL1との間の配線抵抗により、一次コイルL1に流れる一次電流I1の電流量に応じて一次コイルL1の両端間電圧が徐々に下降することに起因する。すなわち、二次コイルL2の両端間電圧は一次コイルL1の両端間電圧にそれぞれのコイルの巻き数比を乗じた値となるので、一次コイルL1の両端間電圧の下降に応じて二次コイルL2の両端間電圧である二次電圧Vは電圧V4まで徐々に下降することとなる。これにより、誘電体バリア放電リアクタ8に正極性のパルス電圧が印加される。
次に、時間t1のとき、点火信号Sはローレベルとなり、IGBT31は遮断され、一次電流I1はゼロとなる。これにより、一次電流I1が急変動すると、これに応じて二次コイルL2が励起され、数百Vの高電圧を発生する。この高電圧を受けて、点火プラグ7で火花放電が生じるとともに誘電体バリア放電リアクタ8に負極性のパルス電圧が印加されて誘電体バリア放電が生じる。詳細には、IGBT31が遮断したタイミングにおいて二次コイルL2に発生する二次電圧Vの極性がIGBT31のオン時電圧降下とは逆向きとなり、二次コイルL2の二次電圧Vは負極性の高電圧(容量放電電圧V1)まで急峻に立ち上がる。そして、二次電圧Vが急峻に立ち上がった直後には、IGBT31のオフ期間(時間期間T2)中には二次電圧Vは電圧V2となる。なお、電圧V2は誘導放電電圧と言われ、点火プラグ7と誘電体バリア放電リアクタ8との物理的な距離などで決定される。
上述したオン時電圧V3及び容量放電電圧V1はそれぞれ次式により算出することができる。ここで、Vbはバッテリー6の電源電圧であり、n1は一次コイルL1の巻き数であり、n2は二次コイルL2の巻き数であり、VclはIGBT31のクランプ電圧であり、V1は容量放電電圧であり、V3はオン時電圧である。
Figure 2020183844
なお、上述した最初の1パルス信号(時間t0〜時間t2)以降のパルス信号(時間t2以降のパルス信号)についても最初の1パルス信号と同様の動作が繰り返される。
上述したように、IGBT31がオフするタイミングにおいて、点火プラグ7で火花放電が生じる。すなわち、図3を参照すると、時間t1、t3、t5のときに点火プラグ7で火花放電が生じる。
また、二次コイルL2の両端間電圧である二次電圧Vは、IGBT31のオン期間(時間期間T1)では正極性のパルス電圧として誘電体バリア放電リアクタ8に印加され、IGBT31のオフ期間(時間期間T2)では負極性のパルス電圧として誘電体バリア放電リアクタ8に印加される。すなわち、図3を参照すると、時間t0、t2、t4のときに正極性のパルス電圧が誘電体バリア放電リアクタ8に印加され、時間t1、t3、t5のときに負極性のパルス電圧が誘電体バリア放電リアクタ8に印加される。これにより、正極性及び負極性の極性が反転するタイミングで誘電体バリア放電が発生し、難燃性の高いアンモニアガスが大気圧非平衡プラズマ化されてアンモニアガスよりも燃焼性が高い水素ガスをアンモニアガスから分離生成することが可能となる。
以上の実施形態に係る点火システム10によれば、同一のパルス信号を用いて点火プラグ7に対する点火放電と、難燃性の高いアンモニアガスをプラズマ化するための誘電体バリア放電とを行うことが可能となる。従って、上述したアンモニアを効率良く燃焼させる技術において、必要とする水素ガスの生成に誘電体バリア放電を発生させるための制御装置を別途必要とすることがないので、製造コストの上昇を抑制することが可能となる。
また、本実施形態では、難燃性燃料としてアンモニアを用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、難燃性燃料としてアンモニア化合物や他の難燃性燃料を用いてもよく、さらに、それらを主原料として炭素系化合物などの他の物質が混合されていてもよい。すなわち、本発明は、投入された燃料が内部で燃焼される燃焼器本体と、燃焼器本体内に設けられ、第1燃料を燃焼器本体内に旋回気流として送り込むスワラと、誘電体バリア放電により第1燃料を改質して、第1燃料よりも燃焼性が高い第2燃料を生成する改質器と、燃焼器本体内に第1燃料よりも燃焼性が高い第2燃料を噴出するパイロットバーナと、パイロットバーナを点火する点火プラグと、点火プラグの点火動作を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、改質器内の誘電体バリア放電を制御する燃焼器においても適用することが可能である。
また、本実施形態では、各種メモリに保持されている燃焼制御に関する制御処理や演算処理を行うCPUや燃焼制御に必要なデータやプログラム等を用いて駆動部32はIGBT31の通電または遮断を制御するように構成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、駆動部32は、バッテリー6の電圧及び一次コイルL1とスイッチング素子であるIGBT31との間の電圧のうちの少なくとも一つの電圧に基づいてIGBT31の通電または遮断を制御するように構成されてもよい。この場合においても、本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、本実施形態と比較すると、二次コイルL2の両端間電圧は、一次コイルL1の両端間電圧に巻き数比を乗じた値となるので、二次コイルL2の両端間電圧の値を容易に把握することが可能となる。
さらに、本実施形態では、二次コイルL2から改質器13及び点火プラグ7に直接的にエネルギーを供給するように構成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、二次コイルL2と点火プラグ7の放電極7aとの間にツェナーダイオードまたは抵抗が接続されるように構成されてもよいし、もしくは二次コイルL2と誘電体バリア放電リアクタ8との間にツェナーダイオードまたは抵抗が接続されるように構成されてもよい。この場合においても、本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、本実施形態と比較すると、二次コイルL2から改質器13及び点火プラグ7に供給するエネルギーを調整することが可能となる。
本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 制御装置
2 燃焼器
4 燃焼器本体
5 点火コイル
6 バッテリー
7 点火プラグ
8 誘電体バリア放電リアクタ
10 点火システム
13 改質器
14 パイロットバーナ
18 底部
20 蓋部
21 バルブ
22 投入口
23 スワラ
24 出力口

Claims (7)

  1. 一次電流が流れる一次コイルと、前記一次電流の増減により二次電流を発生させる二次コイルとを有する点火コイルと、
    前記二次コイルに電気的に接続された放電極を一端に有する点火プラグと、
    誘電体バリア放電を発生させる誘電体バリア放電リアクタとを備え、
    前記点火プラグの放電極と前記誘電体バリア放電リアクタとが電気的に接続される点火システム。
  2. 前記二次コイルと前記点火プラグの放電極との間にツェナーダイオードまたは抵抗が接続される請求項1記載の点火システム。
  3. 前記二次コイルと前記誘電体バリア放電リアクタとの間にツェナーダイオードまたは抵抗が接続される請求項1又は2記載の点火システム。
  4. 前記一次コイルに接続されたバッテリーと、前記一次コイルの一次電流の増減を制御する点火コイル駆動用回路とをさらに備え、
    前記点火コイル用駆動回路は、
    前記点火コイルの一次コイルに接続されるスイッチング素子と、
    前記スイッチング素子の通電または遮断を制御する駆動部とを備え、
    前記駆動部は、バッテリーの電圧及び前記一次コイルと前記スイッチング素子との間の電圧のうちの少なくとも一つの電圧に基づいて前記スイッチング素子の通電または遮断を制御する請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の点火システム。
  5. 前記誘電体バリア放電により第1燃料を改質して、前記第1燃料よりも燃焼性が高い第2燃料を生成する改質器をさらに備え、
    前記駆動部は、前記改質器内における前記誘電体バリア放電を制御する請求項4記載の点火システム。
  6. 投入された燃料が内部で燃焼される燃焼器本体と、
    前記燃焼器本体内に設けられ、第1燃料を前記燃焼器本体内に旋回気流として送り込むスワラと、
    誘電体バリア放電により前記第1燃料を改質して、前記第1燃料よりも燃焼性が高い第2燃料を生成する改質器と、
    前記燃焼器本体内に前記第1燃料よりも燃焼性が高い第2燃料を噴出するパイロットバーナと、
    前記パイロットバーナを点火する点火プラグと、
    前記点火プラグの点火動作を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記改質器内の前記誘電体バリア放電を制御する燃焼器。
  7. 前記第1燃料はアンモニアガスであり、前記第2燃料は水素ガスである請求項6記載の燃焼器。
JP2019088968A 2019-05-09 2019-05-09 点火システム及び燃焼器 Active JP7324044B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019088968A JP7324044B2 (ja) 2019-05-09 2019-05-09 点火システム及び燃焼器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019088968A JP7324044B2 (ja) 2019-05-09 2019-05-09 点火システム及び燃焼器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020183844A true JP2020183844A (ja) 2020-11-12
JP7324044B2 JP7324044B2 (ja) 2023-08-09

Family

ID=73044188

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019088968A Active JP7324044B2 (ja) 2019-05-09 2019-05-09 点火システム及び燃焼器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7324044B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022109395A (ja) * 2021-01-15 2022-07-28 中外炉工業株式会社 工業炉
WO2023153040A1 (ja) * 2022-02-10 2023-08-17 株式会社Ihi フレアスタックおよびフレアスタックを備えるシステム
WO2023234110A1 (ja) * 2022-05-31 2023-12-07 株式会社豊田自動織機 燃焼器及びアンモニアエンジンシステム

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0437642Y2 (ja) * 1987-02-16 1992-09-03
JPH06323229A (ja) * 1993-04-22 1994-11-22 Robert Bosch Gmbh 内燃機関用点火装置
JP2016196849A (ja) * 2015-04-03 2016-11-24 株式会社デンソー 内燃機関用点火制御装置
JP2018021519A (ja) * 2016-08-04 2018-02-08 株式会社デンソー 点火制御システム
JP2018188315A (ja) * 2017-04-28 2018-11-29 国立大学法人岐阜大学 水素生成装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0437642Y2 (ja) * 1987-02-16 1992-09-03
JPH06323229A (ja) * 1993-04-22 1994-11-22 Robert Bosch Gmbh 内燃機関用点火装置
JP2016196849A (ja) * 2015-04-03 2016-11-24 株式会社デンソー 内燃機関用点火制御装置
JP2018021519A (ja) * 2016-08-04 2018-02-08 株式会社デンソー 点火制御システム
JP2018188315A (ja) * 2017-04-28 2018-11-29 国立大学法人岐阜大学 水素生成装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022109395A (ja) * 2021-01-15 2022-07-28 中外炉工業株式会社 工業炉
WO2023153040A1 (ja) * 2022-02-10 2023-08-17 株式会社Ihi フレアスタックおよびフレアスタックを備えるシステム
WO2023234110A1 (ja) * 2022-05-31 2023-12-07 株式会社豊田自動織機 燃焼器及びアンモニアエンジンシステム

Also Published As

Publication number Publication date
JP7324044B2 (ja) 2023-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7236348B2 (ja) アンモニアの燃焼方法及びアンモニアの燃焼システム
JP7324044B2 (ja) 点火システム及び燃焼器
US10508637B2 (en) Ignition control system
JP6615461B2 (ja) イグナイタランスおよびイグナイタランスを有するバーナを作動させる方法
JP5216369B2 (ja) バーナおよびその運転方法
US20170096979A1 (en) Ignition device controlling streamer discharge and arc discharge
Korolev et al. Nonsteady-state processes in a plasma pilot for ignition and flame control
JP7205986B2 (ja) 燃料の燃焼装置
Korolev et al. Plasma-assisted combustion system based on nonsteady-state gas-discharge plasma torch
JP5496297B2 (ja) 内燃機関の点火装置
WO2021157302A1 (ja) 燃焼器
JP4367255B2 (ja) 燃焼装置
US9863635B2 (en) Combined ignitor spark and flame rod
JP5458276B2 (ja) 内燃機関の点火方法
JP6491876B2 (ja) バーナコントローラおよび燃焼制御装置
WO2021033323A1 (ja) 燃料の燃焼装置
JP2007309098A (ja) 内燃機関用点火コイル
JP4784180B2 (ja) メロディーicを利用するスパーク点火方法とその装置
JP2011018593A (ja) プラズマ点火装置
JP2006070830A (ja) 内燃機関用点火装置
JP6401011B2 (ja) 内燃機関用多重点火装置
JP6904163B2 (ja) 水素ガスバーナー装置
JP2012067708A (ja) 内燃機関の火花点火方法
JP2020091071A (ja) 特殊バーナ
JP2018206685A (ja) 燃料電池システム

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190509

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20191212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20191212

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220426

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20220426

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20220426

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20220907

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20221111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230315

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230728

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7324044

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150