JP2020172713A - 不織布製品の製造方法及び不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な厚みを具備しつつ、表面の滑らかさ、クッション性及び柔軟性に優れた不織布を具備する、不織布製品の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の不織布製品の製造方法は、ウエブ又は不織布にカレンダー加工を施すカレンダー工程と、前記カレンダー加工を施したウエブ又は不織布に凹凸賦形加工を施す凹凸賦形工程とを具備する。前記カレンダー工程は、前記ウエブ又は不織布を構成する構成繊維の融点よりも40℃以上低い温度にして行う。前記凹凸賦形工程を、前記不織布製品の製造工程における最後の前記カレンダー工程後に行う。【選択図】図2

Description

本発明は不織布製品の製造方法及び不織布に関する。
使い捨ておむつ等の吸収性物品や、マスク、清掃シート等の不織布製品の用途に応じた物性を付与する観点から、該不織布製品に用いられるウエブ又は不織布に圧縮加工や延伸加工等の各種加工を施すことが知られている。例えば、本出願人は、先に、弾性繊維を含み、且つエアスルー方式の熱風処理を施して得られた繊維シートを一対の歯溝ロールの噛み合い部分に供給して、該繊維シートを歯溝ロールの周面方向(即ちシートの長手方向)へ延伸させる延伸加工を施す、弾性不織布の製造方法を提案している(特許文献1)。
また、特許文献2には、不織布を幅方向に延伸する工程と、該延伸する工程によって延伸された不織布を厚み方向に圧縮する工程とを含む、伸縮性シートの製造方法が記載されている。
特開2009−030181号公報 特開2012−214921号公報
吸収性物品や清掃シート等の不織布を構成部材として含む不織布製品には、肌触りや、汚れの捕集性等の用途や機能の観点から、厚みがあり、表面が滑らかで、クッション性及び柔軟性に優れる不織布を用いることが望まれている。しかしながら、一般的に、不織布の表面を滑らかにすると、厚みや柔軟性が低下する傾向があり、不織布の厚みを大きくすると、表面が毛羽立ち、滑らかさが低下する傾向がある。特に凹凸賦形が施された不織布では、十分な厚みを具備しつつ、優れた表面の滑らかさ、クッション性及び柔軟性を得ることに改善の余地があった。
したがって本発明の課題は、十分な厚みを具備しつつ、表面の滑らかさ、クッション性及び柔軟性に優れる不織布製品の製造方法を提供することにある。
本発明は、ウエブ又は不織布にカレンダー加工を施すカレンダー工程と、前記カレンダー加工を施したウエブ又は不織布に凹凸賦形加工を施す凹凸賦形工程とを具備する、不織布製品の製造方法であって、前記カレンダー工程は、前記ウエブ又は不織布を構成する構成繊維の融点よりも40℃以上低い温度にして行い、前記凹凸賦形工程を、前記不織布製品の製造工程における最後の前記カレンダー工程後に行う、不織布製品の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、下記方法により求められる厚みの均一率が12%以下である、不織布を提供するものである。
〔厚みの均一率の測定方法〕
株式会社キーエンス製VHX−8000を用いて、不織布の断面を50倍に拡大観察し、該不織布における凸部の頂部、凹部の底部、及び該頂部と該底部との間の中間部それぞれの任意の10箇所の厚みを測定し、該頂部の厚みの平均値を凸部の厚みとし、該底部の厚みの平均値を凹部の厚みとし、該中間部の厚みの平均値を中間部の厚みとする。次いで、凸部の厚み、凹部の厚み、及び中間部の厚みの平均値を求め、これを平均厚みとし、凸部の厚み、凹部の厚み、及び中間部の厚みのうち、値が最大のものを最大厚みとし、値が最小のものを最小厚みとし、下記式(1)により、厚みの均一率を求める。
厚みの均一率(%)={(T1−T2)/T3}×100 ・・・(1)
T1:最大厚み
T2:最小厚み
T3:平均厚み
本発明によれば、十分な厚みを具備しつつ、表面の滑らかさ、クッション性及び柔軟性に優れた不織布、及びそれを具備する不織布製品が得られる。
図1は、本発明の不織布製品の製造装置の一実施形態を示す模式図である。 図2は、図1に示す製造装置におけるカレンダー加工装置及び凹凸賦形装置を示す斜視図である。 図3は、図1に示す製造装置における一対の歯溝ロールの噛み合い部分を示す拡大断面図である。 図4は、図1に示す製造装置により製造された不織布の一実施形態を示す斜視図である。 図5は、図4に示す不織布のII−II線拡大断面図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の不織布製品の製造方法に用いられる、不織布製品の製造装置100が模式的に示されている。不織布製品は、不織布からなる製品又は該不織布を構成部材として具備する製品を意味する。図1に示す製造装置100は、製造工程の上流側から下流側に向けて、即ちMD方向(機械流れ方向)に沿って、加工前不織布製造装置20、カレンダー加工装置30、及び凹凸賦形装置40をこの順で備えている。後で詳述するように、本発明は、凹凸賦形工程を、不織布製品の製造工程における最後のカレンダー工程後に行えばよく、他の工程で用いられる装置の設置順は本実施形態の順に限られない。例えば、カレンダー加工装置30がウエブ形成装置21と熱風炉24の間に設けられていてもよい。また、カレンダー加工装置30が、ウエブ形成装置21と熱風炉24の間と、熱風炉24の後の両方に設けられていてもよい。
加えて、凹凸賦形加工された不織布は、必ずしも図1に示すような不織布ロールにされなくてもよい。例えば、凹凸賦形加工の後に他の部材と貼り合わされるなどして、同一の製造装置内で不織布製品まで製造されてもよい。
カレンダー加工装置30は、周面が平滑な一対のフラットロール31,33を具備している。即ち、カレンダー加工装置30は、一対のフラットロール31,33間で加工前不織布10Bを挟圧することにより、加工前不織布10Bにカレンダー加工を施す。加工前不織布10Bは、カレンダー加工工程の加工対象となるウエブ又は不織布10Bである。また、後述する凹凸賦形工程の加工対象となる不織布10Cをカレンダー加工済不織布10Cという。これら加工前不織布10Bと、カレンダー加工済不織布10Cとは、凹凸賦形工程を経て得られた不織布10と区別するものとする。また、加工前不織布10Bと、カレンダー加工済不織布10Cとを纏めて、加工対象不織布10Aともいう。本実施形態におけるカレンダー加工工程の加工対象は不織布であるが、該加工対象は、不織布化されていないウエブであってもよい。
製造装置100は、加工前不織布製造装置20によって得られた加工前不織布10Bをカレンダー加工装置30によってカレンダー加工した後、さらに凹凸賦形装置40によって凹凸賦形加工を行い、不織布10を製造する(図1参照)。
本実施形態において加工前不織布製造装置20は、加工前不織布10Bの製造装置であり、ウエブ形成装置21と熱風炉24とを具備している。本装置20は、ウエブ形成装置21によって形成されたウエブを、熱風炉24によってエアスルー処理を施して、エアスルー不織布を製造するものである。
ウエブ形成装置21は、加工前不織布10Bの前駆体であるウエブの製造装置であり、本実施形態においてはカード機を用いている。カード機としては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。ウエブ形成装置21には、カード機に代えて、他のウエブ形成装置、例えばエアレイド装置等を用いることもできる。ウエブ形成装置21により製造されたウエブ3は熱風炉24に搬送される。本実施形態においてウエブや加工前不織布等の加工対象物は、コンベア等の搬送装置によって搬送される(不図示)。
熱風炉24は、所定温度に加熱された加熱ガス、特に加熱空気が吹き出すようになされており、ウエブ3にエアスルー処理を施すことができる。ウエブ3が熱風炉24内に導入されると、該ウエブ3の上方から下方に向けて、若しくはその逆方向に、又は両方向に加熱ガスが強制的に貫通する。これにより、ウエブ3が繊維シート化した加工前不織布10Bが得られる。
凹凸賦形装置40は、一対の歯溝ロール41,43を具備している。一対の歯溝ロール41,43は、それぞれの周面に、ロールの回転方向に延び且つ互いに噛み合う歯溝を有している。より具体的には、一対の歯溝ロール41,43は、大径部41a,43aと小径部41b,43bとが軸方向に交互に形成されてなり、互いに噛み合いが可能になっている。具体的には、歯溝ロール41,43は、その周面において、軸方向に隣り合う大径部どうしの間に小径部を有しており、一対の歯溝ロール41,43の噛み合い部分において、一方の歯溝ロールの大径部と、他方の歯溝ロールの小径部とが対向している(図3参照)。一対の歯溝ロール41,43間に、カレンダー加工を施したカレンダー加工済不織布10Cが噛み込まれることで、凹凸賦形装置40は、該不織布10CのCD方向に沿う断面形状が波形となるように、該不織布10Cに凹凸賦形加工を施す。この凹凸賦形加工によって、不織布製品に用いられる不織布10が得られる。
以上の構成を有する装置を用いた不織布製品の製造方法について説明する。本実施形態の不織布製品の製造方法は、ウエブ形成工程、不織布化工程、カレンダー工程、及び凹凸賦形工程を具備する。本実施形態において、カレンダー加工工程及び凹凸賦形工程は、不織布10Bを加工対象とするが、不織布化されていないウエブを加工対象としてもよい。
本実施形態における製造方法は、加工前不織布製造装置20によるウエブ形成工程と不織布化工程とを具備する。ウエブ形成工程では、ウエブ形成装置21であるカード機によってウエブ3を製造する。前記ウエブ3は一方向に連続搬送され、熱風炉24に導入される。
ウエブ3の構成繊維としては、繊維形成性の樹脂を原料とする合成繊維や、親水性繊維を用いることができる。合成繊維としては、例えば各種の熱可塑性樹脂からなる繊維が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニルやポリスチレン等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリパーフルオロエチレン等のフッ素樹脂などが挙げられる。親水性繊維としては、木材パルプ、コットン、シルク等の天然繊維や、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、リヨセル等の精製繊維等が挙げられる。また、前記構成繊維は、1種類の合成樹脂又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の合成樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維(熱可塑性繊維)で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した構造で、単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯鞘型、サイドバイサイド型等があるが、特に制限されない。上述した各種繊維のうち一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
不織布化工程では、ウエブ3が不織布化される。本実施形態においては、ウエブ3がエアスルー方式の熱風炉24に搬送されると、エアスルー処理が施される。このエアスルー処理によって、ウエブ3の構成繊維どうしの交点が熱融着して、エアスルー不織布(加工前不織布10B)が得られる。加工前不織布10Bは、一定幅を有して一方向に延びる長尺帯状のものである。加工前不織布10Bは、カレンダー加工装置30へ搬送される。
カレンダー工程では、図1及び図2に示すように、加工前不織布10Bを一対のフラットロール31,33間で挟圧することにより、加工前不織布10Bにカレンダー加工を施す。これにより、カレンダー加工済不織布10Cが得られる。カレンダー工程におけるカレンダー加工は、カレンダー加工済不織布10Cは、凹凸賦形装置40へ搬送される。本発明の製造方法は、カレンダー工程を少なくとも1回具備するが、複数回具備してもよい。カレンダー工程を複数回具備する場合、例えばMD方向に沿って、一対のフラットロールを2組以上配置させる。MD方向に沿って、一対のフラットロールを2組配置する製造装置では、カレンダー工程が2工程行われる。
上記と同様の観点から、カレンダー工程は、加工前不織布10Bを構成する構成繊維の融点よりも十分低い温度にして行う。具体的には、加工前不織布10Bを構成する構成繊維の融点よりも40℃以上低い温度、好ましくは該融点よりも60℃以上低い温度、より好ましくは該融点よりも80℃以上低い温度で、カレンダー加工を行う。「構成繊維の融点よりも十分低い温度でカレンダー工程を行う」とは、加工前不織布10Bを、その構成繊維の融点よりも低い温度にした状態で、該加工前不織布10Bにカレンダー加工を施すことを意味する。このようなカレンダー加工は、例えば、一対のフラットロール31,33の表面温度を、加工前不織布10Bを構成する構成繊維の融点よりも40℃以上低い温度にして行う。カレンダー工程を複数回具備する場合、全てのカレンダー工程は、加工前不織布10Bを構成する構成繊維の融点よりも40℃以上低い温度にして行うことが好ましい。本願明細書において「構成繊維の融点」とは、ウエブ又は不織布が融点の異なる2種以上の構成繊維を含んでいる場合、それら複数の構成繊維の中で最も低い融点を意味する。また、本願明細書において「構成繊維の融点」とは、ウエブ又は不織布の構成繊維が融点の異なる2種以上の樹脂を含むものである場合、例えば、融点の異なる2種以上の樹脂を含む複合繊維である場合、その2種以上の樹脂のうち相対的に融点が低い方の樹脂の該融点を意味する。構成繊維の融点は、後述する方法により測定できる。
カレンダー工程における温度を、一対のフラットロール31,33の表面温度により調整する場合、一対のフラットロール31,33の表面温度は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。例えば、一対のフラットロール31,33のうち一方を40℃に設定し、他方を80℃に設定してもよい。一対のフラットロール31,33の表面温度は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上、殊更好ましくは25°以上であり、また好ましくは90℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下、殊更好ましくは35°以下である。
後述する厚みの均一性をより向上させる観点と適度な厚みを保持させる観点から、一対のフラットロール31,33は加熱しないで用いることが好ましい。この場合、一対のフラットロール31,33の表面温度は室温であるか、又は摩擦によって室温よりも若干高い温度になっている。
凹凸賦形工程では、図2及び図3に示すように、一対の歯溝ロール41,43にカレンダー加工済不織布10Cを導入し、該一対の歯溝ロール41,43間にカレンダー加工済不織布10Cが噛み込まれることで、凹凸賦形加工を施す。本発明の製造方法は、凹凸賦形工程を少なくとも1回具備するが、複数回具備してもよい。凹凸賦形工程を複数回具備する場合、例えばMD方向に沿って、一対の歯溝ロールを2組以上配置させる。MD方向に沿って、一対の歯溝ロールを2組配置する製造装置では、凹凸賦形工程が2工程行われる。
凹凸賦形工程は、不織布製品の製造工程における最後のカレンダー工程後に行う。例えば、不織布製品の製造方法がカレンダー工程を複数回具備する場合、複数回あるカレンダー工程の内、最後に行われるカレンダー工程の後に、凹凸賦形工程を具備する。即ち、不織布10の製造方法の最終工程、及び不織布製品の製造方法の最終工程で、カレンダー工程は行わない。本実施形態の製造方法では、凹凸賦形工程後に、不織布製品に用いられる不織布10が得られる。この不織布10は、不織布製品に組み込むための加工等の処理が施されるが、カレンダー加工はされない。
上述した製造方法によって得られた不織布10は、図4及び図5に示すように、凹凸賦形加工により形成された凹部11及び凸部12を有し、且つ厚みを有する。さらに、凹凸賦形工程の前にカレンダー工程を行っていることによって、表面の平滑性、クッション性及びシート全体の柔軟性に優れる。不織布10が前記平滑性、クッション性及び柔軟性を有することについては以下の理由が考えられる。不織布10は、凹凸賦形により見かけの厚みが大きくなることに加え、凹凸賦形の前に構成繊維の融点よりも十分低い温度でカレンダー加工を施すことによって、不織布10の部位ごとの厚み差が小さくなることに起因して均質な反発力を有する。これにより、厚み方向の圧縮に対する圧縮回復性が高まって、クッション性に優れる。また、不織布10は、前記の均質な反発力を有することにより、外力に対する変形性にもムラが生じ難いので、不織布全体としての柔軟性に優れる。この不織布10は、滑らかな手触りでありつつ、ヒトの手で押圧した際に良好なクッション感を示し、またヒトの手で揉んだ際に柔らかな感触を示す。そのため、当該不織布10を具備する不織布製品の機能性の向上に寄与する。
前述の厚みの均一性をより向上させる観点から、一対のフラットロール31,33によって挟圧される加工前不織布10Bに加わる線圧は、好ましくは300N/cm以上、より好ましくは500N/cm以上、さらに好ましくは700N/cm以上、殊更好ましくは800N/cm以上であり、また好ましくは1500N/cm以下、より好ましくは1200N/cm以下、さらに好ましくは1000N/cm以下、殊更好ましくは900N/cm以下である。
不織布の厚みをより容易に確保する観点から、カレンダー工程において、一対のフラットロール31,33の何れか一方は、表面を形成する材料の表面硬度が、好ましくは70度以上、より好ましくは80度以上であり、また好ましくは100度以下、より好ましくは90度以下である。前記表面硬度は、JIS K7215で規定されるD硬度である。表面を形成する材料は、カレンダー工程において、加工前不織布10Bと接触する部分を構成する材料である。
上記と同様の観点から、一対のフラットロール31,33の何れか一方は、表面を形成する材料が、硬質ゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、NBR、EPDM等の樹脂、アラミド、コットン、ペーパー等であることが好ましい。
本実施形態の凹凸賦形工程は、図2に示すように、カレンダー加工済不織布10CのCD方向の端部を固定しない状態で行っているが、凹凸賦形工程は、必要に応じて、カレンダー加工済不織布10CのCD方向の端部を固定して、該CD方向に延伸させる状態で行ってもよい。CD方向とは、MD方向に直交する方向であり、本実施形態においては長尺帯状の不織布10Cの長手方向に直交する方向(幅方向)である。
クッション性をより向上させる観点から、凹凸賦形工程は、カレンダー加工済不織布10CのCD方向の端部を固定しない状態で行っていることが好ましい。
また、凹凸賦形工程と同様に、カレンダー工程も、加工前不織布10BのCD方向の端部を固定しない状態で行っていてもよく、該CD方向の端部を固定して、該CD方向に延伸させる状態で行ってもよい。
不織布の柔軟性をより向上させる観点から、凹凸賦形工程は、加工対象不織布10Aを構成する構成繊維の融点未満の温度にして行うことが好ましい。このような凹凸賦形加工は、例えば、一対の歯溝ロール41,43の表面温度を、加工対象不織布10Aを構成する構成繊維の融点未満にして行う。凹凸賦形工程を複数回具備する場合、全ての凹凸賦形工程は、加工対象不織布10Aを構成する構成繊維の融点未満の温度にして行うことが好ましい。
前記構成繊維の融点は、示差走査型熱量計(例えば、セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用いた熱分析により測定することができる。具体的には、ウエブ又は不織布の任意の10箇所から細かく裁断した繊維試料(1.0mg)の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、測定される繊維の構成成分の融解ピーク温度を構成繊維の融点とする。融解ピーク温度が複数存在する場合、これらのうち最も低い融解ピーク温度を構成繊維の融点とすることが好ましい。
カレンダー工程と同様に、凹凸賦形工程における温度を、一対の歯溝ロール41,43の表面温度により調整する場合、一対の歯溝ロール41,43の表面温度は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。一対の歯溝ロール41,43の表面温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上であり、また好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。
前述の厚みの均一性をより向上させる観点から、一対の歯溝ロール41,43は加熱しないで用いることが好ましい。この場合、一対の歯溝ロール41,43の表面温度は室温であるか、又は摩擦によって室温よりも若干高い温度になっている。
得られる不織布10の厚みの均一性をより向上させる観点から、一対の歯溝ロール41,43における各寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
歯溝ロール41,43の軸方向における大径部のピッチP(図3参照)は、同方向における大径部の幅W(図3参照)に対して好ましくは100%以上、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは170%以上、殊更好ましくは200%以上であり、また好ましくは400%以下、より好ましくは300%以下、さらに好ましくは250%以下である。大径部のピッチPは、一方の歯溝ロールにおいて隣り合う大径部の中央どうし間の長さである。
歯溝ロール41,43の軸方向における大径部のピッチPは、好ましくは0.4mm以上、より好ましくは0.6mm以上、さらに好ましくは1mm以上であり、また好ましくは7mm以下、より好ましくは4mm以下、さらに好ましくは3mm以下、殊更好ましくは2mm以下である。
歯溝ロール41,43の軸方向における大径部の幅W(図3参照)は、歯の強度を考慮すると、歯どうしのピッチの好ましくは0.25以上、より好ましくは0.66以上であり、また好ましくは0.5以下である。さらに、歯溝ロール43,44の各歯の高さHは、繊維性シート10に伸縮性を与えるために延伸倍率を高くすることを考慮すると、歯のピッチが例えば2.0mmの場合は2(ピッチの1倍)mm以上、好ましくは2.5(ピッチの1.25倍)mm以上である。そして同様の観点から、4(ピッチの2倍)mm以下、好ましくは3.5(ピッチの1.75倍)mmである。
歯溝ロール41,43の大径部41a,43aの高さH(図3参照)は、該大径部41a,43aの噛み合い深さD(図3参照)に対して好ましくは100%以上、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上であり、また好ましくは400%以下、より好ましくは300%以下である。大径部41a,43aの高さHは、一方の歯溝ロールにおいて小径部から突出する大径部の突出長さである。大径部の大径部41a,43aの噛み合い深さDは、一対の歯溝ロール41,43を互いに噛み合わせて回転させるとき、一方の歯溝ロールの大径部と他方の歯溝ロールの大径部とが重なり合う長さである。
歯溝ロール41,43の大径部41a,43aの高さHは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは2mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは4mm以下である。
歯溝ロール41,43の大径部41a,43aの噛み合い深さD(図3参照)は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、さらに好ましくは2mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下であり、さらに好ましくは4mm以上である。
凹凸賦形工程は、加工対象不織布10AをMD方向に延伸させながら、凹凸賦形工程を行ってもよい。例えば、一対のフラットロール31,33と一対の歯溝ロール41,43とは、同径のものであるが、その周速を異ならせることで加工対象不織布10AをMD方向に延伸させながら、凹凸賦形工程を行うことができる。より具体的には、一対のフラットロール31,33の周速よりも、一対の歯溝ロール41,43の周速を速くすることで、カレンダー加工装置30と凹凸賦形装置40との間においてカレンダー加工済不織布10Cは、その搬送方向(MD)に引き伸ばされる。
図1に示す形態では、加工前不織布10Bとしてエアスルー不織布を用いている。この場合、エアスルー不織布を製造するエアスルー処理の条件は、熱風風量が好ましくは0.5m/秒以上3m/秒以下であり、動圧が好ましくは0.1Pa以上5Pa以下であり、熱風炉内温度が好ましくは100℃以上150℃以下であり、搬送速度が好ましくは50m/分以上200m/分以下である。熱処理時間は、任意の時間を設定することができる。
図1に示す形態において、加工前不織布10Bはエアスルー不織布であったが、加工前不織布の種類としては、各種製法による不織布を特に制限なく用いることができ、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、高速水流処理により繊維ウエブの構成繊維同士を交絡させて得られる不織布であるスパンレース不織布、エアスルー処理により繊維ウエブの構成繊維同士を熱融着させて得られる不織布であるエアスルー不織布、接着剤で繊維ウエブの構成繊維同士を接着させて得られる不織布であるレジンボンド不織布等が挙げられる。また、加工前不織布10Bは、単層構造の不織布であってもよく、複数の層が積層した積層構造の不織布であってもよい。
前述したように、カレンダー加工工程及び凹凸賦形工程は、不織布化されていないウエブを加工対象としてもよい。この場合、前述したウエブ形成装置21により製造されたウエブ3に対し、カレンダー工程及び凹凸賦形工程を行ってもよい。ウエブは前述したものを用いることができる。ウエブに対し、カレンダー工程を行う場合、当該ウエブは、カレンダー工程によりシート化(不織布化)される。
前述した表面の滑らかさをより向上させる観点から、カレンダー加工工程及び凹凸賦形工程の加工対象であるウエブ3又は不織布10Aは、その構成繊維の繊維径が、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下であり、また好ましくは10μm以上30μm以下、より好ましくは15μm以上20μm以下である。斯かる構成により、凹凸賦形工程後に得られる不織布10の毛羽立ちを効果的に抑制することができる。
図1に示す装置を用いて製造された不織布10は、不織布製品の製造に用いられる。つまり、この実施形態においては、不織布10の製造ラインと、製品の製造ラインとは別である。これに代えて、不織布10の製造ラインと、製品の製造ラインとを一つのラインにして、不織布10の製造と不織布製品の製造とを連続的にインラインで行うこともできる。具体的には、図1に示す製造装置100により製造された不織布10を、所定の製品、例えば吸収性物品、外科用衣類、マスク、清掃シート等の不織布製品を製造するための加工機に連続的に搬送する。そして該加工機において不織布10に対し所定の加工、例えば他の部材との重ね合わせや接合を行う。このようにして、不織布10を構成部材として備えた、不織布製品を製造することができる。また、不織布10に対し、熱風処理等の不織布製品に組み込む加工以外の加工を施してもよい。例えば、不織布10に熱風処理を施した後に、他の部材との重ね合わせや接合を行ってもよい。前記熱風処理は、殺菌や滅菌、または、嵩の厚みを上げる事を目的として行われる処理であり、不織布化を目的とするエアスルー処理と区別される。不織布10の柔軟性を向上させる観点から、熱風処理の条件は、繊維同士を融着させない熱風条件とすることが好ましい。
更に別の実施形態として、カレンダー加工済不織布10Cを一旦巻き取っておき、巻き取られた該カレンダー加工済不織布10Cを繰り出して、不織布製品の製造ライン中で、該カレンダー加工済不織布10Cに凹凸賦形加工を施すと共に、該凹凸賦形加工により得られた不織布10を原料として不織布製品を製造することもできる。
次に、本発明の不織布製品の製造方法によって得られる不織布について詳述する。以下、不織布製品の製造方法によって得られる不織布を、単に不織布10という。
図1に示す製造装置100により得られた不織布10は、その長手方向Xに延びる凹部11及び凸部12を複数有し、該凹部11及び凸部12が幅方向Yにおいて交互に配置されている。幅方向Yは、不織布10の長手方向Xに直交する方向である。図4に示す不織布10の長手方向Xは、製造装置100におけるMD方向と一致し、該不織布10の幅方向Yは、該製造装置100におけるCD方向と一致する。
十分な厚みを確保する観点から、不織布10の見かけの厚みT10(図5参照)が、好ましくは1.2mm以上、より好ましくは1.3mm以上であり、また好ましくは7mm以下、より好ましくは4mm以下、また好ましくは1.2mm以上7mm以下、より好ましくは1.3mm以上4mm以下である。不織布10の見かけの厚みとは、不織布10の厚み方向Zにおける凸部12の頂部aと凹部11の底部bとの間の長さT10であり(図5参照)、厚み測定装置(オムロン株式会社製、ZS−LDC11)を用いて、0.02N/cm荷重下において測定される。
クッション性及び柔軟性をより向上させる観点から、不織布10の厚みの均一率は、現実的には1%以上であり、また好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは6%以下、殊更好ましくは5%以下である。厚みの均一率は、その値が高いほど厚みにムラがあり、その値が低いほど厚みが均一であることを示す。厚みの均一率は、以下の方法により求められる。以下の方法における、凸部の頂部の厚みt1、凹部の底部の厚みt2、及び中間部の厚みt3を図5に示す。中間部は、不織布10の厚みの中心線と重なる部分である。厚みの中心線は、厚み方向における凸部の頂部aと凹部の底部bとの間の長さを2等分する直線である。
〔厚みの均一率の測定方法〕
株式会社キーエンス製VHX−8000を用いて、不織布の断面を50倍に拡大観察し、該不織布における凸部の頂部a、凹部の底部b、及び該頂部aと該底部bとの間の中間部cそれぞれの任意の10箇所の厚みを測定する。前記頂部の厚みt1の平均値を凸部の厚みとし、前記底部の厚みt2の平均値を凹部の厚みとし、前記中間部の厚みt3の平均値を中間部の厚みとする。次いで、凸部の厚み、凹部の厚み、及び中間部の厚みの平均値を求め、これを平均厚みとする。凸部の厚み、凹部の厚み、及び中間部の厚みのうち、値が最大のものを最大厚みとし、値が最小のものを最小厚みとし、下記式(1)により、厚みの均一率を求める。
厚みの均一率(%)={(T1−T2)/T3}×100 ・・・(1)
T1:最大厚み
T2:最小厚み
T3:平均厚み
クッション性をより確実に確保する観点から、不織布10の凸部、凹部、中間部それぞれの厚みは以下の範囲内であることが好ましい。
不織布10の最大厚みT1は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.7mm以上であり、また好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.2mm以下である。
不織布10の最小厚みT2は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、さらに好ましくは0.7以上であり、また好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.2mm以下、さらに好ましくは1以下である。
不織布10の中間部の厚みT3は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.7mm以上であり、また好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.2mm以下である。
クッション性及び柔軟性をより確実に確保する観点から、不織布10の坪量は、好ましくは10g/m以上、より好ましくは20g/m以上であり、また好ましくは60g/m以下、より好ましくは40g/m以下、さらに好ましくは30g/m以下である。
次に、本発明の不織布製品の製造方法によって得られる不織布製品について詳述する。本発明の不織布製品の製造方法によって得られる不織布10は、不織布製品に用いられる。不織布製品は、前述したように、前記不織布10からなる製品又は、該不織布10を構成部材として含む製品である。不織布製品は、以後加工されることなく、用途が特定された製品として市販可能なものであることが好ましい。不織布製品としては、外科用衣類やマスク、使い捨ておむつやナプキン等の吸収性物品、アイマスクタイプ等の温熱具、清掃シート、清拭シート等が挙げられる。例えば、使い捨ておむつの表面シートや、外装体を構成するシートに前記不織布10を用いることができる。肌触りを良好にする観点から、不織布10を肌に接触する部材として用いることが好ましい。肌に接触する部材としては、吸収性物品の表面シートや外装体を構成するシート、温熱具の肌に当たる面を構成するシート等が挙げられる。また、クッション性及び柔軟性が高いと、汚れの捕捉性に優れるので、前記不織布10は、清掃シートに好ましく用いられる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前述した実施形態に制限されない。例えば、前述した実施形態において、エアスルー処理後のエアスルー不織布を、カレンダー工程及び凹凸賦形工程の加工対象不織布としていたが、加工前不織布は、他の加工処理を行った上で、カレンダー加工及び凹凸賦形加工が施されてもよい。例えば、カレンダー加工の前にエンボス加工を施してもよく、カレンダー加工の後で且つ凹凸賦形加工の前にエンボス加工を施してもよい。
また、前述した実施形態において凹凸賦形工程に用いられる一対の歯溝ロール41,43は、その回転方向に延び且つ互いに噛み合う歯溝を周面部に有するものであったが、これに代えて、一対の歯溝ロールは、軸方向に延び且つ互いに噛み合う歯溝を周面部に有するものであってもよい。
また、周面に大径部及び小径部を複数有し、且つ大径部の周囲が小径部に囲まれている歯溝ロールであってもよい。斯かる歯溝ロールを用いた場合、複数の凹部及び凸部が散点状に配置され、該凸部の周囲が該凹部に囲まれている不織布が得られる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図1に示す製造装置を用いて、不織布を製造した。先ず、繊維径19μm、繊維長44mmの繊維(商品名TJ07CE、帝人ファイバー株式会社製)をウエブ形成装置に供給し、ウエブを形成した。この繊維は、ポリエチレンとポリエステルを原料樹脂とする単一繊維であり、融点は130℃であった。ウエブの坪量は25g/mであった。このウエブを熱風炉に連続搬送し、エアスルー処理を施した。エアスルー処理の条件は、熱風炉内温度130℃、熱風風速2.0m/秒、動圧0.1Pa、吹き付け時間10秒とした。このエアスルー処理により、エアスルー不織布が得られた。次いで、エアスルー不織布を一対のフラットロールに供給し、カレンダー加工を施した。一対のフラットロールによって挟圧されるエアスルー不織布に加わる線圧は850N/cmであった。カレンダー加工は、一対のフラットロールを加熱しない状態で行った。一対のフラットロールの表面温度は室温(25℃)であった。一対のフラットロールの表面を構成する材質のD硬度は88度であった。次いで、エアスルー不織布を一対の歯溝ロールに供給し、凹凸賦形加工を施した。一対の歯溝ロールは、図3に示すように、その周面に該ロールの回転方向に延び且つ互いに噛み合う大径部を複数有するものを用いた。歯溝ロールは、軸方向における大径部のピッチPが1.5mm、該軸方向における大径部の幅Wが2.0mm、大径部の高さHが3.2mm、大径部の噛み合い深さDが3.8mmであった。凹凸賦形加工は、一対の歯溝ロールを加熱しない状態で行った。一対の歯溝ロールの表面温度は室温(25℃)であった。カレンダー加工及び凹凸賦形加工における加工対象物(エアスルー不織布)の搬送速度は50m/分であった。次いで、得られた不織布に対し熱風処理を施した。熱風処理の条件は、125℃とし吹き付け時間を10秒とした。このようにして、不織布を製造した。得られた不織布の坪量は25g/mであった。
〔実施例2〕
凹凸賦形加工を、エアスルー不織布のCD方向の端部を固定して、該CD方向に延伸させる状態で行った以外は、実施例1と同様の方法により不織布を製造した。
〔比較例1〕
カレンダー加工を、一対のフラットロールの表面温度を100℃に加熱し、且つ一対のフラットロールにおける一方の材質を鉄とした点以外は、実施例2と同様の方法により不織布を製造した。
〔比較例2〕
凹凸賦形加工を、カレンダー加工の前に行った以外は、実施例1と同様の方法により不織布を製造した。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた不織布の見かけの厚み、凹部の厚み、凸部の厚み、中間部の厚み、厚みの均一率(%)を、前述した方法により求めた。各厚みの測定結果を表1に示す。また、実施例及び比較例で得られた不織布から15cm四方の大きさを切り出して、これを測定片とし、不織布の表面の滑らかさ、クッション性、柔軟性について、下記の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
〔表面の滑らかさの測定〕
実施例及び比較例で得られた不織布の表面の滑らかさを、Courage+Khazaka製フリクシオメーターFR700を用いて測定した。フリクシオメーター(Frictiometer FR700、Courage+Khazaka社製)のヘッドの測定面に測定片を密着させて固定する。測定片を固定したヘッドをプローブに取り付け、実施例、比較例で得られた不織布上に垂直に当て以下の条件で測定する。測定は23℃、50%R.H.の環境下で行う。
・回転速度;50rpm
・測定面積;Φ16mm(テフロン(登録商標)ヘッド)
・圧力;0.7N(3.5kPa)
・測定間隔;1秒
回転開始後10秒から30秒の間における20秒間(20点)の平均値を測定値とした。同様の測定を、部位を変えて3カ所測定し、3点の平均値を測定片との摩擦(フリクシオメーター値)とする。この測定値が小さいほど、触れたときの表面の滑らかさを感じ易い。
〔柔軟性の測定〕
カトーテック株式会社 KES FB3−AUTO−A型装置を用い、加圧面積:2cm、圧縮速度:0.06mm/s、上限荷重:50gf/cm、力計:1kgf、SENS:2、DEF OUT:10、取込み間隔:中速の条件で圧縮仕事量を測定し、柔らかさを評価した。柔らかさの指標である圧縮仕事量は、その値が大きいほどふんわりとしており、風合いが良いと評価される。
〔クッション性の測定〕
前記の圧縮仕事量の測定後、測定片に加えられた荷重を前記の圧縮速度と同速度で取り除き、その過程で回復する測定片の厚みを測定して、荷重−厚みの相関関係を示すグラフを得る。得られたグラフの近似式(一次式)の係数を求め、これをクッション性の指標とした。前記係数の値が、0.4以上0.6以下の範囲内であると、圧縮に対する変形性に優れ、且つ圧縮を解放した際の回復性に優れるので、クッション性が高いと評価できる。一方、前記係数の値が低すぎると、圧縮を解放した際の回復性が低く、前記径数の値が高すぎると、圧縮に対する変形性が低いので、クッション性が低いと評価できる。
Figure 2020172713
表1に示す結果から明らかなように、実施例1及び2の不織布は、比較例1及び2の不織布に比して、見かけの厚みが大きい一方、厚みの均一率が低かった。即ち、実施例1及び2の不織布は、比較例1及び2の不織布に比して厚みが大きくありながら、厚みの均一性に優れていた。
実施例1及び2の不織布は、フリクシオメーター値が比較例1及び2よりも低く、表面の滑らかさに優れていた。また、実施例1及び2の不織布は、圧縮仕事量が比較例1及び2よりも高く、柔軟性に優れていた。また、実施例1及び2の不織布は、前記係数が0.4以上0.6以下の範囲内であり、クッション性に優れていた。
10 不織布
10A 加工対象不織布
10B 加工前不織布
10C カレンダー加工済不織布
20 加工前不織布製造装置
21 ウエブ形成装置
24 熱風炉
30 カレンダー加工装置
31,33 フラットロール
40 凹凸賦形装置
41,43 歯溝ロール
100 製造装置

Claims (7)

  1. ウエブ又は不織布にカレンダー加工を施すカレンダー工程と、
    前記カレンダー加工を施したウエブ又は不織布に凹凸賦形加工を施す凹凸賦形工程とを具備する、不織布製品の製造方法であって、
    前記カレンダー工程は、前記ウエブ又は不織布を構成する構成繊維の融点よりも40℃以上低い温度にして行い、
    前記凹凸賦形工程を、前記不織布製品の製造工程における最後の前記カレンダー工程後に行う、不織布製品の製造方法。
  2. 前記凹凸賦形工程は、前記カレンダー加工を施したウエブ又は不織布の機械流れ方向に直交する直交方向の端部を固定しない状態で行う、請求項1に記載の不織布製品の製造方法。
  3. 前記カレンダー工程は、一対のフラットロールを用いて前記カレンダー加工を施し、該一対のフラットロールの何れか一方は、表面を形成する材料の表面硬度が、JIS K7215で規定されるD硬度で100度以下である、請求項1又は2に記載の不織布製品の製造方法。
  4. 前記凹凸賦形工程は、前記ウエブ又は不織布を構成する構成繊維の融点未満の温度にして行う、請求項1〜3の何れか1項に記載の不織布製品の製造方法。
  5. 前記不織布が、エアスルー不織布である、請求項1〜4の何れか1項に記載の不織布製品の製造方法。
  6. 下記方法により求められる厚みの均一率が12%以下である、不織布。
    〔厚みの均一率の測定方法〕
    株式会社キーエンス製VHX−8000を用いて、不織布の断面を50倍に拡大観察し、該不織布における凸部の頂部、凹部の底部、及び該頂部と該底部との間の中間部それぞれの任意の10箇所の厚みを測定し、該頂部の厚みの平均値を凸部の厚みとし、該底部の厚みの平均値を凹部の厚みとし、該中間部の厚みの平均値を中間部の厚みとする。次いで、凸部の厚み、凹部の厚み、及び中間部の厚みの平均値を求め、これを平均厚みとし、凸部の厚み、凹部の厚み、及び中間部の厚みのうち、値が最大のものを最大厚みとし、値が最小のものを最小厚みとし、下記式(1)により、厚みの均一率を求める。
    厚みの均一率(%)={(T1−T2)/T3}×100 ・・・(1)
    T1:最大厚み
    T2:最小厚み
    T3:平均厚み
  7. 前記平均厚みが0.7mm以上である、請求項6に記載の不織布。
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