JP2010043372A - 平滑性を有するポリフェニレンサルファイド不織布と製造方法およびそれを用いた繊維資材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】使用する樹脂の主成分がポリフェニレンサルファイドである不織布をカレンダー処理することにより平滑処理されたポリフェニレンサルファイド不織布を得る。
【選択図】なし
Description
1.使用する樹脂の主成分がポリフェニレンサルファイドである不織布をカレンダー処理することにより平滑処理されたポリフェニレンサルファイド不織布。
2.請求項1に記載の不織布がスパンボンド不織布であるポリフェニレンサルファイド不織布。
3.請求項1〜2のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド不織布をフィルムあるいは膜の支持体として使用する構造体。
4.紡糸延伸後、移動する捕集装置に捕集され、得られる布帛の第1結晶化温度以下で仮接着を施し、その後緊張下で当該第1結晶化温度以上の温度条件で熱処理したのち、カレンダー処理を施すポリフェニレンサルファイド不織布の製造方法。
5.紡糸延伸の手段が第1段階のみで、紡糸速度2500m/min以上で延伸する請求項4記載のポリフェニレンサルファイド不織布の製造方法。使用する樹脂の主成分がポリフェニレンサルファイドである長繊維不織布。
本発明で使用される耐熱、耐薬品性樹脂はポリフェニレンサルファイドが公知の溶融紡糸設備で繊維化が可能であり好ましい。
本発明でいうポリフェニレンサルファイドに代表されるポリアリーレンスルフィドは、−Ar−S−(Arはアリーレン基)で表されるアリーレンスルフィドを繰返し単位とする芳香族ポリマーである。アリーレン基としては、p−フェニレンの他に、例えばm−フェニレン、ナフチレン基などさまざまなものが知られているが、その耐熱性、加工性、経済的観点から言ってもp−フェニレンスルフィドの繰返し単位が最も優れる。
また、本工程は各用途により求められる厚さ、強力などがことなり、温度、接着圧力といった熱接着条件を変更することで対応することができる。具体的な条件としては、生産速度等、種々影響する要因があり、限定されないが熱接着温度は220℃から270℃、熱接着圧力は40から300kg/cmの範囲から適宜設定される。接着面積率は20から100%、特に100%を意図するカレンダロールによる接着方式がより好ましい。
得られた仮接着前の長繊維フリースの任意部位10箇所からサンプリングした試験片の切断面が観察できるように蒸着セットして、視差走査型電子顕微鏡にて繊維軸を横切る方向にほぼ直角に切断されている任意の繊維50本について写真撮影し、写真を拡大して各繊維の断面から直径を求め、それら値を平均して繊維の直径を算出する。使用樹脂の固形密度と長さ10000mでの重量を計算して求める。
JIS L 1906 5.1記載の方法に準拠し、196mN/cm2の荷重下にてn=10で測定した。
上記方法で得られた単繊維の繊度T(dtex)と設定の単孔吐出量Q(g/min)から下記式に基き、紡糸速度V(m/min)を求める。
V=(10000×Q)/T
JIS K7121に準じてPERKIN−ELMER社製DSC7にて試料を5mg秤量し、20℃から340℃まで20℃/分にて昇温させ、得られる示差熱分析曲線から結晶化ピーク(発熱ピーク)の頂点の温度とする。尚、ピークが複数存在する場合は、最も高温側のピーク頂点の温度とする。試料より、5点採取して得られたピーク頂点の温度の平均値を求める。
JIS K7121に準じて上記同様にPERKIN−ELMER社製DSC7にて試料を5mg秤量し、20℃から340℃まで20℃/分にて昇温させ、得られる示差熱分析曲線から融解ピーク(吸熱ピーク)の頂点の温度とする。尚、ピークが複数存在する場合は、最もピークエリアの広い即ち、主成分の結晶融解ピークの頂点の温度とする。試料より、5点採取して得られたピーク頂点の温度の平均値を求める。
ヤマト科学社製オーブンDS64を使用し180℃×1000時間、曝露させた後、JIS L1906(2000)に準拠して測定した引張強度S1を測定する。予め曝露前に同様の方法で測定した引張強度S0から下記式により、強度保持率Sr(%)を求める。 Sr=(S1/S0)×100
200℃雰囲気下で塩化水素ガス1900ppm、硫黄酸化物ガス2300ppm、水分30%、酸素15%を含む混合ガスを100時間曝露させた後、上記同様に引張強度を測定し、強度保持率(%)を求める。
JIS L1906(2000)に準拠して測定する。尚、恒温槽への挿入条件は180℃×60分とする。
使用原料は株式会社クレハ製ポリフェニレンサルファイドレジン:フォートロンKPSを使用する。使用するレジンのMFRは特に限定されないが60から250から任意に選択する。今回はMFR120を使用し、紡糸温度300℃にてオリフィス径φ0.25mmの紡糸口金より単孔吐出量1.5g/minで紡出し、紡糸口金直下50mmより風速0.5m/secの25℃空気にて冷却しつつ、紡糸口金直下1.0mの位置に配したエジェクタに294kPaの圧力で乾燥エアを供給し、1段階で延伸させ、下方1.0mの位置で10m/minの速度で移動しているコンベアネット上へ繊維束を開繊させつつ捕集しスパンボンド長繊維フリースを得た。得られた長繊維フリースの繊度は3.6dtex、換算した紡糸速度は4167m/minであった。また第1結晶化温度は125℃であった。
その後、インライン上に設置された仮接着用上下ローラーにて上ロールを梨地調カレンダロールとし、温度95℃、線圧8kg/cm、下ロールを非加熱ローラーで把持した。
さらにシート端部をクランプさせながら、180℃に設定された炉内に滞留時間が10秒となるよう炉内加熱区間を1.7mに設定し緊張下での熱処理を施した。
その後、圧着面積率100%のフラットローラーにて温度250℃、線圧50kg/cmで本接着を施し、目付量51g/m2である不織布1を得た。
得られた不織布1の厚さは57μm、CV%=9.2%(標準偏差÷平均値×100)とバラツキも少なく平滑性に優れている。また、耐熱性強度保持率はMD方向(機械方向、以下MD方向とする)92%、CD方向(機械方向と直交する方向、以下CD方向とする)91%、耐薬品性強度保持率はMD方向93%、CD方向94%であった。さらに乾熱収縮率はMD方向−0.1%、CD方向−0.2%であった。初期データからの劣化が少なく、また収縮率も低く高温での寸法安定性に優れた耐熱、耐薬品性不織布である。
移動するコンベア速度を110m/minとする以外に実施例1と同様にしてスパンボンド長繊維フリースを作成し、仮接着温度115℃、線圧10kg/minとする以外実施例1同様に仮接着を施しシート端部をクランプさせながら、200℃に設定された炉内に滞留時間が2.5秒になるよう炉内加熱区間を4.6mに設定し緊張下での熱処理を施した。
その後、圧着面積率100%のカレンダーローラーにて温度240℃、線圧80kg/cmで本接着を施し、目付量29g/m2である長繊維不織布2を得た。
得られた不織布2の厚さは35μm、CV%=7.8%とバラツキも少なく平滑性に優れている。また、融点は282℃、耐熱性強度保持率はMD方向90%、CD方向91%であり、耐薬品性強度保持率はMD方向92%、CD方向93%であった。さらに乾熱収縮率はMD方向0.2%、CD方向0.2%であった。初期データからの劣化が少なく、また収縮率も低く高温での寸法安定性に優れた耐熱、耐薬品性不織布である。
実施例1で用いた樹脂を丸型ノズルよりポリマー温度を300℃とし、単孔吐出量=0.5g/minにて押し出し、1200m/minにて紡糸した。その後トータルデニールが1,000,000dtexとし、延伸倍率2.4、延伸温度160℃にて延伸し、乾燥後60mmにカットし、繊度=1.7dtexの丸断面ポリフェニレンサルファイド短繊維を得た。この繊維を用い、カードウエッブとし、スパンレースにより交絡させた後、圧着面積率100%のカレンダーローラーにて温度250℃、線圧100kg/cmで本接着を施し、目付量135g/m2である不織布3を得た。
得られた不織布3の厚さは150μm、CV%=7.5%とバラツキも少なく平滑性に優れている。また、融点は282℃、耐熱性強度保持率はMD方向93%、CD方向94%であり、耐薬品性強度保持率はMD方向92%、CD方向93%であった。さらに乾熱収縮率はMD方向0.1%、CD方向0.1%であった。初期データからの劣化が少なく、また収縮率も低く高温での寸法安定性に優れた耐熱、耐薬品性不織布である。
仮接着温度を180℃とした以外、実施例1同様にしたところ、当該仮接着時に40%程度幅入りし、スパンボンド長繊維フリースが収縮固化し巻取りできない不適当なシートとなった。
エジェクタに98kPaの圧力で乾燥エアを供給する以外、実施例1と同様にスパンボンド長繊維フリースを得た。得られた長繊維フリースの繊度は6.9dtex、換算した紡糸速度は2174m/minであった。実施例1同様、180℃に設定された炉内に滞留時間が10秒となるよう炉内加熱区間を1.7mに設定し緊張下での熱処理を施したところ、収縮斑が発生しランダムに孔が開き外観上及び強度面も非常な不適当なシートとなった。
使用するレジンを汎用のポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.68、水分率0.002wt%)とし、紡糸温度290℃とした以外、実施例1同様にしてスパンボンド長繊維フリースを得た。得られた長繊維フリースの繊度は3.2dtex、換算した紡糸速度は4688m/minであった。その後の工程も実施例1同様にして実施し目付量51g/m2である長繊維不織布4を得た。
得られた長繊維不織布4の耐熱性強度保持率はMD方向55%、CD方向55%であった。また耐薬品性強度保持率はMD方向20%、CD方向23%であった。さらに乾熱収縮率はMD方向1.0%、CD方向0.3%であった。初期データから大幅に劣化し、支持体などには不適当な不織布であった。
比較例3で使用したレジンを使用した以外、実施例2と同様にして、目付量30g/m2である不織布5を得た。
得られた長繊維不織布5の融点は259℃、耐熱性強度保持率はMD方向50%、CD方向48%であった。また耐薬品性強度保持率はMD方向18%、CD方向17%であった。さらに乾熱収縮率はMD方向1.1%、CD方向0.4%であった。初期データから大幅に劣化し、支持体などには不適当な不織布であった。
仮接着温度を140℃とした以外、実施例1同様にしたところ、当該仮接着時に30%程度幅入りし、スパンボンド長繊維フリースが収縮固化し巻取りできない不適当なシートとなった。
2 押出機
3 ギアポンプ
4 エジェクタ
5 コンベアネット
6 サクションボックス
7 長繊維フリース
8 仮接着ロール
9 緊張熱処理炉
10 カレンダーロール
11 巻取機
Claims (5)
- 使用する樹脂の主成分がポリフェニレンサルファイドである不織布をカレンダー処理することにより平滑処理されたポリフェニレンサルファイド不織布。
- 請求項1に記載の不織布がスパンボンド不織布であるポリフェニレンサルファイド不織布。
- 請求項1〜2のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド不織布をフィルムあるいは膜の支持体として使用する構造体。
- 紡糸延伸後、移動する捕集装置に捕集され、得られる布帛の第1結晶化温度以下で仮接着を施し、その後緊張下で当該第1結晶化温度以上の温度条件で熱処理したのち、カレンダー処理を施すポリフェニレンサルファイド不織布の製造方法。
- 紡糸延伸の手段が第1段階のみで、紡糸速度2500m/min以上で延伸する請求項4記載のポリフェニレンサルファイド不織布の製造方法。
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