JP2017222972A - 複合繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】嵩高な不織布を提供可能な複合繊維の提供。
【解決手段】繊維形成成分である第1の成分と第2の成分とを含む複合繊維であって、前記第1の成分および前記第2の成分は、それぞれ熱可塑性樹脂を主成分とし、前記第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含み、前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は、ASTM D1238に準拠して荷重2.16kg、温度230℃で測定したメルトフローレートが4g/10分以上であることを特徴とする複合繊維。
【選択図】図1

Description

本発明は複合繊維に関し、特に、おむつ、生理用品、および脇汗パッドのような衛生用品、使い捨て衣料のような着用品、ならびに寝具のようなシート状またはマット状用品など、使用者の身体に沿っておよび/または接触して使用され、使用者の動きによって使用時に変形を受けやすい用途に適した不織布のための複合繊維に関する。
従来、紙おむつや生理用品などの使い捨て品には、不織布が使用されている。このような用途の不織布は、使用時に、使用者の皮膚と接触したり、被服や寝具などの外部と接触したりする。そのため、用途に応じた様々な物性が求められている。
例えば特許文献1には、紙おむつの肌に直接接触する部分を構成する不織布について、なめらかさ、ソフトさ、こし、ふくらみ等の風合いが要求される旨が開示されている。特許文献1には、不織布の風合いを、引張特性、曲げ特性、剪断特性、表面特性、ねじり特性などの力学特性をパラメータとする相関式により評価する方法が提案されている。
例えば特許文献2には、着用者の動きによって被服や寝具等の隣接する物品との摩擦が生じても毛羽立ちが少ない「布様」バックシートを有する使い捨て衣料品、および使用期間全体を通じてユーザーの身体や皮膚に対して良好な装着具合を提供する弾性積層品に対する要求がある旨が開示されている。特許文献2には、課題解決のために、鞘部分に特定のエチレン−プロピレンランダムコポリマーを有する芯鞘複合繊維からなる不織布層が提案されている。
また、特許文献3には、例えば角型電池のセパレーターなどの用途に適した不織布として、表面粗さが小さく表面の平滑性に優れる不織布、およびその製造方法が提案されている。
特開2005−428号公報 特許第4610831号 特開平10−325059号公報
おむつ、生理用品、脇汗パッドなどの衛生用品や、使い捨て衣料品の分野で使用される不織布は、使用時に使用者の動きに伴って位置がずれ、ねじれが生じ、よじれたままシワとなってしまうことがある。このようなシワが股や脇などの身体部分と接触する位置にあると、衛生用品や使い捨て衣料品の使用者は、不快感を覚えたり、場合によっては、接触した部分の皮膚に炎症が生じたりすることがある。そのため、身体部分と接触した場合であっても肌触りのよい嵩高な不織布に対する要望がある。しかしながら、特許文献1から3には、かかる課題およびその解決手段に関する記載はない。
本発明は、肌触りのよい嵩高な不織布を提供することが可能な複合繊維を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本実施の形態による複合繊維は、以下の態様を有する。
繊維形成成分である第1の成分と第2の成分とを含む複合繊維であって、前記第1の成分および前記第2の成分は、それぞれ熱可塑性樹脂を主成分とし、前記第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含み、前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は、ASTM D1238に準拠して荷重2.16kg、温度230℃で測定したメルトフローレート(MFR)が4g/10分以上であることを特徴とする複合繊維。
本実施の形態による複合繊維によれば、肌触りのよい嵩高な不織布を提供することができる。上記不織布は、おむつなどの衛生用品用途、医療用途、その他のマット状やシート状の用途、特に、吸収性物品のトップシートおよびコアラップ型吸収体用のコアラップシートなどに好適に使用されることができる。
本実施の形態による複合繊維の例を示す横断面図である。 本実施の形態による複合繊維および不織布の製造に使用可能な製造装置の例を示す図である。 実施例および比較例における複合繊維の構成材料を示す表である。 実施例および比較例における複合繊維の構成材料の配合比を示す表である。 実施例および比較例における不織布の構成および複合繊維の紡糸性を示す表である。 実施例および比較例についての試験の結果を示す表である。 本実施の形態による複合繊維を用いた不織布から製造されたおむつの例を示す図である。 図7に示したおむつを着用した下半身を背中側から見た図である。 図7に示したおむつを展開し分解状態で示す立体投影図である。 図7に示したおむつの吸収体をトップシートの手前側から見た上面図である。 図7に示したおむつをXI−XI線で切断した断面図である。 本実施の形態による吸収性物品の構成の変形例を示す部分断面図である。 本実施の形態による吸収性物品の構成の変形例を示す部分断面図である。 本実施の形態による吸収性物品の構成の変形例を示す部分断面図である。
<複合繊維>
本実施の形態よる複合繊維は、繊維形成成分である第1の成分と第2の成分とを含む。第1の成分および第2の成分は、それぞれ熱可塑性樹脂を主成分とする。第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含む。長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は、ASTM D1238に準拠して荷重2.16kg、温度230℃で測定したメルトフローレート(MFR)が4g/10分以上である。かかる構成を有する複合繊維は、捲縮性を有する捲縮繊維である。本明細書において、繊維の「捲縮性」とは、繊維の縮んで捩れている性状をいう。「捲縮繊維」とは、捲縮性を有していて、ストレートではない形態、例えば、スパイラル、クリンプなどの形態を示す繊維をいう。以下に、本実施の形態による複合繊維を詳細に説明する。
(第1の成分)
第1の成分は、熱可塑性樹脂を主成分とする。すなわち、第1の成分は、第1の成分の全固形分を基準にして90質量%以上100質量%以下の量で熱可塑性樹脂を含むことができる。第1の成分に適用可能な熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系の樹脂が挙げられる。複合繊維の紡糸性および強度の観点から、熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン(PP)が好ましく使用される。
本実施の形態において、第1の成分は、熱可塑性樹脂の1種として長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含む。第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を、第1の成分の全固形分を基準にして0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上の量で含む。また、第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を、第1の成分の全固形分を基準にして10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下の量で含む。つまり、第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂と、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂ではない熱可塑性樹脂と、の少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を含む。第1の成分の熱可塑性樹脂は、3種類以上を併用することもできる。第1の成分中の長鎖分岐構造ポリオレフィンが0.5質量%より少ないと、複合繊維の捲縮性の程度を高くする効果が小さくなり、10質量%よりも多いと、紡糸性が低下する。
本明細書において、「長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂」とは、直鎖高分子から長い側鎖が分岐している構造を有するポリオレフィン樹脂をいう。本明細書において、「長い側鎖」とは、1つの側鎖を構成する炭素鎖の炭素数が12以上のものをいう。長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は、長い側鎖が分岐している構造を有することにより、溶融状態における流動性が低くなる。そのため、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含む熱可塑性樹脂を原料として紡糸を行うと、紡糸用口金から押し出された糸が延伸用エアにより延伸される際に、糸の分子配向が進みやすくなって結晶化が促進される。複合繊維の繊維形成成分のうちの一方の結晶化が促進されて硬くなることにより、他方との弾性の違いが大きくなることで、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を配合した複合繊維は、捲縮性の程度が高くなる。また、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を配合した複合繊維を用いた不織布は、嵩高さが出やすくクッション性に優れ、剪断変形を受けてもシワになりにくくなる。
ここで、第1の成分における長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂の配合比が高いほど、得られる複合繊維の捲縮性の程度が大きくなる。また、これを用いる不織布は、嵩高となり、クッション性が高くシワになりにくい傾向となる。その一方で、第1の成分における長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂の配合比が高いほど、製造される複合繊維の紡糸性は低下する傾向にある。したがって、複合繊維の紡糸性とこれを用いる不織布の物性とを勘案して、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂の配合比を設定することができる。
第1の成分に適用可能な長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は、ASTM D1238に準拠して荷重2.16kg、温度230℃で測定したメルトフローレート(MFR)が4g/10分以上であることが好ましい。第1の成分に適用可能な長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂として、市販品(限定目的でなく例示目的で、例えば、融点162℃、MFR8g/10分の長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂、および融点162℃、MFR4g/10分の長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂)を好適に使用することができる。長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂のMFRが4g/10分よりも低いと、これを含む熱可塑性樹脂を原料とする糸の紡糸性が著しく低下する。なお、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂としてポリプロピレン系の樹脂を使用する場合、相溶性等の観点から、第1の成分の熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン系の樹脂を使用することが好ましい。
第1の成分の熱可塑性樹脂として、低結晶性ポリオレフィン樹脂を併用することもできる。例えば、下記a)からg)を満たす低結晶性ポリオレフィン樹脂を、第1の成分の全固形分を基準にして5質量%以上50質量%以下の量で含むことができる。
a)メソペンタッド分率[mmmm]が、30モル%以上80モル%以下である。
b)ラセミペンタッド分率[rrrr]と[1−mmmm]が、[rrrr]/[1−mmmm]≦0.1の関係を満たす。
c)ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]が、2.5モル%を超える。
d)メソトリアッド分率[mm]、ラセミトリアッド分率[rr]、およびトリアッド分率[mr]が、[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0の関係を満たす。
e)重量平均分子量[Mw]が、10,000以上200,000以下である。
f)前記重量平均分子量[Mw]および数平均分子量[Mn]が、分子量分布[Mw]/[Mn]≦4の関係を満たす。
g)沸騰ジエチルエーテルによる抽出物の量が、低結晶性ポリオレフィン樹脂の全固形分を基準にして0質量%以上10質量%以下である。
第1の成分に適用可能な低結晶性ポリオレフィン樹脂として、市販のポリプロピレン(限定目的ではなく例示目的で、例えば、融点52℃、MFR50g/10分のポリプロピレン)を好適に使用することができる。
低結晶性ポリオレフィン樹脂は、側鎖の突出方向が不揃いであるため結晶を作りにくく、これを用いた繊維および不織布は、柔らかくゴワツキが小さく、肌触りの良い傾向にある。
(第2の成分)
第2の成分は、熱可塑性樹脂を主成分とする。詳細には、第2の成分は、第2の成分の全固形分を基準にして90質量%以上100質量%以下の量で熱可塑性樹脂を含む。
第2の成分の主成分に適用可能な熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類を使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。複合繊維の紡糸性および強度の観点から、熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン(PP)を好ましく使用することができる。
第2の成分の熱可塑性樹脂として、低結晶性ポリオレフィン樹脂を併用することもできる。例えば、下記a)からg)を満たす低結晶性ポリオレフィン樹脂を、第2の成分の全固形分を基準にして5質量%以上50質量%以下の量で含むことができる。
a)メソペンタッド分率[mmmm]が、30モル%以上80モル%以下である。
b)ラセミペンタッド分率[rrrr]と[1−mmmm]が、[rrrr]/[1−mmmm]≦0.1の関係を満たす。
c)ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]が、2.5モル%を超える。
d)メソトリアッド分率[mm]、ラセミトリアッド分率[rr]、およびトリアッド分率[mr]が、[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0の関係を満たす。
e)重量平均分子量[Mw]が、10,000以上200,000以下である。
f)前記重量平均分子量[Mw]および数平均分子量[Mn]が、分子量分布[Mw]/[Mn]≦4の関係を満たす。
g)沸騰ジエチルエーテルによる抽出物の量が、低結晶性ポリオレフィン樹脂の全固形分を基準にして0質量%以上10質量%以下である。
第2の成分に適用可能な低結晶性ポリオレフィン樹脂として、市販の融点52℃のポリプロピレン(限定目的でなく例示目的で、例えば、融点52°、MFR50g/10分のポリプロピレン)を好適に使用することができる。
低結晶性ポリオレフィン樹脂は、側鎖の方向が不揃いであるため結晶を作りにくく、これを用いた繊維および不織布は、柔らかくゴワツキが小さく肌触りのよい傾向となる。
(他の成分)
複合繊維は、第1の成分および第2の成分のそれぞれにおいて、熱可塑性樹脂に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、例えば、公知の耐熱安定剤および耐候安定剤などの各種の安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)等の老化防止剤;テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2‘−オキザミドビス[エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。また、これらを組み合わせて用いることもできる。
滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
また、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン等の充填剤を含有していてもよい。
図1は、本実施の形態による複合繊維の構成を、限定目的ではなく例示目的で示す横断面図である。横断面、すなわち複合繊維の長手方向に垂直な断面において、繊維形成成分は2つのゾーンに分かれて配置されている。一方のゾーンには第1の成分1010が配置され、もう一方のゾーンには第2の成分1020が配置されている。
図1(a)は、第1の成分1010を芯成分とし、第2の成分1020を第1の成分1010を取り囲む鞘成分とする芯鞘型複合繊維1001を示す。本図では、特に、芯成分が繊維の中心からずれた位置にある偏芯芯鞘型複合繊維が示されている。また、図1(b)は、第1の成分1010と第2の成分1020とが寄り添い合う、サイドバイサイド型複合繊維1002を示す。
本実施の形態による複合繊維は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含む第1の成分と、第1の成分とは異なる第2の成分とが、複合繊維の長手方向に垂直な断面において非対称のゾーンに配置されている。第1の成分は、第2の成分と比べて、紡糸され延伸される際に分子配向が進みやすく結晶化が促進されやすい。そのため、本実施の形態による複合繊維は高い捲縮性を示す。また、この複合繊維を用いた不織布は、良好な伸縮性やクッション性を有し、嵩高い。
図1では、第1の成分と第2の成分との2つの繊維形成成分から形成される複合繊維を例示したが、本実施の形態に適用可能な複合繊維は、これに限定されず、複合繊維の捲縮性を妨げないような材料および繊維内配置である限り、第1の成分と第2の成分とを含む3種類以上の繊維形成成分から形成される複合繊維であってもよい。
本実施の形態による複合繊維の繊度は、不織布の用途等によって適宜設定できるが、0.1デニール以上10デニール未満、好ましくは0.3デニール以上5デニール未満、さらに好ましくは0.5以上3デニール未満である。
(繊維の物性:捲縮性)
繊維の捲縮性の程度は、例えば日本工業規格JIS L1015に準拠して測定される繊維の捲縮数によって示すことができる。本実施の形態の複合繊維の捲縮数は、成分の配合比によって適宜設定できるが、繊維25mm当たり18個以上が好ましく、20個〜50個がより好ましく、得られる不織布における視認性、地合の観点から、20個〜40個がさらに好ましく、20個〜30個が最も好ましい。
<不織布>
本実施の形態による不織布は、上述の本実施の形態による複合繊維からなる。本実施の形態による不織布は、上述の複合繊維を、不織布の全固形分を基準にして、好ましくは50質量%以上の量で含み、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%、なお好ましくは80質量%以上、なおさらに好ましくは90質量%以上の量で含む。本実施の形態による不織布は、1つの層からなる単層構成を有していてもよく、また、複数の層からなる多層構成を有していてもよい。不織布が多層構成を有する積層体である場合、不織布は、不織布全体の全固形分を基準にして60質量%以上の量で上述の複合繊維を含むことが好ましい。
(層構成)
上述のように、本実施の形態による不織布は、1つの層からなる単層構成を有していてもよく、また、複数の層からなる多層構成を有していてもよい。本実施の形態による多層構成を有する不織布の複数の層のそれぞれは、別個に形成された不織布であってもよい。
例えば、本実施の形態による多層構成を有する不織布は、本実施の形態による単層構成の不織布を1つの層とし、その上に、例えばスパンバンド法で製造した非捲縮性繊維からなるスパンボンド不織布を表面層として積層させた構成を有していてもよい。このとき、非捲縮性繊維の繊度を、例えば、好ましくは0.5デニール以上2.5デニール未満とし、より好ましくは0.5デニール以上1.5デニール未満としてもよい。この構成によると、シワが入りにくいだけでなく、表面の滑らかさに優れ、耐水性が向上した、積層体の形態の不織布を得ることができる。この他、本実施の形態による不織布は、単層構成を有する本実施の形態による不織布に対して、表面性を改善したり機能性を付与したりするために、別途不織布を積層させることができる。
このような積層体の形態の不織布の構成の非限定的な例としては、次のものが挙げられる。なお、次の例のうち、「捲縮複合繊維を主体とする」という記載があるスパンボンド不織布は、本実施の形態による単層構成の不織布を意図している。また、「非捲縮繊維を主体とする」という記載があるスパンバンド不織布は、スパンバンド法の製造条件を制御することにより得ることができる。
(a)スパンバンド不織布(非捲縮性繊維を主体とする)/スパンバンド不織布(捲縮複合繊維を主体とする)、の2層構成の不織布。
(b)スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)/スパンバンド不織布(捲縮複合繊維を主体とする)/スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)、の3層構成の不織布。
(c)スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)/スパンバンド不織布(捲縮複合繊維を主体とする)/メルトブロー不織布、の3層構成の不織布。
(d)スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)/スパンバンド不織布(捲縮複合繊維を主体とする)/メルトブロー不織布/スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)、の4層構成の不織布。
(e)スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)/スパンバンド不織布(捲縮複合繊維を主体とする)/メルトブロー不織布/スパンバンド不織布(捲縮複合繊維を主体とする)/スパンバンド不織布(非捲縮繊維を主体とする)、の5層構成の不織布。
積層される各層を構成する不織布の目付量は、2.0〜25g/m2の範囲にあることが好ましい。目付量が大きすぎると、その層を構成する不織布は、他の層を構成する不織布の機能を阻害してしまう場合がある。また、目付量が小さすぎると、その層を構成する不織布は、本実施の形態による多層構成の不織布に対して機能を付与する効果が小さい場合がある。
(複合繊維および不織布の製造方法および装置)
本実施の形態による複合繊維およびこれを含む不織布は、特別な装置を用いることなく、通常の複合溶融紡糸法および装置により得ることができる。中でも、生産性に優れるスパンボンド法が好ましく用いられる。
図2に、本実施の形態による複合繊維および不織布を製造するために使用可能な製造装置を限定目的ではなく例示目的で示す。複合繊維および不織布の製造にあたり、まず、複合繊維の1つのゾーンを形成するためのポリプロピレン系樹脂と長鎖分岐ポリオレフィン樹脂の混合物(第1の成分)1110と、別のゾーンを形成するためのプロピレン系樹脂と添加物の混合物(第2の成分)1120とを、それぞれ別個に押出機1130、1140で溶融して、それぞれの溶融物を得る。次いで、それぞれの溶融物を、所望の繊維構造を形成して吐出するように構成された複合紡糸ノズルを有する紡糸口金1150から吐出させて、第1の成分と第2の成分とが複合した複合長繊維を紡出する。紡出された複合長繊維を、冷却用エア1160により冷却し、さらに延伸用エア1170により張力を加えて所定の繊度とし、そのまま捕集コンベア1180の捕集ベルト上に捕集して、所定の厚さに堆積させる。次いで、堆積された複合長繊維に対して熱エンボスロール1190で熱と圧力をかけて一部の繊維を溶かし、繊維を絡合させる。これにより、本実施の形態による不織布を得ることができる。この交絡処理の方法は熱エンボス法ともいわれ、この方法により得られる不織布は、表面にエンボスのパターンが現れる。
本実施の形態による不織布には、熱エンボス法の他、繊維の交絡処理の方法として、ニードルパンチ、ウォータージェット、超音波等の手段を用いる方法、またはホットエアースルーにより熱融着させる方法を採用することができる。ニードルパンチ手段は、ニードルを不織布に差し込んで絡合させる方法である。ウォータージェット手段は、高圧の水を繊維集合体に噴射して、絡合させる方法である。超音波手段は、超音波を利用して、一部の繊維溶かして、絡合させる方法である。ホットエアースルーは、ホットエアーを繊維に吹き出して、一部の繊維を溶かして、絡合させる方法である。
[不織布の繊維の平均繊維径(μm)]
電子顕微鏡(日立製作所製S−3500N)を用いて、倍率1000倍の繊維不織布の写真を撮影する。繊維不織布を構成する繊維のうち、任意の繊維100本を選び、選択した繊維の幅(直径)を測定する。測定結果の平均を平均繊維径とする。
[不織布の空隙率(%)]
不織布の任意箇所について、JIS 1096に準拠し、厚さ測定器を用いて、10秒間、0.7kPaの下で厚みを測る。その結果と、不織布の目付、および不織布に使用した原料密度より、下記計算式にて求めた数値の小数点以下第1位を四捨五入して、空隙率を求める。ただし、得られた不織布が積層体であった場合には、非捲縮繊維を主体とするスパンボンド不織布を除去して得た単層不織布を測定する。
空隙率(%)=〔1−(目付/厚み/密度)〕×100
本実施の形態による不織布において、不織布の空隙率は、90%以上であり、95%以上であると好ましい。90%未満であると、シワ発生を防ぐ伸縮性が不十分である。
[不織布の嵩高さ]
不織布試料を20cm四方の形状にカットし、8枚1組を1サンプルとして、圧縮試験器(カトーテック株式会社製、KES-FB3-AUTO-A)にて、以下の設定条件により、測定を行う。1サンプルについて測定点数3点の測定を行い、3点の平均値を求める。
Figure 2017222972
Figure 2017222972
本実施の形態による不織布において、嵩高さは、20cm3/g以上であり、30cm3/g以上であると好ましい。また、嵩高さは、50cm3/g以下であり、45cm3/g以下であると好ましい。20cm3/g未満であると、クッション性が不十分である。50cm3/gを超えると、強度が低下し加工適性が劣る。
(作用効果)
本実施の形態による複合繊維は、第1の成分および第2の成分を含む。第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含んでおり、これを配合する複合繊維に高い捲縮性を提供することができる。また、この複合繊維を主体とする本実施の形態による不織布に対して、嵩高さを提供することができる。
(複合繊維および不織布の用途)
以下に、本実施の形態による複合繊維および不織布の用途を例示する。
本実施の形態による不織布の用途としては、(1)衣料用、(2)医療用、(3)建材用、(4)衛生用、(5)家具・インテリア用、(6)寝装用、(7)工業資材用、などが挙げられる。
(1)衣料用としては、例えば、衣料部材、ディスポーザブル衣料(ディスポ衣料ともいう)、靴、ワッペン、手袋、スリッパ、帽子などが挙げられる。前記衣料部材の具体的な例としては、芯地、接着芯地、中入れ綿、ブラジャーパッド、肩パッド、ジャンパーライナー等がある。前記ディスポ衣料の具体的な例としては、イベントジャンパー、旅行下着等である。前記靴の具体的な例としては、インソール材、釣革底等がある。
(2)医療用としては、例えば、ガーゼ、手術着、覆布セット、お産用バット、キャップ、マスク、シーツ類、抗菌マット、パップ剤基布、湿布剤基布、ギブス材、などが挙げられる。
(3)建材用としては、例えば、ルーフィング、タフト、カーペット基布、結露防止シート、調温シート、調湿シート、壁装材、断熱材、吸湿材、防音材、吸音材、防振材、木質材、養生シートなどが挙げられる。
(4)衛生用としては、例えば、おむつ、生理用品、救急用品、清浄用品、おしぼり、マスクなどが挙げられる。前記おむつの具体的な例としては、紙おむつ、おむつカバー等がある。前記生理用品の具体的な例としては、ナプキン等がある。前記救急用品の具体的な例としては、ガーゼ、救急絆創膏、綿棒等がある。前記清浄用品の具体的な例としては、母乳パッド、清拭シート、汗吸収シート(顔・脇・首・足等用)、抗菌・除菌シート、抗ウイルス性シート、抗アレルゲンシート、抗菌防臭シート等がある。前記マスクの具体的な例としては、使い捨て立体マスク等がある。
(5)家具・インテリア用としては、例えば、カーペット、フローリング、カーテン、家具部品、建具、壁紙、装飾品などが挙げられる。前記カーペットの具体的な例としては、カーペット、カーペット基布、タイルカーペット、電気カーペット、マット基布、アンダーカーペット等がある。前記家具部品の具体的な例としては、クッション材、応接チェアーの中入れ綿等がある。前記建具の具体的な例としては、障子紙、襖、畳関係、ブラインド等がある。前記装飾品の具体的な例としては、ペナント、ロールスクリーン、造花等がある。
(6)寝装用としては、例えば、ふとん、枕カバー、シーツなどが挙げられる。前記ふとんの具体的な例としては、ふとん中綿、ふとん袋等がある。
(7)工業資材用としては、例えば、工業資材、電気資材、電池、製品材料、OA機器、AV機器、ロール、楽器、包材などが挙げられる。前記工業資材の具体的な例としては、研磨材、吸油材、製紙フェルト、耐熱クッション、水切り材、断熱材、防音材、防振材等がある。前記電気資材の具体的な例としては、電気絶縁材、プリント基板用基材、電磁波シールド材、静電気除去シート、電線押さえ巻きテープ等がある。前記電池の具体的な例としては、セパレーター等がある。前記製品材料の具体的な例としては、FRP(繊維強化プラスチック)基材、テープ、印刷用基布、合成紙、静電記録紙、接着テープ、熱転写シート、放射線遮蔽マット等がある。前記OA機器の具体的な例としては、ディスクライナー、包装材等がある。前記AV機器の具体的な例としては、スピーカー振動板、吸音板等がある。前記ロールの具体的な例としては、バフロール、塗布ロール、絞液ロール等がある。前記楽器の具体的な例としては、ピアノキークッション、ハンマーレール等がある。前記包材の具体的な例としては、ドライアイス用包材、パッキング等がある。
また、上記分類に限定されることなく、本実施の形態による複合繊維および不織布を、多岐に亘る分野および用途において使用することができる。本実施の形態による不織布は、吸収性物品、特には、吸収性物品のトップシート、およびコアラップ型吸収体のラップシートなどに好適に使用することができる。本実施の形態による不織布を吸収性物品に用いた場合、クッション性が高く、シワによるでこぼこ等が生じにくく、良好な肌触りや優れた着用感を提供することができる。
<吸収性物品>
本明細書において、「吸収性物品」とは、例えば尿、血、汗、母乳のような体液や、水、湿気などの液体を内部に取込む性質(吸収性)を有する物品をいう。吸収性物品の例には、限定目的ではなく例示目的で、おむつ、生理用品、汗吸収シート(顔・脇・首・足等用)、母乳パッド、結露防止シート、調湿シート、吸湿材、清拭シート、建具、壁紙、クッション材、寝装具のような物品が含まれる。本実施の形態による吸収性物品は、特に、乳幼児向けのおむつ、成人向けおむつ、尿漏れパッド、ペット向けおむつ、ペット用トイレマットなどに好ましく使用することができる。従って、吸収性物品は、吸収性物品(最終製品)であり、また、中間体としての吸収性物品を含む物でもある。
<実施の形態>
図7に示すパンツ型使い捨ておむつの例を用いて、本実施の形態による複合繊維を用いた吸収性物品について説明する。図7は、本実施の形態による吸収性物品を用いたパンツ型使い捨ておむつの外観を示す立体投影図である。図8は、図7に示したおむつを着用した下半身を背中側から見た立体投影図である。図9は、図7に示したおむつを展開して分解状態で示す立体投影図である。図10は、図7に示したおむつの吸収体をトップシートの手前側から見た上面図である。図11は、図7に示したおむつをXI−XI線で切断した中央部分を示す断面図である。
本実施の形態によるパンツ型使い捨ておむつ(以下、単におむつともいう)10は、前身頃領域10Fと、後身頃領域10Rと、これら前身頃領域10Fおよび後身頃領域10Rをつなぐ股下領域10Cとを有する。また、着用時に前身頃領域10Fと後身頃領域10Rとで着用者のウエストの部分を取り囲むウエスト周り開口部10Wが形成されている。同様に、前身頃領域10Fおよび後身頃領域10Rの下端部股下領域10Cとで着用者の両脚の太股部分を取り囲む左右一対の脚周り開口部10Lが形成されている。
図8に示すように、着用時に前身頃領域10Fは、着用者の腹側に位置し、後身頃領域10Rは着用者の背側に位置する。そして、股下領域10Cは、着用者の股下を覆い、左右一対の脚周り開口部10Lに、着用者の脚がそれぞれ通された形となる。したがって、脚周り開口部10Lは、着用者の両脚の付け根から太ももあたりのいずれかに位置することとなる。
おむつの後身頃領域10Rには、おむつ廃棄時に小さく丸めて止めるための廃棄テープ10Tが設けられている。
仮想線Pは、おむつ中央部において腹側から背側に向かって、股下部分を通って延びるものである。具体的には、仮想線Pは、例えば、おむつのウエスト側を上、股下側を下とすると、おむつ表面に沿って、かつ上下方向に延びると共に、股下部分を経由して、背側においても上下方向に延びるものである。言い換えれば、この上下方向とは、着用者の頭から股下への体の中心軸に沿う方向であり、仮想線Pは、体の中心軸に沿って延びるものである。
図9から図11に示すように、本実施の形態による吸収性物品を用いたおむつ10は、外側から順にカバーシート11と、バックシート12と、吸収体13と、着用者の肌に触れるトップシート14とを順に重ねて接合したものである。股下領域10Cと共におむつ10の前身頃領域10Fおよび後身頃領域10Rを画成するカバーシート11の左右両側縁部が相互に接合されて閉じ合わせ部10Jを形成している。これにより、ウエスト周り開口部10Wと、両脚の太股部分を取り囲む左右一対の脚周り開口部10Lとが画成され、カバーシート11の股下領域10Cの左右両側には、それぞれ脚周り開口部10Lとなる半円弧状をなす一対の切欠き部11Aが形成されている。液不透過性のバックシート12は、インナーカバーシート11Bに接合され、吸収体13は、バックシート12と液体透過性のトップシート14との間に配され、吸収体13を介してトップシート14がバックシート12に接合される。良好な手触りを得るために薄い不織布にて形成されるアウターカバーシート11Cとインナーカバーシート11Bとの間には、脚周りギャザーを形成するための糸ゴム15と、ウエスト周りギャザーを形成するための糸ゴム17とがそれぞれ伸長状態で接合されている。
<吸収体>
本明細書において、「吸収体」とは、例えば尿、血、汗、母乳のような体液や、水、湿気などを内部に取込む性質(吸収性)を有する材料を含み、液体吸収性を示すものをいう。吸収性材料の例としては、例えば、パルプ、レーヨン、高吸収性ポリマーなどが挙げられる。
本実施の形態の吸収体13には、吸収性物品の分野で知られている任意の吸収体を用いることができる。綿状パルプと高吸収性ポリマーを併用したものを好ましく使用することができる。
<綿状パルプ>
綿状パルプとしては、例えば、パルプシートを粉砕機で解繊することにより、その繊維長を5mm以下としたもの等を好適に用いることができる。この際に用いるパルプシートは、化学パルプシートでも機械パルプシートでもよく、そのパルプ原料についても、針葉樹、広葉樹、わら、竹、ケナフ、古紙等、通常パルプ原料として用いられるものであれば特に制限なく用いることができる。綿状パルプの使用量は、用途や吸収体の構成により異なるが、目付を50〜400g/m2とすることが一般的である。
<高吸収性ポリマー>
高吸収性ポリマー(Super absorbent polymer。以下、SAPともいう)としては、デンプン系、セルロース系、合成樹脂系のSAPが知られており、これらのうちのいずれかを単独でまたは複合して用いてもよく、さらに他の物質を含有して用いてもよい。具体的には、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリル酸エチルグラフト共重合体のケン化物、デンプン−メタクリル酸メチルグラフト共重合体のケン化物、デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物、デンプン−アクリルアミドグラフト共重合体のケン化物、ポリアクリル酸(塩)、アクリル酸で架橋されたポリエチレンオキシド、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物、ポリビニルアルコール−無水マレイン酸反応物の架橋物等を用いることができる。中でも、自重の20倍以上の水分を吸収し得るような高い吸収性能を有するポリアクリル酸ナトリウムが好適に用いられる。
SAPの形状に限定はなく、粒子状、繊維状、およびシート状などのものを使用することができる。衛生用品のような使用者の肌に触れる用途の吸収性物品に用いられる場合には、使用者にとってSAPの存在や形状が感じられない方が好ましく、粒子状のSAPを好ましく用いることができる。粒子状のSAPの粒径は、例えば1000μm以下であり、例えば400μm以下であることが好ましい。また、粒径が小さすぎると吸収体から漏出しやすので、SAPの粒径は、例えば150μm以上であることが好ましい。
<吸収体の構成>
本実施の形態の吸収体13において、吸収性材料は、通常、単層ないしは複層のマット状で用いられる。吸収性材料は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
中でも、綿状パルプに粒子状のSAPを併用したものが好ましい。SAPは綿状パルプのマット中に均一に混合されていてもよいし、複層の綿状パルプの層間に層状に配置されていてもよい。
SAPの量は、乾燥した綿状パルプ100質量部に対して10〜500質量部とすることが好ましく、15〜300質量部とすることがより好ましい。このような量とすることにより、SAPの粒子の相互の干渉が留められる。そのため、液体を吸収しゲル化したSAP粒子がこれから吸収されるべき液体に対する透過障壁を形成することが少なく、吸収体内において尿や体液を3次元方向に透過させ、吸収させることが可能となる。
一般に、吸収体において、吸収すべき液体量が多い場合に、吸収しきれなかった液体が漏れ出す現象(いわゆる液漏れ)が生じることがある。吸収体13にSAPを配合することにより、パルプ量を増やすことなく液体吸収可能量を増大させることができる。そのため、薄い厚さでありながら、液漏れの生じにくい、吸収性が良好な吸収体を実現できる。
本実施の形態の吸収体13として、吸収性材料が親水性シートにより保持された形態のものを使用することもできる。例えば、親水性シートの片面にSAPの層を設けたもの、2枚の親水性シートの間にSAPを挟持したもの等の、吸収性材料の表面に親水性のシート等を設けたものを使用することができる。特に、吸水性材料をコアとし、その全体がティシュのような親水性シートのコアラップでくるまれている、いわゆる「コアラップ型吸収体」は、コアである吸水性材料の表出や漏出が防止され、好ましい。
親水性シートとしては、例えば、ティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布等を挙げることができる。目付は5〜40g/m2の範囲内のもの、中でも、目付が10〜30g/m2の範囲内のものを好適に用いることができる。親水性シートとして、捲縮不織布を用いることが好ましい。これによれば、吸収体が圧搾などの外力を受けた場合に、親水性シートが破れてしまって保持されていたSAPなどの吸収性材料が表出または漏出する可能性が低減される。また、捲縮不織布を用いれば、嵩高となってクッション性を向上させることができ、肌触り/肌あたりがよく、硬い部分が当接することによる肌炎症の問題などを低減することも可能となる。捲縮不織布の詳細については後述する。
<吸収体の形状・大きさ>
吸収体の大きさや形状は、用途に応じて任意のものを用いることができる。例えば、吸収体は、平面視において、砂時計型であってもよく、矩形、楕円形、半円形等であってもよい。砂時計型は、吸収体が衛生用品に適用される場合に、使用者の体にフィットしやすく好ましい。
本実施の形態による吸収性物品において、吸収体の少なくとも一部はシートで覆われている。シートは、シートの手前側からシートと吸収体を見たときに、シートが吸収体の少なくとも一部を覆うように位置付けられていればよく、例えば図10の例のように、平面視において、シート面積が吸収体面積よりも大きくてもよい。また、必ずしもそのシートと吸収体とが直接的に接触していなくてもよい。シートは、吸収体の全体を覆っていてもよく、すなわち、吸収体をくるんでいてもよい。吸収体がシート状、平板状、またはマット状と呼ばれるような、比較的広い面積の表裏面と、それを取り囲む側面とを有するような形状である場合は、シートは、吸収体の表裏面のうち少なくとも一方の面に配置されることが好ましい。このとき、シートは、少なくとも一方の面を、全面的に覆っていてもよく、部分的に覆っていてもよい。シートは、吸収体の表裏面の両方に配置されていてもよく、さらに側面に配置されていてもよい。配置されるシートは、1枚であってもよく、複数枚が積層されていてもよい。積層されている場合、複数枚のシートは、互いに貼り合わされていてもよく、いなくてもよい。シートは、平面方向に関しても、1枚からなるものであってもよく、複数枚からなるものであってもよい。複数枚からなるものである場合、複数枚のシートは、互いに接合されていてもいなくてもよい。
図10および図11に示されるように、トップシート14は吸収体13の上面全体を覆っており、両者はホットメルト接着剤によって一体化されていて、本実施の形態の吸収性物品を形成している。トップシート14および吸収体13には、斜めの格子状に延びる溝状の凹部21(以下、溝21または凹部21とも記述する)が、共通に設けられている。図11に示されるように、溝21は、トップシート14側から吸収体13側に向かって凹んでいる。溝21は、尿を誘導する通路としての機能や、おむつ内外に空気を流通されておむつ内の湿度を低くする機能、吸収体13が尿を吸収した際、装着者側(図11の断面図において、記載された符号の向きによって規定される上下方向における上側)にのみ膨張して装着者を圧迫することを緩和する機能などを備える。
図10に示されるように、溝21は、トップシート14の上面において、おむつ着用者の体の中心軸に沿って延びるものとして仮想される仮想線Pに対して、特定の一方向に傾斜して延びる複数の第1溝21aと、第1溝21aとは別の一方向に傾斜して延びる複数の第2溝21bと、によって構成されている。すなわち、仮想線Pを軸として、第1溝21aは、一方側に角度αで傾斜し、第2溝21bは、他方側に角度βで傾斜する。角度αと角度βは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
図10では、複数の第1溝21aはそれぞれ同じ角度で傾斜し、一定間隔で配置されている。すなわち、各第1溝21aが平行かつ一定間隔で配置されているが、本実施の形態はこれに限らず、溝の間隔が一定でないものや、各溝の傾斜角度が異なるものも含む。第2溝21bについても同様である。
図10では、第1溝21a、第2溝21bが、いずれも複数本形成されているが、本実施の形態はこれに限定されず、斜め方向に伸びる溝が左右に1本ずつ形成されているものでもよい。両者は交差しているのが好ましいが、本実施の形態はこれに限定されず、両者が直接的に交差せず、溝の延在方向が交差するものなども含む。さらには、すべての溝が21a、21bのような区別なく同方向を向いている(平行である)構成でもよく、溝が一つのみ(一本のみ)の構成であってもよい。曲線部を備えた溝であってもよく、2以上の種類の溝によって構成することも当然に可能である。これらの溝パターンは、尿を排尿位置から誘導する性能や通気性、肌との当接性(肌あたり/肌触りなど)を考慮して適宜設計することができる。
溝21は、トップシート14の上面から所定の溝パターンが形成された部材で、トップシート14と吸収体13とを一緒にトップシート14側から圧搾することによって形成される。すなわち、本実施形態においては、図11示すように吸収体13は、トップシート14側に凹部が形成され、バックシート12側には凹部が形成されていない。各溝21の幅および深さは、均一であってもよいし、隣接する溝との間隔、溝の位置などに応じて変化してもよい。また、溝21の側壁は、図12に示すように、吸収体表面から略垂直に延びるものでもよいし、図14に示すように、斜めに傾斜したV字状であってもよい。
溝21形成のための圧搾により、吸収体13の溝21部分は、他の部分に比べて圧縮され、吸収体13密度が高められている。圧搾された部分の空隙率は、例えば20%以下とされ、好ましくは5%以下とされる。また、圧搾された部分の吸収体密度は、非圧搾部分に比べて2倍以上とされる。吸収体密度は、主にパルプの密度である。
本実施の形態においては、仮想線Pで示す方向に対向する方向を幅方向とすると、吸収体13は、溝形成領域N1を幅方向の中央部に有し、その両側に溝非形成領域N2を有している。図10では、吸収体13の幅方向両端部は、溝非形成領域N2であり、中央部に仮想線Pで示す方向の一方端から他方端に向かって帯状に溝形成領域N1が延びている。上述したように、吸収体13における溝21部分は、吸収体13が圧搾されて形成されたものである。したがって、溝21部分は、吸収体13の他の部分よりも吸収体13が圧縮されて硬くなっている。脚の内股が接触する吸収体の幅方向両端には、溝21を設けないことにより、肌ざわりをよくし、着用感を向上させている。しかしながら、吸収体の位置、大きさによっては、幅方向端部にも溝21を設けてよいのは言うまでもない。すなわち、溝非形成領域N2を設けない構成や、溝非形成領域をおむつの幅方向(図10における左右方向)において中央部に設けた構成などに適宜変形できる。
ところで、人は脚を左右交互に前に出して歩行する。ハイハイについても股の付け根部分の動きは歩行時と同じで、交互に前に出すことになる。前に出される脚付近のおむつは、前方向に引っ張られることになるため、おむつの股下部分は、斜め方向に引っ張られる。すなわち、右足が前に出ると、股下の左下方から右上方に向かう斜め方向におむつが引っ張られる。一方、左足が前に出ると、股下の右下方から左上方に向かう斜め方向におむつが引っ張られる。本実施の形態のおむつは、吸収体13に斜めの溝21が形成されているため、歩行による斜め方向の引っ張り力に対して剛性を有する。吸収体13の股下部分M2、すなわち中央部に大きく斜めの溝21が双方に伸びているため、双方の足の前後運動による引っ張り力に対して、第1溝21aと第2溝21bが交互に剛性を発揮し、吸収体13のよれや型崩れを抑制する。
型崩れ抑制部22は、溝21によってこの抑制部22内の吸収体外周が押さえられているため、変形しづらいものとなっている。したがって、斜め方向に引っ張り力が発生しても、吸収体13は、溝21の剛性で斜めにしわがよりにくい上に、型崩れ抑制部22は変形しづらいので、結果として斜め方向に関する変形が抑制されることとなる。故に、脚の前後運動によっても、吸収体13が大きくよれて型崩れすることがない。吸収体13がよれないので、股間へのフィット性を維持でき、体液漏れが起こりにくい。また、変形によって、吸収体13が切れてしまうことも抑制できるので、吸収性能を維持できる。
このような脚の動きによる吸収体13の変形を抑制する上で、好ましい溝21の配置は次の通りである。すなわち、長手方向に対する溝21の傾斜角度は、10度以上80度未満であり、好ましくは45度以上60度以下である。そして、溝21は左右対称に傾斜している方がよい。また、同方向に傾斜する溝、すなわち、複数の第1溝21aの間隔、複数の第2溝21bの間隔は、10mm以上100mm未満であり、特に10mm以上30mm以下が好ましい。
なお、本実施の形態では、溝形成領域N1は、吸収体13の前身頃部分M1から後身頃部分M3に渡って延びるものであるが、本発明はこれに限らない。すなわち、溝形成領域N1は、股下部分M2のみに形成されているものであってもよい。また、前身頃部分M1、後身頃部分M3に形成されているものであっても、長手方向端部は、形成されないものであってもよい。ウエスト部分に近い部分は、ウエストギャザーによって皮膚と密着するので、溝21の硬い部分が皮膚に当たらないようにすることで、着用感が向上する。
本実施の形態における液体透過性のトップシート14の左右両側縁部には、液不透過性のサイドシート18が接合され、左右のサイドシート18の内側端縁部には、立体ギャザーを形成するための糸ゴム19が伸張状態で接合されている
(変形例)
図12および図13に、本実施の形態による吸収性物品の別の構成例を示す。
図12に示すように、本例では、吸収体13はその上下面をシート13B(コアラップシート)によって覆われている。本例では、図示されていないところで、上下面を覆うシート13Bは繋がっている。つまり、本例では、シート13Bは吸収体13をくるんでおり、いわゆるコアラップシートと吸収体コアとの関係をとって1つのコアラップ型吸収体を構成している。ただし、本実施の形態はこれに限定されず、上下面の13Bは別シートであってもよい。また、シート13Bは吸収体13の一部のみを覆っていてもよく、この場合少なくとも一つの溝部21を覆うように構成される。溝部21を覆う複数のシートは、そのうちの少なくとも1つは捲縮不織布で構成される。「捲縮不織布で構成される」とは、当該領域が捲縮不織布のみの構成だけでなく、例えば複数層構造においてそのうちの一層が捲縮不織布とされた構成も含む。吸収体13とシート13Bとは、一体的に接合されている。吸収体13のトップシート14側の面(上面)のシート13Bは、吸収体13と共に、上面のシート13B側から吸収体13側に向かって凹む凹部21をなしている。このように、図12に示す本実施の形態の例では、吸収体13とそれを覆うシート13Bとが吸収性物品を構成している。この吸収性物品は、トップシート14とバックシート12との間に配されて接合されて、おむつに用いられることができる。
図13に示す例では、図12で説明したコアラップ型吸収体のシート13Bのトップシート14側の面(上面)が、トップシート14で覆われており、トップシート14と、吸収体13のトップシート14側の面(上面、つまり液体吸収面)のシート13Bとが、吸収体13と共に、トップシート14側から吸収体13側に向かって凹む凹部21をなしている。本例では、吸収体13とそれを覆うシート13Bおよびトップシート14が吸収性物品を構成している。この吸収性物品は、それ単独で使用されることもでき、また、バックシート12上に配されて接合されて、おむつ等に用いられることもできる。
あるいはまた、このトップシート14と、シート13Bと、吸収体13と、がバックシート12と共に接合されたものも、本実施の形態による吸収性物品として用いられることができる。
本実施の形態による吸収性物品は、本実施の形態による複合繊維を含む不織布を含んで構成される。例えば、限定目的ではなく例示目的で、本実施の形態による吸収性物品は、以下のような層構成を有することができる。
(1)吸収体
(2)トップシート/吸収体
(3)吸収体/バックシート
(4)トップシート/吸収体/バックシート
(5)トップシート/後戻り防止シート/吸収体
(6)吸収体/裏抜け防止シート/バックシート
(7)トップシート/後戻り防止シート/吸収体/バックシート
(8)トップシート/吸収体/裏抜け防止シート/バックシート
(9)トップシート/後戻り防止シート/吸収体/裏抜け防止シート/バックシート
(10)コアラップ型吸収体
上記層構成の例における「吸収体」は、コアとなる吸収体(以下、「吸収体コア」ともいう)とそれをくるむシート(以下、「コアラップシート」または単に「コアラップ」ともいう)とからなるいわゆる「コアラップ型吸収体」を含む。コアラップ型吸収体の場合、それ自体が、吸収体と、少なくとも一部を覆うシート(コアラップシート)と、を含んでいるので、(10)に示すように他のシートを含まない構成も、本実施の形態による吸収体物品である。
本実施の形態による不織布は、吸収性物品のトップシート、コアラップシート、バックシート、後戻り防止シート、裏抜け防止シートなどのシートとして使用することができる。また、(1)から(10)の構成に対して、最外層にさらにカバーシートを設けた構成も、本実施の形態による吸収性物品であり、本実施の形態による不織布をカバーシートとして使用することもできる。
吸収性物品を構成するシートに本実施の形態の不織布を用いることにより、クッション性が付与されシワができにくく、肌触りが良く着用感に優れた吸収性物品が得られる。本実施の形態の不織布は、特に、トップコート、コアラップシート、バックシートに用いられると、かかる効果が顕著となり、好ましい。
<凹部>
図10から図14に示される本実施の形態による吸収性物品は、シート側(コアラップシートを含む。)から吸収体コア側に向かって凹む凹部21を有するところ、この凹部は、吸収性物品に対してシート側からの圧搾により設けられた圧搾凹部である。凹部は、吸収性物品の分野で知られている任意の圧搾手段、例えば、エンボス加工方法およびエンボス加工装置により設けることができる。具体的には、例えば、吸収性物品を構成する吸収体とシートとを含む積層体に対して、表面に凹凸のあるエンボスロールをシート側に当接し圧力を加えながら回転させることによって、シートと吸収体とを共に圧搾して、シート側に凹部を形成することができる。
凹部の形状に制限はなく、凹部は、例えば、ドットなどのエンボスパターンによって形成された点状であってもよく、点が連なって形成された線状であってもよく、あるいは溝状であってもよい。点は、円形(真円形、楕円形を含む)、多角形(三角形、四角形等)、文字型などであってもよい。
なお、上述の構成例では、液体吸収面(肌当接面)側に凹部を設けていたが、目的や効果によっては、非液体吸収面側に凹部を設けることもできる。例えば、意匠性等の美観や密度向上による剛性付与などの目的があり得る。
本実施態様による吸収性物品において、シート側から吸収体側に向かって凹む凹部をなすシートは、捲縮不織布で構成されたシートである。
(作用効果)
本実施の形態の吸収体物品は、本実施の形態による不織布を、上述の層を構成するシートのうちの少なくとも1層に用いることができる。特に、本実施の形態の不織布を、トップシート、バックシート層などの外層に用いると、シワになりにくいため、使用者に不快感を与え難く優れた着用感を提供し得るいという効果を奏することができる。
トップシートなどの表面側に存するシートに本不織布を用いれば、シワによるでこぼこ等が生じにくく、良好な肌触りを提供することができる。特にトップシート側から圧搾溝を設けた場合、溝部分は吸収体が圧縮されて硬くなるが、トップシートに本不織布を設けることによって、この硬さを緩和することができるため、圧搾溝による種々の機能を得ることができ、かつ、その問題点を解消することが可能となる。特に溝状の圧搾溝が交差する箇所は吸収体が固くなってしまうが、本不織布を用いたトップシートを採用すれば、このような箇所における固さを緩和し、肌を圧迫してしまう危険性を防止することも可能となる。従って、シート全面に本不織布を用いることが好ましいが、少なくとも圧搾溝が設けられた箇所や圧搾溝の交点部分に本不織布を用いるだけでも十分な効果を奏する。バックシート側から圧搾溝を設ける場合も同様である。
トップシートよりも内側のシート、たとえばコアラップに本不織布を採用すれば、詩話によるでこぼこ等が生じにくいため、表面側(トップシート側やバックシート側など)へもでこぼこを生じさせる可能性を低減できる。特に吸収体に対して圧縮溝を設ける場合、本不織布を用いずにでこぼこ等を発生してしまっている吸収体を圧搾すると、このでこぼこ部分においてコアラップの破れが生じ、内容物が外部へ漏洩してしまう危険性がある。これに対して本不織布を用いればこのようなでこぼこ(しわ)が発生してしまう可能性を低減できるため、圧搾時にでこぼこ部分が破れてしまうといったことを防止することができる。すなわち、少なくとも圧搾溝を設ける部分、さらには上記したような溝の交点部分に位置するシートの不織布に本不織布を設ければ、吸収体破れを効果的に防止することができる。当然、表面側にシワの影響が伝わることもなくなり、肌触りもよくなる。
また、一又は複数のシート(特に圧搾溝が設けられる側のシート)に上記したように捲縮性を付与するなどして伸び性能を持たせれば、圧搾溝を設ける際に当該シートが伸びるため、溝形成時のシート破れを防止することも可能となる。さらには溝形成後に外部からの負荷によってシートが破れてしまうことも防止できる。
(吸収性物品の製造方法)
本実施の形態の吸収性物品(おむつ10)は、例えば、以下の工程を含む製造方法により製造される。
(1)パルプとSAPとで構成された吸収体(吸収体コア)13を、液体透過性シートであるコアラップ13Bでくるみ、連続するマット状のコアラップ型吸収体を生成する。
(2)連続するマット状のコアラップ型吸収体を、表面に凸状のエンボスパターンを有するエンボスロール対を回転させつつそのニップに通して狭窄し、エンボス加工を施す。このエンボス加工により、連続する吸収体13の表面に、エンボスパターンの形状に対応する凹部21が形成される。
(3)エンボス加工後の連続するマット状のコアラップ型吸収体を、切断装置によりおむつ1枚分に必要な長さに切断し、液体透過性のトップシート14、液体不透過性のバックシート12、肌触りのよいカバーシート11等と接合し、おむつ形状に加工する。これにより、おむつ10が製造される。
上記の製造方法では、吸収体コアおよびコアラップを圧搾することで、凹部21を形成しているが、本発明の実施の形態はこれに限られない。例えば、吸収体コアおよびコアラップとトップシートとを積層したものを圧搾することによって、凹部21を形成してもよい。また、吸収体13とトップシート14とを積層したものを圧搾する場合、あらかじめ所定の寸法に分けられた(例えば切断された)吸収体13とトップシート14とを接合し、これに対して圧搾を施してもよい。その他、適宜の変更や変形が可能である。
(吸収性物品の用途)
以下に、本実施の形態による吸収性物品の用途を例示する。
本実施の形態による吸収性物品の用途としては、(1)衣料用、(2)医療用、(3)建材用、(4)衛生用、(5)家具・インテリア用、(6)寝装用、(7)工業資材用、などが挙げられる。
(1)衣料用としては、例えば、衣料部材、ディスポーザブル衣料(ディスポ衣料ともいう)、靴、ワッペン、手袋、スリッパ、帽子などが挙げられる。前記衣料部材の具体的な例としては、芯地、接着芯地、中入れ綿、ブラジャーパッド、肩パッド、ジャンパーライナー等がある。前記ディスポ衣料の具体的な例としては、イベントジャンパー、旅行下着等がある。前記靴の具体的な例としては、インソール材、釣革底等がある。
(2)医療用としては、例えば、ガーゼ、手術着、覆布セット、お産用バット、キャップ、マスク、シーツ類、抗菌マット、パップ剤基布、湿布剤基布、ギブス材、人工皮膚などが挙げられる。
(3)建材用としては、例えば、ルーフィング、タフト、カーペット基布、結露防止シート、調温シート、調湿シート、壁装材、断熱材、吸湿材、防音材、吸音材、防振材、木質材、養生シートなどが挙げられる。
(4)衛生用としては、例えば、おむつ、生理用品、救急用品、清浄用品、おしぼり、マスクなどが挙げられる。前記おむつの具体的な例としては、紙おむつ、おむつカバー等がある。前記生理用品の具体的な例としては、ナプキン等がある。前記救急用品の具体的な例としては、ガーゼ、救急絆創膏、綿棒等がある。前記清浄用品の具体的な例としては、母乳パッド、清拭シート、汗吸収シート(顔・脇・首・足等用)、抗菌・除菌シート、抗ウイルス性シート、抗アレルゲンシート、抗菌防臭シート等がある。前記マスクの具体的な例としては、使い捨て立体マスク等がある。
(5)家具・インテリア用としては、例えば、カーペット、フローリング、カーテン、家具部品、建具、壁紙、装飾品などが挙げられる。前記カーペットの具体的な例としては、カーペット、カーペット基布、タイルカーペット、電気カーペット、マット基布、アンダーカーペット等がある。前記家具部品の具体的な例としては、クッション材、応接チェアーの中入れ綿等がある。前記建具の具体的な例としては、障子紙、襖、畳関係、ブラインド等がある。前記装飾品の具体的な例としては、ペナント、ロールスクリーン、造花等がある。
(6)寝装用としては、例えば、ふとん、枕カバー、シーツなどが挙げられる。前記ふとんの具体的な例としては、ふとん中綿、ふとん袋等がある。
(7)工業資材用としては、例えば、工業資材、電気資材、電池、製品材料、OA機器、AV機器、ロール、楽器、包材などが挙げられる。前記工業資材の具体的な例としては、研磨材、吸油材、製紙フェルト、耐熱クッション、水切り材、断熱材、防音材、防振材等がある。前記電気資材の具体的な例としては、電気絶縁材、プリント基板用基材、電磁波シールド材、静電気除去シート、電線押さえ巻きテープ等がある。前記電池の具体的な例としては、セパレーター等がある。前記製品材料の具体的な例としては、FRP(繊維強化プラスチック)基材、テープ、印刷用基布、合成紙、静電記録紙、接着テープ、熱転写シート、放射線遮蔽マット等がある。前記OA機器の具体的な例としては、ディスクライナー、包装材等がある。前記AV機器の具体的な例としては、スピーカー振動板、吸音板等がある。前記ロールの具体的な例としては、バフロール、塗布ロール、絞液ロール等がある。前記楽器の具体的な例としては、ピアノキークッション、ハンマーレール等がある。前記包材の具体的な例としては、ドライアイス用包材、パッキング等がある。
また、上記分類に限定されることなく、本実施の形態による複合繊維を用いた吸収性物品を、多岐に亘る分野および用途において使用することができる。本実施の形態による複合繊維を用いた吸収性物品は、特に、吸収体複合体に好適に使用することができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例および比較例の構成を、図3から図6の表1から表4に示す。
[実施例1]
<複合繊維および不織布の製造>
第1の成分として、ポリプロピレン系樹脂PP(融点162℃、MFR40g/10分)と、長鎖分岐ポリプロピレン樹脂PP1(融点162℃、MFR8g/10分)とを、固形分換算で99質量%:1質量%の配合比で混合した混合物を調製した。また、第2の成分として、ポリプロピレン系樹脂PP(融点162℃、MFR40g/10分)と、低結晶性ポリオレフィン樹脂PP(融点52℃、MFR50g/10分)と、有機添加物(エルカ酸アミド5%PPマスターバッチ(ポリプロピレン系樹脂をベースとし有効成分エルカ酸アミドを5質量%の量で含む))と、無機顔料(酸化チタン50%PPマスターバッチ(ポリプロピレン系樹脂をベースとし有効成分酸化チタンを50質量%の量で含む)と、を、固形分換算で74質量%:20質量%:4質量%:2質量%の配合比で混合した混合物を調製した。
図2に記載の装置を用いて、複合繊維の紡出および不織布の製造を行った。具体的には、まず、第1の成分と第2の成分とをそれぞれ別個に押出機130、140で溶融して、それぞれの溶融物を得た。次いで、それぞれの溶融物を、偏芯芯鞘型の複合繊維構造を形成して吐出するように構成された複合紡糸ノズルを有する紡糸口金150から吐出させて、第1の成分と第2の成分とが30質量%:70質量%の配合比となるように複合した偏芯芯鞘型の複合繊維を紡出した。
紡出された複合繊維を、冷却用エア160により冷却し、さらに延伸用エア170により張力を加えて所定の繊度(1.5デニール)とし、そのまま捕集コンベア180の捕集ベルト上に捕集して、所定の目付量(15g/m2)となるように堆積させた。次いで、堆積された複合繊維に対して熱エンボスロール190で熱と圧力をかけて一部の繊維を溶かし、繊維を絡合させた。これにより、実施例1の不織布を得た。実施例1の不織布は、偏芯芯鞘型の複合繊維を主体とする不織布からなる単層構成の不織布である。
<吸収性物品(おむつ)の製造>
実施例1の不織布をコアラップシートとして用い、以下の製造方法により、おむつを製造した。
まず、乾燥質量比が100対100の綿状パルプとSAPとで構成された目付量100g/m2の吸収体(吸収体コア)を液体透過性のコアラップシートでくるみ、マット状のコアラップ型吸収体を生成した。次いで、このマット状のコアラップ型吸収体の一面に、液透過性のトップシートを積層し、表面に凸状のエンボスパターンを有するエンボスロール対を回転させつつそのニップに通して狭窄することにより、エンボス加工を施した。このエンボス加工により、コアラップ型吸収体とトップシートとの積層体のトップシート側の面に、エンボスパターンの形状に対応してトップシート側から吸収体側に凹む凹部を形成した。
形成した凹部は、図11に示した溝21aと溝21bとからなる格子状の溝21とした。溝21aおよび溝21bを、それぞれ吸収体13の長手方向に対して45度の傾き(α、β)を持って延びる一本の連続する溝構造に形成し、複数の溝21aの間隔および複数の溝21bの間隔は、それぞれ30mmとした。溝21の開口部の幅は1.5mmとし、また溝21の深さは2mmとした。
次いで、エンボス加工後の積層体を、切断装置によりおむつ1枚分に必要な長さに切断し、液体不透過性のバックシート、および肌触りに優れたカバーシートと接合し、おむつ形状に加工して、実施例1のおむつを得た。
[実施例2]
<複合繊維および不織布の製造>
第1の成分におけるポリプロピレン系樹脂PP(融点162℃、MFR40g/10分)と、長鎖分岐ポリプロピレン樹脂PP1(融点162℃、MFR8g/10分)の配合比を、固形分換算で95質量%:5質量%とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の不織布を得た。実施例2の不織布は、偏芯芯鞘型の複合繊維を主体とする不織布からなる単層構成の不織布である。
<吸収性物品(おむつ)の製造>
実施例2の不織布をトップシートとして用い、コアラップシートには実施例1の不織布の代わりに目付量12g/m2のティシュペーパーを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2のおむつを得た。
[実施例3]
<複合繊維および不織布の製造>
第1の成分におけるポリプロピレン系樹脂PP(融点162℃、MFR40g/10分)と、長鎖分岐ポリプロピレン樹脂PP1(融点162℃、MFR8g/10分)の配合比を、固形分換算で97質量%:3質量%とし、第1の成分と第2の成分とが10質量%:90質量%の配合比となるように複合し、紡糸口金としてサイドバイサイド型の複合繊維構造を形成して吐出するように構成された複合紡糸ノズルを有する口金を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3の不織布を得た。実施例3の不織布は、サイドバイサイド型の複合繊維を主体とする不織布からなる単層構成の不織布である。
<吸収性物品(おむつ)の製造>
実施例3の不織布をトップシートおよびコアラップシートとして用い、実施例1の不織布を用いなかった以外は実施例1と同様にして、実施例3のおむつを得た。
[実施例4]
<複合繊維および不織布の製造>
第1の成分と第2の成分とが40質量%:60質量%の配合比となるように複合し、紡糸口金として偏芯芯鞘複合型の複合繊維構造を形成して吐出するように構成された複合紡糸ノズルを有する口金を用いた以外は実施例3と同様にして、偏芯芯鞘型の複合繊維からなる不織布を得た。
第3の成分として、ポリプロピレン系樹脂PP(融点162℃、MFR40g/10分)と、有機添加物(大日精化工業株式会社製のエルカ酸アミド5%PPマスターバッチ(ポリプロピレン系樹脂をベースとし有効成分エルカ酸アミドを5質量%の量で含む))と、を、固形分換算で97質量%:3質量%の配合比で混合した混合物を調製した。第3の成分を押出機で溶融して、溶融物を得た。次いで、第3の成分の溶融物を、単一構造繊維を形成して吐出するように構成された紡糸ノズルを有する紡糸口金から吐出させて、第3の成分が100質量%の配合比となる単一構造繊維を紡出した。なお、本明細書において、単一構造繊維とは、長手方向に垂直な断面において均一で同一の材料で構成される繊維をいう。
紡出された単一構造繊維を、冷却用エアにより冷却し、さらに延伸用エアにより張力を加えて所定の繊度(1.4デニール)とし、そのまま、先に得ていた複合繊維からなる不織布の上に捕集して、所定の目付量(5g/m2)となるように堆積させた。次いで、堆積された複合繊維に対して熱エンボスロール190で熱と圧力をかけて一部の繊維を溶かし、繊維を絡合させた。これにより、実施例4の不織布を得た。実施例4の不織布は、複合繊維不織布の上に、単一構造繊維を主体とする不織布(以下、単に「単一構造繊維不織布」ともいう)を積層させた、2層構成の不織布である。
<吸収性物品(おむつ)の製造>
実施例4の不織布をトップシートとして用い、コアラップシートには実施例1の不織布の代わりに目付量12g/m2のティシュペーパーを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4のおむつを得た。
[実施例5]
<複合繊維および不織布の製造>
第1の成分における長鎖分岐ポリプロピレン樹脂PP1(融点162℃、MFR8g/10分)を長鎖分岐ポリプロピレン樹脂PP2(融点162℃、MFR4g/10分)に変更し、第1の成分におけるポリプロピレン系樹脂PP(融点162℃、MFR40g/10分)と、長鎖分岐ポリプロピレン樹脂PP2(融点162℃、MFR8g/10分)の配合比を、固形分換算で97質量%:3質量%とした以外は実施例1と同様にして、偏芯芯鞘型の複合繊維からなる不織布を得た。
また、複合繊維不織布の片面だけでなく両面にそれぞれ、第3の成分が100質量%の配合比となる単一構造繊維を紡出し、所定の目付量(5g/m2)となるように単一構造繊維不織布を積層した以外は、実施例4と同様にして、実施例5の不織布を得た。実施例5の不織布は、偏芯芯鞘型の複合繊維からなる不織布の両面上に、単一構造繊維不織布をそれぞれ1枚積層させた、3層構成の不織布である。
<吸収性物品(おむつ)の製造>
実施例5の不織布をトップシートおよびコアラップシートとして用い、実施例1の不織布を用いなかった以外は実施例1と同様にして、実施例5のおむつを得た。
[比較例1]
<複合繊維および不織布の製造>
第1の成分に長鎖分岐ポリプロピレン樹脂PP1(融点162℃、MFR8g/10分)を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1の不織布を得た。比較例1の不織布は、偏芯芯鞘型の複合繊維を主体とする不織布からなる単層構成の不織布である。
<吸収性物品(おむつ)の製造>
比較例1の不織布をトップシートとして用い、コアラップシートには実施例1の不織布の代わりに目付量12g/m2のティシュペーパーを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1のおむつを得た。
[比較例2]
<複合繊維および不織布の製造>
第1の成分における長鎖分岐ポリプロピレン樹脂PP1(融点162℃、MFR8g/10分)を長鎖分岐ポリプロピレン樹脂PP3(融点162℃、MFR2g/10分)に変更した以外は実施例2と同様にして、複合繊維の紡出を行った。紡糸不良のため、比較例2の不織布は得られなかった。
[比較例3]
<複合繊維および不織布の製造>
第1の成分におけるポリプロピレン系樹脂PP(融点162℃、MFR4g/10分)と、長鎖分岐ポリプロピレン樹脂PP1(融点162℃、MFR8g/10分)の配合比を、固形分換算で85質量%:15質量%とした以外は実施例1と同様にして、複合繊維の紡出を行った。紡糸不良のため、比較例3の不織布は得られなかった。
[比較例4]
<複合繊維および不織布の製造>
第1の成分と第2の成分とが5質量%:95質量%の配合比となるように複合した以外は実施例4と同様にして、比較例4の不織布を得た。比較例4の不織布は、偏芯芯鞘型の複合繊維を主体とする不織布からなる単層構成の不織布である。
<吸収性物品(おむつ)の製造>
比較例4の不織布をトップシートおよびコアラップシートとして用い、実施例1の不織布を用いなかった以外は実施例1と同様にして、比較例4のおむつを得た。
[比較例5]
<複合繊維および不織布の製造>
第1の成分と第2の成分とが50質量%:50質量%の配合比となるように複合した以外は実施例4と同様にして、比較例5の不織布を得た。比較例5の不織布は、偏芯芯鞘型の複合繊維を主体とする不織布からなる単層構成の不織布である。
[比較例6]
<複合繊維および不織布の製造>
第2の成分におけるポリプロピレン系樹脂PP(融点162℃、MFR40g/10分)と、低結晶性ポリオレフィン樹脂PP1(融点52℃、MFR50g/10分)と、有機添加物(エルカ酸アミド5%PPマスターバッチ(ポリプロピレン系樹脂をベースとし有効成分エルカ酸アミドを5質量%の量で含む))と、無機顔料(酸化チタン50%PPマスターバッチ(ポリプロピレン系樹脂をベースとし有効成分酸化チタンを50質量%の量で含む)と、の配合比を、固形分換算で56質量%:20質量%:4質量%:20質量%とした以外は実施例4と同様にして、複合繊維の紡出を行った。紡糸不良のため、比較例6の不織布は得られなかった。
[比較例7]
<複合繊維および不織布の製造>
複合繊維からなる不織布の所定の目付量を15g/m2から46g/m2に変更し、単一構造繊維からなる不織布の所定の目付量を5g/m2から13g/m2に変更した以外は実施例5と同様にして、比較例7の不織布を得た。比較例7の不織布は、偏芯芯鞘型の複合繊維からなる不織布の両面上に、単一構造繊維不織布をそれぞれ1枚積層させた、3層構成の不織布である。
<吸収性物品(おむつ)の製造>
比較例7の不織布をコアラップシートとして用い、実施例1の不織布を用いなかった以外は実施例1と同様にして、比較例7のおむつを得た。
[比較例8]
<複合繊維および不織布の製造>
第2の成分におけるポリプロピレン系樹脂PP(融点162℃、MFR40g/10分)と、低結晶性ポリオレフィン樹脂PP1(融点52℃、MFR50g/10分)と、有機添加物(エルカ酸アミド5%PPマスターバッチ(ポリプロピレン系樹脂をベースとし有効成分エルカ酸アミドを5質量%の量で含む))と、無機顔料(酸化チタン50%PPマスターバッチ(ポリプロピレン系樹脂をベースとし有効成分酸化チタンを50質量%の量で含む)と、の配合比を、固形分換算で94質量%:0質量%:4質量%:2質量%とした以外は実施例4と同様にして、比較例8の不織布を得た。比較例8の不織布は、複合繊維不織布の上に、単一構造繊維不織布を積層させた、2層構成の不織布である。
<吸収性物品(おむつ)の製造>
比較例8の不織布をトップシートとして用い、コアラップシートには実施例1の不織布の代わりに目付量12g/m2のティシュペーパーを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1のおむつを得た。
[比較例9]
<複合繊維および不織布の製造>
第2の成分におけるポリプロピレン系樹脂PP(融点162℃、MFR40g/10分)と、低結晶性ポリオレフィン樹脂PP1(融点52℃、MFR50g/10分)と、有機添加物(エルカ酸アミド5%PPマスターバッチ(ポリプロピレン系樹脂をベースとし有効成分エルカ酸アミドを5質量%の量で含む))と、無機顔料(酸化チタン50%PPマスターバッチ(ポリプロピレン系樹脂をベースとし有効成分酸化チタンを50質量%の量で含む)と、の配合比を、固形分換算で34質量%:60質量%:4質量%:2質量%とし、第1の成分と第2の成分とが30質量%:70質量%の配合比となるように複合した以外は実施例4と同様にして、複合繊維の紡出を行った。紡糸は可能であったが、積層される複合繊維の地合いが不良であったため、不織布の製造を中止した。
(試験項目)
実施例および比較例について、以下の項目の評価試験を行った。
I.複合繊維の紡糸性
複合繊維の製造時に、繊維形成成分の溶融物を口金(ノズル)から吐出させ、延伸用エアにて延伸する工程において、糸同士の融着や糸切れによる紡糸不良などの問題が生じることなく実行することができたか否かを目視にて確認した。評価基準を以下のとおりとした。
○:何ら問題が無く紡糸が行われ、繊維の均一性は良好であった。
紡糸不良:糸切れなどにより、適性に紡糸が行われなかった。
地合不良:紡糸は出来たが、繊維同士の融着により得られた不織布(層)の地合いが劣っていた。
II.複合繊維の捲縮性
複合繊維の製造工程により得られた繊維、つまり、紡出され、冷却され、延伸されて所定の繊度にされた複合繊維について、日本工業規格JIS L1015に準拠して、繊維25mm当たりの繊維の捲縮数を求めた。
III.不織布の繊維の平均繊維径(デニール)
電子顕微鏡(日立製作所製S−3500N)を用いて、倍率1000倍の繊維不織布の写真を撮影した。繊維不織布を構成する繊維のうち、任意の繊維100本を選び、選択した繊維の幅(直径)を測定した。測定結果の平均を平均繊維径とした。
IV.不織布の最大孔径(μm)、最小孔径(μm)及び平均孔径(μm)
日本工業規格JIS Z8703(試験場所の標準状態)に規定する温度20±2℃、湿度65±2%の恒温室内で、不織布から採取した試験片をフッ素系不活性液体(3M社製 商品名:フロリナート)に浸漬し、Porous materials,Inc社製のキャピラリー・フロー・ポロメーター(Capillary Flow Porometer)「モデル:CFP-1200AE」を用いて、最大孔径(μm)、最小孔径(μm)及び平均孔径(μm)を測定した。
V.不織布の空隙率(%)
不織布の任意箇所について、JIS 1096に準拠し、厚さ測定器を用いて、10秒間、0.7kPaの下で厚みを測った。その結果と、不織布の目付、および不織布に使用した原料密度より、下記計算式にて求めた数値の小数点以下第1位を四捨五入して、空隙率を求めた。ただし、得られた不織布が積層体であった場合には、非捲縮繊維を主体とするスパンボンド不織布を除去して得た単層不織布を測定した。
空隙率(%)=〔1−(目付/厚み/密度)〕×100
VI.不織布の嵩高さ
不織布試料を20cm四方の形状にカットし、8枚1組を1サンプルとして、圧縮試験器(カトーテック株式会社製、KES-FB3-AUTO-A)にて、以下の設定条件により、測定を行った。1サンプルについて測定点数3点の測定を行い、3点の平均値を求めた。
Figure 2017222972
Figure 2017222972
VII.不織布のシワ
不織布試料を20cm四方の形状にカットし、引張り・剪断試験器(カトーテック株式
会社製、KES-FB1-AUTO-A)に1枚セットして、標準測定条件にて剪断力の測
定を行った。得られた剪断角−剪断力のデータについて、正方向での剪断角0°付近の直
線部分の変化率DO+と、剪断角最大付近での変化率Dmax+と、負方向での剪断角0
°付近の直線部分の変化率DO−と、剪断角最小付近での変化率Dmax−と、を求めた
。変化率DO+と変化率DO−の平均値をDOとし、変化率Dmax+と変化率Dmax
−の平均値をDmaxとして、変化率の比DO/Dmaxを算出した。
上述のDmaxを評価する時に、最大剪断角付近でのシワの状況を目視にて確認した。評価基準を以下の4段階評価(評価の良いほうから順に、◎、○、△、×の符号で示される)とした。母数(N)を30として、最も当てはまる評価を採用した。
◎:全くシワが無い
○:表面にわずかなうねり程度のシワが見える
△:広いピッチのシワが観測される
×:ピッチの細かいシワが観測される
VIII.おむつの触感(肌触り)
本実施で作成した不織布をカバーシートとして紙おむつに加工し、被験者50名に肌触り感を官能評価にて5段階評価(数字1から5のいずれかで示され、5が一番良い)してもらい、50名の平均値を肌触り感の評価値とした。
IX.おむつの破れ発生枚数
おむつを片手で持ち、30cmの距離を1秒間で往復させるように上下方向に振り、これを連続的に10回繰り返した。次いで、目視にて外観を確認し、破れがあったものや、内容物(SAP)が漏れ出てきたものを、「破れあり」と判定した。被験者50名に本試験をしてもらい、破れありと判定された数を数えた。枚数が少ないほど、破れにくく、性能が良好である。
(試験結果)
試験結果を、図5および図6に示す。
本発明に係る複合繊維は、いずれも紡糸性が良好であった。
また、本発明に係る不織布は、比較例と比べて、嵩高さが顕著に高かった。
(効果)
本実施の形態に係る実施例の複合繊維を用いた不織布からなるシートを、本実施の形態による吸水性物品の吸収体の少なくとも一部を覆うシートとして用いた場合、エンボス加工によって吸水性物品にシート側から吸収体側に向かう凹みを形成する際に、シートが凹みに向かって引っ張られても、シートに破れが生じにくい。また、シートの下にSAP粒子のような比較的硬い材料がある場合であっても、凹みを形成するために圧搾した部分やその近傍において材料がシートを突き破って漏出することが抑制される。
上記実施例および比較例からも明らかなように、本実施の形態の複合繊維を用いた不織布をコアラップおよび/またはトップシートに用いたおむつは、これを用いていないおむつと比べて、破れの問題が改善されていることが分かった。
トップシート(表層側に位置するシート)に本実施の形態の複合繊維を用いた不織布を用いた場合、触感が良好であることが分かった。コアラップに本実施の形態の複合繊維を用いた不織布を用いた場合も、いずれのシートにも本実施の形態の複合繊維を用いた不織布を用いていない場合と比べて触感が良好になっていることが分かった。
特にトップシート(表層側に位置するシート)に本実施の形態の複合繊維を用いた不織布を用いた場合、シワの発生が良好に防止されていることが分かった。コアラップに本実施の形態の複合繊維を用いた不織布を用いた場合も、シワの発生が防止されていることが分かった。
以下に、本実施の形態による複合繊維の好ましい態様の例を示す。
[1] 繊維形成成分である第1の成分と第2の成分とを含む複合繊維であって、
前記第1の成分および前記第2の成分は、それぞれ熱可塑性樹脂を主成分とし 、
前記第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含み、
前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は、ASTM D1238に準拠して荷重2.16kg、温度230℃で測定したメルトフローレートが4g/10分以上であることを特徴とする複合繊維。
長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は、長い側鎖が分岐している構造を有することにより、溶融状態における流動性が低くなる。そのため、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含む熱可塑性樹脂を原料として紡糸を行うと、紡糸用口金から押し出された糸が延伸用エアにより延伸される際に、糸の分子配向が進みやすくなって結晶化が促進される。複合繊維の繊維形成成分のうちの一方の結晶化が促進されて硬くなることにより、他方との弾性の違いが大きくなることで、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を配合した複合繊維は、捲縮性の程度が高くなる。また、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を配合した複合繊維を用いた不織布は、嵩高さが出やすくクッション性に優れ、剪断変形を受けてもシワになりにくくなる。
[2] 前記第1の成分は、前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を、前記第1の成分の全固形分を基準にして、0.5質量%以上10質量%以下の量で含むことを特徴とする、[1]に記載の複合繊維。
第1の成分中の長鎖分岐構造ポリオレフィンの量がこの範囲であると、複合繊維の捲縮性の程度を高くする効果が有意であり、紡糸性も良好である。第1の成分中の長鎖分岐構造ポリオレフィンが0.5質量%より少ないと、複合繊維の捲縮性の程度を高くする効果が小さくなり、10質量%よりも多いと、紡糸性が低下する傾向にある。
[3] 前記複合繊維は、前記第1の成分を、前記複合繊維の全固形分を基準として10質量%以上40質量%以下の量で含むことを特徴とする、[1]または[2]に記載の複合繊維。
[4] 前記第1の成分および前記第2の成分は、それぞれ各成分の全固形分を基準にして90質量%以上100質量%以下の量で熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする、[1]から[3]のいずれかに記載の複合繊維。
熱可塑性樹脂の量は、複合繊維の紡糸性および強度の観点などから、適宜設定することができる。
[5] 前記第1の成分および前記第2の成分は、それぞれポリプロピレンを主成分とすることを特徴とする、[1]から[4]のいずれかに記載の複合繊維。
複合繊維の紡糸性および強度の観点から、熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン(PP)が好ましく使用される。
[6] 前記第1の成分はポリプロピレンを主成分とし、前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は長鎖分岐構造ポリプロピレンであることを特徴とする、[1]から[5]のいずれかに記載の複合繊維。
長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂としてポリプロピレン系の樹脂を使用する場合、相溶性等の観点から、第1の成分の熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン系の樹脂を使用することが好ましい。
[7] 前記複合繊維は、前記第1の成分を芯成分とし前記第2の成分を鞘成分とする芯鞘型複合繊維であることを特徴とする、[1]から[6]のいずれかに記載の複合繊維。
[8] 前記芯鞘型複合繊維は、偏芯芯鞘型複合繊維であることを特徴とする、[7]に記載の複合繊維。
[9] 前記複合繊維は、サイドバイサイド型複合繊維であることを特徴とする、[1]から[6]のいずれかに記載の複合繊維。
[7]から[9]に示されるように、本実施の形態による複合繊維は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含む第1の成分と、第1の成分とは異なる第2の成分とが、複合繊維の長手方向に垂直な断面において非対称のゾーンに配置されている。第1の成分は、第2の成分と比べて、紡糸され延伸される際に分子配向が進みやすく結晶化が促進されやすいため、本実施の形態による複合繊維は高い捲縮性を示す。また、この複合繊維を用いた不織布は、良好な伸縮性やクッション性を有し、嵩高い。
[10] 前記第1の成分または第2の成分の少なくとも一方に、下記a)からg)、
a)メソペンタッド分率[mmmm]が、30モル%以上80モル%以下であり、
b)ラセミペンタッド分率[rrrr]と[1−mmmm]が、[rrrr]/[1−mmmm]≦0.1の関係を満たし、
c)ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]が、2.5モル%を超え、
d)メソトリアッド分率[mm]、ラセミトリアッド分率[rr]、およびトリアッド分率[mr]が、[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0の関係を満たし、
e)重量平均分子量[Mw]が、10,000以上200,000以下であり、
f)前記重量平均分子量[Mw]および数平均分子量[Mn]が、分子量分布[Mw]/[Mn]≦4の関係を満たし、
g)沸騰ジエチルエーテルによる抽出物の量が、低結晶性ポリオレフィン樹脂の全固形分を基準にして0質量%以上10質量%以下である、
を満たす低結晶性ポリオレフィン樹脂を、全固形分を基準にして5質量%以上50質量%以下の量で含むことを特徴とする[1]から[9]のいずれかに記載の複合繊維。
低結晶性ポリオレフィン樹脂は、側鎖の突出方向が不揃いであるため結晶を作りにくく、これを用いた繊維および不織布は、柔らかくゴワツキが小さく、肌触りの良い傾向にある。
[11] 吸収体とトップシートとを含む吸収体物品用のトップシートであって、[1]から[10]のいずれかに記載の複合繊維からなる不織布を含むことを特徴とする、トップシート。
トップシートとして、本実施の形態による不織布を用いることにより、吸収性物品に対し、嵩高さ、シワのできにくさに加え、使用者にとって良好な肌触りを提供し得る。
[12] 吸収体コアと前記吸収体コアをくるむコアラップシートとを含むコアラップ型吸収体用のコアラップシートであって、[1]から[10]のいずれかに記載の複合繊維からなる不織布を含むことを特徴とする、コアラップシート。
コアラップシートとして、本実施の形態による不織布を用いることにより、コアラップ型吸収体に対し、嵩高さ、シワのできにくさを提供することができ、その結果、かかるコアラップ型吸収体を含む吸収体物品に対し、使用者にとって良好な肌触りを提供し得る。
[13] トップシートと、吸収体と、バックシートと、を含む吸収性物品であって、前記トップシート、前記吸収体および前記バックシートの少なくとも1つが[1]から[10]に記載の複合繊維からなる不織布を含むことを特徴とする、吸収性物品。
バックシートとして、本実施の形態による不織布を用いると、シワができにくく、見た目のよさを提供することができる。
10 使い捨ておむつ
10F 前身頃領域
10R 後身頃領域
10C 股下領域
10W ウエスト周り開口部
10L 脚周り開口部
10J 閉じ合わせ部
10T 廃棄テープ
11 カバーシート
11A 切欠き部
11B インナーカバーシート
11C アウターカバーシート
12 バックシート(裏面シート)
13 吸収体
13B 親水性シート
13C コアラップ型吸収体
14 トップシート(表面シート)
15、17 糸ゴム
18 サイドシート
19 糸ゴム
21 凹部(溝)
21a 第1溝
21b 第2溝
22 圧搾部
24 平坦部
1001 偏芯芯鞘型複合繊維
1002 サイドバイサイド型複合繊維
1010、1110 第1の成分
1020、1120 第2の成分
1130、1140 押出機
1150 口金(ノズル)
1160 冷却用エア
1170 延伸用エア
1180 捕集コンベア
1190 熱エンボスロール
1200 ワインダー
G 複合繊維不織布層
H 単一構造繊維不織布層

Claims (10)

  1. 繊維形成成分である第1の成分と第2の成分とを含む複合繊維であって、
    前記第1の成分および前記第2の成分は、それぞれ熱可塑性樹脂を主成分とし 、
    前記第1の成分は、長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を含み、
    前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は、ASTM D1238に準拠して荷重2.16kg、温度230℃で測定したメルトフローレートが4g/10分以上であることを特徴とする複合繊維。
  2. 前記第1の成分は、前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂を、前記第1の成分の全固形分を基準にして、0.5質量%以上10質量%以下の量で含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合繊維。
  3. 前記複合繊維は、前記第1の成分を、前記複合繊維の全固形分を基準として10質量%以上40質量%以下の量で含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の複合繊維。
  4. 前記第1の成分および前記第2の成分は、それぞれ各成分の全固形分を基準にして90質量%以上100質量%以下の量で熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合繊維。
  5. 前記第1の成分および前記第2の成分は、それぞれポリプロピレンを主成分とすることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の複合繊維。
  6. 前記第1の成分はポリプロピレンを主成分とし、前記長鎖分岐構造ポリオレフィン樹脂は長鎖分岐構造ポリプロピレンであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の複合繊維。
  7. 前記複合繊維は、前記第1の成分を芯成分とし前記第2の成分を鞘成分とする芯鞘型複合繊維であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の複合繊維。
  8. 前記芯鞘型複合繊維は、偏芯芯鞘型複合繊維であることを特徴とする、請求項7に記載の複合繊維。
  9. 前記複合繊維は、サイドバイサイド型複合繊維であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の複合繊維。
  10. 前記第1の成分または第2の成分の少なくとも一方に、下記a)からg)、
    a)メソペンタッド分率[mmmm]が、30モル%以上80モル%以下であり、
    b)ラセミペンタッド分率[rrrr]と[1−mmmm]が、[rrrr]/[1−mmmm]≦0.1の関係を満たし、
    c)ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]が、2.5モル%を超え、
    d)メソトリアッド分率[mm]、ラセミトリアッド分率[rr]、およびトリアッド分率[mr]が、[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0の関係を満たし、
    e)重量平均分子量[Mw]が、10,000以上200,000以下であり、
    f)前記重量平均分子量[Mw]および数平均分子量[Mn]が、分子量分布[Mw]/[Mn]≦4の関係を満たし、
    g)沸騰ジエチルエーテルによる抽出物の量が、低結晶性ポリオレフィン樹脂の全固形分を基準にして0質量%以上10質量%以下である、
    を満たす低結晶性ポリオレフィン樹脂を、全固形分を基準にして5質量%以上50質量%以下の量で含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の複合繊維。
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