JP2020161661A - 化合物半導体装置及びその製造方法、検波器 - Google Patents
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Abstract
Description
より検波感度や変換効率を高くするために、図49に示すようなバンド間トンネル現象を利用したバックワードダイオードが用いられる場合もある。
バックワードダイオードは、逆方向電圧印加時には、トンネル電流が流れるために低い電圧で急激に電流が流れるのに対し、順方向電圧印加時には、約0.5V付近まで電流が流れず、これにより、大きな非線形特性を示す(例えば図50参照)。
このため、バックワードダイオードは、0V近傍の微弱な高周波電力の入力に対しては大変有効であるが、例えばmW以上の大きな入力電力に対しては、電圧のスイングが大きくなって、順方向電流が流れ始め(例えば図50参照)、非線形特性が劣化する。
本発明は、バックワードダイオードを用いる場合に順方向の耐圧を向上させ、例えばmW以上の大きな入力電力に対する非線形特性の劣化を抑制することを目的とする。
1つの態様では、検波器は、アンテナと、アンテナに接続された化合物半導体装置とを備え、化合物半導体装置は、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部によって接合された複数のバックワードダイオードを備える。
本実施形態にかかる化合物半導体装置は、バックワードダイオードを含む化合物半導体装置である。
ここで、バックワードダイオードは、バンド間トンネル現象を利用したバンド間トンネルダイオードであり、例えば検波器やエネルギーハーベスタに用いられる化合物半導体装置において、より検波感度や変換効率を高くするために用いられる。
ここで、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2は、それぞれ、n型半導体4、8とp型半導体5、9をバンド間トンネル電流が一方向に流れるように、即ち、バックワード動作するようにバンド間トンネル接合することによって構成される。
また、バンド間トンネル接合部3は、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2に含まれる一のバックワードダイオード1に備えられるp型半導体5に連なるp型部分6と、複数のバックワードダイオード1、2に含まれる他のバックワードダイオード2に備えられるn型半導体8に連なるn型部分7とをバンド間トンネル接合することによって構成される。
このため、複数のバックワードダイオード1、2は、いずれも、p−GaAsSbとn−InGaAsがヘテロ接合されたpn接合ダイオードである。
なお、これに限られるものではなく、例えば、n型半導体4、8及びn型部分7は、InAs又はInGaAsからなり、p型半導体5、9及びp型部分6は、GaSb、GaAsSb又はAlGaSbからなるものとすれば良い。また、n型半導体4、8及びn型部分7は、少なくともInとAsを含み、p型半導体5、9及びp型部分6は、少なくともGaとSbを含むものであれば良い。また、複数のバックワードダイオード1、2は、異なるバンドギャップを有する材料からなるバックワードダイオードを含むものとしても良い。
つまり、ここでは、n型部分7は、n+−InGaAsであり、p型部分6は、p+−GaAsSbである。なお、n型部分7及びp型部分9は、不純物濃度が高濃度の半導体層である。このため、高濃度不純物層ともいう。
このように、本実施形態では、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2を接合するバンド間トンネル接合部3を構成するn型部分7及びp型部分6を、高濃度の不純物を含むものとする、即ち、不純物濃度を高くする。
なお、バンド間トンネル接合部3では、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合されるが、これを、バンド間トンネル接合によるオーミック接合ともいう。
これにより、上述のようにして複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2を接合したものは、図4中、実線Aで示すようなI−V特性となり、破線Bで示す従来のバックワードダイオードのI−V特性と比較して、逆方向耐圧をそれほど増加させずに、順方向耐圧を向上させることができる。
このように、上述のバンド間トンネル接合部3によって複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2を接合したものは、順方向耐圧が向上したバックワードダイオードとして機能することになる。
これに対し、例えば図5に示すように、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2をそのまま結合(単純結合)すると、上述のような効果は得られない。
この場合、図6に示すように、一のバックワードダイオード1と他のバックワードダイオード2とを接合する部分のバンド間トンネル距離は長いため、この接合部では、図7に示すようなI−V特性となり、バックワードダイオードとして機能することになる。
この場合、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2をそのまま結合したものは、図8中、実線Aで示すようなI−V特性となり、破線Bで示す従来のバックワードダイオードのI−V特性と比較して、順方向耐圧を向上させることができるものの、同様に、逆方向耐圧も増加してしまう。
このため、例えばmW以上の大きな入力電力に対する非線形特性の劣化を抑制することができず、例えば検波器やエネルギーハーベスタに用いた場合に、高感度化、高効率化を実現することもできない。
例えば、図9に示すように、複数のバックワードダイオードとして4つのバックワードダイオード1、2、10、11をバンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合しても良い。
このように、複数のバックワードダイオード1、2、10、11をバンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合(接続)した構造とすることで、バックワードダイオードの数に応じて順方向耐圧を向上させることができる。例えば、後述の具体例のように、複数のバックワードダイオードを積層する場合には、積層するバックワードダイオードの数(スタック数)に応じて順方向耐圧を向上させることができる。この場合、バックワードダイオードの数で所望の耐圧に制御できることになる。
本実施形態にかかる化合物半導体装置の製造方法は、一のバックワードダイオード1を形成する工程と、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部3によって一のバックワードダイオード1に接合されるように、他のバックワードダイオード2を形成する工程とを含む(例えば図12、図13参照)。
本具体例の化合物半導体装置は、例えば図11に示すように、半絶縁性InP基板12上に、i−InAlAsバッファー層13、n+−InGaAs層14、n−InGaAs層4、p−GaAsSb層5、p+−GaAsSb層6、n+−InGaAs層7、n−InGaAs層8、p−GaAsSb層9からなる半導体積層構造を備える。
また、p+−GaAsSb層(p+−GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)6及びn+−InGaAs層(n+−In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)7によって、一のバックワードダイオード1と他のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3が構成される。
また、バンド間トンネル接合部3によって接合された2つのバックワードダイオード1、2は、メサ構造(メサ型の構造)15を有する。
次に、本具体例の化合物半導体装置の製造方法について、図12〜図19を参照しながら説明する。
ここでは、i−InAlAsバッファー層13は、例えば、厚さ約200nmのi−In0.52Al0.48As層である。
また、n+−InGaAs層14は、例えばドーピング濃度約1×1019cm−2、厚さ約200nmのn+−In0.53Ga0.47As層である。
ここでは、一のバックワードダイオード1を構成するn−InGaAs層4は、例えば、ドーピング濃度約1×1018cm−3、厚さ約100nmのn−In0.53Ga0.47As層である。
続いて、一のバックワードダイオード1と他のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3を構成するp+−GaAsSb(p+−GaAsSb層;高濃度の不純物を含むp型部分)6、n+−InGaAs(n+−InGaAs層;高濃度の不純物を含むn型部分)7を成長させる。
また、バンド間トンネル接合部3を構成するn+−InGaAs層7は、例えば、ドーピング濃度約1×1019cm−3、厚さ約50nmのn+−In0.53Ga0.47As層である。
ここでは、他のバックワードダイオード2を構成するn−InGaAs層8は、例えば、ドーピング濃度約1×1018cm−3、厚さ約100nmのn−In0.53Ga0.47As層である。
なお、ここでは、各半導体層13、14、4〜9は、InP基板に格子整合する例を示しているが、必ずしも格子整合しなくても良い。
ここでは、他のバックワードダイオード2、バンド間トンネル接合部3、一のバックワードダイオード1のそれぞれを構成する各半導体層4〜9をエッチングして、メサ(メサ構造)15を形成する。その後、レジストを除去する。
次に、図15に示すように、メサ15の直上に電極(上部電極)16を形成する。
ここでは、例えばフォトリソグラフィーによって、電極領域を規定し、メサ15の最上層を構成するp−GaAsSb層9上に、例えばPt/Auの蒸着・リフトオフによって、電極16を形成する。
ここでは、例えばフォトリソグラフィーによって、電極領域を規定し、n+−InGaAs層14上に、例えばTi/Auの蒸着・リフトオフによって、電極17を形成する。
次に、図17に示すように、メサ15の段差を含む全体を埋め込むように、例えばBCBを塗布し、硬化させることによって、層間絶縁膜20を形成する。
次に、図19に示すように、例えばフォトリソグラフィーによって、コンタクト配線領域を規定し、例えばAuめっきによって、各電極17、18に接続されるコンタクト配線18、19を形成する。その後、レジストは除去する。
なお、この具体例では、複数のバックワードダイオードとして2つのバックワードダイオード1、2をバンド間トンネル接合部3によって接合する場合の具体例として説明しているが、例えば図9に示すように、4つのバックワードダイオード1、2、10、11をバンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合する場合には、以下のようにすれば良い。
また、p+−GaAsSb層(p+−GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)6及びn+−InGaAs層(n+−In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)7によって、第1のバックワードダイオード1と第2のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3が構成される。
また、p+−GaAsSb層(p+−GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)23及びn+−InGaAs層(n+−In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)24によって、第2のバックワードダイオード2と第3のバックワードダイオード10を接合するバンド間トンネル接合部3Aが構成される。
また、p+−GaAsSb層(p+−GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)27及びn+−InGaAs層(n+−In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)28によって、第3のバックワードダイオード10と第4のバックワードダイオード11を接合するバンド間トンネル接合部3Bが構成される。
また、バンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合された4つのバックワードダイオード1、2、10、11は、メサ構造(メサ型の構造)15を有する。
このように構成される化合物半導体装置は、上述の具体例の化合物半導体装置と層構造が異なるだけであるため、上述の具体例の製造方法と同様の方法で製造することができる。
例えば、無線通信の受信機用の検波器やエネルギーハーベスタのエネルギー変換素子として、通常はショットキーダイオードが用いられる。
より検波感度や変換効率が高い素子として、バンド間トンネル現象を利用したバックワードダイオードがある(例えば図49参照)。
そして、バックワードダイオードは、ゼロバイアス近傍で大きな非線形特性を持つのが特徴である。
ここで、図50は、典型的なバックワードダイオードのI−V特性を示している。
しかしながら、約0.5V付近よりも順方向電圧が大きい場合には電流が流れ始める。
これは、図49に示すようなエネルギーバンド構造において、バリアになっていたp−GaAsSbとn−InGaAsの伝導帯のエネルギー差(ΔEc)を超える電子が多くなるためである。
このように、バックワードダイオードは、小さな入力電力の変換には向くが、比較的大きい入力電力には向かないという課題、即ち、電力変換のダインミックレンジが小さいという課題があった。
そこで、バックワードダイオードを用いる場合に順方向の耐圧を向上させ、例えばmW以上の大きな入力電力に対する非線形特性の劣化を抑制するために、上述のような構成及び製造方法を採用している。
ところで、上述のバンド間トンネル接合部によって接合された複数のバックワードダイオードを含む化合物半導体装置は、例えば図21に示すような微小電力のエネルギーハーベスティングに用いられるエネルギーハーベスタ、あるいは、例えば図22に示すようなマイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波などの高周波信号を検波する検波器(通信用検波器;受信機用検波器)として利用することができる。
また、電力変換器32は、ダイオード35と、キャパシタ36と、インダクタ37とを備える。
そして、ダイオード35に、上述のバンド間トンネル接合部3によって接合された複数のバックワードダイオード1、2を適用することができる。
また、検波器は、例えば図22に示すように、アンテナ38と、ダイオード39と、インダクタ40とを備える。
この場合、検波器は、アンテナ38と、アンテナ38に接続された化合物半導体装置とを備え、化合物半導体装置は、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部3によって接合された複数のバックワードダイオード1、2を備えるものとなる。
この結果、例えばエネルギーハーベスタに用いた場合(例えば図21参照)に、効率良く電力エネルギー変換が行なえるようになり、エネルギー変換効率が向上し、高効率化を実現することができる。また、電力変換素子として用いた場合に、電力エネルギー変換できる入力電力のダイナミックレンジを広げることができ、高効率化に寄与することができる。
なお、n型部分7X及びp型部分6Xは、バックワードダイオード1、2を構成する半導体よりもバンドギャップが狭い半導体層である。このため、狭バンドギャップ層ともいう。
このように、第1変形例では、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2を接合するバンド間トンネル接合部3を構成するn型部分7X及びp型部分6Xを、バンドギャップが狭い材料からなるものとする。
なお、バンド間トンネル接合部3では、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合されるが、これを、バンド間トンネル接合によるオーミック接合ともいう。
これにより、上述のようにして複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2を接合したものは、図26中、実線Aで示すようなI−V特性となり、破線Bで示す従来のバックワードダイオードのI−V特性と比較して、逆方向耐圧をそれほど増加させずに、順方向耐圧を向上させることができる。
このように、上述のバンド間トンネル接合部3によって複数(ここでは2つ)のバックワードダイオードを接合したものは、順方向耐圧が向上したバックワードダイオードとして機能することになる。
ここで、図27は、図23に示すようなエネルギーバンド構造を有する第1変形例のもの、即ち、p−GaAsSb/n−InGaAsからなる2つのバックワードダイオード1、2をn−InAs/p−GaSbからなるバンド間トンネル接合部3で接続したものについてデバイス特性シミュレーションを用いてI−V特性を求めた結果を示している。
従来のバックワードダイオードでは、図29に示すように、バックワードダイオード特有のI−V特性になっており、順方向の耐圧は、約0.4V〜約0.5V付近であることがわかる。
このように、第1変形例のものでは、順方向の耐圧を向上させたバックワードダイオードが実現できることがわかる。
なお、第1変形例では、n型部分7Xがn型半導体4、8よりもバンドギャップが狭い材料からなり、かつ、p型部分6Xがp型半導体5、9よりもバンドギャップが狭い材料からなるものとすることで、複数のバックワードダイオード1、2を接合するバンド間トンネル接合部3を、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するものとしているが、これに限られるものではない。
例えば、図30に示すように、複数のバックワードダイオードとして4つのバックワードダイオード1、2、10、11をバンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合しても良い。
このように、複数のバックワードダイオード1、2、10、11をバンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合(接続)した構造とすることで、バックワードダイオードの数に応じて順方向耐圧を向上させることができる。例えば、後述の具体例のように、複数のバックワードダイオードを積層する場合には、積層するバックワードダイオードの数(スタック数)に応じて順方向耐圧を向上させることができる。この場合、バックワードダイオードの数で所望の耐圧に制御できることになる。
つまり、上述の第1変形例のものにおいて、n型部分7Xがn型半導体4、8よりも高濃度の不純物を含むか、p型部分6Xがp型半導体5、9よりも高濃度の不純物を含むか、又は、n型部分7Xがn型半導体4、8よりも高濃度の不純物を含み、かつ、p型部分6Xがp型半導体5、9よりも高濃度の不純物を含むものとしても良い。
第1変形例の具体例の化合物半導体装置は、例えば図32に示すように、半絶縁性InP基板12上に、i−InAlAsバッファー層13、n+−InGaAs層14、n−InGaAs層4、p−GaAsSb層5、p−GaSb層6X、n−InGaAs層7X、n−InGaAs層8、p−GaAsSb層9からなる半導体積層構造を備える。
また、p−GaSb層(バンドギャップが狭い材料からなるp型部分)6X及びn−InGaAs層(n−In0.8Ga0.2As層;バンドギャップが狭い材料からなるn型部分)7Xによって、一のバックワードダイオード1と他のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3が構成される。
また、バンド間トンネル接合部3によって接合された2つのバックワードダイオード1、2は、メサ構造(メサ型の構造)15を有する。
このように構成される化合物半導体装置は、上述の実施形態の具体例の化合物半導体装置とバンド間トンネル接合部3を構成する半導体層が異なるだけであるため、上述の実施形態の具体例の製造方法と同様の方法で製造することができる。
例えば、半絶縁性InP基板12上に、i−In0.52Al0.48As層13、n+−In0.53Ga0.47As層14、n−In0.53Ga0.47As層4、p−GaAs0.51Sb0.49層5、p+−GaSb層6X、n+−In0.8Ga0.2As層7X、n−In0.53Ga0.47As層8、p−GaAs0.51Sb0.49層9、p+−GaSb層23X、n+−In0.8Ga0.2As層24X、n−In0.53Ga0.47As層25、p−GaAs0.51Sb0.49層26、p+−GaSb層27X、n+−In0.8Ga0.2As層28X、n−In0.53Ga0.47As層29、p−GaAs0.51Sb0.49層30からなる半導体積層構造を備えるものとすれば良い。
また、p+−GaSb層(バンドギャップが狭い材料からなり、高濃度の不純物を含むp型部分)6X及びn+−InGaAs層(n+−In0.8Ga0.2As層;バンドギャップが狭い材料からなり、高濃度の不純物を含むn型部分)7Xによって、第1のバックワードダイオード1と第2のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3が構成される。
また、p+−GaSb層(バンドギャップが狭い材料からなり、高濃度の不純物を含むp型部分)23X及びn+−InGaAs層(n+−In0.8Ga0.2As層;バンドギャップが狭い材料からなり、高濃度の不純物を含むn型部分)24Xによって、第2のバックワードダイオード2と第3のバックワードダイオード10を接合するバンド間トンネル接合部3Aが構成される。
また、p+−GaSb層(バンドギャップが狭い材料からなり、高濃度の不純物を含むp型部分)27X及びn+−InGaAs層(n+−In0.8Ga0.2As層;バンドギャップが狭い材料からなり、高濃度の不純物を含むn型部分)28Xによって、第3のバックワードダイオード10と第4のバックワードダイオード11を接合するバンド間トンネル接合部3Bが構成される。
また、バンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合された4つのバックワードダイオード1、2、10、11は、メサ構造(メサ型の構造)15を有する。
このように構成される化合物半導体装置は、上述の実施形態の具体例の化合物半導体装置とバンド間トンネル接合部3を構成する半導体層が異なるだけであるため、上述の実施形態の具体例の製造方法と同様の方法で製造することができる。
例えば、複数のバックワードダイオードは、異なるバンドギャップを有する材料からなるバックワードダイオードを含むものとしても良い。
この場合、例えば、複数のバックワードダイオードのバンドギャップが、カソード側から見て段階的に大きくなるものとしても良いし、例えば、複数のバックワードダイオードのバンドギャップが、基板に近い側から順番に大きくなるものとしても良い。
なお、ここでは、上述の実施形態のもの(図20参照)において、複数のバックワードダイオードを、互いに異なるバンドギャップを有する材料からなり、一方の側から他方の側へ向けて順にバンドギャップが大きくなるものとする場合を例に挙げて説明する。
つまり、第2変形例の具体例の化合物半導体装置は、例えば図34に示すように、半絶縁性InP基板12上に、i−InAlAsバッファー層13、n+−InGaAs層14、n−InGaAs層4、p−GaAsSb層5X、p+−GaAsSb層6、n+−InGaAs層7、n−InGaAs層8、p−AlGaAsSb層9X、p+−GaAsSb層23、n+−InGaAs層24、n−InGaAs層25、p−AlGaAsSb層26X、p+−GaAsSb層27、n+−InGaAs層28、n−InGaAs層29、p−AlGaAsSb層30Xからなる半導体積層構造を備えるものとする。
また、p+−GaAsSb層(p+−GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)6及びn+−InGaAs層(n+−In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)7によって、第1のバックワードダイオード1と第2のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3が構成される。
また、p+−GaAsSb層(p+−GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)23及びn+−InGaAs層(n+−In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)24によって、第2のバックワードダイオード2と第3のバックワードダイオード10を接合するバンド間トンネル接合部3Aが構成される。
また、p+−GaAsSb層(p+−GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)27及びn+−InGaAs層(n+−In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)28によって、第3のバックワードダイオード10と第4のバックワードダイオード11を接合するバンド間トンネル接合部3Bが構成される。
また、バンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合された4つのバックワードダイオード1、2、10、11は、メサ構造(メサ型の構造)15を有する。
このように構成される化合物半導体装置は、上述の実施形態の具体例の化合物半導体装置と各バックワードダイオード1、2、10、11を構成する半導体層が異なるだけであるため、上述の実施形態の具体例の製造方法と同様の方法で製造することができる。
なお、化合物半導体装置は、ナノワイヤ型バックワードダイオードを含む化合物半導体装置であるため、化合物半導体装置を、ナノワイヤ半導体装置又はナノワイヤ型の構造を有する半導体装置ともいう。
以下、第3変形例のものについて、具体例を挙げて、具体的に説明する。
なお、ここでは、上述の実施形態のもの(図11参照)において、バンド間トンネル接合部3によって接合された複数のバックワードダイオード1、2をナノワイヤ化した場合を例に挙げて説明する。また、基板を半絶縁性GaAs基板(例えば半絶縁性GaAs(111)B基板)12Xとし、バッファー層を設けない場合を例に挙げて説明する。
また、p+−GaAsSb層(p+−GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)6及びn+−InGaAs層(n+−In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)7によって、一のバックワードダイオード1と他のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3が構成される。
また、バンド間トンネル接合部3によって接合された2つのバックワードダイオード1、2は、ナノワイヤ構造(ナノワイヤ型の構造)15Xを有する。
なお、ここではn+−GaAs層14Xの表面は、SiO2膜41で覆われている。
まず、図36に示すように、半絶縁性GaAs(111)B基板12X上に、n+−GaAs層14X(例えばドーピング濃度約1×1019cm−2、厚さ約200nm)を成長させる。
次に、図38に示すように、例えばフォトリソグラフィーによって、ナノワイヤ15Xを形成する領域を規定し、例えばドライエッチングによって、SiO2膜41に開口を設ける。
次に、図40〜図42に示すように、Au42を触媒として、一のバックワードダイオード1、バンド間トンネル接合部3及び他のバックワードダイオード2を含むナノワイヤ15Xを成長させる。
ここでは、n−In0.53Ga0.47As層4とp−GaAs0.51Sb0.49層5とからなるナノワイヤを成長させて、一のバックワードダイオード1を形成する。
ここでは、p+−GaAs0.51Sb0.49層6とn+−In0.53Ga0.47As層7とからなるナノワイヤを成長させて、バンド間トンネル接合部3を形成する。
ここでは、n−In0.53Ga0.47As層8とp−GaAs0.51Sb0.49層9とからなるナノワイヤを成長させて、他のバックワードダイオード2を形成する。
次に、図43に示すように、例えばフォトリソグラフィーによって、素子分離を行なう領域を規定し、n+−GaAs層14Xをエッチングで除去し、半絶縁性GaAs(111)B基板12Xを露出させて、素子分離を行なう。その後、レジストを除去する。
ここでは、例えばフォトリソグラフィーによって、電極領域を規定し、n+−GaAs層14X上に、例えばAuGe/Auの蒸着・リフトオフによって、電極17を形成する。
次に、図46に示すように、ナノワイヤ15Xの一部が露出するように、層間絶縁膜20をエッチング(エッチバック)する。
次に、図47に示すように、例えばフォトリソグラフィーによって電極17の直上にコンタクトホール領域を規定し、例えばドライエッチングによって電極17に達するコンタクトホール43を形成する。
なお、第3変形例では、基板12X上に形成する絶縁膜をSiO2膜41としているが、これに限られるものではなく、例えばSiNなどの他の絶縁膜としても良い。
また、第3変形例では、Au触媒42を用いているが、これに限られるものではなく、Au触媒を用いないでも良い。
また、高周波動作を考慮すると基板は半絶縁性の方が望ましいため、上述の実施形態及び各変形例では、基板を半絶縁性基板としているが、半絶縁性基板でなくても良い。
なお、本発明は、上述した実施形態及び各変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
(付記1)
バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部によって接合された複数のバックワードダイオードを備えることを特徴とする化合物半導体装置。
前記複数のバックワードダイオードは、それぞれ、n型半導体とp型半導体をバンド間トンネル電流が一方向に流れるようにバンド間トンネル接合することによって構成され、
前記バンド間トンネル接合部は、前記複数のバックワードダイオードに含まれる一のバックワードダイオードに備えられる前記p型半導体に連なるp型部分と、前記複数のバックワードダイオードに含まれる他のバックワードダイオードに備えられる前記n型半導体に連なるn型部分とをバンド間トンネル接合することによって構成されることを特徴とする、付記1に記載の化合物半導体装置。
前記n型半導体及び前記n型部分は、少なくともInとAsを含み、
前記p型半導体及び前記p型部分は、少なくともGaとSbを含むことを特徴とする、付記2に記載の化合物半導体装置。
(付記4)
前記n型半導体及び前記n型部分は、InAs又はInGaAsからなり、
前記p型半導体及び前記p型部分は、GaSb、GaAsSb又はAlGaSbからなることを特徴とする、付記2又は3に記載の化合物半導体装置。
前記n型部分が前記n型半導体よりも高濃度の不純物を含むか、前記p型部分が前記p型半導体よりも高濃度の不純物を含むか、又は、前記n型部分が前記n型半導体よりも高濃度の不純物を含み、かつ、前記p型部分が前記p型半導体よりも高濃度の不純物を含むことを特徴とする、付記2〜4のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
前記n型部分が前記n型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなるか、前記p型部分が前記p型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなるか、前記n型部分が前記n型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなり、かつ、前記p型部分が前記p型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなることを特徴とする、付記2〜5のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
前記複数のバックワードダイオードは、同一のバンドギャップを有する材料からなることを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
(付記8)
前記複数のバックワードダイオードは、異なるバンドギャップを有する材料からなるバックワードダイオードを含むことを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
前記複数のバックワードダイオードは、互いに異なるバンドギャップを有する材料からなり、一方の側から他方の側へ向けて順にバンドギャップが大きくなることを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
(付記10)
前記複数のバックワードダイオードは、それぞれ、ナノワイヤ型の構造を有することを特徴とする、付記1〜9のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
アンテナと、
前記アンテナに接続された化合物半導体装置とを備え、
前記化合物半導体装置は、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部によって接合された複数のバックワードダイオードを備えることを特徴とする検波器。
アンテナと、
前記アンテナに接続され、化合物半導体装置を含む電力変換器とを備え、
前記化合物半導体装置は、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部によって接合された複数のバックワードダイオードを備えることを特徴とするエネルギーハーベスタ。
一のバックワードダイオードを形成する工程と、
バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部によって前記一のバックワードダイオードに接合されるように、他のバックワードダイオードを形成する工程とを含むことを特徴とする化合物半導体装置の製造方法。
2 バックワードダイオード(他のバックワードダイオード)
3、3A、3B バンド間トンネル接合部
4 n型半導体(n型半導体層;n−InGaAs層;n−In0.53Ga0.47As層)
5 p型半導体(p型半導体層;p−GaAsSb層;p−GaAs0.51Sb0.49層)
5X p−GaAsSb層(p−GaAs0.51Sb0.49層)
6 p型部分(p+−GaAsSb層;p+−GaAs0.51Sb0.49層)
6X p型部分(p−GaSb;p+−GaSb層)
7 n型部分(n+−InGaAs層;n+−In0.53Ga0.47As層)
7X n型部分(In組成が高いn−InGaAs;n−In0.8Ga0.2As;n−InAs;n+−InGaAs層;n+−In0.8Ga0.2As層)
8 n型半導体(n型半導体層;n−InGaAs層;n−In0.53Ga0.47As層)
9 p型半導体(p型半導体層;p−GaAsSb層;p−GaAs0.51Sb0.49層)
9X p−AlGaAsSb層(p−Al0.1Ga0.9As0.51Sb0.49層)
10、11 バックワードダイオード
12 半絶縁性InP基板
12X 半絶縁性GaAs基板(半絶縁性GaAs(111)B基板)
13 i−InAlAsバッファー層(i−In0.52Al0.48As層)
14 n+−InGaAs層(n+−In0.53Ga0.47As層)
14X n+−GaAs層
15 メサ構造(メサ型の構造)
15X ナノワイヤ(ナノワイヤ構造;ナノワイヤ型の構造)
16 電極(上部電極)
17 電極(下部電極)
18、19 コンタクト配線
20 層間絶縁膜(BCB)
21、22 コンタクトホール
23 p+−GaAsSb層(p型部分;p+−GaAs0.51Sb0.49層)
23X p+−GaSb層(p型部分)
24 n+−InGaAs層(n型部分;n+−In0.53Ga0.47As層)
24X n+−InGaAs層(n型部分)
25 n−InGaAs層(n型半導体;n型半導体層;n−In0.53Ga0.47As層)
26 p−GaAsSb層(p型半導体;p型半導体層;p−GaAs0.51Sb0.49層)
26X p−AlGaAsSb層(p−Al0.2Ga0.8As0.51Sb0.49層)
27 p+−GaAsSb層(p型部分;p+−GaAs0.51Sb0.49層)
27X p+−GaSb層(p型部分)
28 n+−InGaAs層(n型部分;n+−In0.53Ga0.47As層)
28X n+−InGaAs層(n+−In0.8Ga0.2As層;n型部分)
29 n−InGaAs層(n型半導体;n型半導体層;n−In0.53Ga0.47As層)
30 p−GaAsSb層(p型半導体;p型半導体層;p−GaAs0.51Sb0.49層)
30X p−AlGaAsSb層(p−Al0.3Ga0.7As0.51Sb0.49層)
31 アンテナ
32 電力変換器
33 昇圧器
34 二次電池
35 ダイオード
36 キャパシタ
37 インダクタ
38 アンテナ
39 ダイオード
40 インダクタ
41 SiO2膜
42 Au(Au触媒)
43 コンタクトホール
Claims (10)
- バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部によって接合された複数のバックワードダイオードを備えることを特徴とする化合物半導体装置。
- 前記複数のバックワードダイオードは、それぞれ、n型半導体とp型半導体をバンド間トンネル電流が一方向に流れるようにバンド間トンネル接合することによって構成され、
前記バンド間トンネル接合部は、前記複数のバックワードダイオードに含まれる一のバックワードダイオードに備えられる前記p型半導体に連なるp型部分と、前記複数のバックワードダイオードに含まれる他のバックワードダイオードに備えられる前記n型半導体に連なるn型部分とをバンド間トンネル接合することによって構成されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物半導体装置。 - 前記n型半導体及び前記n型部分は、少なくともInとAsを含み、
前記p型半導体及び前記p型部分は、少なくともGaとSbを含むことを特徴とする、請求項2に記載の化合物半導体装置。 - 前記n型半導体及び前記n型部分は、InAs又はInGaAsからなり、
前記p型半導体及び前記p型部分は、GaSb、GaAsSb又はAlGaSbからなることを特徴とする、請求項2又は3に記載の化合物半導体装置。 - 前記n型部分が前記n型半導体よりも高濃度の不純物を含むか、前記p型部分が前記p型半導体よりも高濃度の不純物を含むか、又は、前記n型部分が前記n型半導体よりも高濃度の不純物を含み、かつ、前記p型部分が前記p型半導体よりも高濃度の不純物を含むことを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
- 前記n型部分が前記n型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなるか、前記p型部分が前記p型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなるか、前記n型部分が前記n型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなり、かつ、前記p型部分が前記p型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
- 前記複数のバックワードダイオードは、互いに異なるバンドギャップを有する材料からなり、一方の側から他方の側へ向けて順にバンドギャップが大きくなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
- 前記複数のバックワードダイオードは、それぞれ、ナノワイヤ型の構造を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
- アンテナと、
前記アンテナに接続された化合物半導体装置とを備え、
前記化合物半導体装置は、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部によって接合された複数のバックワードダイオードを備えることを特徴とする検波器。 - 一のバックワードダイオードを形成する工程と、
バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部によって前記一のバックワードダイオードに接合されるように、他のバックワードダイオードを形成する工程とを含むことを特徴とする化合物半導体装置の製造方法。
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FERRO ET AL.: "A novel GaSb/AlSb/InAs high efficiency rectifying diode.", PROCEEDINGS. IEEE/CORNELL CONFERENCE ON ADVANCED CONCEPTS IN HIGH SPEED SEMICONDUCTOR DEVICES AND CI, JPN6022052894, 2 August 1993 (1993-08-02), US, pages 329 - 337, XP000509754, ISSN: 0004942387, DOI: 10.1109/CORNEL.1993.303103 * |
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