JP2020158475A - 芳香族カルボン酸と脂肪族有機酸との混合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】p−トルイル酸などの芳香族カルボン酸と水との混合物から前記芳香族カルボン酸と脂肪族有機酸との混合物を効率的に得る方法を提供すること。この混合物は、例えばテレフタル酸の原料とし利用する高純度テレフタル酸の製造方法に利用することが期待できる。【解決手段】前記、芳香族カルボン酸と水との混合物を、特定の粒度と細孔径を有する活性炭と接触させた後、前記活性炭を脂肪族有機酸と接触させて、活性炭に吸着された芳香族カルボン酸を脱離させ、芳香族カルボン酸と脂肪族有機酸との混合物を得る。【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族カルボン酸水から、芳香族カルボン酸と脂肪族有機酸との混合物を得る方法に関する。
現在、高純度テレフタル酸は、p−キシレンを酢酸溶媒中で酸化してテレフタル酸を生成させる酸化反応工程、酸化反応工程で得られるスラリーから粗テレフタル酸を取得する粗テレフタル酸結晶取得工程、得られた粗テレフタル酸を熱水に溶解し水素添加して精製する水素添加精製工程、水素添加精製工程を経た溶液から高純度テレフタル酸を晶析させる高純度テレフタル酸晶析工程、晶析した高純度テレフタル酸を回収する高純度テレフタル酸結晶取得工程、取得された高純度テレフタル酸を水で洗浄し、乾燥する洗浄・乾燥工程の各工程を経る製造方法により大規模に製造されている。
これらの工程、特に高純度テレフタル酸結晶取得工程の排水、すなわち結晶分離後の母液には、水溶性の副生物であるp−トルイル酸、安息香酸等の有機物が相当量含まれている。この排水は、そのまま環境中に排出すると環境汚染を引き起こすので、廃水処理装置で有機物濃度を低減させてから排出しなければならない。この処理には設備的、経済的他の面で大きな負荷となる。
そこで、特許文献1では、排水中の不溶性有機物を濾過器で濾過して除去した後、重金属をイオン交換樹脂で除去し、さらに、溶解している有機物の塩を逆浸透システムで回収する方法が提案されている。
また特許文献2では、特定の吸着剤として多孔質の共重合体を用いて、未反応のp−トルイル酸を選択的に吸着した後、脱離させてテレフタル酸の製造に再利用することが開示されている。
また、この排水、すなわち結晶分離後の母液を吸着剤で処理してp−トルイル酸、安息香酸等の有機物を除去してから、水素添加精製工程における粗テレフタル酸を溶解する熱水として再利用することが非特許文献1で提案されている。
特表2003−507156号公報 特開2006−298905号公報
P.K.Khachane et.al., Separation Science and Technology, Vol.38, No.1, pp.93−111, 2003
前述の通り、排水中には上記したようにp−トルイル酸や安息香酸等の芳香族カルボン酸が相当量含まれているが、p−トルイル酸は酸化するとテレフタル酸になるので、排水中のp−トルイル酸を回収して、酸化反応工程に供給することができれば、テレフタル酸の収率を向上させることができる。
本発明者らの検討によれば、特許文献2の方法では、p−トルイル酸(芳香族カルボン酸の一種)の回収と再利用は可能であるが、その効率は十分とは言えない結果を得た。
従って、本発明は、p−トルイル酸などの芳香族カルボン酸を含む排水から、芳香族カルボン酸を脂肪族有機酸との混合物として効率よく回収する方法を提供することを1つの課題として検討されたものである。
この方法であれば、例えば、高純度テレフタル酸の製造工程において、前記のp−トルイル酸などの芳香族カルボン酸を脂肪族有機酸との混合物として取り出し、高純度テレフタル酸の製造工程に再利用するなどの好適な利用方法になり得る。
上記課題を解決することを目的の一つとして本発明者らは検討した。その結果、p−トルイル酸の吸着、回収に、特定の吸着剤を使用することで、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。即ち本発明は以下の構成を有するものである。
(1)下記の要件(A)を満たす芳香族カルボン酸と水との混合物と
下記の要件(B)を満たす活性炭とを接触させた後、
前記活性炭と脂肪族有機酸(β)とを接触させた後に、前記活性炭を除去することを特徴とする芳香族カルボン酸と脂肪族有機酸(β)との混合物の製造方法。
要件(A):芳香族カルボン酸の含有率が、質量ベースで100〜10000ppmである。
要件(B):平均粒径が0.075mm〜2.8mmであり、その平均細孔径が8nm以下である。
(2)前記芳香族カルボン酸が、芳香族モノカルボン酸であることを特徴とする前記(1)に記載の混合物の製造方法。
(3)前記芳香族カルボン酸が、p−トルイル酸であることを特徴とする前記(1)に記載の混合物の製造方法。
本発明によれば、特定の吸着剤を用いることによって、例えばテレフタル酸製造時に発生する母液(以後、一次母液、二次母液などと言うことがある)からp−トルイル酸の様な反応中間生成物である芳香族カルボン酸を、例えば酢酸溶液として回収して、テレフタル酸製造用の原料として再利用出来る。この方法であれば、テレフタル酸の収率を効率よく向上させることができる。また、テレフタル酸製造時に発生する排水中の有機物濃度を低下させ、排水処理に掛かる負荷を低減することができる。
本発明は、芳香族カルボン酸と水との混合物から芳香族カルボン酸と脂肪族有機酸(β)の混合物を得る方法である。上記の芳香族カルボン酸として、好ましくは芳香族モノカルボン酸である。より好ましくは、p−トルイル酸や安息香酸であり、さらに好ましくはp−トルイル酸である。
前記の芳香族カルボン酸と水との混合物は、芳香族カルボン酸の水溶液であることが好ましい。前記混合物中の芳香族カルボン酸の含有率は、質量ベースで100〜10000ppmである。好ましい下限値は300ppmであり、より好ましくは500ppmであり、さらに好ましくは700ppmである。一方、好ましい上限値は8000ppmであり、より好ましくは6000ppmであり、さらに好ましくは5000ppmである。
上記の範囲内であれば、後述する活性炭を用いて、効率的に芳香族カルボン酸を吸着、脱離して活用することが出来る。
また、前記の脂肪族有機酸(β)は、水を含む脂肪族有機酸水の状態であってもよい。また本発明においては脂肪族有機酸エステルであってもよい。これらの中で、好ましくは脂肪族有機酸及び脂肪族有機酸水である。
脂肪族有機酸として好ましくは酢酸である。また脂肪族有機酸エステルとして好ましくは酢酸メチル、酢酸エチルを挙げることが出来る。
この方法を最も適用し易い一形態と考えられるテレフタル酸の製造工程を例に採用する形で、本発明について説明する。勿論、本発明は下記の態様に限定されるもののではない。
(a)酸化反応工程
触媒の存在下、酢酸溶媒中で分子状酸素によりp−キシレンを液相酸化することによりテレフタル酸を生成させる。この工程は周知であり、触媒としては、従来この反応に用い得ることが知られている触媒が用いられ、具体的には、コバルト化合物、マンガン化合物、鉄化合物、クロム化合物などの重金属化合物及び臭素化合物等が挙げられる。これらは溶解した状態で反応系に存在している。なかでも好ましいのは、コバルト化合物又はマンガン化合物と臭素化合物との組み合わせである。この場合、これらの化合物は、通常、溶媒に対して、コバルト原子が10〜5000ppm、マンガン原子が10〜5000ppm、臭素原子が10〜10000ppmとなるように用いられる。
分子状酸素としては、通常は不活性ガスと酸素との混合ガスが用いられ、例えば、空気や酸素富化空気が用いられる。反応器に供給するp−キシレンに対する分子状酸素のモル比は、通常2〜20モル倍、好ましくは3〜4モル倍である。
反応器に供給する酢酸に対するp−キシレンの比率は、通常1〜50質量%である。反応系内の水分濃度は、通常5〜20質量%であり、好ましくは5〜15質量%である。
酸化反応の温度は、通常160〜260℃、好ましくは170〜210℃、圧力は、反応温度において反応系が液相を保持できる圧力以上であればよく、通常0.5〜5MPa、好ましくは1〜2MPa、滞留時間は通常10〜200分である。反応器は通常は1個であるが、2個以上を直列に結合して用いることもできる。
(b)粗テレフタル酸結晶取得工程
テレフタル酸は溶媒である酢酸に溶け難いため、通常、酸化反応工程で生成したテレフタル酸は結晶として析出し、スラリーを形成する。しかしながら、溶媒の量、反応温度、圧力によっては、テレフタル酸が溶解している場合がある。この場合には、160℃〜260℃、0.5〜5MPaの反応液を90〜160℃、0〜0.2MPaまで冷却等する晶析工程を設けてテレフタル酸を析出させ、スラリーを形成させる。このスラリーを固液分離して、粗テレフタル酸(以下「CTA」と略記することがある)結晶を取得する。酸化反応工程で得られたテレフタル酸スラリーは加圧状態にあるが、そのまま固液分離しても、放圧冷却等してから固液分離してもよい。固液分離の方法としては、結晶と母液とが分離できるものであればよく、濾過、遠心分離などが挙げられる。
なお、放圧冷却とは、酸化反応工程で得られたテレフタル酸スラリーの圧力より低い圧力条件に保持されている晶析槽にテレフタル酸スラリーを導入し、ここで放圧させることにより、膨張及び溶媒成分の気化によりスラリー温度を低下させることをいう。
このようにして得られた粗テレフタル酸結晶は、必要に応じて洗浄、100〜200℃で乾燥を行う。
一方、粗テレフタル酸結晶が分離された母液は、通常は、25〜125の理論段数の蒸留塔で蒸留、や共沸蒸留により酢酸と水に分離する(酢酸脱水工程)。回収された酢酸は酸化反応工程に循環するが、p−トルイル酸回収工程で脱離剤として利用してもよい。また、この母液には酢酸の不均一反応によって生成した酢酸メチルを含有しているので、蒸留に際してはこれを分離回収するのが好ましい。回収された酢酸メチルはp−トルイル酸回収工程で脱離剤として利用することができる。
(c)水素添加工程
粗テレフタル酸結晶取得工程で得られた粗テレフタル酸結晶には、酸化中間体である4−カルボキシベンズアルデヒドが不純物として含まれている。4−カルボキシベンズアルデヒドは得られるテレフタル酸の色相のことを考慮すると除去することが好ましい。この工程では4−カルボキシベンズアルデヒドを水素添加反応させてp−トルイル酸とすることが出来る。p−トルイル酸はテレフタル酸よりも水に溶けやすいので、水を用いた抽出と固液分離によってテレフタル酸等とp−トルイル酸とを簡単に分離することができる。
水素添加工程では、粗テレフタル酸結晶を水とともに加熱して粗テレフタル酸を完全に水に溶解させた後、水素添加触媒の存在下、水素と反応させることにより4−カルボキシベンズアルデヒドをp−トルイル酸に還元する。
この水素添加も周知であり、水素添加触媒としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、オスミウムなどの8〜10族金属触媒が用いられ、通常、特定の活性炭などに担体に担持して固定床として用いる。これらのなかでも活性炭に担持させたパラジウムが好ましい。
粗テレフタル酸結晶は、水100質量部に対して、通常1〜80質量部、好ましくは15〜65質量部の割合で溶解する。水素添加の温度は、通常260〜320℃、好ましくは270〜300℃、水素の分圧は通常0.5〜20kg/cmGである。
(d)高純度テレフタル酸晶析工程
水素添加工程により水溶液中の4−カルボキシベンズアルデヒドは水溶性のp−トルイル酸に還元されているので、これからテレフタル酸結晶を晶析させると、p−トルイル酸を含まない高純度のテレフタル酸結晶が得られる。
晶析方法としては、圧力を下げて溶媒を蒸発させる放圧冷却方式などの公知の方法を制限なく用いることが出来る。前記、放圧冷却方式で発生する母液の凝縮液中には飛沫同伴したp−トルイル酸が含まれていることが多い。よって後述の(I)吸着工程の被処理液として供給することが出来る。
(e)高純度テレフタル酸結晶取得工程
晶析工程で得られた高純度テレフタル酸スラリーを固液分離して高純度テレフタル酸結晶(以下「PTA」と略記することがある)及び一次母液を取得する。固液分離方法としては、結晶と母液とが分離できるものであればよく、濾過、遠心分離などが挙げられる。
p−トルイル酸は水溶性なので一次母液に残留する。そのため、回収される高純度テレフタル酸結晶のp−トルイル酸含有量は極めて少ない。一次母液から分離された高純度テレフタル酸結晶を、水で洗浄した後、100〜200℃で乾燥すると、高純度テレフタル酸製品が得られる。洗浄排水は、水素添加工程における粗テレフタル酸結晶を溶解する水として用いることができる。
一方、一次母液には、p−トルイル酸、安息香酸などの水溶性の反応副生物、析出しなかったテレフタル酸などの有機物が含まれている。
なお、吸着塔からの流出液を溶解水や洗浄水として再利用することも出来る。一次母液中の安息香酸の濃度が多すぎると、高純度テレフタル酸を得るために、洗浄を強化する必要があり、洗浄で使用する水量が増加する。
(f)p−トルイル酸回収工程
本発明では、一次母液中などに含まれるp−トルイル酸を、特定の吸着剤を用いて分離・回収することを特徴とする。
なお、一次母液は高温であることが多いので、これを熱交換などの手法を利用して冷却すれば、溶解しているp−トルイル酸、テレフタル酸その他の有機物の一部あるいは成分によっては実質的に全部を析出させることが出来る。前記析出物を濾過その他の方法で固液分離して二次結晶と二次母液とを得ることが出来る。この工程は、後述する吸着剤を用いる方法よりも経済合理性が高い可能性が有るので、本発明に用いる吸着材によるp−トルイル酸の回収は、前記の二次母液に適用する事が好ましい。
前記一次母液の冷却温度は、通常20〜100℃、好ましくは40〜80℃であり、すなわち二次母液も同様の温度範囲となる。吸着剤と前記二次母液などとの接触は、通常この温度範囲で実施することが好ましい。この方法により、前記吸着剤の熱による性能劣化の可能性を低減することができる。また、前記二次母液は、一次母液に比してp−トルイル酸の濃度が低下しているので、吸着剤あたりに使用できる母液の量を高めることが出来る。吸着操作を終了させるまでにより多量の母液を吸着塔に供給することができる。前記二次結晶固は、p−トルイル酸やテレフタル酸なので、酸化反応工程に供給して再利用することができる。
また、前述のように、高純度テレフタル酸晶析工程で晶析缶から発生した水蒸気を凝縮させて得た凝縮液中には飛沫同伴したp−トルイル酸などが含まれていることが多いので、この凝縮液も一次母液や二次母液と一緒に吸着塔に供給してもよい。その際、凝縮液は高温であるので、一次母液と混合するのが好ましい。
(I)吸着工程及び(II)供給停止工程、
本発明では、例えば、前記の一次母液もしくは二次母液又はこれらとp−トルイル酸の様な芳香族カルボン酸を含む凝縮液との混合物(水溶液であることが好ましい。以下、これを被処理液という)を、特定の要件を満たす活性炭と接触させて、p−トルイル酸を吸着させ、回収することを特徴とする。なお、本発明においては、上記の一次母液、二次母液、テレフタル酸の洗浄水など、p−トルイル酸などを含む有機酸溶媒や水を有機酸水(α)と表す。
活性炭は一般的に多彩な吸着能を有することが知られているが、極性の低い化合物を吸着する傾向があることが知られている。一方で、前記の通り、活性炭を担体とするパラジウム触媒が水添反応用の触媒として使用されることについては多くの文献で開示がある。
しかし、これらの文献で、テレフタル酸の製造プロセスにおいて、活性炭がp−トルイル酸などの芳香族カルボン酸成分を吸着させ、回収、再利用できることを示唆する文献は、本発明者らが調べたところ見いだせていない。
本発明に係る活性炭は、平均粒径が0.075mm〜2.8mmであり、その平均細孔径が8nm以下の要件を満たすものが使用される。好ましい下限値は0.15mmであり、より好ましくは0.25mmである。一方、好ましい上限値は2.36mmであり、より好ましくは1,7mmである。
本発明で用いられる活性炭の好ましい平均細孔径は6nm以下、より好ましくは5nm以下である。
通常、活性炭は極性の低い化合物の吸着に優れた性能を示すが、本発明においては、芳香族カルボン酸の様な高い極性を有する化合物であっても十分な吸着性能と、脂肪族有機酸への脱離の容易性とを併せ持つ。このような要件を満たす活性炭は、比表面積が大きく、細孔径が小さいことの他に、水と活性炭との相互作用なども絡んで、前記の性能を示す可能性を本発明者らは考えている。
本発明の活性炭を用いれば、芳香族カルボン酸と水との混合物から芳香族カルボン酸の脂肪族有機酸(β)の溶液を容易に得ることが出来る。
本発明での活性炭に吸着された芳香族カルボン酸の脂肪族有機酸による脱離工程を以下のテレフタル酸の製造工程の一部(p−トルイル酸の脱離工程)を例として説明する。下記の説明において、p−トルイル酸は、本発明の趣旨に副えば、芳香族カルボン酸と読み替えて考えても構わない。
本発明に使用する活性炭は、例えば吸着塔などに充填して用いる方法など、公知の方法を制限なく用いることが出来る。好ましくは、吸着塔に充填して貴芳香族カルボン酸を吸着させることが好ましい。
(III)脱離工程
吸着塔への被処理液の供給を停止したならば、次いで吸着塔に脱離剤を供給して吸着している安息香酸やp−トルイル酸を脱離させる。被処理液の供給を停止したのち水を供給して、吸着塔内の被処理液を排出してから脱離剤を供給するようにするのが好ましい。
脱離材としては、好ましくはp−トルイル酸などの含有率が低い有機酸水(以後、有機酸水(β‘)と表す。)である。この様な脱離材とp−トルイル酸などの吸着した吸着剤とを接触させることで、吸着剤である前記活性炭からp−トルイル酸を脱離させて回収する。
脱離させる効率は、有機酸水(β‘)の供給量や温度によって制御することが出来る。
脱離剤として具体的には、酢酸、酢酸メチルやこれらの混合物を用いればよい。酢酸も酢酸メチルも酸化反応工程〜粗テレフタル酸結晶取得工程までの間で、系内で発生した蒸気や粗テレフタル酸結晶の母液から回収されるものを用いることもできる。
脱離剤の供給速度はLVが通常0.5〜30m/hr、SVが通常0.5〜20hr−1である。脱離剤の温度は、脱離剤の凝固点以上、沸点以下で任意に選択すればよく、例えば、脱離剤が酢酸の場合は室温〜80℃が好ましい。
(IV)循環工程
吸着塔から流出したp−トルイル酸を含む脱離剤は、そのまま酸化反応工程へ供給することが出来る。なお、脱離剤として酢酸を用いた場合には、流出した脱離剤を酸化反応工程で発生する反応排ガスと接触させてから酸化反応工程に供給するのが好ましい。反応排ガス中には反応溶媒である酢酸から生成した酢酸メチルが含まれているが、これが酢酸で吸収されて酸化反応系に戻されるので、酢酸から酢酸メチルへの反応を抑制することができる。
脱離処理を経た吸着塔へは、次いで水を供給して塔内の脱離剤を排出し、吸着塔を再生する。水の供給速度はLVが通常0.5〜30m/hr、SVが通常0.5〜20hr−1である。供給する水の温度は任意であるが、通常は室温〜80℃である。吸着塔から流出する再生水には脱離剤が含まれているので、例えば、再生初期の酢酸が50%以上含有する液を酸化反応系へ供給し、それ以降の再生水を酢酸脱水工程における蒸留に、蒸留等の還流液として供給し、蒸留して脱離剤を回収し、再利用する。蒸留は単独で行う以外に系内で発生する酢酸水溶液と一緒に蒸留することもできる。なお、ここで吸着塔へ供給する水として、二次母液を用いることもできる。
本発明は1個の吸着塔を用いて行うこともできるが、複数個の吸着塔併設して、順次切り替えて使用することにより、全体としては連続的に吸着処理を行い得るようにすることもできる。
また本発明においては、複数(通常は2塔)の吸着塔を直列に配してもよい。
(g)高純度テレフタル酸結晶洗浄乾燥工程
一次母液から分離された高純度テレフタル酸結晶を、水で洗浄した後、乾燥すると、高純度テレフタル酸製品が得られる。この工程は、公知の方法を制限なく用いることが出来る。
(h)洗浄排水循環工程
高純度テレフタル酸結晶洗浄乾燥工程における洗浄排水の少なくとも一部を、水素添加工程(c)における粗テレフタル酸結晶を溶解する水として再利用することも可能である。好ましくは洗浄排水の全量を溶解水として用いる。
この様な洗浄廃水を循環させる工程は、公知の技術を制限なく用いることが出来る。
吸着流出液のうち系内で利用しないものは、廃棄される。しかし液中には酸化反応工程での触媒に由来する重金属が含まれており、これが環境に排出されると環境に悪影響を与える恐れがあるので、イオン交換樹脂で処理して重金属を除去したのち排出するのが好ましい。イオン交換樹脂としては通常の強酸性イオン交換樹脂を用いればよい。イオン交換樹脂に吸着した重金属は酸で脱離させ、触媒として酸化反応工程で再利用することができる。
上記の通り、本発明を用いれば、芳香族カルボン酸と水との混合物から芳香族カルボン酸の脂肪族有機酸溶液を効率良く得ることが出来る。
以下、実施例で本発明の効果を開示するが、本発明は、これに制限されるものではない。
(実施例1)
SUS製カラム(内径20mm、内容積80ml)に活性炭(白鷺KL、大阪ガスケミカル:10メッシュ(目開き径1.7mm)バス、60メッシュ(目開き径0.25mm)オンの成分、平均細孔径3nm)10.9gを加えて水を通液して十分にガス抜きを行った。
このカラムにp−トルイル酸を1000質量ppmの濃度で含有する水溶液を調製し、SV=2.5Hr−1、30℃で通液し、その際10分毎に通液後の流出液の成分を分析して、流出液濃度が原料濃度と同等になったことを確認して通液を停止した。
上記のカラムに、脱離剤として酢酸(99.7%)をSV=2.5Hr−1、30℃で供給して吸着したp−トルイル酸を回収した。供給は、通液後の酢酸中のp−トルイル酸濃度が0になるまで行った。通液後の酢酸中のp−トルイル酸濃度から回収量=吸着量を計算したところ23.5[mg/g−吸着剤]であった。
(比較例1)
SUS製カラム(内径20mm、内容積80ml)に合成樹脂吸着剤(SP207、三菱ケミカル)55.4gを加えて水を通液して十分にガス抜きを行った。
このカラムにp−トルイル酸を1000質量ppmの濃度で含有する水溶液を調製し、SV=2.5Hr−1、30℃で通液し、その際10分毎に通液後の流出液の成分を分析して、流出液濃度が原料濃度と同等になったことを確認して通液を停止した。
上記のカラムに、脱離剤として酢酸(99.7%)をSV=2.5Hr−1、30℃で供給して吸着したp−トルイル酸を回収した。供給は、通液後の酢酸中のp−トルイル酸濃度が0になるまで行った。通液後の酢酸中のp−トルイル酸濃度から回収量=吸着量を計算したところ4.2[mg/g−吸着剤]であった。

Claims (3)

  1. 下記の要件(A)を満たす芳香族カルボン酸と水との混合物と
    下記の要件(B)を満たす活性炭とを接触させた後、
    前記活性炭と脂肪族有機酸(β)とを接触させた後に、前記活性炭を除去することを特徴とする芳香族カルボン酸と脂肪族有機酸(β)との混合物の製造方法。
    要件(A):芳香族カルボン酸の含有率が、質量ベースで100〜10000ppmである。
    要件(B):平均粒径が0.075mm〜2.8mmであり、その平均細孔径が8nm以下である。
  2. 前記芳香族カルボン酸が、芳香族モノカルボン酸であることを特徴とする請求項1に記載の混合物の製造方法。
  3. 前記芳香族カルボン酸が、p−トルイル酸であることを特徴とする請求項1に記載の混合物の製造方法。
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