JP2020153004A - 溶融Zn−Al系めっき鋼板、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような問題に対して、特許文献1では、めっき浴の上方を不活性ガスでシールする方法が提案されている。また、特許文献2には、建浴時において予め溶融Znめっき浴中にAlを所定量溶解しておき、その後、MgあるいはMg−Zn、Mg−Zn−Al等のMg合金を浴中Mg換算で所定量になるように溶解することにより、浴内ドロス発生を少なくして溶融Zn−Mg−Al系めっき鋼板を製造する方法が示されている。
このような問題に対して、特許文献3には、加工性と耐食性の改善を目的として、所定量のAl、Mg、Niを含有するとともに、Feを0.10質量%以下に調整した溶融Zn−Al系めっき浴を用い、特定のめっき浴温とめっき浴侵入板温で鋼板を溶融めっきすることにより、めっき層が所定のFe分を含有するとともに、めっき層と鋼板の界面に所定厚さのNi濃化層を有する溶融Zn−Al系めっき鋼板を製造する方法が示されている。
まず、特許文献1の方法は、設備コストが高く、また長時間操業した場合にはドロスの発生を完全には抑えられない。
また、特許文献2の方法も、建浴直後のドロス発生は抑制できたとしても、長時間操業した場合には浴面で酸化が進行するためドロスの発生を完全には抑えられない。また、めっき鋼板を連続的に製造する場合には、めっき操業の進行とともにめっき浴中のZn、Al、Mgが連続的に浴外に持ち出され、Zn、Al、Mgの濃度が別々に変化するとともに、めっき浴の量も減少するため、追加でめっき金属を補充する必要があるが、めっき浴組成を管理することが難しいため、この方法を実施することは事実上困難である。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、ドロス付着欠陥などの欠陥がない美麗な表面外観(めっき外観)を有するとともに、めっき加工性にも優れた溶融Zn−Al系めっき鋼板を安定して製造することができる製造方法を提供することにある。
[1]鋼板を再結晶焼鈍した後、Alを0.5〜4.8質量%含有する溶融Zn−Al系めっき浴に浸漬して溶融Zn−Al系めっきを施すに際し、
鋼板が溶融Zn−Al系めっき浴に浸漬した後、該めっき浴から引き上げられた鋼板に付着した溶融めっき金属が凝固する前に、溶融めっき金属と接触し且つ鋼板との距離が0〜50mmに設定された超音波発振部材から、鋼板に対して超音波周波数が10〜120kHzの超音波を0.010〜0.500秒印加し、超音波印加終了後30秒以内に鋼板の冷却を開始し、250℃までの平均冷却速度1.0℃/秒以上で鋼板を冷却することを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
[3]上記[1]または[2]の製造方法において、溶融Zn−Al系めっき浴が、さらに、Ni:0.01〜0.5質量%、Si:0.01〜0.5質量%の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法において、溶融Zn−Al系めっき浴が、さらに、Ca、Cr、Mo、Ti、Co、V、Mn、Sr、Sb、Bの中から選ばれる1種以上を合計で0.01〜5.0質量%含有することを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
[6]上記[5]の製造方法において、超音波発振部材を構成するロールが、ロール径方向で超音波振動するとともに、鋼板と相対するロール面が鋼板進行方向と同じ方向に移動するように回転することを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかの製造方法において、溶融Zn−Al系めっき浴から引き上げられた後、めっき付着量調整された鋼板に対して超音波発振部材から超音波を印加することを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
[8]上記[1]〜[5]のいずれかの製造方法において、超音波発振部材により、溶融Zn−Al系めっき浴から引き上げられた鋼板に超音波を印加しつつ、当該超音波発振部材により鋼板面に付着した溶融めっき金属を掻き落とすことでめっき付着量調整を行うことを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
[10]上記[9]の溶融Zn−Al系めっき鋼板において、Zn−Al系合金めっき層が、さらに、Mgを0.2〜5.0質量%含有することを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板。
[11]上記[9]または[10]の溶融Zn−Al系めっき鋼板において、Zn−Al系合金めっき層が、さらに、Ni:0.01〜0.5質量%、Si:0.01〜0.5質量%の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板。
[12]上記[9]〜[11]のいずれかの溶融Zn−Al系めっき鋼板において、Zn−Al系合金めっき層が、さらに、Ca、Cr、Mo、Ti、Co、V、Mn、Sr、Sb、Bの中から選ばれる1種以上を合計で0.01〜5.0質量%含有することを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板。
以下、本発明で行われる再結晶焼鈍、溶融Zn−Al系めっき、超音波の印加、めっき後の冷却などについて順に説明する。なお、鋼板(母材鋼板)の成分組成などについては、後に詳述する。
通常、めっき浴の残部はZnおよび不可避不純物である。
溶融Zn−Al系めっきのその他の条件に特に制限ないが、通常、めっき浴温度を450〜500℃とし、板温450〜550℃の鋼板をめっき浴中に浸漬させて溶融Zn−Al系めっきを行うことが好ましい。
超音波発振部材が溶融めっき金属と接触した状態で鋼板に超音波を印加しないと、超音波の印加が溶融めっき金属の濡れ性の改善に有効に作用しない。つまり、鋼板との距離が0〜50mm以内にある溶融めっき金属に超音波が付与されることで、溶融めっき金属の濡れ性が改善されるということである。また、超音波発振部材と鋼板の距離が50mmを超えると、鋼板に対して超音波が有効に作用せず、濡れ性の改善効果が得られない。このため、めっき浴中の鋼板に超音波発振部材から超音波を印加する場合には、超音波発振部材と鋼板との距離を0〜50mmに設定すればよいが、めっき浴から引き上げられた鋼板に超音波発振部材から超音波を印加する場合には、少なくとも鋼板面に付着した溶融めっき金属に超音波発振部材を接触させた状態にする必要がある。
図1は、超音波発振部材1から鋼板Sに超音波を印加する場合の代表的な実施形態を模式的に示したものであり、図1(A)はホーン2で構成された超音波発振部材1から鋼板Sに超音波を印加する場合の一実施形態を、図1(B)はロール3(回転可能なロール)で構成された超音波発振部材1から鋼板Sに超音波を印加する場合の一実施形態を、それぞれ示している。図1(A),(B)に鋼板Sと超音波発振部材1の距離50mmを示すが、超音波発振部材1は鋼板Sに対して、この距離50mm以内で超音波を印加(付与)する。なお、標準的なサイズとして、鋼板Sの厚さは1mm前後、超音波発振部材1のサイズ(ホーン2の厚さやロール3の径)は数十〜数百mm程度であるが、図1は模式図であるため、鋼板Sの厚さに対して、超音波発振部材1と鋼板Sとの距離(50mm)、超音波発振部材1のサイズを小さく表している。
図2は、そのロール3の振動形態を模式的に示したものであり、超音波発振器4の超音波振動子が超音波振動を伝達できるようにロール軸30に機械的に接続又は連係されることにより、超音波振動子の振動がロール軸30を介してロール3(ロール本体)に伝達される。超音波発振器4の超音波振動子のロール軸30への取付形態により、図2(A)ではロール3がロール軸方向で超音波振動し、図2(B)ではロール3がロール径方向で超音波振動する。
ここで、溶融亜鉛めっき浴中にロール3を配置する場合、例えば、次のような形態を採ることができる。ロール3が無駆動のロールの場合には、シンクロールの支持機構と同様に、保持手段のアームにロール軸30を支持させ、ロール3を浴中に保持すればよい。一方、ロール3が駆動ロールの場合には、例えば、ポット両側壁に設けた軸受にロール軸30を支持させ、ポット外側に設けられた駆動装置でロール軸30を回転させる、などの形態を採ることができる。
超音波を印加する時間は0.010〜0.500秒とする。ここで、超音波を印加する時間とは、鋼板が、鋼板表面から超音波発振部材までの垂直距離が50mm以内の範囲にある時間とする。すなわち、図1において鋼板Sが範囲Lを通過する時間であり、図中ドットを付した部分が鋼板S表面から超音波発振部材1までの垂直距離が50mm以内の範囲(領域)である。
超音波発振部材の振幅は特に規定しないが、1〜20μm程度が好ましい。振幅が1μm未満では制御が難しくなり、濡れ性改善の効果が小さくなりやすい。一方、20μmを超えると振幅が大きすぎて鋼板に傷がつく原因となる。
図3(A)〜(C)は超音波印加位置が異なる種々の実施形態を模式的に示しており、図において、5はめっき浴、6はシンクロール、7はめっき付着量調整用のガスワイピングノズルである。
また、超音波は鋼板Sの片面にのみ印加してもよいが、超音波を印加しない鋼板面には効果が及ばないため、図3(A)〜(C)に示すように鋼板両面に印加するのが好ましく、特に同じ位置で鋼板両面に超音波を印加するのが好ましい。
めっき付着量調整を行う方法に特別な制限はないが、通常は、図3に示すようなガスワイピングが行われ、ガスワイピングのガス圧やガスワイピングノズル−鋼板間距離などを調整することにより溶融めっき金属の掻き落し量が調整され、めっき付着量調整がなされる。
また、図4は鋼板片面についてのみ示しているが、通常、鋼板の他の片面でも、同じ位置で同様のめっき付着量調整が行われる。
なお、めっき付着量調整にガスワイピングと超音波発振部材の両方を使用することもできるが、この場合には、ガスワイピングによりめっき金属が冷却されて凝固する場合があるため、超音波印加を行う超音波発振部材でめっき金属の掻き取りを行った後にガスワイピングすることが好ましい。
250℃までの平均冷却速度の上限は特にないが、平均冷却速度が15℃/秒を超えると、冷却に必要なガス流量が増加してコストアップにつながるので、平均冷却速度は15℃/秒以下が好ましく、10℃/秒以下がより好ましい。
以下、母材鋼板として高強度鋼板を用いる場合について、好ましい成分組成などについて説明する。なお、以下の説明において、各元素の含有量の単位は「質量%」であるが、便宜上「%」で示す。
母材鋼板となる高強度鋼板は、固溶強化元素としてSi:0.1〜2.5%、Mn:1.0〜3.0%を含有することが好ましい。この高強度鋼板の引張強さは特に限定されないが、一般に引張強さTSが440MPa以上の高強度鋼板であることが好ましい。
Siは鋼を強化して良好な材質を得るのに有効な元素である。Si量が0.1%未満では高強度を得るために高価な合金元素が必要になり、経済的に好ましくない。一方、Si量が2.5%を超えると、合金化温度が高温化するため本発明の製造条件を適用しても所望の機械特性を得ることが困難になり、また、合金化ムラなど外観不良が生じ、めっき密着性も劣ったものとなる。このためSi量は0.1〜2.5%とする。
・Mn:1.0〜3.0%
Mnは鋼の高強度化に有効な元素であり、機械特性や強度を確保するためには1.0%以上含有する必要がある。一方、Mn量が3.0%を超えると溶接性やめっき密着性が低下し、強度と延性のバランスの確保が困難になる場合がある。このためMn量は1.0〜3.0%とする。
C量が0.3%を超えると溶接性が劣化するため、C量は0.3%以下とすることが好ましい。一方、Cは、鋼組織として残留オーステナイト相やマルテンサイト相などを形成させることで加工性を向上させやすくするため、C量は0.025%以上とすることが好ましい。
・P:0.100%以下
Pは、不可避的に含有される元素であるため下限は規定しない。P量が0.100%を超えると溶接性が劣化する場合がある。このためP量は0.100%以下とすることが好ましい。
・S:0.010%以下
Sは、不可避的に含有される元素であるため下限は規定しない。S量が0.010%を超えると溶接性が劣化する場合がある。このためS量は0.010%以下とすることが好ましい。
Alは炭化物の生成を抑制し、残留オーステナイトの生成を促進するのに有効な元素である。また、製鋼工程で脱酸剤として添加される元素である。こうした効果を得るには、Al量を0.01%以上とする必要がある。一方、Al量が1.0%を超えると、鋼板中の介在物が多くなり延性を劣化させる。このため、Alを添加する場合、Al量は0.01〜1.0%とすることが好ましい。
・Mo:0.05〜1.0%
Moは強度の調整に有効な元素であるが、Mo量が0.05%未満では強度調整の効果が得られにくい。一方、Mo量が1.0%を超えるとコストアップを招く。このため、Moを添加する場合、Mo量は0.05〜1.0%とすることが好ましい。
Nbも強度の調整に有効な元素であるが、Nb量が0.005%未満では強度調整の効果が得られにくい。一方、Nb量が0.05%を超えるとコストアップを招く。このためNbを添加する場合、Nb量は0.005〜0.05%とすることが好ましい。
・Ti:0.005〜0.05%
Tiも強度の調整に有効な元素であるが、Ti量が0.005%未満では強度調整の効果が得られにくい。一方、Ti量が0.05%を超えるとめっき密着性が劣化しやすい。このため、Tiを添加する場合、Ti量は0.005〜0.05%とすることが好ましい。
Cuには残留オーステナイト相の形成を促進する効果があるが、Cu量が0.05%未満では残留オーステナイト相の形成促進効果が得られにくい。一方、Cu量が1.0%を超えるとコストアップを招く。このためCuを添加する場合、Cu量は0.05〜1.0%とすることが好ましい。
・Ni:0.05〜1.0%
Niにも残留オーステナイト相の形成を促進する効果があるが、Ni量が0.05%未満では残留オーステナイト相の形成促進効果が得られにくい。一方、Ni量が1.0%を超えるとコストアップを招く。このためNiを添加する場合、Ni量は0.05〜1.0%とすることが好ましい。
Crは焼入れ性の向上に有効な元素であるが、Cr量が0.01%未満では焼入れ性の向上効果が得られにくく、強度と延性のバランスが劣化する場合がある。一方、Cr量が0.8%を超えるとコストアップを招く。このためCrを添加する場合、Cr量は0.01〜0.8%とすることが好ましい。
・B:0.0005〜0.005%
Bも鋼の焼入れ性の向上に有効な元素であるが、B量が0.0005%未満では焼入れ性の向上効果が得られにくい。一方、B量が0.005%を超えると鋼板表面でのSiの酸化を促進させ、めっき外観の劣化を招く。このためBを添加する場合、B量は0.0005〜0.005%とすることが好ましい。
Sbは脱窒、脱硼等を抑制して、鋼の強度低下抑制に有効な元素であるが、Sb量が0.001%未満ではその効果が得られにくく、一方、0.10%を超えると靭性や耐せん断部割れ性の低下を招く。このためSbを添加する場合、Sb量は0.001〜0.10%とすることが好ましい。
・Sn:0.001〜0.10%
Snも脱窒、脱硼等を抑制して、鋼の強度低下抑制に有効な元素であるが、Sn量が0.001%未満ではその効果が得られにくく、一方、0.10%を超えると靭性や耐せん断部割れ性の低下を招く。このためSnを添加する場合、Sn量は0.001〜0.10%とすることが好ましい。
以上述べた基本成分および任意添加成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。
鋼板のめっき浴への浸漬開始から、めっき浴から引き上げられた鋼板に付着した溶融めっき金属が凝固を完了するまでの間に超音波発振部材により鋼板の両面(鋼板両面の同じ位置)に超音波を印加した。超音波発振部材としては図1に示すようなホーンまたはロールを使用し、振幅を5μmとした。
高さ方向での超音波発振部材の位置は、次の3通りとした。
位置1:めっき浴面下の位置
位置2:めっき浴面よりも上で、ガスワイピングよりも下の位置
位置3:ガスワイピングよりも上で、めっきの凝固完了点よりも下の位置
超音波発振部材に使用したロールは、図2(B)に示す振動形態のロールであり、鋼板と相対するロール面が鋼板進行方向と同じ方向に移動するように回転駆動(鋼板の移動方向に対して順回転駆動)させた。ロール周速は鋼板の通板速度と同じにした。
なお、一部の実施例(比較例)は、超音波印加を行わない条件で実施した。
・めっき組織の同定
製造された溶融Zn−Al系めっき鋼板から採取された試料について、めっき層の断面組織をSEMにより観察し、またEDXにより分析することで、主要めっき組織を以下のように同定した。
1:(初晶Zn相)+(Zn−Al二元共晶)
2:(初晶Zn相)+(Zn−Al二元共晶)+(Al−Zn−MgZn2三元共晶)
3:(初晶Al相)+(Zn−Al二元共晶)
・めっき組織中の初晶Zn相の平均長径の測定
製造された溶融Zn−Al系めっき鋼板から採取された試料について、さきに説明した方法で初晶Zn相の平均長径を測定した。
製造された溶融Zn−Al系めっき鋼板の外観を目視観察し、ドロス付着欠陥、超音波印加時の疵、湯だれ欠陥の有無を検査した。1コイルを10等分した位置から1000mm×1000mmのサイズの鋼板を各1枚、計10枚採取し、いずれの鋼板からも上記欠陥が認められないものを優良(○)、1〜2枚の鋼板で上記欠陥が認められるものを良好(△)、3枚以上の鋼板で上記欠陥が認められるものを不良(×)とした。
ここで、ドロス付着欠陥とは、目視でめっきに点状若しくは線状の凹部または凸部、不めっき部分が確認できる欠陥であり、欠陥部分の断面をSEM-EDXで分析した場合に、Zn−Al系めっきや地鉄とは明確に異なるドロスの付着が認められる。ドロスの成分は、主としてトップドロスFe2Al5、ボトムドロスFeZn7であるが、平衡組成からずれている場合や、Al酸化物、Fe酸化物、Zn酸化物が含まれている場合もある。超音波印加時の疵とは、超音波発振部材と鋼板が接触して鋼板進行方向に線状に発生した疵であり、めっきや鋼板の凹凸として観察される。湯だれ欠陥とは、めっき凝固時にめっき層の厚みにむらが生じ、波形の模様が観察される欠陥であり、めっき断面で厚みの違いが認められる。
製造された溶融Zn−Al系めっき鋼板からJIS5号引張試験片を採取し、引張試験を実施した。試験中に40倍ルーペでめっき層表面を観察し、めっき層表面にクラックが確認できる歪量(クラック発生歪量)を求め、以下の評価基準でめっき鋼板の加工性を評価した。
◎:クラック発生歪量が25%以上
〇:クラック発生歪量が15%以上25%未満
△:クラック発生歪量が5%以上15%未満
×:クラック発生歪量が5%未満
製造された溶融Zn−Al系めっき鋼板から採取された試験片に対して、ボール重量1000g,3000g、ボール落下高さ100cmのボールインパクト条件でボールインパクト試験を行い、その加工部をテープ剥離し、めっき層の剥離の有無を目視判定し、以下のように評価した。
○:ボール重量3000gでめっき層の剥離無し
△:ボール重量3000gでめっき層の剥離有り、ボール重量1000gでめっき層の剥離無し
×:ボール重量1000gでめっき層の剥離有り
表3および表4によれば、本発明例の溶融Zn−Al系めっき鋼板は、ドロス付着欠陥などの欠陥がない美麗なめっき外観を有するとともに、めっき加工性およびめっき密着性にも優れている。
2 ホーン
3 ロール
4 超音波発振器
30 ロール軸
S 鋼板
Claims (12)
- 鋼板を再結晶焼鈍した後、Alを0.5〜4.8質量%含有する溶融Zn−Al系めっき浴に浸漬して溶融Zn−Al系めっきを施すに際し、
鋼板の溶融Zn−Al系めっき浴への浸漬開始から、該めっき浴から引き上げられた鋼板に付着した溶融めっき金属が凝固を完了するまでの間に、溶融めっき金属と接触し且つ鋼板との距離が0〜50mmに設定された超音波発振部材から、鋼板に対して超音波周波数が10〜120kHzの超音波を0.010〜0.500秒印加し、超音波印加終了後30秒以内に鋼板の冷却を開始し、250℃までの平均冷却速度1.0℃/秒以上で鋼板を冷却することを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。 - 溶融Zn−Al系めっき浴が、さらに、Mgを0.2〜5.0質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
- 溶融Zn−Al系めっき浴が、さらに、Ni:0.01〜0.5質量%、Si:0.01〜0.5質量%の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
- 溶融Zn−Al系めっき浴が、さらに、Ca、Cr、Mo、Ti、Co、V、Mn、Sr、Sb、Bの中から選ばれる1種以上を合計で0.01〜5.0質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
- 超音波発振部材が回転可能なロールで構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
- 超音波発振部材を構成するロールが、ロール径方向で超音波振動するとともに、鋼板と相対するロール面が鋼板進行方向と同じ方向に移動するように回転することを特徴とする請求項5に記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
- 溶融Zn−Al系めっき浴から引き上げられた後、めっき付着量調整された鋼板に対して超音波発振部材から超音波を印加することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
- 超音波発振部材により、溶融Zn−Al系めっき浴から引き上げられた鋼板に超音波を印加しつつ、当該超音波発振部材により鋼板面に付着した溶融めっき金属を掻き落とすことでめっき付着量調整を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
- 鋼板表面にAlを0.5〜4.8質量%含有するZn−Al系合金めっき層が形成され、該Zn−Al系合金めっき層のめっき断面組織における初晶Zn相の平均長径が7μm以下であることを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板。
- Zn−Al系合金めっき層が、さらに、Mgを0.2〜5.0質量%含有することを特徴とする請求項9に記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板。
- Zn−Al系合金めっき層が、さらに、Ni:0.01〜0.5質量%、Si:0.01〜0.5質量%の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項9または10に記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板。
- Zn−Al系合金めっき層が、さらに、Ca、Cr、Mo、Ti、Co、V、Mn、Sr、Sb、Bの中から選ばれる1種以上を合計で0.01〜5.0質量%含有することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板。
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