JP2020152817A - 樹脂組成物、被覆電線及びワイヤーハーネス - Google Patents

樹脂組成物、被覆電線及びワイヤーハーネス Download PDF

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Abstract

【課題】電線の被覆層として十分な柔軟性及び耐摩耗性を有する樹脂組成物、及びこれを用いた被覆電線並びにワイヤーハーネスを提供する。【解決手段】樹脂組成物は、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体と、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体とを含む樹脂成分を含有している。樹脂成分は架橋されており、19%ひずみ引張応力は2.0MPa以下である。樹脂組成物は、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体が連続相であり、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体が分散相である海島構造を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物、被覆電線及びワイヤーハーネスに関する。
近年、電気自動車の航続距離を長くするため、バッテリ容量を増やすことが検討されている。しかしながら、バッテリ容量の増加に伴って充電時間が長くならないように、ワイヤーハーネスの構成部品である電線の導体径を大きくする必要がある。一方、バッテリ容量の増加に伴ってバッテリの体積が大きくなる傾向にあるため、車体に対してバッテリパックの占める割合が増えてしまう。そのため、狭くかつ短い経路内でも大きく曲げて配索できるように電線を設計する必要がある。
狭くかつ短い経路内には、柔軟なシリコーンゴムで導体を絶縁被覆したシリコーンゴム電線が使用される場合が多い。ところが、シリコーンゴムは、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン及びポリエチレンなどの従来使用されている絶縁性材料と比較して値段が高い。また、シリコーンゴム電線を製造する場合には、導体を押出成形などによりシリコーンゴムで被覆した後に、加硫のための熱風装置が必要など、従来使用されている絶縁性材料の製造方法と比較して、特別な装置が必要である。さらに、実際の使用環境を踏まえると、シリコーンゴム電線のような高い耐熱レベル(200℃×10000時間)が求められている部位はそれほど多くない。一方、シリコーンゴム電線以外の電線として、いくつかの電線が開示されている。
特許文献1には、複数の素線を撚り合わせた導体を絶縁体で被覆した可とう性非ハロゲン電線が記載されている。上記素線は直径0.12〜0.31mmである。上記絶縁体は、樹脂成分材料と金属水酸化物とが混和されて被覆材料が形成され、その被覆材料が上記導体に被覆された後、架橋されて架橋樹脂組成物となったものである。樹脂成分材料は、分子構造中に酸素を含有する、ビニルアセテート以外のビニルモノマ25〜40重量%を含むエチレン系共重合体を主成分としエラストマを副成分としてこれら主成分と副成分とが混和されて形成される。
また、特許文献2には、素線径が0.15mm以上0.5mm以下の複数の素線からなる導体の外周を、難燃剤を含む絶縁樹脂で被覆した電気ケーブルが記載されている。絶縁樹脂は、オレフィンと極性を有するコモノマーの共重合体A、または、該共重合体Aと、オレフィンとαオレフィン共重合体Bとの混合物からなる。電気ケーブル径/導体径は1.15以上1.40以下であり、上記絶縁樹脂が架橋されていてそのセカントモジュラスが10MPa以上50MPa以下である。
特開2008−84833号公報 特開2016−173991号公報
特許文献1に記載の可とう性非ハロゲン電線及び特許文献2に記載の電気ケーブルの柔軟性は、シリコーンゴムと比較して十分に高いとはいえない。また、被覆層の厚さを薄くするのに加え、導体の素線の径を小さくすることで柔軟性を高くすることができるが、実際にはコストを考慮すると、素線の細径化は現実的ではない。さらに、電線の被覆層には、柔軟性だけでなく、耐摩耗性も要求されている。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、電線の被覆層として十分な柔軟性及び耐摩耗性を有する樹脂組成物、及びこれを用いた被覆電線並びにワイヤーハーネスを提供することにある。
本発明の第1の態様に係る樹脂組成物は、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体と、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体とを含む樹脂成分を含有している。樹脂成分は架橋されており、19%ひずみ引張応力は2.0MPa以下である。樹脂組成物は、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体が連続相であり、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体が分散相である海島構造を有する。
本発明の第2の態様に係る樹脂組成物は、第1の態様の樹脂組成物に関し、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の体積に対するオレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の体積の比は0.5以上である。
本発明の第3の態様に係る樹脂組成物は、第1又は第2の態様における樹脂組成物に関し、引張破壊応力及び引張破壊ひずみの積は50MPa以上である。
本発明の第4の態様に係る被覆電線は、導体と、導体を被覆し、ISO6722−1 5.12.4.1に規定されたサンドペーパー摩耗試験によるサンドペーパーの移動距離は330mm以上である第1〜第3のいずれかの態様における樹脂組成物により構成された被覆層と、を備える。
本発明の第5の態様に係るワイヤーハーネスは、第4の態様における被覆電線を備える。
本発明によれば、電線の被覆層として十分な柔軟性及び耐摩耗性を有する樹脂組成物、及びこれを用いた被覆電線並びにワイヤーハーネスを提供することができる。
本実施形態に係る樹脂組成物の一例を示す模式的な断面図である。 本実施形態に係る被覆電線の一例を示す模式的な断面図である。 実施例1に係る被覆層の断面を透過型電子顕微鏡で6000倍に拡大して観察した写真である。 図3の枠で囲った領域を30000倍に拡大して観察した写真である。 実施例2に係る被覆層の断面を透過型電子顕微鏡で6000倍に拡大して観察した写真である。 図5の枠で囲った領域を30000倍に拡大して観察した写真である。 実施例4に係る被覆層の断面を透過型電子顕微鏡で6000倍に拡大して観察した写真である。 図6の枠で囲った領域を30000倍に拡大して観察した写真である。 各種材料の応力−ひずみ曲線を示すグラフである。
以下、図面を用いて本実施形態に係る樹脂組成物、被覆電線及びワイヤーハーネスについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
[樹脂組成物]
(樹脂成分)
樹脂組成物は樹脂成分を含有する。樹脂成分は、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体と、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)とを含んでいる。
オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体は、オレフィンと極性を有するコモノマーとを含むモノマー成分を重合させてなる共重合体である。極性を有するコモノマーは、(メタ)アクリル酸エステル及び酢酸ビニルの少なくとも一方を含んでいてもよい。オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体は、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の少なくともいずれか一方であってもよい。なお、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体は、耐熱性が良好なことから、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体であることが好ましい。本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくともいずれか一方であることを意味する。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとを含むモノマー成分を重合させてなる共重合体である。エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとを含むモノマー成分を、公知の重合反応によって形成することができる。
(メタ)アクリル酸エステルには、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルなどからなる群より選択される少なくとも1つの(メタ)アクリレートが含まれる。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)及びエチレン−アクリル酸ブチル共重合体(EBA)などが挙げられる。これらのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、マレイン酸及び無水マレイン酸などで変性されていてもよく、変性されていなくてもよい。なお、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、耐熱性の観点から、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)及びエチレン−アクリル酸ブチル共重合体(EBA)からなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましい。また、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、耐熱性の観点から、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)及びエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)の少なくともいずれか一方であることがより好ましい。また、耐摩耗性の観点から、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)であることがさらに好ましい。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体には、エチレン及び(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマー成分が少量含まれていてもよい。エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれるエチレン及び(メタ)アクリル酸エステルの合計の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。また、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれるエチレン及び(メタ)アクリル酸エステルの合計の含有量は、95質量%以上であることがさらに好ましい。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる(メタ)アクリル酸エステルの含有量は特に限定されないが、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの含有量の下限を上記の値とすることにより、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の添加量を抑えても柔軟性を発現し、意図する耐熱性を満足させるための添加剤の添加を抑制することができる。それによって、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の添加量を抑えることができ、結果被覆電線の成形性を改善することができる。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれるエチレンの含有量は特に限定されないが、55質量%以上75質量%以下であることが好ましく、65質量%以上72質量%以下であることがより好ましい。エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれるエチレンの含有量を上記の範囲とすることにより、後述する被覆電線の機械的特性を向上させることができる。
エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)は、エチレンとプロピレンとジエンとのゴム状共重合体である。エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の物性は、主にエチレン量及びジエン量によってコントロールされ、エチレン量が少なくなる程硬度が低く(軟らかく)なり、ジエン量が多くなる程圧縮永久ひずみが小さくなる。ただし、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体に含まれるエチレンの含有量は特に限定されないが、柔軟性向上の観点から、70質量%以下であることが好ましい。また、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体に含まれるジエンの含有量は、耐熱性向上の観点から、7質量%以下であることが好ましい。なお、上記のような7質量%以下のジエンの含有量は、中ジエン量ともいわれている。
エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体は、鉱物オイル、パラフィンオイル及びナフテン系オイルなどのオイルを含んでいてもよい。エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体のムーニー粘度は、60ML(1+4)125℃以下であることが好ましい。なお、60ML(1+4)125℃の記載の内、60Mはムーニー粘度を、Lはロータの形状がL形であることを、(1+4)は予熱時間の1分間及びロータの回転時間4分を、125℃は試験温度の125℃を表している。また、ムーニー粘度は、JIS K6300−1:2013(未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方)に準じて測定することができる。
樹脂成分は、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体及びエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体以外の樹脂を含んでいてもよい。樹脂成分は、例えば、ポリオレフィンを含んでいてもよい。ポリオレフィンは、オレフィンを含むモノマーの重合体である。ポリオレフィンは、例えば、αオレフィンとαオレフィン以外のオレフィンとの共重合体であってもよい。αオレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン及び1−デセンなどからなる群より選択される少なくとも一つのモノマーであってもよい。ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレンブロック共重合体(EPBC)などからなる群より選択される少なくとも一つであってもよい。
本実施形態において、上記樹脂成分は架橋されている。オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体と、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体とが架橋されることにより、樹脂組成物の耐熱性を向上させることができる。樹脂成分の架橋方法は特に限定されないが、例えば、放射線を照射して樹脂成分を架橋してもよく、樹脂組成物に含有された架橋剤によって樹脂成分を架橋してもよい。なお、樹脂成分は、放射線架橋されていることが好ましい。
架橋に用いられる放射線は、例えば、γ線又は電子線などであってもよい。放射線を被覆層に照射することにより、分子中にラジカルが発生し、分子間の架橋結合が形成される。
上記架橋剤は、例えば、有機過酸化物などを用いることができる。架橋剤は、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、及び、tert−ブチルクミルパーオキサイドなどからなる群より選択される少なくとも1つを用いてもよい。架橋剤は、一種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。なお、樹脂組成物において、架橋剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して0.05〜0.10質量部であることが好ましい。
樹脂組成物には、架橋効率を向上させるため、架橋剤以外に、架橋助剤が含有されていてもよい。架橋助剤としては、多官能性化合物を用いることができる。架橋助剤は、例えば、アクリレート系化合物、メタクリレート系化合物、アリル化合物及びビニル化合物などからなる群より選択される少なくとも1つの化合物であってもよい。
アクリレート系化合物は、末端にアクリル基を有する多官能性化合物である。アクリレート系化合物としては、例えば、1,1−メタンジオールジアクリレート、1,2−エタンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、ビニルアクリレート、アリルアクリレート、グリセリルトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどが挙げられる。
メタクリレート系化合物は、末端にメタクリル基を有する多官能性化合物である。メタクリレート系化合物としては、例えば、1,1−メタンジオールジメタクリレート、1,2−エタンジオールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリセリルトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが挙げられる。
アリル化合物は、末端にアリル基を有する多官能性化合物である。アリル化合物としては、例えば、ジアリルマレエート、ジアリルイタコネート、ジアリルマロネート、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスフォネート、トリアリルホスフェート、トリアリルシアヌレートなどが挙げられる。
ビニル化合物は、末端にビニル基を有する多官能性化合物である。ビニル化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテルなどが挙げられる。
これらの多官能性化合物は単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。なお、これらの化合物の中でも、樹脂成分との親和性が高いことから、トリメチロールプロパントリメタクリレートを用いることが好ましい。
また、樹脂組成物における架橋助剤の含有量は、100質量部の樹脂成分に対して、0.1質量部〜5質量部であることが好ましく、0.8質量部〜2質量部であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、樹脂組成物の耐熱性、加工性及び耐ブリード性をより向上させることができる。
樹脂組成物は海島構造を有する。海島構造は、一般的には、マトリックスの海の中に特定の成分が島状に分散した構造である。図1に示されるように、海島構造1は、一般的には、マトリックスである連続相2(海構造)と、連続相2内に分散された分散相3(島構造)とを有する相分離構造である。海島構造1は、樹脂組成物の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)などによって観察することができる。
海島構造1は、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体が連続相2(海構造)であり、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体が分散相3(島構造)である。オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体及びエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体は、いずれもオレフィンモノマーを含んでいる。したがって、異種のポリマー同士の相溶性を向上させる相溶化剤を用いなくても、又は無水マレイン酸などで樹脂成分を変性しなくても、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体を分散相3として均一に分散することができる。
樹脂組成物の断面において、分散相3の面積の平均値は、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。このようにすると、樹脂組成物の耐摩耗性をより向上させることができる。なお、分散相3の面積の平均値は、透過型電子顕微鏡などで観察した断面写真において、画像解析・計測ソフトウェアを用いて各分散相3の面積を測定し、各面積の平均値を算出することにより求めることができる。
樹脂組成物は、共連続構造など、海島構造とは異なる構造を有していてもよい。樹脂成分の内、海島構造を有する割合は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。このようにすると、樹脂組成物の耐摩耗性をより向上させることができる。
一般に、見掛けの粘度の異なる異種の樹脂を所定の割合で溶融及び混練する場合、α=(η/η)(φ/φ)で定義されるα値がほぼ1であれば、両相が連続相となり、α値が1を超えれば一方の樹脂が分散相を形成することが知られている。岡本正巳、他1名、「ポリマーブレンドの動的架橋プロセスにおける相反転と構造形成」、高分子論文集、1991年10月、Vol.48、No.10、pp.657〜662参照。
したがって、樹脂成分は、α=(η/η)(φ/φ)の数式から導き出されるα値が1を超えることが好ましい。α値が1を超えると、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体が連続相2であり、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体が分散相3である海島構造を形成しやすい。すなわち、海島構造を形成するには、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体及びエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の体積分率だけではなく、溶融混練時の見掛けの粘度も重要である。
なお、上記数式中、ηはエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の溶融混練時の見掛けの粘度(Pa・s)を表す。ηはオレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の溶融混練時の見掛けの粘度(Pa・s)を表す。本明細書において、見掛けの粘度は、JIS K7199:1999(プラスチック−キャピラリーレオメータ及びスリットダイレオメータによるプラスチックの流れ特性試験方法)の規定に準じて測定される。
また、上記数式中、φはオレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体及びエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の合計に対するエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の体積分率(%)を表す。φはオレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体及びエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の合計に対するオレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の体積分率(%)を表す。
オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の溶融混練時の見掛けの粘度(η)に対するエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の溶融混練時の見掛けの粘度(η)の比(η/η)は、0.6以上であることが好ましい。このようにすることで、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体及びエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の体積分率の選択幅が広くなり、樹脂組成物の設計の自由度を向上させることができる。なお、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の溶融混練時の見掛けの粘度(η)に対するエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の溶融混練時の見掛けの粘度(η)の比(η/η)は、1以上であることがより好ましい。また、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の溶融混練時の見掛けの粘度(η)に対するエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の溶融混練時の見掛けの粘度(η)の比(η/η)は、2以下であることが好ましい。このようにすることにより、加工性が良好になり、溶融混練条件の選択幅が広くなることから、樹脂組成物を容易に成形することができる。
エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の溶融混練時の見掛けの粘度(η)は、50Pa・s以上であることが好ましく、100Pa・s以上であることがより好ましい。また、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の溶融混練時の見掛けの粘度(η)は、1000Pa・s以下であることが好ましく、500Pa・s以下であることがより好ましい。見掛けの粘度を上記のような範囲とすることで、樹脂組成物の成形性を向上させることができる。
オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の溶融混練時の見掛けの粘度(η)は、50Pa・s以上であることが好ましく、100Pa・s以上であることがより好ましい。また、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の溶融混練時の見掛けの粘度(η)は、1000Pa・s以下であることが好ましく、500Pa・s以下であることがより好ましい。見掛けの粘度を上記のような範囲とすることで、樹脂組成物の成形性を向上させることができる。
エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の体積に対するオレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の体積の比は0.5以上であることが好ましい。すなわち、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の体積分率(φ)に対するオレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の体積分率(φ)の比(φ/φ)は、0.5以上であることが好ましい。このようにすることにより、加工性が向上し、溶融混練条件の選択幅を広くすることができる。また、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の体積分率(φ)に対するオレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の体積分率(φ)の比(φ/φ)は、10以下であることが好ましい。このようにすることで、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体及びエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の体積分率の選択幅が広くなり、樹脂組成物の設計の自由度を向上させることができる。
エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の体積分率(φ)は、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の体積分率(φ)は、55%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の体積分率(φ)は、45%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の体積分率(φ)は、85%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましい。
樹脂成分におけるオレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体及びエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の合計含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。このようにすることで、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体とエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の海島構造を良好に形成することができる。
上記樹脂成分におけるエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の含有量は、特に限定されないが、15質量%〜55質量%であることが好ましい。上記含有量を15質量%以上とすることにより、樹脂組成物の柔軟性を向上させることができる。また、上記含有量を55質量%以下とすることにより、耐摩耗性を向上させることができる。なお、柔軟性の観点から、上記樹脂成分におけるエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の含有量は20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましい。また、耐摩耗性の観点から、上記樹脂成分におけるエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の含有量は50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることがさらに好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。また、このようにすることで、樹脂組成物を押出成形して被覆電線を作製する際に押出成形物の変形を抑制することができる。
(難燃剤)
樹脂組成物は、難燃性を向上させるため、難燃剤を含有していてもよい。樹脂成分の含有量を100質量部としたときの難燃剤の含有量は50質量部未満であることが好ましい。難燃剤の含有量を50質量部未満とすることにより、樹脂組成物の柔軟性を向上させることができる。なお、柔軟性の観点から、上記樹脂成分の含有量を100質量部としたときの難燃剤の含有量は45質量部以下であることが好ましい。また、難燃性の観点から、上記樹脂成分の含有量を100質量部としたときの難燃剤の含有量は20質量部以上であることが好ましく、25質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましい。
難燃剤の種類は、樹脂組成物に難燃性を付与することができれば特に限定されない。難燃剤には、例えば、有機系難燃剤及び無機系難燃剤の少なくともいずれか一方が含まれていてもよい。有機系難燃剤には、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤及び窒素系難燃剤からなる群より選択される少なくとも1以上の難燃剤が含まれていてもよい。無機系難燃剤には、例えば、金属水酸化物及びアンチモン系難燃剤の少なくともいずれか一方が含まれていてもよい。金属水酸化物には、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムの少なくともいずれか一方が含まれていてもよい。アンチモン系難燃剤には、例えば、三酸化アンチモンが含まれていてもよい。
ハロゲン系難燃剤は、熱可塑性樹脂の燃焼を促進するヒドロキシルラジカルを捕捉し、樹脂組成物の燃焼を抑制することができる。ハロゲン系難燃剤は、例えば、有機化合物に少なくとも1つ以上のハロゲンが置換した化合物であってもよい。ハロゲン系難燃剤には、例えば、フッ素系難燃剤、塩素系難燃剤、臭素系難燃剤及びヨウ素系難燃剤からなる群より選択される少なくとも1以上の難燃剤が含まれていてもよい。ハロゲン系難燃剤は、臭素系難燃剤又は塩素系難燃剤であることが好ましく、臭素系難燃剤であることがより好ましい。
塩素系難燃剤には、例えば、塩素化ポリエチレン、塩素化パラフィン及びパークロロシクロペンタデカン等からなる群より選択される少なくとも1つの難燃剤が含まれていてもよい。
臭素系難燃剤には、例えば、1,2−ビス(ブロモフェニル)エタン、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビス−ジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、エチレンビス−テトラブロモフタルイミド、テトラブロモビスフェノールS、トリス(2,3−ジブロモプロピル−1)イソシアヌレート、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、オクタブロモフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA(TBA)、TBAエポキシオリゴマー又はポリマー、TBA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、デカブロモジフェニルオキシド、ポリジブロモフェニレンオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、ジブロモエチル−ジブロモシクロヘキサン、ジブロモネオペンチルグリコール、トリブロモフェノール、トリブロモフェノールアリルエーテル、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ペンタブロモフェノール、ペンタブロモトルエン、ペンタブロモジフェニルオキシド、ヘキサブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルオキシド、ジブロモネオペンチルグリコールテトラカルボナート、ビス(トリブロモフェニル)フマルアミド、及びN−メチルヘキサブロモフェニルアミン等からなる群より選択される少なくとも1つの難燃剤が含まれていてもよい。
リン系難燃剤には、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、環状リン化合物及び赤リンからなる群より選択される少なくとも1以上の難燃剤が含まれていてもよい。
窒素系難燃剤には、例えば、リン酸グアニル尿素等のグアニル尿素系難燃剤及びメラミンシアヌレート等のメラミン系化合物の少なくともいずれか一方が含まれていてもよい。
難燃剤は、臭素系難燃剤とアンチモン系難燃剤とが含まれていることが好ましく、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)と三酸化アンチモンとが含まれていることがより好ましい。本実施形態に係る樹脂組成物において、上記のような難燃剤を用いることにより、少ない含有量であっても、難燃性を向上させることができる。
難燃剤全体に対する臭素系難燃剤の含有量は、50質量%〜80質量%であることが好ましく、60質量%〜70質量%であることがより好ましい。また、難燃剤全体に対するアンチモン系難燃剤の含有量は、20質量%〜50質量%であることが好ましく、30質量%〜40質量%であることがより好ましい。さらに、アンチモン系難燃剤に対する臭素系難燃剤の比(臭素系難燃剤/アンチモン系難燃剤)は、1〜4であることが好ましく、3/2〜7/3であることがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、添加剤をさらに含有し、上記樹脂成分の含有量を100質量部としたときの添加剤の含有量は25質量部以下であることが好ましい。添加剤の含有量を25質量部以下とすることにより、樹脂組成物の柔軟性を向上させることができる。
本実施形態の樹脂組成物において、上記樹脂成分の含有量を100質量部としたときの、難燃剤と難燃剤以外の上記添加剤の含有量は70質量部未満であることが好ましい。難燃剤と難燃剤以外の上記添加剤の含有量を70質量部未満とすることにより、樹脂組成物の柔軟性を向上させることができる。なお、本実施形態の樹脂組成物において、上記樹脂成分の含有量を100質量部としたときの、難燃剤と難燃剤以外の添加剤の含有量は60質量部未満であることがより好ましい。
添加剤としては、上述した架橋剤、上述した架橋助剤、酸化防止剤、加工助剤、可塑剤、金属不活性剤、充填剤、補強剤、紫外線吸収剤、安定剤、顔料、染料、着色剤、帯電防止剤並びに発泡剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、及び硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。
加工助剤としては、ゴム材料等に添加されるパラフィン系油及びナフテン系油等の石油系油などが挙げられる。
上述の通り、被覆電線の被覆層を構成する樹脂組成物には、高い柔軟性が求められている。ここで、例えば、被覆電線の半径と被覆電線を所定の曲率で曲げた場合を考慮して、樹脂組成物の19%ひずみ引張応力を所定の値以下とした場合に、被覆電線が、実用上、十分な柔軟性を有していることが調査により判明した。したがって、本実施形態の樹脂組成物において、19%ひずみ引張応力は2.0MPa以下としている。樹脂組成物の19%ひずみ引張応力を2.0MPa以下とすることにより、樹脂組成物の柔軟性を向上させることができる。さらに、柔軟性をシリコーンゴムに近づけるためには、19%ひずみ引張応力は、1.5MPa以下であることがより好ましい。なお、19%ひずみ引張応力は、JIS K7161−1:2014(プラスチック−引張特性の求め方−第1部:通則)に準拠して測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物において、日本自動車技術会規格JASO D624に規定される150℃耐熱性を有していることが好ましい。樹脂組成物が上記のような耐熱性を有することにより、自動車などのような高温の環境下であっても、電線の被覆層などとして使用することが可能となる。
樹脂組成物において、ISO6722−1(第4版) 5.12.4.1に規定されたサンドペーパー摩耗試験によるサンドペーパーの移動距離は330mm以上であることが好ましい。このようにすることにより、樹脂組成物の耐摩耗性を向上させることができる。なお、サンドペーパーの移動距離の上限は、特に限定されないが、例えば、10000mm以下であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物において、引張破壊応力及び引張破壊ひずみの積は50MPa以上であることが好ましい。引張破壊応力及び引張破壊ひずみの積は耐摩耗性と相関関係があり、積を50MPa以上とすることにより、耐摩耗性を向上させることができる。また、引張破壊応力及び引張破壊ひずみの積の上限は特に限定されないが、例えば、1000MPa以下であってもよく、500MPa以下であってもよい。引張破壊応力及び引張破壊ひずみは、JIS K7161−1:2014の規定に準拠して測定することができる。
樹脂組成物は、上述の樹脂成分を溶融混練することにより作製されるが、その方法は公知の手段を用いることができる。例えば、あらかじめヘンシェルミキサー等の高速混合装置を用いてプリブレンドした後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等の公知の混練機を用いて混練することにより、樹脂組成物を得ることができる。
以上の通り、樹脂組成物は、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体と、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体とを含む樹脂成分を含有している。樹脂成分は架橋されており、19%ひずみ引張応力は2.0MPa以下である。樹脂組成物は、オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体が連続相であり、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体が分散相である海島構造を有する。そのため、樹脂組成物は電線の被覆層として十分な柔軟性及び耐摩耗性を有する。
[被覆電線]
図2は、本実施形態に係る被覆電線10の一例を示す断面図である。図2に示されるように、本実施形態の被覆電線10は、導体11と、導体11を被覆し、上記実施形態に係る樹脂組成物により構成された被覆層12と、を備える。上記実施形態に係る樹脂組成物は柔軟性及び耐摩耗性に優れている。そのため、このような樹脂組成物により構成された被覆層12を備える被覆電線10は、例えば自動車用の被覆電線10として好ましく用いることができる。
導体11は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成された集合撚り線であってもよい。また、導体11は、1本の撚り線のみで構成されていてもよく、複数本の集合撚り線を束ねて構成された複合撚り線であってもよい。導体11の構成及びサイズはJASO D624及びISO 6722−1の少なくともいずれか一方に規定された構成及びサイズであることが好ましい。
導体11の径は、特に限定されないが、4.0mm以上であることが好ましく、5.0mm以上であることがより好ましい。導体11の径を上記のようにすることにより、導体の抵抗を小さくし、例えば、大容量のバッテリであっても、充電時間を短くすることができる。また、導体11の径は、特に限定されないが、25mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましい。導体11の径を上記のようにすることにより、狭くかつ短い経路内であっても被覆電線10の配索を容易にすることができる。
素線の径は、特に限定されないが、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましい。素線の径を上記のようにすることにより、素線の切断を抑制することができる。また、素線の径は、特に限定されないが、0.5mm以下であることが好ましく、0.4mm以下であることがより好ましい。素線の径を上記のようにすることにより、狭くかつ短い経路内であっても被覆電線10の配索を容易にすることができる。
導体11を構成する材料は、特に限定されないが、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金などからなる群より選択される少なくとも1つの導電性金属材料であることが好ましい。
被覆層12の厚さは、特に限定されないが、0.5mm以上であることが好ましく、0.65mm以上であることがより好ましい。被覆層12の厚さを上記のようにすることにより、導体11を効果的に保護することができる。また、被覆層12の厚さは、特に限定されないが、2.0mm以下であることが好ましく、1.85mm以下であることがより好ましい。被覆層12の厚さを上記のようにすることにより、狭くかつ短い経路内であっても被覆電線10の配索を容易にすることができる。
被覆電線10は、被覆層12を被覆するシールド層と、当該シールド層をさらに被覆するシース層とをさらに備えていてもよい。シールド層は、導体11からの不必要な電磁波の放出を防止することができる。シールド層としては、導電性の金属箔若しくは金属を含む箔又は金属線(金属導体)を網目状に編むことにより形成することができる。シース層は、シールド層を効果的に保護し、束ねることができる。シース層としては、特に限定されないが、ポリエチレンなどのオレフィン樹脂等を用いてもよく、上記実施形態に係る樹脂組成物を用いてもよい。
導体11を被覆層12で被覆する方法は公知の手段を用いることができる。例えば、被覆層12は、一般的な押出成形法により形成することができる。そして、押出成形法で用いる押出機としては、例えば単軸押出機や二軸押出機を使用し、スクリュー、ブレーカープレート、クロスヘッド、ディストリビューター、ニップル及びダイスを有するものを使用することができる。
被覆層12を構成する樹脂組成物を作製する場合には、樹脂が十分に溶融する温度に設定された押出機に、樹脂組成物を投入する。この際、必要に応じて、難燃剤、酸化防止剤及び加工助剤などの他の成分も押出機に投入する。そして、樹脂組成物はスクリューにより溶融及び混練され、一定量がブレーカープレートを経由してクロスヘッドに供給される。溶融した樹脂組成物は、ディストリビューターによりニップルの円周上へ流れ込み、ダイスにより導体11の外周上に被覆された状態で押し出されることにより、導体11の外周を被覆する被覆層12を得ることができる。
このように本実施形態の被覆電線10では、一般の電線用樹脂組成物と同様に押出成形により被覆層12を形成することができる。なお、被覆層12の強度を向上させるために、導体11の外周に被覆層12を形成した後、上述した放射線の照射などの方法により樹脂組成物を架橋してもよい。
[ワイヤーハーネス]
本実施形態に係るワイヤーハーネスは被覆電線10を備える。上記実施形態に係る樹脂組成物は柔軟性及び耐摩耗性に優れている。そのため、このような樹脂組成物により構成された被覆層12を備える被覆電線10は、例えば自動車用のワイヤーハーネスとして好ましく用いることができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
金属導体として、断面積が3.0mmの純銅の導体(撚り線)を準備した。そして、導体を、表1に示す配合(単位:質量部)の樹脂組成物で被覆し、被覆電線を作製した。導体は、直径40mmのスクリュー径を有する電線製造用押出被覆装置を用い、約140℃〜180℃の温度条件で被覆した。なお、樹脂組成物の溶融混練の温度及び押出被覆装置から出てきた直後の樹脂の温度は約140℃であった。被覆後の被覆層の厚さは、標準で0.65mmとなるように押出被覆装置を調整した。被覆電線は、750kV〜950kV×140〜200kGyの条件で架橋した。
(樹脂成分)
(1)エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)
アクリル酸エチル(EA)含有量30質量%
宇部丸善ポリエチレン株式会社製 EX4227
(2)エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)
DOW社製 NORDEL(登録商標)IP4760P
(難燃剤)
(1)臭素系難燃剤
エチレンビス(ペンタブロモフェニル) 30質量部
Albemarle Corporation製 SAYTEX(登録商標)8010
(2)アンチモン系難燃剤
三酸化アンチモン 10質量部
日本精鉱株式会社 PATOX(登録商標)M
なお、難燃剤全体に対し、臭素系難燃剤の含有量が75質量%、アンチモン系難燃剤の含有量が25質量%となるように調製した。すなわち、アンチモン系難燃剤に対する臭素系難燃剤の比(臭素系難燃剤/アンチモン系難燃剤)が2となるように調製した。
(酸化防止剤)
(1)株式会社ADEKA製 アデカスタブ(登録商標)AO−20 2質量部
(2)株式会社ADEKA製 アデカスタブ(登録商標)AO−412S 2質量部
(加工助剤)
新中村化学工業株式会社製 TMPT(トリメチロールプロパントリメタクリレート)
[評価]
以下の方法により、各例のα値を求め、各例の柔軟性及び耐摩耗性を評価した。これらの結果を表1に示す。また、以下の方法により、実施例1、実施例2及び実施例4の被覆層の断面を透過型電子顕微鏡で観察した。結果を図3〜図8に示す。また、実施例4の被覆電線について、引張破壊応力と引張破壊ひずみとの関係を評価した。結果を図9に示す。
(α値)
α値は、α=(η/η)(φ/φ)の数式から導き出した。上記数式中、ηはエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の見掛けの粘度(Pa・s)を表す。ηはエチレン−アクリル酸エチル共重合体の見掛けの粘度(Pa・s)を表す。φはエチレン−アクリル酸エチル共重合体及びエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の合計に対するエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の体積分率(%)を表す。φはエチレン−アクリル酸エチル共重合体及びエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の合計に対するエチレン−アクリル酸エチル共重合体の体積分率(%)を表す。なお、体積分率は、質量比と実質的に同一とみなして算出した。
(見掛けの粘度)
JIS K7199:1999の規定に準じて見掛けの粘度を測定した。具体的には、以下の条件にて見掛けの粘度を測定した。
装置:株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ(登録商標)
試験温度:120℃
せん断速度:1.2×10−1(ピストンスピード100mm/min)
キャピラリーの長さ:10mm
キャピラリーの直径:1mm
炉体のバレル直径:9.55mm
上記条件で見掛けの粘度を測定したところ、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)の見掛けの粘度は322Pa・sであり、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)の見掛けの粘度は382Pa・sであった。したがって、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の見掛けの粘度(η)に対するエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の見掛けの粘度(η)の比(η/η)は1.2であった。
(柔軟性)
架橋処理後の被覆電線から導体を抜き取り、被覆層を取得した。そして、被覆層を構成する樹脂組成物について、JIS K7161−1に準拠して19%ひずみ引張応力を測定することにより柔軟性を評価した。試験サンプルは、樹脂組成物を1mm厚の樹脂シートに成形した後、JIS K6251:2010(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方)に規定されたダンベル状3号形を打ち抜いて作製した。引張応力は、室温(23℃)において200mm/分の試験速度で測定した。19%ひずみ引張応力が2.0MPa以下となった場合を「合格」、2.0MPa超となった場合を「不合格」として評価した。
(耐摩耗性)
耐摩耗性は、ISO6722−1(第4版) 5.12.4.1に記載のサンドペーパー摩耗試験によって評価した。まず、粒度150のアルミナのサンドペーパー(理研コランダム株式会社製)を準備し、このサンドペーパーに5mm〜10mmの導電性の帯を、間隔が75mm以下となるように取り付けた。次に、架橋処理後の被覆電線をサンドペーパーの未使用部分の上に設置し、被覆電線に対して1500gの重りを加えた。この状態で(1500±75)mm/分の速度でサンドペーパーを移動させ、被覆電線が摩耗して金属導体とサンドペーパーとが接触するまでのサンドペーパーの移動距離を測定した。一つの被覆電線を90度ずつずらして合計4箇所測定し、平均値を求めた。サンドペーパーの移動距離が330mm以上の場合を「合格」と評価し、330mm未満の場合を「不合格」と評価した。
(透過型電子顕微鏡観察)
架橋処理後の被覆層の断面を透過型電子顕微鏡で以下のようにして観察した。まず、被覆層を切り出し、樹脂に包埋した。次に、ダイヤモンドナイフ(DiATOME社製ULTRA)を装着したウルトラミクローム(ライカ社製LEICA EM UCT)で、被覆層の外表面に対して平行に薄片を切り出した。薄片を、金属酸化物で蒸着し、透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製HT7700)で、加速電圧を100kVにして薄片の表面を観察した。薄片の表面は、被覆層の外表面に対して平行な面である。
(分散相の面積分布)
連続相に分散している分散相の面積分布を画像処理で解析した。まず、上述のようにして得られた透過型電子顕微鏡写真から、分散相を手動で抽出した。次に、画像解析・計測ソフトウェア(三谷商事株式会社製Win ROOF)を用い、分散相の面積(μm)の最小値、最大値、平均値及び標準偏差を測定した。なお、分散相の面積が0.05μm以下のものは、測定対象から外した。
(引張破壊応力)
JIS K7161−1:2014の規定に準じて引張破壊応力を測定した。具体的には、以下の条件にて引張破壊応力を測定した。
試験片:樹脂組成物を1mm厚の樹脂シートに成形した後、JIS K6251:2010に規定されたダンベル状3号形を打ち抜いて作製した。
試験温度:室温(23℃)
試験速度:200mm/分
(引張破壊ひずみ)
JIS K7161−1:2014の規定に準じて引張破壊ひずみを測定した。具体的には、以下の条件にて引張破壊ひずみを測定した。
試験片:樹脂組成物を1mm厚の樹脂シートに成形した後、JIS K6251:2010に規定されたダンベル状3号形を打ち抜いて作製した。
試験温度:室温(23℃)
試験速度:200mm/分
表1に示されるように、実施例1〜実施例4に係る樹脂組成物は、柔軟性及び耐摩耗性に優れていた。特に、α値が小さくなるほど、柔軟性は向上することが分かった。また、αの値が大きくなるほど、耐摩耗性が向上することが分かった。一方、比較例1の樹脂組成物は、耐摩耗性が優れていたものの、柔軟性が良好でなかった。比較例2及び比較例3の樹脂組成物は、柔軟性が優れていたものの、耐摩耗性が良好ではなかった。
図3及び図4は、実施例1の被覆層の断面を6000倍及び30000倍に拡大して撮像した写真である。図5及び図6は、実施例2の被覆層の断面を6000倍及び30000倍に拡大して撮像した写真である。図7及び図8は、実施例4の被覆層の断面を6000倍及び30000倍に拡大して撮像した写真である。図3〜図8に示されるように、これらの被覆層を構成する樹脂組成物は、連続相2と分散相3とによって、海島構造1が形成されている。これらのことから、α値を1以上とし、海島構造を形成することによって、樹脂組成物の耐摩耗性が向上することが分かる。なお、実施例1及び実施例2に含まれる分散相3の面積分布は表2に示す通りであった。
図9は、各種材料の応力−ひずみ曲線を示すグラフである。図9に示されるように、実施例4に係る樹脂組成物は、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)単独と比較して19%ひずみ引張応力が低減し、シリコーンの19%ひずみ引張応力に近づけることができている。また、実施例4に係る樹脂組成物では、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)単独と比較して、引張破壊応力がそれほど低下せず、引張破壊ひずみが大きくなっている。したがって、実施例4に係る樹脂組成物は、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)単独と比較して、引張破壊応力及び引張破壊ひずみの積が大きくなっている。このことから、引張破壊応力及び引張破壊ひずみの積は耐摩耗性と相関関係があることが示唆された。
なお、図9に示されるように、実施例4に係る樹脂組成物では、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)単独及びエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)単独と比較して、引張破壊ひずみが大きくなるという予想外の効果も見られた。このことも、引張破壊応力及び引張破壊ひずみの積の値を大きくし、耐摩耗性の向上に貢献している可能性がある。
以上、本実施形態を実施例によって説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
1 海島構造
2 連続相(オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体)
3 分散相(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)
10 被覆電線
11 導体
12 被覆層

Claims (5)

  1. オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体と、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体とを含む樹脂成分を含有し、
    前記樹脂成分は架橋されており、
    19%ひずみ引張応力は2.0MPa以下であり、
    前記オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体が連続相であり、前記エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体が分散相である海島構造を有する樹脂組成物。
  2. 前記エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の体積に対する前記オレフィンと極性を有するコモノマーとの共重合体の体積の比は0.5以上である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 引張破壊応力及び引張破壊ひずみの積は50MPa以上である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 導体と、
    前記導体を被覆し、ISO6722−1 5.12.4.1に規定されたサンドペーパー摩耗試験によるサンドペーパーの移動距離は330mm以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物により構成された被覆層と、
    を備える被覆電線。
  5. 請求項4に記載の被覆電線を備えるワイヤーハーネス。
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