JPH08249925A - 耐トラッキング性有機絶縁材料 - Google Patents

耐トラッキング性有機絶縁材料

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JPH08249925A
JPH08249925A JP5012195A JP5012195A JPH08249925A JP H08249925 A JPH08249925 A JP H08249925A JP 5012195 A JP5012195 A JP 5012195A JP 5012195 A JP5012195 A JP 5012195A JP H08249925 A JPH08249925 A JP H08249925A
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tracking
insulating material
organic insulating
ethylene
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JP5012195A
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Kazunori Kadowaki
一則 門脇
Michio Tan
通雄 丹
Hiroshi Kamata
博 蒲田
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐トラッキング性および耐侵食性の双方に優れ
た耐トラッキング性有機絶縁材料を提供する。 【構成】下記の(A)〜(C)成分を含有する耐トラッ
キング性有機絶縁材料である。 (A)シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン
ゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリオレフィン系樹
脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの有機高分子
化合物。 (B)水酸化アルミニウム。 (C)トリアリルイソシアヌレート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、屋外高電圧材料である
碍子等の形成材料に用いられる耐トラッキング性有機絶
縁材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高電圧下において使用される有機絶縁
体、例えば、電線の絶縁被覆においては、塩類、粉塵あ
るいはイオン性物質を含んだ水分の付着のために漏洩電
流が流れ、ジュール熱に起因する付着水分の蒸発により
漏洩電流路が断路してその箇所で放電が発生する。この
放電により、絶縁体表面が炭化し、以後、この炭化の累
積的発生により炭化路、すなわち、導電路が形成される
現象、いわゆるトラッキングの発生が問題となってい
る。また、落雷等により絶縁系統に過電圧が印加された
ときには、絶縁体表面はアーク電流に曝され、これによ
り炭化路が形成される、いわゆる、アーク破壊の発生が
避けられないという問題がある。
【0003】概して、一般のゴム、プラスチックにおい
ては、その分子構造上、トラッキングの発生は不可避で
あるが、無機質材料においてはトラッキングを発生しな
いことから、従来から、ゴム、プラスチック絶縁材料の
耐トラッキング性の向上のために無機質粉末を混入する
ことが公知であり、これまでに各方面で様々な配合の組
み合わせが検討されている。例えば、本出願人は、水酸
化マグネシウムと金属炭酸塩を含んだ有機絶縁材料が耐
トラッキング性に有効であることを見出し出願している
(特開平2−60964号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、各種無
機質充填材の充填により、耐トラッキング性の向上を図
ることは公知である。しかしながら、上記無機質充填材
を増量すると、得られる有機絶縁体の引張破断伸び率や
破断強度、熱老化性や耐候性、材料表面の撥水性等の特
性は低下する方向にあるため、その充填量には限界があ
る。特に、撥水性が低下すると、材料表面が濡れ易くな
り漏れ電流が増大するため、無機質充填材の種類によっ
ては耐トラッキング性向上への阻害要因ともなり得る。
【0005】一方、最近の課題として耐トラッキング性
を向上させるとともに、耐侵食性を向上させることが重
要課題として検討されている。このトラッキングの発生
を抑制するためには、有機物の分解生成物である炭素を
炭酸ガス等に昇華させることが必要となるが、これは言
い換えるとトラッキングの発生を抑制する代わりに侵食
を進行させることになる。そして、実際、屋外での長期
間にわたる使用(30年以上)を考慮した場合、侵食の
進行を最小限にとどめることも重要である。したがっ
て、無機質充填材の増量を避けながら、新たな方法を用
いて、耐トラッキング性とともに耐侵食性をも向上させ
ることが要望されている。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、耐トラッキング性および耐侵食性の双方に優れ
た耐トラッキング性有機絶縁材料の提供をその目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、下記の(A)〜(C)成分を含有する耐
トラッキング性有機絶縁材料を第1の要旨とする。 (A)シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン
ゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリオレフィン系樹
脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの有機高分子
化合物。 (B)水酸化アルミニウム。 (C)トリアリルイソシアヌレート。
【0008】また、上記(A)〜(C)成分に加えて、
下記の(D)成分および(E)成分を含有する耐トラッ
キング性有機絶縁材料を第2の要旨とする。 (D)水酸化マグネシウム。 (E)炭酸カルシウムおよび炭酸コバルトの少なくとも
一方。
【0009】
【作用】すなわち、本発明者らは、耐トラッキング性と
ともに耐侵食性にも優れた有機絶縁材料を得るべく研究
を重ねた。そして、一般に材料の架橋密度が高いほど、
耐トラッキング性および耐侵食性が向上すると考えられ
ていることから、この架橋度合いに着目し、材料の架橋
密度を向上させることにより耐トラッキング性と耐侵食
性の双方をより一層向上させる目的で種々の架橋助剤に
ついて検討し研究を進めた。その結果、多数の架橋助剤
のなかから、トリアリルイソシアヌレート(以下「TA
IC」と称す)を添加すると、架橋密度が高くなるだけ
でなく耐トラッキング性とともに耐侵食性の向上効果
が、他の架橋助剤に比べて顕著に優れていることを見出
し本発明に到達した。さらに、水酸化アルミニウムを配
合することで耐トラッキング性の向上が図られ、また、
上記水酸化アルミニウムとともに、水酸化マグネシウム
と、炭酸カルシウムおよび炭酸コバルトの少なくとも一
方を配合することにより、さらなる耐トラッキング性の
向上とともに難燃性の向上が図られることを突き止め
た。
【0010】そして、一般に、高分子材料の分子構造
上、主鎖中に二重結合を含まないものを用いることによ
り耐トラッキング性を向上させることはよく知られてお
り、特に、シリコーンゴムは優れた撥水性や耐熱性を有
することから、本発明において、このシリコーンゴムを
用いることは有効であると考えられる。しかし、このシ
リコーンゴムは、その分解生成物として無機の珪素化合
物が形成され、それが有機絶縁体表面に付着することに
より、撥水性の極端な低下による漏れ電流の増大が認め
られることを本発明者らは突き止めた。そこで、この知
見に基づき様々な面から検討を重ねた結果、有機成分
〔(A)成分〕として、シリコーンゴム単独ではなく、
これと、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(以下「E
PDM」と称す)、エチレン−プロピレンゴム(以下
「EPM」と称す)、ポリオレフィン系樹脂からなる成
分から適宜に選択した単独の、もしくは複数の高分子材
料を併用することにより一層良好な結果が得られること
を突き止めた。
【0011】つぎに、本発明について詳細に説明する。
【0012】本発明の耐トラッキング性有機絶縁材料と
しては、有機高分子化合物(A成分)と、水酸化アルミ
ニウム(B成分)と、TAIC(C成分)を用いて得ら
れる第1の配合態様と、これらA〜C成分に加えて、水
酸化マグネシウム(D成分)と、炭酸カルシウムおよび
炭酸コバルトの少なくとも一方(E成分)とを用いて得
られる第2の配合態様がある。
【0013】まず、上記A〜C成分を用いて得られる第
1の配合態様について述べる。
【0014】上記有機高分子化合物(A成分)として
は、シリコーンゴム、EPDM、EPM、ポリオレフィ
ン系樹脂があげられ、これらを単独でもしくは2種以上
併せることにより用いられる。
【0015】上記シリコーンゴムとしては、従来公知の
ものがあげられるが、特に、他のゴム状ポリマーとの相
溶性を向上させるため、例えば、メルカプト基等を有す
るシロキサンを含有するものを用いることが好ましい。
また、上記ポリオレフィン系樹脂としては、具体的に
は、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂等があげ
られる。なかでも、エチルアクリレート含有量が5〜3
0重量%(以下「%」と略す)のものを用いることが好
ましい。
【0016】特に、上記有機高分子化合物(A成分)に
おいて、シリコーンゴムを必須成分として用い、これに
EPDM、EPM、ポリオレフィン系樹脂を単独でもし
くは2種以上併用したものが、シリコーンゴム単独の場
合より、ゴムの分解時に生成される無機のケイ素化合物
が少ないという点から好ましい。そして、このようなシ
リコーンゴムを必須成分とする複数の有機高分子化合物
の併用における混合割合は、シリコーンゴム(a)と、
EPDM、EPM、ポリオレフィン系樹脂からなる群か
ら選ばれた少なくとも一つの有機高分子化合物(b)
を、重量比で、a/b=5/95〜30/70の範囲に
設定することが好ましい。特に好ましくはa/b=6/
94〜20/80である。すなわち、シリコーンゴムの
混合割合が5未満(bが95を超える)では、シリコー
ンゴム特有の高耐候性,高耐熱性,撥水性等の優位性を
発揮できず、また、シリコーンゴムの混合割合が30を
超える(bが70未満)と、ゴムの分解時に生成される
ケイ素化合物が過多となり、表面劣化の促進が著しくな
る傾向がみられるからである。この複数の有機高分子化
合物における具体的な組み合わせとしては、シリコーン
ゴムと、EPDMと、エチレン−エチルアクリレート共
重合樹脂の併用があげられ、それぞれ、重量比で、(シ
リコーンゴム):(EPDM):(エチレン−エチルア
クリレート共重合樹脂)=(5〜30):(25〜2
0):(70〜50)の範囲に設定することが望まし
い。
【0017】上記A成分とともに用いられる水酸化アル
ミニウム(B成分)は、耐トラッキング性向上のために
用いられるものであって、しかもBET比表面積が4〜
15m2 /gのものを用いることが好ましい。特に好ま
しくは6〜10m2 /gである。このように、BET比
表面積の好適な上限(15m2 /g)を上記のように設
定したのは、つぎのような理由による。すなわち、比表
面積が大きければ耐トラッキング性は向上するものの、
あるレベル以上になると、分散性が低下するため、部分
的に水酸化アルミニウムの凝集が起こり易く、これが耐
熱性等の低下を引き起こすからである。そして、BET
比表面積の好適な下限(4m2 /g)を上記のように設
定したのは、つぎのような理由による。すなわち、比表
面積が小さければ分散性は良く、また、多量充填も可能
となるが、耐トラッキング性の大きな向上は期待できな
いからである。
【0018】なお、上記BET比表面積は、公知の方法
により測定される値である。すなわち、このBET比表
面積は気体が固体表面に吸着される現象を利用したもの
であり、したがって、固体表面積が大きいほど気体の吸
着量も大きくなる。具体的には、BET比表面積は、所
定の重量の固体に吸着された気体の量を測定し、これを
BET式(Brunauer−Emmett−Tell
er式)なる換算式を用いて算出された値である。
【0019】そして、上記A成分およびB成分とともに
用いられるTAIC(C成分)は、本発明の有機絶縁材
料を架橋して得られる絶縁体の架橋密度を高くするため
に用いられる架橋助剤であり、このTAICを用いるこ
とにより高い架橋密度が得られるのみでなく優れた耐ト
ラッキング性および耐侵食性が実現する。すなわち、こ
の第1の配合態様および第2の配合態様の双方における
共通成分であるTAIC(C成分)を用いることが本発
明の最大の特徴である。
【0020】つぎに、上記A〜C成分に加えて、水酸化
マグネシウム(D成分)、炭酸カルシウムおよび炭酸コ
バルトの少なくとも一方(E成分)を用いて得られる第
2の配合態様について述べる。
【0021】上記A〜C成分については、それぞれ前記
第1の配合態様で述べたものと同様のものがあげられ
る。
【0022】上記水酸化マグネシウム(D成分)は、前
記水酸化アルミニウム(B成分)と併用することにより
難燃性が向上する。この水酸化マグネシウム(D成分)
は、BET比表面積が25m2 /g以下のものを用いる
ことが好ましい。特に好ましくは4〜10m2 /gであ
る。
【0023】上記炭酸カルシウムおよひ炭酸コバルトの
少なくとも一方(E成分)は、上水酸化アルミウム(B
成分)および水酸化マグネシウム(D成分)とともに用
いることで耐トラッキング性の低下を抑制し、耐トラッ
キング性の向上剤としての作用を有する。上記二つの金
属炭酸塩において、耐トラッキング性の向上効果という
点では、炭酸コバルトの添加が好ましいものの、炭酸コ
バルトはゴムの耐熱性を低下させ易いことや、高価格で
ある点を考慮する必要がある。従って、単独では炭酸カ
ルシウムを用いることが、また二つを併用する場合で
は、その混合割合を、重量比で、炭酸カルシウム/炭酸
コバルト=9/1〜5/5の範囲に設定することが好ま
しい。特に好ましいのは、炭酸カルシウム/炭酸コバル
ト=8/2〜6/4の混合割合に設定した併用系であ
る。
【0024】つぎに、本発明の耐トラッキング性有機絶
縁材料を構成する上記A〜C成分を主とする配合系(第
1の配合態様)、およびこれらA〜C成分に加えてD成
分およびE成分を主とする配合系(第2の配合態様)に
ついて、それぞれの配合割合を、各配合系別に説明す
る。
【0025】まず、第1の配合態様である上記A〜C成
分の配合について説明する。この場合、上記A成分10
0部に対して水酸化アルミニウム(B成分)を30〜1
00部に、TAIC(C成分)を0.3〜5部にそれぞ
れ設定することが好ましい。特に、水酸化アルミニウム
(B成分)を40〜70部に、TAIC(C成分)を前
述のように0.3〜5部に設定することが好ましい。す
なわち、上記水酸化アルミニウム(B成分)の配合量が
30部未満では、所望の耐トラッキング性向上効果が得
られず、100部を超えると、引張破断伸び率や破断強
度等の機械的物性の低下が著しくなる傾向がみられるか
らである。また、上記TAIC(C成分)の配合量が
0.3部未満のように少な過ぎると、耐トラッキング性
および耐侵食性の向上効果を得ることが困難であり、ま
た、5部を超える配合量に設定しても耐トラッキング性
および耐侵食性のさらなる向上はなく、引張伸び率の低
下を引き起こし、さらにコスト増になるためである。
【0026】つぎに、上記A〜C成分に加えて、D成分
およびE成分を配合する第2の配合態様について説明す
る。この場合、上記A成分100部に対して水酸化アル
ミニウム(B成分)を20〜60部に、水酸化マグネシ
ウム(D成分)を20〜60部に、そして炭酸カルシウ
ムおよび炭酸コバルトの少なくとも一方(E成分)を1
0〜30部にそれぞれ設定し、また、TAIC(C成
分)を上記第1の配合態様と同様に0.3〜5部に設定
することが好ましい。特に、水酸化アルミニウム(B成
分)を25〜50部に、TAIC(C成分)を0.3〜
3部に、水酸化マグネシウム(D成分)を25〜50部
に、そして炭酸カルシウムおよび炭酸コバルトの少なく
とも一方(E成分)を10〜20部にそれぞれ設定する
ことが望ましい。このように、上記A〜E成分の配合系
(第2の配合態様)では、水酸化アルミニウム(B成
分)の配合量を上記A〜C成分の配合系(第1の配合態
様)に比べて少なく設定することが好ましい。これは水
酸化アルミニウム(B成分)とともに水酸化マグネシウ
ム(D成分)を併用するからである。また、炭酸カルシ
ウムおよび炭酸コバルトの少なくとも一方(E成分)の
配合量が、10部未満では、充分な耐トラッキング性の
向上効果が得られず、また30部を超えると、引張破断
伸び率や破断強度等の機械的物性の低下が著しくなる傾
向がみられる。
【0027】このように、二つの配合態様において、耐
トラッキング性および耐侵食性の双方に優れている点で
は共通しているが、材料の吸水性や、製品成形時のゴム
流動性という観点から、特に、A〜C成分の3成分を主
とする配合系(第1の配合態様)が好ましい。
【0028】そして、上記A〜C成分、または、A〜E
成分に加えて、さらに必要に応じて他の添加剤、例え
ば、過酸化物加硫剤、顔料、老化防止剤、ワックス等を
適宜に配合される。
【0029】上記過酸化物加硫剤としては、特に限定す
るものではなく従来公知のものが用いられ、例えば、ジ
クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(ターシャルブチルパーオキシ)ヘキサン等があげられ
る。
【0030】上記顔料としては、特に限定するものでは
なく従来公知のものが用いられ、例えば、カーボンブラ
ック、酸化第二鉄、チタン白等があげられる。
【0031】本発明の耐トラッキング性有機絶縁材料
は、例えば、前記A〜C成分、もしくはA〜E成分、さ
らにこれらに必要に応じて他の添加剤をそれぞれ所定の
割合に配合し、ミキシングロール機等で混合することに
より得られる。
【0032】このようにして得られる耐トラッキング性
有機絶縁材料を用いての有機絶縁体は、従来公知の方法
により所定の形状に製造される。例えば、得られた耐ト
ラッキング性有機絶縁材料を所定の成形型に充填して、
過酸化物架橋を行うことにより製造される。この場合の
過酸化物架橋による成形は、例えば、160〜170℃
で加熱されたプレス板上に設置された金型内にゴムを投
入加圧し、10〜30分間加熱加圧した状態で成形を行
う。さらに、その後、乾燥機中で、150℃×2時間の
アフターキュアを行う。上記成形は、直圧成形や移送成
形等が適用できる。また、上記過酸化物架橋による架橋
方法以外に、放射線照射による架橋方法を用いてもよ
い。これは、例えば、射出成形により成形された未架橋
の成形物に対し、線量5Mrad〜15Mradの電子
線を照射することにより架橋を行い所定の形状の有機絶
縁体を製造するものである。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明の耐トラッキング
性有機絶縁材料は、前記A〜C成分、もしくは、A〜E
成分を含有する。そのため、この材料を用いると、耐ト
ラッキング性に加えて、耐侵食性にも優れた特性を備え
た有機絶縁体が得られる。中でも、上記A成分として、
シリコーンゴム単独ではなく、このシリコーンゴムとと
もに、EPDM、EPM、ポリオレフィン系樹脂からな
る成分から適宜に選択した単独の、あるいは複数の高分
子材料を用いることにより一層良好な耐トラッキング性
および耐侵食性が得られる。したがって、本発明の耐ト
ラッキング性有機絶縁材料は、碍子等の代替品の高電圧
用有機絶縁体成形材料として最適である。
【0034】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0035】(1)実施例として、前記A〜C成分を主
とする第1の配合態様を説明する。
【0036】
【実施例1〜8】下記の表1に示す各成分を同表に示す
割合で配合し、ミキシングロール機により混合すること
により有機絶縁材料を得た。ついで、このようにして得
られた有機絶縁材料を用いて、170℃×20分の条件
下でプレス加硫により厚み2〜6mmの成形シートを得
た。なお、表1中において、熱劣化防止剤として、ヒン
ダードフェノール系老化防止剤を用い、紫外線吸収剤と
して、ヒンダードアミン系光安定剤を用いた(以下の表
2〜表6においても同じ)。
【0037】
【表1】
【0038】
【実施例9〜13】下記の表2に示す各成分を同表に示
す割合で配合し、ミキシングロール機により混合するこ
とにより有機絶縁材料を得た。ついで、このようにして
得られた有機絶縁材料を用いて、蒸気プレスにて加熱状
態でプレスし、冷却後にプレスから取り出して未架橋の
シート(厚み2〜5mm)を成形した。さらに、このシ
ートに線量15Mradの電子線を照射することにより
架橋された成形シートを得た。
【0039】
【表2】
【0040】(2)実施例として、前記A〜E成分を主
とする第2の配合態様を説明する。
【0041】
【実施例14〜19】下記の表3に示す各成分を同表に
示す割合で配合し、前記と同様、プレス加硫により成形
シートを成形した。
【0042】
【表3】
【0043】
【実施例20〜25】下記の表4に示す各成分を同表に
示す割合で配合し、ミキシングロール機により混合する
ことにより有機絶縁材料を得た。ついで、このようにし
て得られた有機絶縁材料を用いて、前記と同様、電子線
照射により架橋された成形シートを得た。
【0044】
【表4】
【0045】
【比較例1〜8】下記の表5に示す各成分を同表に示す
割合で配合し、前記と同様、プレス加硫により成形品
(有機絶縁体)を成形した。
【0046】
【表5】
【0047】このようにして得られた各実施例品および
比較例品の成形シートを用い、耐アーク試験(乾式耐ト
ラッキング試験)、200%モジュラス、傾斜平板式耐
トラッキング試験、引張破断強さ、および引張破断伸び
率について下記の方法に従って測定・評価した。これら
の結果を後記の表6〜表10に示す。
【0048】〔耐アーク試験〕JIS K6911に準
拠した。
【0049】〔200%モジュラス〕JIS K630
1に準拠した。
【0050】〔傾斜平板式耐トラッキング試験〕IEC
Publ.587に準拠し、昇圧法にて評価した。な
お、原則として試験開始電圧を2.0kVとし、終了電
圧を4.0kVとした。そして、試験終了時において、
各成形品の劣化状況(重量変化、侵食深さ)を調べた。
ただし、耐トラッキング性耐侵食性の良好でない試料に
ついては、試験時の劣化の進展が著しければ電圧が4.
0kVまで達せずとも途中で試験を終了した。
【0051】〔引張破断強さ・引張破断伸び率〕いずれ
もJIS K6301に準拠した。
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】
【表9】
【0056】
【表10】
【0057】上記表6〜表10の結果から、全ての実施
例品は機械的物性にも優れ、耐アーク性試験結果、およ
び耐トラッキング試験においても良好な結果が得られ
た。なかでも、実施例2〜5品は特に耐トラッキング試
験および耐アーク性試験の結果が両方とも優れている。
これに対して、比較例1〜8品は、耐トラッキング試験
および耐アーク性試験における評価結果が良くなかっ
た。このことから、比較例品は耐トラッキング性ととも
に耐侵食性においても不良であることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 83/04 LRW C08L 83/04 LRW

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(A)〜(C)成分を含有するこ
    とを特徴とする耐トラッキング性有機絶縁材料。 (A)シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン
    ゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリオレフィン系樹
    脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの有機高分子
    化合物。 (B)水酸化アルミニウム。 (C)トリアリルイソシアヌレート。
  2. 【請求項2】 (B)成分および(C)成分の各含有量
    が、(A)成分100重量部に対して、それぞれ(B)
    成分が30〜100重量部、(C)成分が0.3〜5重
    量部の範囲に設定されている請求項1記載の耐トラッキ
    ング性有機絶縁材料。
  3. 【請求項3】 (A)成分が、シリコーンゴム(a)を
    必須成分とし、これにエチレン−プロピレン−ジエンゴ
    ム、エチレン−プロピレンゴム、ポリオレフィン系樹脂
    からなる群から選ばれた少なくとも一つの有機高分子化
    合物(b)を、重量比で、a/b=5/95〜30/7
    0の混合割合で配合した混合物からなる請求項1または
    2記載の耐トラッキング性有機絶縁材料。
  4. 【請求項4】 下記の(A)〜(E)成分を含有するこ
    とを特徴とする耐トラッキング性有機絶縁材料。 (A)シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン
    ゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリオレフィン系樹
    脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの有機高分子
    化合物。 (B)水酸化アルミニウム。 (C)トリアリルイソシアヌレート。 (D)水酸化マグネシウム。 (E)炭酸カルシウムおよび炭酸コバルトの少なくとも
    一方。
  5. 【請求項5】 (B)〜(E)成分の各含有量が、
    (A)成分100重量部に対して、それぞれ(B)成分
    が20〜60重量部、(C)成分が0.3〜5重量部、
    (D)成分が20〜60重量部、(E)成分が10〜3
    0重量部の範囲に設定されている請求項4記載の耐トラ
    ッキング性有機絶縁材料。
  6. 【請求項6】 (A)成分が、シリコーンゴム(a)を
    必須成分とし、これにエチレン−プロピレン−ジエンゴ
    ム、エチレン−プロピレンゴム、ポリオレフィン系樹脂
    からなる群から選ばれた少なくとも一つの有機高分子化
    合物(b)を、重量比で、a/b=5/95〜30/7
    0の混合割合で配合した混合物からなる請求項4または
    5記載の耐トラッキング性有機絶縁材料。
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