JP2020152621A - 多孔質窒化アルミニウムフィラーおよびその製造方法、樹脂組成物 - Google Patents

多孔質窒化アルミニウムフィラーおよびその製造方法、樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂が粒子内部まで浸透可能な、空孔を有する窒化アルミニウムフィラーおよびその製造方法を提供する。【解決手段】空孔部を有する多孔質窒化アルミニウムフィラーであり、空孔径が2〜20μmであり、粒度分布曲線における累積50%値(D50)が25〜500μmであることを特徴とする多孔質窒化アルミニウムフィラー。【選択図】図1

Description

本発明は、新規な多孔質窒化アルミニウムフィラーおよびその製造方法に関する。詳しくは、樹脂が粒子内部まで浸透可能な、空孔を有する窒化アルミニウムフィラーおよびその製造方法および該フィラーを含む樹脂組成物を提供するものである。
シリコーンゴムやシリコーングリースに、アルミナや窒化ホウ素などのフィラーが充填されている放熱材料は、例えば、放熱シートや放熱グリースとして各種電子機器に広く利用されている。窒化アルミニウムは、電気絶縁性に優れており且つ高熱伝導性を有していることから、上記のような放熱材料のフィラーとして注目されている。
放熱材料の熱伝導率を向上させるには、高熱伝導性を有したフィラーを高充填することが重要であると考えられており、成形性(流動性)を損なわずにフィラーを樹脂等の媒体に高充填するためには、比較的大きな粒径の球状粒子と比較的小さな粒径の球状粒子とを含む粉末を使用し、大きな球状粒子の間に小さな球状粒子が分布しているような稠密充填構造を採ることが望ましいとされていた(特許文献1参照)。
特許文献1に開示された窒化アルミニウム粒子は、一般に、内部まで窒化アルミニウムが詰まった緻密な粒子(中実粒子)であり、前記稠密充填構造を採る場合、樹脂は粒子間にしか存在せず、成形体の強度が著しく低下することが懸念される。また、緻密な大粒径の粒子を樹脂に充填すると、粒子の体積が増えるため、重量が重くなり、多量に充填すると、樹脂組成物自体が硬くなり、柔軟性が損なわれるという問題点もあった。
一方、放熱フィラーとして、窒化アルミニウムの焼結顆粒は、1μm程度の窒化アルミニウム粒子をスプレードライして製造されていた。しかしながら、顆粒を構成する粒子が小さいと、熱抵抗界面が多く、熱伝導性が低下するという課題があった。
そこで、本出願人は、樹脂などが粒子内部まで浸透可能な比較的に大きな空孔を粒子内部まで形成した骨格を有することで、樹脂がその空孔内に浸透し、相互の粒子が接触する程度に高充填しても、樹脂量を確保でき、その結果、成形体の強度が維持でき、しかも、接触する粒子間の熱伝導は、粒子を構成する窒化アルミニウムの骨格が担うことにより、高い熱伝導率を発揮することができることを提案している(特許文献2参照)。
国際公開番号 WO2011/093488号 特許第6359425号公報
柔軟性の高い樹脂には高粘度のものも多く、また溶媒を使用しない樹脂の使用が望まれていた。また、しかもフィラー充填量が少なくても熱伝導性が高くすることが望まれている。
このために、樹脂がより粒子の空孔内部に入りやすくすることが求められ、これを解決するためには、より大きな空孔を有する粒子の出現が望まれていた。
従って、本発明の目的は、樹脂がより粒子内部に入りやすい、より大きな空孔を有する窒化アルミニウムフィラーを提供することにある。
本発明者らは、多孔質窒化アルミニウム粒子、とりわけ、極めて大きい空孔を粒子内部まで形成した骨格を有する構造の粒子を得るために検討を重ねた結果、特定の窒化アルミニウム結晶粒子を連結することにより、上記課題を解決しうる粒子を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、複数の窒化アルミニウム結晶粒子の部分焼結体であって、上記部分焼結によって形成された空孔部を有する多孔質窒化アルミニウムフィラーであり、
空孔径が2〜20μmであり、
粒度分布曲線における累積50%値(D50)が25〜500μmである多孔質窒化アルミニウムフィラーが提供される。
上記フィラーにおいて、窒化アルミニウム結晶粒子が、塊状物の破砕物、板状物または、顆粒体の少なくとも1つからなることが好ましい。
窒化アルミニウム結晶粒子が、結晶径が5〜80μm(ただし、(D50)を超えることはない)の範囲にある多結晶体であることが好ましい。このようなフィラーは熱抵抗界面が少なく、熱伝導性が高い。
本発明の窒化アルミニウムフィラーは、平均粒子径が5〜80μmの範囲にある窒化アルミニウム結晶粒子と、有機バインダーとを混合したのち、成形し、前記バインダーを除去して、焼成することで製造できる。
有機バインダーが、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明の窒化アルミニウムフィラーは、平均粒子径が5〜80μmの範囲にある結晶粒子と、無機バインダーおよび揮発性溶媒とを混合したのち、成形し、前記揮発性溶媒を除去して、焼成することで製造できる。
無機バインダーが、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウムから選ばれるリン酸塩系バインダー、Li2O・nSiO2、Na2O・nSiO2、K2O・nSiO2から選ばれるケイ酸塩系バインダーから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
成形方法が、スプレードライ、転動造粒、押出成形から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記記載の多孔質窒化アルミニウムフィラーと、樹脂成分とを、含む。樹脂成分が、エポキシ、シリコーン、ポリイミド、ウレタン、アクリルから選ばれる少なくとも1種の高粘性樹脂であることが好ましい。特に、樹脂組成物は溶媒を含まないことが好ましい。
尚、本明細書において、多孔質窒化アルミニウムフィラーの表面の空孔の占める割合、空孔径、ならびに、多孔質窒化アルミニウムフィラーの平均粒子径などは、それぞれ、後述する実施例に示す方法によって測定した値である。
本発明の多孔質窒化アルミニウムフィラーは、樹脂が浸透可能な、比較的大きい空孔を粒子内部まで形成した骨格を有するため、粘度の高い樹脂であっても樹脂がその空孔内に十分に浸透するため、低充填量であっても、高い熱伝導率を発揮でき、樹脂の柔軟性を損なうこともないため、柔軟性に優れた成形体を得ることができる。
本発明にかかる多孔質窒化アルミニウムフィラーの構造の一例を示す模式図である。
即ち、本発明によれば、複数の窒化アルミニウム結晶粒子の部分焼結体であって、上記部分焼結によって形成された空孔部を有する多孔質窒化アルミニウムフィラーであり、空孔径が2〜20μmであり、粒度分布曲線における累積50%値(D50)が25〜500μmにある多孔質窒化アルミニウムフィラーが提供される。
上記フィラーにおいて、窒化アルミニウム結晶粒子が、塊状物の破砕物、板状物または、顆粒体の少なくとも1つからなることが好ましい。このような結晶粒子から構成されるフィラーは熱抵抗界面を少なくできる。このような多孔質窒化アルミニウムフィラーの模式図を図1に示す。図1は、多孔質窒化アルミニウムフィラーの模式的に示す概略断面図である。
図1(a)に示すように、窒化アルミニウム結晶粒子が板状物から構成されたものである。また板状物は、複数の平面を有していればよく、例えば、図1(b)に示される多面体構造物であってもよく、特に限定されるものではなく、形状が異なるものから構成されていてもよい。
上記空孔を有する三次元構造を形成した粒子の確認は、特に限定されないが電子顕微鏡による観察や、比重と空孔径とD50値などから、模式的に求めることが可能である。また、上記三次元構造を形成する物質である、窒化アルミニウム結晶の同定は、X線回折装置を用いた結晶相を同定する方法により行うことができる。
従来、多孔質窒化アルミニウム粒子に関し、報告例はあるが、それらは窒化アルミニウム粒子表面に数〜数十nmオーダーの微細な凹凸や空隙を有するものであり、本発明の多孔質窒化アルミニウム粒子の空孔の大きさに比べて遙かに小さい。このような小さな孔を有する窒化アルミニウム粒子は、樹脂と混ぜ合わせると、窒化アルミニウム粒子の細孔内を埋めることを試みても、細孔の深部まで樹脂が充填されることは無く、その結果、細孔内の空隙が多く残り、得られる樹脂組成物の絶縁耐性が低下する要因となる。
これに対して、本発明の多孔質窒化アルミニウムフィラーは、窒化アルミニウム結晶により形成された網目状の三次元構造により大きな空孔が形成された構造を有するものであり、かかる構造は、今まで報告された例がなく、極めて特徴的な構造であるといえる。上記構造は、粒子表面を観察して確認される。空孔は、フィラー表面に開口部を有する孔であり貫通孔であってもよく、例えば、ドーナツ状のフィラーも本発明に含まれる。
空孔径は2〜20μmと極めて大きく、粒子内部の空孔の深部まで容易に、粘性の高い樹脂であっても浸透させることが可能である。そして、本発明の多孔質窒化アルミニウムフィラーは粒子自体が大きく、大きな細孔容積を有しているため、高粘性樹脂や無溶媒樹脂であっても空孔の内部まで浸透し、粒子内部が樹脂で満たされた状態で相互に接触することができる。
上記フィラーにおいて、窒化アルミニウム結晶粒子が、塊状物の破砕物、多面体構造を含む板状物または、顆粒体の少なくとも1つから構成されることが好ましい。これらから結晶粒子を構成すると、熱抵抗界面が少ない上に、点接触から面接触となるため、接触効率が高く、熱伝導性を高くできる。
窒化アルミニウム結晶粒子は、結晶径が5〜80μm(ただし、(D50)を超えることはない)の範囲にある、窒化アルミニウム多結晶であることが好ましい。このようなフィラーは、さらに熱抵抗界面が少ないため、熱伝導性が高い。
本発明の多孔質窒化アルミニウムフィラーの製造方法は特に制限されるものではない。
たとえば、平均粒子径が5〜80μmの範囲にある窒化アルミニウム結晶粒子と、有機バインダーとを混合したのち、成形し、前記バインダーを除去して、焼成することで製造できる。有機バインダーの場合、バインダーが加熱により燃焼し、結晶粒子同士が焼結などによって連結すると考えられる。
また、本発明の窒化アルミニウムフィラーは、平均粒子径が5〜80μmの範囲にある窒化アルミニウム結晶粒子と、無機バインダー、必要に応じて揮発性溶媒とを混合したのち、成形し、前記揮発性溶媒などを除去して加熱することで製造できる。無機バインダーの場合、バインダーによって結晶粒子同士が焼付くことで、連結するものと考えられる。
使用する窒化アルミニウム結晶粒子は、窒化アルミニウム塊状物の破砕物や、板状物または、顆粒体の少なくとも1つからなることが好ましい。
破砕物は、窒化アルミニウム焼結体を破砕したのち、整粒したものを使用できる。
板状物は、たとえば特許第6261050号公報に記載された、対向する2面が六角形状の平面を有し、上記平面における平均長径(D1)に対する上記平面間の距離(L1)の比(L1/D1)の平均値が0.05〜1、好ましくは、0.1〜0.5である板状粒子を使用できる。また、複数の平面を有する多面体粒子も使用できる。多面体粒子は、長径(L2)が20〜200μmであり、該長径(L2)に対する短径(D2)との比(L2/D2)が0.8〜1.2であり、上記平面の少なくとも一面は、その面積(S)が、S/L2≧1.0を満たすものが好ましく使用される。
また、国際公開2017/131239号に記載された、端部に椀状の凸部を有する形状を成した窒化アルミニウム粒子であってもよく、六角柱の少なくとも一部の平面が維持される範囲で、角部が曲面もしくは平面に面取りされた形状、また、胴部の一部にくびれや出っ張りを有する形状であってもよい。
顆粒体としては、特開2003-267708号公報、特許第5686748号公報に記載された焼結顆粒体を使用することができる。
本発明において、有機バインダーは、セラミック粉末の成形に用いられる公知のものが何ら制限されず使用できる。例えば、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ2−エチルヘキシルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリレート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイドおよびポリプロピレンオキサイド等の含酸素有機高分子体;石油レジン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の炭化水素系合成樹脂;ポリ塩化ビニール;ワックスおよびそのエマルジョン等の有機高分子体が1種または2種以上混合して使用される。
また、有機バインダーとして使用する有機高分子体の分子量は特に制限されないが、一般には3,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜300,000のものが好適である。
無機バインダーとしては、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、から選ばれるリン酸塩系バインダー、Li2O・nSiO2、Na2O・nSiO2、K2O・nSiO2から選ばれるケイ酸塩系バインダーから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記窒化アルミニウム結晶粒子と、無機バインダーと混合する際に、溶媒を使用する。また、有機バインダーを使用する際に溶媒を使用してもよい。
本発明において、溶媒としては、バインダーの種類に応じて適宜選択され、例えば、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン類;エタノール、プロパノールおよびブタノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類;あるいはトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンおよびブロムクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類の1種または2種以上を混合したものなどの有機溶媒の他に水も好適に使用される。
また、窒化アルミニウム結晶粒子とバインダー類を混合するに際して、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で公知の添加剤を併用することができる。例えば、焼結助剤、界面活性剤等か挙げられる。
上記焼結助剤としては、公知のものが特に制限なく使用される。例えば、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム等のアルカリ土類金属酸化物;酸化イットリウム、酸化ランタン等の希土類酸化物;アルミン酸カルシウム等の複合酸化物等が挙げられる。
また、前記界面活性剤は、公知のものが何ら制限なく使用できるが、特に、親水性親油性バランス(以下、HLBと略す)が4.5〜18のもの、さらに好ましくは6.0〜10.0のものが焼結顆粒の密度度が上がるために好適に採用される。尚、本発明におけるHLBは、デービスの式により算出された値である。
本発明において好適に使用し得る界面活性剤を具体的に例示すると、カルボキシル化トリオキシエチレントリデシルエーテル、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンモノステアレート、カルボキシル化ヘプタオキシエチレントリデシルエーテル、テトラグリセリンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等が挙げられる。
上記窒化アルミニウム結晶粒子、有機または無機バインダーおよび溶媒、さらに、必要に応じて添加される添加剤の混合は、ボールミル、アトライター等の公知の混合装置によって行うことができる。
また、上記混合物を調製際のバインダーの使用量は、所望の空孔径を有する多孔質窒化アルミニウムフィラーを得る点から、有機バインダーの通常、窒化アルミニウム結晶粒子100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜18重量部である。また無機バインダーを使用する場合、窒化アルミニウム粒子100重量部に対して、1〜5重量部、好ましくは2〜4重量部である。
このようなバインダー量の範囲にあると、所望の空孔を有する多孔質窒化アルミニウムフィラーを製造できる。
溶媒の使用量は、後述する造粒工程で、混合物のハンドリング条件に応じて適宜選択される。無機バインダーを使用する場合、20〜200重量部の範囲から選択される。有機バインダーを使用する場合、溶媒は、0〜200重量部の範囲から選択される。
また、前記焼結助剤は、窒化アルミニウム結晶粒子100重量部に対して0.1〜10重量部が、また、界面活性剤は0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜3.0重量部が好適である。
本発明の窒化アルミニウムフィラーの製造方法は、上記のようにして得られた混合物を、造粒するが、成形方法としては、スプレードライ、転動造粒、押出成形から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。押出成形では、ペレット状などの所定の形状に成形してもよい。
得られた造粒体を50℃以上、且つ、上記有機バインダーの分解温度未満の温度で加熱する熱処理を行ってもよい。そして、得られる造粒体を不活性雰囲気下、1600〜1900℃の温度で焼成する焼成して、有機バインダーを分解除去すると共に、窒化アルミニウム結晶粒子を部分焼結させる。
無機バインダーを含む場合は、予め揮発性溶媒が揮発する温度まで加熱する熱処理を行ってもよい。そして造粒体を不活性雰囲気下、300〜500℃の温度で加熱して、窒化アルミニウム結晶粒子を焼き付けることで部分焼結させる。
得られる造粒体の大きさは、用途に応じて適宜決定されるが、最終的にD50が所定の範囲となるように調整される。
本発明の多孔質窒化アルミニウムフィラーは、窒化アルミニウムの特徴を生かした種々の用途、特に放熱シート、放熱グリース、放熱接着剤、熱伝導性樹脂などの放熱材料用フィラーとして広く用いることができる。
ここで、放熱材料のマトリックスとなる樹脂成分、グリースはエポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファルド等の熱可塑性樹脂、アクリル樹脂またシリコーンゴム、EPR、SBR等のゴム類、シリコーンオイル等が挙げられる。
本発明の多孔質窒化アルミニウムフィラーは、表面に所定の空孔を有しているため、従来充填が困難であった高粘性樹脂であっても空孔内に充填が可能である。たとえばエポキシ、シリコーン、ポリイミド、ウレタン、アクリルから選ばれる少なくとも1種の樹脂成分と組み合わせることが好ましい。また、無溶媒樹脂は一般的に粘度が高いが、本発明の多孔質窒化アルミニウムフィラーは、無溶媒の樹脂成分であっても、充填可能であり、無溶剤であると溶媒除去に伴う処理を省略できるという効果も奏する。
以下、本発明をさらに詳しく説明するため、実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、実施例および比較例における各物性は、下記の方法により測定した。
(1)多孔質窒化アルミニウムフィラーの表面の空孔の占める割合
100倍の電子顕微鏡写真像から、任意の粒子100個を選んで、その粒子表面の空孔の占める割合を画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング製、A像くん)により算出した。
(2)多孔質窒化アルミニウム粒子の空孔径
100倍の電子顕微鏡写真像から、任意の粒子100個を選んで、その粒子表面の空孔径を画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング製、A像くん)により算出した。
(3)多孔質窒化アルミニウム粒子のD50
試料をホモジナイザーにて5%ピロリン酸ソーダ水溶液中に分散させ、レーザー回折粒度分布装置(日機装株式会社製、MICROTRAC HRA)にてD50を測定した。
実施例1〜6
以下に示す窒化アルミニウム結晶粒子(いずれも、株式会社トクヤマ製)を用いて、表1となる結晶粒子を用いて、窒化アルミニウム100重量部に対して、焼結助剤として酸化イットリウム5重量部、有機バインダーとしてメタクリル酸ブチル5重量部及び溶媒としてトルエン101重量部、エタノール27重量部を添加混合しスラリーを作製後、スプレードライヤーで球状造粒粉を得た。
得られた球状造粒粉を100℃で乾燥後、500℃の酸素雰囲気下で有機バインダーを燃焼除去し、1750℃で焼結し、焼結顆粒よりなる多孔質窒化アルミニウムフィラーを製造した。
得られたフィラーの特性を表1に示す。表1に示されるように、所定の空孔を有する多孔質窒化アルミニウムフィラーであった。
i)板状結晶粒子
それぞれD50が5μm、15μmの板状窒化アルミニウム粒子を準備した。各粒子の六角形状面内の対向する2つの角の間の平均距離D1、長方形状面の短辺の長さL1、L1/D1を合わせて表1に示す。なお、板状窒化アルミニウム粒子は、たとえば特許第6261050号公報に記載の方法で調製できる。
ii)多面体結晶粒子
それぞれD50が30μm、50μm、80μm多面体窒化アルミニウム粒子を準備した。多面体粒子について、長径(L2)、短径粒(D2)を測定した。SEM写真をもとに解析図を粒子毎に作成し、該粒子表面に存在する平面の面積(S)がS/L2≧1.0を満たす面について、窒化アルミニウム粒子全表面に対する割合を求めた。これらを合わせて表1に示す。なお、多面体窒化アルミニウム粒子は特願2018-39928号に記載の方法で調製できる。
iii)顆粒状結晶粒子
50が30μmの顆粒状窒化アルミニウム粒子を準備した。顆粒状粒子は、粒子の真球度が0.98であり、相対密度は99%以上であり、粒子を構成する窒化アルミニウム結晶粒子の平均粒子径が30μmであり、アルミニウム焼結粒子の円形度が0.98であり、比表面積が0.15m2/gであった。このような顆粒状粒子は、たとえば特開2016-037438号公報や特願2017-241354号に記載の方法で調製できる。
比較例1
平均粒径1μmの窒化アルミニウム粉末(株式会社トクヤマ製)に焼結助剤として酸化イットリウム、有機結合剤としてアクリル樹脂及び溶媒を添加混合しスラリーを作製後、スプレードライヤーで平均粒径80μm球状造粒粉を得た。得られた顆粒には、粒子表面に空孔を有していなかった。

Claims (11)

  1. 複数の窒化アルミニウム結晶粒子の部分焼結体であって、上記部分焼結によって形成された空孔部を有する多孔質窒化アルミニウムフィラーであり、
    空孔径が2〜20μmであり、
    粒度分布曲線における累積50%値(D50)が25〜500μmであることを特徴とする多孔質窒化アルミニウムフィラー。
  2. 窒化アルミニウム結晶粒子が、塊状物の破砕物、板状物または、顆粒体の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1に記載の多孔質窒化アルミニウムフィラー。
  3. 窒化アルミニウム結晶粒子が、結晶径が5〜80μm(ただし、(D50)を超えることはない)の範囲にある多結晶体であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質窒化アルミニウムフィラー。
  4. 平均粒子径が5〜80μmの範囲にある窒化アルミニウム結晶粒子と、有機バインダーとを混合したのち、成形し、前記バインダーを除去して、焼成することを特徴とする
    複数の窒化アルミニウム結晶粒子の部分焼結体であって、上記部分焼結によって形成された空孔部を有し、平均粒子径が25〜500μmであり、
    粒度分布曲線における累積50%値(D50)が25〜500μmであり、空孔径2〜20μmであることを特徴とする多孔質窒化アルミニウムフィラーの製造方法。
  5. 有機バインダーが、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項4に記載の多孔質窒化アルミニウムフィラーの製造方法。
  6. 平均粒子径が5〜80μmの範囲にある結晶粒子と、無機バインダーおよび揮発性溶媒とを混合したのち、成形し、前記揮発性溶媒を除去して、焼成すること特徴とする、
    複数の窒化アルミニウム結晶粒子の部分焼結体であって、上記部分焼結によって形成された空孔部を有し、平均粒子径が25〜500μmであり、
    粒度分布曲線における累積50%値(D50)が25〜500μmであり、空孔径2〜20μmであることを特徴とする多孔質窒化アルミニウムフィラーの製造方法。
  7. 無機バインダーが、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウムから選ばれるリン酸塩系バインダー、Li2O・nSiO2、Na2O・nSiO2、K2O・nSiO2から選ばれるケイ酸塩系バインダーから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項6に記載の多孔質窒化アルミニウムフィラーの製造方法。
  8. 成形方法が、スプレードライ、転動造粒、押出成形から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の多孔質窒化アルミニウムフィラーの製造方法。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質窒化アルミニウムフィラーと、樹脂成分とを、含む樹脂組成物。
  10. 樹脂成分が、エポキシ、シリコーン、ポリイミド、ウレタン、アクリルから選ばれる少なくとも1種の高粘性樹脂であることを特徴とする請求項9に記載の樹脂組成物。
  11. 溶媒を含まないことを特徴とする請求項9または10に記載の樹脂組成物。
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