JP2020151959A - 延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】斜め延伸されたフィルムに生じた弛みを低減すること。【解決手段】長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をクリップによって把持すること、該クリップを走行移動させることによって該フィルムを斜め方向に延伸し、次いで、加熱環境下で該クリップから開放すること、および、該フィルムをロール搬送すること、を含む、延伸フィルムの製造方法であって、該ロール搬送が、該フィルムに、回転軸方向が該フィルムの搬送方向と直交しないように配置された第1の搬送ロールを通過させることを含む、延伸フィルムの製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、延伸フィルムの製造方法および光学積層体の製造方法に関する。
液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)等の画像表示装置において、表示特性の向上や反射防止を目的として円偏光板が用いられている。円偏光板は、代表的には、偏光子と位相差フィルム(代表的にはλ/4板)とが、偏光子の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とが45°の角度をなすようにして積層されている。従来、位相差フィルムは、代表的には、縦方向および/または横方向に一軸延伸または二軸延伸することにより作製されているので、その遅相軸は、多くの場合、長尺状のフィルム原反の横方向(幅方向)または縦方向(長尺方向)に発現する。結果として、円偏光板を作製するには、位相差フィルムを幅方向または長尺方向に対して45°の角度をなすように裁断し、1枚ずつ貼り合わせる必要があった。
また、円偏光板の広帯域性を確保するために、λ/4板とλ/2板の二枚の位相差フィルムを積層させる場合もある。その場合はλ/2板は偏光子の吸収軸に対して75°の角度をなすように積層し、λ/4板は偏光子の吸収軸に対して15°の角度をなすように積層する必要がある。この場合でも、円偏光板を作製する際には、15°および75°に位相差フィルムを裁断し、1枚ずつ貼り合わせる必要があった。
さらに別の実施形態においては、ノートPCからの光が、キーボード等に映り込むのを回避するために、偏光板からでた直線偏光の向きを90°回転させる目的で、偏光板の視認側にλ/2板を用いることがある。この場合でも、45°に位相差フィルムを裁断し1枚ずつ貼り合わせる必要があった。
このような問題を解決するために、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持し、該左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させて、斜め方向に延伸(以下、「斜め延伸」とも称する)することにより、位相差フィルムの遅相軸を斜め方向に発現させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、このような技術で得られた斜め延伸フィルムにおいては、幅方向の端部に弛み(たるみ)が生じる場合がある。このような弛みが生じたフィルムを巻き取ると、得られるフィルムロールにシワや揉まれが発生する場合がある。また、弛みが生じたフィルムを別の光学フィルムと貼り合わせると、接着剤や粘着剤の塗工ムラや未塗工部が生じる場合や、得られる光学積層体にシワや揉まれが発生する場合がある。
特許第4845619号
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、斜め延伸されたフィルムに生じた弛みを低減することにある。
本発明の1つの局面によれば、延伸フィルムの製造方法が提供される。該製造方法は、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をクリップによって把持すること、該クリップを走行移動させることによって該フィルムを斜め方向に延伸し、次いで、加熱環境下で該クリップから開放すること、および、該フィルムをロール搬送すること、を含み、該ロール搬送が、該フィルムに、回転軸方向が該フィルムの搬送方向と直交しないように配置された第1の搬送ロールを通過させることを含む。
1つの実施形態において、上記フィルムの搬送方向と直交する方向と、上記第1の搬送ロールの回転軸方向とのなす角度が、0.25°以上である。
1つの実施形態において、上記クリップから解放された上記フィルムに200N/m以上の張力を付与しながらロール搬送を行う。
1つの実施形態において、上記フィルムと上記第1の搬送ロールとの抱き角度が、45°〜135°である。
1つの実施形態において、上記クリップからの開放後、上記フィルムを上記加熱環境下で1秒以上保持してから上記第1の搬送ロールを通過させる。
1つの実施形態において、上記フィルムが上記クリップからの開放後に1秒以上保持される際の雰囲気温度が、上記フィルムのTg−15℃〜Tg℃である。
1つの実施形態において、上記第1の搬送ロールが非加熱環境下に配置され、上記フィルムが該非加熱環境に移行してから上記第1の搬送ロールを通過するまでの時間が、10秒以内である。
1つの実施形態において、上記クリップが、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型のクリップであり、上記フィルムの左端部を把持する該クリップおよび右端部を把持する該クリップの少なくとも一方の該クリップピッチを変化させながら走行移動させて、上記フィルムを斜め方向に延伸する。
1つの実施形態において、上記フィルムの左端部を把持するクリップと右端部を把持するクリップとを等速で走行移動させながら、上記フィルムの搬送方向を途中で変えることによって、上記フィルムを斜め方向に延伸する。
本発明の別の局面によれば、上記製造方法によって長尺状の延伸フィルムを得ること、および、長尺状の光学フィルムと該長尺状の延伸フィルムとを搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせることを含む、光学積層体の製造方法が提供される。
1つの実施形態において、上記光学フィルムが、偏光板であり、上記延伸フィルムが、λ/4板またはλ/2板である。
本発明の延伸フィルムの製造方法においては、斜め延伸されたフィルムをロール搬送する際に、斜めに配置した搬送ロールを通過させる。これにより、弛みがない方の端部に選択的に張力が付与されて若干量の伸びが生じることから、斜め延伸されたフィルムの弛みを低減することができる。
本発明の延伸フィルムの製造方法に用いられ得る延伸装置の一例の全体構成を説明する概略平面図である。 本発明の延伸フィルムの製造方法に用いられ得る延伸装置の別の一例の全体構成を説明する概略平面図である。 (a)および(b)はそれぞれ、本発明の延伸フィルムの製造方法の一例を説明する概略側面図および概略平面図である。 本発明の延伸フィルムの製造方法の別の一例を説明する概略側面図である。 本発明の光学積層体の製造方法で得られる光学積層体の一例の概略断面図である。 弛み量の測定方法を説明する概略図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。なお、本明細書において、「縦方向のクリップピッチ」とは、縦方向に隣接するクリップの走行方向における中心間距離を意味する。また、長尺状のフィルムの幅方向の左右関係は、特段の記載がない限り、該フィルムの搬送方向に向かっての左右関係を意味する。
A.延伸フィルムの製造方法
本発明の延伸フィルムの製造方法は、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をクリップによって把持すること、該クリップを走行移動させることによって該フィルムを斜め方向に延伸し、次いで、加熱環境下で該クリップから開放すること、および、該フィルムをロール搬送すること、を含み、該ロール搬送が、該フィルムに、回転軸方向が該フィルムの搬送方向と直交しないように配置された第1の搬送ロールを通過させることを含む。代表的には、クリップによって把持されたフィルムは、予熱され、その後、斜め延伸に供される。また、好ましくは、第1の搬送ロールは、非加熱環境下に設けられる。
上記クリップの走行移動によってフィルムを斜め延伸する方法としては、任意の適切な方法が用いられ得る。例えば、フィルムの左端部を把持するクリップと右端部を把持するクリップとを互いに異なる速度で走行移動させて斜め延伸する方法、フィルムの左端部を把持するクリップと右端部を把持するクリップとに互いに異なる距離を走行移動させて、斜め延伸する方法が挙げられる。前者の斜め延伸の1つの実施形態においては、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型のクリップを用いて、フィルムの左端部を把持するクリップおよび右端部を把持するクリップの少なくとも一方の該クリップピッチを変化させながらクリップを走行移動させることによって、フィルムを斜め方向に延伸することができる。後者の斜め延伸の1つの実施形態においては、フィルムの左端部を把持するクリップと右端部を把持するクリップとを等速で走行移動させながら、フィルムの搬送方向を途中で変えることによってフィルムを斜め方向に延伸することができる。
図1Aは、上記前者の斜め延伸に用いられ得る延伸装置の一例の全体構成を説明する概略平面図である。延伸装置100aは、平面視で、左右両側に、フィルム把持用の多数のクリップ20を有する無端ループ10Lと無端ループ10Rとを左右対称に有する。なお、本明細書においては、フィルムの入口側から見て左側の無端ループを左側の無端ループ10L、右側の無端ループを右側の無端ループ10Rと称する。左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20は、それぞれ、基準レール30に案内されてループ状に巡回移動する。左側の無端ループ10Lのクリップ20は反時計廻り方向に巡回移動し、右側の無端ループ10Rのクリップ20は時計廻り方向に巡回移動する。延伸装置においては、シートの入口側から出口側へ向けて、把持ゾーンA、予熱ゾーンB、延伸ゾーンCおよび開放ゾーンDが順に設けられている。これらのそれぞれのゾーンは、延伸対象となるフィルムが実質的に把持、予熱、斜め延伸、および開放されるゾーンを意味し、機械的、構造的に独立した区画を意味するものではない。また、図1Aの延伸装置におけるそれぞれのゾーンの長さの比率は、実際の長さの比率と異なることに留意されたい。
図1Aでは、図示されていないが、延伸ゾーンCと開放ゾーンDとの間には、必要に応じて任意の適切な処理をするためのゾーンが設けられてもよい。このような処理としては、縦収縮処理、横収縮処理等が挙げられる。また、同様に図示されていないが、上記延伸装置は、代表的には、予熱ゾーンBから開放ゾーンDまでの各ゾーンを加熱環境とするための加熱装置(例えば、熱風式、近赤外式、遠赤外式等の各種オーブン)を備えている。1つの実施形態において、予熱、斜め延伸およびクリップからの開放はそれぞれ、所定の温度に設定されたオーブン内で行われ得る。
上記延伸装置100aの把持ゾーンAおよび予熱ゾーンBでは、左右の無端ループ10L、10Rは、延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。延伸ゾーンCでは、予熱ゾーンBの側から開放ゾーンDに向かうに従って左右の無端ループ10L、10Rの離間距離が上記フィルムの延伸後の幅に対応するまで徐々に拡大する構成とされている。開放ゾーンDでは、左右の無端ループ10L、10Rは、上記フィルムの延伸後の幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。ただし、左右の無端ループ10L、10Rの構成は上記図示例に限定されない。例えば、左右の無端ループ10L、10Rは、把持ゾーンAから開放ゾーンDまで延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されていてもよい。
左側の無端ループ10Lのクリップ(左側のクリップ)20および右側の無端ループ10Rのクリップ(右側のクリップ)20は、それぞれ独立して巡回移動し得る。例えば、左側の無端ループ10Lの駆動用スプロケット11、12が電動モータ13、14によって反時計廻り方向に回転駆動され、右側の無端ループ10Rの駆動用スプロケット11、12が電動モータ13、14によって時計廻り方向に回転駆動される。その結果、これら駆動用スプロケット11、12に係合している駆動ローラ(図示せず)のクリップ担持部材(図示せず)に走行力が与えられる。これにより、左側の無端ループ10Lは反時計廻り方向に巡回移動し、右側の無端ループ10Rは時計廻り方向に巡回移動する。左側の電動モータおよび右側の電動モータを、それぞれ独立して駆動させることにより、左側の無端ループ10Lおよび右側の無端ループ10Rをそれぞれ独立して巡回移動させることができる。
さらに、左側の無端ループ10Lのクリップ(左側のクリップ)20および右側の無端ループ10Rのクリップ(右側のクリップ)20は、それぞれ可変ピッチ型である。すなわち、左右のクリップ20、20は、それぞれ独立して、移動に伴って縦方向のクリップピッチが変化し得る。可変ピッチ型の構成は、パンタグラフ方式、リニアモーター方式、モーター・チェーン方式等の駆動方式を採用することにより実現され得る。例えば、特許文献1、特開2008−44339号公報等には、パンタグラフ方式のリンク機構を用いたテンター式同時二軸延伸装置が詳細に説明されている。
図1Bは、上記後者の斜め延伸に用いられ得る延伸装置の一例の全体構成を説明する概略平面図である。延伸装置100bは、平面視で、左右両側に、フィルム把持用の多数のクリップ20を有するループ状の無端ループ10Lと無端ループ10Rとを有する。左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20は、それぞれ、基準レール40に案内されてループ状に巡回移動する(図示例では、無端ループ10Lと10Rの一部が省略されている)。左側の無端ループ10Lのクリップ20は反時計廻り方向に巡回移動し、右側の無端ループ10Rのクリップ20は時計廻り方向に巡回移動する。延伸装置においては、シートの入口側から出口側へ向けて、把持ゾーンA、予熱ゾーンB、延伸ゾーンCおよび開放ゾーンDが順に設けられている。これらのそれぞれのゾーンは、延伸対象となるフィルムが実質的に把持、予熱、斜め延伸、および開放されるゾーンを意味し、機械的、構造的に独立した区画を意味するものではない。また、図1Bの延伸装置におけるそれぞれのゾーンの長さの比率は、実際の長さの比率と異なることに留意されたい。
図1Bでは、図示されていないが、延伸ゾーンCと開放ゾーンDとの間には、必要に応じて任意の適切な処理をするためのゾーンが設けられてもよい。このような処理としては、横延伸処理等、横収縮処理が挙げられる。また、同様に図示されていないが、上記延伸装置は、代表的には、予熱ゾーンBから開放ゾーンDまでの各ゾーンを加熱環境とするための加熱装置(例えば、熱風式、近赤外式、遠赤外式等の各種オーブン)を備えている。1つの実施形態において、予熱、斜め延伸およびクリップからの開放はそれぞれ、所定の温度に設定されたオーブン内で行われ得る。
上記延伸装置100bの把持ゾーンAおよび予熱ゾーンBでは、左右の無端ループ10L、10Rは、延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。延伸ゾーンCでは、左の無端ループ10Lと右の無端ループ10Rとが異なる方向に伸びており、これにより、フィルムの搬送方向が変化するとともに、予熱ゾーンBの側から開放ゾーンDに向かうに従って左右の無端ループ10L、10Rの離間距離が上記フィルムの延伸後の幅に対応するまで徐々に拡大する構成とされている。開放ゾーンDでは、左右の無端ループ10L、10Rは、上記フィルムの延伸後の幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。ただし、左右の無端ループ10L、10Rの構成は上記図示例に限定されない。
左側の無端ループ10Lのクリップ(左側のクリップ)20および右側の無端ループ10Rのクリップ(右側のクリップ)20は、それぞれ独立して巡回移動し得る。例えば、図1Aに示す延伸装置と同様に、左側の無端ループ10Lの駆動用スプロケット11が電動モータ13によって反時計廻り方向に回転駆動され、右側の無端ループ10Rの駆動用スプロケット11が電動モータ13によって時計廻り方向に回転駆動される。代表的には、左側のクリップ20および右側のクリップ20は、等速で走行移動し、縦方向のクリップピッチは一定に保たれ得る。なお、一対の左右のクリップの走行速度の差が1%以下である場合に両者の走行速度は等速であるということができ、当該走行速度の差は、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。
上記のような延伸装置を用いてフィルムの斜め延伸を行うことにより、斜め延伸フィルム、例えば、斜め方向に遅相軸を有する位相差フィルムが作製され得る。以下、上記延伸フィルムの製造方法の各工程について詳細に説明する。
A−1.クリップによるフィルムの把持
把持ゾーンA(延伸装置100aまたは100bのフィルム取り込みの入り口)においては、左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20によって、延伸対象となるフィルムの両側縁が互いに等しい一定のクリップピッチ、あるいは、互いに異なるクリップピッチで把持される。左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20の移動(実質的には、基準レールに案内された各クリップ担持部材の移動)により、当該フィルムが予熱ゾーンBに送られる。
A−2.予熱
予熱ゾーンBにおいては、左右の無端ループ10L、10Rは、上記のとおり延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されているので、基本的には横延伸も縦延伸も行わず、フィルムが加熱される。ただし、予熱によりフィルムのたわみが起こり、オーブン内のノズルに接触するなどの不具合を回避するために、わずかに左右クリップ間の距離(幅方向の距離)を広げてもよい。
予熱においては、フィルムを温度T1(℃)まで加熱する。温度T1は、フィルムのガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、より好ましくはTg+2℃以上、さらに好ましくはTg+5℃以上である。一方、加熱温度T1は、好ましくはTg+40℃以下、より好ましくはTg+30℃以下である。用いるフィルムにより異なるが、温度T1は、例えば70℃〜190℃であり、好ましくは80℃〜180℃である。
上記温度T1までの昇温時間および温度T1での保持時間は、フィルムの構成材料や製造条件(例えば、フィルムの搬送速度)に応じて適切に設定され得る。これらの昇温時間および保持時間は、クリップ20の移動速度、予熱ゾーンの長さ、予熱ゾーンの温度等を調整することにより制御され得る。
A−3.斜め延伸
A−3−1.可変ピッチ型のクリップを用いた斜め延伸
延伸装置100aの延伸ゾーンCにおいては、左右のクリップ20を、その少なくとも一方の縦方向のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、フィルムを斜め延伸する。より具体的には、左右のクリップの当該クリップピッチをそれぞれ異なる位置で増大または縮小させること、それぞれ異なる変化速度で左右のクリップの当該クリップピッチを変化(増大および/または縮小)させること等によって、フィルムを斜め延伸する。
斜め延伸は、横延伸を含んでもよい。この場合、斜め延伸は、例えば図1Aに示す構成のように、左右のクリップ間の距離(幅方向の距離)を拡大させながら行われ得る。あるいは、図1Aに示す構成とは異なり、左右のクリップ間の距離を維持したまま行われ得る。
斜め延伸が横延伸を含む場合、横方向(TD)の延伸倍率(フィルムの初期幅Winitialに対する斜め延伸後のフィルムの幅Wfinalの比(Wfinal/Winitial)は、好ましくは1.05〜6.00であり、より好ましくは1.10〜5.00である。
1つの実施形態において、斜め延伸は、上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチが増大または減少し始める位置と他方のクリップのクリップピッチが増大または減少し始める位置とを縦方向における異なる位置とした状態で、それぞれのクリップのクリップピッチを所定のピッチまで増大または減少することによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特許文献1、特開2014−238524号公報等の記載を参照することができる。
別の実施形態において、斜め延伸は、上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチを固定したまま、他方のクリップのクリップピッチを所定のピッチまで増大または減少させた後、当初のクリップピッチまで戻すことによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特開2013−54338号公報、特開2014−194482号公報等の記載を参照することができる。
さらに別の実施形態において、斜め延伸は、(i)上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチを増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチを減少させること、および、(ii)該減少したクリップピッチと該増大したクリップピッチとが所定の等しいピッチとなるように、それぞれのクリップのクリップピッチを変化させることによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特開2014−194484号公報等の記載を参照することができる。当該実施形態の斜め延伸は、左右のクリップ間の距離を拡大させながら、一方のクリップのクリップピッチを増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチを減少させて、該フィルムを斜め延伸すること(第1の斜め延伸工程)、および、該左右のクリップ間の距離を拡大させながら、左右のクリップのクリップピッチが等しくなるように該一方のクリップのクリップピッチを維持または減少させ、かつ、該他方のクリップのクリップピッチを増大させて、該フィルムを斜め延伸すること(第2の斜め延伸工程)を含み得る。
上記第1の斜め延伸工程においては、フィルムの一方の側縁部を長尺方向に伸長させつつ、他方の側縁部を長尺方向に収縮させながら斜め延伸を行うことにより、所望の方向(例えば、長尺方向に対して45°の方向)に高い一軸性および面内配向性で遅相軸を発現させることができる。また、第2の斜め延伸工程においては、左右のクリップピッチの差を縮小しながら斜め延伸を行うことにより、余分な応力を緩和しつつ、斜め方向に十分に延伸することができる。さらに、左右のクリップの移動速度が等しくなった状態でフィルムをクリップから開放することができるので、左右のクリップの開放時にフィルムの搬送速度等のバラつきが生じ難く、その後のフィルムの巻き取りが好適に行われ得る。
A−3−2.ピッチ一定型のクリップを用いた斜め延伸
延伸装置100bの延伸ゾーンCにおいては、左の無端ループ10Lと右の無端ループ10Rとが異なる方向に伸びている結果、フィルムの搬送方向が変化するように(具体的には、予熱ゾーンBにおけるフィルムの搬送方向(矢印Bの延びる方向)と解放ゾーンDにおけるフィルムの搬送方向(矢印Dの延びる方向)とが非平行となるように)構成されている。このような構成に起因して、斜め延伸ゾーンCにおける左右の無端ループ10L、Rの長さ(換言すると、斜め延伸ゾーンCにおける左右のクリップの走行距離)が異なる。その結果、等速で走行移動する一対の左右のクリップは、上記走行距離が短い方のクリップが先行走行することになり(図1Bでは、左のクリップが先行走行する)、フィルムが斜め方向に延伸される。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特開2004−226686号公報、WO2007/111313等の記載を参照することができる。
斜め延伸は、代表的には、温度T2で行われ得る。温度T2は、フィルムのガラス転移温度(Tg)に対し、Tg−20℃〜Tg+30℃であることが好ましく、さらに好ましくはTg−10℃〜Tg+20℃、特に好ましくはTg程度である。用いるフィルムにより異なるが、温度T2は、例えば70℃〜180℃であり、好ましくは80℃〜170℃である。上記温度T1と温度T2との差(T1−T2)は、好ましくは±2℃以上であり、より好ましくは±5℃以上である。1つの実施形態においては、T1>T2であり、したがって、予熱ゾーンで温度T1まで加熱されたフィルムは温度T2まで冷却され得る。
上記縦収縮処理および横収縮処理は、斜め延伸後に行われる。斜め延伸後のこれらの処理については、特開2014−194483号公報の0029〜0032段落を参照することができる。
A−4.クリップの開放
開放ゾーンDは、加熱環境とされている。上記フィルムは、当該加熱環境下でクリップから開放され、開放ゾーンの終点を通過するまで当該加熱環境下で保持される。必要に応じ、フィルムを熱処理して延伸状態を固定(熱固定)した後にクリップを開放してもよい。
上記クリップから開放される際、および、その後、延伸フィルムが保持される間の雰囲気温度(例えば、オーブン内でのクリップの開放時およびその後、オーブン出口から送り出されるまでの雰囲気温度)は、例えばTg−20℃〜Tg℃であり、好ましくはTg−15℃〜Tg℃であり、より好ましくはTg−10℃〜Tg−3℃である。上記クリップからの開放後、所定の雰囲気温度でフィルムを加熱状態に保つことにより、その後の搬送ロールを用いた弛みの低減が好適に行われ得る。
上記クリップからの開放後、延伸フィルムが上記加熱環境で保持される時間(例えば、オーブン内でのクリップの開放後、オーブン出口から送り出されるまでの時間)は、好ましくは1秒以上であり、より好ましくは2秒以上であり、さらに好ましくは3秒以上である。当該時間の上限は、特に限定されないが、例えば15秒、好ましくは10秒とすることができる。上記クリップからの開放後、所定の時間以上フィルムを加熱状態に保つことにより、その後の搬送ロールを用いた弛みの低減が好適に行われ得る。
上記斜め延伸によって得られる延伸フィルムに弛みが生じる原因として、斜め延伸時にフィルムの左右端部の延伸プロセス(延伸または収縮のタイミング、回数、順序、熱履歴等)が互いに異なる結果、クリップ開放後の残留応力に起因する両端部における変形量が不均一になることが挙げられるところ、クリップ開放後に所定の雰囲気温度で所定の時間以上フィルムを加熱状態に保つことにより、両端部を変形し易くした状態で、後述するロール搬送による弛みの矯正処理に供することができる。
上記熱処理は、代表的には、温度T3で行われ得る。温度T3は、延伸されるフィルムによって異なり、T2≧T3の場合も、T2<T3の場合もあり得る。一般的に、フィルムが非晶性材料である場合はT2≧T3であり、結晶性材料である場合はT2<T3にすることで結晶化処理を行う場合もある。T2≧T3の場合、温度T2とT3の差(T2−T3)は好ましくは0℃〜50℃である。熱処理時間は、代表的には5秒〜10分である。
A−4.ロール搬送
ロール搬送は、クリップから開放された延伸フィルムに、回転軸方向が該フィルムの搬送方向と直交しないように配置された第1の搬送ロールを通過させることを含む。延伸フィルムに斜めに配置した搬送ロール上を通過させることにより、クリップから解放後のフィルムの弛みが生じていない端部側に集中的に張力が付与されて当該端部側が若干延伸される。その結果、左右の端部の長さの差が減少して弛みが低減され得る。
第1の搬送ロールは、加熱環境下に配置されてもよく、非加熱環境下に配置されてもよい。好ましくは、第1の搬送ロールは非加熱環境下に配置され、上記ロール搬送は、非加熱環境下で行われる。第1の搬送ロールを非加熱環境下に配置することにより、後述するフィルム抱き角度を容易に実現することができ、キズの発生を防止しつつ、弛みを低減することができる。非加熱環境の雰囲気温度は、例えば15℃〜40℃程度、また例えば20℃〜30℃程度であり得る。なお、加熱環境に配置される場合の雰囲気温度は、上記延伸装置の開放ゾーンにおける雰囲気温度と同程度とすることができ、この場合、第1の搬送ロールは、上記開放ゾーンD内に配置され得る。
第1の搬送ロールが非加熱環境下に配置される場合、延伸フィルムが加熱環境から非加熱環境に移行後、第1の搬送ロールを通過するまでの時間は、短いことが好ましく、例えば10秒以内、好ましくは5秒以内、より好ましくは3秒以内、さらに好ましくは1秒以内であり得る。当該時間の下限は、例えば0秒であり、加熱オーブンの出口に第1の搬送ロールを設けてもよい。上記のようにクリップからの開放後、所定の雰囲気温度および/または所定の時間以上加熱されて変形しやすい状態にあるフィルムに素早く張力を付与することにより、斜め延伸によって得られた光学特性を大きく変えることなく、弛みを効果的に低減することができる。
1つの実施形態において、上記ロール搬送は、第1の搬送ロールを含む複数の搬送ロールを用いて行われ得る。ロール搬送において、延伸フィルムが通過する搬送ロールの総数は、例えば1〜12、好ましくは2〜10、より好ましくは3〜8であり得る。代表的には、第1の搬送ロール以外の搬送ロールは、回転軸方向と延伸フィルムの搬送方向とが略直交(例えば、89.9°〜90.1°)となるように配置される。なお、本実施形態において、代表的には、延伸装置から送り出された延伸フィルムは、上記第1の搬送ロール上を最初に通過する。
上記ロール搬送に用いられる搬送ロールとしては、本発明の効果が得られる限りにおいて制限されず、任意の適切なロールを用いることができる。搬送ロールは、例えば、駆動機構を備えたガイドロールであってもよく、駆動機構を備えないフリーロールであってもよい。また、搬送ロールは、サクションロール、ニップロール等であってよい。1つの実施形態において、第1の搬送ロールは、駆動機構を備えないフリーロールであり得る。
クリップから解放後の延伸フィルムに張力を付与しながらロール搬送することが好ましい。第1の搬送ロールを用いた弛みの矯正に続いて延伸フィルム全体に張力を付与することにより、より効果的に弛みを低減することができる。延伸フィルムに付与される張力は、例えば100N/m以上であり、好ましくは200N/m以上、より好ましくは250N/m〜500N/mである。
上記張力の付与は、クリップ開放後から任意の搬送ロールまでの間(例えば、クリップの開放後から第1の搬送ロールより下流の搬送ロールまでの間)において行われ得る。具体的には、搬送ロール間において延伸フィルムにかかる張力を測定し、該張力が所望の値となるように搬送ロールの回転速度等を制御することによって張力が付与され得る。
上記張力を付与する時間は、フィルムの形成材料、弛み量等に応じて適切に設定され得る。該時間は、例えば、5秒〜60秒であり得る。
図2(a)および(b)はそれぞれ、ロール搬送の一例を説明する概略側面図および概略平面図である。図2(a)および(b)に示される実施形態においては、延伸装置100(より具体的には、延伸装置100が備える加熱装置)から送り出された延伸フィルム1を、4つの搬送ロール(第1の搬送ロール52、第2の搬送ロール54、第3の搬送ロール56、第4の搬送ロール58)を通過させて搬送し、巻取部60で巻き取っている。
延伸フィルム1の搬送方向(X)と直交する方向(Y)と、第1の搬送ロール52の回転軸方向(A)とのなす角度(θ1)は、所望される弛みの低減量等に応じて適切に設定され得る。当該角度は、例えば0.20°以上であり得、好ましくは0.25°以上、より好ましくは0.30°以上、さらに好ましくは0.40°以上、さらにより好ましくは0.50°以上であり得る。また、当該角度は、例えば2.50°以下であり得、好ましくは2.00°以下、より好ましくは1.50°以下、さらに好ましくは1.20°以下であり得る。このとき、第1の搬送ロールは、弛みが生じている端部側が延伸装置により近くなるように回転軸を傾けて配置される。具体的には、図2(b)では、延伸フィルム1の右端部に弛みが生じており、第1の搬送ロール52の右側が延伸装置100により近くなるように回転軸(A)を傾けて配置されることにより、延伸フィルム1の左端部が延びて弛みが低減される。
図3(a)は、ロール搬送の別の一例を説明する概略側面図であり、図3(b)は、その部分拡大図である。図3に示される実施形態のロール搬送においては、隣接する搬送ロールが互いに異なる高さに配置されている点において図2に示される実施形態と異なっている。図3に示される実施形態においては、延伸フィルムと搬送ロールとの抱き角度を大きくすることができるとともに、搬送ラインを省スペース化することができる。
延伸フィルムと搬送ロールとの抱き角度(特に、延伸フィルム1と第1の搬送ロール52との抱き角度θ2)は、好ましくは45°〜135°、より好ましくは60°〜120°、さらに好ましくは70°〜100°である。抱き角度が当該範囲内であると、角度を変更したロールにフィルムが抱かれて、片側に選択的に張力を付与することができる。また、張力付与時にフィルムが滑らず、キズが入りにくいという効果が得られ得る。
1つの実施形態において、ロール搬送によって低減される弛み量(上記ロール搬送による弛み矯正処理をされていない延伸フィルムの弛み量−上記ロール搬送による弛み矯正処理後のフィルムの弛み量:ただし、ロール間距離1000mmで測定した弛み量)は、例えば3mm以上、好ましくは5mm以上、より好ましくは8mm以上、さらに好ましくは10mm以上であり得る。また、上記ロール搬送による弛み矯正処理後のフィルムに残存し得る弛み量は、例えば15mm未満、好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下、さらに好ましくは5mm以下、さらにより好ましくは3mm未満であり得る。
なお、ロール搬送されたフィルムは、巻取り部で巻取られてフィルムロールを形成し得る。あるいは、巻き取られることなく、他の長尺状の光学フィルムと搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせられて光学積層体を構成し得る。
B.延伸対象のフィルム
本発明の製造方法においては、任意の適切なフィルムを用いることができる。例えば、位相差フィルムとして適用可能な樹脂フィルムが挙げられる。このようなフィルムを構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリカーボネート樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、シクロオレフィン樹脂である。これらの樹脂であれば、いわゆる逆分散の波長依存性を示す位相差フィルムが得られ得るからである。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、所望の特性に応じて組み合わせて用いてもよい。
上記ポリカーボネート系樹脂としては、任意の適切なポリカーボネート系樹脂が用いられる。例えば、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂が好ましい。ジヒドロキシ化合物の具体例としては、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂は、上記ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の他に、イソソルビド、イソマンニド、イソイデット、スピログリコール、ジオキサングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、トリシクロデカンジメタノール(TCDDM)、ビスフェノール類などのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。
上記のようなポリカーボネート系樹脂の詳細は、例えば特開2012−67300号公報および特許第3325560号に記載されている。当該特許文献の記載は、本明細書に参考として援用される。
ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度は、110℃以上250℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上230℃以下である。ガラス転移温度が過度に低いと耐熱性が悪くなる傾向にあり、フィルム成形後に寸法変化を起こす可能性がある。ガラス転移温度が過度に高いと、フィルム成形時の成形安定性が悪くなる場合があり、また、フィルムの透明性を損なう場合がある。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に準じて求められる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、任意の適切なポリビニルアセタール系樹脂を用いることができる。代表的には、ポリビニルアセタール系樹脂は、少なくとも2種類のアルデヒド化合物及び/又はケトン化合物と、ポリビニルアルコール系樹脂とを縮合反応させて得ることができる。ポリビニルアセタール系樹脂の具体例および詳細な製造方法は、例えば、特開2007−161994号公報に記載されている。当該記載は、本明細書に参考として援用される。
上記延伸対象のフィルムを延伸して得られる位相差フィルムは、好ましくは、屈折率特性がnx>nyの関係を示す。1つの実施形態において、位相差フィルムは、好ましくはλ/4板として機能し得る。本実施形態において、位相差フィルム(λ/4板)の面内位相差Re(550)は、好ましくは100nm〜180nm、より好ましくは135nm〜155nmである。別の実施形態において、位相差フィルムは、好ましくはλ/2板として機能し得る。本実施形態において、位相差フィルム(λ/2板)の面内位相差Re(550)は、好ましくは230nm〜310nm、より好ましくは250nm〜290nmである。なお、本明細書において、nxは面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、nzは厚み方向の屈折率である。また、Re(λ)は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの面内位相差である。したがって、Re(550)は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx−ny)×dによって求められる。
位相差フィルムの面内位相差Re(550)は、斜め延伸条件を適切に設定することにより所望の範囲とすることができる。例えば、斜め延伸によって100nm〜180nmの面内位相差Re(550)を有する位相差フィルムを製造する方法は、特開2013−54338号公報、特開2014−194482号公報、特開2014−238524号公報、特開2014−194484号公報等に詳細に開示されている。よって、当業者は、当該開示に基づいて適切な斜め延伸条件を設定することができる。
1枚の位相差フィルムを用いて円偏光板を作製する場合、または、1枚の位相差フィルムを用いて直線偏光の向きを90°回転させる場合、用いられる位相差フィルムの遅相軸方向は、当該フィルムの長尺方向に対して好ましくは30°〜60°または120°〜150°、より好ましくは38°〜52°または128°〜142°、さらに好ましくは43°〜47°または133°〜137°、特に好ましくは45°または135°程度である。
また、2枚の位相差フィルム(具体的には、λ/2板とλ/4板)を用いて円偏光板を作製する場合、用いられる位相差フィルム(λ/2板)の遅相軸方向は、当該フィルムの長尺方向に対して好ましくは60°〜90、より好ましくは65°〜85、特に好ましくは75°程度である。また、位相差フィルム(λ/4板)の遅相軸方向は、当該フィルムの長尺方向に対して好ましくは0°〜30°、より好ましくは5〜25°、特に好ましくは15°程度である。
位相差フィルムは、好ましくは、いわゆる逆分散の波長依存性を示す。具体的には、その面内位相差は、Re(450)<Re(550)<Re(650)の関係を満たす。Re(450)/Re(550)は、好ましくは0.8以上1.0未満であり、より好ましくは0.8〜0.95である。Re(550)/Re(650)は、好ましくは0.8以上1.0未満であり、より好ましくは0.8〜0.97である。
位相差フィルムは、その光弾性係数の絶対値が、好ましくは2×10−12(m/N)〜100×10−12(m/N)であり、より好ましくは5×10−12(m/N)〜50×10−12(m/N)である。
C.光学積層体および該光学積層体の製造方法
本発明の製造方法により得られた延伸フィルムは、別の光学フィルムと貼り合わせられて光学積層体として用いられ得る。例えば、本発明の製造方法によって得られた位相差フィルムは、偏光板と貼り合わせられて、円偏光板として好適に用いられ得る。
図4は、そのような円偏光板の一例の概略断面図である。図示例の円偏光板200は、偏光子210と、偏光子210の片側に配置された第1の保護フィルム220と、偏光子210のもう片側に配置された第2の保護フィルム230と、第2の保護フィルム230の外側に配置された位相差フィルム240と、を有する。位相差フィルム240は、A項に記載の製造方法により得られた延伸フィルム(例えば、λ/4板)である。第2の保護フィルム230は省略されてもよい。その場合、位相差フィルム240が偏光子の保護フィルムとして機能し得る。偏光子210の吸収軸と位相差フィルム240の遅相軸とのなす角度は、好ましくは30°〜60°、より好ましくは38°〜52°、さらに好ましくは43°〜47°、特に好ましくは45°程度である。
本発明の製造方法により得られた位相差フィルムは、長尺状であり、かつ、斜め方向(長尺方向に対して例えば45°の方向)に遅相軸を有する。また、多くの場合、長尺状の偏光子は長尺方向または幅方向に吸収軸を有する。よって、本発明の製造方法により得られた位相差フィルムを用いれば、いわゆるロールトゥロールを利用することができ、きわめて優れた製造効率で円偏光板を作製することができる。なお、ロールトゥロールとは、長尺状のフィルム同士をロール搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせる方法をいう。
1つの実施形態において、本発明の光学積層体の製造方法は、A項に記載の延伸フィルムの製造方法によって長尺状の延伸フィルムを得ること、および、長尺状の光学フィルムと該長尺状の延伸フィルムとを搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせることを含む。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例における測定および評価方法は下記のとおりである。
(1)厚み
ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、製品名「DG−205 type pds−2」)を用いて測定した。
(2)位相差値
Axometrics社製のAxoscanを用いて面内位相差Re(550)を測定した。
(3)配向角(遅相軸の発現方向)
測定対象のフィルムの中央部を、一辺が当該フィルムの幅方向と平行となるようにして幅50mm、長さ50mmの正方形状に切り出して試料を作成した。この試料を、Axometrics社製のAxoscanを用いて測定し、波長590nmにおける配向角θを測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に準じて測定した。
(5)弛み量
図5に示すように、搬送ロール50間の中間点(ロール間距離:912mm)における延伸フィルム1の搬送経路の下方に超音波変位センサー300を配置し、搬送張力150N/mで搬送した際の幅方向の中央部と端部において超音波変位センサーから延伸フィルムまでの距離を測定し、最大距離(LMAX)と最小距離(LMIN)との差(LMAX−LMIN)を弛み量(mm)とした。なお、上記弛み量の測定は、サクションロール等を用いて弛みを矯正するために付与された張力をカットした後、搬送張力150N/mでロール搬送しながら行った。
(6)張力
フィルム搬送ライン中に設置したフィルム張力検出器によって、フィルムにかかる張力を測定した。
<実施例1>
(ポリエステルカーボネート樹脂フィルムの作製)
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン 29.60質量部(0.046mol)、ISB 29.21質量部(0.200mol)、SPG 42.28質量部(0.139mol)、DPC 63.77質量部(0.298mol)及び触媒として酢酸カルシウム1水和物1.19×10−2質量部(6.78×10−5mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネートを水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。得られたポリエステルカーボネート樹脂のTgは、140℃であった。
得られたポリエステルカーボネート樹脂を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(東芝機械社製、シリンダー設定温度:250℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:250℃)、チルロール(設定温度:120〜130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み135μmの樹脂フィルムを作製した。
(斜め延伸)
上記のようにして得られたポリエステルカーボネート樹脂フィルムを、図1Aに示すような延伸装置であって、予熱ゾーン、斜め延伸ゾーンおよび開放ゾーンのそれぞれを独立して所定の温度に制御可能なオーブンを備える延伸装置を用いて斜め延伸して、位相差フィルムを得た。具体的には、把持ゾーンでポリエステルカーボネート樹脂フィルムの幅方向の左右端部を左右のクリップで把持し、予熱ゾーンで145℃に予熱した。予熱ゾーンにおいては、左右のクリップのクリップピッチ(P)は125mmであった。次に、フィルムが斜め延伸ゾーンCに入ると同時に、右側クリップのクリップピッチの増大および左側クリップのクリップピッチの減少を開始し、右側クリップのクリップピッチをPまで増大させるとともに左側クリップのクリップピッチをPまで減少させた。このとき、右側クリップのクリップピッチ変化率(P/P)は、1.42であり、左側クリップのクリップピッチ変化率(P/P)は0.78であり、フィルムの原幅に対する横延伸倍率は1.45倍であった。次いで、右側クリップのクリップピッチをPに維持したままで、左側クリップのクリップピッチの増大を開始し、PからPまで増大させた。この間の左側クリップのクリップピッチの変化率(P2/P3)は1.82であり、フィルムの原幅に対する横延伸倍率は1.9倍であった。なお、斜め延伸は138℃で行った。
次いで、Tg−8.3℃に制御されたオーブン内おいて、延伸フィルムを左右のクリップから開放した。クリップの開放位置からオーブン出口までの距離は1950mmであり、クリップの開放後、延伸フィルムがオーブン出口から送り出されるまでの時間は5.85秒であった(ライン速度:20m/min)。
(ロール搬送)
以上のようにして、オーブン出口から送り出された延伸フィルムを、室温環境下で、図3に示すような4つの搬送ロールを用いた搬送ラインで搬送し、巻取り部で巻き取った。このとき、第1の搬送ロールを、平面視で左側が延伸装置により近くなるように搬送方向と直交する方向に対して回転軸を0.25°傾けて配置した。また、第2〜第4の搬送ロールは、搬送方向と回転軸方向とが直交するように配置し、第4の搬送ロールのトルクを調整することにより、クリップ開放地点から第4の搬送ロールまでのフィルムに300N/mの張力を5.85秒間付与した。なお、延伸フィルムと第1の搬送ロールとの抱き角度は、90°であった。また、第1の搬送ロールは、オーブン出口直後に配置され、延伸フィルムがオーブン出口から送り出されてから第1の搬送ロールを通過するまでの時間は約0秒であった。
得られた延伸フィルムの位相差Re(590)は、147nmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。
<実施例2>
ロール搬送時に、第1の搬送ロールを、平面視で幅方向左側が延伸装置により近くなるように搬送方向と直交する方向に対して回転軸を0.38°傾けて配置したこと以外は実施例1と同様にして、長尺状の延伸フィルムを巻取り部で巻き取った。
<実施例3>
ロール搬送時に、第1の搬送ロールを、平面視で幅方向左側が延伸装置により近くなるように搬送方向と直交する方向に対して回転軸を0.50°傾けて配置したこと以外は実施例1と同様にして、長尺状の延伸フィルムを巻取り部で巻き取った。
<実施例4>
ロール搬送時に、第1の搬送ロールを、平面視で幅方向左側が延伸装置により近くなるように搬送方向と直交する方向に対して回転軸を0.75°傾けて配置したこと以外は実施例1と同様にして、長尺状の延伸フィルムを巻取り部で巻き取った。
<実施例5>
ロール搬送時に、第1の搬送ロールを、平面視で幅方向左側が延伸装置により近くなるように搬送方向と直交する方向に対して回転軸を0.75°傾けて配置したこと、および、クリップ開放地点から第4の搬送ロールまでの間において延伸フィルムに付与する張力を100N/mにしたこと以外は実施例1と同様にして、長尺状の延伸フィルムを巻取り部で巻き取った。
<実施例6>
ロール搬送時に、第1の搬送ロールを、平面視で幅方向左側が延伸装置により近くなるように搬送方向と直交する方向に対して回転軸を0.75°傾けて配置したこと、および、クリップ開放地点から第4の搬送ロールまでの間において延伸フィルムに付与する張力を200N/mにしたこと以外は実施例1と同様にして、長尺状の延伸フィルムを巻取り部で巻き取った。
<実施例7>
ロール搬送時に、第1の搬送ロールを、平面視で幅方向左側が延伸装置により近くなるように搬送方向と直交する方向に対して回転軸を0.75°傾けて配置したこと、および、クリップ開放地点から第4の搬送ロールまでの間において延伸フィルムに付与する張力を400N/mにしたこと以外は実施例1と同様にして、長尺状の延伸フィルムを巻取り部で巻き取った。
<実施例8>
ロール搬送時に、第1の搬送ロールを、平面視で幅方向左側が延伸装置により近くなるように搬送方向と直交する方向に対して回転軸を0.75°傾けて配置したこと、および、Tg−18.3℃に制御されたオーブン内おいて、延伸フィルムを左右のクリップから開放したこと以外は実施例1と同様にして、長尺状の延伸フィルムを巻取り部で巻き取った。
<実施例9>
ロール搬送時に、第1の搬送ロールを、平面視で幅方向左側が延伸装置により近くなるように搬送方向と直交する方向に対して回転軸を0.75°傾けて配置したこと、および、Tg−13.3℃に制御されたオーブン内おいて、延伸フィルムを左右のクリップから開放したこと以外は実施例1と同様にして、長尺状の延伸フィルムを巻取り部で巻き取った。
<実施例10>
オーブン出口までの距離が950mmの位置でクリップを開放したこと(クリップの開放後、オーブン出口から送り出されるまでの時間:2.85秒)、および、ロール搬送時に、第1の搬送ロールを、平面視で幅方向左側が延伸装置により近くなるように搬送方向と直交する方向に対して回転軸を0.50°傾けて配置したこと以外は実施例1と同様にして、長尺状の延伸フィルムを巻取り部で巻き取った。
<実施例11>
オーブン出口までの距離が950mmの位置でクリップを開放したこと(クリップの開放後、オーブン出口から送り出されるまでの時間:2.85秒)、および、ロール搬送時に、第1の搬送ロールを、平面視で幅方向左側が延伸装置により近くなるように搬送方向と直交する方向に対して回転軸を0.75°傾けて配置したこと以外は実施例1と同様にして、長尺状の延伸フィルムを巻取り部で巻き取った。
<比較例1>
第1の搬送ロールを、搬送方向と回転軸方向とが直交するように配置したこと以外は実施例1と同様にして、長尺状の延伸フィルムを巻取り部で巻き取った。得られた延伸フィルムにおいては、幅方向の左端部に弛みが生じており、弛み量は、18.0mmであった。
<比較例2>
オーブン出口でクリップを開放したこと(クリップの開放後、オーブン出口から送り出されるまでの時間:0秒)、および、ロール搬送時に、第1の搬送ロールを、平面視で幅方向左側が延伸装置により近くなるように搬送方向と直交する方向に対して回転軸を0.50°傾けて配置したこと以外は実施例1と同様にして、長尺状の延伸フィルムを巻取り部で巻き取った。
<比較例3>
オーブン出口でクリップを開放したこと(クリップの開放後、オーブン出口から送り出されるまでの時間:0秒)、および、ロール搬送時に、第1の搬送ロールを、平面視で幅方向左側が延伸装置により近くなるように搬送方向と直交する方向に対して回転軸を0.75°傾けて配置したこと以外は実施例1と同様にして、長尺状の延伸フィルムを巻取り部で巻き取った。
上記実施例および比較例で得られた延伸フィルムについて、上述の方法で弛み量を測定した。
また、得られた延伸フィルムを巻き取る前に、長尺状のマスキングフィルム(東レフィルム加工社製、製品名「トレテック7832C−30」)とロールトゥロールで貼り合わせてフィルム積層体を得た。次いで、フィルム積層体からマスキングフィルムを剥離し、グラビアコーターで接着剤を塗工して偏光板と貼り合せ、UVを照射することにより、光学積層体を得た。。
得られたフィルム積層体の外観(目視)および延伸フィルムの取り扱い性を、以下の基準に基づいて評価した。
〇:マスキングフィルム貼り合せ(貼り合せ張力150N/m)後に、シワがみとめられず、接着剤をフィルム全面に塗工ができる。
△:マスキングフィルム貼り合せの際、貼り合せ張力を300N/mに上げることでシワなく貼り合せができたが、接着剤塗工の際は、弛んだ箇所に接着剤が塗工できなかった。
×:マスキングフィルム貼り合せ後に、シワがあり、外観が劣化している。
上記弛み量およびフィルム積層体の外観等の評価の結果を製造プロセスと共に表1に示す。表1中、「弛み低減量」は、比較例1の延伸フィルムの弛み量との差(比較例1の延伸フィルムの弛み量−各延伸フィルムの弛み量)である。
<評価>
表1に示されるとおり、加熱環境下で延伸フィルムをクリップから開放した後に、延伸方向と直交する方向に対して斜めに配置した搬送ロールを用いてロール搬送を行うことにより、弛みが低減されることがわかる。
本発明の延伸フィルムの製造方法は、位相差フィルムの製造に好適に用いられ、結果として、液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)等の画像表示装置の製造に寄与し得る。
1 延伸フィルム
10L 無端ループ
10R 無端ループ
20 クリップ
50 搬送ロール
52 搬送ロール
54 搬送ロール
56 搬送ロール
58 搬送ロール
60 巻取り部
100 延伸装置
200 円偏光板
210 偏光子
220 第1の保護フィルム
230 第2の保護フィルム
240 位相差フィルム

Claims (11)

  1. 長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をクリップによって把持すること、
    該クリップを走行移動させることによって該フィルムを斜め方向に延伸し、次いで、加熱環境下で該クリップから開放すること、および、
    該フィルムをロール搬送すること、を含む、延伸フィルムの製造方法であって、
    該ロール搬送が、該フィルムに、回転軸方向が該フィルムの搬送方向と直交しないように配置された第1の搬送ロールを通過させることを含む、延伸フィルムの製造方法。
  2. 前記フィルムの搬送方向と直交する方向と、前記第1の搬送ロールの回転軸方向とのなす角度が、0.25°以上である、請求項1に記載の延伸フィルムの製造方法。
  3. 前記クリップから解放された前記フィルムに200N/m以上の張力を付与しながらロール搬送を行う、請求項1または2に記載の延伸フィルムの製造方法。
  4. 前記フィルムと前記第1の搬送ロールとの抱き角度が、45°〜135°である、請求項1から3のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
  5. 前記クリップからの開放後、前記フィルムを前記加熱環境下で1秒以上保持してから前記第1の搬送ロールを通過させる、請求項1から4のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
  6. 前記フィルムが前記クリップから開放された後1秒以上保持される際の雰囲気温度が、前記フィルムのTg−15℃〜Tg℃である、請求項5に記載の延伸フィルムの製造方法。
  7. 前記第1の搬送ロールが非加熱環境下に配置され、
    前記フィルムが該非加熱環境に移行してから前記第1の搬送ロールを通過するまでの時間が、10秒以内である、請求項1から6のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
  8. 前記クリップが、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型のクリップであり、
    前記フィルムの左端部を把持する該クリップおよび右端部を把持する該クリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、前記フィルムを斜め方向に延伸する、請求項1から7のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
  9. 前記フィルムの左端部を把持するクリップと右端部を把持するクリップとを等速で走行移動させながら、前記フィルムの搬送方向を途中で変えることによって、前記フィルムを斜め方向に延伸する、請求項1から7のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の製造方法によって長尺状の延伸フィルムを得ること、および
    長尺状の光学フィルムと該長尺状の延伸フィルムとを搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせることを含む、光学積層体の製造方法。
  11. 前記光学フィルムが、偏光板であり、
    前記延伸フィルムが、λ/4板またはλ/2板である、請求項10に記載の光学積層体の製造方法。
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