JP2020143586A - 圧力調整装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料噴射系の高圧経路の燃料圧力を適正に減圧調整することの可能な圧力調整装置を提供する。【解決手段】通路形成部材10は、高圧経路と低圧経路とを連通する燃料通路60を形成する。弁孔20は、燃料通路60の一部に形成され、燃料の流量を規制する。弁機構30は、弁孔20の低圧経路側に設けられる弁座31、および、その弁座31に対し着座および離座可能に構成される弁体32を有する。オリフィス部材40は、弁体32より低圧経路側の位置および弁孔20より高圧経路側の位置の少なくとも一方に設けられ、燃料の流量を規制する絞り孔41を有する。【選択図】図2
Description
本発明は、燃料噴射系の高圧経路の燃料を減圧調整する圧力調整装置に関するものである。
従来、ディーゼルエンジンの燃料噴射系の制御システムとしてコモンレールシステムが知られている。コモンレールシステムは、サプライポンプにより昇圧した燃料をコモンレールに蓄圧し、そのコモンレールに接続する複数のインジェクタから適切な時期に適切な時間、エンジンの各気筒に燃料を噴射するものである。
コモンレールシステムでは、エンジンの運転停止中、コモンレール内に必要以上の燃料圧力が蓄圧されていると、次の運転開始時にインジェクタから噴射される燃料噴射量が増加し、騒音が発生することがある。そのため、コモンレールシステムには、コモンレールなどの高圧経路から燃料タンクなどの低圧経路へ燃料を微小な流量で安定して排出し、コモンレール内の高圧燃料を適正な圧力に減圧調整する圧力調整装置が設けられる。
特許文献1に記載の圧力調整装置は、コモンレールの燃料が、第1バルブピストンの端部と第1バルブシートとの隙間で流量を絞られた後、中間のスロットル内の流路を通り、第2バルブシートとボール弁との間から低圧経路へ流れるように構成されている。
特許文献1に記載の圧力調整装置において、第1バルブピストンは、第1バルブユニットのハウジング内に往復移動可能に設けられている。第1バルブピストンは、コモンレールの燃料圧力に応じて第1バルブユニットのハウジング内を移動し、第1バルブピストンの端部と第1バルブシートとの隙間を可変する。一方、ボール弁は第2バルブピストンによって第2バルブシート側に押圧されている。その第2バルブピストンは、第2バルブユニットのハウジング内に往復移動可能に設けられている。そして、ボール弁の開弁圧は、コモンレールの燃料圧力がエンジンのアイドリングに必要な圧力以上になるよう、第2バルブシートを付勢する圧縮ばねと調整ねじにより調整されている。
特許文献1に記載の圧力調整装置において、第1バルブピストンは、第1バルブユニットのハウジング内に往復移動可能に設けられている。第1バルブピストンは、コモンレールの燃料圧力に応じて第1バルブユニットのハウジング内を移動し、第1バルブピストンの端部と第1バルブシートとの隙間を可変する。一方、ボール弁は第2バルブピストンによって第2バルブシート側に押圧されている。その第2バルブピストンは、第2バルブユニットのハウジング内に往復移動可能に設けられている。そして、ボール弁の開弁圧は、コモンレールの燃料圧力がエンジンのアイドリングに必要な圧力以上になるよう、第2バルブシートを付勢する圧縮ばねと調整ねじにより調整されている。
しかしながら、特許文献1に記載の圧力調整装置は、第1バルブピストンの端部と第1バルブシートとの隙間の大きさが変化する構成となっている。そのため、この圧力調整装置は、燃料の種類や温度に応じた粘性の変化により、コモンレールから低圧経路へ排出される燃料の流量(以下、「リリーフ流量」という)が安定しないといった問題がある。
また、この圧力調整装置は、第1バルブユニットのハウジングの内壁と第1バルブピストンとが摺動する構成である。その摺動部は、コモンレールの燃料内に配置されている。そのため、コモンレールの燃料にデポジットが発生し、そのデポジットが摺動部に付着すると第1バルブピストンの動作が悪化するといった問題がある。また、第2バルブユニットのハウジング内壁と第2バルブピストンも摺動する構成である。その摺動部には、コモンレールから排出される燃料が接する。そのため、コモンレールの燃料が減圧される際に発熱によりデポジットが発生し、そのデポジットが摺動部に付着すると第2バルブピストンの動作が悪化するといった問題がある。このように、特許文献1に記載の圧力調整装置は、リリーフ流量を一定範囲内の安定した微小流量に絞ることができず、コモンレールの燃料圧力を適正に減圧調整することができないという課題がある。
本発明は上記点に鑑みて、燃料噴射系の高圧経路の燃料圧力を適正に減圧調整することの可能な圧力調整装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、エンジンの燃料噴射系の高圧経路を流れる燃料を減圧調整する圧力調整装置であって、通路形成部材(10、11、12)、弁孔(20)、弁機構(30)およびオリフィス部材(40)を備える。通路形成部材は、高圧経路と低圧経路とを連通する燃料通路(60、61、62)を形成する。弁孔は、燃料通路の一部に形成され、燃料の流量を規制する。弁機構は、弁孔の低圧経路側に設けられる弁座(31)、および、その弁座に対し着座および離座可能に構成される弁体(32)を有する。オリフィス部材は、弁体より低圧経路側の位置および弁孔より高圧経路側の位置の少なくとも一方に設けられ、燃料の流量を規制する絞り孔(41)を有する。
これにより、高圧経路と低圧経路との差圧が弁体の開弁圧より大きい場合、高圧経路から低圧経路に燃料が流れる。その際、高圧経路から低圧経路へ流れる燃料は、弁孔と絞り孔を流れる際に、それぞれの箇所で減圧されることで発熱する。この圧力調整装置は、燃料の発熱箇所を弁孔と絞り孔といった複数個所に分けることで、燃料が高温になることを抑制することが可能である。したがって、この圧力調整装置は、燃料の粘性の低下を抑制することにより、リリーフ流量を一定範囲内の安定した微小流量となるよう制限し、高圧経路の燃料圧力を適正に減圧調整することができる。また、この圧力調整装置は、燃料が高温になることを抑制することで、デポジットの発生を防ぐことができる。
また、請求項1に係る発明では、高圧経路から低圧経路へ流れる燃料を、弁孔と絞り孔といった複数個所で減圧する。これにより、1個所のみで減圧する構成に比べて、リリーフ流量を少なくすることが可能であり、高圧経路の燃料圧力を適正に減圧調整することができる。
仮に1本の長い弁孔または絞り孔により1個所のみでリリーフ流量を調整しようとすれば、その弁孔または絞り孔の内径を、請求項1に係る発明が備える弁孔と絞り孔の内径よりも小さくしなければならない。
それに対し、請求項1に係る発明では、1本の長い弁孔または絞り孔による構成に比べて、弁孔と絞り孔の内径を極めて小さくすることなく(すなわち、切削加工の加工限界以上の内径として)、リリーフ流量を少なくし、高圧経路の燃料圧力を適正に減圧調整することができる。
仮に1本の長い弁孔または絞り孔により1個所のみでリリーフ流量を調整しようとすれば、その弁孔または絞り孔の内径を、請求項1に係る発明が備える弁孔と絞り孔の内径よりも小さくしなければならない。
それに対し、請求項1に係る発明では、1本の長い弁孔または絞り孔による構成に比べて、弁孔と絞り孔の内径を極めて小さくすることなく(すなわち、切削加工の加工限界以上の内径として)、リリーフ流量を少なくし、高圧経路の燃料圧力を適正に減圧調整することができる。
さらに、請求項1に係る発明では、高圧経路から低圧経路へ流れる燃料は、弁孔と絞り孔を通過するごとに圧力が段階的に低下するので、それに伴って燃料の流速も低下する。したがって、この圧力調整装置は、燃料にキャビテーションが発生することを抑制し、圧力調整装置の構成部材の表面にエロージョンが生じることを防ぐことができる。
また、請求項1に係る発明では、1本の長い弁孔または絞り孔による構成に比べて、弁孔と絞り孔の内径を大きくすることが可能であるので、燃料に含まれる異物による弁孔と絞り孔の目詰まりを抑制することができる。
そして、弁孔および絞り孔の上流側にフィルタを設ける場合、そのフィルタの有する細孔は、弁孔と絞り孔の内径より小さければよい。したがって、細孔が極めて小さいフィルタを使用することなく、弁孔と絞り孔の目詰まりを防ぐことができる。
そして、弁孔および絞り孔の上流側にフィルタを設ける場合、そのフィルタの有する細孔は、弁孔と絞り孔の内径より小さければよい。したがって、細孔が極めて小さいフィルタを使用することなく、弁孔と絞り孔の目詰まりを防ぐことができる。
なお、高圧経路とは、燃料噴射系に設けられたサプライポンプの吐出弁からコモンレールを経由してインジェクタの噴孔までの燃料経路をいう。低圧経路とは、燃料噴射系に設けられた燃料タンクからサプライポンプのポンプ室までの燃料経路、および、燃料タンクに連通する低圧配管をいう。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の圧力調整装置1は、ディーゼルエンジンのコモンレールシステム100に用いられる。
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の圧力調整装置1は、ディーゼルエンジンのコモンレールシステム100に用いられる。
まず、コモンレールシステム100について説明する。
図1に示すように、コモンレールシステム100は、燃料タンク101、サプライポンプ102、コモンレール103、インジェクタ104、および電子制御ユニット(以下、「ECU」という)105などを備えている。燃料タンク101に貯留される軽油などの液体燃料は、図示しない低圧ポンプにより汲み上げられ、低圧燃料パイプ106および燃料フィルタ107を経由してサプライポンプ102に吸入される。サプライポンプ102は、例えばエンジンにより駆動されるプランジャポンプである。サプライポンプ102は、図示しないポンプ室に吸入した燃料を例えば200〜300MPa程度に昇圧し、コモンレール103へ圧送する。なお、サプライポンプ102には、ポンプ室で昇圧される燃料を調量するための燃料調整弁108が設けられている。また、燃料タンク101から低圧燃料パイプ106を経由してサプライポンプ102に供給される燃料の一部は、昇圧されることなく、オーバーフローパイプ109へ流れる。そして、そのオーバーフローパイプ109から、図2に示す圧力調整装置1内の冷却通路68、および図1に示すリリーフパイプ110、リターンパイプ111を経由して燃料タンク101に戻される。
図1に示すように、コモンレールシステム100は、燃料タンク101、サプライポンプ102、コモンレール103、インジェクタ104、および電子制御ユニット(以下、「ECU」という)105などを備えている。燃料タンク101に貯留される軽油などの液体燃料は、図示しない低圧ポンプにより汲み上げられ、低圧燃料パイプ106および燃料フィルタ107を経由してサプライポンプ102に吸入される。サプライポンプ102は、例えばエンジンにより駆動されるプランジャポンプである。サプライポンプ102は、図示しないポンプ室に吸入した燃料を例えば200〜300MPa程度に昇圧し、コモンレール103へ圧送する。なお、サプライポンプ102には、ポンプ室で昇圧される燃料を調量するための燃料調整弁108が設けられている。また、燃料タンク101から低圧燃料パイプ106を経由してサプライポンプ102に供給される燃料の一部は、昇圧されることなく、オーバーフローパイプ109へ流れる。そして、そのオーバーフローパイプ109から、図2に示す圧力調整装置1内の冷却通路68、および図1に示すリリーフパイプ110、リターンパイプ111を経由して燃料タンク101に戻される。
サプライポンプ102で昇圧された燃料は、高圧燃料パイプ112を通り、コモンレール103に蓄圧される。コモンレール103は、長細い筒状の高圧燃料配管である。コモンレール103には、複数の分配配管113を経由して複数のインジェクタ104が接続されている。そのため、コモンレール103に蓄圧された燃料は、複数の分配配管113を経由して複数のインジェクタ104に供給される。インジェクタ104は、ECU105から入力される制御信号に基づき、適切な時期に適切な量の燃料をエンジンの各気筒に噴射する。なお、コモンレール103からインジェクタ104に供給される燃料の一部は、リークパイプ114およびリターンパイプ111を通り燃料タンク101に戻される。
コモンレール103には、内部の燃料圧力を検出する燃圧センサ115が取り付けられている。燃圧センサ115で検出された情報は、ECU105に入力される。ECU105は、制御処理や演算処理を行うプロセッサ、プログラムやデータ等を記憶するROM、RAM等の記憶部を含むマイクロコンピュータ、およびその周辺回路で構成されている。ECU105は、サプライポンプ102の燃料調整弁108およびインジェクタ104などの駆動を制御する。
コモンレール103には、内部の燃料圧力を減圧調整するための圧力調整装置1が設けられている。圧力調整装置1は、コモンレール103内の高圧燃料を燃料タンク101などの低圧経路へ微小な流量で排出する。そのため、コモンレール103内の燃料の一部は、圧力調整装置1からリリーフパイプ110およびリターンパイプ111を経由して燃料タンク101に戻される。これにより、圧力調整装置1は、エンジンの運転停止中に、コモンレール103内に必要以上の燃料圧力が蓄圧され続けることを防ぎ、次の運転開始時にインジェクタ104から噴射される燃料噴射量を適正にして、騒音の発生を抑制することが可能である。
なお、圧力調整装置1を設ける位置は、コモンレール103に限らず、エンジンの燃料噴射系の高圧経路のいずれの場所であってもよい。高圧経路とは、サプライポンプ102の吐出弁からコモンレール103を経由してインジェクタ104の噴孔までの燃料経路をいう。これにより、圧力調整装置1は、エンジンの燃料噴射系の高圧経路を流れる燃料を減圧調整することが可能である。なお、低圧経路とは、燃料噴射系に設けられた燃料タンク101からサプライポンプ102のポンプ室までの燃料経路、および、燃料タンク101に連通する低圧配管をいう。
次に、本実施形態の圧力調整装置1の構成について説明する。
図2および図3に示すように、圧力調整装置1は、通路形成部材10、弁孔20、弁機構30およびオリフィス部材40などを備えている。
図2および図3に示すように、圧力調整装置1は、通路形成部材10、弁孔20、弁機構30およびオリフィス部材40などを備えている。
通路形成部材10は、コモンレール103の長手方向の一方の端部に設けられている。そのコモンレール103の端部には、通路形成部材10を取り付けるための取付穴116が設けられている。その取付穴116は、コモンレール103の内側に形成されるレール室117に連通している。取付穴116の内径は、レール室117の内径より大きい。そのため、取付穴116とレール室117との段差部分には、通路形成部材10が当接する当接部118が設けられている。
通路形成部材10は、第1通路形成部材11と第2通路形成部材12により構成されている。第1通路形成部材11は、取付穴116の中でレール室117側に配置されている。第1通路形成部材11は、コモンレール103の当接部118に当接する肩部13と、その肩部13からレール室117に突出する突出部14を有している。その突出部14の外壁に、有底筒状のフィルタ50が嵌合している。フィルタ50は、複数の細孔51を有している。フィルタ50は、その複数の細孔51を有することにより、燃料に含まれる異物を捕集する。
第2通路形成部材12は、第1通路形成部材11を挟んでレール室117とは反対側に配置されている。第2通路形成部材12は、第1通路形成部材11の径外側で第1通路形成部材11を保持する保持部15を有している。第2通路形成部材12の外壁に設けられた雄ねじ16は、コモンレール103の取付穴116の内壁に設けられた雌ねじ119に螺合する。その際の軸力により、第2通路形成部材12と第1通路形成部材11とが密着し、第1通路形成部材11の肩部13がコモンレール103の当接部118に当接する。これにより、第1通路形成部材11と第2通路形成部材12は、コモンレール103の取付穴116に取り付けられる。なお、コモンレール103の取付穴116の内壁と第2通路形成部材12との間には、シールリング17が設けられる。
第1通路形成部材11と第2通路形成部材12の内側には燃料通路60が形成されている。以下の説明では、第1通路形成部材11の内側に形成される燃料通路60を第1燃料通路61と呼び、第2通路形成部材12の内側に形成される燃料通路60を第2燃料通路62と呼ぶことがある。第1燃料通路61は、エンジンの燃料噴射系の高圧経路の一部であるコモンレール103のレール室117に連通している。一方、第2燃料通路62は、低圧経路の一部であるリリーフパイプ110に連通する。そして、第1燃料通路61と第2燃料通路62とは連通している。したがって、通路形成部材10が有する燃料通路60は、エンジンの燃料噴射系の高圧経路と低圧経路とを連通するものである。
第1燃料通路61は、レール室117側から、入口通路63および弁孔20を有している。入口通路63は、レール室117からフィルタ50を介して燃料を導入する通路である。弁孔20は、入口通路63より流路面積が小さく形成され、燃料の流れを規制する流路である。入口通路63から導入される燃料は、弁孔20を通過することで圧力が低下する。弁孔20の内径は、切削加工の限界値(例えば直径0.05mm)より大きく設定されている。弁孔20の内径は、例えば、0.06〜0.12mm、または、0.08〜0.1mm程度である。これにより、リリーフ流量を一定範囲内の安定した微小流量となるように制限可能であると共に、燃料に含まれる異物による弁孔20の目詰まりを抑制可能である。弁孔20の流路の長さは、入口通路63の長さより短い。なお、弁孔20の流路面積は、フィルタ50が有する細孔51の流路面積より大きい。そのため、フィルタ50の複数の細孔51を微細な異物が通過した場合でも、その異物は弁孔20に詰まることなく、リリーフパイプ110側へ流れる。したがって、燃料に含まれる異物による弁孔20の目詰まりを抑制することが可能である。
弁孔20のリリーフパイプ110側に弁座31が設けられている。弁座31は、第2燃料通路62側から弁孔20に向かい内径が次第に小さくなるテーパ状に形成されている。その弁座31に対し、弁体としてのボール弁32が着座および離座可能に設けられている。なお、弁体は、ボール弁32に限らず、種々のポペットバルブを採用することが可能である。
第2燃料通路62は、第1燃料通路61側から、弁機構用通路64、オリフィス用通路65、絞り孔41、保持用通路66、接続用通路67を有している。なお、第1実施形態では、オリフィス部材40が配置されるオリフィス用通路65は、弁孔20に対し低圧経路側に設けられているので、低圧側オリフィス用通路65と呼ぶこともある。
図3に示すように、弁機構用通路64には、ボール弁32のうち弁座31とは反対側の部位を支持するガイド部材33が設けられている。ガイド部材33は、径方向外側の外壁が、弁機構用通路64の内壁に摺動可能に設けられている。なお、ガイド部材33の径方向外側の外壁と弁機構用通路64の内壁とは線接触することが可能である。弁機構用通路64の流路面積は、オリフィス用通路65の流路面積より大きい。そのため、弁機構用通路64とオリフィス用通路65との間には、段差面としてのストッパ部69が設けられる。このストッパ部69により、ガイド部材33の可動範囲が設定されている。
ガイド部材33は、レール室117の燃料圧力(以下、「レール圧」という)が異常高圧となる場合または燃料に異常な圧力脈動が発生した場合でも、ボール弁32のリフト量が大きくなることや、ボール弁32が流路軸に交差する方向へ暴れることを防ぐ。そのため、ガイド部材33は、ボール弁32が弁座31から脱落することを防ぐと共に、後述するスプリング34の破損を防ぐことが可能である。
ガイド部材33は、レール室117の燃料圧力(以下、「レール圧」という)が異常高圧となる場合または燃料に異常な圧力脈動が発生した場合でも、ボール弁32のリフト量が大きくなることや、ボール弁32が流路軸に交差する方向へ暴れることを防ぐ。そのため、ガイド部材33は、ボール弁32が弁座31から脱落することを防ぐと共に、後述するスプリング34の破損を防ぐことが可能である。
オリフィス用通路65には、オリフィス部材40が設けられている。オリフィス部材40とガイド部材33との間には、スプリング34が設けられている。スプリング34は、その一端がガイド部材33に当接し、他端がオリフィス部材40に当接している。スプリング34は、圧縮コイルスプリングであり、ガイド部材33とボール弁32を弁座31側へ付勢している。スプリング34の付勢力の調整により、ボール弁32の開弁圧が設定される。ボール弁32の開弁圧は、レール圧がエンジンのアイドリングに必要な圧力以上になるように設定されている。なお、上述した弁座31、ボール弁32、ガイド部材33、ストッパ部69およびスプリング34は、弁機構30を構成している。弁機構30は、レール圧をアイドリングに必要な圧力以上に保持するものである。
保持用通路66は、オリフィス用通路65に対しリリーフパイプ110側に設けられている。保持用通路66の流路面積は、オリフィス用通路65の流路面積より小さい。そのため、オリフィス用通路65と保持用通路66との間には、段差部70が形成されている。オリフィス部材40は、段差部70に対して固定されている。上述した弁機構30を構成するスプリング34は、オリフィス部材40を段差部70に対して押圧している。そのため、スプリング34は、オリフィス部材40をオリフィス用通路65に固定する固定部材としての機能も有している。このように、スプリング34を固定部材として用いた場合、燃料通路60の流路軸方向の長さのバラツキを吸収し、オリフィス部材40を段差部70に対して確実に押圧することが可能である。したがって、オリフィス部材40と段差部70との間の燃料リークを防ぐことができる。
オリフィス部材40は、燃料の流れを規制する絞り孔41を有している。絞り孔41から保持用通路66へ流れる燃料は、絞り孔41を通過することで圧力が低下する。絞り孔41の内径は、弁孔20と同じく、切削加工の限界値(例えば直径0.05mm)より大きく設定されている。絞り孔41の内径は、例えば、0.06〜0.12mm、または、0.08〜0.1mm程度である。これにより、リリーフ流量を一定範囲内の安定した微小流量となるように制限可能であると共に、燃料に含まれる異物による絞り孔41の目詰まりを抑制可能である。なお、絞り孔41の流路面積は、フィルタ50が有する細孔51の流路面積より大きい。そのため、フィルタ50の複数の細孔51を微細な異物が通過した場合でも、その異物は絞り孔41に詰まることなく、リリーフパイプ110側へ流れる。したがって、燃料に含まれる異物による絞り孔41の目詰まりを抑制することが可能である。なお、絞り孔41の両端部にはそれぞれテーパ面42が形成されている。
図2に示すように、接続用通路67は、保持用通路66のリリーフパイプ110側に設けられている。接続用通路67の流路面積は、保持用通路66の流路面積より大きい。この接続用通路67に対し、リリーフパイプ110の図示しない先端部が接続される。
コモンレール103には、オーバーフローパイプ109が接続される冷却燃料入口部120が設けられている。冷却燃料入口部120に流入した燃料は、取付穴116の内壁と通路形成部材10との間に形成される冷却燃料室121に流入する。冷却燃料室121と接続用通路67とは、冷却通路68により連通している。冷却通路68は、オリフィス部材40とシールリング17との間に設けられている。冷却通路68は、弁孔20および絞り孔41で燃料の減圧により生じる熱がシールリング17に伝わることを抑制している。
続いて、第1実施形態の圧力調整装置1による作用効果について説明する。
(1)弁機構30の開弁圧よりレール圧が大きい場合、弁機構30が開弁し、レール室117からリリーフパイプ110に燃料が流れる。その際、レール室117からリリーフパイプ110へ流れる燃料(以下、「リリーフ燃料」という)は、弁孔20と絞り孔41といった複数個所で段階的に減圧される。これにより、第1実施形態の圧力調整装置1は、リリーフ燃料の流量を少なくすることが可能であり、レール室117の燃料圧力を適正に減圧調整することができる。
(1)弁機構30の開弁圧よりレール圧が大きい場合、弁機構30が開弁し、レール室117からリリーフパイプ110に燃料が流れる。その際、レール室117からリリーフパイプ110へ流れる燃料(以下、「リリーフ燃料」という)は、弁孔20と絞り孔41といった複数個所で段階的に減圧される。これにより、第1実施形態の圧力調整装置1は、リリーフ燃料の流量を少なくすることが可能であり、レール室117の燃料圧力を適正に減圧調整することができる。
(2)また、リリーフ燃料は、弁孔20と絞り孔41を通過する際、減圧により、圧力エネルギが熱エネルギに変わり発熱する。第1実施形態では、そのリリーフ燃料の発熱箇所は、弁孔20と絞り孔41といった複数個所に分けられている。そのため、リリーフ燃料が高温になることが抑制され、リリーフ燃料の粘性の低下が抑制される。したがって、この圧力調整装置1は、燃料の粘性の低下を抑制することにより、リリーフ流量が一定範囲内の安定した微小流量となるよう制限し、レール室117の燃料圧力を適正に減圧調整することが可能である。また、この圧力調整装置1は、リリーフ燃料が高温になることを抑制することで、デポジットの発生を防ぐことができる。
(3)ここで、図4のグラフを参照しつつ、第1実施形態の圧力調整装置1によるリリーフ燃料の流量特性について説明する。図4のグラフにおいて、縦軸はリリーフ流量を示し、横軸はレール圧を示している。
図4に示すように、圧力調整装置1には、実線Aに示したエンジンの始動要求、実線Bに示したサプライポンプ102の可能な吐出量要求、実線Cに示したレール室117の減圧性要求といった複数の要求を満たす制約内でレール圧を減圧することが求められている。
このような複数の要求を満たすといった制約に対し、第1実施形態の圧力調整装置1は、弁孔20と絞り孔41といった複数個所でリリーフ燃料を段階的に減圧する構成としている。この構成により、図4の破線Dに示すように、この圧力調整装置1は、レール圧とリリーフ流量との関係が上述した複数の要求を満たす制約内に納まるようにレール圧を減圧することが可能である。なお、破線Dの最下点Eは、弁機構30の開弁圧を示している。
このような複数の要求を満たすといった制約に対し、第1実施形態の圧力調整装置1は、弁孔20と絞り孔41といった複数個所でリリーフ燃料を段階的に減圧する構成としている。この構成により、図4の破線Dに示すように、この圧力調整装置1は、レール圧とリリーフ流量との関係が上述した複数の要求を満たす制約内に納まるようにレール圧を減圧することが可能である。なお、破線Dの最下点Eは、弁機構30の開弁圧を示している。
(4)なお、仮に、1本の長い弁孔または1本の長い絞り孔によってリリーフ流量を調整しようとすれば、その弁孔20または絞り孔41の内径を、第1実施形態の弁孔20の内径および絞り孔41の内径よりも小さくしなければならない。
それに対し、第1実施形態では、1本の長い弁孔または1本の長い絞り孔による構成に比べて、弁孔20と絞り孔41の内径を極めて小さくすることなく(すなわち、切削加工の加工限界以上の内径として)、リリーフ流量を少なくし、レール圧を適正に減圧調整することができる。
それに対し、第1実施形態では、1本の長い弁孔または1本の長い絞り孔による構成に比べて、弁孔20と絞り孔41の内径を極めて小さくすることなく(すなわち、切削加工の加工限界以上の内径として)、リリーフ流量を少なくし、レール圧を適正に減圧調整することができる。
(5)さらに、リリーフ燃料は、弁孔20と絞り孔41を通過するごとに圧力が段階的に低下するので、それに伴って燃料の流速も低下する。そのため、弁機構用通路64および保持用通路66などを流れる燃料圧力の急激な低下が防がれ、燃料にキャビテーションが発生することが抑制される。したがって、この圧力調整装置1は、弁座31、ボール弁32、ガイド部材33およびスプリング34などの表面にエロージョンが生じることを防ぐことができる。
(6)また、第1実施形態では、1本の長い弁孔または1本の長い絞り孔による構成に比べて、弁孔20と絞り孔41の内径を大きくすることが可能であるので、燃料に含まれる異物による弁孔20と絞り孔41の目詰まりを抑制することができる。
そして、弁孔20の上流側に設けられるフィルタ50の有する細孔51は、弁孔20と絞り孔41の内径より小さければよい。したがって、細孔51が極めて小さいフィルタ50を使用することなく、弁孔20と絞り孔41の目詰まりを防ぐことができる。
そして、弁孔20の上流側に設けられるフィルタ50の有する細孔51は、弁孔20と絞り孔41の内径より小さければよい。したがって、細孔51が極めて小さいフィルタ50を使用することなく、弁孔20と絞り孔41の目詰まりを防ぐことができる。
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態に対してオリフィス部材40の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
第2実施形態は、第1実施形態に対してオリフィス部材40の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図5および図6に示すように、第2実施形態では、低圧側オリフィス用通路65に複数のオリフィス部材40が連続して設けられている。具体的には、低圧側オリフィス用通路65には、2個のオリフィス部材40が連続して設けられている。なお、オリフィス部材40の個数は、2個に限るものでなく、リリーフ流量が適量となるよう、実験などにより適切に設定される。
なお、「複数のオリフィス部材40が連続して設けられている」とは、複数のオリフィス部材40同士が接触した状態で設けられていることに加え、複数のオリフィス部材40同士がワッシャやシール部材などを挟んで設けられていることも含んでいる。
なお、「複数のオリフィス部材40が連続して設けられている」とは、複数のオリフィス部材40同士が接触した状態で設けられていることに加え、複数のオリフィス部材40同士がワッシャやシール部材などを挟んで設けられていることも含んでいる。
複数のオリフィス部材40は、それぞれのオリフィス部材40が有する絞り孔41の流路軸Axが一致するように配置されている。これにより、リリーフ流量を一定範囲内にすることができる。
仮に、複数のオリフィス部材40が有するそれぞれの絞り孔41の流路軸Axがずれていると、燃料の流れがオリフィス部材40の流路軸方向の壁面に衝突し、燃料流れの圧力損失にばらつきが生じるので、リリーフ流量を一定範囲内にすることが困難になる。
仮に、複数のオリフィス部材40が有するそれぞれの絞り孔41の流路軸Axがずれていると、燃料の流れがオリフィス部材40の流路軸方向の壁面に衝突し、燃料流れの圧力損失にばらつきが生じるので、リリーフ流量を一定範囲内にすることが困難になる。
これに対し、第2実施形態のように、複数のオリフィス部材40が有する絞り孔41の流路軸Axを一致させることで、燃料流れの圧力損失のばらつきを抑えることが可能である。したがって、この構成により、リリーフ流量が一定範囲内の安定した微小流量となるように制限し、レール圧を適正に減圧調整することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態等に対してオリフィス部材40を設ける位置および構成などを変更したものであり、その他については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
第3実施形態は、第1実施形態等に対してオリフィス部材40を設ける位置および構成などを変更したものであり、その他については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
図7および図8に示すように、第3実施形態では、第1通路形成部材11に形成される第1燃料通路61は、レール室117側から、オリフィス用通路71、絞り孔41および弁孔20を有している。第3実施形態のオリフィス用通路71は、弁孔20に対し高圧経路側に設けられているので、高圧側オリフィス用通路71と呼ぶこともある。
高圧側オリフィス用通路71には、複数のオリフィス部材40が連続して設けられている。具体的には、高圧側オリフィス用通路71には、3個のオリフィス部材40が連続して設けられている。なお、オリフィス部材40の個数は、3個に限るものでなく、リリーフ流量が適量となるよう、実験などにより適切に設定される。
複数のオリフィス部材40は、それぞれのオリフィス部材40が有する絞り孔41の流路軸Axが一致するように配置されている。これにより、リリーフ流量が一定範囲内の安定した微小流量となるように制限し、レール圧を適正に減圧調整することができる。
複数のオリフィス部材40は、それぞれのオリフィス部材40が有する絞り孔41の流路軸Axが一致するように配置されている。これにより、リリーフ流量が一定範囲内の安定した微小流量となるように制限し、レール圧を適正に減圧調整することができる。
高圧側オリフィス用通路71の流路面積は、弁孔20の流路面積より大きい。そのため、高圧側オリフィス用通路71と弁孔20との間には、段差部72が形成されている。複数のオリフィス部材40は、段差部72に対して固定されている。
高圧側オリフィス用通路71のうち、複数のオリフィス部材40のレール室117側には、固定部材としてのスプリングピン35が設けられている。なお、スプリングピン35は、割りワッシャと呼ばれることもある。スプリングピン35は、円筒状の部材の周方向の1か所に、軸方向に延びる切れ目を設けたものである。高圧側オリフィス用通路71に組み付ける前の状態で、スプリングピン35の外径は高圧側オリフィス用通路71の内径より大きく形成される。そして、スプリングピン35は、径方向に圧縮された状態で、高圧側オリフィス用通路71の内壁に圧入により固定される。そして、スプリングピン35は、圧入時に印加された荷重により、複数のオリフィス部材40を段差部72に対して固定する。
スプリングピン35は、仮に、高圧側オリフィス用通路71を流れる燃料圧力により高圧側オリフィス用通路71の内径が拡張した場合でも、その高圧側オリフィス用通路71の内径の拡張に追従してスプリングピン35自身の外径を拡張することが可能である。そのため、スプリングピン35は、複数のオリフィス部材40を段差部72に対して確実に押圧するので、オリフィス部材40と段差部72との間の燃料リークを防ぐことができる。
第3実施形態では、弁孔20に対しレール室117側に複数のオリフィス部材40を設けている。そのため、スプリングピン35とオリフィス部材40はレール圧により段差部72に押圧されるので、オリフィス部材40と段差部72が確実に当接する。また、エンジンの始動開始時など、レール圧が比較的低い状態であっても、スプリングピン35によりオリフィス部材40は段差部72に押圧され、オリフィス部材40と段差部72とが確実に当接する。また、弁孔20に対しレール室117側に複数のオリフィス部材40を設けたことで、低圧経路側に燃料の脈動が生じた場合でも、その脈動がオリフィス部材40に伝わることが防がれるので、段差部72からオリフィス部材40が離れることが防がれる。そのため、オリフィス部材40と段差部72との間の燃料リークを防ぐことが可能である。したがって、この圧力調整装置1は、リリーフ流量が一定範囲内の安定した微小流量となるように制限し、レール圧を適正に減圧調整することができる。
さらに、第3実施形態では、複数のオリフィス部材40は、燃料の流れを規制する絞り孔41と、その絞り孔41より流路面積が大きく且つ容積が固定された開放室43とを有している。絞り孔41の内径は、切削加工の限界値(例えば直径0.05mm)より大きく設定されている。絞り孔41の内径は、例えば、0.06〜0.12mm、または、0.08〜0.1mm程度である。絞り孔41の流路の長さは、例えば、1つのオリフィス部材40の長さの1/2〜1/4程度である。一方、開放室43の内径は、例えば、絞り孔41の10〜100倍程度である。なお、複数のオリフィス部材40同士は当接している。そのため、オリフィス部材40が有する開放室43は、その容積が固定されたものである。
複数のオリフィス部材40は連続して設けられているので、複数の絞り孔41と複数の開放室43とは交互に配置される構成となっている。この構成により、リリーフ燃料は、複数の絞り孔41を1つずつ通過するごとに圧力が段階的に低下する。そのため、仮に、1本の長い絞り孔を有する1つのオリフィス部材を用いることに比べて、第3実施形態の構成はリリーフ流量を少なくすることが可能となる。したがって、この圧力調整装置1は、レール圧を適正に減圧調整することができる。
また、仮に、1本の長い絞り孔を有する1つのオリフィス部材を用いることに比べて、第3実施形態の構成は複数のオリフィス部材40のそれぞれが有する絞り孔41の内径を大きくすることが可能である。そのため、燃料に含まれる異物によって絞り孔41が目詰まりすることを抑制することができる。
また、オリフィス部材40の上流側に設けられるフィルタ50の細孔51は、複数の絞り孔41の断面積より小さければよい。したがって、細孔51が極めて小さいフィルタ50を使用することなく、絞り孔41の目詰まりを防ぐことができる。
また、オリフィス部材40の上流側に設けられるフィルタ50の細孔51は、複数の絞り孔41の断面積より小さければよい。したがって、細孔51が極めて小さいフィルタ50を使用することなく、絞り孔41の目詰まりを防ぐことができる。
また、リリーフ燃料は、複数のオリフィス部材40が有する各絞り孔41を1つずつ通過するごとに圧力が段階的に低下するので、それに伴って燃料の流速も低下する。したがって、この圧力調整装置1は、燃料にキャビテーションが発生することを抑制し、オリフィス部材40の表面にエロージョンが生じることを防ぐことができる。
なお、第3実施形態では、リリーフ燃料は、複数のオリフィス部材40により十分に減圧された後に弁孔20を流れる。そのため、第3実施形態の弁孔20の流路面積は、第1および第2実施形態で説明した弁孔20の流路面積より大きくしてもよい。そうした場合でも、複数のオリフィス部材40の個数を適切に設定することで、リリーフ流量が一定範囲内の安定した微小流量となるように制限し、レール圧を適正に減圧調整することが可能である。したがって、第3実施形態では、弁孔20の加工を容易に行うことができる。
また、第3実施形態では、リリーフ燃料は、複数のオリフィス部材40により十分に減圧された後に弁孔20を流れるので、ボール弁32に作用する燃料圧力は、第1実施形態の構成によるものよりも小さいものとなる。したがって、第3実施形態では、ボール弁32とガイド部材33を弁座31側に付勢するスプリング34の付勢力を小さくできるので、弁機構30の開弁圧を正確に設定することができる。
さらに、第3実施形態では、ガイド部材33の径方向外側の外壁と弁機構用通路64の内壁との距離を離した構成としてもよい。これにより、ガイド部材33を小型化することができる。また、第3実施形態では、第1実施形態で説明したガイド部材33の下流側のストッパ部69を廃止してもよい。これにより、弁機構用通路64の構成を簡素なものにすることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態は、第3実施形態等に対して固定部材の構成などを変更したものであり、その他については第3実施形態等と同様であるため、第3実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
第4実施形態は、第3実施形態等に対して固定部材の構成などを変更したものであり、その他については第3実施形態等と同様であるため、第3実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
図9および図10に示すように、第4実施形態では、複数のオリフィス部材40とフィルタ50の内壁との間に、固定部材としてのスプリング36とスペーサ部材37が設けられている。スペーサ部材37は、球状であり、フィルタ50の内壁に当接している。スプリング36は、その一端がスペーサ部材37に当接し、他端がオリフィス部材40に当接している。スプリング36は、圧縮コイルスプリングであり、複数のオリフィス部材40を段差部72へ付勢している。これにより、複数のオリフィス部材40は段差部72に対して固定される。
固定部材としてスプリング36を用いた場合、フィルタ50や燃料通路60の流路軸Ax方向の長さのバラツキを吸収し、複数のオリフィス部材40を段差部72に対して確実に押圧することが可能である。したがって、オリフィス部材40と段差部72との間の燃料リークを防ぐことができる。
なお、第4実施形態では、ガイド部材33の下流側に、ガイド部材33の可動範囲を制限するストッパ部69が設けられている。ガイド部材33は、レール圧が異常高圧となる場合または燃料に異常な圧力脈動が発生した場合でも、ボール弁32のリフト量が大きくなることや、ボール弁32が流路軸Axに交差する方向へ暴れることを防ぐ。そのため、ガイド部材33は、ボール弁32が弁座31から脱落することを防ぐと共に、後述するスプリング36の破損を防ぐことが可能である。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
(1)上記各実施形態では、圧力調整装置1は、高圧経路としてのコモンレール103に取り付けられるものとして説明したが、これに限られない。圧力調整装置1は、高圧経路のいずれの場所に設けてもよい。具体的には、圧力調整装置1は、サプライポンプ102の吐出弁からインジェクタ104の噴孔までの燃料経路またはそれに連通する燃料経路のいずれの場所に設けてもよい。
(2)上記各実施形態では、圧力調整装置1が備える通路形成部材10とコモンレール103とリリーフパイプ110とを別部材で構成したが、これに限られない。圧力調整装置1が備える通路形成部材10は、それに隣接する他の部材と一体に構成してもよい。具体的には、通路形成部材10とコモンレール103とは一体に構成してもよい。または、通路形成部材10とリリーフパイプ110とは一体に構成してもよい。
(3)上記各実施形態では、低圧側オリフィス用通路65または高圧側オリフィス用通路71のいずれか一方にオリフィス部材40を設けたが、これに限られない。オリフィス部材40は、低圧側オリフィス用通路65と高圧側オリフィス用通路71の両方に設けてもよい。
1 圧力調整装置
10 通路形成部材
20 弁孔
30 弁機構
31 弁座
32 ボール弁
40 オリフィス部材
41 絞り孔
60 燃料通路
10 通路形成部材
20 弁孔
30 弁機構
31 弁座
32 ボール弁
40 オリフィス部材
41 絞り孔
60 燃料通路
Claims (11)
- エンジンの燃料噴射系の高圧経路を流れる燃料を減圧調整する圧力調整装置であって、
高圧経路と低圧経路とを連通する燃料通路(60、61、62)を形成する通路形成部材(10、11、12)と、
前記燃料通路の一部に形成され、燃料の流量を規制する弁孔(20)と、
前記弁孔の低圧経路側に設けられる弁座(31)、および前記弁座に対し着座および離座可能に構成される弁体(32)を有する弁機構(30)と、
前記弁機構より前記低圧経路側の位置または前記高圧経路側の位置のいずれか一方に設けられ、燃料の流量を規制する絞り孔(41)を有するオリフィス部材(40)と、を備える圧力調整装置。 - 前記燃料通路は、前記弁孔に対し前記高圧経路側に設けられる高圧側オリフィス用通路(71)と、前記弁孔と前記高圧側オリフィス用通路との間に形成される段差部(72)と、を有し、
前記オリフィス部材は、前記高圧側オリフィス用通路に設けられ、前記段差部に対して固定されている、請求項1に記載の圧力調整装置。 - 前記オリフィス部材を前記段差部に対して押圧し、前記オリフィス部材を前記高圧側オリフィス用通路に固定する固定部材(34、35、36、37)をさらに備える、請求項2に記載の圧力調整装置。
- 前記燃料通路は、前記弁孔に対し前記低圧経路側に設けられる低圧側オリフィス用通路(65)を有し、
前記オリフィス部材は、前記低圧側オリフィス用通路に設けられている、請求項1に記載の圧力調整装置。 - 前記オリフィス部材は、複数個連続して設けられている、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の圧力調整装置。
- 前記オリフィス部材は、燃料の流れを規制する前記絞り孔と、前記絞り孔より流路面積が大きく且つ容積が固定された開放室(43)とを有し、
前記オリフィス部材は、複数個連続して設けられている、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の圧力調整装置。 - 複数の前記オリフィス部材は、それぞれの前記オリフィス部材が有する前記絞り孔の流路軸(Ax)が一致するように配置されている、請求項5または6に記載の圧力調整装置。
- 前記弁孔、前記弁機構、前記オリフィス部材より高圧経路側に設けられるフィルタ(50)をさらに備え、
前記弁孔および前記絞り孔の流路面積はいずれも、前記フィルタが有する細孔(51)の流路面積より大きい、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の圧力調整装置。 - 前記弁孔および前記絞り孔の内径は、0.06〜0.12mmである、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の圧力調整装置。
- 前記固定部材は、スプリング(34、36)またはスプリングピン(35)である、請求項3に記載の圧力調整装置。
- 前記弁体のうち前記弁座とは反対側の部位を支持するガイド部材(33)と、
前記ガイド部材および前記弁体を前記弁座側に付勢するスプリング(34)と、をさらに備える、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の圧力調整装置。
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