JP2006125349A - フローダンパ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 フローダンパ31は、ピストン33の大径部51の下側の外周面に全周にわたる逃がし56aを設けることで、バルブボディ32の下端近傍に生じる変形を吸収する隙間αを設けている。このように設けることにより、バルブボディ32をレール本体20に高軸力で締め付けた際に、座面精度や座面形状に僅かなズレ等があり、その影響でバルブボディ32の下部が内径方向に変形しても、その変形は隙間αによって吸収されるため、バルブボディ32に生じた変形はピストン摺動孔43に影響を与えない。これによって、ピストン33の摺動クリアランスは変化せず、ピストン33の摺動を悪化させない。【選択図】 図1
Description
従来のフローダンパを図16を参照して説明する。
この図16のフローダンパJ1は、内部に燃料通路が形成された略筒状のバルブボディJ2と、このバルブボディJ2の内側に形成されたピストン摺動孔J3に沿って軸方向へ摺動可能なピストンJ4と、このピストンJ4を燃料の流れの上流側に付勢するスプリングJ5と、ピストンJ4の上流側への移動を規制するストッパJ6とを備える。
ピストンJ4には、燃料通路の上流側と下流側を連通する絞り通路J7が形成されている。そして、インジェクタに過剰燃料流出などの異常が生じた際、下流に向かう流量が増加して、絞り通路J7の前後の圧差が増加し、ピストンJ4が下流側(インジェクタ側)へ移動して、ピストンJ4の弁部J8がバルブボディJ2の弁座J9に着座する。このようにして、フローダンパJ1は、万が一、何らかの不具合が生じた際に、高圧燃料の流出を停止させるものである(例えば、特許文献1参照)。
バルブボディJ2は、レール本体J10に締結されるものである。レール本体J10は高圧燃料を蓄圧するものであるため、バルブボディJ2とレール本体J10との密着面は高油密のシール面を確保する必要があり、バルブボディJ2はレール本体J10に高軸力で締め付けられて固定される。
バルブボディJ2は、レール本体J10に強力に締め付けられるため、座面精度や座面形状に僅かなズレがあると、高軸力による回転摺動によりバルブボディJ2が歪んでしまう。
しかし、バルブボディJ2は、内側にピストンJ4を摺動可能な状態で保持するものであるため、バルブボディJ2が上述の理由によって歪み、ピストン摺動孔J3が内径方向に変形すると、バルブボディJ2とピストンJ4の摺動クリアランスが減少して、ピストンJ4の摺動を悪化させてしまう。
また、バルブボディJ2とレール本体J10(またはストッパJ6)との密着面は、高平滑など高精度の加工が要求されるため、コストアップの要因にもなっている。
レール本体J10の雌ネジ(バルブボディJ2が挿入される穴)J11は、何らかの理由によってに変形等の歪が生じる可能性がある。一方、バルブボディJ2側の雄ネジJ12は、図16に示すように、バルブボディJ2とピストンJ4が直接摺動する直接摺動範囲J13の外周に設けられている。
このため、バルブボディJ2がレール本体J10に高軸力で締め付けられると、レール本体J10の雌ネジJ11に生じていた歪が螺合部を介してバルブボディJ2に伝わってしまい、結果的にバルブボディJ2が歪んで、ピストン摺動孔J3も歪んでしまう。
このようにして、ピストン摺動孔J3が歪むことにより、ピストンJ4の摺動を悪化させてしまう。
請求項1の手段を採用するフローダンパは、バルブボディとピストンの間に、バルブボディをレール本体に締結した際にバルブボディに生じる歪を吸収する隙間を設けるものである。
このように設けることにより、バルブボディをレール本体に高軸力で締め付けた際に、座面精度や座面形状に僅かなズレ等があり、その影響でバルブボディが歪んでしまっても、その歪は隙間(バルブボディとピストンの間の隙間)によって吸収されるため、バルブボディの歪はピストン摺動孔に影響を与えない。即ち、バルブボディをレール本体に高軸力で締め付けても、ピストンの摺動を悪化させることがない。
また、高軸力の締め付けによるバルブボディの歪を隙間(バルブボディとピストンの間の隙間)で吸収することができるため、バルブボディとレール本体(またはストッパ)との密着面の加工精度を抑えることが可能になり、コストの低減を図ることも可能になる。
請求項2の手段を採用するフローダンパは、バルブボディとピストンとの間にピストンを摺動自在に支持する別部材を配置し、バルブボディと別部材の間にバルブボディをレール本体に締結した際にバルブボディに生じる歪を吸収する隙間を設けるものである。
このように設けることにより、バルブボディをレール本体に高軸力で締め付けた際に、座面精度や座面形状に僅かなズレ等があり、その影響でバルブボディが歪んでしまっても、その歪は隙間(バルブボディと別部材の間の隙間)によって吸収されるため、バルブボディの歪は別部材に設けられるピストン摺動孔に影響を与えない。即ち、バルブボディをレール本体に高軸力で締め付けても、ピストンの摺動を悪化させることがない。
また、高軸力の締め付けによるバルブボディの歪を隙間(バルブボディと別部材の間の隙間)で吸収することができるため、バルブボディとレール本体(またはストッパ)との密着面の加工精度を抑えることが可能になり、コストの低減を図ることも可能になる。
請求項3の手段を採用するフローダンパは、バルブボディにおけるピストン摺動孔の内側に、バルブボディをレール本体に締結した際にバルブボディに生じる歪がピストン摺動孔の内径方向に向かうのを防ぐ規制部材を圧入するものである。
このように設けることにより、バルブボディをレール本体に高軸力で締め付けても、規制部材によってピストン摺動孔が内径方向に変形しない。即ち、バルブボディをレール本体に高軸力で締め付けても、バルブボディとピストンの摺動クリアランスの減少を防ぐことができ、ピストンの摺動を悪化させることがない。
また、高軸力の締め付けによってバルブボディの摺動孔が内径方向に変形するのを規制部材によって防ぐことができるため、バルブボディとレール本体(またはストッパ)との密着面の加工精度を抑えることが可能になり、コストの低減を図ることも可能になる。
請求項4の手段を採用するフローダンパは、バルブボディをレール本体に締結した際にバルブボディに生じる歪を、当該バルブボディの外径方向に向かわせる歪外向け手段を設けるとともに、バルブボディとレール本体の間に、歪外向け手段によってバルブボディの外径方向に生じた歪を吸収する隙間を設けるものである。
このように設けることにより、バルブボディをレール本体に高軸力で締め付けることで発生する歪は、バルブボディの外側に向かって発生する。そして、その歪は、隙間(バルブボディとレール本体の間の隙間)によって吸収される。この結果、ピストン摺動孔が内径方向に変形する不具合がない。即ち、バルブボディをレール本体に高軸力で締め付けても、バルブボディとピストンの摺動クリアランスの減少を防ぐことができ、ピストンの摺動を悪化させることがない。
また、高軸力の締め付けによってバルブボディの摺動孔が内径方向に変形するのを、隙間(バルブボディとレール本体の間の隙間)と、歪外向け手段とによって防ぐことができるため、バルブボディとレール本体(またはストッパ)との密着面の加工精度を抑えることが可能になり、コストの低減を図ることも可能になる。
請求項5の手段を採用するフローダンパは、バルブボディをレール本体に締結する際にバルブボディにレール本体に向かう軸力を与える軸力付与部と、バルブボディとピストンが直接摺動する直接摺動範囲とを、軸方向に異なる位置(軸線に対して垂直方向から見て異なる位置)に設けるとともに、軸方向における直接摺動範囲内のバルブボディと、レール本体との間に、レール本体がバルブボディを圧迫するのを防ぐ隙間(バルブボディが挿入される穴に生じる歪を吸収する隙間)を設けるものである。
レール本体側においてバルブボディを挿入する穴形状は、何らかの理由によってに変形等の歪が生じる可能性がある。しかるに、請求項5の手段を採用したことにより、バルブボディがレール本体に高軸力で締め付けられても、バルブボディを挿入する穴形状に生じていた歪は隙間(バルブボディとレール本体の間の隙間)で吸収されるため、バルブボディを挿入する穴形状に生じていた歪がバルブボディに伝わる不具合が阻止される。これによって、ピストン摺動孔が歪む不具合を回避することができ、ピストンの摺動を悪化させることがない。
(コモンレール式燃料噴射装置の説明)
図2に示すコモンレール式燃料噴射装置は、エンジン(例えばディーゼルエンジン:図示しない)の各気筒に燃料噴射を行うシステムであり、コモンレール1、インジェクタ2、サプライポンプ3、ECU4(エンジン制御ユニット)、EDU5(駆動ユニット)等から構成される。
なお、コモンレール1とインジェクタ配管7の接続部分には、フローダンパ31が設けられており、フローダンパ31の詳細は後述する。
また、コモンレール1には、減圧弁11が取り付けられている。この減圧弁11は、ECU4から与えられる開弁指示信号によって開弁してリリーフ配管9を介してコモンレール圧を急速に減圧するものである。このように、コモンレール1に減圧弁11を搭載することによって、ECU4はコモンレール圧を車両走行状態に応じた圧力へ素早く低減制御できる。なお、この減圧弁11が設けられない機種もある。
なお、インジェクタ2からのリーク燃料も、リリーフ配管9を経て燃料タンク8に戻される。
なお、ECU4には、運転状態等を検出する手段として、コモンレール圧を検出するレール圧センサ15の他に、アクセル開度を検出するアクセルセンサ、エンジン回転数を検出する回転数センサ、エンジンの冷却水温度を検出する水温センサ等のセンサ類が接続されている。
インジェクタ制御系は、燃料の噴射毎に、ROMに記憶されたプログラムと、RAMに読み込まれたセンサ類の信号(エンジンパラメータ)とに基づいて、噴射形態、目標噴射量、噴射開始時期を算出し、インジェクタ開弁信号を算出する。
レール圧制御系は、ROMに記憶されたプログラムと、RAMに読み込まれたセンサ類の信号(エンジンパラメータ)とに基づいて、目標レール圧を算出し、レール圧センサ15から算出される実レール圧を目標レール圧に一致させるためのSCV駆動信号を算出する。
なお、レール本体20は、図2に示すように、鍛造技術によって設け、その後に各穴や平面部等(後述するレール内通路、内外連通孔23、第1平面24等)を加工したものであっても良いし、図2に示すものではなく、安価なパイプ材で構成し、そのパイプ材の軸方向に多数の配管接続手段21を設けて低コスト化を図ったものであっても良い。
また、レール本体20の側面には、外周面とレール内通路を連通する複数の内外連通孔23が形成されている(図1参照)。この複数の内外連通孔23は、高圧ポンプ配管6、リリーフ配管9、インジェクタ配管7等に連通するものであり、レール本体20の軸方向に適切な間隔を隔てて穴開け加工されたものである。各内外連通孔23の外側は、レール本体20の側面に形成された第1平面24の略中心において開口する。
なお、内外連通孔23の外開口(外側の開口部)には、外方向に広がった面取り部25が設けられており、内外連通孔23の外開口の開口面積が大きくなっている。
また、第1平面24の周囲の穴の内面には、配管接続手段21(後述するフローダンパ31においてはバルブボディ32)を締結するための第1雌ネジ26が形成されている(図1参照)。この第1雌ネジ26は、レール本体20と一体に設けられる例を示すが、ナットなどの雌ネジ部品をレール本体20に溶接等で固着(一体化)して設けたものであっても良い。
配管接続手段21のうち、レール本体20とインジェクタ配管7とを接続する部分には、図1に示すフローダンパ31が設けられている。
フローダンパ31は、レール本体20に締結されるバルブボディ32と、このバルブボディ32の内部で摺動するピストン33と、このピストン33を燃料の流れの上流側に付勢するスプリング34と、ピストン33の上流側への移動を規制するストッパ35とを備える。
ピストン33には、燃料通路の上流側と下流側を連通する絞り通路36が形成されている。そして、インジェクタ2に過剰燃料流出などの異常が生じた際、下流に向かう流量が増加して、絞り通路36の前後の圧差が増加し、ピストン33が下流側(インジェクタ2側)へ移動して、ピストン33の弁部37がバルブボディ32の弁座38に着座する。このようにして、フローダンパ31は、万が一、何らかの不具合が生じた際に、高圧燃料の流出を停止させるものである。
(バルブボディ32の説明)
バルブボディ32は、鉄などの硬質な金属よりなり、内部に燃料通路が形成された略筒状を呈する。
バルブボディ32の外周下側には、レール本体20の第1雌ネジ26内にねじ込まれる第1雄ネジ41が形成され、バルブボディ32の外周上側には、インジェクタ配管7を取り付けるための第2雄ネジ42が形成されている。
第1雄ネジ41の先端面は、ピストン摺動孔43の開口周りを囲む平面が形成されている。ここで、ストッパ35の上下面も平面に設けられており、ストッパ35の下面がレール本体20の第1平面24と一致し、ストッパ35の上面が第1雄ネジ41の先端面と一致する。そして、バルブボディ32の第1雄ネジ41をレール本体20の第1雌ネジ26に強くねじ込むことで、第1平面24、ストッパ35、第1雄ネジ41の先端面が強く押し付けられて本体シール面(油密面:密着面)を形成する。
第2雄ネジ42には、配管締結ネジ部材47の内周面に形成された第2雌ネジ48が螺合する。
この配管締結ネジ部材47は、インジェクタ配管7の円錐部44の背部の段差44aに係止した状態で、第2雄ネジ42にねじ込まれるものであり、配管締結ネジ部材47を第2雄ネジ42に強くねじ込むことで、インジェクタ配管7の円錐部44が受圧座面45に強く押し付けられて配管シール面(油密面:密着面)が形成される。
この上部燃料通路46とピストン摺動孔43の境界部には、下方に向けて広がる略円錐形状の弁座38が形成されている。そして、ピストン摺動孔43と上部燃料通路46は同芯に設けられ、ピストン33の弁部37とバルブボディ32の弁座38の同芯性が得られるようになっている。
ピストン33は、鉄、アルミ、樹脂など燃料高圧下で破損しない材質よりなり、バルブボディ32におけるピストン摺動孔43の内部で軸方向に摺動自在に支持されるもので、ピストン摺動孔43に直接摺動する下側の大径部51と、段差を介して小径となる上側の突出部52とを備え、この突出部52の上端には、バルブボディ32の弁座38に着座して上部燃料通路46を閉塞可能な弁部37が設けられている。また、大径部51と突出部52の間の段差にはスプリング34の下端が着座し、スプリング34によってピストン33が下方へ付勢される構造になっている。
そして、正常時など、下流に向かう燃料流量が少ない場合は、スプリング34の付勢力によってピストン33の下端がストッパ35に着座し、ストッパ35の中心孔35aを通過した燃料の流れは、絞り通路36のみを通ってインジェクタ2に供給される。
さらに、インジェクタ2に過剰燃料流出などの異常が生じるなどして、下流に向かう流量がさらに増加すると、絞り通路36の前後の圧差がさらに増加し、ピストン33がさらに上側へ移動して、突出部52の上端の弁部37がバルブボディ32の弁座38に着座し、上部燃料通路46を閉塞する。
このようにして、フローダンパ31は、万が一、何らかの不具合が生じて、規定量以上に下流に向かう流量が増加すると、高圧燃料の流出を停止させる。
ストッパ35は、鉄、銅などのシール性に優れた硬質金属よりなり、中心に燃料を通過させる中心孔35aが形成された円盤形状を呈する。中心孔35aは、上述したように、レール本体20の内外連通孔23と、ピストン33の下部中心孔53とを連通させる燃料通路である。このストッパ35は、レール本体20の第1平面24と、第1雄ネジ41の先端面との間に介在されて、上述のように本体シール面を形成するシール部材(ガスケット)であるとともに、ピストン33がピストン摺動孔43の下方へ移動するのを規制するストッパ機能を有するものである。
スプリング34は、ピストン33を下方へ付勢する圧縮コイルバネであり、その圧縮荷重によってフローダンパ31の作動値(フローダンパ31が高圧燃料の流出を遮断するセット値)が設定される。
バルブボディ32は、高圧燃料の漏れを確実に防ぐために、レール本体20に強く締結されるものである。しかし、バルブボディ32がレール本体20に強力に締め付けられる場合、座面精度や座面形状に僅かなズレがあると、高軸力と回転摺動によりバルブボディ32が歪んでしまう。具体的には、本体シール面を形成するバルブボディ32の下端近傍が変形してしまう。
バルブボディ32の下部は、上述したように、その内部でピストン33の大径部51を摺動自在に支持するものである。ピストン33の大径部51とピストン摺動孔43の摺動クリアランスは、同芯精度を高めるために、摺動クリアランスが小さいため(例えば、10〜20μmほど)、バルブボディ32の下端近傍が内径方向に変形すると、摺動クリアランスが減少して、ピストン33の摺動を悪化させてしまう。
具体的に、この実施例1では、図1に示すように、ピストン33の大径部51の下側の外周面に全周にわたる逃がし(切削部)56aを設けることで、バルブボディ32の下端近傍の変形を吸収する隙間αを設けている。この隙間寸法は、後述する各実施例の隙間αでも同じであるが、バルブボディ32に生じる変形を吸収する量であれば良く、その寸法はバルブボディ32の材質や、締め付けトルクなどによって異なるものであるが、例えばこの実施例の逃げ寸法は、大径部51の下端から軸方向に5〜10mm、径方向幅が0.1〜1.0mmほどに設けられている。
また、高軸力の締め付けによるバルブボディ32の変形をバルブボディ32とピストン33の間の隙間αで吸収することができるため、バルブボディ32とストッパ35との本体シール面(密着面)の加工精度を抑えることが可能になり、コストの低減を図ることも可能になる。
この実施例2も請求項1の発明を採用するものであり、バルブボディ32の下側の内周面に全周にわたる逃がし(切削部)56bを設けて、バルブボディ32の下端近傍の変形を吸収する隙間αを設けたものである。
この実施例3も請求項1の発明を採用するものである。
この実施例3は、ピストン33の大径部51の外径寸法をピストン摺動孔43の内径寸法よりも小径に設けて、大径部51とピストン33の間に、バルブボディ32の変形を吸収する隙間αを設けたものである。
そこで、この実施例3では、ストッパ35の上面にピストン33の摺動ガイド57を設けて、ピストン33の大径部51とピストン摺動孔43の軸芯を一致させて、弁座38と弁部37の同芯性を確保している。なお、摺動ガイド57は、ピストン33の下部中心孔53の内面を軸方向に摺動自在に支持する支持部材であり、その中心には燃料通路が設けられている。
この実施例4は、請求項2の発明を採用するものであり、バルブボディ32とピストン33との間に、ピストン33を摺動自在に支持するカラー58(別部材に相当する)を配置し、バルブボディ32とカラー58の間に、バルブボディ32をレール本体20に締結した際にバルブボディ32に生じる変形を吸収する隙間αを設けたものである。
具体的に、カラー58は、ピストン33の大径部51を摺動自在に支持する円筒体であり、鉄等の硬質な金属によって形成されている。バルブボディ32には、カラー58を挿入するカラー挿入穴59が形成されており、このカラー挿入穴59の内周面と、カラー58の外周面との間に、バルブボディ32をレール本体20に締結した際にバルブボディ32に生じる変形を吸収する隙間αが設けられる。
また、高軸力の締め付けによるバルブボディ32の変形をバルブボディ32とカラー58の間の隙間αで吸収するため、実施例1と同様に、バルブボディ32とストッパ35との本体シール面(密着面)の加工精度を抑えることが可能になり、コストの低減を図ることも可能になる。
この実施例5も請求項2の発明を採用するものである。
この実施例5は、カラー58とストッパ35の間に弾性体60を配置して、カラー58のガタを無くしたものである。なお、図6では、弾性体60の一例として皿バネを開示するが、ウエーブワッシャやリングゴムなど、他の弾性体を用いても良い。
この実施例6も請求項2の発明を採用するものである。
この実施例6は、カラー58とストッパ35を一体に設けて、部品点数を抑えるとともに、カラー58のガタも無くし、さらにピストン33とバルブボディ32の同芯性(即ち、弁座38と弁部37の同芯性)を高めるものである。
この実施例7も請求項2の発明を採用するものである。
この実施例7のカラー58は、ピストン摺動孔43の他に、ピストン33の突出部52の先端の弁部37が着座する弁座38まで設けたものである。このように設けることにより、弁座38と弁部37の同芯性を高めることができる。
この実施例8は、請求項3の発明を採用するものであり、バルブボディ32におけるピストン摺動孔43の内側に、バルブボディ32をレール本体20に締結した際にバルブボディ32に生じる変形がピストン摺動孔43の内径方向に向かうのを防ぐ規制部材を圧入したものである。
具体的に、この実施例8では、規制部材としてストッパ35をピストン摺動孔43の内周に圧入した例を示す。なお、ストッパ35とは別の部材の規制部材を用いてピストン摺動孔43の内周に圧入しても良い。
なお、この実施例では、バルブボディ32の下端面は、レール本体20の第1平面24に密着して本体シール面(液密面:密着面)を形成するものである。
また、高軸力の締め付けによってピストン摺動孔43が内径方向に変形するのをストッパ35(規制部材)によって防ぐことができるため、バルブボディ32とレール本体20との密着面の加工精度を抑えることが可能になり、コストの低減を図ることも可能になる。
この実施例9は、請求項1と請求項3の発明を組み合わせて用いたものである。
この実施例9は、上述した実施例3のストッパ35の上面に、ピストン摺動孔43の内周に圧入される圧入部61(規制部材)を設けたものである。
この実施例10は、請求項4の発明を採用するものであり、(1)バルブボディ32をレール本体20に締結した際にバルブボディ32に生じる歪を、バルブボディ32の外径方向に向かわせる歪外向け手段62を設けるとともに、(2)バルブボディ32とレール本体20との間に、歪外向け手段62によってバルブボディ32の外径方向に生じた歪を吸収する隙間αを設けたものである。
そこで、この実施例10では、歪外向け手段62として、図11(b)に示すように、バルブボディ32の締結時に高軸力で回転摺動を受けるバルブボディ32の下端面に、変形を外径方向に生じさせるためのテーパ面(内周テーパ幅62a>外周テーパ幅62b)を設けた。
このようなテーパ面による歪外向け手段62を設けることにより、バルブボディ32をレール本体20に強くねじ込むと、図11(c)に示すように、バルブボディ32の下端近傍は外径方向に変形する。
具体的に、この実施例10では、図11(a)に示すように、バルブボディ32の下側の外周面に全周にわたる逃がし(切削部)56cを設けることで、バルブボディ32の下端近傍の外側に向かう変形を吸収する隙間αを設けたものである。
この実施例11は、請求項5の発明を採用するものであり、(1)バルブボディ32をレール本体20に締結する際にバルブボディ32にレール本体20に向かう軸力を与える軸力付与部βと、バルブボディ32とピストン33が直接摺動する直接摺動範囲γとを、軸方向に異なる位置に設けるとともに、(2)軸方向における直接摺動範囲γ内のバルブボディ32と、レール本体20(バルブボディ32が挿入される穴)との間に、レール本体20がバルブボディ32を圧迫するのを防ぐ隙間α(バルブボディ32が挿入される穴に生じる歪を吸収する隙間α)を設けるものである。
しかるに、この実施例11のように設けることにより、バルブボディ32がレール本体20に高軸力で締め付けられても、バルブボディ32を挿入する穴形状に生じていた歪はバルブボディ32とレール本体20の間の隙間αで吸収されるため、バルブボディ32を挿入する穴形状に生じていた歪がバルブボディ32に伝わる不具合が阻止される。これによって、ピストン摺動孔43が歪む不具合を回避することができ、ピストン33の摺動を悪化させることがない。
この実施例12も請求項5の発明を採用するものであり、第1雌ネジ26の下部が挿入されるレール本体20の穴の内周面に全周にわたる逃がし(切削部)56eを設けて、第1雄ネジ41の下部のバルブボディ32(直接摺動範囲γ内のバルブボディ32)とレール本体20との間に、レール本体20がバルブボディ32を圧迫するのを防ぐ隙間αを設けたものである。
この実施例13も請求項5の発明を採用するものである。
上記実施例11、12では、バルブボディ32あるいはレール本体20の少なくとも一方に逃がし(切削部)56d、56eを設けて隙間αを広げる例を示した。
これに対し、この実施例13は、バルブボディ32およびレール本体20に逃がし(切削部)56d、56eを設けるのではなく、第1雄ネジ41の下部のバルブボディ32(直接摺動範囲γ内のバルブボディ32)が挿入される穴の径を広めに設けたり、第1雄ネジ41の下部のバルブボディ32(直接摺動範囲γ内のバルブボディ32)の外径寸法をやや小径に設けるなどして、バルブボディ32の挿入用クリアランスを意図的に広く設けて、その挿入用クリアランスをレール本体20がバルブボディ32を圧迫するのを防ぐ隙間αとして利用するものである。
この実施例14も請求項5の発明を採用するものである。
この実施例14は、(1)バルブボディ32を挿入する穴を形成するレール本体20の筒部の外周面に雄ネジ63を形成し、(2)バルブボディ32の外周面における軸方向中間付近に設けられたフランジ64に係合するナット65の雌ネジ66を上記雄ネジ63に強くねじ込むことで、バルブボディ32の下端がレール本体20の第1平面24に向けて強く押し付けられる構造のものである。即ち、フランジ64とナット65の係合部が軸力付与部βとなる。この構造によって、軸力付与部βと直接摺動範囲γが軸方向にズレた位置に設けられる。
なお、この実施例14は、上記実施例13と同様、バルブボディ32が挿入される穴の径を広めに設けたり、フランジ64の下部のバルブボディ32の外径寸法をやや小径に設けるなどして、バルブボディ32の挿入用クリアランスを意図的に広く設けて、その挿入用クリアランスをレール本体20がバルブボディ32を圧迫するのを防ぐ隙間αとして利用するものである。
31 フローダンパ
32 バルブボディ
33 ピストン
35 ストッパ(規制部材)
43 ピストン摺動孔
58 カラー(別部材)
61 圧入部(規制部材)
62 歪外向け手段
α 隙間
β 軸力付与部
γ 直接摺動範囲
Claims (5)
- 内部に高圧燃料を蓄圧するレール本体に締結されるバルブボディと、
このバルブボディの内部で摺動するピストンと、
を備えるフローダンパにおいて、
前記バルブボディと前記ピストンの間に、前記バルブボディを前記レール本体に締結した際に前記バルブボディに生じる歪を吸収する隙間を設けることを特徴とするフローダンパ。 - 内部に高圧燃料を蓄圧するレール本体に締結されるバルブボディと、
このバルブボディの内部で摺動するピストンと、
を備えるフローダンパにおいて、
前記バルブボディと前記ピストンとの間に、前記ピストンを摺動自在に支持する別部材を配置し、
前記バルブボディと前記別部材の間に、前記バルブボディを前記レール本体に締結した際に前記バルブボディに生じる歪を吸収する隙間を設けることを特徴とするフローダンパ。 - 内部に高圧燃料を蓄圧するレール本体に締結されるバルブボディと、
このバルブボディの内部で摺動するピストンと、
を備えるフローダンパにおいて、
前記バルブボディにおけるピストン摺動孔の内側に、前記バルブボディを前記レール本体に締結した際に前記バルブボディに生じる歪が前記ピストン摺動孔の内径方向に向かうのを防ぐ規制部材を圧入することを特徴とするフローダンパ。 - 内部に高圧燃料を蓄圧するレール本体に締結されるバルブボディと、
このバルブボディの内部で摺動するピストンと、
を備えるフローダンパにおいて、
前記バルブボディを前記レール本体に締結した際に前記バルブボディに生じる歪を、当該バルブボディの外径方向に向かわせる歪外向け手段を設けるとともに、
前記バルブボディと前記レール本体の間に、前記歪外向け手段によって前記バルブボディの外径方向に生じた歪を吸収する隙間を設けることを特徴とするフローダンパ。 - 内部に高圧燃料を蓄圧するレール本体に締結されるバルブボディと、
このバルブボディの内部で摺動するピストンと、
を備えるフローダンパにおいて、
前記バルブボディを前記レール本体に締結する際に前記バルブボディに前記レール本体に向かう軸力を与える軸力付与部と、前記バルブボディと前記ピストンが直接摺動する直接摺動範囲とを、軸方向に異なる位置に設けるとともに、
軸方向における前記直接摺動範囲内の前記バルブボディと、前記レール本体との間に、前記レール本体が前記バルブボディを圧迫するのを防ぐ隙間を設けることを特徴とするフローダンパ。
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