JP6572241B2 - バルブ機構、及びこれを備えた高圧燃料供給ポンプ - Google Patents
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Description
高圧配管の圧力がリリーフバルブの開弁圧よりも上昇するとリリーフバルブが開弁する。この場合、前述の通り中間室の圧力が低圧側より高くなりボールホルダとボールバルブを大きなストロークで移動し、異常高圧燃料を低圧側に開放する。つまり、リリーフバルブは一度開弁すると中間室の圧力が低圧側より高いために、大きく開弁した状態となり、その状態が維持される。さらに、実際の高圧配管においては、高圧燃料供給ポンプの運動による圧力脈動が発生する。高圧側の燃料が正常圧力に調圧されても(圧力脈動の平均値が正常圧力に調圧されても)、この圧力脈動のピーク値がリリーフバルブの開弁圧力よりも高くなると、リリーフバルブは開弁状態を維持し、高圧配管燃料を低圧側に開放してしまう。その結果、通常の高圧吐出が出来ないと言う問題がある。
「シート部を有するシート部材と、 前記シート部材の内壁面に対向する端面を有し、該端面と前記シート部材の前記内壁面との間に第1の隙間が形成されるばね受け部材と、 前記ばね受け部材と前記シート部との間に形成されたバルブ部材と、 前記ばね受け部材を前記端面と反対側から前記シート部の側に押し付けることで前記バルブ部材を前記シート部に押し付けるばね部材と、を備え、 前記ばね受け部材は、一端に前記端面が形成され他端に前記ばね部材を受けるばね受け面が形成された円盤形状部を有し、 前記ばね受け部材の前記端面は前記バルブ部材の重心よりも前記シート部の側に配置され、 前記円盤形状部の外周面は、前記端面と前記ばね受け面との間の、前記ばね部材の移動方向に沿う形状が前記外周面の全周に亘って直線状を成し、 前記シート部材の内周面は、前記バルブ部材が閉弁した状態において前記円盤形状部の前記外周面と対向する部位の、前記ばね部材の移動方向に沿う形状が前記内周面の全周に亘って直線状を成し、 前記ばね受け部材と前記シート部材の前記内周面との対面部位において、前記円盤形状部の前記外周面と前記シート部材の前記内周面との間に形成される径方向の第2の隙間によって絞り部が構成され、 前記ばね受け部材の前記端面及び該端面に対向する前記シート部材の前記内壁面は、前記バルブ部材の最外周部から径方向外側において、それぞれが平面を成して対向して前記第1の隙間を形成すること」を特徴とするものである。
本発明のその他の構成、作用、効果については以下の実施例において詳細に説明する。
破線で囲まれた部分が高圧燃料供給ポンプ(以下、高圧ポンプと呼ぶ)本体を示し、この破線の中に示されている機構・部品はポンプ本体1に一体に組み込まれていることを示す。
本実施例の高圧ポンプはポンプ本体1に設けられた取付けフランジ1eを用い内燃機関のシリンダヘッド90の平面に密着し、複数のボルト91で固定される。取付けフランジ1eは溶接部1fにてポンプ本体1に全周を溶接結合されて環状固定部を形成している。本実施例では、レーザー溶接を用いている。
以上のように電磁コイル43への通電タイミングを制御することで、高圧吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することが出来る。
図5はリリーフバルブ200の閉弁状態を示し、図6はリリーフバルブ200の開弁状態を示す。図7はリリーフバルブ200周辺の各部位の圧力の状態を示す。
リリーフ弁200はリリーフボディ201、バルブ部材202、バルブホルダ203、リリーフばね204、ばねストッパ205からなる。リリーフボディ201には、テーパー形状のシート部201a設けられている。バルブ部材202はリリーフばね204の荷重がバルブホルダ203を介して負荷され、シート部201aに押圧され、シート部201aと協働して燃料を遮断している。
高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁300の故障等により、燃料吐出口12の圧力が異常に高圧になった場合は、リリーフバルブ200により異常高圧をリリーフする。
吸入工程、及び戻し工程においては加圧室11内の圧力は0.5MPa程度であり、リリーフバルブ200の開弁圧力は19MPaであるから、燃料吐出口12の圧力が19.5MPa以上になるとリリーフバルブ200の入り口と出口の圧力差が19MPaを超えてリリーフバルブ200が開弁(バルブ部材202がシート部201aより離座)して異常高圧を加圧室11へと逃がす。
(2)燃料吐出口12と中間室210の差圧による力 : 開弁方向
(3)中間室210とリリーフばね室212の差圧による力 : 開弁方向
そして、以下の関係が成立するとバルブ部材202、バルブホルダ203は大きく開弁方向に移動する。
(1) < (2) + (3)
バルブホルダ203がポンプ本体のストッパ部214に接触すると開弁運動を止める。このようにして本実施例のリリーフばね204は密着しないように設計されているものである。リリーフばね204が密着してしまうと、リリーフばね室212からリリーフ通路213に燃料が開放されないので、異常高圧を開放できない。
プランジャ2が下降運動を開始すると、加圧室11および中間室210の圧力は低下を始めるが、中間室210の圧力降下は加圧室11の圧力降下より遅い。これは、中間室210と加圧室11の間には存在する隙間211の影響である。加圧室11の圧力が降下すると、中間室210内の燃料の一部が隙間211を通って加圧室11側へ移動し、中間室の圧力が低下する。前述の通り、隙間211は、燃料が流れる際に絞り効果が発生する程度に小さいので、この絞り効果の影響で中間室210と加圧室11の間に差圧が発生し、バルブ部材202およびバルブホルダ203には開弁方向に力が発生する。
(1)リリーフばね204による力 : 閉弁方向
(2)燃料吐出口12と中間室210の差圧による力 : 開弁方向
(3)中間室210とリリーフばね室212の差圧による力 : 開弁方向
前述した、隙間211によって発生する力は(3)である。
正常運転においては、リリーフバルブ200は開弁してはならず、その時の条件は下記となる。 (1) > (2) + (3) 本不等式が成立するためには、(3)が十分小さい必要がある。
内燃機関の駆動回転速度が大きいときは、プランジャ2の運動速度も大きいので隙間211を通過する燃料速度も大きい。よって、絞り効果も大きく(3)の値が大きい為に上記の不等式が成立しないという問題があることを発明者らは鋭意検討の末、突き止めた。
一つ目は、隙間211の流路断面積を大きくすることで絞り効果を小さくするという方法である。このようにする事で、中間室211と加圧室11の差圧を小さく出来る。しかし一方、異常高圧が発生した際のリリーフ効果が小さくなってしまう。
本実施例においては、バルブはボールバルブとなっており、バルブホルダとは別体となっている。ボールバルブを採用する利点としては、低コスト・高精度(真球度)が挙げられる。バルブ部材202はシート部201aと接触して燃料をシールする機能があるので、その精度は高いほど良い。
2 プランジャ
6 シリンダ
7 シールホルダ
8 吐出弁機構
9 圧力脈動低減機構
10a 低圧燃料吸入口
11 加圧室
12 燃料吐出口
13 プランジャシール
30 吸入弁
40 ロッド付勢ばね
43 電磁コイル
100 圧力脈動伝播防止機構
101 弁シート
102 弁
103 ばね
104 ばねストッパ
200 リリーフバルブ
201 リリーフボディ
202 バルブホルダ
203 リリーフばね
204 ばねストッパ
300 電磁吸入弁
Claims (18)
- シート部を有するシート部材と、
前記シート部材の内壁面に対向する端面を有し、該端面と前記シート部材の前記内壁面との間に第1の隙間が形成されるばね受け部材と、
前記ばね受け部材と前記シート部との間に形成されたバルブ部材と、
前記ばね受け部材を前記端面と反対側から前記シート部の側に押し付けることで前記バルブ部材を前記シート部に押し付けるばね部材と、を備え、
前記ばね受け部材は、一端に前記端面が形成され他端に前記ばね部材を受けるばね受け面が形成された円盤形状部を有し、
前記ばね受け部材の前記端面は前記バルブ部材の重心よりも前記シート部の側に配置され、
前記円盤形状部の外周面は、全周に亘って、前記端面と前記ばね受け面との間の、前記ばね部材の移動方向に沿う形状が直線状を成し、
前記シート部材の内周面は、全周に亘って、前記バルブ部材が閉弁した状態において前記円盤形状部の前記外周面と対向する部位の、前記ばね部材の移動方向に沿う形状が直線状を成し、
前記ばね受け部材と前記シート部材の前記内周面との対面部位において、前記円盤形状部の前記外周面と前記シート部材の前記内周面との間に形成される径方向の第2の隙間によって絞り部が構成され、
前記ばね受け部材の前記端面及び該端面に対向する前記シート部材の前記内壁面は、前記バルブ部材の最外周部から径方向外側において、それぞれが平面を成して対向して前記第1の隙間を形成することを特徴とするバルブ機構。 - 請求項1に記載のバルブ機構において、
前記ばね受け部材の前記端面と前記シート部材の前記内壁面との間の前記第1の隙間は0.4mm以下に形成されることを特徴とするバルブ機構。 - 請求項1に記載のバルブ機構において、
前記バルブ部材がボールバルブであり、前記ばね受け部材の前記端面は前記ボールバルブの中心よりも前記シート部の側に配置されることを特徴とするバルブ機構。 - 請求項1に記載のバルブ機構において、
前記バルブ部材がボールバルブであり、前記ボールバルブの最も前記ばね受け部材に近い部位を前記ボールバルブの最外周部とする場合に、前記ばね受け部材の前記端面が前記ボールバルブの前記最外周部より前記シート部の側に位置することを特徴とするバルブ機構。 - 請求項1に記載のバルブ機構において、
前記バルブ部材と前記ばね受け部材とは別体であり、前記ばね受け部材は、前記ばね部材の移動方向において前記バルブ部材の半径より大きく重なるように配置されることを特徴とするバルブ機構。 - 請求項1に記載のバルブ機構において、
前記バルブ部材と前記ばね受け部材とは別体であり、前記ばね受け部材の内周面部の前記バルブ部材との対面部位に、前記バルブ部材を案内するバルブガイド部が形成されることを特徴とするバルブ機構。 - 請求項6に記載のバルブ機構において、
前記バルブガイド部は前記ばね部材の移動方向と略平行な直線部を有することを特徴とするバルブ機構。 - 請求項7に記載のバルブ機構において、
前記バルブガイド部は、前記直線部から前記シート部と反対側の中央側に傾斜する傾斜部を有することを特徴とするバルブ機構。 - シート部を有するシート部材と、
前記シート部と接触、又は離間するバルブ部材と、
前記シート部材の内壁面と対向する端面を有し、該端面と前記シート部材の前記内壁面との間に第1の隙間が形成され、前記バルブ部材を保持するバルブ保持部材と、
前記端面と反対側から前記バルブ保持部材を前記シート部の側に押し付けることで前記バルブ部材を前記シート部に押し付けるばね部材と、を備え、
前記バルブ保持部材は、一端に前記端面が形成され他端に前記ばね部材を受けるばね受け面が形成された円盤形状部と、内周面部の前記バルブ部材との対面部位に構成され前記バルブ部材を案内するバルブガイド部と、を有し、
前記円盤形状部の外周面は、前記端面と前記ばね受け面との間の、前記ばね部材の移動方向に沿う形状が前記外周面の全周に亘って直線状を成し、
前記シート部材の内周面は、前記バルブ部材が閉弁した状態において前記円盤形状部の前記外周面と対向する部位の、前記ばね部材の移動方向に沿う形状が前記内周面の全周に亘って直線状を成し、
前記バルブ保持部材と前記シート部材の前記内周面との対面部位において、前記円盤形状部の前記外周面と前記シート部材の前記内周面との間に形成される径方向の第2の隙間によって絞り部が構成され、
前記バルブ保持部材の前記端面及び該端面に対向する前記シート部材の前記内壁面は、前記バルブガイド部が構成される前記バルブ保持部材の前記内周面部から径方向外側において、それぞれが平面を成して対向して前記第1の隙間を形成することを特徴とするバルブ機構。 - 請求項9に記載のバルブ機構において、
前記バルブガイド部は前記ばね部材の移動方向と略平行な直線部を有することを特徴とするバルブ機構。 - 請求項10に記載のバルブ機構において、
前記バルブガイド部は、前記直線部から前記シート部と反対側の中央側に傾斜する傾斜部を有することを特徴とするバルブ機構。 - 請求項9に記載のバルブ機構において、
前記バルブ保持部材の端面は前記バルブ部材の重心よりも前記シート部の側に配置されることを特徴とするバルブ機構。 - 請求項9に記載のバルブ機構において、
前記バルブ保持部材の前記端面と前記シート部材の前記内壁面との間の隙間は0.4mm以下に形成されることを特徴とするバルブ機構。 - 請求項9に記載のバルブ機構において、
前記バルブ保持部材の外周面と前記シート部材の内周面との径方向の前記第2の隙間は0.005mm以上0.2mm以下に形成されることを特徴とするバルブ機構。 - 請求項9に記載のバルブ機構において、
前記バルブガイド部は前記ばね部材の移動方向と沿うように略円筒部が形成されることを特徴とするバルブ機構。 - プランジャにより加圧される加圧室と、
前記加圧室の吸入側に配置される吸入弁機構と、
前記加圧室の吐出側に配置される吐出弁機構と、
前記吐出弁機構の吐出側の吐出流路の燃料の圧力が所定値以上になった場合に、前記吐出流路の燃料を前記加圧室に、又は低圧燃料流路に戻すリリーフ弁機構と、を備えた高圧燃料供給ポンプにおいて、
前記リリーフ弁機構に請求項6、9の何れかに記載のバルブ機構が用いられたことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。 - 請求項16に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
前記バルブガイド部は前記加圧室と、前記吐出流路との間に配置されることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。 - 請求項16に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
前記バルブガイド部は前記ばね部材の移動方向と沿うように略円筒部が形成されることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
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