JP2020126760A - 固体電解質 - Google Patents

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Abstract

【課題】硫化水素の発生を抑制し得る硫化物固体電解質を簡便な製造方法によって提供すること。【解決手段】リチウム元素、リン元素及び硫黄元素を含み、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質を提供する。固体電解質は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積10容量%、50容量%、及び90容量%における体積累積粒径をそれぞれD10、D50及びD90としたとき、(D90−D10)/D50の値が4.0未満である。固体電解質は、結晶子サイズが10nm以上160nm以下であることが好適である。固体電解質は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積95容量%における体積累積粒径D95が65μm未満であることも好適である。【選択図】なし

Description

本発明は固体電解質に関する。また本発明は、固体電解質を含有する電極合剤及び全固体電池に関する。
全固体電池は、可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化を図ることができ、しかも製造コスト及び生産性に優れたものとすることができるばかりか、セル内で直列に積層して高電圧化を図れるという特徴も有している。
全固体電池に用いる固体電解質の一つとして、硫化物固体電解質が検討されている。硫化物固体電解質は大気中の水分と容易に反応し硫化水素を発生させることが知られている。硫化水素の発生を抑制することを目的として、例えば特許文献1においては、硫化物固体電解質の製造プロセスに工夫を施している。詳細には、LiS、P、LiI及びLiBrを含む原料組成物に対し、ボールミルを用いた第1のメカニカルミリングを行い、硫化物ガラスを合成し、該硫化物ガラスにBi及びエーテル化合物を添加して、単位質量当たりの総粉砕エネルギーEが第1のメカニカルミリングよりも小さい条件で、ボールミルを用いた第2のメカニカルミリングを行い、硫化物ガラスをBiで改質しつつ微粒化し;Biで改質され且つ微粒化した硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で焼成し、ガラスセラミックスである硫化物固体電解質を得ている。
特許文献2においては、立方晶系Argyrodite型の結晶層を含有し、組成式:Li7−x+yS6−xClx+yで表されるリチウムイオン電池用硫化物固体電解質化合物が開示されている。前記組成式におけるx及びyは、0.05≦y≦0.9及び−3.0x+1.8≦y≦−3.0x+5.7を満足する。
特開2018−133227号公報 国際公開第2016/104702号パンフレット
特許文献1に記載の方法は製造工程が煩雑であり、経済的に見合うように硫化物固体電解質を工業的に製造するには適したものと言い難い。したがって本発明の課題は、硫化物固体電解質の改良にあり、更に詳しくは硫化水素の発生を抑制し得る硫化物固体電解質を提供することにある。
前記の課題を解決すべく本発明者は鋭意検討した結果、硫化物固体電解質の粒子の粒度分布を適切に調整することで、硫化水素の発生を効果的に抑制し得ることを知見した。本発明はこの知見に基づきなされたものであり、リチウム元素、リン元素及び硫黄元素を含み、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質であって、
レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積10容量%、50容量%、及び90容量%における体積累積粒径をそれぞれD10、D50及びD90としたとき、(D90−D10)/D50の値が4.0未満である、固体電解質を提供するものである。
また本発明は、前記の固体電解質と、活物質とを含む、電極合剤を提供するものである。
更に本発明は、前記の固体電解質、又は前記の電極合剤を含む電極層を提供するものである。
更に本発明は、前記の固体電解質、又は前記の電極合剤を含む全固体電池を提供するものである。
本発明によれば、硫化水素の発生を抑制し得る硫化物固体電解質が簡便な製造方法によって提供される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の固体電解質はリチウムイオン伝導性を有するものである。ここで、「リチウムイオン伝導性を有する」とは、所定のリチウムイオン伝導度を有することを指す。本発明の固体電解質が有するリチウムイオン伝導度は、例えば室温、すなわち25℃において、1.0mS/cm以上であることが好ましく、4.0mS/cm以上であることが好ましく、中でも、4.2mS/cm以上であることが好ましく、特に5.5mS/cm以上、とりわけ6.0mS/cm以上であることが好ましい。
リチウムイオン伝導度は、例えば以下に述べる方法を用いて測定することができる。固体電解質粉末を、十分に乾燥されたArガス(露点−60℃以下)で置換されたグローブボックス内で一軸加圧成形する。更に冷間等方圧加圧装置によって200MPaで成形し、直径10mm、厚み約4mm〜5mmのペレットを作製する。ペレット上下両面に電極としてのカーボンペーストを塗布した後、180℃で30分間の熱処理を行い、リチウムイオン伝導度測定用のサンプルを作製する。得られたサンプルのリチウムイオン伝導度は、例えば東陽テクニカ株式会社のソーラトロン1255Bを用いて測定することができる。また、前記測定は、温度25℃、周波数0.1Hz〜1MHzの条件下、交流インピーダンス法によって行うことができる。
本発明の固体電解質は、その構成元素としてリチウム(Li)元素、リン(P)元素及び硫黄(S)元素を含む、いわゆる硫化物固体電解質である。本発明の固体電解質のリチウムイオン伝導性は、硫化物固体電解質に起因するものである。本発明においては、リチウム元素、リン元素、硫黄元素及びハロゲン元素を含むものであることが、リチウムイオン伝導性を高める点から有利である。ハロゲン元素としては、例えば、フッ素(F)元素、塩素(Cl)元素、臭素(Br)元素及びヨウ素(I)元素が挙げられ、この中から選択される一種又は二種以上の元素を用いることができる。本発明においては、ハロゲン元素として、塩素元素及び/又は臭素元素を用いることが、リチウムイオン伝導性の一層の向上の点から有利である。硫化物固体電解質は、リチウム元素、リン元素、硫黄元素及びハロゲン元素以外の元素を含有していてもよい。例えば、リチウム元素の一部を他のアルカリ金属元素に置き換えたり、リン元素の一部を他のプニクトゲン元素に置き換えたり、硫黄元素の一部を他のカルコゲン元素に置き換えたりすることができる。
本発明の固体電解質は、通常、粒子の集合体としての粉末からなる。本発明者が鋭意検討した結果、意外にも、固体電解質粉末の粒度分布を調整することで、該固体電解質からの硫化水素の発生を効果的に抑制し得ることが判明した。詳細には、固体電解質粒子の粒子径を極力均一にして、粉末の粒度分布をシャープにすることで、固体電解質からの硫化水素の発生を効果的に抑制できる。この理由は現在のところ明確ではない。一つの理由として、本発明者は以下のように考えている。固体電解質粒子の粒子径が不均一であり、様々な粒子径の粒子が存在している場合には、固体電解質を構成する硫黄元素において局所的な組成の偏りが生じる確率が高くなる。そのような粒子は水に対する安定性が低く硫化水素を発生させやすい。そのような粒子が硫化水素の発生の起点となり、硫化水素の発生量が増大すると考えられる。これに対して、固体電解質粒子の粒子径が均一になるほど、固体電解質を構成する硫黄元素において局所的な組成の偏りが生じる確率が低くなる。つまり水に対する安定性が低い粒子の存在確率が低くなる。その結果、硫化水素の発生が抑制されると考えられる。尤も、本発明の範囲はこの理論に拘束されない。
粒子の粒度分布のシャープさは一般に(D90−D10)/D50を指標にして評価できる。D10、D50及びD90はそれぞれ、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積10容量%、50容量%、及び90容量%における粒子の体積累積粒径である。本発明においては、固体電解質粉末の(D90−D10)/D50の値を4.0未満に設定することで、該固体電解質粉末の粒度分布がシャープになり、それによって硫化水素の発生が抑制される。この効果を一層顕著なものとする観点から、(D90−D10)/D50の値は、例えば3.9未満であってもよく、3.8未満であってもよく、3.7未満であってもよい。一方、(D90−D10)/D50の値は、0より大きくてもよく、0.5以上であってもよく、0.8以上であってもよい。(D90−D10)/D50の値が前記範囲内であることにより、満足し得るレベルで硫化水素の発生を抑制できることが本発明者によって確認されている。
レーザー回折散乱式粒度分布測定法による固体電解質粉末の粒度分布の測定は、例えば次の手順で行うことができる。レーザー回折粒子径分布測定装置用自動試料供給機(日機装株式会社製「Microtorac SDC」)を用い、サンプル(スラリー)6mlを非水系溶媒(トルエン)に投入し、流速を50%に設定し、30Wの超音波を60秒間照射する。その後、例えば日機装株式会社製レーザー回折粒度分布測定機「MT3000II」を用いて粒度分布を測定し、得られた体積基準粒度分布のチャートから10容量%、50容量%、及び90容量%における体積累積粒径D10、D50及びD90の値を測定することができる。
なお、測定の際の非水溶性溶媒は60μmのフィルターを通し、溶媒屈折率を1.50、粒子透過性条件を透過、粒子屈折率1.59、形状を非球形とし、測定レンジを0.133μm〜704.0μm、測定時間を10秒とし、2回測定した平均値をそれぞれD10、D50及びD90とする。
前記のサンプル(スラリー)は固体電解質0.3gと分散液5.7g(質量比トルエン:サンノプコ株式会社製 SNディスパーサント9228=19:1)とを手混合することにより作製することができる。
レーザー回折散乱式粒度分布測定法によって測定された固体電解質粉末の粒度分布曲線は、(D90−D10)/D50の値が上述の上限を有していればよい。前記粒度分布曲線は、例えば単一のピークのみを有していてもよく、あるいは2以上のピークを有していてもよいが、固体電解質粉末の粒度分布をシャープにするといった観点から、前者であることが好ましい。
本発明においては、固体電解質粉末の粒度分布をシャープにすることに加えて、固体電解質粒子の粒子径も調整することが好ましい。詳細には、上述した(D90−D10)/D50におけるD10、D50及びD90の値を調整することが好ましい。D10、D50及びD90の値は、(D90−D10)/D50の値が所定の上限を有することを条件として、それぞれ以下の範囲であることが、硫化水素の発生を一層抑制することができるといった観点から好ましい。
・D10:好ましくは0.1μm以上1.9μm以下。更に好ましくは0.3μm以上1μm以下。一層好ましくは0.35μm以上0.6μm以下。
・D50:好ましくは0.3μm以上10μm以下。更に好ましくは0.5μm以上7μm以下。一層好ましくは0.6μm以上4μm以下。
・D90:好ましくは0.5μm以上50μm以下。更に好ましくは0.7μm以上10μm以下。一層好ましくは1μm以上5μm以下。
本発明の固体電解質粉末は、粗大粒子を含まないことも、硫化水素の発生の一層の抑制の観点から好ましい。この観点から、本発明の固体電解質粉末は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積95容量%における体積累積粒径D95が、上述したD90の値を下回らないことを条件として、65μm未満であることが好ましく、30μm以下であることが更に好ましく、10μm以下であることが一層好ましい。
本発明の固体電解質は、その結晶子サイズが特定の範囲にあることも、硫化水素の発生の抑制の観点から有利である。固体電解質からの硫化水素の発生は、結晶粒界から起こりやすいと考えられるところ、結晶子サイズを特定の範囲に調整することで、結晶粒界を極力少なくして、硫化水素が発生する可能性のあるサイトを極力低減できるからである。この観点から、本発明の固体電解質の結晶子サイズは、例えば10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることが更に好ましく、40nm以上であることがより一層好ましい。一方、固体電解質の結晶子サイズは、例えば、160nm以下であることが好ましく、120nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが更に好ましく、80nm以下であることがより一層好ましい。結晶子サイズが前記下限を有することにより、粒子界面を適切に減らすことが出きるので、高いイオン伝導性を得ることができる。また、結晶子サイズが前記上限を有することにより、電極合剤とした際のリチウムイオン伝導経路を得ることができる。
結晶子サイズは次の方法で測定される。測定は、株式会社リガク製のXRD装置「Smart Lab」を用いて、走査軸:2θ/θ、走査範囲:10〜140deg、ステップ幅:0.01deg、走査速度:1deg/minの条件下で行った。得られた解析データをPDXL(株式会社リガク製プログラム)WPPFで解析することにより結晶子サイズを算出した。
本発明の固体電解質粉末は、その比表面積が特定の範囲にあることも、硫化水素の発生の抑制の観点から有利である。固体電解質の比表面積を特定の範囲に調整することで、硫化水素が発生する可能性のあるサイトを極力低減できるからである。この観点から、本発明の固体電解質のBET比表面積は、2m/g以上30 m/g以下であることが好ましく、3m/g以上20m/g以下であることが更に好ましく、4m/g以上10m/g以下であることが一層好ましい。
BET比表面積は次の方法で算出される。MicrotracBEL株式会社製の比表面積測定装置「BELSORP−miniII」を用いて、定容量ガス吸着法により吸脱着等温線を測定し、多点法によりBET比表面積を算出した。
固体電解質粉末の(D90−D10)/D50の値、粒子径、結晶子サイズ及びBET比表面積を調整するためには、固体電解質粉末に対して適切な粉砕処理を施せばよい。例えば、公知の方法で製造された固体電解質粉末を、ボールミル等を用いて粗粉砕した後、湿式で微粉砕することで、粒度分布、粒子径、結晶子サイズ及びBET比表面積を調整できる。具体的には、湿式の微粉砕を行うときの粉砕条件、例えば粉砕時間、粉砕装置の回転数、粉砕メディアの材質、粉砕メディアの粒径、スラリーの濃度、スラリーの送液量、固体電解質粉末と粉砕メディアとの質量比などをコントロールすることで、目的とする粒度分布を有する固体電解質粉末を得ることができる。これらの粉砕条件を見出だすことは、当業者の技術常識の範囲内のものであり、当業者に過度の負担を与えることなく決定できる類いの事項である。
以上のとおり、本発明によれば粉砕という簡便な方法を用いることによって、硫化水素の発生が抑制された固体電解質粉末を容易に得ることができる。
本発明の固体電解質は、リチウムイオン伝導性を一層高める観点から、アルジロダイト型結晶構造を有することが好ましい。アルジロダイト型結晶構造とは、化学式:AgGeSで表される鉱物に由来する化合物群が有する結晶構造である。アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質は立方晶に属する結晶構造を有することが、リチウムイオン伝導性の更に一層の向上の観点から特に好ましい。
アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質においては、それに含まれるハロゲン元素として、例えば、フッ素(F)元素、塩素(Cl)元素、臭素(Br)元素及びヨウ素(I)元素からなる群から選択される一種又は二種以上の元素を用いることができる。リチウムイオン伝導性の向上の観点から、ハロゲン元素として塩素元素及び/又は臭素元素を用いることが特に好ましい。
アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質は、例えば、組成式:Li7-a-2bPS6-a-b(Xは、フッ素(F)元素、塩素(Cl)元素、臭素(Br)元素、ヨウ素(I)元素のうち少なくとも一種である。)で表される化合物であることが、リチウムイオン伝導性の一層の向上の観点から特に好ましい。前記組成式におけるハロゲン元素としては、フッ素(F)元素、塩素(Cl)元素、臭素(Br)元素、ヨウ素(I)元素を挙げることができ、これらのうちの一種であってもよいし又は二種以上の組み合わせであってもよい。
前記組成式において、X(ハロゲン)元素のモル比を示すaは0.4以上2.2以下であることが好ましい。aがこの範囲であれば、室温(25℃)近傍における立方晶系アルジロダイト型結晶構造が安定であり、リチウムイオンの伝導性を高めることができる。この観点から、aは0.5以上2.0以下であることが更に好ましく、0.6以上1.8以下であることが特に好ましく、0.7以上1.6以下であることが一層好ましい。
前記組成式においてbは、化学量論組成に対してLiS成分がどれだけ少ないかを示す値である。室温(25℃)近傍における立方晶系アルジロダイト型結晶構造が安定であり、リチウムイオン伝導性が向上するといった観点から、−0.9≦b≦−a+2を満足することが好ましい。特に、立方晶系アルジロダイト型結晶構造の耐湿性を高める観点から、−a+0.4≦bを満足することが一層好ましく、−a+0.9≦bを満足することが更に好ましい。
硫化物固体電解質がアルジロダイト型結晶構造を有するか否かは、例えば、XRD測定により確認することができる。すなわち、CuKα1線を用いたX線回折装置(XRD)により測定されるXRD測定において、アルジロダイト型構造の結晶相は、2θ=15.34°±1.00°、17.74°±1.00°、25.19°±1.00°、29.62°±1.00°、30.97°±1.00°、44.37°±1.00°、47.22°±1.00°、51.70°±1.00°に特徴的なピークを有する。更に、例えば、2θ=54.26°±1.00°、58.35°±1.00°、60.72°±1.00°、61.50°±1.00°、70.46°±1.00°、72.61°±1.00°にも特徴的なピークを有する。一方、硫化物固体電解質がアルジロダイト型構造の結晶相を含まないことは、上述したアルジロダイト型構造の結晶相に特徴的なピークを有しないことで確認できる。
硫化物固体電解質がアルジロダイト型結晶構造を有するとは、硫化物固体電解質が少なくともアルジロダイト型構造の結晶相を有することを意味する。本発明においては、硫化物固体電解質が、アルジロダイト型構造の結晶相を主相として有することが好ましい。「主相」とは、硫化物固体電解質を構成するすべての結晶相の総量に対して最も割合の大きい相を指す。よって、硫化物固体電解質に含まれるアルジロダイト型構造の結晶相の含有割合は、硫化物固体電解質を構成する全結晶相に対して、例えば60質量%以上であることが好ましく、中でも70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上であることが更に好ましい。結晶相の割合は、例えばXRDにより確認できる。
アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質は、高いリチウムイオン伝導性を示すが、構造中にP元素と近接していないS2−アニオンが存在するため、S元素の大部分がPS 3−ユニットを構成している結晶性LiPSや75LiS−Pガラスに比べて、水との反応性が高く、HS発生量が多いと考えられる。一方、本発明の硫化物固体電解質は、(D90−D10)/D50が所定の範囲内であることにより、アルジロダイト型結晶構造を有する場合であっても、硫化水素の発生量を効果的に抑制することができる。
本発明の固体電解質は、例えば固体電解質層を構成する材料や、活物質を含む電極層を構成する電極合剤として使用できる。具体的には、正極活物質を含む正極層を構成する正極合剤、又は負極活物質を含む負極層を構成する負極合剤として使用できる。したがって、本発明の固体電解質は、固体電解質層を有する電池、いわゆる全固体電池に用いることができる。より具体的には、リチウム全固体電池に用いることができる。リチウム全固体電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、中でもリチウム二次電池に用いることが好ましい。
前記の全固体電池は、正極層と、負極層と、正極層及び負極層の間に位置する固体電解質層とを有し、本発明の固体電解質を有する。電池の形状としては、例えば、ラミネート型、円筒型及び角型等を挙げることができる。
本発明の固体電解質層は、例えば該固体電解質、バインダー及び溶剤を含むスラリーを基体上に滴下し、ドクターブレードなどで擦り切る方法、基体とスラリーを接触させた後にエアーナイフで切る方法、スクリーン印刷法等で塗膜を形成し、その後加熱乾燥を経て溶剤を除去する方法等で製造することができる。あるいは、本発明の固体電解質の粉末をプレス成形した後、適宜加工して製造することもできる。本発明における固体電解質層には、本発明の固体電解質以外に、その他の固体電解質が含まれていてもよい。本発明における固体電解質層の厚さは、典型的には5μm以上300μm以下であることが好ましく、10μm以上100μm以下であることが更に好ましい。
本発明の固体電解質を含む全固体電池における正極合剤としては、例えば、リチウム二次電池の正極活物質として使用されているものを適宜使用可能である。正極活物質としては、例えばスピネル型リチウム遷移金属化合物や、層状構造を備えたリチウム金属酸化物等が挙げられる。正極活物質の粒子は、その表面に、固体電解質と正極活物質との反応抵抗を低減させ得る被覆層を有していてもよい。正極合剤は、正極活物質のほかに、導電助剤を始めとするほかの材料を含んでいてもよい。
本発明の固体電解質を含む全固体電池における負極合剤としては、例えば、リチウム二次電池の負極活物質として使用されている負極合剤を適宜使用可能である。負極活物質としては例えば、リチウム金属、人造黒鉛、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)などの炭素材料、ケイ素、ケイ素化合物、スズ、並びにスズ化合物などが挙げられる。負極合剤は、負極活物質のほかに、導電助剤を始めとするほかの材料を含んでいてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1及び2〕
以下の表1に示す組成となるように、LiS粉末と、P粉末と、LiCl粉末と、LiBr粉末とを、全量で75gになるように秤量した。これらの粉末を、ボールミルを用いて粉砕混合して混合粉末を得た。混合粉末を焼成して、同表に示す組成の焼成物を得た。焼成は管状電気炉を用いて行った。焼成の間、電気炉内に純度100%の硫化水素ガスを1.0L/minで流通させた。焼成温度は500℃に設定し4時間にわたり焼成を行った。焼成物を乳鉢及び乳棒を用いて粗粉砕した後、所定の粒度分布となるように微粉砕した。微粉砕においては、粉砕装置の粉砕時間、粉砕装置の回転数、粉砕メディアの材質、粉砕メディアの粒径、スラリーの濃度、スラリーの送液量、焼成物と粉砕メディアとの質量比などを適切な条件に設定した。
〔実施例3〕
以下の表1に示す組成となるように、LiS粉末と、P粉末と、LiCl粉末とを、全量で75gになるように秤量した。また、粒度分布が表1に示す値となるように焼成物の微粉砕条件を変更した。これら以外は実施例1と同様にして固体電解質粉末を得た。
〔実施例4〕
実施例1において微粉砕した後の焼成物を、湿式の遊星ボールミルで更に微粉砕して硫化物固体電解質粉末を得た。ビーズはZrO製のものであり、その直径は5mmであった。ビーズに対するスラリーの質量比は0.17とした。スラリーの濃度は33%とした。スラリー溶媒としてはヘプタンを使用した。
〔比較例1及び2〕
実施例1において、所定の粒度まで粉砕した粗粉砕物を硫化物固体電解質粉末として用いた。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた硫化物固体電解質粉末について、上述した方法で粒度分布、粒子径、結晶子サイズ(ただし実施例3を除く)、BET比表面積及びリチウムイオン伝導度を測定した。また、以下に述べる方法で硫化水素の発生量を測定した。その結果を以下の表1に示す。
〔硫化水素の発生量〕
アルゴン雰囲気下で固体電解質粉末を50mg秤量し、密閉容器(容積1750cm、露点−30℃、温度25℃の乾燥空気)内に静置した。密閉容器内の空気をエアーポンプによって循環しつつ、硫化水素センサー(理研計器株式会社製GX−2009)を用いて硫化水素の発生量を測定した。固体電解質粉末を乾燥空気に曝露してから1時間経過後までに発生した硫化水素の体積を測定した。表1において硫化水素の発生量は、固体電解質粉末の単位質量当たり及び単位面積当たりの値で表示してある。
Figure 2020126760
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた粒度分布がシャープな固体電解質粉末は、比較例の固体電解質粉末に比べて硫化水素の発生が抑制されたものであることが判る。

Claims (7)

  1. リチウム元素、リン元素及び硫黄元素を含み、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質であって、
    レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積10容量%、50容量%、及び90容量%における体積累積粒径をそれぞれD10、D50及びD90としたとき、(D90−D10)/D50の値が4.0未満である、固体電解質。
  2. レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積95容量%における体積累積粒径D95が65μm未満である請求項1に記載の固体電解質。
  3. アルジロダイト型結晶構造を有する請求項1又は2に記載の固体電解質。
  4. 塩素及び/又は臭素を含有する請求項3に記載の固体電解質。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の固体電解質と、活物質とを含む、電極合剤。
  6. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の固体電解質、又は請求項5に記載の電極合剤を含む電極層。
  7. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の固体電解質、又は請求項5に記載の電極合剤を含む全固体電池。
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