JP2020125318A - 点眼剤 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)有効成分として0.1%(w/v)の濃度のエピナスチン又はその塩、およびリン酸又はその塩を含有するアレルギー性結膜炎治療用の点眼剤であって、塩化ベンザルコニウムを含有しないことを特徴とする、点眼剤。
(2)点眼剤中のリン酸又はその塩の濃度が、0.075体積モル濃度以下である、(1)記載の点眼剤。
(3)リン酸又はその塩が、リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素ナトリウムである、(1)または(2)に記載の点眼剤。
(4)エピナスチン又はその塩が、エピナスチン塩酸塩である、(1)〜(3)のいずれかに記載の点眼剤。
(5)さらに等張化剤として塩化ナトリウムを含有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の点眼剤。
(6)ソフトコンタクトレンズ装用眼に点眼されるように用いられることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の点眼剤。
(7)1日1回又は2回点眼されるように用いられることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の点眼剤。
(8)1眼あたり1滴又は2滴を1回として1日2回点眼されるように用いられることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載の点眼剤。
(9)1眼あたり1滴を1回として1日2回点眼されるように用いられることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載の点眼剤。
(10)有効成分として0.1%(w/v)の濃度のエピナスチン塩酸塩、緩衝剤としてリン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素ナトリウム、等張化剤として塩化ナトリウムを含有するアレルギー性結膜炎治療用の点眼剤であって、点眼剤中のリン酸又はその塩の濃度が0.075体積モル濃度以下であり、塩化ベンザルコニウムを含有せず、1眼あたり1滴を1回として1日2回点眼されるように用いられることを特徴とする、点眼剤。
(11)治療が必要な患者に、有効成分として0.1%(w/v)の濃度のエピナスチン又はその塩、およびリン酸又はその塩を含有する点眼剤であって、塩化ベンザルコニウムを含有しないことを特徴とする、点眼剤を投与することを含む、アレルギー性結膜炎の治療方法。
(12)1日1回又は2回点眼することを特徴とする、(11)の治療方法。
(13)1眼あたり1滴又は2滴を1回として1日2回点眼することを特徴とする、(11)の治療方法。
(14)1眼あたり1滴を1回として1日2回点眼することを特徴とする、(11)の治療方法。
(15)アレルギー性結膜炎の治療における使用のための、有効成分として0.1%(w/v)の濃度のエピナスチン又はその塩、およびリン酸又はその塩を含有する点眼剤であって、塩化ベンザルコニウムを含有しないことを特徴とする、点眼剤。
(16)アレルギー性結膜炎治療剤の製造における、有効成分として0.1%(w/v)の濃度のエピナスチン又はその塩、およびリン酸又はその塩を含有する点眼剤であって、塩化ベンザルコニウムを含有しないことを特徴とする、点眼剤の使用。
(17)エピナスチン又はその塩を0.1%(w/v)の濃度で配合することで、添加剤として塩化ベンザルコニウムを含有せずに、エピナスチン又はその塩およびリン酸又はその塩を含有する点眼剤に防腐効力を付与する方法。
(18)エピナスチン又はその塩を0.1%(w/v)の濃度で配合することで、添加剤として塩化ベンザルコニウムを含有せずに、エピナスチン又はその塩およびリン酸又はその塩を含有する点眼剤に防腐効力を維持する方法。
(19)(1)〜(10)のいずれかに記載の点眼剤による、ソフトコンタクトレンズの変形を抑制する方法。
(20)有効成分として0.1%(w/v)の濃度のエピナスチン又はその塩、およびリン酸又はその塩を含有するアレルギー性結膜炎治療用の点眼剤であって、1眼あたり1滴又は2滴を1回として1日2回点眼されるように用いられることを特徴とする、点眼剤。
(21)点眼剤中のリン酸又はその塩の濃度が、0.075体積モル濃度以下である、(20)記載の点眼剤。
(22)リン酸又はその塩が、リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素ナトリウムである、(20)または(21)に記載の点眼剤。
(23)有効成分として0.1%(w/v)の濃度のエピナスチン又はその塩を含有し、塩化ベンザルコニウムを含有しないアレルギー性結膜炎治療用の点眼剤であって、1眼あたり1滴又は2滴を1回として1日2回点眼されるように用いられることを特徴とする、点眼剤。
(24)ソフトコンタクトレンズ装用眼に点眼されるように用いられることを特徴とする、(23)記載の点眼剤。
(25)エピナスチン又はその塩が、エピナスチン塩酸塩である、(20)〜(24)のいずれかに記載の点眼剤。
(26)さらに等張化剤として塩化ナトリウムを含有する、(20)〜(25)のいずれかに記載の点眼剤。
なお、前記(1)から(26)の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
無機酸との塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。
有機酸との塩としては、酢酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、アラニン、乳酸、馬尿酸、1,2−エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、没食子酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸ラウリル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸等との塩が挙げられる。
エピナスチンの塩としては、一塩酸塩(エピナスチン塩酸塩)が特に好ましい。
一方、理論的には、エピナスチン又はその塩の含有量を0.1%(w/v)超とすれば、更に点眼回数を減少せしめる可能性もあるが(例えば、2日に1回)、エピナスチン又はその塩の含有量によってはソフトコンタクトレンズを変形させる作用を生じることもあり、その場合、ソフトコンタクトレンズ装用時には使用できない。つまり、有効成分であるエピナスチン又はその塩の含有量は、薬効効果、点眼回数、ソフトコンタクトレンズへの影響の有無、服薬アドヒアランス等の様々な要素を鑑みた上で、そのバランスを取った濃度に設定する必要がある。
なお、本発明において、「%(w/v)」は、本発明の点眼剤100mL中に含まれる対象成分の質量(g)を意味する。本発明においてエピナスチンの塩が含有される場合、その値はエピナスチンの塩の含有量である。また、本発明においてエピナスチン又はその塩が、水和物又は溶媒和物の形態をとって配合される場合、その値はエピナスチン又はその塩の、水和物又は溶媒和物の含有量である。以下、特に断りがない限り同様とする。
リン酸又はその塩が水和物である場合、その水和水は通常配位できる数であればよく、リン酸又はその塩の水和物とは、例えば1水和物、2水和物、3水和物、4水和物、5水和物、6水和物、7水和物、8水和物、9水和物、10水和物、11水和物、12水和物、1/2水和物、3/2水和物等が含まれる。
本発明の点眼剤において、リン酸又はその塩の濃度は、医薬品の添加剤として使用可能な範囲において適宜調整することができるが、0.075体積モル濃度以下が好ましく、0.075体積モル濃度未満がより好ましく、0.07体積モル濃度以下がさらに好ましく、0.05体積モル濃度以下が特に好ましい。また、0.001〜0.075体積モル濃度も好ましく、0.005〜0.07体積モル濃度がより好ましく、0.01〜0.05体積モル濃度がさらに好ましい。さらには0.01体積モル濃度、0.02体積モル濃度、0.03体積モル濃度、0.04体積モル濃度、0.05体積モル濃度も好ましい。本発明の点眼剤において、リン酸又はその塩が2種以上組み合わせて用いられる場合には、その濃度はこれらを合計した体積モル濃度で表される。例えば、リン酸二水素ナトリウム0.03体積モル濃度とリン酸水素ナトリウム0.045体積モル濃度を配合する場合の、本発明の点眼剤に含有されるリン酸又はその塩の濃度は0.075体積モル濃度と算出される。
なお、本発明において、リン酸又はその塩の濃度を表す「体積モル濃度」は、各種リン酸塩の原料となる塩や水和物が多様であるため、画一的な指標として「PO4 3−」のモル数を選択して、本発明の点眼剤1L中に含まれる対象成分の物質量(mol)を「体積モル濃度」としたもので、「mol/L」または「M」と表すこともできる。
本発明において、「リン酸又はその塩の濃度」及び「リン酸濃度」とは、本発明の点眼剤1L中に含まれる、リン酸、リン酸塩、リン酸の1価イオン、リン酸の2価イオン、リン酸の3価イオンがすべて「PO4 3−」として存在した場合の体積モル濃度を示す。例えば、本発明の点眼剤に、リン酸二水素ナトリウム2水和物1.0gを含有させた場合のリン酸濃度は0.064Mであり、また本発明の点眼剤に、リン酸二水素ナトリウム2水和物0.3gとリン酸水素ナトリウム12水和物1.0gを含有させた場合のリン酸濃度は合算して0.047Mである。
また、本発明の点眼剤中に含有される、解離するリン酸塩は本発明の点眼剤中の「リン酸濃度」に含まれる。例えば、有効成分であるエピナスチンのリン酸塩を含有する場合は、そのリン酸塩はすべて解離するものとし、本発明の点眼剤中の「リン酸濃度」に含まれる。
ホウ酸又はその塩としては、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等が挙げられ、これらの水和物であってもよい。
炭酸又はその塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、これらの水和物であってもよい。
有機酸又はその塩としては、クエン酸、酢酸、ε−アミノカプロン酸、グルコン酸、フマル酸、乳酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、アミノ酸類又はこれらのナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられ、これらの水和物であってもよい。
本発明の点眼剤において、リン酸又はその塩と併用して、その他の緩衝剤を配合する場合の緩衝剤の含有量は、緩衝剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001〜10%(w/v)が好ましく、0.01〜5%(w/v)がより好ましく、0.1〜5%(w/v)がさらに好ましく、0.1〜1%(w/v)が特に好ましい。また、これらの緩衝剤を配合する場合には、リン酸又はその塩とは別に、緩衝剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
本発明の点眼剤に等張化剤を配合する場合の等張化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な等張化剤を適宜配合することができるが、例えば、イオン性等張化剤や非イオン性等張化剤等が挙げられる。
イオン性等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。
非イオン性等張化剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、トレハロース、マルトース、スクロース、キシリトール等が挙げられる。
本発明の点眼剤に等張化剤を配合する場合の等張化剤として、イオン性等張化剤がより好ましく、塩化ナトリウムが特に好ましい。また、等張化剤を2種以上一緒に用いてもよい。
本発明の点眼剤に等張化剤を配合する場合の等張化剤の含有量は、等張化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001〜10%(w/v)が好ましく、0.01%〜5%(w/v)がより好ましく、0.1〜3%(w/v)がさらに好ましく、0.5〜2%(w/v)が特に好ましい。
本発明の点眼剤に粘稠剤を配合する場合の粘稠剤の含有量は、粘稠剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001〜5%(w/v)が好ましく、0.01%〜3%(w/v)がより好ましく、0.1〜2%(w/v)がさらに好ましい。
カチオン性界面活性化剤としては、アルキルアミン塩、アルキルアミンポリオキシエチレン付加物、脂肪酸トリエタノールアミンモノエステル塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、脂肪酸ポリアミン縮合物、アルキルイミダゾリン、1−アシルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−ヒドロキシルエチル−2−アルキルイミダゾリン等が挙げられる。ただし、塩化ベンザルコニウムはカチオン性界面活性化剤の性質を有しているが、これには含まれない。
アニオン性界面活性化剤としては、レシチン等のリン酸脂質等が挙げられる。
非イオン性界面活性化剤としては、ステアリン酸ポリオキシル40等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリソルベート65等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシル5ヒマシ油、ポリオキシル9ヒマシ油、ポリオキシル15ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40ヒマシ油等のポリオキシルヒマシ油;ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸エステル(ビタミンE TPGS)等が挙げられる。
本発明の点眼剤に界面活性化剤を配合する場合の界面活性化剤の含有量は、界面活性化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.01〜1%(w/v)が好ましく、0.05〜0.5%(w/v)がより好ましく、0.05%〜0.2%(w/v)がさらに好ましい。
エデト酸又はその塩としては、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム等が挙げられる。
本発明の点眼剤に安定化剤を配合する場合の安定化剤の含有量は、安定化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001〜5%(w/v)が好ましく、0.01%〜3%(w/v)がより好ましく、0.1〜2%(w/v)がさらに好ましい。
本発明の点眼剤に抗酸化剤を配合する場合の抗酸化剤の含有量は、抗酸化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001〜5%(w/v)が好ましく、0.01%〜3%(w/v)がより好ましく、0.1〜2%(w/v)がさらに好ましい。
本発明の点眼剤のpHは、医薬品として許容される範囲内にあればよく、例えば4.0〜8.5又は4.0〜8.0の範囲内であり、6.0〜8.0が好ましく、6.5〜7.5がより好ましい。特に好ましいpHは、6.7〜7.3であるが、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3もさらにより好ましい。
以下に本発明の代表的な製剤例を示す。なお、下記製剤例において各成分の配合量は製剤100mL中の含量である。
エピナスチン塩酸塩 0.1g
リン酸二水素ナトリウム2水和物 1.0g(0.064M)
塩化ナトリウム 0.5g
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
(製剤例1に含まれるリン酸濃度:0.064M)
エピナスチン塩酸塩 0.1g
リン酸二水素ナトリウム2水和物 0.3g(0.019M)
リン酸水素ナトリウム12水和物 1.0g(0.028M)
塩化ナトリウム 0.5g
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
(製剤例2に含まれるリン酸濃度:0.047M)
(1)被験製剤の調製
以下の濃度になるように、エピナスチン塩酸塩、リン酸又はその塩、塩化ナトリウムを水に溶解し、pH調節剤(塩酸および/または水酸化ナトリウム)と水を加えて全量を10mLとし、濾過滅菌を行うことにより、実施例1の製剤を調製した。
エピナスチン塩酸塩 0.1%(w/v)
塩化ナトリウム 0.5%(w/v)
リン酸濃度 0.075M
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
また、日本で上市されている「アレジオン(登録商標)点眼液0.05%」を比較例3とした。
スギ花粉粒子を約3μLずつ採取し、96ウェルマイクロプレートに播種した。その後、各ウェルに被験製剤50μLを滴下し、直後に血球計算盤を用いて光学顕微鏡下でトータルの花粉数を計測した。さらに、経時的に滴下5分後および10分後に破裂した花粉数を同様に顕微鏡下で計測した。
花粉破裂率(%)=(滴下5分後または10分後までに破裂した花粉数)/(被験製剤滴下直後のトータル花粉数)×100
本発明の点眼剤によるSCLの変形の有無を検討した。
(1)被験製剤の調製
被験製剤として、上記の「1.花粉外壁の破裂抑制試験」で使用した実施例2と比較例3(アレジオン(登録商標)点眼液0.05%)を選択した。また、実施例1の調製方法と同様の方法にて、以下の比較例4の製剤を調製した。
エピナスチン塩酸塩 0.15%(w/v)
塩化ナトリウム 0.5%(w/v)
リン酸濃度 0.05M
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
SCLに各被験製剤50μLを滴下し、10分後に薬液を除去した後に生理食塩水で洗浄した。これを1サイクルとして、7サイクル繰り返した。SCLの直径およびベースカーブを測定した。
直径変形量(mm)=(7サイクル後の直径)−(使用前の直径)
ベースカーブ変形量(mm)=(7サイクル後のベースカーブ)−(使用前のベースカーブ)
アレルギー性結膜炎に対する抗アレルギー作用を評価するため、モルモットを用いて実験的アレルギー性結膜炎モデルを作成し、本発明の点眼剤の治療効果を検討した。
被験製剤として、上記の「1.花粉外壁の破裂抑制試験」で使用した実施例2と比較例3(アレジオン(登録商標)点眼液0.05%)を用いた。モルモットに被験製剤を点眼後、アレルギーを惹起するまでの時間を変えることにより、各被験製剤の治療効果を評価した。
点眼後の眼内動態を評価するため、動物に本発明の点眼剤を点眼し、点眼後の結膜中濃度を測定した。
(1)被験製剤の調製
被験製剤として、上記の「1.花粉外壁の破裂抑制試験」で使用した実施例2と比較例3(アレジオン(登録商標)点眼液0.05%)を選択した。また、実施例1の調製方法と同様の方法にて、緩衝剤としてトロメタモールを含む、以下の比較例5の製剤を調製した。
エピナスチン塩酸塩 0.1%(w/v)
塩化ナトリウム 0.76%(w/v)
トロメタモール 0.25%(w/v)
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
各被験製剤5μLをラットに1回点眼投与し(n=5)、点眼後1時間および4時間後に、屠殺処分後の眼球を摘出した。その結膜中のエピナスチン濃度を測定し、平均値を算出した。
また、被験製剤に含有される添加剤が、エピナスチンの結膜中での滞留時間に影響を及ぼすことが認められ、緩衝剤としてリン酸又はその塩が優れていることが示唆された。
本試験は、第17改正日本薬局方に記載の保存効力試験法に準じて実施した。
(1)被験製剤の調製
実施例1の調製方法と同様の方法にて、実施例6〜7および比較例6の製剤を調製した。各被験製剤の濃度について、表5に示す通りである。
接種菌として以下の菌株を使用した。
細菌:
大腸菌,Escherichia Coli ATCC 8739(E.coliともいう)
緑膿菌,Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027(P.aeruginosaともいう)
黄色ブドウ球菌,Staphylococcus aureus ATCC 6538(S.aureusともいう)
酵母菌およびカビ類:
カンジダ,Candida albicans ATCC 10231(C.albicansともいう)
クロコウジカビ,Aspergillus brasiliensis ATCC16404(A.brasiliensisともいう)
試験結果を表6に示す。表6の試験結果は、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値で示す。たとえば、値が「1」の場合には、検査時の生菌数が接種菌数の10%に減少したことを示す。
試験の合否判定について、細菌種(E.coli、P.aeruginosa、S.aureus)に対しては、播種7日後に1.0以上、かつ14日後または28日後に3.0以上であること、および真菌種(C.albicans、A.brasiliensis)に対しては、播種7日後と比較して播種14日後または28日後の数値が減少していないこと、をいずれも満たす時に適合とした。なお、表中の"N.D."は測定を行っていないことを表す。
ヒトにおけるアレルギー性結膜炎に対する抗アレルギー作用を評価するため、臨床試験を実施し、本発明の点眼剤の治療効果を検討した。治療効果の比較対照には、比較薬1(アレジオン(登録商標)点眼液0.05%)を用いた。
有効成分として0.1%(w/v)の濃度のエピナスチン又はその塩、緩衝剤としてリン酸二水素ナトリウム及びリン酸水素ナトリウム、および等張化剤として塩化ナトリウムを含有する点眼剤であって、さらには塩化ベンザルコニウムを含有しない、点眼剤(治療薬1)を、汎用される方法を用いることにより、調製した。なお、上記点眼剤(治療薬1)中のリン酸又はその塩の濃度は0.075体積モル濃度以下となるように調製した。
無症状期のアレルギー性結膜炎患者(68人)を対象として、予め被験者ごとの至適抗原濃度を決定した後、2群(A群:比較薬1先行群、B群:治験薬1先行群)に無作為に割付け、2回の来院で治験薬を二重盲検法下で点眼した後に抗原誘発を行った。
1回目の来院で、A群では抗原誘発8時間(1日2回投与する場合の点眼間隔に相当)前にプラセボ点眼液を片眼に1滴点眼し、抗原誘発4時間(1日4回投与する場合の点眼間隔に相当)前に比較薬1を他眼に1滴点眼した。B群では抗原誘発8時間前に治験薬1を片眼に1滴点眼し、抗原誘発4時間前にプラセボ点眼液を他眼に1滴点眼した。14日以上空けた2回目の来院では、A群とB群で投与薬剤をクロスオーバーさせた。
眼そう痒感及び結膜充血(眼球結膜充血および眼瞼結膜充血)について、症状の重度に基づいた判定基準を用いてスコアをつけることにより評価した。なお、眼そう痒感のスコアは0〜4の5段階、結膜充血のスコアは0〜6(眼球結膜充血0〜3と眼瞼結膜充血0〜3の合計スコア)の7段階である。
抗原誘発後の3時点(3分、5分及び10分後)の平均の眼そう痒感スコア、及び抗原誘発後の3時点(5分、10分及び20分後)の平均の結膜充血スコアを表7に示す。(なお、表中の"Mean"は平均値、"SD"は標準偏差、"N"はサンプル数を表し、これらは汎用的な統計処理により算出されるものである)。
Claims (9)
- ソフトコンタクトレンズ装用眼であっても点眼投与可能なアレルギー性結膜炎治療用の点眼剤であって、有効成分として0.1%(w/v)の濃度のエピナスチン又はその塩を含有する、点眼剤。
- 塩化ベンザルコニウムを含有しない、請求項1に記載の点眼剤。
- 1眼あたり1滴または2滴を1回として1日1回又は2回点眼されるように用いられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の点眼剤。
- 緩衝剤を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の点眼剤。
- 緩衝剤がリン酸又はその塩、ホウ酸又はその塩、ホウ砂、炭酸又はその塩、有機酸又はその塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の点眼剤。
- 緩衝剤がリン酸又はその塩である、請求項4又は5に記載の点眼剤。
- エピナスチン又はその塩が、エピナスチン塩酸塩である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の点眼剤。
- 樹脂製容器に収納される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の点眼剤。
- ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン−ポリエチレンコポリマー、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリスチレン、ポリ環状オレフィンコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種を含む樹脂製容器である、請求項8に記載の点眼剤。
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