JP2016034936A - 角膜上皮障害治療剤の組み合わせ - Google Patents

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Shinya Kobayashi
真也 小林
和田 智之
Tomoyuki Wada
智之 和田
佳奈 池本
Kana Ikemoto
佳奈 池本
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Abstract

【課題】角膜上皮障害又はドライアイに対する[3−[2−[4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル)フェニル−5−チアゾリル]エチル]−5−メチル−1,2−ベンズイソキサゾール−6−イル]オキシ酢酸の作用を促進させる手段を提供する。【解決手段】(1)[3−[2−[4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル)フェニル−5−チアゾリル]エチル]−5−メチル−1,2−ベンズイソキサゾール−6−イル]オキシ酢酸又はその製剤学的に許容される塩を有効成分として含有する点眼剤と、(2)人工涙液点眼剤とからなる組み合わせの併用剤である、角膜上皮障害又はドライアイの治療剤。【選択図】なし

Description

本発明は、角膜上皮障害の治療分野に関する。詳しくは、2種以上の治療剤の組み合わせによる角膜上皮障害の治療に関する。
[3−[2−[4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル)フェニル−5−チアゾリル]エチル]−5−メチル−1,2−ベンズイソキサゾール−6−イル]オキシ酢酸は、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor:以下、PPARと称する。)δアゴニスト作用を有する化合物の1種である(特許文献1)。また、[3−[2−[4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル)フェニル−5−チアゾリル]エチル]−5−メチル−1,2−ベンズイソキサゾール−6−イル]オキシ酢酸又はその製剤学的に許容される塩(以下、化合物Aと称することもある。)は、PPARδアゴニストであり、マイボーム腺上皮細胞又は角膜上皮細胞の増殖促進剤として有用であることが報告されている(特許文献2)。化合物Aは、マイボーム腺上皮細胞又は角膜上皮細胞に対する優れた作用から、角膜上皮障害又はドライアイの治療剤としても有用であることが報告されている(特許文献2)。
角膜上皮障害又はドライアイの治療のため、以下の薬剤の使用も知られている。
1)P2Y受容体アゴニストが角膜上皮障害の治療に有効であることが開示されている(特許文献3)。
2)P2Y受容体のサブタイプであるP2Y受容体のアゴニストと治療有効濃度のヒアルロン酸又はその塩を組み合わせて点眼した場合、ドライアイモデルにおいて、顕著な角膜上皮障害が改善されることが開示されている(特許文献4)。
3)カルボスチリル誘導体であるレバミピドが眼のゴブレット細胞の増加作用、眼の粘液増加作用、並びに涙液増加作用を有し、ドライアイ、すなわち眼球乾燥症候群の治療剤として有用であることが開示されている(特許文献5)。
4)シクロスポリンが免疫仲介乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)の処置に有効であることが開示されている(特許文献6)。
5)マクロライド化合物のタクロリムスがドライアイの治療に有効であることが開示されている(特許文献7)。
国際公開第03/033493号 国際公開第2008/143254号 特開2002−53492号 特開2012−77080号 特開平9−301866号 特表平3−503159号 特表2002−543132号
本発明は、化合物Aを有効成分とする角膜上皮障害又はドライアイの治療剤による効果をより一層高めることを課題とする。
したがって、本発明の目的は、化合物Aの角膜上皮障害又はドライアイに対する治癒を促進させる薬物との組み合わせを提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、化合物Aと特定の別の化合物とを併用することで所期の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕 (1)[3−[2−[4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル)フェニル−5−チアゾリル]エチル]−5−メチル−1,2−ベンズイソキサゾール−6−イル]オキシ酢酸又はその製剤学的に許容される塩(以下、化合物Aと省略する)と、
(2)精製ヒアルロン酸ナトリウム、ジクアホソルナトリウム、レバミピド、タクロリムス、シクロスポリン及び人工涙液からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物B(本明細書において、化合物Bとは化合物Bに含まれる1種の化合物のみならず2以上の化合物を含むことを意味する)とを組み合わせてなる角膜上皮障害又はドライアイの治療剤。
〔2〕 化合物Bが人工涙液である〔1〕に記載の治療剤。
〔3〕 化合物Aが1日2〜4回の眼局所投与形態であり、化合物Bが1日2〜6回の眼局所投与形態であり、化合物Aの眼局所投与後少なくとも5分の間隔で化合物Bを眼局所投与するか、又は化合物Bを眼局所投与後少なくとも5分の間隔で化合物Bを眼局所投与する目的で使用される、〔1〕又は〔2〕に記載の治療剤。
〔4〕 化合物Aと化合物Bとがあらかじめ一の組成物とされている〔1〕又は〔2〕に記載の治療剤。
〔5〕 (1)化合物Aを有効成分として含有する点眼剤と、
(2)精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼剤、ジクアホソルナトリウム含有点眼剤、レバミピド含有点眼剤、タクロリムス含有点眼剤、シクロスポリン含有点眼剤及び人工涙液点眼剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の点眼剤とからなる組み合わせの併用剤である、角膜上皮障害又はドライアイの治療剤。
〔6〕 (1)化合物Aを有効成分として含有する点眼剤と、(2)人工涙液点眼剤とからなる組み合わせの併用剤である、〔5〕に記載の治療剤。
〔7〕 点眼剤(1)が1日2〜4回投与形態の点眼剤であり、点眼剤(2)が1日2〜6回投与形態の点眼剤であり、点眼剤(1)を点眼後少なくとも5分の間隔で点眼剤(2)を点眼するか、又は点眼剤(2)を点眼後少なくとも5分の間隔で点眼剤(1)を点眼する目的で使用される、〔5〕又は〔6〕に記載の治療剤。
〔8〕 点眼剤(2)が塩化ナトリウム、塩化カリウム、乾燥炭酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物及びホウ酸を含有する人工涙液点眼剤である、〔5〕ないし〔7〕のいずれかに記載の治療剤。
〔9〕 点眼剤(2)が人工涙液マイティア点眼液である、〔8〕に記載の治療剤。
〔10〕 点眼剤(1)が点眼剤(2)の成分を含有し、1つの点眼容器中に含まれる、〔5〕ないし〔9〕のいずれかに記載の治療剤。
2種以上の化合物の併用剤である本発明の治療剤によれば、各化合物A、Bの単独の点眼投与に比べて、有意に角膜上皮障害又はドライアイの治療効果を促進させることができる。これにより治療期間の短縮、治療剤の用量の低減が可能となる。患者にとって症状の早期の改善及び治療期間の短縮というベネフィットが得られ、医療費の削減にも貢献することができる。
定義
本明細書中、%は、特に明記しない限りw/v%を意味し、第十六改正日本薬局方における質量対容量百分率を意味する。
本発明において、角膜上皮障害とは、角膜上皮細胞の損傷(すなわち、創傷又は欠損)を伴う疾患をいう。具体的には、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼球乾燥症候群(ドライアイ)等の内因性疾患に伴う角膜上皮障害;術後、薬剤性、外傷、角膜潰瘍、マイボーム腺炎、コンタクトレンズ装用等における外因性疾患に伴う角膜上皮障害;春季カタルやアトピー性角結膜炎等の角膜病変を伴う眼アレルギー性疾患に伴う角膜上皮障害が挙げられる。
本発明において、ドライアイとは、涙液の量の低下又は質に異常をきたした状態をいい、角結膜上皮障害等の角結膜障害の有無は問わない。ドライアイとしては、涙液分泌減少型ドライアイ及び涙液蒸発亢進型ドライアイが挙げられ、涙液蒸発亢進型ドライアイがより好ましい。ドライアイは、問診による自覚的症状と、涙液評価検査(涙液層破壊時間、シルマーテスト、涙液クリアランス試験等)、角結膜の染色試験(フルオレセイン染色、ローズベンガル染色等)等の他覚的症状により診断することができる。例えば涙液評価検査の一つである涙液層破壊時間(BUT)は、涙液層の安定性を反映し、完全な瞬目から、角膜上皮上の涙液層が最初に破壊されるまでの時間(秒)をいう。BUTが低いほどドライアイ症状が重いと考えられ、重篤なドライアイでは瞬目の直後にすでに涙液層が破壊しているときがあり、これはBUTゼロ(0)秒とみなされる。
化合物A及び化合物A含有点眼剤(1)
本発明の点眼剤(1)に有効成分として含まれる化合物Aは、3−[2−[4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル)フェニル−5−チアゾリル]エチル]−5−メチル−1,2−ベンズイソキサゾール−6−イル]オキシ酢酸(CAS No.515138−06−4):
であり、国際公開第2003/033493号パンフレット(特に実施例5)に記載されたPPARδアゴニスト活性を有する化合物である。
本発明において用いられる化合物Aは、製剤学的に許容されるすべての塩を含む。製剤学的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の無機塩基との塩、アンモニウム塩及びメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、ピコリン、エタノールアミン、リジン、アルギニン等の有機塩基との塩が挙げられるが、これらに限定されない。化合物Aは、その溶媒和物も含まれる。化合物Aは、国際公開第2003/033493号に記載の方法に準じて製造することができる。
化合物Aの点眼剤中の含有量は、通常0.000001〜1%、好ましくは0.00001〜1%、最も好ましくは0.0001〜0.1%である。
化合物Aを含む点眼剤(1)には、安定剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエンなど)、溶解補助剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、マクロゴール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など)、懸濁化剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、乳化剤(例えば、ポリビニルピロリドン、大豆レシチン、卵黄レシチン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80など)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸、イプシロンアミノカプロン酸など)、粘稠剤(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、マクロゴールなど)、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル類、エデト酸ナトリウム、ホウ酸など)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ホウ酸、ブドウ糖、プロピレングリコールなど)、pH調整剤(例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸など)、清涼化剤(例えば、l−メントール、d−カンフル、d−ボルネオール、ハッカ油など)などを添加剤として加えることができる。これら添加剤の添加量は、添加剤の種類、用途などによって異なるが、添加剤の目的を達成し得る濃度となるように添加すればよい。
点眼剤は、製剤分野で通常用いられている方法に従って製造すればよく、例えば第16改正日本薬局方、製剤総則、点眼剤の項に記載された方法に基づき製造することができる。
点眼剤の形態は、水性点眼剤(水性点眼液、水性懸濁点眼液、粘性点眼液等)、非水性点眼剤(非水性点眼液、非水性懸濁点眼液等)又はエマルション点眼剤などが挙げられ、水性点眼剤が好ましく用いられる。
点眼剤のpHは、その点眼剤の形態によって適宜設定されるが、通常4〜8の範囲である。
点眼剤は通常、濾過滅菌、照射滅菌(例えば、電子線滅菌、紫外線滅菌、ガンマ線滅菌等)、オートクレーブ滅菌、乾熱滅菌などの方法により無菌化された製剤である。
点眼剤として製剤化される場合、液剤は、眼への滴下を容易にするための液滴量を制御可能な小径の注液孔を備えた点眼容器に収容されていることが好ましい。該容器の材質は、合成樹脂、ガラス、セルロース、パルプなどが用いられ、有効成分及び基剤の性質や使用量によって適宜選択される。スクイズ性及び耐久性の観点から、該容器は合成樹脂製が好ましい。合成樹脂の具体的な材質としては、ポリエチレン樹脂(例えば、低密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレン)、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
点眼容器は、別々に成形された容器本体と中栓部材とが嵌合された容器や、容器の成形と同時に液剤が密封充填される一体成形充填容器(例えば、WO2004/006826)等が挙げられる。一体成形充填容器を採用した場合、容器と液剤とが一環生産されるため、コスト面又は衛生面に優れている。点眼容器は、1回ずつ使い捨てにするユニットドーズ型の容器(例えば、特開平9−207959号)であってもよい。この容器を採用した場合、角膜に対して安全性の高い、防腐剤を配合しない製剤の処方化が可能となる。また、これらの容器は紫外線遮断性フィルムで密着包装されていてもよい。また、容器は、紫外線遮断性を高めるため、着色(茶色、緑色、青色、黄色等)されていてもよい。
化合物B及び化合物Bを含有する点眼剤(2)
化合物Bは、精製ヒアルロン酸ナトリウム、ジクアホソルナトリウム、レバミピド、タクロリムス、シクロスポリン及び人工涙液からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。化合物Bは単剤として、化合物Aと同様に、角膜上皮障害又はドライアイの治療又はその症状の改善に用いられるものであり、本発明においてはいずれか1種を化合物Aと併用する。あるいは、2種以上の化合物Bを組み合わせて化合物Aと併用してもよい。化合物Aの角膜上皮障害又はドライアイの治癒を促進する観点から、人工涙液を選択することが望ましい。
化合物Bを含有する点眼剤(2)は、精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼剤、ジクアホソルナトリウム含有点眼剤、レバミピド含有点眼剤、タクロリムス含有点眼剤、シクロスポリン含有点眼剤及び人工涙液点眼剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の点眼剤である。点眼剤(2)は単剤として、点眼剤(1)と同様に、角膜上皮障害又はドライアイの治療又はその症状の改善に用いられるものであり、本発明においてはいずれか1種を点眼剤(1)と併用する。あるいは、2種以上の点眼剤(2)を組み合わせて点眼剤(1)と併用してもよい。点眼剤(1)の角膜上皮障害又はドライアイの治癒を促進する観点から、人工涙液点眼剤を選択することが望ましい。
以下に、化合物B及び点眼剤(2)の個々について説明する。
人工涙液及び人工涙液点眼剤
人工涙液とは、涙液に近い性質を持った水性液剤であり、涙液と同程度のpH及び浸透圧を有する。
別の側面では、人工涙液は、塩化ナトリウム及び塩化カリウムを含有する組成物である。
人工涙液は、通常、塩化ナトリウム及び塩化カリウム等の等張化剤を浸透圧比0.90〜1.20となるように含有し、必要によりホウ酸、pH調整剤、粘稠剤、保存剤等を含有させて点眼剤とする。
人工涙液点眼剤に含まれる添加物、当該点眼剤の形態及びその製造方法は、化合物Aにおける点眼剤(1)と同様である。また、人工涙液点眼剤は、市販品を好適に使用することができる。市販の人工涙液点眼剤としては、人工涙液マイティア点眼液(千寿製薬)などが挙げられる。また、人工涙液マイティア点眼液は、1mL中に塩化ナトリウムを5.5mg、塩化カリウム1.6mg、乾燥炭酸ナトリウム0.6mg、リン酸水素ナトリウム水和物1.8mg、ホウ酸12mgを含有し、pH7.1〜pH7.7であることが知られている。
精製ヒアルロン酸ナトリウム及び精製ヒアルロン酸ナトリウム含有点眼剤
治療有効量(通常、0.1%以上)の精製ヒアルロン酸ナトリウム(一般名)を含有させて点眼剤とする。当該点眼剤に含まれる添加物、当該点眼剤の形態及びその製造方法は、化合物Aにおける点眼剤(1)と同様である。また、精製ヒアルロン酸ナトリウムは、フィブロネクチンとの結合を介して上皮細胞に作用するとともにその優れた保水性によって、角結膜上皮障害治療用点眼剤の有効成分として含まれており、市販品を好適に使用することができる。市販品としては、ヒアレイン点眼液0.1%、ヒアレイン点眼液0.3%、ヒアレインミニ点眼液0.1%、ヒアレインミニ点眼液0.3%(参天製薬)などが挙げられる。
ジクアホソルナトリウム(P2Y受容体アゴニスト)及びジクアホソルナトリウム含有点眼剤
P2Y受容体アゴニストを含有する眼科用製剤として、特開2002−53492号及び特開2012−77080号に記載の製剤が知られている。P2Y受容体アゴニスト含有点眼剤の剤形及びその製造方法も、上記特許文献に記載されている。これらの製剤は、単独で(特開2002−53492号)あるいはヒアルロン酸又はその塩と組み合わせて(特開2012−77080号)使用される。P2Y受容体アゴニストは、結膜上皮及び杯細胞膜上のP2Y受容体に作用し、細胞内のカルシウム濃度を上昇させることにより、水分及びムチンの分泌を促進し、角結膜障害又はドライアイの治療に有用である。点眼剤におけるP2Y受容体アゴニストの濃度は、好ましくは0.01%〜10%である。P2Y受容体アゴニストとしては、ジクアホソル(一般名)又はその塩(好適にはジクアホソルナトリウム(一般名))等が挙げられる。ジクアホソルナトリウムを含有する点眼剤は市販されており、市販品を好適に使用することができる。市販品としては、ジクアス点眼液3%(参天製薬)などが挙げられる。
ジクアホソルナトリウム(P2Y受容体アゴニスト)は、上記精製ヒアルロン酸ナトリウムと組み合わせて用いることが望ましい。
レバミピド(カルボスチリル誘導体)及びレバミピド含有点眼剤
カルボスチリル誘導体を含有する眼科用製剤として、特開平9−301866号に記載の製剤が知られている。カルボスチリル誘導体含有点眼剤の剤形及びその製造方法も、上記特許文献に記載されている。当該点眼剤は、結膜ムチン産生促進作用を介して、角結膜上皮障害又はドライアイの治療に有用である。点眼剤におけるカルボスチリル誘導体の濃度は、好ましくは0.01〜3%である。カルボスチリル誘導体としては、レバミピド(一般名)が好適である。レバミピドを含有する点眼剤は市販されており、市販品を好適に使用することができる。市販品としては、ムコスタ点眼液UD2%(大塚製薬)などが挙げられる。
シクロスポリン及びシクロスポリン含有点眼剤
シクロスポリンを含有する眼科用製剤として、特表平3−503159号に記載の製剤が知られている。シクロスポリン含有点眼剤の剤形及びその製造方法も、上記特許文献に記載されている。当該点眼剤は、免疫抑制作用を介して眼の炎症に伴う眼球乾燥症候群の患者において涙液の産生を増加させることによって、眼球乾燥症候群(ドライアイ)の治療に有用である。シクロスポリンを含有する点眼剤は市販されており、市販品を好適に使用することができる。市販品としては、RESTASIS0.05%(Allergan, Inc.)などが挙げられる。
タクロリムス及びタクロリムス含有点眼剤
タクロリムスを含有する眼科用製剤として、特表2002−543132号に記載の製剤が知られている。タクロリムス含有点眼剤の剤形及びその製造方法も、上記特許文献に記載されている。当該点眼剤は、免疫抑制作用を介して角膜病変を伴う眼アレルギー性疾患(春季カタル)の治療に有用である。点眼剤におけるタクロリムスの濃度は、好ましくは0.005〜5.0%である。タクロリムス水和物を含有する点眼剤は市販されており、市販品を好適に使用することができる。市販品としては、タリムス点眼液0.1%(千寿製薬)などが挙げられる。
化合物Aと化合物Bの組み合わせからなる治療剤(併用)
化合物A及び化合物Bを含む個々の点眼剤は、いずれも角膜上皮の障害の改善又はドライアイの治療又はその症状の改善に有用である。したがって、本発明の治療剤は、化合物Aと、化合物Bから選ばれる1種の化合物とを組み合わせた併用剤とすることができる。あるいは、2種以上の化合物Bを選択し、化合物Aと組み合わせて併用してもよい。角膜上皮障害又はドライアイの治癒を促進する観点から、本発明の治療剤は、化合物Aと人工涙液とを組み合わせた併用剤が好ましい。
より具体的な態様として、本発明の治療剤は、点眼剤(1)と、点眼剤(2)から選ばれる1種の点眼剤とを組み合わせた併用剤とすることができる。あるいは、2種以上の点眼剤(2)を選択し、点眼剤(1)と組み合わせて併用してもよい。角膜上皮障害又はドライアイの治癒を促進する観点から、本発明の治療剤は、点眼剤(1)と人工涙液点眼剤とを組み合わせた併用剤が好ましい。
実施例に示すように、点眼剤(1)と人工涙液点眼剤との併用は、点眼剤(1)単独の場合と比較して有意に角膜上皮障害又はドライアイの治療効果を促進させることができる。人工涙液点眼剤単独では角膜上皮障害又はドライアイの治療効果を発揮しない可能性があるにもかかわらず、点眼剤(1)と人工涙液点眼剤とを組み合わせて併用剤とすることにより角膜上皮障害の治癒が促進されることは、人工涙液及び人工涙液点眼剤と化合物A及び化合物A含有点眼剤との組み合わせは角膜上皮障害治療薬として特に有用である。
化合物A及び化合物Bの1日の投与回数は、その効果を発揮するように有効成分の含有量及び剤形等によって適宜設定することができ、特に限定されるものではない。具体的には、化合物Aは1日2〜4回の眼局所投与形態であり、化合物Bは1日2〜6回の眼局所投与形態である。本発明における個々の化合物の投与スケジュールは、各化合物の1日の投与回数を勘案して投与間隔を決定する。例えば、1日2回の眼局所投与形態の場合、2時間以上の間隔をあけて午前午後の2回、1日3回の眼局所投与形態の場合、朝、昼及び夕の3回、1日4回の眼局所投与形態の場合、第1回から2時間以上の間隔をあけて(約2〜4時間置きに)4回、1日5又は6回の眼局所投与形態の場合、第1回から1時間以上の間隔をあけて(約1〜3時間置きに)5又は6回眼局所投与する。
化合物Aと化合物Bを併用して眼局所投与する場合の投与順は、特に限定されない。化合物Aを先に投与した場合、化合物Aを投与後少なくとも5分の間隔で化合物Bを投与することが望ましい。化合物Bを先に投与した場合、化合物Bの投与後少なくとも5分の間隔で化合物Aを投与することが望ましい。2種以上の化合物Bを組み合わせる場合も、同様に少なくとも5分の間隔で投与することが望ましい。
より具体的な態様として、点眼剤(1)及び点眼剤(2)の1日の投与回数は、各点眼剤の効果を発揮するように有効成分の含有量及び剤形等によって適宜設定することができ、特に限定されるものではない。具体的には、点眼剤(1)は1日2〜4回投与形態の点眼剤であり、点眼剤(2)は1日2〜6回投与形態の点眼剤である。本発明における個々の点眼剤の投与スケジュールは、各点眼剤の1日の投与回数を勘案して投与間隔を決定する。例えば、1日2回投与形態の場合、2時間以上の間隔をあけて午前午後の2回、1日3回投与形態の場合、朝、昼及び夕の3回、1日4回投与形態の場合、第1回から2時間以上の間隔をあけて(約2〜4時間置きに)4回、1日5又は6回投与形態の場合、第1回から1時間以上の間隔をあけて(約1〜3時間置きに)5又は6回点眼する。
点眼剤(1)と点眼剤(2)を併用して投与する場合の投与順は、特に限定されない。点眼剤(1)を先に点眼した場合、点眼剤(1)を点眼後少なくとも5分の間隔で点眼剤(2)を点眼することが望ましい。点眼剤(2)を先に点眼した場合、点眼剤(2)の点眼後少なくとも5分の間隔で点眼剤(1)を点眼することが望ましい。2種以上の点眼剤(2)を組み合わせる場合も、同様に少なくとも5分の間隔で点眼することが望ましい。
本発明の治療剤は、点眼剤(1)が点眼剤(2)の成分を含有し、1つの点眼容器中に含まれる形態であってもよい。その場合は、投与時期が同時であり、投与回数も同じとなるので、それぞれの成分の含量をかかる投与スケジュールに適合させるように適宜変更することが望ましい。
本発明における点眼剤(1)は、点眼剤(2)と併用することにより、点眼剤(2)の角膜上皮障害又はドライアイの治療効果を増強することができる。有効成分として化合物Aを含有する点眼剤(1)は、点眼剤(2)の角膜上皮障害又はドライアイの治療効果の増強剤としても有用である。逆に、点眼剤(2)は、点眼剤(1)と併用することにより、点眼剤(1)の角膜上皮障害又はドライアイの治療効果を増強することができる。点眼剤(2)は、有効成分として化合物Aを含有する点眼剤(1)の角膜上皮障害又はドライアイの治療効果の増強剤としても有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
試験例1
角膜上皮創傷治癒促進作用の検討
1.使用動物
雄性日本白色種家兎を用いた。実験動物の使用にあたっては、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年10月1日法律第105号、最終改正平成25年6月12日法律第38号)等に基づく動物実験倫理委員会の承認を受けて実施した。
2.被験物質
被験物質として化合物Aを用いた。化合物Aは、0.005%になるように下記の基剤に溶解したものを点眼液として使用した。
併用薬には、人工涙液マイティア点眼液(人工涙液;千寿製薬)を使用した。
3.実験方法
1)角膜上皮掻爬
50mg/mLケタミン注射液(ケタラール筋注用500mg;第一三共プロファーマ)及び20mg/mLセラクタール(セラクタール2%注射液;バイエル薬品)の3:1混合液の筋肉内注射(1mL/kg)により動物に全身麻酔を施した後、0.4%オキシブプロカイン塩酸塩点眼液(ベノキシール点眼液0.4%;参天製薬)を用いて局所麻酔を施した。眼球を脱臼させた後、直径10mmのトレパンを用いて角膜中央部の角膜上皮上に直径10mmの刻印を施し、実体顕微鏡下、ハンディルーターを用いて刻印した円周内の角膜上皮全層を掻爬した。掻爬後、生理食塩液(大塚生食注:大塚製薬工場)を用いて角膜表面を洗浄し、眼球を眼窩内に復位させて角膜上皮掻爬処置を完了した。
2)薬剤の単独投与
化合物A点眼液について、角膜上皮掻爬当日は1日2回、掻爬1及び2日後には1日4回2時間以上の間隔をあけて、処置眼に対して1回50μL、マイクロピペットを用いて点眼した。人工涙液については、角膜上皮掻爬当日は1日3回、掻爬1及び2日後には1日6回1時間以上の間隔をあけて、処置眼に対し、1回50μL、マイクロピペットを用いて点眼した。
3)薬剤の併用投与
化合物A点眼液と人工涙液の併用投与について、それぞれ上記単独投与と同様のスケジュールに従って、同一眼の処置眼に対し、1回50μL、マイクロピペットを用いて点眼した。投与順は、化合物A点眼液を投与した後、5分以上の間隔をあけて人工涙液を同一眼に点眼した。
4)評価
角膜上皮掻爬が完了した時点を試験開始時間(0時間目)とし、その48時間後に角膜上皮欠損面積を定量することにより、角膜上皮の修復を評価した。すなわち、48時間後の時点で処置眼に0.1%フルオレセインナトリウム(和光純薬)溶液を10μL点眼し、ただちにスリットランプを用いて動物の前眼部写真を撮影することにより、フルオレセイン染色された角膜上皮欠損領域を記録した。現像された写真をコンピュータにデジタル画像として保存し、画像解析ソフト(Image-Pro Plus ver.6.0)を用いてフルオレセイン染色された角膜上皮欠損部の面積を測定した。
4.試験結果
非点眼群、0.005% 化合物A点眼群、人工涙液群、0.005% 化合物A点眼群と人工涙液の併用点眼群の48時間後に残存する角膜上皮欠損の割合を表2に示す。角膜上皮欠損部分は、個体ごとの角膜上皮欠損面積の初期値を100%として、その値を算出した。この値を残存する角膜上皮欠損の割合(平均値)として用いた。角膜上皮掻爬の48時間後において、0.005%化合物A点眼群と人工涙液との併用投与群の角膜上皮欠損の割合は各薬剤単独群よりも小さかった。
この試験結果から、化合物Aと人工涙液とを組み合わせることにより、単独使用時と比較して欠損した角膜上皮の修復が促進されることが明らかとなった。
本発明の治療剤によれば、点眼剤単独に比べて、有意に角膜上皮障害又はドライアイの治療効果を促進させることができる。これにより、治療期間の短縮、治療剤の用量の低減が可能となる。患者にとって症状の早期の改善及び治療期間の短縮というベネフィットが得られ、医療費の削減にも貢献することができる。

Claims (5)

  1. (1)[3−[2−[4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル)フェニル−5−チアゾリル]エチル]−5−メチル−1,2−ベンズイソキサゾール−6−イル]オキシ酢酸又はその製剤学的に許容される塩を有効成分として含有する点眼剤と、(2)人工涙液点眼剤とからなる組み合わせの併用剤である、角膜上皮障害又はドライアイの治療剤。
  2. 点眼剤(1)が1日2〜4回投与形態の点眼剤であり、点眼剤(2)が1日2〜6回投与形態の点眼剤であり、点眼剤(1)を点眼後少なくとも5分の間隔で点眼剤(2)を点眼するか、又は点眼剤(2)を点眼後少なくとも5分の間隔で点眼剤(1)を点眼する目的で使用される、請求項1に記載の治療剤。
  3. 点眼剤(2)が塩化ナトリウム、塩化カリウム、乾燥炭酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物及びホウ酸を含有する人工涙液点眼剤である、請求項1又は請求項2に記載の治療剤。
  4. 点眼剤(2)が人工涙液マイティア点眼液である、請求項3に記載の治療剤。
  5. 点眼剤(1)が点眼剤(2)の成分を含有し、1つの点眼容器中に含まれる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の治療剤。
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