JP2020117441A - 重合開始剤組成物及びその製造方法 - Google Patents

重合開始剤組成物及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020117441A
JP2020117441A JP2019007034A JP2019007034A JP2020117441A JP 2020117441 A JP2020117441 A JP 2020117441A JP 2019007034 A JP2019007034 A JP 2019007034A JP 2019007034 A JP2019007034 A JP 2019007034A JP 2020117441 A JP2020117441 A JP 2020117441A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pfbpo
solution
peroxide
solvent
polymerization initiator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019007034A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7225818B2 (ja
Inventor
和也 岩永
Kazuya Iwanaga
和也 岩永
智弥 下野
Tomoya Shimono
智弥 下野
智成 長井
Tomonari NAGAI
智成 長井
孝太 坂口
Kota Sakaguchi
孝太 坂口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP2019007034A priority Critical patent/JP7225818B2/ja
Publication of JP2020117441A publication Critical patent/JP2020117441A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7225818B2 publication Critical patent/JP7225818B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Polymerization Catalysts (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】固体より安全に取り扱うことが可能な、PFBPOを含有する重合開始剤を提供すること、そのようなPFBPOを含有する重合開始剤をより高い収率で製造することができ、かつ反応装置への固着を抑制できる、実際の製造プロセスへの適用性に優れた製造方法を提供すること。【解決手段】ペンタフルオロベンゾイルクロリド(PFBC)と過酸化物とを有機溶媒中で、かつアルカリ水溶液の共存下で反応させて、ビス(パーフルオロベンゾイル)ペルオキシド(PFBPO)を含有する溶液を得る工程、及び得られたPFBPO含有溶液を水相と有機相とに分離して、有機相としてPFBPO含有溶液を得る工程、を含む、PFBPO含有溶液の製造方法。PFBPO及び含フッ素溶媒を含有する重合開始剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、重合開始剤組成物及びその製造方法に関する。より詳しくは、ビス(パーフルオロベンゾイル)ペルオキシド(以下、PFBPOと略記することがある)を含有する重合開始剤組成物及びその製造方法に関する。
PFBPOは、主にフッ素系重合体の合成に用いられる重合開始剤であり、従来、非特許文献1に記載の方法により合成される。非特許文献1に記載の方法では、ペンタフルオロベンゾイルクロリド(以下、PFBCと略記する)と過酸化水素水とをNaOH水溶液中、冷却下で反応させて、析出する生成物を回収し、水洗し、粗生成物をクロロホルムに溶解し、メタノールを添加して、−40℃に冷却してPFBPOをろ過する再結晶法により、固体PFBPOを製造する。
尚、ビス(パーフルオロベンゾイル)ペルオキシド(PFBPO)は、ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ペルオキシド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)パーオキシドなどとも表記される。
J.Chem.Soc.(C),1969,p822−823 Macromolecules,2005,38,4237−4245
従来法では、PFBPOを再結晶法により精製して固体として得ている。得られた固体PFBPOは重合開始剤として提供される(非特許文献2)。しかし、過酸化物であるPFBPOを固体として扱うのは、安全性の観点では好ましくなく、また、再結晶法は、工程数が多くPFBPOの収率も約60%と低かった。さらに、再結晶法では反応中に固体が析出し、撹拌翼や反応容器等の反応装置に強く固着するため、実際の製造プロセスへの適用性に乏しいという問題もあった。
本発明の目的は、固体より安全に取り扱うことが可能な、PFBPOを含有する重合開始剤を提供すること、さらにそのようなPFBPOを含有する重合開始剤をより高い収率で製造することができ、かつ反応装置への固着を抑制できる、実際の製造プロセスへの適用性に優れた製造方法を提供することにある。
本発明は、以下の通りである。
[1]
ペンタフルオロベンゾイルクロリド(以下、PFBCと略記する)と過酸化物とを有機溶媒中で、かつアルカリ水溶液の共存下で反応させて、ビス(パーフルオロベンゾイル)ペルオキシド(以下、PFBPOと略記する)を含有する溶液を得る工程、及び
得られたPFBPO含有溶液を水相と有機相とに分離して、有機相としてPFBPO含有溶液を得る工程、を含む、PFBPO含有溶液の製造方法。
[2]
有機溶媒が、含フッ素溶媒である、[1]に記載の製造方法。
[3]
含フッ素溶媒が、パーフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロオレフィン、及び芳香族フッ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である[2]に記載の製造方法。
[4]
含フッ素溶媒が、パーフルオロカーボン及び芳香族フッ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である[2]に記載の製造方法。
[5]
過酸化物が過酸化水素である[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]
水相から分離したPFBPO含有溶液を、有機溶媒に対して非混和性である洗浄溶媒を用いて洗浄する工程をさらに含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]
ビス(パーフルオロベンゾイル)ペルオキシド(以下、PFBPOと略記する)及び含フッ素溶媒を含有する重合開始剤組成物。
[8]
PFBPOの含有量が1〜80質量%の範囲である[7]に記載の組成物。
[9]
フッ素系重合体の合成に用いるための[7]または[8]に記載の組成物。
本発明によれば、フッ素系の重合開始剤であるPFBPOの新たな製造方法及び新たな提供形態を提供することができる。
<PFBPO含有溶液の製造方法>
本発明は、PFBPO含有溶液の製造方法に関し、この製造方法は、
(1)ペンタフルオロベンゾイルクロリド(PFBC)と過酸化物とを有機溶媒中で、かつアルカリ水溶液の共存下で反応させて、ビス(パーフルオロベンゾイル)ペルオキシド(PFBPO)を含有する溶液を得る工程、及び
(2)得られたPFBPO含有溶液を水相と有機相とに分離して、有機相としてPFBPO含有溶液を得る工程、を含む。
工程(1)では、PFBCと過酸化物とを有機溶媒中で、かつアルカリ水溶液の共存下で反応させる。過酸化物は、例えば、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム等であり、より具体的には過酸化水素である。過酸化水素水の濃度には特に限定はなく、例えば、20〜40%の範囲であることができ、過酸化水素濃度が高い方が、PFBPO収率が高くなる傾向があるのが好ましい。
有機溶媒は、PFBCに対する溶解性を有し、かつ過酸化物及びアルカリに対して安定である溶媒であれば、特に限定はない。
上記反応に用いる有機溶媒としては、例えば、パーフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロオレフィン、含フッ素アルコール、芳香族フッ素化合物等の含フッ素溶媒;アセトン、トルエン、酢酸エチル、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の汎用有機溶媒等が挙げられる。
パーフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロオレフィン、芳香族フッ素化合物からなる群の少なくとも1種であることが好ましく、さらに好ましくはパーフルオロヘキサン、パーフルオロ−N−メチルモルホリン、パーフルオロ−N−プロピルモルホリン、パーフルオロトリエチルアミン、パーフルオロメチルジブチルアミン、パーフルオロトリブチルアミン、CF3CF2CHCl2、CF3CHFCHFCF2CF3、CF3CF2CF2CF2CF2CF2H、CF3(CF25CH2CH3、C49OCH3、C49OC25、C25CF(OCH3)C37)、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、1,2,2,3,3,4,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、ヘキサフルオロベンゼンからなる群の少なくとも1種であることが好ましい。
例えば、フロリナートFC−5052、FC−72、FC−770、FC−3283、FC−40、FC−43(いずれも3Mジャパン社製)等のパーフルオロカーボン;アサヒクリンAK−225(旭硝子社製)等のハイドロクロロフルオロカーボン;バートレルXF(三井・ケマーズ社製)、アサヒクリンAC−2000、AC−6000、AE−3000(いずれも旭硝子社製)、ゼオローラH(日本ゼオン社製)等のハイドロフルオロカーボン;Novec7100、Novec7200、Novec7300(3Mジャパン社製)等のハイドロフルオロエーテル;オプテオンSF10(三井・ケマーズ社製)等のハイドロフルオロオレフィン;ヘキサフルオロベンゼン等の芳香族含フッ素溶媒;等が挙げられる。
なかでも、反応系中に存在するアルカリで分解しにくいことから、フロリナートFC−5052、FC−72、FC−770、FC−3283、FC−40、FC−43(いずれも3Mジャパン社製)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ−N−メチルモルホリン、パーフルオロ−N−プロピルモルホリン、パーフルオロトリエチルアミン、パーフルオロメチルジブチルアミン、パーフルオロトリブチルアミン等のパーフルオロカーボン;ヘキサフルオロベンゼン等の芳香族フッ素化合物であることが好ましい。
アルカリ水溶液のアルカリは特に限定はないが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物の水溶液を挙げることができ、より具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物であることが強アルカリ水溶液を提供しやすいという観点から好ましい。アルカリ水溶液の濃度は、例えば、0.1〜10mol/L、好ましくは1〜6mol/L、より好ましくは2〜5mol/Lとすることができる。
PFBCと過酸化物との反応は、具体的には、例えば、過酸化水素水とアルカリ水溶液の混合物に、PFBCを滴下する、あるいはPFBCとアルカリ水溶液を同時に滴下し、次いで所定時間保持することで実施することができる。滴下時間及び保持時間は、原料の使用量や濃度、使用比率などを考慮して適宜決定することができる。本発明においては、PFBCと過酸化物との反応は有機溶媒中で行うので、有機溶媒の使用量にもよるが、水溶液と有機溶媒との2相が共存する状態で実施される。そのため、反応により生成するPFBPOの多くは、有機溶媒中に含有され、塊状の固体として析出するのを防ぐことができ安全性に優れる。さらには、撹拌翼や反応容器等の反応装置に固体が固着することを防ぐこともできる。そのため、本発明の製造方法は、実際のプロセスへの適用性に優れる。有機溶媒の使用量は、反応により生成するPFBPOが有機溶媒中に溶解し、塊状の固体として析出しない範囲とすることが、その後の2相分離での回収が容易であることから好ましい。PFBCに対する有機溶媒の使用量は、上記観点から有機溶媒の種類により異なるが、例えば、PFBCに対して質量比で1:1〜10、好ましくは1:1〜6の範囲、より好ましくは1:2〜4の範囲である。
PFBCに対する過酸化物及びアルカリの使用量(当量比)は、例えば、PFBC1に対して、過酸化物が1〜10の範囲、アルカリが1〜10の範囲であることができる。好ましくはPFBC1に対して、過酸化物が1〜5の範囲、アルカリが1〜5の範囲であり、より好ましくはPFBC1に対して、過酸化物が2〜4の範囲、アルカリが1.5〜3の範囲である。
PFBCと過酸化物との反応は、例えば、−20〜20℃の範囲の温度、好ましくは−10〜10℃の範囲の温度で行い、PFBCの滴下、あるいはPFBCとアルカリ水溶液の同時滴下及びその後の保持は、同一の温度でも異なる温度でも行うことができ、何れの場合も上記範囲の温度にすることが副生物の生成を抑制しつつ目的とするPFBPOを収率よく得るという観点から好ましい。
過酸化物として過酸化水素水、アルカリ水溶液としてNaOH水溶液を用いる場合の反応例を以下のスキームを以下に示す。HFBはヘキサフルオロベンゼンである。
工程(2)では、工程(1)で得られたPFBPO含有溶液を水相と有機相とを分離して、有機相としてPFBPO含有溶液を得る。水相と有機相との分離は、常温(例えば、10〜30℃)において常法により行うことができる。工程(1)で有機溶媒を用いることで、PFBPOは有機相に含有され、工程(2)で有機相として回収できるので、PFBPOの回収率は、水相から固体として析出させるより高くなる傾向がある。
水相から分離したPFBPO含有溶液は、PFBPO含有溶液を構成する有機溶媒に対して非混和性である洗浄溶媒を用いて洗浄することができる。非混和性である洗浄溶媒は、例えば、水であることができ、水以外には、有機溶媒が含フッ素溶媒の場合には、含フッ素溶媒と非混和性である有機溶媒を用いることもできる。洗浄溶媒が水である場合には、水のpHは酸性であっても塩基性であっても、中性であっても良い。また、水による洗浄と含フッ素溶媒と非混和性である有機溶媒による洗浄を組み合わせることもできる。
含フッ素溶媒と非混和性である有機溶媒としては、含フッ素溶媒の種類に応じて、例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、酢酸エチル、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、2,2,2−トリフルオロエタノール等が挙げられる。
工程(2)及びその後の洗浄工程により、PFBPOを例えば、1〜60質量%含有する有機溶媒を溶媒とする溶液を得ることができる。PFBPOの含有量(溶液中の濃度)は、工程(1)におけるPFBCに対する有機溶媒の使用量を選択することで適宜調整することができる。工程(2)の後、またはその後の洗浄工程の後に、PFBPO含有溶液をさらに脱水処理に付すこともできる。
脱水処理は常法により行うことができる。
<重合開始剤組成物>
本発明は、PFBPO及び含フッ素溶媒を含有する重合開始剤組成物を包含する。含フッ素溶媒は、前記製造方法において説明したものと同様である。PFBPOの含有量は、例えば、1〜80質量%の範囲であることができ、重合開始剤として用いることを考慮すると、例えば、5〜60質量%の範囲であることが適当である。但し、この範囲に限定される意図ではない。また、PFBPOの含有量は、含フッ素溶媒の一部除去(留去)による濃縮及び含フッ素溶媒の添加による希釈により適宜調製できる。
本発明の重合開始剤組成物は、ラジカル重合開始剤として有用であり、特に、フッ素系モノマーを重合してフッ素系重合体を得る際のラジカル重合開始剤として有用である。本発明の重合開始剤組成物は、PFBPO及び含フッ素溶媒を含有するために、フッ素系モノマーとの相溶性あるいは親和性が高く、均質な重合条件を供することが可能である。
本発明の重合開始剤組成物は、例えば、下記一般式(1)で表される単量体を重合させて、一般式(2)で表される残基単位を含む重合体を製造する方法に工程に用いることができる。
(式(1)中、Rf5、Rf6、Rf7、Rf8はそれぞれ独立してフッ素原子または炭素数1〜7のエーテル性酸素原子を有していてもよい直鎖状、分岐状または環状のパーフルオロアルキル基を示す。また、Rf5、Rf6、Rf7、Rf8は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよい。)
(式(2)中、Rf5、Rf6、Rf7、Rf8はそれぞれ独立してフッ素原子または炭素数1〜7のエーテル性酸素原子を有していてもよい直鎖状、分岐状または環状のパーフルオロアルキル基を示す。また、Rf5、Rf6、Rf7、Rf8は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよい。)
重合体の製造方法において、一般式(1)で表される単量体は、例えば、パーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)であり、一般式(2)で表される残基単位を含む重合体は、(ポリ(パーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)であることができる。
上記重合体の製造方法において、重合溶媒として一般式(1)で表される単量体を溶解し、一般式(2)で表される残基単位を含む重合体も溶解する有機溶媒または一般式(2)で表される残基単位を含む重合体を溶解しない有機溶媒を用いることにより、重合反応によって生成した重合体を溶液として、あるいは粒子として析出させることができる。本発明の重合開始剤組成物が含有する含フッ素溶媒は、前記例示の範囲から、重合に用いる溶媒と相溶性が良好な溶媒から適宜選択することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。但し、実施例は本発明の例示であって、本発明は実施例に限定される意図ではない。
(実施例1)
ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ペルオキシドの合成(本発明:溶液法)
二口フラスコに35%過酸化水素水6.75g(69.46mmol)を加え、氷浴で冷却した後に4M NaOH水溶液3.05g(14.62mmol)をゆっくりと滴下した。ヘキサフルオロベンゼン13.28gに溶解させたペンタフルオロベンゾイルクロリド5.11g(22.12mmol)と4M NaOH水溶液3.05g(14.62mmol)を同時に20分かけて滴下した。攪拌下0℃で1時間保持した後、分液し水で3回洗浄した。硫酸マグネシウムで有機相を乾燥させたのちろ過して、28.2%ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ペルオキシド−ヘキサフルオロベンゼン溶液13.95gを得た(収率84%)得られた。PFBPOの生成は、ヘキサフルオロベンゼン中でF−NMR測定することにより確認した(−161.3ppm(4F)、−146.5ppm(2F)、−137.0ppm(4F))。
(参考例1)
ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ペルオキシドの合成(従来法:再結晶法の改変法)
二口フラスコに35%過酸化水素水6.75g(69.46mmol)を加え、氷浴で冷却した後に4M NaOH水溶液3.05g(14.62mmol)をゆっくりと滴下した。ペンタフルオロベンゾイルクロリド5.11g(22.12mmol)と4M NaOH水溶液3.05g(14.62mmol)を同時に20分かけて滴下した後、攪拌下0℃で1時間保持した。この時、固体が析出しており、析出した固体は撹拌子に強く固着しており、固体の状態でハンドリングするのは困難な状況であった。クロロホルム15mLで抽出し水で3回洗浄した。硫酸マグネシウムで有機相を乾燥させたのちろ過して、室温で減圧濃縮しビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ペルオキシドの固体を取り上げた。ヘキサン25mLとメチルエチルケトン6.25mLの混合溶液に常温で溶解させた後、0℃で減圧濃縮し固体を析出、ろ過をすることでビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ペルオキシド2.38gを得た(収率51%)。
実施例1で示した、過酸化水素水との反応において有機溶媒(ヘキサフルオロベンゼン)を用いる方法の方が、工程数が少なく、かつ生成物の収率も高いことが分かる。
[重合例1]
容量75mLのガラスアンプルにラジカル重合開始剤として実施例1で合成した濃度28.2wt%のビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド溶液0.15g(固形分:0.042g)、単量体としてパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)5g、重合溶媒としてFC−72(スリーエムジャパン社製)20gを入れ、凍結脱気による窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを55℃の恒温槽に入れ、24時間保持することによりラジカル溶液重合を行った。室温まで冷却後アンプルを開封し、粘度調整のため樹脂溶液を25gのFC−72で希釈して樹脂希釈溶液を作製した。撹拌子を備えたビーカー中にヘキサンを加え、攪拌下、前記の樹脂希釈溶液を前記ヘキサン中に加えることで樹脂を析出させ、吸引ろ過行い、加熱下で真空乾燥することで含フッ素脂肪族環構造を含むフッ素樹脂(A)(ポリ(パーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン))を得た。重量平均分子量Mwは37万、収率は87%であった。後述する参考重合例1の結果と比較して、重量平均分子量及び収率に違いはなく、有機溶媒を用いて調製し、有機溶媒の溶液として重合に供した開始剤を用いても、固体の重合開始剤を用いた場合と同等の重合結果が得られた。
[参考重合例1]
重合例1においてラジカル重合開始剤として参考例1で合成したビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド0.042gをヘキサフルオロベンゼン0.17gに溶解して用いた以外は重合例1と同様に行った。重量平均分子量Mwは35万、収率は89%であった。
本発明は、フッ素系のラジカル重合開始剤に関連する分野において有用である。

Claims (9)

  1. ペンタフルオロベンゾイルクロリド(以下、PFBCと略記する)と過酸化物とを有機溶媒中で、かつアルカリ水溶液の共存下で反応させて、ビス(パーフルオロベンゾイル)ペルオキシド(以下、PFBPOと略記する)を含有する溶液を得る工程、及び
    得られたPFBPO含有溶液を水相と有機相とに分離して、有機相としてPFBPO含有溶液を得る工程、を含む、PFBPO含有溶液の製造方法。
  2. 有機溶媒が、含フッ素溶媒である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 含フッ素溶媒が、パーフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロオレフィン、及び芳香族フッ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の製造方法。
  4. 含フッ素溶媒が、パーフルオロカーボン及び芳香族フッ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の製造方法。
  5. 過酸化物が過酸化水素である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 水相から分離したPFBPO含有溶液を、有機溶媒に対して非混和性である洗浄溶媒を用いて洗浄する工程をさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. ビス(パーフルオロベンゾイル)ペルオキシド(以下、PFBPOと略記する)及び含フッ素溶媒を含有する重合開始剤組成物。
  8. PFBPOの含有量が1〜80質量%の範囲である請求項7に記載の組成物。
  9. フッ素系重合体の合成に用いるための請求項7または8に記載の組成物。
JP2019007034A 2019-01-18 2019-01-18 重合開始剤組成物及びその製造方法 Active JP7225818B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019007034A JP7225818B2 (ja) 2019-01-18 2019-01-18 重合開始剤組成物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019007034A JP7225818B2 (ja) 2019-01-18 2019-01-18 重合開始剤組成物及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020117441A true JP2020117441A (ja) 2020-08-06
JP7225818B2 JP7225818B2 (ja) 2023-02-21

Family

ID=71889927

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019007034A Active JP7225818B2 (ja) 2019-01-18 2019-01-18 重合開始剤組成物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7225818B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6160082B2 (ja) * 1978-06-08 1986-12-19 Ricoh Kk
JPH06172303A (ja) * 1992-12-09 1994-06-21 Nippon Oil & Fats Co Ltd 過酸化フルオロアルカノイルの製造方法
JP2008044863A (ja) * 2006-08-11 2008-02-28 Asahi Glass Co Ltd ペルフルオロ有機過酸化物ならびにその製造方法、および重合体の製造方法
WO2010117029A1 (ja) * 2009-04-08 2010-10-14 旭硝子株式会社 ペルフルオロ有機過酸化物の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6160082B2 (ja) * 1978-06-08 1986-12-19 Ricoh Kk
JPH06172303A (ja) * 1992-12-09 1994-06-21 Nippon Oil & Fats Co Ltd 過酸化フルオロアルカノイルの製造方法
JP2008044863A (ja) * 2006-08-11 2008-02-28 Asahi Glass Co Ltd ペルフルオロ有機過酸化物ならびにその製造方法、および重合体の製造方法
WO2010117029A1 (ja) * 2009-04-08 2010-10-14 旭硝子株式会社 ペルフルオロ有機過酸化物の製造方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JOURNAL OF THE CHEMICAL SOCIETY C, JPN6022039692, 1969, pages 822 - 823, ISSN: 0004876626 *
MACROMOLECULES, vol. 38(10), JPN6022039693, 2005, pages 4237 - 4245, ISSN: 0004876625 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP7225818B2 (ja) 2023-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9187416B2 (en) Partially fluorinated sulfinic acid monomers and their salts
JP2010523617A (ja) カルボニルパーフルオロポリエーテルを調製する方法
JP6850595B2 (ja) フッ素化方法およびパーフルオロポリエーテル系化合物の製造方法
JP5902712B2 (ja) ペルフルオロビニルエーテルスルフィン酸及びその塩類の調製
CN108517025B (zh) 一种无定形含氟聚合物及其制备方法
EP1980584B1 (en) Process for production of perfluoropolyether carboxylic acid fluoride
JPWO2011027867A1 (ja) ビススルホニルイミドアンモニウム塩、ビススルホニルイミドおよびビススルホニルイミドリチウム塩の製造方法
JP2020117441A (ja) 重合開始剤組成物及びその製造方法
US9540461B2 (en) Fluorinated unsaturated compound and polymers obtainable therefrom
JP6349943B2 (ja) 化合物の精製方法、及び高分子化合物の製造方法
JPWO2006009123A1 (ja) ポリカルボシラン及びその製造方法
JP5997264B2 (ja) アリルエーテル末端フルオロアルキルスルフィン酸及びその塩
JP2006206515A (ja) メチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体の製造方法
JP4422256B2 (ja) スルホニル基を有するホスファゼン誘導体およびその製造方法
JP2013136571A (ja) 含フッ素環状カーボネートの製造方法
JPH10251351A (ja) フルオロアルキル基含有化合物、その製造方法および高分子電解質
JP2009263259A (ja) スルホンイミド塩の精製方法
JP2016027030A (ja) 精製イオン性錯体の製造方法
JP2010006758A (ja) 発光性イオン液体
EP4077466B1 (fr) Procédé de fabrication d'un diéther aromatique et procédés correspondants de fabrication de poly-aryl-éther-cétones
JP2020059784A (ja) 含フッ素脂肪族環構造を含むフッ素樹脂粒子の製造方法
JP2014031341A (ja) パーフルオロアルキルスルホン酸金属塩の製造方法
JP7247056B2 (ja) 含フッ素ビニルエーテルの製造方法
JP4475315B2 (ja) イソフタル酸誘導体の製造方法
JP4328967B2 (ja) 含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211118

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220920

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230123

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7225818

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151