JP2009263259A - スルホンイミド塩の精製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スルホン酸塩とスルホンイミド塩との混合物と、疎水性有機溶媒と水の混合溶媒とを混合・撹拌後、水相を分液して、スルホンイミド塩を精製する。
【選択図】なし
Description
特許文献3には、スルホンアミドやスルホン酸を含むスルホンイミドのアンモニウム塩の混合物を、水酸化アルカリ金属の水溶液と混合させた後、晶析・濾過により、スルホンイミドのアルカリ金属塩を得る方法が開示されている。しかしながら、スルホンイミドのアンモニウム塩をスルホンイミドのアルカリ金属塩に変換するため、アミンが遊離し、アミン臭に対する作業環境の対策や除害設備等が必要となる。また、スルホンイミドのアルカリ金属塩の晶析を行うために、水酸化アルカリ金属の水溶液の濃度をコントロールしなければならず操作が煩雑である。
このように、従来のスルホンイミド塩の精製方法は、工業的な方法とは言いがたく、操作性に優れたスルホンイミド塩の精製方法の開発が望まれていた。
的でかつ操作性に優れた精製方法により、高純度のスルホンイミド塩を提供することを目的とする。
1.下記一般式(1)で表されるスルホン酸塩と、下記一般式(2)で表されるスルホンイミド塩との混合物から該スルホンイミド塩を精製する方法であって、
(A)ケトン類、エステル類及びエーテル類から選ばれる少なくとも1種の疎水性有機溶媒と水の二相溶媒中に該混合物を投入・攪拌して、疎水性有機溶媒相中にスルホンイミド塩を抽出する工程、
(B)その後、該二相溶媒から疎水性有機溶媒相のみを分取する工程、
を経ることを特徴とする下記一般式(2)で表されるスルホンイミド塩の精製方法。
Rf1SO3M ・・・ (1)
(Rf1は炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体であり、MはMa
、Mb1/2であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。)
Rf1SO2N(M)SO2Rf2 ・・・ (2)
(Rf1は上記一般式(1)と同一の置換基であり、Rf2はRf1と同一の置換基、またはRf1とは異なる炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体であり、Mは上記一般式(1)と同一の金属である。)
3.上記一般式(1)および一般式(2)で、Rf1、Rf2の少なくとも一方が水素置換基を有する炭素数1から12のいずれかの炭素数を有するフッ素化炭化水素基であることを特徴とする、1.または2.に記載のスルホンイミド塩の精製方法。
4.該疎水性有機溶媒が、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、t−ブチルメチルエーテルのいずれかより選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、1.から3.のいずれかに記載のスルホンイミド塩の精製方法。
本発明において,上記一般式(1)で表されるスルホン酸塩と、上記一般式(2)で表されるスルホンイミド塩との混合物について説明する。
上記一般式(1)において、Rf1は炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体である。また、上記一般式(2)において、Rf1は上記一般式(1)と同一の置換基であり、Rf2はRf1と同一の置換基、またはRf1とは異なる炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体である。フッ素化炭化水素基とは、分子構
造として直鎖構造、分岐構造、環状構造でも良く、完全フッ素化あるいは部分フッ素化された炭化水素基を示す。さらにその置換基として、a)塩素原子、臭素原子等のハロゲン基、b)エーテル基を含んでいても良い。
Rf1、Rf2にエーテル結合を含む場合、[エーテル結合の数]/[炭素原子の数]の比は、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.35以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。[エーテル結合の数]/[炭素原子の数]の比が大きすぎると、Rf1、Rf2の安定性が低下するので好ましくない。
Rf1、Rf2の具体例としては、
CF3−、CF3CF2−、CF3CF2CF2−、CF3CF(CF3)−、
CF3CF2CF2CF2−、CF3CF(CF3)CF2−、
CF3CF2CF(CF3)−、CF3(CF2)5−、
CF3(CF2)7−、
HCF2−、HCF2CF2−、CF3CHF−、HCF2CF2CF2−、
CF3CHFCF2−、CF3CF2CFH−、HCF2CF2CF2CF2−、
CF3CFHCF2CF2−、CF3CF2CFHCF2−、CF3CF2CF2CFH−、
・ハロゲン基含有フッ素化炭化水素基:
ClCF2−、BrCF2−、ClCF2CF2−、BrCF2CF2−、
ClCF2CF2CF2CF2−、BrCF2CF2CF2CF2−、
ClCF2CFClCF2CF2−、
CF3CFHO(CF2)2− CF3CFHO(CF2)3−
CF3CFHO(CF2)4− CF3CFHO(CF2)6−
CF3CFHO(CF2CF(CF3))O(CF2)2−
CF3CFHO(CF2CF(CF3))O(CF2)3−
CF3CFHO(CF2CF(CF3))O(CF2)4−
CF3CFHO(CF2CF(CF3))O(CF2)6−
等が挙げられるが、スルホンイミド塩の合成及び精製のしやすさの観点から、Rf1およびRf2は、好ましくは炭素数1から8のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体であり、より好ましくは炭素数1から6のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体であり、特に好ましくは炭素数1から4のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体である。
本発明者らは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩等の無機塩基化合物の存在下、下記一般式(3)
Rf1SO2X ・・・ (3)
(Rf1は上記一般式(1)と同じであり、Xはフッ素原子、又は塩素原子を表す)
で表されるスルホニルハライドと、下記一般式(4)
Rf2SO2NH2 ・・・ (4)
(Rf2は上記一般式(2)と同じである)
で表されるスルホンアミドとを接触・攪拌させることにより、上記一般式(2)で表されるスルホンイミド塩が得られることを見出し、該スルホンイミド塩の製造法についてすでに開示している。しかしながら、上記一般式(2)で表されるスルホンイミド塩中に、下記一般式(1)
Rf1SO3M ・・・ (1)
で表されるスルホン酸塩が副生した、スルホン酸塩とスルホンイミド塩との混合物が生成する場合がある。
スルホン酸塩を含むスルホンイミド塩の混合物をリチウムイオン2次電池の電解質として使用した場合、電気伝導度の低下やアルミ集電体の溶解電位低下などの問題が生じるため、スルホン酸塩を除去し、高純度のスルホンイミド塩を製造する必要がある。
(A)ケトン類、エステル類及びエーテル類から選ばれる少なくとも1種の疎水性有機溶媒と水の二相溶媒中にスルホン酸塩とスルホンイミド塩との混合物を投入して、混合・攪拌後、静置するとスルホンイミドが抽出された疎水性溶媒相と、スルホン酸塩が抽出された水相の2相に分離し、そこから疎水性溶媒相を分取して濃縮することにより、スルホン酸塩が除去され、高純度のスルホンイミド塩が得られることを見出した。
本発明で使用されるケトン類、エステル類、またはエーテル類から選ばれる疎水性有機溶媒の具体例としては、
エステル類:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル
エーテル類:ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル
等が挙げられるが、疎水性有機溶媒に対するスルホンイミド塩の溶解性から、好ましくはメチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテルであり、より好ましくはメチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、t−ブチルメチルエーテルであり、特に好ましくはメチルイソブチルケトン、酢酸エチル、t−ブチルメチルエーテルである。
本発明では、疎水性有機溶媒と共に水が使用される。疎水性有機溶媒と水の混合質量比(疎水性有機溶媒の質量/水の質量)は、通常、1/100〜10000/100の範囲
で使用されるが、スルホン酸塩を効率よく除去するため、好ましくは10/100〜5000/100の範囲であり、より好ましくは50/100〜2000/100の範囲であり、特に好ましくは100/100〜1000/100の範囲で使用される。
スルホン酸塩とスルホンイミド塩との混合物とを、疎水性有機溶媒と水との混合溶媒に混合・攪拌させる場合の温度は、通常、0℃から100℃であるが、好ましくは5℃から80℃であり、より好ましくは10℃から60℃であり、特に好ましくは20℃から50℃である。
水相を分液した後、有機相を濃縮・乾燥すれば、高純度のスルホンイミド塩が得られる。なお、上記で得られたスルホンイミド塩は、さらに従来公知の晶析、カラムクロマトグラフィー等の精製法を組み合わせて行っても差し支えない。
以上のように、本発明は、スルホン酸塩とスルホンイミド塩との混合物を、疎水性有機溶媒と水との混合溶媒に、混合・撹拌させることにより、リチウムイオン2次電池等の蓄電素子用の電解質として有用な高純度のスルホンイミド塩を効率よく得る技術を提供するものであり、工業的に極めて有用である。
種々の物性は、次の方法で測定した。
19F−NMRによる分子構造解析
測定装置:JNM−GSX400型核磁気共鳴装置(日本電子株式会社)
溶媒:重クロロホルム、
基準物質:フレオン−11(CFCl3)
MALDI−TOF/MSによる構造解析
測定装置:AXIMA CFR plus(島津製作所)、
レーザー:窒素レーザー(337nm)
検出器形式:リニアモード
イオン検出:負イオン(Negative mode)
積算回数:500回
マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシけい皮酸
500mLの3口フラスコに、CF3SO2NH2 (23.0g、0.154mol)
、炭酸ナトリウム(42.0g、0.396mol)、アセトニトリル(200mL)、HCF2CF2SO2Cl(40.0g、0.200mol)を加え、60℃で4時間、攪拌した。反応混合物を19F−NMRで測定すると、CF3SO2NH2は消失し、過剰分のHCF2CF2SO2ClとHCF2CF2SO3NaとHCF2CF2SO2N(Na)SO2CF3の生成が確認された。反応混合物中の固形物を濾過して取り除き、その濾液をエバポレーターで減圧濃縮後、さらにその残渣を減圧下、80℃に加熱すると、51.6gの白色固体が得られた。この固体は、19F−NMR(内部標準:C6F6
)から、2.9質量%のHCF2CF2SO3Naを含有するHCF2CF2SO2N(Na)SO2CF3であることがわかった。
HCF2CF2SO2N(Na)SO2CF3
19F−NMR: −135.9ppm(1F)、−135.8ppm(1F)、−122.6ppm(2F)、−79.1ppm(3F)
MALDI−TOF/MS:312[M−Na]−
500mLのガラス製フラスコに、2.9質量%のHCF2CF2SO3Liを含有するHCF2CF2SO2N(Li)SO2CF3(30.9g)を入れた後、酢酸エチル250mLを加え、23℃で攪拌した。さらに、純水50mLを加えて、23℃で30分撹拌した後、静置すると、酢酸エチル相と水相に分離した。水相を分液した後、酢酸エチル相に水50mLを加え、上記と同様の操作をさらに2回繰り返した。酢酸エチル相は、孔径0.2μmのメンブレンフィルターで濾過後、その濾液をエバポレーターで減圧濃縮後、さらにその残渣を減圧下、100℃に加熱すると、29.0gの白色固体が得られた。この固体は、19F−NMR、MALDI−TOF/MSから、HCF2CF2SO2N(Li)SO2CF3であることがわかり、HCF2CF2SO3Liは検出されなかった。
HCF2CF2SO2N(Li)SO2CF3
19F−NMR: −135.8ppm(1F)、−135.7ppm(1F)、−122.7ppm(2F)、−79.0ppm(3F)
MALDI−TOF/MS:312[M−Li]−
500mLのガラス製フラスコに、10質量%のCF3SO3Liを含有するCF3SO2N(Li)SO2CF3(27.3g)を入れた後、メチルイソブチルケトン140mLを加え、23℃で攪拌した。さらに、純水60mLを加えて、23℃で30分撹拌した後、静置すると、メチルイソブチルケトン相と水相に分離した。水相を分液した後、再度水60mLを加え、水相を分離し、メチルイソブチルケトン相を得た。メチルイソブチルケトン相は、孔径0.2μmのメンブレンフィルターで濾過後、その濾液をエバポレーターで減圧濃縮後、さらにその残渣を減圧下、100℃に加熱すると、24.4gの白色固体が得られた。この固体は、19F−NMR、MALDI−TOF/MSから、CF3SO2N(Li)SO2CF3であることがわかり、CF3SO3Liは検出されなかった。
CF3SO2N(Li)SO2CF3
19F−NMR: −79.3ppm(6F)
MALDI−TOF/MS:280[M−Li]−
500mLのガラス製フラスコに、10質量%のCF3SO3Liを含有するCF3SO2N(Li)SO2CF3(27.3g)を入れた後、t−ブチルメチルエーテル140mLを加え、23℃で攪拌した。さらに、純水60mLを加えて、23℃で30分撹拌した後、静置すると、t−ブチルメチルエーテル相と水相に分離した。水相を分液した後、再度水60mLを加え、水相を分離し、t−ブチルメチルエーテル相を得た。t−ブチルメチルエーテル相は、孔径0.2μmのメンブレンフィルターで濾過後、その濾液をエバポレーターで減圧濃縮後、さらにその残渣を減圧下、100℃に加熱すると、24.0gの白色固体が得られた。この固体は、19F−NMR、MALDI−TOF/MSから、CF3SO2N(Li)SO2CF3であることがわかり、CF3SO3Liは検出されなかった。
CF3SO2N(Li)SO2CF3
19F−NMR: −79.3ppm(6F)
MALDI−TOF/MS:280[M−Li]−
500mLのガラス製フラスコに、3.0質量%のHCF2CF2SO3Kを含有するHCF2CF2SO2N(K)SO2CF3(30.9g)を入れた後、酢酸エチル250mLを加え、23℃で攪拌した。さらに、純水50mLを加えて、23℃で30分撹拌した後、静置すると、酢酸エチル相と水相に分離した。水相を分液した後、酢酸エチル相に水50mLを加え、上記と同様の操作をさらに2回繰り返した。酢酸エチル相は、孔径0.2μmのメンブレンフィルターで濾過後、その濾液をエバポレーターで減圧濃縮後、さらにその残渣を減圧下、100℃に加熱すると、29.0gの白色固体が得られた。この固体は、19F−NMR、MALDI−TOF/MSから、HCF2CF2SO2N(K)SO2CF3であることがわかり、HCF2CF2SO3Kは検出されなかった。
HCF2CF2SO2N(K)SO2CF3
19F−NMR: −135.8ppm(1F)、−135.7ppm(1F)、−122.7ppm(2F)、−79.0ppm(3F)
MALDI−TOF/MS:312[M−K]−
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表されるスルホン酸塩と、下記一般式(2)で表されるスルホンイミド塩との混合物から該スルホンイミド塩を精製する方法であって、
(A)ケトン類、エステル類及びエーテル類から選ばれる少なくとも1種の疎水性有機溶媒と水の二相溶媒中に該混合物を投入・攪拌して、疎水性有機溶媒相中にスルホンイミド塩を抽出する工程、
(B)その後、該二相溶媒から疎水性有機溶媒相のみを分取する工程、
を経ることを特徴とする下記一般式(2)で表されるスルホンイミド塩の精製方法。
Rf1SO3M ・・・ (1)
(Rf1は炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体であり、MはMa
、Mb1/2であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。)
Rf1SO2N(M)SO2Rf2 ・・・ (2)
(Rf1は上記一般式(1)と同一の置換基であり、Rf2はRf1と同一の置換基、またはRf1とは異なる炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体であり、Mは上記一般式(1)と同一の金属である。) - 上記一般式(1)および一般式(2)で、Mがアルカリ金属であることを特徴とする請求項1に記載のスルホンイミド塩の精製方法。
- 上記一般式(1)および一般式(2)で、Rf1、Rf2の少なくとも一方が水素置換基を有する炭素数1から12のいずれかの炭素数を有するフッ素化炭化水素基であることを特徴とする、請求項1または2に記載のスルホンイミド塩の精製方法。
- 該疎水性有機溶媒が、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、t−ブチルメチルエーテルのいずれかより選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のスルホンイミド塩の精製方法。
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