JP7247056B2 - 含フッ素ビニルエーテルの製造方法 - Google Patents
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Description
このため、簡便な手法で、効率よくカルボン酸モノマー、もしくはスルホン酸モノマーが取得可能な新たな方法の開発が求められていた。
[1]下記一般式(1):
ORb(Rbは置換されていてもよい炭素数1~10個の炭化水素基)、又はOM(Mはアルカリ金属、又はアルカリ土類金属)であり、mは1~6の整数、nは0~3の整数である。)
で表される含フッ素2-アルコキシプロピオン酸誘導体と、
下記一般式(2):
R1R2R3Si(OM’)・・・(2)
(式(2)中、M’はアルカリ金属、又はアルカリ土類金属であり、R1~R3は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~10個の炭化水素基、又はOM’’(M’’はアルカリ金属又はアルカリ土類金属)である。)
で表されるシラノール化合物とを接触・混合させる工程を含み、
前記シラノール化合物が、リチウムトリメチルシラノラート、リチウムトリエチルシラノラート、リチウムトリイソプロピルシラノラート、リチウム(tert-ブチル)ジメチルシラノラート、リチウムトリフェニルシラノラート、ジリチウムジメチルシランジオラート、ジリチウムジエチルシランジオラート、ジリチウムジフェニルシランジオラート、ナトリウムトリメチルシラノラート、ナトリウムトリエチルシラノラート、ナトリウムトリイソプロピルシラノラート、ナトリウム(tert-ブチル)ジメチルシラノラート、ナトリウムトリフェニルシラノラート、ジナトリウムジメチルシランジオラート、ジナトリウムジエチルシランジオラート、及びジナトリウムジフェニルシランジオラートからなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする、下記一般式(3):
で表される含フッ素ビニルエーテルの製造方法。
[2]前記一般式(2)で表されるシラノール化合物の使用量が、前記一般式(1)で表される含フッ素2-アルコキシプロピオン酸誘導体の使用量に対して、モル等量で2~5倍である、[1]に記載の含フッ素ビニルエーテルの製造方法。
ORb(Rbは置換されていてもよい炭素数1~10個の炭化水素基)、又はOM(Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属)であり、mは1~6の整数、nは0~3の整数である。)
で表される含フッ素2-アルコキシプロピオン酸誘導体と、
下記一般式(2):
R1R2R3Si(OM’)・・・(2)
(式(2)中、M’はアルカリ金属、又はアルカリ土類金属であり、R1~R3は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~10個の炭化水素基、又はOM’’(M’’はアルカリ金属又はアルカリ土類金属)である。)
で表されるシラノール化合物とを接触・混合させる工程を含むことを特徴とする、下記一般式(3):
で表される含フッ素ビニルエーテルの製造方法である。
化合物(1)と化合物(2)との接触により、化合物(1)のXで表される官能基は、SO2A、CO2Aのいずれの場合も、XがORの場合は加熱することにより直接、Aがハロゲン原子の場合は一旦-S(O)2OSiR1R2R3、または-C(O)OSiR1R2R3を経由し、加熱することによりZへと変換される。
一方、化合物(1)の-C(O)Yで表される官能基は、YがORの場合は加熱することにより直接、Yがハロゲン原子である場合は化合物(2)との接触により一旦-C(O)OSiR1R2R3を経由し、加熱することにより化合物(3)へと変換される。
また、YがOMである場合は、化合物(1)と化合物(2)とを接触混合し、そのまま加熱することにより化合物(3)へと変換される。
化合物(1)において、XはSO2A、又はCOA(Aはハロゲン原子、又はORa(Raは置換されていてもよい炭素数1~10個の炭化水素基)であり、Yはハロゲン原子、又はORb(Rbは置換されていてもよい炭素数1~10個の炭化水素基)、又はOM(Mはアルカリ金属、又はアルカリ土類金属)であり、mは1~6の整数、nは0~3の整数である。
化合物(1)の入手性、合成のし易さの観点から、mは2~4、nは0~1であることが好ましい。
ハロゲンとしては、F、Clが好ましい。
Rのうち炭素数1~10個の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基が化合物(1)の合成の容易さの観点から好ましい。
化合物(2)において、M’はアルカリ金属又はアルカリ土類金属であるが、化合物(2)の入手性、合成のし易さの観点から、M’はアルカリ金属が好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが好ましく、化合物(1)との反応性の観点から、ナトリウムが特に好ましい。化合物(2)において1分子にM’が2個以上ある場合、各々のM’は同じであってもよいし異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
化合物(2)において、R1~R3は各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~10個の炭化水素基、又はOM’’(M’’はアルカリ金属又はアルカリ土類金属)である。各々のR1~R3は同じでも異なっていてもよい。
R1~R3について「置換されていてもよい炭化水素基」としては、例えば、脂肪族炭化水素基、フェニル基等の芳香族炭化水素基、及び炭化水素基中の水素原子が全てフッ素原子に置換されたトリフルオロメチル基等のフッ素置換炭化水素基等が挙げられる。
なお、上記炭化水素基は、必要に応じて、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトリル基(-CN)、エーテル基(-O-)、カーボネート基(-OCO2-)、エステル基(-CO2-)、カルボニル基(-CO-)、スルフィド基(-S-)、スルホキシド基(-SO-)、スルホン基(-SO2-)、ウレタン基(-NHCO2-)等が挙げられる。
R1~R3について、各々の炭化水素基の炭素数は1~10個であるが、化合物(2)の入手性から炭素数1~8個がより好ましく、化合物(1)との反応性の観点から炭素数1~6個が特に好ましい。
R1~R3としては、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、1-メチルビニル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、フルオロメチル基等の脂肪族炭化水素基;ベンジル基、フェニル基、ニトリル置換フェニル基、フルオロ化フェニル基等の芳香族炭化水素基等が例示されるが、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ベンジル基、フェニル基がより好ましく、メチル基、エチル基、iso-プロピル基、tert-ブチル基、フェニル基が特に好ましい。
上記M’、M’H、RM’の使用量は、上記シラノール中の水酸基1モルに対して、0.95モル~2モルであることが好ましい。また、反応温度は-100℃~200℃であることが好ましく、反応時間は0.01時間~100時間であることが好ましい。
上記M’OH、M’2O、M’NH2、RM’の使用量は、上記シロキサン中のシロキサン結合(Si-O-Si)1モルに対して、0.95モル~4モルであることが好ましい。また、反応温度は-100℃~200℃であることが好ましく、反応時間は0.01時間~100時間時間であることが好ましい。
LiH、NaH、KH、MgO、CaO、CaCl2、MgSO4、Na2SO4の使用量は、上記シロキサン中のシロキサン結合(Si-O-Si)1モルに対して、0.95モル~4モルであることが好ましい。モレキュラーシーブス、活性アルミナの使用量は、上記シロキサン中のシロキサン結合(Si-O-Si)1モルに対して、1g~180gであることが好ましい。
化合物(1)と化合物(2)とを接触・混合させることにより、化合物(3)を得ることができる。
本実施形態の製造方法において、混合撹拌時には、溶媒を用いることが好ましい。
上記溶媒としては、反応時に不活性であればよく、各種の非プロトン性極性溶媒を用いることができ、例えば、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン等の各種のエーテル基含有溶媒、アセトニトリル等のニトリル基含有溶媒、スルホラン、ジメチルスルホキシド等のスルホン基含有溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル基含有溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド基含有溶媒等が挙げられる。中でも、化合物(3)を収率良く得るため、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル基含有溶媒の使用が好ましい。
が生成する場合があるが、例えば、非特許文献3に記載のように、化合物(4)に対してリチウムヘキサメチルジシラジドのような嵩高い塩基を添加すると、化合物(4)は化合物(3)に容易に変換できることが知られている。
R1R2R3SiOSiR1R2R3・・・(5)
(式(5)中、R1~R3は上記一般式(2)のR1~R3と同じである)、
及び/又は下記一般式(6)で表されるケイ素化合物(以下、化合物(6))
R1R2R3SiOR・・・(6)
(式(6)中、R1~R3は上記一般式(2)のR1~R3と同じであり、Rは上記一般式(1)のRa及び/又はRbと同じである)
及び/又は下記一般式(7)で表されるフッ素原子含有ケイ素化合物(以下、化合物(7))
R1R2R3SiF・・・(7)
(式(7)中、R1~R3は上記一般式(2)のR1~R3と同じである)
が生成する。
さらに当該反応により金属フッ化物(M’F)(M’は上記一般式(2)と同じである)も反応系に存在する場合がある。
例えば、蒸留操作による分離除去、有機溶媒や水による抽出分離除去等があげられる。なお、金属フッ化物(M’F)が析出・懸濁した懸濁液が形成される場合には、あらかじめ金属フッ化物を濾過により除去してから分離精製を行っても構わない。
例えば、蒸留操作による分離除去方法では、反応後の溶液又は懸濁液から蒸留操作により、使用した溶媒と化合物(5)~(7)とを留去すると、化合物(3)を取得することができる。留去した溶媒、化合物(5)~(7)を含む留去物は、さらに蒸留操作、抽出操作等により、溶媒、化合物(5)~(7)を各々分離しても構わない。
有機溶媒や水による抽出分離除去方法では、例えば、反応後の溶液又は懸濁液から蒸留操作等により使用した溶媒を留去した後、残渣に水を添加すると化合物(3)が溶解するため、濾過操作等により化合物(3)を取得することができる。
上記の分離除去操作により得られた化合物(5)及び/又は化合物(7)は、上記シラノール化合物(化合物(2))の合成について説明したように、化合物(5)及び/又は化合物(7)は化合物(2)に容易に変換することができ、再度、化合物(1)と混合撹拌させると化合物(3)を得ることができる。
核磁気共鳴分析(NMR):1H-NMR、19F-NMRによる分子構造解析
測定装置:JNM-ECZ400S型核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製)
溶媒:重クロロホルム、重水
基準物質:CFCl3(0ppm)
窒素雰囲気下、ネジ口試験管にCF3CF(COF)OCF2CF2SO2F(1g、2.89mmol)を加え、0℃に冷却した。次に、1Mのナトリウムトリメチルシラノラートを含有するテトラヒドロフラン(THF)溶液(シグマアルドリッチ社製、11.6mL、11.6mmol)を15分間かけて滴下した。滴下後、得られた反応混合物は19F-NMRで測定すると、原料のCF3CF(COF)OCF2CF2SO2Fは消失し、1H-NMRで測定すると、ヘキサメチルジシロキサンの生成が確認された。該反応混合物から減圧下でTHFとヘキサメチルジシロキサンを留去した後、ジエチレングリコールジメチルエーテル(4.0g)を加えて、140℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物は19F-NMRを測定すると、原料のCF3CF(COF)OCF2CF2SO2Fは消失し、CF2=CFOCF2CF2SO3Naが2.72mmol(収率94%)生成していることがわかった。
CF2=CFOCF2CF2SO3Na
19F-NMR:δ(ppm)-134.9(1F)、-124.2(1F)、-118.5(2F)、-116.8(1F)、-84.8(2F)
窒素雰囲気下、ネジ口試験管にCF3CF(COF)OCF2CF2CO2Me(1g、3.1mmol)を加え、0℃に冷却した。次に、1Mのナトリウムトリメチルシラノラートを含有するTHF溶液(シグマアルドリッチ社製、9.3mL、9.3mmol)を15分間かけて滴下した。滴下後、得られた反応混合物は19F-NMRで測定すると、原料のCF3CF(COF)OCF2CF2CO2Meは消失し、1H-NMRで測定すると、ヘキサメチルジシロキサン、及びメチルトリメチルシリルエーテルの生成が確認された。
該反応混合物から減圧下でTHF、ヘキサメチルジシロキサン、及びメチルトリメチルシリルエーテルを留去した後、ジエチレングリコールジメチルエーテル(4.0g)を加え、150℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物は、19F-NMRを測定すると、原料のCF3CF(COF)OCF2CF2CO2Meは消失し、CF2=CFOCF2CF2CO2Naが2.36mmol(収率76%)生成していることがわかった。
CF2=CFOCF2CF2SO3Na
19F-NMR:δ(ppm)-134.6(1F)、-124.5(1F)、-119.6(2F)、-117.1(1F)、-87.3(2F)
窒素雰囲気下、ネジ口試験管にCF3CF(COF)OCF2CF2SO2Fと炭酸ナトリウムから合成したCF3CF(CO2Na)OCF2CF2SO2F(1g、2.73mmol)を加え、0℃に冷却した。次に、1Mのナトリウムトリメチルシラノラートを含有するテトラヒドロフラン(THF)溶液(シグマアルドリッチ社製、5.46mL、5.46mmol)を15分間かけて滴下し、さらに室温で2時間撹拌した。得られた反応混合物は19F-NMRで測定すると、原料のCF3CF(CO2Na)OCF2CF2SO2Fは消失し、1H-NMRで測定すると、ヘキサメチルジシロキサンの生成が確認された。該反応混合物から減圧下でTHFとヘキサメチルジシロキサンを留去した後、ジエチレングリコールジメチルエーテル(4.0g)を加えて、140℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物は19F-NMRを測定すると、原料のCF3CF(COF)OCF2CF2SO2Fは消失し、CF2=CFOCF2CF2SO3Naが2.35mmol(収率86%)生成していることがわかった。
CF2=CFOCF2CF2SO3Naが得られたことを他の実施例と同様に確認した。
窒素雰囲気下、50mLの3口フラスコに、水酸化ナトリウム(1g、24.2mmol)、アセトニトリル(13.0g)を入れ、反応器を水浴中で内部の温度を20℃に保ちながらCF3CF(COF)OCF2CF2SO2F(2.06g、5.95mmol)を添加した。添加終了後、20℃で4時間撹拌した。
得られた反応混合物7.0gを容量30mLの加圧容器に入れ内部を窒素雰囲気とした後に、160℃で3時間加熱すると、脱炭酸反応が起こり、得られた反応混合物は19F-NMRを測定すると、CF3CFHOCF2CF2SO3Naのみが収率96%で生成していることがわかった。
CF3CFHOCF2CF2SO3Na
19F-NMR:δ(ppm)-145.7(1F)、-117.4(2F)、-84.7(1F)、-83.6(3F)、-82.3(1F)
Claims (2)
- 下記一般式(1):
で表される含フッ素2-アルコキシプロピオン酸誘導体と、
下記一般式(2):
R1R2R3Si(OM’)・・・(2)
(式(2)中、M’はアルカリ金属、又はアルカリ土類金属であり、R1~R3は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~10個の炭化水素基、又はOM’’(M’’はアルカリ金属又はアルカリ土類金属)である。)
で表されるシラノール化合物とを接触・混合させる工程を含み、
前記シラノール化合物が、リチウムトリメチルシラノラート、リチウムトリエチルシラノラート、リチウムトリイソプロピルシラノラート、リチウム(tert-ブチル)ジメチルシラノラート、リチウムトリフェニルシラノラート、ジリチウムジメチルシランジオラート、ジリチウムジエチルシランジオラート、ジリチウムジフェニルシランジオラート、ナトリウムトリメチルシラノラート、ナトリウムトリエチルシラノラート、ナトリウムトリイソプロピルシラノラート、ナトリウム(tert-ブチル)ジメチルシラノラート、ナトリウムトリフェニルシラノラート、ジナトリウムジメチルシランジオラート、ジナトリウムジエチルシランジオラート、及びジナトリウムジフェニルシランジオラートからなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする、
下記一般式(3):
で表される含フッ素ビニルエーテルの製造方法。 - 前記一般式(2)で表されるシラノール化合物の使用量が、前記一般式(1)で表される含フッ素2-アルコキシプロピオン酸誘導体の使用量に対して、モル等量で2~5倍である、請求項1に記載の含フッ素ビニルエーテルの製造方法。
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