JP2004018454A - 含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法 - Google Patents
含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CF2=CFOCF2CF2SO2F(以下、「化合物A」という。)等の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル(以下、「スルフォニルビニルエーテル」という。)は、他のフルオロオレフィン等と重合させ、共重合体を得るために用いることができる。
【0003】
得られた共重合体は、塩形成性のスルフォン酸基を有することができるので、イオン交換膜として食塩電解、化学センサー、分離膜、燃料電池等に利用することが検討されており、また、高分子超強酸触媒としての利用や、リチウム電池等への利用も可能である。
【0004】
スルフォニルビニルエーテルを製造する方法として、例えば英国特許第1034197号明細書には、FCOCF2SO2Fにヘキサフルオロプロピレンオキサイド〔HFPO〕を付加させ、得られるHFPO付加体を熱分解させる方法が開示されている。しかしながら、この方法では、HFPOが1つ付加したものは、熱分解しても目的とする化合物Aは得られず、代わりに下記化学式
【0005】
【化7】
【0006】
で表される環状体が副生成物として生じるという問題があった。
この方法では、また、HFPOが2つ以上付加したものからは、下記化学式
CF2=CFO(CF2CF(CF3))nOCF2CF2SO2F
(nは1以上の整数)で表されるスルフォニルビニルエーテルを得ることはできるが、HFPOの付加反応は逐次反応であり、付加数nを所望の特定数にすることが困難なので、収率が低下し製造コストが高くなるという問題があった。
【0007】
スルフォニルビニルエーテルを製造する方法として、また、特開昭57−28025号公報には、FCOCF2SO2Fに下記化学式
【0008】
【化8】
【0009】
で表されるクロロペンタフルオロプロピレンオキサイド〔CPFPO〕を付加させたのち、熱分解させる方法が開示されている。しかしながら、この方法では、化合物Aを得ることはできるが、CPFPOが不安定な物質であり、安価に効率良く製造することができないという問題がある。
【0010】。
スルフォニルビニルエーテルを製造する方法として、また、特開昭61−3055号公報には、ハロゲン末端ビニルエーテルのハロゲンを−SO2F基に変換する方法、特開平11−228474号公報には、CF2ClCFClOCF2CF2SO2Fを亜鉛で脱塩素化する方法、米国特許第3560568号明細書には、下記スキーム1
【0011】
【化9】
【0012】
で表されるようにCH3ONaを用いて環状体を開環させ、CF2=CFOCF2CF2SO3Na(以下、「化合物B」という。)を得て、末端の−SO3Na基を−SO2F基に変換する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法は各前駆体の収率が悪く、工業的な生産方法としては適さないという問題がある。
【0013】
化合物Bを製造する方法として、国際公開第98/43952号パンフレット、国際公開第01/28989号パンフレット等には、下記化学式
CF3CF(COONa)−O−CF2CF2SO3Na
で表されるジ塩体を熱分解する方法が開示されている。これらの公報では、得られた化合物Bは、そのまま単量体として共重合体を得るために用いられている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記現状に鑑み、含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテルを収率良く効率的に製造する方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(I)
【0016】
【化10】
【0017】
(式中、A1は−OM1又は−OM2 1/2を示し、M1はアルカリ金属を示し、M2はアルカリ土類金属を示す。A2は−OM3又は−OM4 1/2を示し、M3はアルカリ金属、水素原子又はNR1R2R3R4を示し、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、M4はアルカリ土類金属を示す。Xはハロゲン原子を示す。Y1はハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示す。nは0〜3の整数を示す。n個のY1は同一であってもよいし、異なっていてもよい。Y2はハロゲン原子を示す。mは1〜5の整数を示す。m個のY2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)で表される含フッ素2−スルフォアルコキシプロピオン酸誘導体を熱分解することにより、下記一般式(II)
【0018】
【化11】
【0019】
(式中、A2、Y1、Y2、n及びmは上記と同じである。)で表される含フッ素スルフォアルキルビニルエーテルを得たのち、下記一般式(III)
【0020】
【化12】
【0021】
(式中、Y1、Y2、n及びmは上記と同じである。)で表される含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテルを製造することよりなる
ことを特徴とする含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法である。
以下に本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法(以下、「本発明の製造方法」という。)は、上記一般式(I)で表される含フッ素2−スルフォアルコキシプロピオン酸誘導体(以下、「化合物(I)」という。)を熱分解することにより、上記一般式(II)で表される含フッ素スルフォアルキルビニルエーテル(以下、「化合物(II)」という。)を得たのち、上記一般式(III)で表される含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル(以下、「化合物(III)」という。)を製造することよりなることを特徴とするものである。
【0023】
上記化合物(I)は、上記一般式(I)におけるA1が−OM1又は−OM2 1/2を示し、M1はアルカリ金属を示し、M2はアルカリ土類金属を示すものである。上記M1のアルカリ金属としては特に限定されず、例えば、Li、Na、K、Cs等が挙げられる。上記M2のアルカリ土類金属としては特に限定されず、例えば、Mg、Ca等が挙げられる。A1は−OM1であることが好ましく、M1は、工業上には安価なNa又はKであることが好ましい。
【0024】
上記一般式(I)におけるA2は、−OM3又は−OM4 1/2を示す。上記M3はアルカリ金属、水素原子又はNR1R2R3R4を示し、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基を示す。上記M3のアルカリ金属としては、例えば、上記M1で例示したものと同じもの等が挙げられる。上記M4はアルカリ土類金属を示し、上記M4のアルカリ土類金属としては、例えば、上記M2で例示したものと同じもの等が挙げられる。好ましくは、M3はM1と同じであり、M4はM2と同じであり、A2は−OM3であり、M3はNa又はKである。
【0025】
上記一般式(I)におけるXはハロゲン原子を示す。上記ハロゲン原子としては特に限定されず、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子の何れであってもよい。
【0026】
上記一般式(I)におけるY1はハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示し、Y2はハロゲン原子を示す。上記ハロゲン原子としては、上記Xで例示したものと同様である。上記パーフルオロアルキル基としては、特に限定されず、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。好ましくは、Y1はトリフルオロメチル基であり、Y2はフッ素原子である。
【0027】
上記一般式(I)におけるnは0〜3の整数を示す。n個のY1は同一であってもよいし、異なっていてもよい。上記化合物(I)の単位重量当たりに多くの親水基を含有するためには、上記nは、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。本発明の製造方法により、上記一般式(I)におけるnが0である化合物(I)を用いても、上記化合物(III)を収率よく製造することができる。
上記一般式(I)におけるmは0〜5の整数を示す。m個のY2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。上記mが大きいほど酸としての強度は強くなるが、上記化合物(I)の単位重量当たりの親水基の数が減少するので、上記mは、2であることが好ましい。
【0028】
本発明は、上記化合物(I)が、上記一般式(I)における上記A1は−OM1、上記M1はNa又はKであり、上記A2は−OM3、上記M3はNaであり、上記Xはフッ素原子であり、上記nは0であり、上記Y2はフッ素原子であり、上記mは2であるものの場合に好適な方法である。
【0029】
上記化合物(I)は、下記一般式(IV)
【0030】
【化13】
【0031】
(式中、X、Y1、Y2、n及びmは上記と同じである。)で表される含フッ素2−フルオロスルフォニルアルコキシプロピオン酸フッ化物誘導体(以下、「化合物(IV)」という。)を中和することにより得られるものであることが好ましい。
【0032】
上記化合物(I)は、上記化合物(IV)を中和試薬を用いて中和することにより得られるものである。上記中和により上記一般式(IV)中のフルオロホルミル基はカルボキシル基の塩に、フルオロスルフォニル基はスルフォン酸基の塩にそれぞれ変換される。
【0033】
本発明において、上記中和試薬としては塩基であれば特に限定されないが、アルカリ金属水酸化物が好ましく、なかでも、工業的には安価なNaOHが好ましい。
上記中和試薬は通常、中和試薬用溶媒に溶解させて用いる。上記中和試薬用溶媒は、通常、水及び/又は水溶性有機溶媒であり、水、アルコールが好ましい。
【0034】
上記中和は、上記化合物(IV)1モルに対し、中和試薬を4当量以上用いて行うものであることが好ましい。上記化合物(IV)の1分子は、下記反応式に例示するように、中和される官能基を2個有し、中和によりフッ化水素を2分子生じる。従って、上記中和試薬は、上記化合物(IV)が有する2個の官能基のみならず、生じるフッ化水素をも中和し得るように、上記範囲内の量を用いることが好ましい。
CF3CF(COF)−O−CF2CF2SO2F + 4NaOH → CF3CF(COONa)−O−CF2CF2SO3Na + 2NaF + 2H2O
【0035】
上記中和試薬が上記化合物(IV)1モルに対し4当量未満であると、上記化合物(IV)が有する−SO2F基が全て−SO3Na基にならず、また、上記一般式(IV)においてnが0である場合、次工程の熱分解時に下記式
【0036】
【化14】
【0037】
で表される環状体を副生する場合がある。上記中和試薬は、多過ぎても特に問題はないが、工業的に不利になるので、上述範囲内であればなるべく少ないことが好ましい。
【0038】
上記化合物(IV)の中和は、上記中和試薬の存在下、90℃以下の温度で、1〜48時間反応させることにより行うものである。
上記中和において、反応温度が低すぎる場合は工業的に不利であり、90℃を超えると、上記化合物(I)が熱分解するおそれがある。好ましい下限は、0℃であり、好ましい上限は、80℃である。
【0039】
上記中和において、反応時間が1時間未満であると、中和が不充分であるおそれがあり、48時間を超えると、中和反応が平衡状態に達しているのでこれ以上時間をかけても反応が進まない。好ましい下限は、3時間であり、好ましい上限は、24時間である。
【0040】
上記中和において、フルオロスルフォニル基からスルフォン酸基の塩に変換する反応は反応速度が遅いので、中和試薬を投入して中和反応系が中性に変化した後、数時間攪拌を続けることが好ましい。その後、中和反応系が酸性に変化していれば、中和試薬を追加して中和反応系が中性になるように調整することが好ましい。
【0041】
また、中和の際には、上記化合物(IV)1モルに対し中和試薬を4当量以上用いるが、中和しきれないフッ化水素が発生するおそれがあるので、耐蝕性のある反応器を用いることが望ましい。また、中和による発熱が激しいので、反応器を冷却しながら中和を行うことが望ましい。
【0042】
上記化合物(IV)は、テトラフルオロエチレン〔TFE〕に三酸化硫黄を反応させることにより、下記式
【0043】
【化15】
【0044】
で表される環状付加物を得たのち、フッ化物イオンを作用させ、次いでヘキサフルオロプロピレンオキサイド〔HFPO〕を作用させることにより得られるものであることが好ましい。
【0045】
上記化合物(IV)を得る方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
上記環状付加物に、例えば、フッ化物イオンの発生源としてフッ化カリウムを作用させ、遊離のKOCF2CF2SO2Fを経て得られるFCOCF2SO2Fに、好ましくは25℃でHFPOを作用させることにより、HFPOの付加体である上記化合物(IV)を得ることができる。
この方法は、例えば、下記スキーム2に従って反応が進行する。
【0046】
【化16】
【0047】
上記中和により得られる化合物(I)は、中和試薬用溶媒と混合物をなしており、この混合物は、上記中和反応により生成された水を含むものである。本明細書において、上記混合物を「化合物(I)混合物」という。上記「化合物(I)混合物」は、後述の化合物(I)の乾燥において、乾燥工程(1)を行う前のもの、乾燥工程(1)を行っている最中におけるもの、及び、乾燥工程(2)を行っている最中におけるものを含む概念である。
【0048】
上記化合物(I)は、本発明の製造方法において後工程で熱分解させるが、このように水等と混合物をなしているものであり、このまま熱分解のための加熱を行うと副生成物を生じやすいので、熱分解する前に乾燥したものであることが好ましい。
【0049】
上記化合物(I)の乾燥は、乾燥工程(1)の後、乾燥工程(2)を行うことにより行われるものである。本明細書において、「化合物(I)の乾燥」とは、上記化合物(I)と水とからなる混合物から水を除去することを意味する。上記「化合物(I)と水とからなる混合物」は、上記化合物(I)混合物である。
【0050】
上記乾燥工程(1)は、水分が0.3質量%を超え、10質量%以下である量になるまで90℃以下で行うものである。水分が10質量%を超える量残った状態において90℃を超える温度、例えば、100℃以上の温度に長時間放置しておくと、上記化合物(I)は下記一般式(VI)
【0051】
【化17】
【0052】
(式中、A2、X、Y1、Y2、n及びmは上記と同じである。)で表される化合物へ変質しやすい。
本明細書において、乾燥工程(1)における「水分」とは、上記乾燥工程(1)における化合物(I)混合物中の水の量を意味する。
【0053】
上記乾燥工程(1)は、上記範囲内の温度であれば60℃以上で行うことが好ましい。60℃未満であると乾燥に時間がかかる場合がある。
上記乾燥工程(1)は、上記化合物(I)が高い吸湿性を有するので、効率的に乾燥させる点から、上記範囲内の温度であれば70℃以上の温度で行うことがより好ましい。
【0054】
上記乾燥工程(1)の乾燥時間は、乾燥する温度、乾燥時の風量、仕込み量等にもよるが、数秒〜50時間であることが好ましい。50時間を超えると、経済性の点で好ましくない。
【0055】
上記乾燥工程(1)は、更に、固体を析出させるために途中で降温するものであることが好ましい。上記固体は、主として上記化合物(I)からなるものである。上記降温は、上記降温の前における温度よりも10℃以上下げることが好ましく、上記固体が析出する温度にまで温度を下げることがより好ましい。
上記降温を行う時期である上記「途中」は、上記乾燥工程(1)を行う過程において、容器等に入っている上記化合物(I)混合物の乾燥の対象になっている表面が高粘度な状態となったときが好ましく、上記「高粘度な状態」は、例えば、流動性が極めて低下したような状態である。上記化合物(I)混合物は、表面が高粘度になったときに、固体が析出する温度に一旦温度を下げると、固体と固体との隙間から水分が蒸発するようになり、より早く乾燥することができる。一定温度で乾燥を行う場合、上記化合物(I)混合物は、表面が高粘度な状態となり、固体が生じないので内部が乾燥しないことがある。
上記降温の後、降温前の温度に戻し乾燥を続行することが好ましい。このように温度を一旦降下させ、再度上昇させる工程は、繰り返し行ってよい。降温の方法としては特に限定されず、例えば、一旦乾燥器から取り出す方法等が挙げられる。
【0056】
上記乾燥工程(1)は、更に、析出した固体の機械的粉砕、及び/又は、表面が高粘度になった上記化合物(I)混合物の攪拌を行うことが好ましい。固体が析出した上記化合物(I)混合物の表面を機械的に粉砕し攪拌を行ったり、高粘度の上記化合物(I)混合物を攪拌したりすることにより、水分の多い上記化合物(I)混合物の内部を常に上記化合物(I)混合物の表面に露出させ、水分の蒸発を促進することができる。降温により表面の固体を割ってもよいし、機械力で固体を割ってもよいし、両者を併用してもよい。
【0057】
上記粉砕及び上記攪拌は、実験室レベルでは人力によりヘラ等を用いて行ってもよいが、工業的には内部に攪拌機があって加熱と水分の流通が可能な円錐型スクリュー付ミキサー等のミキサー、ニーダー類等を用いて行うことが好ましい。
上述の降温により容器壁面に析出した固体については削ぎ落としてよい。
【0058】
上記乾燥工程(2)は、水分が0.2質量%以下の量になるまで100℃以上で行うものである。後工程の熱分解において反応を収率良く行うため、水分が0.1質量%以下の量になるまで行うことが好ましい。100℃未満であると、上記化合物(I)は吸湿性が高いので、水分を0.2質量%以下にすることは困難である。より好ましい下限は、110℃である。好ましい上限は、200℃である。200℃を超えると、上記化合物(I)が分解しやすい。
本明細書において、乾燥工程(2)における「水分」とは、上記乾燥工程(2)における化合物(I)混合物中の水の量を意味する。
【0059】
上記乾燥工程(2)の乾燥時間は、乾燥する温度にもよるが、数秒〜20時間であることが好ましい。20時間を超えることは経済性の点で好ましくない。
【0060】
上記乾燥工程(1)及び上記乾燥工程(2)に用いられる乾燥器としては特に限定されず、例えば、熱風循環乾燥器、赤外線乾燥器、真空乾燥器、回転乾燥器、攪拌器付乾燥器、噴霧乾燥器等が挙げられる。但し、上記真空乾燥器で上記化合物(I)を乾燥しようとすると、上記化合物(I)が界面活性剤様の分子構造を有していることから、発泡が起きる場合があるので注意を要する。
上記熱風循環乾燥器又は上記回転乾燥器で上記化合物(I)を乾燥しようとすると、乾燥工程(1)において上述の化合物(I)混合物の表面が高粘度の状態となり、上記化合物(I)混合物の内部が充分に乾燥しない場合があるので、上述の降温又は攪拌を行うことが好ましい。
【0061】
上記化合物(I)の乾燥は、このように乾燥工程(1)と乾燥工程(2)の2段階に分けて乾燥することを特徴とするものである。上記乾燥工程(1)において90℃以下の温度、例えば、80℃で長時間乾燥しても水分を0.3質量%以下、例えば、0.2質量%以下にすることは困難であるが、上記乾燥工程(1)に引き続き、上記乾燥工程(2)において温度を100℃以上の温度、好ましくは、110〜200℃に昇温することにより、水分が0.1質量%以下になるまで比較的短時間で効率的に乾燥することができる。
【0062】
本発明の製造方法において、上記化合物(I)は、好ましくは上述の乾燥を行った後、熱分解することにより、化合物(II)が得られる。上記熱分解は、有機溶媒(A)の存在下に行うことが好ましい。
【0063】
上記有機溶媒(A)は、上記一般式(I)における上記M1のイオン又は上記M2のイオンに配位能を有するものである。上記有機溶媒(A)は、上記熱分解において、上記化合物(I)が有するM1のイオン又はM2のイオンに配位することにより、脱炭酸反応を促進する触媒作用を有する。
【0064】
上記有機溶媒(A)としては、上記M1のイオン又は上記M2のイオンに配位能を有するものであれば特に限定されないが、非プロトン性の有機極性溶媒からなるものであることが好ましい。上記非プロトン性の有機極性溶媒としては特に限定されず、例えば、エーテル系溶媒、スルホラン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素等が挙げられ、これらのなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
上記エーテル系溶媒としては特に限定されず、例えば、グライム系化合物、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、クラウンエーテル等が挙げられ、これらのなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
上記グライム系化合物は、炭化水素系エーテル化合物であり、下記一般式で表される。
【0067】
【化18】
【0068】
(式中、Rは−CpH2p+1を示し、pは1〜5の整数を示し、qは1〜10の整数を示す。)
上記グライム系化合物としては、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられ、これらのなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
上記非プロトン性の有機極性溶媒は、グライム系溶媒であることが好ましく、ジエチレングリコールジメチルエーテルであることがより好ましい。上記ジエチレングリコールジメチルエーテルは、含水率が250ppm以下であることが好ましい。
【0070】
本発明において熱分解を行う際、上記有機溶媒(A)はこれ自体を分散媒とすることができるが、上記有機溶媒(A)とともに不活性溶媒を用いてもよい。上記熱分解に用いる不活性溶媒としては、化合物(II)の収率を高めるために、脱水が容易なフルオロカーボン類が好ましい。上記フルオロカーボン類としては特に限定されず、例えば、エーテル化されていてもよいフルオロカーボン類、フルオロクロロカーボン類等が挙げられ、なかでも、パーフルオロカーボン類、パーフルオロクロロカーボン類が好ましい。上記熱分解に用いる不活性溶媒としては、1種又は2種以上を用いることができる。上記有機溶媒(A)はこれ自体を分散媒とすることができるので、本発明において熱分解を行う際、通常、不活性溶媒は用いる必要がない。
【0071】
上記有機溶媒(A)は、上記化合物(I)100質量部に対し10〜1000質量部用いられる。上記範囲内であると、熱分解開始温度が低くなりオリゴマーの生成を抑えることができる。10質量部未満であると、熱分解反応が遅くなったり、熱分解が不充分であるおそれがある。1000質量部を超えると、熱分解を行うために大きな反応器が必要となるので工業的に不利である。好ましい下限は、30質量部であり、好ましい上限は、300質量部である。
【0072】
上記化合物(I)の熱分解は、上記有機溶媒(A)の存在下に、70℃以上、170℃未満である温度で行うことにより、上記化合物(II)を製造することよりなるものである。
【0073】
170℃以上であると、大量の副生物が生成する。上記副生物としては明確ではないが、例えば、上記化合物(I)と上記化合物(II)とが反応し、又は、上記化合物(II)同士が反応して生成される、下記一般式
【0074】
【化19】
【0075】
(式中、kは2〜15の整数を示し、A2、Y1、Y2、n及びmは上記と同じである。)で表されるオリゴマー等であると思われる。副生物が多くなると、上記化合物(II)の収率が下がる。特に、反応器のサイズが大きくなると、昇温及び降温に時間がかかるようになり、上記化合物(II)が高温に曝される時間が長くなるので、副生物の生成量が更に多くなる。
また、化合物(II)の精製方法としては再結晶が有力な方法であるが、副生物には結晶性がないので、多量の副生物の存在下に化合物(II)を結晶化することは困難となる。
【0076】
本発明において熱分解を行う際、温度が70℃未満であると、上記副生物の生成量を抑制することができるが、熱分解に時間がかかる、又は、熱分解が行われないおそれがある。熱分解は、70℃以上、150℃未満である温度で行うものであることが好ましい。
【0077】
本発明において熱分解の反応時間は、熱分解を行う温度によるが、反応温度に達してから10〜600分間であることが好ましい。反応時間が10分間未満であると、熱分解が不充分となるおそれがある。より好ましい下限は、30分間であり、より好ましい上限は、300分間である。
【0078】
本発明の製造方法において、上述の熱分解により得られる化合物(II)は、上記一般式(II)におけるA2、Y1、Y2、n及びmが上記一般式(I)におけるものと同じものである。
【0079】
上記化合物(II)は、上記熱分解の後、有機溶媒(A)及び無機塩と混合物をなしている。上記有機溶媒(A)は、上記熱分解で用いたものであり、上記無機塩は、上記熱分解で生成する副生成物である。上記有機溶媒(A)は、後工程で得られる化合物(III)を共重合する反応において、連鎖移動性を有する場合がある。また、NaF等の無機塩は、後述の上記化合物(II)を塩素化する反応において、塩素化試薬として用いるPCl5と反応する。従って、上記化合物(II)は上記有機溶媒(A)と無機塩を除去するように精製することが好ましい。
【0080】
上記精製は、上記化合物(II)と上記有機溶媒(A)と上記無機塩とからなる水溶液を有機溶媒(B)と混合して上記有機溶媒(A)を除去したのち、得られる混合物を有機溶媒(C)と混合して上記無機塩を濾別することより行われるものである。
【0081】
本明細書において、上記化合物(II)の精製のうち、上記「上記化合物(II)と上記有機溶媒(A)と上記無機塩とからなる水溶液を有機溶媒(B)と混合して上記有機溶媒(A)を除去することよりなるもの」を「第1の精製方法」という。
【0082】
上記有機溶媒(B)は、水と混合せず、上記化合物(II)を溶解しない有機溶媒である。上記有機溶媒(B)は、後述の有機溶媒(A)の抽出において、抽出作業性の点で水の下層となることが好ましいので、比重が1を超えるものであることが好ましい。
【0083】
上記有機溶媒(B)は、比誘電率が4〜10であるものが好ましい。上記有機溶媒(B)は、比誘電率が高すぎると、上記化合物(II)や水を溶解してしまうことがあるので、比誘電率が低いものであることが好ましい。一方、比誘電率が低すぎると、上記有機溶媒(A)を溶解しなくなるので、ある程度の比誘電率を有することが望ましい。
【0084】
上記有機溶媒(B)のうち、比誘電率が上記範囲にある有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、含ハロゲン炭化水素、エーテル類等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0085】
上記含ハロゲン炭化水素は、炭化水素が有する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子に置換されてなる分子からなり、上記化合物(II)及び上記有機溶媒(A)に対して不活性な有機溶媒である。
上記含ハロゲン炭化水素としては特に限定されず、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のクロロカーボン類;ジクロロペンタフルオロプロパン(フロンR225)、ジクロロモノフルオロエタン(フロンR141b)等のフルオロカーボン類等が挙げられる。上記エーテル類としては特に限定されず、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フルオロブチルメチルエーテル、フルオロブチルエーテル、(ノナフルオロブチル)メチルエーテル、(ノナフルオロブチル)エチルエーテル等が挙げられる。
上記有機溶媒(B)は、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロペンタフルオロプロパン(フロンR225)又はジクロロモノフルオロエタン(フロンR141b)であることが好ましい。
【0086】
第1の精製方法における上記有機溶媒(A)の除去は、通常、抽出により行うが、上記有機溶媒(A)は、この抽出により取り除くためには上記有機溶媒(B)を大量に必要とするため、抽出に先立ち、上記有機溶媒(A)を可能な限り留去しておくことが好ましい。この留去は、上記「有機溶媒(A)を除去」する方法の一つである。
【0087】
上記留去の方法としては、上記有機溶媒(A)は一般に水より沸点が高い点、上記化合物(II)は一般に熱的に不安定であり、150℃以上になると上述のように上記化合物(II)同士が反応してオリゴマーを生成しやすい点を考慮すると、エバポレータ等を用いて減圧し留去する方法、又は、減圧しながら所望により加熱し留去する方法が好ましい。
【0088】
上記留去の後には、上記化合物(II)は、上記有機溶媒(A)を主成分とする溶媒に溶解している。このような化合物(II)と有機溶媒(A)とからなる溶液に対し、上記抽出に先立ち水を加えることにより、上記化合物(II)と上記有機溶媒(A)と上記無機塩とからなる水溶液にする。上記化合物(II)と上記有機溶媒(A)と上記無機塩とからなる水溶液は、有機溶媒(B)と相分離するので、上記抽出が可能となる。
【0089】
第1の精製方法における上記有機溶媒(A)の除去として行う抽出は、上記化合物(II)と上記有機溶媒(A)と上記無機塩とからなる水溶液を水相として、有機溶媒(B)の相と接触させることにより、上記有機溶媒(A)を上記有機溶媒(B)の相に移動させる工程である。
【0090】
上記抽出は、抽出操作を1回又は2回以上することにより行う。
本明細書において、上記「抽出操作」の1回分とは、水相への有機溶媒(B)の投入、この水相から上記有機溶媒(B)の相への有機溶媒(A)の移動、及び、上記有機溶媒(B)の相の抜出をこの順序で各1回ずつ行うことよりなる一連の操作を意味する。
【0091】
上記抽出操作1回につき用いる有機溶媒(B)の量は、上記有機溶媒(A)の有機溶媒(B)への溶解性によるが、上記化合物(II)と有機溶媒(A)とからなる水溶液の体積を1として、0.01〜10であることが好ましい。より好ましい下限は、0.1であり、より好ましい上限は、2である。
上記抽出操作の際には、水相中に存在している上記有機溶媒(A)の有機溶媒(B)への移動を促進することができる点から、攪拌を行うことが好ましい。
【0092】
本明細書において、上記化合物(II)の精製のうち、上記「上記化合物(II)と無機塩とからなる混合物(以下、「化合物(II)−無機塩混合物」という。)を有機溶媒(C)と混合して上記無機塩を除去することよりなるもの」を「第2の精製方法」という。
【0093】
上記化合物(II)−無機塩混合物は、第1の精製方法による精製の後、水溶液となっているので、この水溶液から水を蒸発させる工程である精製時乾燥を行うことが好ましい。上記精製時乾燥を充分に行わない場合、無機塩の結晶が小さすぎて、後述の濾別において濾過材を透過したり濾過材が目詰まりしたりするおそれがある。上記乾燥を行うことにより、上記乾燥の前に微細粒子であった上記無機塩の結晶を成長させ、上記無機塩の除去を容易にすることができる。上記精製時乾燥は、また、上記化合物(II)が残存している少量の水にも溶解することができるので、第2の精製方法における有機溶媒(C)による上記化合物(II)の抽出を効率的に行うためにも好ましい。
【0094】
上記精製時乾燥は、上記液体の種類及び上記乾燥を行う気圧と時間にもよるが、25〜300℃で行うことが好ましい。300℃を超えると、上記化合物(II)は熱的に不安定であるので分解する場合がある。より好ましい上限は、200℃であり、更に好ましい上限は、150℃である。
上記精製時乾燥は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
【0095】
上記無機塩としては特に限定されず、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等が挙げられ、これらの2種以上が混在していてもよい。上記無機塩は、フッ化ナトリウムであることが好ましい。
【0096】
上記有機溶媒(C)は、上記無機塩を溶解せず、上記化合物(II)を溶解する有機溶媒である。上記有機溶媒(C)は、上記無機塩を除去した後、乾燥して除去することが好ましいので、沸点が25〜150℃であるものが好ましい。
【0097】
上記有機溶媒(C)は、また、極性が低すぎると上記化合物(II)を溶解することができず、極性が高すぎると上記無機塩も溶解してしまうので、比誘電率が5〜40であるものが好ましい。
上記有機溶媒(C)のうち、沸点及び比誘電率が上記範囲にある有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、アセトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;メタノール等のアルコール類等が挙げられ、これらのなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0098】
第2の精製方法において、上記無機塩の除去は、上記化合物(II)−無機塩混合物と有機溶媒(C)とを所望により攪拌した後、有機溶媒(C)に溶解しない上記無機塩を濾別することにより行うことが好ましい。
【0099】
上記無機塩の除去に用いる有機溶媒(C)の量は、上記化合物(II)−無機塩混合物の上記有機溶媒(C)への溶解性によるが、上記化合物(II)−無機塩混合物100重量部に対し、30〜1000重量部であることが好ましい。より好ましい下限は、50重量部であり、より好ましい上限は、500重量部である。工業的な効率を考えた場合、上記化合物(II)を溶解させることができる最小量を用いることが好ましい。
【0100】
第2の精製方法は、上記化合物(II)−無機塩混合物から上記無機塩を除去した後、上記有機溶媒(C)の溶液となっているので、更に、上記有機溶媒(C)を除去するための精製時乾燥を行うものであることが好ましい。
【0101】
上記有機溶媒(C)を除去する精製時乾燥の方法としては、上記有機溶媒(C)の種類及び上記乾燥を行う気圧と時間にもよるが、第1の精製方法で上述した乾燥条件で加熱する方法が挙げられ、必要に応じて、エバポレータ等を用いて減圧し留去する方法、又は、減圧しながら所望により加熱し留去する方法が採られる。
上記有機溶媒(C)を除去する精製時乾燥は、上述の化合物(II)−無機塩混合物から水を蒸発させる精製時乾燥と同様、25〜300℃で行うことが好ましい。
【0102】
本発明の製造方法において、化合物(II)を得たのち、上記化合物(III)を製造する。上記化合物(II)から上記化合物(III)を得る方法としては特に限定されないが、上記化合物(II)を塩素化することにより、下記一般式(V)
【0103】
【化20】
【0104】
(式中、Y1、Y2、n及びmは上記と同じである。)で表される含フッ素クロロスルフォニルアルキルビニルエーテル(以下、「化合物(V)」という。)を得て、次いでフッ素化することにより上記化合物(III)を得る方法が好ましい。
上記化合物(II)を塩素化して、上記化合物(V)を得る方法としては、例えば、上記化合物(II)と塩素化試薬とを反応させる方法等が挙げられる。
【0105】
上記塩素化試薬としては特に限定されず、例えば、PCl5、PCl3、SO2Cl等が挙げられ、PCl5が好ましい。
上記塩素化試薬としてPCl5を用いる場合、上記化合物(II)は、水の存在下ではPCl5が水と反応して塩酸ガスを発生させるおそれがあるので水はできるだけ存在させないことが好ましいが、本発明においては、上記化合物(II)が水吸収能のある親水基を有するので、塩素化を行う前において、上記化合物(II)の10質量%以下の水との混合物であってもよく、好ましい上限は、5質量%である。10質量%を超えると、水の存在下ではPCl5が水と反応して多量の塩酸ガスを発生させる。
【0106】
上記化合物(II)は、上述の精製で無機塩を除去した後の有機溶媒(C)を除去する精製時乾燥において、上記化合物(II)が熱的に不安定であるため、水を充分に除去することは容易でないが、上記範囲内であれば水が存在していてもよいので、効率よく安全に塩素化を行うことができる。
【0107】
塩素化試薬として用いるPCl5は、上記化合物(II)1モルに対し1当量以上用いることが好ましい。
PCl5は、下記反応式に例示するように、上記化合物(II)1モルに対し、少なくとも1当量必要である。
CF2=CFOCF2CF2SO3Na + PCl5 → CF2=CFOCF2CF2SO2Cl + POCl3 + NaCl
【0108】
塩素化試薬として用いるPCl5が上記化合物(II)1モルに対し1当量未満であると、上記化合物(II)の塩素化が充分に行われない場合がある。PCl5は、上記化合物(II)だけではなく上記化合物(II)と併存する水とも反応するので、上記化合物(II)と反応する当量に加えて、水と反応する分を余分に投入することが好ましい。上記範囲内であれば、より好ましい上限は、5当量である。
【0109】
上記化合物(II)及びPCl5は固体であるので、塩素化を行う際、上述の熱分解で所望により用いるような不活性溶媒を分散媒として用いてもよいが、分散媒を用いなくても塩素化を行うことができる。PCl5と上記化合物(II)と併存する水とが反応して生成するPOCl3が分散媒となるので、通常、他に分散媒を用いる必要はない。
【0110】
上記塩素化において、上記化合物(II)及びPCl5は固体であるので反応液は高粘度の状態となる。更に、PCl5が上記化合物(II)と併存する水と反応して塩酸ガスが発生するので、反応液が泡立ち、反応液の液面が上昇し(ホールドアップ)、更に、反応液が反応容器から溢れ出るおそれがある。これらを防ぐためには、上記化合物(II)を反応器に投入した後、塩酸ガスの発生状態を見ながら、PCl5を徐々に投入することが好ましい。また、PCl5を先に反応器に投入して、上記化合物(II)を徐々に投入することもできる。上記化合物(II)及びPCl5を、両方とも徐々に投入することがより好ましく、上記化合物(II)及びPCl5を交互に投入することが更に好ましい。
【0111】
上記塩素化において、上記化合物(II)及びPCl5の投入は、30〜60℃の温度で行うことが好ましい。30℃未満では、反応液が極めて高粘度になるので攪拌が困難になり、60℃を超えると塩酸ガスの発生が激しくなるおそれがある。
【0112】
上記化合物(II)及びPCl5をすべて投入した後は、40〜150℃に加熱して反応を行うことが好ましい。40℃未満であると、反応液が粘度を増し、攪拌ができなくなるおそれがある。150℃を超えると、生成した上記化合物(V)が分解するおそれがある。より好ましい上限は、130℃である。
【0113】
上記化合物(II)を塩素化することによって生成する上記化合物(V)は、反応を進めながら、蒸留して抜き出すことができる。上記化合物(V)を蒸留で抜き出す場合、PCl5が昇華して抜出管が閉塞するおそれがあるので、あらかじめ上記化合物(II)と併存する水分量を測定してPCl5の量を少なくしたり、減圧下で蒸留したりすることにより、PCl5の昇華を抑制することが好ましい。また、固体のPCl5を用いずとも、同一の反応器内でPCl5を生成すると同時に反応させることもできる。すなわち、反応器内に化合物(II)とPCl3を投入し、そこに塩素ガスを吹き込むことによっても化合物(V)を得ることができる。
【0114】
このようにして得られた化合物(V)は、次いでフッ素化することにより、上記化合物(III)が得られる。
上記化合物(V)を、フッ素化して上記化合物(III)を得る方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、スルホラン溶媒中で上記化合物(V)と、NaF、KF等のフッ素化試薬とを反応させる等の方法が挙げられる。上記フッ素化は、下記反応式に例示するように行われる。
CF2=CFOCF2CF2SO2Cl + NaF → CF2=CFOCF2CF2SO2F + NaCl
【0115】
上記化合物(II)から上記化合物(III)を得る方法としては、また、上記化合物(II)をフッ素化することにより得る方法であってもよい。
上記化合物(II)をフッ素化して上記化合物(III)を得る方法としては特に限定されず、例えば、上記化合物(II)にSF4、PF5等のフッ素化試薬を反応させる方法等が挙げられる。
【0116】
上記フッ素化試薬としてSF4を用いる場合、上記化合物(II)とSF4とを、−20〜200℃の温度で、6分間以上反応させることにより、上記化合物(III)を得ることができる。好ましい下限は0℃であり、好ましい上限は60℃である。SF4は、上記化合物(II)1当量に対し2モル以上用いることが好ましい。
上記フッ素化は、下記反応式に例示するように行われる。
CF2=CFOCF2CF2SO3Na + SF4 → CF2=CFOCF2CF2SO2F + SOF2 + NaF
【0117】
本発明の製造方法において、上述のように、化合物(III)は、化合物(II)に対して塩素化を行い、次いでフッ素化を施すことにより、又は、化合物(II)に対してフッ素化を施すことにより、得られるものである。
本発明の製造方法において、このようにして得られる化合物(III)は、上記一般式(III)におけるY1、Y2、n及びmが上記一般式(I)におけるものと同じものである。
【0118】
本発明の製造方法は、上述のように、化合物(I)を熱分解することにより、化合物(II)を得たのち、化合物(III)を製造することよりなるものであり、下記スキーム3に示す反応経路によるものであるので、上記化合物(III)を収率良く効率的に製造することができる。本発明の製造方法は、特に、上記一般式(I)におけるnが0である化合物(I)を用いても、上記化合物(III)を収率よく製造することができる。
【0119】
【化21】
【0120】
本発明の製造方法により得られた化合物(III)は、単量体として、化合物(III)と共重合性を有する単量体との共重合体を得るために好適に用いることができる。
上記化合物(III)と共重合性を有する単量体としては特に限定されず、例えば、エーテル酸素を有していてもよいその他のオレフィン等が挙げられ、上記その他のオレフィンとしては、例えば、TFE、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、エチレン等が挙げられ、また、上記化合物(III)以外のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)や末端にカルボキシル基やその塩、シアノ基、ハロゲン原子などを有する含フッ素ビニルエーテルであってもよい。なかでも、TFEが好ましい。上記化合物(III)と共重合性を有する単量体としては、1種又は2種以上を用いることができる。共重合する方法としては特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合等の方法を用いることができる。
【0121】
得られた共重合体は、加水分解することにより−SO2F基をスルフォン酸基に変換することができ、塩形成性の親水基を有することになるので、製膜して電解質膜として、イオン交換膜、隔膜等に好適に用いられ、イオン交換膜としては、例えば、食塩電解、化学センサー、分離膜、燃料電池等が挙げられる。なかでも燃料電池に用いる燃料電池用電解質膜が好ましい。
得られた共重合体は、また、粉体のまま高分子超強酸触媒としての利用や、リチウム電池等への利用も可能である。
【0122】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
1.1)6リットルのガラスライニング製耐圧オートクレイブに、サルファン(日曹金属化学社製)より新たに蒸留したSO32リットルを入れ、内部空間を純窒素ガスで置換パージ後、TFEを圧入したところ、直ちに発熱反応が開始したので、温度を40〜60℃に、圧力を0.1〜0.2MPaに調節しながら反応を継続し、40分後に生成物が5.2リットルまで増量し、TFEの吸収が起こらなくなったところで冷却して、反応を停止した。反応物は、無色透明の液体で、蒸留によりほぼ純粋のテトラフルオロエタンβ−サルトンであることがわかった。
【0123】
1.2)6リットルのガラスライニング製耐圧オートクレイブに300℃で十分乾燥したフッ化カリウム400gを入れ、直ちに窒素気流下に密封し、次いでジエチレングリコールジメチルエーテル1リットルを入れ、工程1.1)で得たテトラフルオロエタンβ−サルトン1リットルを徐々に滴下した。著しい発熱反応が起こり、遊離のKOCF2CF2SO2Fの生成も認められたが、ほぼ定量的にCOFCF2SO2Fへの異性化反応の完結したことが19F−NMRにより確認された。
【0124】
1.3)工程1.2)で用いたのと同じ反応器を用い、同条件で生成したCOFCF2SO2Fに25℃でHFPOガスを0.2MPaまで圧入すると、直ちに発熱反応が開始したので、20〜40℃に温度調節しながら0.1〜0.2MPaの圧力下で3時間反応を継続した。その後、圧力降下速度が小さくなったので反応を中断し、残存ガスを放出した。生成物の体積は27mlで、生成物は黄色上相と無色の下相からなり、蒸留によると、生成物の90体積%はHFPOの1付加体である下記化合物
COF(CF3)CFOCF2CF2SO2F
であり、わずかにCOFCF2SO2Fと2付加体の生成が認められた。
【0125】
1.4)工程1.3)で得た化合物を10℃で、8時間かけて20質量%水酸化ナトリウム水溶液でケン化及び中和処理して、定量的に含フッ素2−アルコキシプロピオン酸誘導体として下記化合物
NaOC(O)CF(CF3)OCF2CF2SO3Na
の36質量%水溶液を得た。
【0126】
1.5)上述の要領で得られたNaOC(O)CF(CF3)OCF2CF2SO3Na36質量%水溶液4kgを、350mm×450mmのバットに入れ80℃に保った熱風循環乾燥機に投入した。12時間後に表面が高粘度状態となったため、一旦バットをとりだし、25℃付近まで冷却した。表面が結晶化して不透明になってきたときに、へらでかき混ぜた。再び80℃の熱風循環乾燥機に投入し、24時間乾燥し、水分0.5質量%のNaOC(O)CF(CF3)OCF2CF2SO3Naの粉体を得た。上記粉体を、更に、120℃に保った熱風循環乾燥機に投入し12時間乾燥して、水分0.1質量%のNaOC(O)CF(CF3)OCF2CF2SO3Naの粉体を得た。
【0127】
1.6)攪拌器を備えた20リットルのガラス容器に、上述の要領で得られたNaOC(O)CF(CF3)OCF2CF2SO3Na6.4kgと、ジエチレングリコールジメチルエーテル6リットル(上記含フッ素2−アルコキシプロピオン酸誘導体100質量部に対し85質量部)とを投入した。マントルヒーターにて加熱を行ったところ、内温が100℃に達した時点からCO2が発生した。その後内温が140℃に達するまで徐々に昇温した。180分間加熱したところでCO2の発生が収まったので、加熱を終了した。
【0128】
1.7)反応終了後、内温を90℃まで下げ、2.0×103Paまで減圧してジエチレングリコームジメチルエーテル3リットルを留去した。得られた反応液に純水6リットルを入れて溶解させ、更にクロロホルム6リットルを入れて攪拌した。静置して液面が明確に分かれたところで下層部を抜き出した。クロロホルム投入、攪拌及び抜き出しの操作を7回繰り返し、得られた水溶液をバットに入れ、80℃に保った熱風循環乾燥機に12時間入れて、粉体を得た。得られた粉体を6リットルのアセトンに溶解させ、濾過を行った。濾液をロータリーエバポレーターで80℃で乾燥させ、CF2=CFOCF2CF2SO3Na5.2kgを得た。
【0129】
1.8)攪拌器を備えた10リットルのガラス容器を50℃に加温し、得られたCF2=CFOCF2CF2SO3Na4.6kgとPCl56.8kgとを少しずつ交互に投入した。投入中は塩酸ガスが激しく発生した。投入完了後、蒸留装置を取り付け、105℃前後の留分を抜き出した。得られた留分を3リットルの冷水中に滴下して、2相に分かれた液の下部を抜き出し、CF2=CFOCF2CF2SO2Clを3.3kg得た。
1.9)攪拌器と5段の精留塔を備えた5リットルのガラス容器に、得られたCF2=CFOCF2CF2SO2Clを3.3kg、スルホランを1.9kg、NaFを1.3kg導入し、加熱を行って75℃前後の留分を抜き出し、CF2=CFOCF2CF2SO2Fを2.8kg得た。含フッ素2−アルコキシプロピオン酸誘導体に対する収率は、58%であった。
【0130】
【発明の効果】
本発明の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法は、上述の構成を有するので、含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテルを収率良く効率的に製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CF2=CFOCF2CF2SO2F(以下、「化合物A」という。)等の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル(以下、「スルフォニルビニルエーテル」という。)は、他のフルオロオレフィン等と重合させ、共重合体を得るために用いることができる。
【0003】
得られた共重合体は、塩形成性のスルフォン酸基を有することができるので、イオン交換膜として食塩電解、化学センサー、分離膜、燃料電池等に利用することが検討されており、また、高分子超強酸触媒としての利用や、リチウム電池等への利用も可能である。
【0004】
スルフォニルビニルエーテルを製造する方法として、例えば英国特許第1034197号明細書には、FCOCF2SO2Fにヘキサフルオロプロピレンオキサイド〔HFPO〕を付加させ、得られるHFPO付加体を熱分解させる方法が開示されている。しかしながら、この方法では、HFPOが1つ付加したものは、熱分解しても目的とする化合物Aは得られず、代わりに下記化学式
【0005】
【化7】
【0006】
で表される環状体が副生成物として生じるという問題があった。
この方法では、また、HFPOが2つ以上付加したものからは、下記化学式
CF2=CFO(CF2CF(CF3))nOCF2CF2SO2F
(nは1以上の整数)で表されるスルフォニルビニルエーテルを得ることはできるが、HFPOの付加反応は逐次反応であり、付加数nを所望の特定数にすることが困難なので、収率が低下し製造コストが高くなるという問題があった。
【0007】
スルフォニルビニルエーテルを製造する方法として、また、特開昭57−28025号公報には、FCOCF2SO2Fに下記化学式
【0008】
【化8】
【0009】
で表されるクロロペンタフルオロプロピレンオキサイド〔CPFPO〕を付加させたのち、熱分解させる方法が開示されている。しかしながら、この方法では、化合物Aを得ることはできるが、CPFPOが不安定な物質であり、安価に効率良く製造することができないという問題がある。
【0010】。
スルフォニルビニルエーテルを製造する方法として、また、特開昭61−3055号公報には、ハロゲン末端ビニルエーテルのハロゲンを−SO2F基に変換する方法、特開平11−228474号公報には、CF2ClCFClOCF2CF2SO2Fを亜鉛で脱塩素化する方法、米国特許第3560568号明細書には、下記スキーム1
【0011】
【化9】
【0012】
で表されるようにCH3ONaを用いて環状体を開環させ、CF2=CFOCF2CF2SO3Na(以下、「化合物B」という。)を得て、末端の−SO3Na基を−SO2F基に変換する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法は各前駆体の収率が悪く、工業的な生産方法としては適さないという問題がある。
【0013】
化合物Bを製造する方法として、国際公開第98/43952号パンフレット、国際公開第01/28989号パンフレット等には、下記化学式
CF3CF(COONa)−O−CF2CF2SO3Na
で表されるジ塩体を熱分解する方法が開示されている。これらの公報では、得られた化合物Bは、そのまま単量体として共重合体を得るために用いられている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記現状に鑑み、含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテルを収率良く効率的に製造する方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(I)
【0016】
【化10】
【0017】
(式中、A1は−OM1又は−OM2 1/2を示し、M1はアルカリ金属を示し、M2はアルカリ土類金属を示す。A2は−OM3又は−OM4 1/2を示し、M3はアルカリ金属、水素原子又はNR1R2R3R4を示し、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、M4はアルカリ土類金属を示す。Xはハロゲン原子を示す。Y1はハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示す。nは0〜3の整数を示す。n個のY1は同一であってもよいし、異なっていてもよい。Y2はハロゲン原子を示す。mは1〜5の整数を示す。m個のY2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)で表される含フッ素2−スルフォアルコキシプロピオン酸誘導体を熱分解することにより、下記一般式(II)
【0018】
【化11】
【0019】
(式中、A2、Y1、Y2、n及びmは上記と同じである。)で表される含フッ素スルフォアルキルビニルエーテルを得たのち、下記一般式(III)
【0020】
【化12】
【0021】
(式中、Y1、Y2、n及びmは上記と同じである。)で表される含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテルを製造することよりなる
ことを特徴とする含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法である。
以下に本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法(以下、「本発明の製造方法」という。)は、上記一般式(I)で表される含フッ素2−スルフォアルコキシプロピオン酸誘導体(以下、「化合物(I)」という。)を熱分解することにより、上記一般式(II)で表される含フッ素スルフォアルキルビニルエーテル(以下、「化合物(II)」という。)を得たのち、上記一般式(III)で表される含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル(以下、「化合物(III)」という。)を製造することよりなることを特徴とするものである。
【0023】
上記化合物(I)は、上記一般式(I)におけるA1が−OM1又は−OM2 1/2を示し、M1はアルカリ金属を示し、M2はアルカリ土類金属を示すものである。上記M1のアルカリ金属としては特に限定されず、例えば、Li、Na、K、Cs等が挙げられる。上記M2のアルカリ土類金属としては特に限定されず、例えば、Mg、Ca等が挙げられる。A1は−OM1であることが好ましく、M1は、工業上には安価なNa又はKであることが好ましい。
【0024】
上記一般式(I)におけるA2は、−OM3又は−OM4 1/2を示す。上記M3はアルカリ金属、水素原子又はNR1R2R3R4を示し、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基を示す。上記M3のアルカリ金属としては、例えば、上記M1で例示したものと同じもの等が挙げられる。上記M4はアルカリ土類金属を示し、上記M4のアルカリ土類金属としては、例えば、上記M2で例示したものと同じもの等が挙げられる。好ましくは、M3はM1と同じであり、M4はM2と同じであり、A2は−OM3であり、M3はNa又はKである。
【0025】
上記一般式(I)におけるXはハロゲン原子を示す。上記ハロゲン原子としては特に限定されず、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子の何れであってもよい。
【0026】
上記一般式(I)におけるY1はハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示し、Y2はハロゲン原子を示す。上記ハロゲン原子としては、上記Xで例示したものと同様である。上記パーフルオロアルキル基としては、特に限定されず、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。好ましくは、Y1はトリフルオロメチル基であり、Y2はフッ素原子である。
【0027】
上記一般式(I)におけるnは0〜3の整数を示す。n個のY1は同一であってもよいし、異なっていてもよい。上記化合物(I)の単位重量当たりに多くの親水基を含有するためには、上記nは、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。本発明の製造方法により、上記一般式(I)におけるnが0である化合物(I)を用いても、上記化合物(III)を収率よく製造することができる。
上記一般式(I)におけるmは0〜5の整数を示す。m個のY2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。上記mが大きいほど酸としての強度は強くなるが、上記化合物(I)の単位重量当たりの親水基の数が減少するので、上記mは、2であることが好ましい。
【0028】
本発明は、上記化合物(I)が、上記一般式(I)における上記A1は−OM1、上記M1はNa又はKであり、上記A2は−OM3、上記M3はNaであり、上記Xはフッ素原子であり、上記nは0であり、上記Y2はフッ素原子であり、上記mは2であるものの場合に好適な方法である。
【0029】
上記化合物(I)は、下記一般式(IV)
【0030】
【化13】
【0031】
(式中、X、Y1、Y2、n及びmは上記と同じである。)で表される含フッ素2−フルオロスルフォニルアルコキシプロピオン酸フッ化物誘導体(以下、「化合物(IV)」という。)を中和することにより得られるものであることが好ましい。
【0032】
上記化合物(I)は、上記化合物(IV)を中和試薬を用いて中和することにより得られるものである。上記中和により上記一般式(IV)中のフルオロホルミル基はカルボキシル基の塩に、フルオロスルフォニル基はスルフォン酸基の塩にそれぞれ変換される。
【0033】
本発明において、上記中和試薬としては塩基であれば特に限定されないが、アルカリ金属水酸化物が好ましく、なかでも、工業的には安価なNaOHが好ましい。
上記中和試薬は通常、中和試薬用溶媒に溶解させて用いる。上記中和試薬用溶媒は、通常、水及び/又は水溶性有機溶媒であり、水、アルコールが好ましい。
【0034】
上記中和は、上記化合物(IV)1モルに対し、中和試薬を4当量以上用いて行うものであることが好ましい。上記化合物(IV)の1分子は、下記反応式に例示するように、中和される官能基を2個有し、中和によりフッ化水素を2分子生じる。従って、上記中和試薬は、上記化合物(IV)が有する2個の官能基のみならず、生じるフッ化水素をも中和し得るように、上記範囲内の量を用いることが好ましい。
CF3CF(COF)−O−CF2CF2SO2F + 4NaOH → CF3CF(COONa)−O−CF2CF2SO3Na + 2NaF + 2H2O
【0035】
上記中和試薬が上記化合物(IV)1モルに対し4当量未満であると、上記化合物(IV)が有する−SO2F基が全て−SO3Na基にならず、また、上記一般式(IV)においてnが0である場合、次工程の熱分解時に下記式
【0036】
【化14】
【0037】
で表される環状体を副生する場合がある。上記中和試薬は、多過ぎても特に問題はないが、工業的に不利になるので、上述範囲内であればなるべく少ないことが好ましい。
【0038】
上記化合物(IV)の中和は、上記中和試薬の存在下、90℃以下の温度で、1〜48時間反応させることにより行うものである。
上記中和において、反応温度が低すぎる場合は工業的に不利であり、90℃を超えると、上記化合物(I)が熱分解するおそれがある。好ましい下限は、0℃であり、好ましい上限は、80℃である。
【0039】
上記中和において、反応時間が1時間未満であると、中和が不充分であるおそれがあり、48時間を超えると、中和反応が平衡状態に達しているのでこれ以上時間をかけても反応が進まない。好ましい下限は、3時間であり、好ましい上限は、24時間である。
【0040】
上記中和において、フルオロスルフォニル基からスルフォン酸基の塩に変換する反応は反応速度が遅いので、中和試薬を投入して中和反応系が中性に変化した後、数時間攪拌を続けることが好ましい。その後、中和反応系が酸性に変化していれば、中和試薬を追加して中和反応系が中性になるように調整することが好ましい。
【0041】
また、中和の際には、上記化合物(IV)1モルに対し中和試薬を4当量以上用いるが、中和しきれないフッ化水素が発生するおそれがあるので、耐蝕性のある反応器を用いることが望ましい。また、中和による発熱が激しいので、反応器を冷却しながら中和を行うことが望ましい。
【0042】
上記化合物(IV)は、テトラフルオロエチレン〔TFE〕に三酸化硫黄を反応させることにより、下記式
【0043】
【化15】
【0044】
で表される環状付加物を得たのち、フッ化物イオンを作用させ、次いでヘキサフルオロプロピレンオキサイド〔HFPO〕を作用させることにより得られるものであることが好ましい。
【0045】
上記化合物(IV)を得る方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
上記環状付加物に、例えば、フッ化物イオンの発生源としてフッ化カリウムを作用させ、遊離のKOCF2CF2SO2Fを経て得られるFCOCF2SO2Fに、好ましくは25℃でHFPOを作用させることにより、HFPOの付加体である上記化合物(IV)を得ることができる。
この方法は、例えば、下記スキーム2に従って反応が進行する。
【0046】
【化16】
【0047】
上記中和により得られる化合物(I)は、中和試薬用溶媒と混合物をなしており、この混合物は、上記中和反応により生成された水を含むものである。本明細書において、上記混合物を「化合物(I)混合物」という。上記「化合物(I)混合物」は、後述の化合物(I)の乾燥において、乾燥工程(1)を行う前のもの、乾燥工程(1)を行っている最中におけるもの、及び、乾燥工程(2)を行っている最中におけるものを含む概念である。
【0048】
上記化合物(I)は、本発明の製造方法において後工程で熱分解させるが、このように水等と混合物をなしているものであり、このまま熱分解のための加熱を行うと副生成物を生じやすいので、熱分解する前に乾燥したものであることが好ましい。
【0049】
上記化合物(I)の乾燥は、乾燥工程(1)の後、乾燥工程(2)を行うことにより行われるものである。本明細書において、「化合物(I)の乾燥」とは、上記化合物(I)と水とからなる混合物から水を除去することを意味する。上記「化合物(I)と水とからなる混合物」は、上記化合物(I)混合物である。
【0050】
上記乾燥工程(1)は、水分が0.3質量%を超え、10質量%以下である量になるまで90℃以下で行うものである。水分が10質量%を超える量残った状態において90℃を超える温度、例えば、100℃以上の温度に長時間放置しておくと、上記化合物(I)は下記一般式(VI)
【0051】
【化17】
【0052】
(式中、A2、X、Y1、Y2、n及びmは上記と同じである。)で表される化合物へ変質しやすい。
本明細書において、乾燥工程(1)における「水分」とは、上記乾燥工程(1)における化合物(I)混合物中の水の量を意味する。
【0053】
上記乾燥工程(1)は、上記範囲内の温度であれば60℃以上で行うことが好ましい。60℃未満であると乾燥に時間がかかる場合がある。
上記乾燥工程(1)は、上記化合物(I)が高い吸湿性を有するので、効率的に乾燥させる点から、上記範囲内の温度であれば70℃以上の温度で行うことがより好ましい。
【0054】
上記乾燥工程(1)の乾燥時間は、乾燥する温度、乾燥時の風量、仕込み量等にもよるが、数秒〜50時間であることが好ましい。50時間を超えると、経済性の点で好ましくない。
【0055】
上記乾燥工程(1)は、更に、固体を析出させるために途中で降温するものであることが好ましい。上記固体は、主として上記化合物(I)からなるものである。上記降温は、上記降温の前における温度よりも10℃以上下げることが好ましく、上記固体が析出する温度にまで温度を下げることがより好ましい。
上記降温を行う時期である上記「途中」は、上記乾燥工程(1)を行う過程において、容器等に入っている上記化合物(I)混合物の乾燥の対象になっている表面が高粘度な状態となったときが好ましく、上記「高粘度な状態」は、例えば、流動性が極めて低下したような状態である。上記化合物(I)混合物は、表面が高粘度になったときに、固体が析出する温度に一旦温度を下げると、固体と固体との隙間から水分が蒸発するようになり、より早く乾燥することができる。一定温度で乾燥を行う場合、上記化合物(I)混合物は、表面が高粘度な状態となり、固体が生じないので内部が乾燥しないことがある。
上記降温の後、降温前の温度に戻し乾燥を続行することが好ましい。このように温度を一旦降下させ、再度上昇させる工程は、繰り返し行ってよい。降温の方法としては特に限定されず、例えば、一旦乾燥器から取り出す方法等が挙げられる。
【0056】
上記乾燥工程(1)は、更に、析出した固体の機械的粉砕、及び/又は、表面が高粘度になった上記化合物(I)混合物の攪拌を行うことが好ましい。固体が析出した上記化合物(I)混合物の表面を機械的に粉砕し攪拌を行ったり、高粘度の上記化合物(I)混合物を攪拌したりすることにより、水分の多い上記化合物(I)混合物の内部を常に上記化合物(I)混合物の表面に露出させ、水分の蒸発を促進することができる。降温により表面の固体を割ってもよいし、機械力で固体を割ってもよいし、両者を併用してもよい。
【0057】
上記粉砕及び上記攪拌は、実験室レベルでは人力によりヘラ等を用いて行ってもよいが、工業的には内部に攪拌機があって加熱と水分の流通が可能な円錐型スクリュー付ミキサー等のミキサー、ニーダー類等を用いて行うことが好ましい。
上述の降温により容器壁面に析出した固体については削ぎ落としてよい。
【0058】
上記乾燥工程(2)は、水分が0.2質量%以下の量になるまで100℃以上で行うものである。後工程の熱分解において反応を収率良く行うため、水分が0.1質量%以下の量になるまで行うことが好ましい。100℃未満であると、上記化合物(I)は吸湿性が高いので、水分を0.2質量%以下にすることは困難である。より好ましい下限は、110℃である。好ましい上限は、200℃である。200℃を超えると、上記化合物(I)が分解しやすい。
本明細書において、乾燥工程(2)における「水分」とは、上記乾燥工程(2)における化合物(I)混合物中の水の量を意味する。
【0059】
上記乾燥工程(2)の乾燥時間は、乾燥する温度にもよるが、数秒〜20時間であることが好ましい。20時間を超えることは経済性の点で好ましくない。
【0060】
上記乾燥工程(1)及び上記乾燥工程(2)に用いられる乾燥器としては特に限定されず、例えば、熱風循環乾燥器、赤外線乾燥器、真空乾燥器、回転乾燥器、攪拌器付乾燥器、噴霧乾燥器等が挙げられる。但し、上記真空乾燥器で上記化合物(I)を乾燥しようとすると、上記化合物(I)が界面活性剤様の分子構造を有していることから、発泡が起きる場合があるので注意を要する。
上記熱風循環乾燥器又は上記回転乾燥器で上記化合物(I)を乾燥しようとすると、乾燥工程(1)において上述の化合物(I)混合物の表面が高粘度の状態となり、上記化合物(I)混合物の内部が充分に乾燥しない場合があるので、上述の降温又は攪拌を行うことが好ましい。
【0061】
上記化合物(I)の乾燥は、このように乾燥工程(1)と乾燥工程(2)の2段階に分けて乾燥することを特徴とするものである。上記乾燥工程(1)において90℃以下の温度、例えば、80℃で長時間乾燥しても水分を0.3質量%以下、例えば、0.2質量%以下にすることは困難であるが、上記乾燥工程(1)に引き続き、上記乾燥工程(2)において温度を100℃以上の温度、好ましくは、110〜200℃に昇温することにより、水分が0.1質量%以下になるまで比較的短時間で効率的に乾燥することができる。
【0062】
本発明の製造方法において、上記化合物(I)は、好ましくは上述の乾燥を行った後、熱分解することにより、化合物(II)が得られる。上記熱分解は、有機溶媒(A)の存在下に行うことが好ましい。
【0063】
上記有機溶媒(A)は、上記一般式(I)における上記M1のイオン又は上記M2のイオンに配位能を有するものである。上記有機溶媒(A)は、上記熱分解において、上記化合物(I)が有するM1のイオン又はM2のイオンに配位することにより、脱炭酸反応を促進する触媒作用を有する。
【0064】
上記有機溶媒(A)としては、上記M1のイオン又は上記M2のイオンに配位能を有するものであれば特に限定されないが、非プロトン性の有機極性溶媒からなるものであることが好ましい。上記非プロトン性の有機極性溶媒としては特に限定されず、例えば、エーテル系溶媒、スルホラン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素等が挙げられ、これらのなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
上記エーテル系溶媒としては特に限定されず、例えば、グライム系化合物、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、クラウンエーテル等が挙げられ、これらのなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
上記グライム系化合物は、炭化水素系エーテル化合物であり、下記一般式で表される。
【0067】
【化18】
【0068】
(式中、Rは−CpH2p+1を示し、pは1〜5の整数を示し、qは1〜10の整数を示す。)
上記グライム系化合物としては、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられ、これらのなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
上記非プロトン性の有機極性溶媒は、グライム系溶媒であることが好ましく、ジエチレングリコールジメチルエーテルであることがより好ましい。上記ジエチレングリコールジメチルエーテルは、含水率が250ppm以下であることが好ましい。
【0070】
本発明において熱分解を行う際、上記有機溶媒(A)はこれ自体を分散媒とすることができるが、上記有機溶媒(A)とともに不活性溶媒を用いてもよい。上記熱分解に用いる不活性溶媒としては、化合物(II)の収率を高めるために、脱水が容易なフルオロカーボン類が好ましい。上記フルオロカーボン類としては特に限定されず、例えば、エーテル化されていてもよいフルオロカーボン類、フルオロクロロカーボン類等が挙げられ、なかでも、パーフルオロカーボン類、パーフルオロクロロカーボン類が好ましい。上記熱分解に用いる不活性溶媒としては、1種又は2種以上を用いることができる。上記有機溶媒(A)はこれ自体を分散媒とすることができるので、本発明において熱分解を行う際、通常、不活性溶媒は用いる必要がない。
【0071】
上記有機溶媒(A)は、上記化合物(I)100質量部に対し10〜1000質量部用いられる。上記範囲内であると、熱分解開始温度が低くなりオリゴマーの生成を抑えることができる。10質量部未満であると、熱分解反応が遅くなったり、熱分解が不充分であるおそれがある。1000質量部を超えると、熱分解を行うために大きな反応器が必要となるので工業的に不利である。好ましい下限は、30質量部であり、好ましい上限は、300質量部である。
【0072】
上記化合物(I)の熱分解は、上記有機溶媒(A)の存在下に、70℃以上、170℃未満である温度で行うことにより、上記化合物(II)を製造することよりなるものである。
【0073】
170℃以上であると、大量の副生物が生成する。上記副生物としては明確ではないが、例えば、上記化合物(I)と上記化合物(II)とが反応し、又は、上記化合物(II)同士が反応して生成される、下記一般式
【0074】
【化19】
【0075】
(式中、kは2〜15の整数を示し、A2、Y1、Y2、n及びmは上記と同じである。)で表されるオリゴマー等であると思われる。副生物が多くなると、上記化合物(II)の収率が下がる。特に、反応器のサイズが大きくなると、昇温及び降温に時間がかかるようになり、上記化合物(II)が高温に曝される時間が長くなるので、副生物の生成量が更に多くなる。
また、化合物(II)の精製方法としては再結晶が有力な方法であるが、副生物には結晶性がないので、多量の副生物の存在下に化合物(II)を結晶化することは困難となる。
【0076】
本発明において熱分解を行う際、温度が70℃未満であると、上記副生物の生成量を抑制することができるが、熱分解に時間がかかる、又は、熱分解が行われないおそれがある。熱分解は、70℃以上、150℃未満である温度で行うものであることが好ましい。
【0077】
本発明において熱分解の反応時間は、熱分解を行う温度によるが、反応温度に達してから10〜600分間であることが好ましい。反応時間が10分間未満であると、熱分解が不充分となるおそれがある。より好ましい下限は、30分間であり、より好ましい上限は、300分間である。
【0078】
本発明の製造方法において、上述の熱分解により得られる化合物(II)は、上記一般式(II)におけるA2、Y1、Y2、n及びmが上記一般式(I)におけるものと同じものである。
【0079】
上記化合物(II)は、上記熱分解の後、有機溶媒(A)及び無機塩と混合物をなしている。上記有機溶媒(A)は、上記熱分解で用いたものであり、上記無機塩は、上記熱分解で生成する副生成物である。上記有機溶媒(A)は、後工程で得られる化合物(III)を共重合する反応において、連鎖移動性を有する場合がある。また、NaF等の無機塩は、後述の上記化合物(II)を塩素化する反応において、塩素化試薬として用いるPCl5と反応する。従って、上記化合物(II)は上記有機溶媒(A)と無機塩を除去するように精製することが好ましい。
【0080】
上記精製は、上記化合物(II)と上記有機溶媒(A)と上記無機塩とからなる水溶液を有機溶媒(B)と混合して上記有機溶媒(A)を除去したのち、得られる混合物を有機溶媒(C)と混合して上記無機塩を濾別することより行われるものである。
【0081】
本明細書において、上記化合物(II)の精製のうち、上記「上記化合物(II)と上記有機溶媒(A)と上記無機塩とからなる水溶液を有機溶媒(B)と混合して上記有機溶媒(A)を除去することよりなるもの」を「第1の精製方法」という。
【0082】
上記有機溶媒(B)は、水と混合せず、上記化合物(II)を溶解しない有機溶媒である。上記有機溶媒(B)は、後述の有機溶媒(A)の抽出において、抽出作業性の点で水の下層となることが好ましいので、比重が1を超えるものであることが好ましい。
【0083】
上記有機溶媒(B)は、比誘電率が4〜10であるものが好ましい。上記有機溶媒(B)は、比誘電率が高すぎると、上記化合物(II)や水を溶解してしまうことがあるので、比誘電率が低いものであることが好ましい。一方、比誘電率が低すぎると、上記有機溶媒(A)を溶解しなくなるので、ある程度の比誘電率を有することが望ましい。
【0084】
上記有機溶媒(B)のうち、比誘電率が上記範囲にある有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、含ハロゲン炭化水素、エーテル類等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0085】
上記含ハロゲン炭化水素は、炭化水素が有する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子に置換されてなる分子からなり、上記化合物(II)及び上記有機溶媒(A)に対して不活性な有機溶媒である。
上記含ハロゲン炭化水素としては特に限定されず、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のクロロカーボン類;ジクロロペンタフルオロプロパン(フロンR225)、ジクロロモノフルオロエタン(フロンR141b)等のフルオロカーボン類等が挙げられる。上記エーテル類としては特に限定されず、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フルオロブチルメチルエーテル、フルオロブチルエーテル、(ノナフルオロブチル)メチルエーテル、(ノナフルオロブチル)エチルエーテル等が挙げられる。
上記有機溶媒(B)は、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロペンタフルオロプロパン(フロンR225)又はジクロロモノフルオロエタン(フロンR141b)であることが好ましい。
【0086】
第1の精製方法における上記有機溶媒(A)の除去は、通常、抽出により行うが、上記有機溶媒(A)は、この抽出により取り除くためには上記有機溶媒(B)を大量に必要とするため、抽出に先立ち、上記有機溶媒(A)を可能な限り留去しておくことが好ましい。この留去は、上記「有機溶媒(A)を除去」する方法の一つである。
【0087】
上記留去の方法としては、上記有機溶媒(A)は一般に水より沸点が高い点、上記化合物(II)は一般に熱的に不安定であり、150℃以上になると上述のように上記化合物(II)同士が反応してオリゴマーを生成しやすい点を考慮すると、エバポレータ等を用いて減圧し留去する方法、又は、減圧しながら所望により加熱し留去する方法が好ましい。
【0088】
上記留去の後には、上記化合物(II)は、上記有機溶媒(A)を主成分とする溶媒に溶解している。このような化合物(II)と有機溶媒(A)とからなる溶液に対し、上記抽出に先立ち水を加えることにより、上記化合物(II)と上記有機溶媒(A)と上記無機塩とからなる水溶液にする。上記化合物(II)と上記有機溶媒(A)と上記無機塩とからなる水溶液は、有機溶媒(B)と相分離するので、上記抽出が可能となる。
【0089】
第1の精製方法における上記有機溶媒(A)の除去として行う抽出は、上記化合物(II)と上記有機溶媒(A)と上記無機塩とからなる水溶液を水相として、有機溶媒(B)の相と接触させることにより、上記有機溶媒(A)を上記有機溶媒(B)の相に移動させる工程である。
【0090】
上記抽出は、抽出操作を1回又は2回以上することにより行う。
本明細書において、上記「抽出操作」の1回分とは、水相への有機溶媒(B)の投入、この水相から上記有機溶媒(B)の相への有機溶媒(A)の移動、及び、上記有機溶媒(B)の相の抜出をこの順序で各1回ずつ行うことよりなる一連の操作を意味する。
【0091】
上記抽出操作1回につき用いる有機溶媒(B)の量は、上記有機溶媒(A)の有機溶媒(B)への溶解性によるが、上記化合物(II)と有機溶媒(A)とからなる水溶液の体積を1として、0.01〜10であることが好ましい。より好ましい下限は、0.1であり、より好ましい上限は、2である。
上記抽出操作の際には、水相中に存在している上記有機溶媒(A)の有機溶媒(B)への移動を促進することができる点から、攪拌を行うことが好ましい。
【0092】
本明細書において、上記化合物(II)の精製のうち、上記「上記化合物(II)と無機塩とからなる混合物(以下、「化合物(II)−無機塩混合物」という。)を有機溶媒(C)と混合して上記無機塩を除去することよりなるもの」を「第2の精製方法」という。
【0093】
上記化合物(II)−無機塩混合物は、第1の精製方法による精製の後、水溶液となっているので、この水溶液から水を蒸発させる工程である精製時乾燥を行うことが好ましい。上記精製時乾燥を充分に行わない場合、無機塩の結晶が小さすぎて、後述の濾別において濾過材を透過したり濾過材が目詰まりしたりするおそれがある。上記乾燥を行うことにより、上記乾燥の前に微細粒子であった上記無機塩の結晶を成長させ、上記無機塩の除去を容易にすることができる。上記精製時乾燥は、また、上記化合物(II)が残存している少量の水にも溶解することができるので、第2の精製方法における有機溶媒(C)による上記化合物(II)の抽出を効率的に行うためにも好ましい。
【0094】
上記精製時乾燥は、上記液体の種類及び上記乾燥を行う気圧と時間にもよるが、25〜300℃で行うことが好ましい。300℃を超えると、上記化合物(II)は熱的に不安定であるので分解する場合がある。より好ましい上限は、200℃であり、更に好ましい上限は、150℃である。
上記精製時乾燥は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
【0095】
上記無機塩としては特に限定されず、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等が挙げられ、これらの2種以上が混在していてもよい。上記無機塩は、フッ化ナトリウムであることが好ましい。
【0096】
上記有機溶媒(C)は、上記無機塩を溶解せず、上記化合物(II)を溶解する有機溶媒である。上記有機溶媒(C)は、上記無機塩を除去した後、乾燥して除去することが好ましいので、沸点が25〜150℃であるものが好ましい。
【0097】
上記有機溶媒(C)は、また、極性が低すぎると上記化合物(II)を溶解することができず、極性が高すぎると上記無機塩も溶解してしまうので、比誘電率が5〜40であるものが好ましい。
上記有機溶媒(C)のうち、沸点及び比誘電率が上記範囲にある有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、アセトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;メタノール等のアルコール類等が挙げられ、これらのなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0098】
第2の精製方法において、上記無機塩の除去は、上記化合物(II)−無機塩混合物と有機溶媒(C)とを所望により攪拌した後、有機溶媒(C)に溶解しない上記無機塩を濾別することにより行うことが好ましい。
【0099】
上記無機塩の除去に用いる有機溶媒(C)の量は、上記化合物(II)−無機塩混合物の上記有機溶媒(C)への溶解性によるが、上記化合物(II)−無機塩混合物100重量部に対し、30〜1000重量部であることが好ましい。より好ましい下限は、50重量部であり、より好ましい上限は、500重量部である。工業的な効率を考えた場合、上記化合物(II)を溶解させることができる最小量を用いることが好ましい。
【0100】
第2の精製方法は、上記化合物(II)−無機塩混合物から上記無機塩を除去した後、上記有機溶媒(C)の溶液となっているので、更に、上記有機溶媒(C)を除去するための精製時乾燥を行うものであることが好ましい。
【0101】
上記有機溶媒(C)を除去する精製時乾燥の方法としては、上記有機溶媒(C)の種類及び上記乾燥を行う気圧と時間にもよるが、第1の精製方法で上述した乾燥条件で加熱する方法が挙げられ、必要に応じて、エバポレータ等を用いて減圧し留去する方法、又は、減圧しながら所望により加熱し留去する方法が採られる。
上記有機溶媒(C)を除去する精製時乾燥は、上述の化合物(II)−無機塩混合物から水を蒸発させる精製時乾燥と同様、25〜300℃で行うことが好ましい。
【0102】
本発明の製造方法において、化合物(II)を得たのち、上記化合物(III)を製造する。上記化合物(II)から上記化合物(III)を得る方法としては特に限定されないが、上記化合物(II)を塩素化することにより、下記一般式(V)
【0103】
【化20】
【0104】
(式中、Y1、Y2、n及びmは上記と同じである。)で表される含フッ素クロロスルフォニルアルキルビニルエーテル(以下、「化合物(V)」という。)を得て、次いでフッ素化することにより上記化合物(III)を得る方法が好ましい。
上記化合物(II)を塩素化して、上記化合物(V)を得る方法としては、例えば、上記化合物(II)と塩素化試薬とを反応させる方法等が挙げられる。
【0105】
上記塩素化試薬としては特に限定されず、例えば、PCl5、PCl3、SO2Cl等が挙げられ、PCl5が好ましい。
上記塩素化試薬としてPCl5を用いる場合、上記化合物(II)は、水の存在下ではPCl5が水と反応して塩酸ガスを発生させるおそれがあるので水はできるだけ存在させないことが好ましいが、本発明においては、上記化合物(II)が水吸収能のある親水基を有するので、塩素化を行う前において、上記化合物(II)の10質量%以下の水との混合物であってもよく、好ましい上限は、5質量%である。10質量%を超えると、水の存在下ではPCl5が水と反応して多量の塩酸ガスを発生させる。
【0106】
上記化合物(II)は、上述の精製で無機塩を除去した後の有機溶媒(C)を除去する精製時乾燥において、上記化合物(II)が熱的に不安定であるため、水を充分に除去することは容易でないが、上記範囲内であれば水が存在していてもよいので、効率よく安全に塩素化を行うことができる。
【0107】
塩素化試薬として用いるPCl5は、上記化合物(II)1モルに対し1当量以上用いることが好ましい。
PCl5は、下記反応式に例示するように、上記化合物(II)1モルに対し、少なくとも1当量必要である。
CF2=CFOCF2CF2SO3Na + PCl5 → CF2=CFOCF2CF2SO2Cl + POCl3 + NaCl
【0108】
塩素化試薬として用いるPCl5が上記化合物(II)1モルに対し1当量未満であると、上記化合物(II)の塩素化が充分に行われない場合がある。PCl5は、上記化合物(II)だけではなく上記化合物(II)と併存する水とも反応するので、上記化合物(II)と反応する当量に加えて、水と反応する分を余分に投入することが好ましい。上記範囲内であれば、より好ましい上限は、5当量である。
【0109】
上記化合物(II)及びPCl5は固体であるので、塩素化を行う際、上述の熱分解で所望により用いるような不活性溶媒を分散媒として用いてもよいが、分散媒を用いなくても塩素化を行うことができる。PCl5と上記化合物(II)と併存する水とが反応して生成するPOCl3が分散媒となるので、通常、他に分散媒を用いる必要はない。
【0110】
上記塩素化において、上記化合物(II)及びPCl5は固体であるので反応液は高粘度の状態となる。更に、PCl5が上記化合物(II)と併存する水と反応して塩酸ガスが発生するので、反応液が泡立ち、反応液の液面が上昇し(ホールドアップ)、更に、反応液が反応容器から溢れ出るおそれがある。これらを防ぐためには、上記化合物(II)を反応器に投入した後、塩酸ガスの発生状態を見ながら、PCl5を徐々に投入することが好ましい。また、PCl5を先に反応器に投入して、上記化合物(II)を徐々に投入することもできる。上記化合物(II)及びPCl5を、両方とも徐々に投入することがより好ましく、上記化合物(II)及びPCl5を交互に投入することが更に好ましい。
【0111】
上記塩素化において、上記化合物(II)及びPCl5の投入は、30〜60℃の温度で行うことが好ましい。30℃未満では、反応液が極めて高粘度になるので攪拌が困難になり、60℃を超えると塩酸ガスの発生が激しくなるおそれがある。
【0112】
上記化合物(II)及びPCl5をすべて投入した後は、40〜150℃に加熱して反応を行うことが好ましい。40℃未満であると、反応液が粘度を増し、攪拌ができなくなるおそれがある。150℃を超えると、生成した上記化合物(V)が分解するおそれがある。より好ましい上限は、130℃である。
【0113】
上記化合物(II)を塩素化することによって生成する上記化合物(V)は、反応を進めながら、蒸留して抜き出すことができる。上記化合物(V)を蒸留で抜き出す場合、PCl5が昇華して抜出管が閉塞するおそれがあるので、あらかじめ上記化合物(II)と併存する水分量を測定してPCl5の量を少なくしたり、減圧下で蒸留したりすることにより、PCl5の昇華を抑制することが好ましい。また、固体のPCl5を用いずとも、同一の反応器内でPCl5を生成すると同時に反応させることもできる。すなわち、反応器内に化合物(II)とPCl3を投入し、そこに塩素ガスを吹き込むことによっても化合物(V)を得ることができる。
【0114】
このようにして得られた化合物(V)は、次いでフッ素化することにより、上記化合物(III)が得られる。
上記化合物(V)を、フッ素化して上記化合物(III)を得る方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、スルホラン溶媒中で上記化合物(V)と、NaF、KF等のフッ素化試薬とを反応させる等の方法が挙げられる。上記フッ素化は、下記反応式に例示するように行われる。
CF2=CFOCF2CF2SO2Cl + NaF → CF2=CFOCF2CF2SO2F + NaCl
【0115】
上記化合物(II)から上記化合物(III)を得る方法としては、また、上記化合物(II)をフッ素化することにより得る方法であってもよい。
上記化合物(II)をフッ素化して上記化合物(III)を得る方法としては特に限定されず、例えば、上記化合物(II)にSF4、PF5等のフッ素化試薬を反応させる方法等が挙げられる。
【0116】
上記フッ素化試薬としてSF4を用いる場合、上記化合物(II)とSF4とを、−20〜200℃の温度で、6分間以上反応させることにより、上記化合物(III)を得ることができる。好ましい下限は0℃であり、好ましい上限は60℃である。SF4は、上記化合物(II)1当量に対し2モル以上用いることが好ましい。
上記フッ素化は、下記反応式に例示するように行われる。
CF2=CFOCF2CF2SO3Na + SF4 → CF2=CFOCF2CF2SO2F + SOF2 + NaF
【0117】
本発明の製造方法において、上述のように、化合物(III)は、化合物(II)に対して塩素化を行い、次いでフッ素化を施すことにより、又は、化合物(II)に対してフッ素化を施すことにより、得られるものである。
本発明の製造方法において、このようにして得られる化合物(III)は、上記一般式(III)におけるY1、Y2、n及びmが上記一般式(I)におけるものと同じものである。
【0118】
本発明の製造方法は、上述のように、化合物(I)を熱分解することにより、化合物(II)を得たのち、化合物(III)を製造することよりなるものであり、下記スキーム3に示す反応経路によるものであるので、上記化合物(III)を収率良く効率的に製造することができる。本発明の製造方法は、特に、上記一般式(I)におけるnが0である化合物(I)を用いても、上記化合物(III)を収率よく製造することができる。
【0119】
【化21】
【0120】
本発明の製造方法により得られた化合物(III)は、単量体として、化合物(III)と共重合性を有する単量体との共重合体を得るために好適に用いることができる。
上記化合物(III)と共重合性を有する単量体としては特に限定されず、例えば、エーテル酸素を有していてもよいその他のオレフィン等が挙げられ、上記その他のオレフィンとしては、例えば、TFE、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、エチレン等が挙げられ、また、上記化合物(III)以外のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)や末端にカルボキシル基やその塩、シアノ基、ハロゲン原子などを有する含フッ素ビニルエーテルであってもよい。なかでも、TFEが好ましい。上記化合物(III)と共重合性を有する単量体としては、1種又は2種以上を用いることができる。共重合する方法としては特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合等の方法を用いることができる。
【0121】
得られた共重合体は、加水分解することにより−SO2F基をスルフォン酸基に変換することができ、塩形成性の親水基を有することになるので、製膜して電解質膜として、イオン交換膜、隔膜等に好適に用いられ、イオン交換膜としては、例えば、食塩電解、化学センサー、分離膜、燃料電池等が挙げられる。なかでも燃料電池に用いる燃料電池用電解質膜が好ましい。
得られた共重合体は、また、粉体のまま高分子超強酸触媒としての利用や、リチウム電池等への利用も可能である。
【0122】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
1.1)6リットルのガラスライニング製耐圧オートクレイブに、サルファン(日曹金属化学社製)より新たに蒸留したSO32リットルを入れ、内部空間を純窒素ガスで置換パージ後、TFEを圧入したところ、直ちに発熱反応が開始したので、温度を40〜60℃に、圧力を0.1〜0.2MPaに調節しながら反応を継続し、40分後に生成物が5.2リットルまで増量し、TFEの吸収が起こらなくなったところで冷却して、反応を停止した。反応物は、無色透明の液体で、蒸留によりほぼ純粋のテトラフルオロエタンβ−サルトンであることがわかった。
【0123】
1.2)6リットルのガラスライニング製耐圧オートクレイブに300℃で十分乾燥したフッ化カリウム400gを入れ、直ちに窒素気流下に密封し、次いでジエチレングリコールジメチルエーテル1リットルを入れ、工程1.1)で得たテトラフルオロエタンβ−サルトン1リットルを徐々に滴下した。著しい発熱反応が起こり、遊離のKOCF2CF2SO2Fの生成も認められたが、ほぼ定量的にCOFCF2SO2Fへの異性化反応の完結したことが19F−NMRにより確認された。
【0124】
1.3)工程1.2)で用いたのと同じ反応器を用い、同条件で生成したCOFCF2SO2Fに25℃でHFPOガスを0.2MPaまで圧入すると、直ちに発熱反応が開始したので、20〜40℃に温度調節しながら0.1〜0.2MPaの圧力下で3時間反応を継続した。その後、圧力降下速度が小さくなったので反応を中断し、残存ガスを放出した。生成物の体積は27mlで、生成物は黄色上相と無色の下相からなり、蒸留によると、生成物の90体積%はHFPOの1付加体である下記化合物
COF(CF3)CFOCF2CF2SO2F
であり、わずかにCOFCF2SO2Fと2付加体の生成が認められた。
【0125】
1.4)工程1.3)で得た化合物を10℃で、8時間かけて20質量%水酸化ナトリウム水溶液でケン化及び中和処理して、定量的に含フッ素2−アルコキシプロピオン酸誘導体として下記化合物
NaOC(O)CF(CF3)OCF2CF2SO3Na
の36質量%水溶液を得た。
【0126】
1.5)上述の要領で得られたNaOC(O)CF(CF3)OCF2CF2SO3Na36質量%水溶液4kgを、350mm×450mmのバットに入れ80℃に保った熱風循環乾燥機に投入した。12時間後に表面が高粘度状態となったため、一旦バットをとりだし、25℃付近まで冷却した。表面が結晶化して不透明になってきたときに、へらでかき混ぜた。再び80℃の熱風循環乾燥機に投入し、24時間乾燥し、水分0.5質量%のNaOC(O)CF(CF3)OCF2CF2SO3Naの粉体を得た。上記粉体を、更に、120℃に保った熱風循環乾燥機に投入し12時間乾燥して、水分0.1質量%のNaOC(O)CF(CF3)OCF2CF2SO3Naの粉体を得た。
【0127】
1.6)攪拌器を備えた20リットルのガラス容器に、上述の要領で得られたNaOC(O)CF(CF3)OCF2CF2SO3Na6.4kgと、ジエチレングリコールジメチルエーテル6リットル(上記含フッ素2−アルコキシプロピオン酸誘導体100質量部に対し85質量部)とを投入した。マントルヒーターにて加熱を行ったところ、内温が100℃に達した時点からCO2が発生した。その後内温が140℃に達するまで徐々に昇温した。180分間加熱したところでCO2の発生が収まったので、加熱を終了した。
【0128】
1.7)反応終了後、内温を90℃まで下げ、2.0×103Paまで減圧してジエチレングリコームジメチルエーテル3リットルを留去した。得られた反応液に純水6リットルを入れて溶解させ、更にクロロホルム6リットルを入れて攪拌した。静置して液面が明確に分かれたところで下層部を抜き出した。クロロホルム投入、攪拌及び抜き出しの操作を7回繰り返し、得られた水溶液をバットに入れ、80℃に保った熱風循環乾燥機に12時間入れて、粉体を得た。得られた粉体を6リットルのアセトンに溶解させ、濾過を行った。濾液をロータリーエバポレーターで80℃で乾燥させ、CF2=CFOCF2CF2SO3Na5.2kgを得た。
【0129】
1.8)攪拌器を備えた10リットルのガラス容器を50℃に加温し、得られたCF2=CFOCF2CF2SO3Na4.6kgとPCl56.8kgとを少しずつ交互に投入した。投入中は塩酸ガスが激しく発生した。投入完了後、蒸留装置を取り付け、105℃前後の留分を抜き出した。得られた留分を3リットルの冷水中に滴下して、2相に分かれた液の下部を抜き出し、CF2=CFOCF2CF2SO2Clを3.3kg得た。
1.9)攪拌器と5段の精留塔を備えた5リットルのガラス容器に、得られたCF2=CFOCF2CF2SO2Clを3.3kg、スルホランを1.9kg、NaFを1.3kg導入し、加熱を行って75℃前後の留分を抜き出し、CF2=CFOCF2CF2SO2Fを2.8kg得た。含フッ素2−アルコキシプロピオン酸誘導体に対する収率は、58%であった。
【0130】
【発明の効果】
本発明の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法は、上述の構成を有するので、含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテルを収率良く効率的に製造することができる。
Claims (33)
- 下記一般式(I)
ことを特徴とする含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。 - 熱分解は、有機溶媒(A)の存在下に、70℃以上、170℃未満である温度で行われるものであり、
前記有機溶媒(A)は、M1のイオン又はM2のイオンに配位能を有するものであり、
前記有機溶媒(A)は、一般式(I)で表される含フッ素2−スルフォアルコキシプロピオン酸誘導体100質量部に対し10〜1000質量部である請求項1記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。 - 熱分解は、70℃以上、150℃未満である温度で行うものである請求項2記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 有機溶媒(A)は、一般式(I)で表される含フッ素2−スルフォアルコキシプロピオン酸誘導体100質量部に対し30〜300質量部である請求項2又は3記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 有機溶媒(A)は、非プロトン性の有機極性溶媒からなるものである請求項2、3又は4記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 非プロトン性の有機極性溶媒は、エーテル系溶媒、スルホラン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及び/又はテトラメチル尿素である請求項5記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- エーテル系溶媒は、グライム系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール及び/又はクラウンエーテルである請求項6記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- グライム系溶媒は、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及び/又はジエチレングリコールモノエチルエーテルである請求項7記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 非プロトン性の有機極性溶媒は、グライム系溶媒である請求項5記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 非プロトン性の有機極性溶媒は、ジエチレングリコールジメチルエーテルである請求項5記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- ジエチレングリコールジメチルエーテルは、含水率が250ppm以下のものである請求項10記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 一般式(I)で表される含フッ素2−スルフォアルコキシプロピオン酸誘導体は、乾燥したものである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 乾燥は、乾燥工程(1)の後、乾燥工程(2)を行うことにより行われるものであり、
前記乾燥工程(1)は、水分が0.3質量%を超え、10質量%以下である量になるまで90℃以下で行うものであり、
前記乾燥工程(2)は、水分が0.2質量%以下の量になるまで100℃以上で行うものである
請求項12記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。 - 乾燥工程(1)は、更に、機械的粉砕を行うものである請求項13記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 乾燥工程(1)は、更に、固体を析出させるために途中で降温するものである請求項13又は14記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 一般式(II)で表される含フッ素スルフォアルキルビニルエーテルは、精製したものである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 精製は、一般式(II)で表される含フッ素スルフォアルキルビニルエーテルと有機溶媒(A)と無機塩とからなる水溶液を有機溶媒(B)と混合して前記有機溶媒(A)を除去したのち、得られる混合物を有機溶媒(C)と混合して前記無機塩を濾別することより行われるものであり、
前記有機溶媒(B)は、25℃において等量の水と混合したときに2層に分離し、前記含フッ素スルフォアルキルビニルエーテルの溶解度が10質量%以下である有機溶媒であり、
前記有機溶媒(C)は、前記無機塩を溶解せず、前記含フッ素スルフォアルキルビニルエーテルを溶解する有機溶媒である請求項16記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。 - 有機溶媒(B)は、比誘電率が4〜10であるものである請求項17記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 有機溶媒(B)は、含ハロゲン炭化水素及び/又はエーテル類である請求項18記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 有機溶媒(B)は、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロペンタフルオロプロパン(フロンR225)又はジクロロモノフルオロエタン(フロンR141b)である請求項19記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 混合物は、精製時乾燥を行ったものである請求項17、18、19又は20記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 無機塩を濾別したのち、更に、精製時乾燥を行うものである請求項17、18、19、20又は21記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 精製時乾燥は、25〜200℃で行うものである請求項21又は22記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 無機塩は、フッ化ナトリウムである請求項17、18、19、20、21、22又は23記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 一般式(III)で表される含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテルは、一般式(II)で表される含フッ素スルフォアルキルビニルエーテルをフッ素化することにより得られるものである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 一般式(I)で表される含フッ素2−スルフォアルコキシプロピオン酸誘導体は、下記一般式(IV)
- 中和は、一般式(IV)で表される含フッ素2−フルオロスルフォニルアルコキシプロピオン酸フッ化物誘導体1モルに対し、アルカリ金属水酸化物を4当量以上用いて行うものである請求項26記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 一般式(III)で表される含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテルは、一般式(II)で表される含フッ素スルフォアルキルビニルエーテルを塩素化することにより、下記一般式(V)
- nは、0である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27又は28記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- X及びY2は、フッ素原子であり、mは、2であり、A1は、−OM1であり、A2は、−OM3であり、M1及びM3は、ナトリウム又はカリウムである請求項29記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテルは、単量体として、電解質膜を形成する共重合体を得るために用いられるものである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又は31記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
- 電解質膜は、燃料電池用電解質膜である請求項32記載の含フッ素フルオロスルフォニルアルキルビニルエーテル製造方法。
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