JP2006206515A - メチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記式(1)で表されるカルボン酸と、クロロスルホン酸と、三塩化ホスホリルとを反応させてメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体を製造する際に、三塩化ホスホリルのカルボン酸に対する仕込みモル比を3.0〜6.0とする。
R1CH2COOH (1)
Description
該三塩化ホスホリルのカルボン酸に対する仕込みモル比を3.0〜6.0とすることを特徴とするメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体の製造方法に関する。
(但し、上記式(1)において、R1は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO2X1(X1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及びハロゲン原子、から選ばれる原子または基を示す。)
また、本発明は、前記カルボン酸が、酢酸、プロピオン酸、酪酸及びイソ酪酸からなる群から選択された少なくとも一種のカルボン酸であることが好ましい。
R1としては、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO2X1(X1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及びハロゲン原子などを用いることができる。また、R1は分岐していても、直鎖状であっても良い。
本願発明の製造方法ではまず、原料の混合を行う。原料の混合は最初に塩素化合物である三塩化ホスホリルとクロロスルホン酸の混合を行う。混合方法は特に限定されないが、他の原料に対して三塩化ホスホリルの仕込み量が多いため、あらかじめ準備した三塩化ホスホリル中にクロロスルホン酸を徐々に添加していくのが良い。クロロスルホン酸の添加速度は特に限定されない。また、この混合中の混合液の温度は5〜50℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。混合液の温度がこれらの範囲内にあることによって、有害な副反応を防止できるとともに、原料の混合を均一に行うことができる。
上記製造方法によって製造したメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体から更に公知の方法によって、鎖状のジスルホン酸エステルを合成することができる。鎖状のジスルホン酸エステルの合成方法としては例えば、下記5式の反応を挙げることができる。
ここで、カルボン酸として酢酸、プロピオン酸、酪酸及びイソ酪酸を用いた場合、それぞれ下記式で表されるジスルホン酸エステルを得ることができる。また、この反応時に添加剤としてトリメチルアミンを用いることができる。また、これらの反応時の溶媒としてはジメトキシメタン、THF(テトラヒドロフラン)などを用いることができる。
環式ジスルホン酸エステルは、メチレンジスルホニルクロライド誘導体等から例えば特許文献2の方法によって合成することができる。この反応としては例えば、下記式(7)、(8A)、(8B)で表される反応を例示することができる。
(ジスルホン酸エステルの効果)
従来から、二次電池に用いられている電解液では、初期使用時には電極表面にデントライトの抑制効果が一定程度得られるものの、繰り返し使用していると、表面膜が劣化して保護膜としての機能が低下する場合があった。これは、例えば、正極活物質としてリチウム含有複合酸化物を用いた場合、使用に伴い正極活物質の層はリチウムを吸蔵・放出することにより体積変化する一方、その表面上に形成された皮膜は体積変化がほとんどないため、これらの層およびこれらの界面に内部応力が発生することが原因と考えられる。このような内部応力が発生することにより表面膜の一部が破損し、デンドライトの抑制機能が低下するものと考えられる。この結果、電解液の分解が起こり、高放電容量及び優れたサイクル特性を保つことが困難であった。そこで、上記の製造方法により製造した鎖状又は環式ジスルホン酸エステル、又はこれらの混合物を電解液中に添加することにより、電極(正極・負極)表面に安定した皮膜を形成し電解液成分の分解を防止することができるものである。また、その結果、このような電解液を使用した二次電池は、サイクル特性や充放電効率更には保存特性(抵抗上昇の抑制)に優れたものとすることができる。
機械的攪拌機付のパイレックス製ガラス容器に乾燥窒素ガスで置換後、乾燥窒素ガスを流しながら三塩化ホスホリル100.0g(0.652モル)を仕込み氷浴で10℃まで冷却した。これにクロロスルホン酸38.0g(0.326モル)を一度に加えた(この際、内温は40℃まで上昇した)。冷却した後、内温を20℃以下に保ちながら酢酸9.8g(0.163モル)を10分かけて滴下した。これをオイルバスに設置し加熱しながら4時間かけて110℃まで昇温した。更に110℃で1時間保持後、オイルバスをはずし攪拌をとめ、乾燥窒素ガス気流下で一晩放置し室温まで放冷冷却した。オイルバスを用い1時間かけて140℃まで加熱後、140℃で4時間保持した(沈殿は生成しなかった)。加熱をやめ室温に戻した。反応系を常圧下加熱し蒸留して三塩化ホスホリルを除去後、減圧蒸留を行った。初留を除去後、メチレンジスルホニルクロライドを120℃〜135℃/12mmHg(1600Pa)留分を集めた。収量20.1g(収率57%)。結果を表1に示す。
実施例1において、三塩化ホスホリルの仕込み量を変えることにより、三塩化ホスホリルと酢酸の仕込みモル比を変えた以外は全く同様にして合成実験を行った。条件と結果を表1にまとめた。
機械的攪拌機付のパイレックス製ガラス容器に乾燥窒素ガスで置換後、乾燥窒素ガスを流しながら三塩化ホスホリル100.0g(0.652モル)を仕込み氷浴で10℃まで冷却した。これにクロロスルホン酸38.0g(0.326モル)を一度に加えた(この際、内温は40℃まで上昇した)。冷却した後、内温を20℃以下に保ちながらプロピオン酸12.1g(0.164モル)を10分かけて滴下した。これをオイルバスに設置し加熱しながら4時間かけて110℃まで昇温した。更に110℃で1時間保持後、オイルバスをはずし攪拌をとめ、乾燥窒素ガス気流下で一晩放置し室温まで放冷冷却した。オイルバスを用い1時間かけて140℃まで加熱後、140℃で4時間保持した(沈殿は生成しなかった)。加熱をやめ室温に戻した。反応系を常圧下加熱し蒸留して三塩化ホスホリルを除去後、減圧蒸留を行い、初留を除去後、エタン−1,1−ジスルホニルクロリドを135℃〜143℃/15〜18mmHg(2000〜2400Pa)留分を集めた。収量18.9g(収率51%)。結果を表1に示す。
実施例1において、三塩化ホスホリルと酢酸の仕込みモル比を2として合成実験を行った。機械的攪拌機付のパイレックス製ガラス容器に乾燥窒素ガスで置換後、乾燥窒素ガスを流しながら三塩化ホスホリル100.0g(0.652モル)を仕込み氷浴で10℃まで冷却した。これにクロロスルホン酸38.0g(0.326モル)を一度に加えた(この際、内温は40℃まで上昇した)。冷却した後、内温を20℃以下に保ちながら酢酸19.6g(0.327モル)を10分かけて滴下した。これをオイルバスに設置し加熱しながら4時間かけて110℃まで昇温した。更に110℃で1時間保持後、オイルバスをはずし攪拌をとめ、乾燥窒素ガス気流下で一晩放置し室温まで放冷冷却した。オイルバスを用い1時間かけて攪拌しながら140℃まで加熱後、140℃で15分間保持したところで沈殿物の発生を黙視で確認した。さらに反応を続けたところ、沈殿が系内に多量に生成したため攪拌が不可能になると共に、反応残渣からの直接の蒸留精製操作が行えず、目的物を単離することができなかった。条件と結果を表1に示す。
三塩化ホスホリルの仕込み量を変えることにより、三塩化ホスホリルの酢酸に対する仕込みモル比を2.5にすること以外は、比較例1と同様の実験を行った。この結果、比較例1と同様の結果となった。具体的な結果を表1に示す。
三塩化ホスホリルの仕込み量を変えることにより、三塩化ホスホリルの酢酸に対する仕込みモル比を2.9にすること以外は、比較例1と同様の実験を行った。この結果、比較例1と同様の結果となった。具体的な結果を表1に示す。
三塩化ホスホリルの仕込み量を変えることにより、三塩化ホスホリルの酢酸に対する仕込みモル比を6.5にすること以外は、比較例1と同様の実験を行った。具体的な結果を表1に示す。
比較例1において140℃で15分間、保持したところで反応を中止した。反応系を常圧下、加熱、蒸留して三塩化ホスホリルを除去後、減圧蒸留を行い、初留を除去後、120℃〜135℃/12mmHg(1600Pa)留分を集めた。収量は8.1g(収率23%)であった。結果を表1に示す。
実施例6において、三塩化ホスホリルの仕込み量を変えることにより、三塩化ホスホリルのプロピオン酸に対する仕込みモル比を2として合成実験を行った。機械的攪拌機付のパイレックス製ガラス容器に乾燥窒素ガスで置換後、乾燥窒素ガスを流しながら三塩化ホスホリル100.0g(0.652モル)を仕込み氷浴で10℃まで冷却した。これにクロロスルホン酸38.0g(0.326モル)を一度に加えた(この際、内温は40℃まで上昇した)。冷却した後、内温を20℃以下に保ちながらプロピオン酸24.1g(0.326モル)を10分かけて滴下した。これをオイルバスに設置し加熱しながら4時間かけて110℃まで昇温した。更に110℃で1時間保持後、オイルバスをはずし攪拌をとめ、乾燥窒素ガス気流下で一晩放置し室温に放冷冷却した。オイルバスを用い1時間かけて攪拌しながら140℃まで加熱後、140℃で25分間保持したところで沈殿物の発生を黙視で確認した。さらに反応を続けたところ、沈殿が系内に多量に生成したため攪拌が不可能になると共に、反応残渣からの直接の蒸留精製操作が行えず、目的物を単離することができなかった。条件と結果を表1に示す。
比較例6において140℃で25分間、保持したところで反応を中止した。反応系を常圧下、加熱、蒸留して三塩化ホスホリルを除去後、減圧蒸留を行い、初留を除去後、120℃〜135℃/12mmHg(1600Pa)留分を集めた。収量は7.8g(収率22%)であった。結果を表1に示す。
Claims (2)
- 下記式(1)で表されるカルボン酸と、クロロスルホン酸と、三塩化ホスホリルとを反応させてメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体を製造する方法であって、
該三塩化ホスホリルのカルボン酸に対する仕込みモル比を3.0〜6.0とすることを特徴とするメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体の製造方法。
R1CH2COOH (1)
(但し、上記式(1)において、R1は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO2X1(X1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及びハロゲン原子、から選ばれる原子または基を示す。) - 前記カルボン酸が、酢酸、プロピオン酸、酪酸及びイソ酪酸からなる群から選択された少なくとも一種のカルボン酸であることを特徴とする請求項1に記載のメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体の製造方法。
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