JP2006206515A - メチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体の製造方法 - Google Patents

メチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高収率で安定的にメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体が得られる製造方法を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表されるカルボン酸と、クロロスルホン酸と、三塩化ホスホリルとを反応させてメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体を製造する際に、三塩化ホスホリルのカルボン酸に対する仕込みモル比を3.0〜6.0とする。
1CH2COOH (1)

Description

本発明は、二次電池用電解液の添加剤として有用なジスルホン酸エステルを合成するための、有用な中間化合物であるメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体の合成方法に関するものである。
従来から、ジスルホン酸エステルは二次電池用電解液の添加剤として有用であり、これらの添加剤を電解液中に添加することにより、電極上に安定した皮膜を形成して電解液の分解を抑制し、二次電池の長期保存特性および充放電サイクル特性の向上に顕著な効果を有することが知られている。このジスルホン酸エステルとして、鎖状のジスルホン酸が知られている。また、特許文献1にはスルホニル基を2個有する環式スルホン酸エステル(環式ジスルホン酸エステル)が開示されている。
これらのジスルホン酸エステルを合成する有用な方法としてメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体を中間体として用いる方法がある。このメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体からジスルホン酸エステルを得る反応は、アルコールによるメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体中の塩素の置換反応であり、反応の選択率が高く、高い収率でジスルホン酸エステルを得ることができるという利点を有している。特許文献2には、このメチレンジスルホニルクロライド誘導体から環式ジスルホン酸エステルを得るための方法が開示されている。
特開2004−281368号公報 特公平5−44946号公報
しかしながら、これまではメチレンジスルホニルクロライド誘導体等を安定的に高収率で得るための製造方法は十分に検討されていなかった。特に、メチレンジスルホニルクロライド誘導体等を製造する際に、メチレン系の物質などを原料として使用すると反応途中で重合性の物質が生じるため、これらの物質が重合反応を起こし重合生成物の沈殿が生じる場合があった。この結果、この沈殿物に起因する原料の攪拌不良や装置の目詰まりなどが起こり、安定的に高収率でメチレンジスルホニルクロライド誘導体等を得ることが困難な場合があった。また、特に、この傾向は製造工程をスケールアップした場合に顕著であった。
そこで、本発明者はメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体の製造方法および条件について鋭意検討した結果、工程途中で沈殿物が生じず、安定的に高収率でメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体が得られる製造方法および条件を発見した。
すなわち、本発明は原料として特定のカルボン酸、クロロスルホン酸および三塩化ホスホリルを用い、この際に三塩化ホスホリルのカルボン酸に対する仕込みモル比を3.0〜6.0とすることによって製造途中の不均一沈殿物の生成等を防止し、高収率で安定的にメチレンジスルホニルクロライド誘導体等が得られる製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるカルボン酸と、クロロスルホン酸と、三塩化ホスホリルとを反応させてメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体を製造する方法であって、
該三塩化ホスホリルのカルボン酸に対する仕込みモル比を3.0〜6.0とすることを特徴とするメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体の製造方法に関する。
1CH2COOH (1)
(但し、上記式(1)において、R1は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO21(X1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及びハロゲン原子、から選ばれる原子または基を示す。)
また、本発明は、前記カルボン酸が、酢酸、プロピオン酸、酪酸及びイソ酪酸からなる群から選択された少なくとも一種のカルボン酸であることが好ましい。
本発明では特定のカルボン酸、クロロスルホン酸および三塩化ホスホリルを原料に用い、三塩化ホスホリルのカルボン酸に対する仕込みモル比を3.0〜6.0とすることによって製造途中の不均一沈殿物の生成等を防止し、高収率で安定的にメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体を得ることができる。また、工業的な規模での生産が可能となる。
本発明の製造方法は、特定のカルボン酸、クロロスルホン酸および三塩化ホスホリル(POCl3)からメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体を製造するものである。これは下記式2で表される。
Figure 2006206515
また、三塩化ホスホリルのカルボン酸に対する仕込みモル比(混合した三塩化ホスホリル/カルボン酸の比率)を3.0〜6.0にする必要がある。このように仕込みモル比を限定することにより、上記反応に伴い生成するヒドロキシジクロロリン酸(Cl2P(O)OH)の重合反応およびこれに伴う沈殿物の発生を防止することができる。
すなわち、仕込みモル比を3.0〜6.0にすることにより、下記式3で表されるように式2で生成するヒドロキシジクロロリン酸が過剰の三塩化ホスホリルと優先的に反応し、可溶性のリン酸ダイマーを生成し、不溶性沈殿物の生成を抑制するためと考えられる。
Figure 2006206515
これに対して、仕込みモル比が3.0未満のときは不溶性沈殿物が反応系内に多量に生成する。これは、仕込みモル比が3.0以上の場合と比べて、三塩化ホスホリルに対するヒドロキシジクロロリン酸の割合が高くなるため、下記式4で表されるようなヒドロキシジクロロリン酸の重合反応が起こることによるものと考えられる。この結果、原料の混合攪拌を均一に行うことができず、原料混合液内に不均一な濃度分布が起こり、メチレンジスルホニルクロライド誘導体等の収率が大幅に低下してしまう。
Figure 2006206515
一方、仕込みモル比が6.0を超える場合もメチレンジスルホニルクロライド誘導体の収率が大幅に低下してしまう。これは、反応系中に多量の三塩化ホスホリルが存在することとなり原料混合液の性状が変化したり、有害な副反応が起こってしまうためと考えられる。また、この場合、多量の三塩化ホスホリルを必要とすることとなり原料コストが高くなってしまう。
仕込みモル比は3.0〜4.0がより好ましく、3.5〜4.0が更に好ましい。仕込みモル比がこれらの範囲内にあることによって、原料混合液の粘度を増加させずに、効果的に所望の反応を行わせることができ、より高い収率でメチレンジスルホニルクロライド誘導体等を製造することができる。
また、クロロスルホン酸のカルボン酸に対する仕込みモル比(クロロスルホン酸/カルボン酸)は2〜3であることが好ましく、2〜2.2であることがより好ましい。仕込みモル比がこれらの範囲内にあることによって、原料の反応を効果的に行わせ高生産性、高収率でメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体を製造することができる。
カルボン酸としては、下記式(1)で表されるものであれば特に限定されるわけではない。
1CH2COOH (1)
1としては、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO21(X1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及びハロゲン原子などを用いることができる。また、R1は分岐していても、直鎖状であっても良い。
なお、本明細書において、「ポリフルオロアルキル基」、「ポリフルオロアルコキシ基」はそれぞれ対応するアルキル基、アルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子が全てフッ素原子により置換されたものを表し、「フルオロアルキル基」、「フルオロアルコキシ基」はそれぞれ対応するアルキル基、アルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部がフッ素原子により置換されたものを表す。また、「置換フルオロアルキル基」、「置換フルオロアルコキシ基」における「置換」とは炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1つがフッ素以外の原子又は官能基に置換されていることを表す。
カルボン酸は酢酸、プロピオン酸、酪酸及びイソ酪酸であることが好ましい。これらのカルボン酸を使用することによって、高生産性、高収率でメチレンジスルホニルクロライド誘導体等を得ることができる。
(製造方法)
本願発明の製造方法ではまず、原料の混合を行う。原料の混合は最初に塩素化合物である三塩化ホスホリルとクロロスルホン酸の混合を行う。混合方法は特に限定されないが、他の原料に対して三塩化ホスホリルの仕込み量が多いため、あらかじめ準備した三塩化ホスホリル中にクロロスルホン酸を徐々に添加していくのが良い。クロロスルホン酸の添加速度は特に限定されない。また、この混合中の混合液の温度は5〜50℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。混合液の温度がこれらの範囲内にあることによって、有害な副反応を防止できるとともに、原料の混合を均一に行うことができる。
次に、上記混合液にカルボン酸を添加して式2の反応を行わせる。カルボン酸の添加速度は自由に設定でき、一度に添加しても所定時間をかけて滴下しても良い。好ましくは10分から1時間をかけて添加するのが良い。添加時間をこれらの範囲内に設定することにより、原料のより均一な混合が可能となる。
このカルボン酸添加時の温度は5〜30℃が好ましく、10〜20℃がより好ましい。温度をこれらの範囲内に設定することによって、原料溶液の粘度を適度な範囲に設定し原料を均一に混合することができる。
原料の混合、反応には攪拌装置を用いることが好ましい。攪拌装置としては特に限定されないが、攪拌翼としてファウドラー翼、インペラー翼、アンカラー翼などを用いることができる。
上記原料の混合後、混合液を加熱して上記式2で表される反応を行わせる。反応時の温度は40〜150℃が好ましく、50〜140℃がより好ましい。反応温度がこれらの範囲よりも低すぎると原料の反応に時間がかかり、生産性が低下する。一方、反応温度がこれらの範囲よりも高すぎると式2の反応以外の副反応が起こってしまい、収率が下がってしまう場合がある。
また、混合液を加熱して反応を行わせる時間は8〜11時間が好ましく、9〜10時間がより好ましい。また、途中で加熱を一時、中断して再加熱を行っても良い。これらの時間、加熱を行うことにより効果的に目的の反応を行わせることができる。
上記反応が完了してメチレンジスルホニルクロライド誘導体等が生成すると、次に蒸留を行って精製する。蒸留時の温度は特に限定されないが、減圧を行う程度によって適宜、設定できる。
(鎖状のジスルホン酸エステル)
上記製造方法によって製造したメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体から更に公知の方法によって、鎖状のジスルホン酸エステルを合成することができる。鎖状のジスルホン酸エステルの合成方法としては例えば、下記5式の反応を挙げることができる。
Figure 2006206515
なお、R2OHとR3OHは同じであっても、異なるものであっても良い。このようにして得られた鎖状スルホン酸エステルとしては、下記式のものを挙げることができる。
Figure 2006206515
(但し、上記一般式(5)、(6)において、鎖状ジスルホン酸エステルのR1は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO21(X1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及びハロゲン原子、から選ばれる原子または基を示す。−OR2および−OR3は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェノキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基、炭素数1〜5のポリフルオロアルコキシ基、から選ばれる原子または基を示す。)
ここで、カルボン酸として酢酸、プロピオン酸、酪酸及びイソ酪酸を用いた場合、それぞれ下記式で表されるジスルホン酸エステルを得ることができる。また、この反応時に添加剤としてトリメチルアミンを用いることができる。また、これらの反応時の溶媒としてはジメトキシメタン、THF(テトラヒドロフラン)などを用いることができる。
Figure 2006206515
Figure 2006206515
Figure 2006206515
(環式ジスルホン酸エステル)
環式ジスルホン酸エステルは、メチレンジスルホニルクロライド誘導体等から例えば特許文献2の方法によって合成することができる。この反応としては例えば、下記式(7)、(8A)、(8B)で表される反応を例示することができる。
Figure 2006206515
Figure 2006206515
なお、上記(7)式中の塩基としては、脂肪族または芳香族第3級アミン化合物を用いることができる。
環式ジスルホン酸エステルは、上記の方法やその他の公知の方法によって製造することができ、具体的には下記(9)式のものを挙げることができる。
Figure 2006206515
(ただし、上記一般式(9)において、Aは置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキレン基、カルボニル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のフルオロアルキレン基、エーテル結合を介してアルキレン単位またはフルオロアルキレン単位結合した炭素数2〜6の2価の基を示す。上記一般式(7)、(8A)、(8B)、(9)式において、R1は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO21(X1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及びハロゲン原子、から選ばれる原子または基を示す。)
(ジスルホン酸エステルの効果)
従来から、二次電池に用いられている電解液では、初期使用時には電極表面にデントライトの抑制効果が一定程度得られるものの、繰り返し使用していると、表面膜が劣化して保護膜としての機能が低下する場合があった。これは、例えば、正極活物質としてリチウム含有複合酸化物を用いた場合、使用に伴い正極活物質の層はリチウムを吸蔵・放出することにより体積変化する一方、その表面上に形成された皮膜は体積変化がほとんどないため、これらの層およびこれらの界面に内部応力が発生することが原因と考えられる。このような内部応力が発生することにより表面膜の一部が破損し、デンドライトの抑制機能が低下するものと考えられる。この結果、電解液の分解が起こり、高放電容量及び優れたサイクル特性を保つことが困難であった。そこで、上記の製造方法により製造した鎖状又は環式ジスルホン酸エステル、又はこれらの混合物を電解液中に添加することにより、電極(正極・負極)表面に安定した皮膜を形成し電解液成分の分解を防止することができるものである。また、その結果、このような電解液を使用した二次電池は、サイクル特性や充放電効率更には保存特性(抵抗上昇の抑制)に優れたものとすることができる。
(実施例1)
機械的攪拌機付のパイレックス製ガラス容器に乾燥窒素ガスで置換後、乾燥窒素ガスを流しながら三塩化ホスホリル100.0g(0.652モル)を仕込み氷浴で10℃まで冷却した。これにクロロスルホン酸38.0g(0.326モル)を一度に加えた(この際、内温は40℃まで上昇した)。冷却した後、内温を20℃以下に保ちながら酢酸9.8g(0.163モル)を10分かけて滴下した。これをオイルバスに設置し加熱しながら4時間かけて110℃まで昇温した。更に110℃で1時間保持後、オイルバスをはずし攪拌をとめ、乾燥窒素ガス気流下で一晩放置し室温まで放冷冷却した。オイルバスを用い1時間かけて140℃まで加熱後、140℃で4時間保持した(沈殿は生成しなかった)。加熱をやめ室温に戻した。反応系を常圧下加熱し蒸留して三塩化ホスホリルを除去後、減圧蒸留を行った。初留を除去後、メチレンジスルホニルクロライドを120℃〜135℃/12mmHg(1600Pa)留分を集めた。収量20.1g(収率57%)。結果を表1に示す。
(実施例2〜4)
実施例1において、三塩化ホスホリルの仕込み量を変えることにより、三塩化ホスホリルと酢酸の仕込みモル比を変えた以外は全く同様にして合成実験を行った。条件と結果を表1にまとめた。
(実施例5)
機械的攪拌機付のパイレックス製ガラス容器に乾燥窒素ガスで置換後、乾燥窒素ガスを流しながら三塩化ホスホリル100.0g(0.652モル)を仕込み氷浴で10℃まで冷却した。これにクロロスルホン酸38.0g(0.326モル)を一度に加えた(この際、内温は40℃まで上昇した)。冷却した後、内温を20℃以下に保ちながらプロピオン酸12.1g(0.164モル)を10分かけて滴下した。これをオイルバスに設置し加熱しながら4時間かけて110℃まで昇温した。更に110℃で1時間保持後、オイルバスをはずし攪拌をとめ、乾燥窒素ガス気流下で一晩放置し室温まで放冷冷却した。オイルバスを用い1時間かけて140℃まで加熱後、140℃で4時間保持した(沈殿は生成しなかった)。加熱をやめ室温に戻した。反応系を常圧下加熱し蒸留して三塩化ホスホリルを除去後、減圧蒸留を行い、初留を除去後、エタン−1,1−ジスルホニルクロリドを135℃〜143℃/15〜18mmHg(2000〜2400Pa)留分を集めた。収量18.9g(収率51%)。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、三塩化ホスホリルと酢酸の仕込みモル比を2として合成実験を行った。機械的攪拌機付のパイレックス製ガラス容器に乾燥窒素ガスで置換後、乾燥窒素ガスを流しながら三塩化ホスホリル100.0g(0.652モル)を仕込み氷浴で10℃まで冷却した。これにクロロスルホン酸38.0g(0.326モル)を一度に加えた(この際、内温は40℃まで上昇した)。冷却した後、内温を20℃以下に保ちながら酢酸19.6g(0.327モル)を10分かけて滴下した。これをオイルバスに設置し加熱しながら4時間かけて110℃まで昇温した。更に110℃で1時間保持後、オイルバスをはずし攪拌をとめ、乾燥窒素ガス気流下で一晩放置し室温まで放冷冷却した。オイルバスを用い1時間かけて攪拌しながら140℃まで加熱後、140℃で15分間保持したところで沈殿物の発生を黙視で確認した。さらに反応を続けたところ、沈殿が系内に多量に生成したため攪拌が不可能になると共に、反応残渣からの直接の蒸留精製操作が行えず、目的物を単離することができなかった。条件と結果を表1に示す。
(比較例2)
三塩化ホスホリルの仕込み量を変えることにより、三塩化ホスホリルの酢酸に対する仕込みモル比を2.5にすること以外は、比較例1と同様の実験を行った。この結果、比較例1と同様の結果となった。具体的な結果を表1に示す。
(比較例3)
三塩化ホスホリルの仕込み量を変えることにより、三塩化ホスホリルの酢酸に対する仕込みモル比を2.9にすること以外は、比較例1と同様の実験を行った。この結果、比較例1と同様の結果となった。具体的な結果を表1に示す。
(比較例4)
三塩化ホスホリルの仕込み量を変えることにより、三塩化ホスホリルの酢酸に対する仕込みモル比を6.5にすること以外は、比較例1と同様の実験を行った。具体的な結果を表1に示す。
(比較例5)
比較例1において140℃で15分間、保持したところで反応を中止した。反応系を常圧下、加熱、蒸留して三塩化ホスホリルを除去後、減圧蒸留を行い、初留を除去後、120℃〜135℃/12mmHg(1600Pa)留分を集めた。収量は8.1g(収率23%)であった。結果を表1に示す。
(比較例6)
実施例6において、三塩化ホスホリルの仕込み量を変えることにより、三塩化ホスホリルのプロピオン酸に対する仕込みモル比を2として合成実験を行った。機械的攪拌機付のパイレックス製ガラス容器に乾燥窒素ガスで置換後、乾燥窒素ガスを流しながら三塩化ホスホリル100.0g(0.652モル)を仕込み氷浴で10℃まで冷却した。これにクロロスルホン酸38.0g(0.326モル)を一度に加えた(この際、内温は40℃まで上昇した)。冷却した後、内温を20℃以下に保ちながらプロピオン酸24.1g(0.326モル)を10分かけて滴下した。これをオイルバスに設置し加熱しながら4時間かけて110℃まで昇温した。更に110℃で1時間保持後、オイルバスをはずし攪拌をとめ、乾燥窒素ガス気流下で一晩放置し室温に放冷冷却した。オイルバスを用い1時間かけて攪拌しながら140℃まで加熱後、140℃で25分間保持したところで沈殿物の発生を黙視で確認した。さらに反応を続けたところ、沈殿が系内に多量に生成したため攪拌が不可能になると共に、反応残渣からの直接の蒸留精製操作が行えず、目的物を単離することができなかった。条件と結果を表1に示す。
(比較例7)
比較例6において140℃で25分間、保持したところで反応を中止した。反応系を常圧下、加熱、蒸留して三塩化ホスホリルを除去後、減圧蒸留を行い、初留を除去後、120℃〜135℃/12mmHg(1600Pa)留分を集めた。収量は7.8g(収率22%)であった。結果を表1に示す。
Figure 2006206515
表1に示した結果から、実施例1〜6に示す通り、三塩化ホスホリルのカルボン酸に対する仕込みモル比を3.0〜6.0にすることにより、系内の沈殿の生成が抑制され、且つメチレンジスルホニルクロライド誘導体の反応収率を50%以上に達成できることが分かった。特に、三塩化ホスホリルのカルボン酸に対する仕込みモル比を3.0〜4.0とすることにより55%以上の高い収率を得ることができ、3.5〜4.0とすることにより更に高い収率を得ることができることが分かった。また、機械的攪拌が可能になると共に、反応残渣を直接に蒸留生成処理に供することが可能となるため、製造操作が極めて容易になった。

Claims (2)

  1. 下記式(1)で表されるカルボン酸と、クロロスルホン酸と、三塩化ホスホリルとを反応させてメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体を製造する方法であって、
    該三塩化ホスホリルのカルボン酸に対する仕込みモル比を3.0〜6.0とすることを特徴とするメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体の製造方法。
    1CH2COOH (1)
    (但し、上記式(1)において、R1は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO21(X1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及びハロゲン原子、から選ばれる原子または基を示す。)
  2. 前記カルボン酸が、酢酸、プロピオン酸、酪酸及びイソ酪酸からなる群から選択された少なくとも一種のカルボン酸であることを特徴とする請求項1に記載のメチレンジスルホニルクロライド及びその誘導体の製造方法。
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