JP5856916B2 - 低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩 - Google Patents

低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩 Download PDF

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Description

本発明は、含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩に関する。より詳しくは、難燃剤、電解質塩等の広範な用途で有用な低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩に関する。
リン酸エステルアンモニウム塩は、リン原子に由来する難燃性、リン酸塩部位の極性とエステル部位の脂溶性に由来する界面活性機能を有しており、各種樹脂の難燃剤や潤滑油用添加剤、帯電防止剤、離型剤等として利用される極めて有用な化合物である。
特に難燃剤用途に関して、リン酸エステルアンモニウム塩は塩構造故に不揮発性の特徴を有している。近年、リン酸エステル等の有機リン系難燃剤の使用量が増大するにつれ、揮発性を有するリン酸エスエルによる室内空気汚染の問題が顕在化しつつある(非特許文献1等)。このためリン酸エステルアンモニウム塩は、揮発性のない環境配慮型の難燃剤として注目されている(特許文献1〜3等)。
一方、リン酸エステルアンモニウム塩は、その難燃化性能自体は塩構造でないリン酸エステルと比較して必ずしも十分でない場合があり、特許文献2または特許文献3のように他の難燃剤と組み合わせて使用される場合が多い。
これに対し、エステル側鎖にフッ素原子を有する含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩が知られている。含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩は、フッ素原子の効果によりリン酸エステルアンモニウム塩の難燃性を改善できる可能性を有する。その一方、含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩は、材料との相溶性に問題を生じたり、あるいは材料の物性に影響を与え易い等の課題がある。このため含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩は、主として撥油性を利用した防汚剤用途(特許文献4、5)や離型剤用途(特許文献6、7)として設計され検討がなされている。即ち、その構造としては、エステル側鎖である含フッ素アルキル基の炭素数が6〜12のものが検討の中心となっている。
従って、難燃剤や電解質塩等の広範な用途に利用可能な低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩ついては、これまで見出されていない。
特開2007−63238号公報 特開2001−288309号公報 特開2011−68717号公報 特開2002−88646号公報 特開2003−105319号公報 特開平5−194560号公報 特開2010−18038号公報
Atmospheric Environment 41(15),3235(2007)
本発明はこれらの課題に鑑みてなされたものである。即ち、不揮発性且つ高い難燃性を有し、材料の物性への影響が小さく、難燃剤、電解質塩等の広範な用途で利用可能な含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩を提供することを目的とする。
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定構造を有する低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩が、不揮発性且つ高い難燃化性能を示し、材料の物性への影響が小さく、難燃剤、電解質塩等の広範な用途において有用であることを見出し本発明を完成させたものである。即ち、本発明は下記の要旨に係わるものである。
1.下記一般式(1)
(式中、Rf及びRfは、同一または非同一であり、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基または含フッ素アルキル基を表す。但し、Rf及びRfのいずれか一方は含フッ素アルキル基である。Aは、アンモニウム化合物、イミダゾリウム化合物及びピリジニウム化合物からなる群から選ばれる1種を表す。)
で表される低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩。
2.下記一般式(2)
(式中、Aは、アンモニウム化合物、イミダゾリウム化合物及びピリジニウム化合物からなる群から選ばれる1種を表す。)
で表される1項記載の低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩。
本発明によれば、不揮発性且つ高い難燃性を有し、材料の物性への影響が小さく、難燃剤、電解質塩等の広範な用途にて有用な低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩が提供される。
本発明の低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩は、前記一般式(1)で表される。即ち、アニオン部位は、含フッ素リン酸ジエステルであり、そのエステル側鎖であるRf及びRfは、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基または含フッ素アルキル基を表し、Rf及びRfのいずれか一方は含フッ素アルキル基である。含フッ素リン酸ジエステル部位の構造をこのような特定構造とすることにより、高い難燃性と良好な材料物性を得ることができる。また、このような構造を有する含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩は、各種用途で使用する際にしばしば問題となる加水分解耐性に関しても十分な性能を有する。
一般式(1)において、Rf及びRfとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基等を挙げることができる。これらのうち、特に2,2,2−トリフルオロエチル基が、難燃性及び材料物性への影響の面で好ましい。
カチオン部位であるAは、アンモニウム化合物、イミダゾリウム化合物及びピリジニウム化合物からなる群から選ばれる1種を表す。アンモニウム化合物としては、例えば、アンモニウム(NH )、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、n−プロピルアンモニウム、ジn−プロピルアンモニウム、トリn−プロピルアンモニウム、テトラn−プロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、トリイソプロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、n−ブチルアンモニウム、ジn−ブチルアンモニウム、トリn−ブチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、トリn−ヘキシルアンモニウム、トリn−オクチルアンモニウム、トリn−デシルアンモニウム、トリメチルn−ブチルアンモニウム、トリメチルn−ドデシルアンモニウム、ジイソプロピルエチルアンモニウム等の無置換アンモニウム及び第1級〜第4級アルキルアンモニウムを挙げることができる。イミダゾリウム化合物としては、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−n−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−n−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム等を挙げることができる。ピリジニウム塩としては、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−n−プロピルピリジニウム、1−n−ブチルピリジニウム、1−n−ヘキシルピリジニウム等を挙げることができる。
低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩の例としては、アンモニウム ビス(トリフルオロメチル)ホスファート、アンモニウム ビス(2−フルオロエチル)ホスファート、アンモニウム ビス(2,2−ジフルオロエチル)ホスファート、アンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、アンモニウム メチル(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、アンモニウム エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、メチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、ジメチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、トリメチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、テトラメチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、エチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、ジエチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、トリエチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、テトラエチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、ジイソプロピルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、テトラn−ブチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、トリメチルn−ブチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、トリメチルn−ドデシルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、ジイソプロピルエチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、1,3−ジメチルイミダゾリウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、1−n−プロピル−3−メチルイミダゾリウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、1−n−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、1−メチルピリジニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、1−エチルピリジニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、1−n−プロピルピリジニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、1−n−ブチルピリジニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、1−n−ヘキシルピリジニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート、アンモニウム ビス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)ホスファート、ジエチルアンモニウム ビス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)ホスファート、アンモニウム ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)ホスファート、アンモニウム ビス(ヘキサフルオロイソプロピル)ホスファート、アンモニウム ビス(3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル)ホスファート等を挙げることができる。
本発明の低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩は各種の方法で得ることができる。カチオン部位が無置換のアンモニウム(NH)または第1級〜第3級のアルキルアンモニウムであるものについては、化3の反応式に示されるように、含フッ素リン酸ジエステル(5)とアンモニアまたは第1級〜第3級アミン(6)の中和反応により得ることができる。
[式中、Rf及びRfは前記定義と同じであり、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。]
上記反応の原料となる含フッ素リン酸ジエステル(5)は、Seriya Khimicheskaya 1491 (1982)等に示されるように、含フッ素リン酸トリエステルを水酸化カリウム等の水酸化アルカリと反応させ、含フッ素リン酸ジエステルアルカリ金属塩を生成させた後、塩酸等の酸で処理することにより得られる。また、J.Fluorin Chem.104,215(2000)等に示されるように、オキシ塩化リンと2当量の含フッ素アルコールを反応させ、含フッ素クロロホスファートを得た後、加水分解する方法によっても得ることができる。
カチオン部位が第4級アルキルアンモニウム、イミダゾリウム化合物またはピリジニウム化合物の場合は、含フッ素リン酸ジエステルアルカリ金属塩を第4級アルキルアンモニウム、イミダゾリウム化合物またはピリジニウム化合物のハロゲン塩等と反応させ塩交換することにより得ることができる。また、特にカチオン部位がイミダゾリウム化合物である場合については、Green Chemistry 5,143(2003)等に示されるように、含フッ素リン酸トリエステルと1−アルキルイミダゾールとの反応によっても得ることができる。
本発明の低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩の用途としては、例えば、電気二重層キャパシタ及びリチウムイオン二次電池等の電気化学デバイス用非水電解液の難燃剤若しくは電解質塩、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂等の樹脂用難燃剤若しくは帯電防止剤、潤滑油用の添加剤、離型剤及び合成反応用難燃溶媒等を挙げることができる。
低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩は、用途に応じて、反応粗体のまま使用してもよいし、公知の抽出法、洗浄法、再結晶法等により精製して使用してもよい。特に電気化学デバイス用電解液の難燃剤あるいは電解質塩として使用する場合は、精製により遊離ハロゲン含量を低減化して使用することが望ましい。
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
アンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートの合成
三つ口フラスコに、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート 10.1g、ジエチルエーテル 20gを入れ、氷浴5℃以下に冷却した。撹拌下、反応温度を0〜5℃に制御しながら滴下漏斗から2mol/L アンモニア−メタノール溶液23mlを滴下した。滴下終了後、30分撹拌を継続した。反応終了後、エバポレーターで溶媒を留去後、残渣を真空乾燥し、白色固体 10.7gを得た。
NMRの分析から、得られた固体が、アンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートであることを確認した。
H−NMR(DMSO−d6、TMS)
δ 7.36(s、4H)、4.18(dq、4H、J=6.8Hz、9.2Hz)
13H−NMR(DMSO−d6、TMS)
δ 124.26(dq、J=10Hz、278Hz)、62.05(dq、J=4.5Hz、35Hz)
19F−NMR(DMSO−d6、CFCl
δ −73.75(t、J=9.1Hz)
実施例2
ジエチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートの合成
三つ口フラスコに、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート 10.0g、ジエチルエーテル 20gを入れ、氷浴5℃以下に冷却した。撹拌下、反応温度を0〜5℃に制御しながら滴下漏斗からジエチルアミン 3.36gを滴下した。滴下終了後、30分撹拌を継続した。反応終了後、エバポレーターで溶媒を留去後、残渣を真空乾燥し、白色固体 12.8gを得た。
NMRの分析から、得られた固体が、ジエチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートであることを確認した。
H−NMR(CDCl、TMS)
δ 9.47(bs、2H)、4.20(dq、4H、J=7.8Hz、8.8Hz)、2.89(bs、4H)、1.33(t、6H、J=7.2Hz)
13H−NMR(CDCl、TMS)
δ 123.60(dq、J=10Hz、277Hz)、63.08(dq、J=4.7Hz、37Hz)、42.22(s)、10.93(s)
19F−NMR(CDCl、CFCl
δ −76.03(t、J=8.5Hz)
実施例3
ジイソプロピルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートの合成
三つ口フラスコに、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート 10.0g、ジエチルエーテル 20gを入れ、氷浴5℃以下に冷却した。撹拌下、反応温度を0〜5℃に制御しながら滴下漏斗からジイソプロピルアミン 4.65gを滴下した。滴下終了後、30分撹拌を継続した。反応終了後、エバポレーターで溶媒を留去後、残渣を真空乾燥し、白色固体 13.4gを得た。
NMRの分析から、得られた固体が、ジイソプロピルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートであることを確認した。
H−NMR(アセトン−d6、TMS)
δ 9.25(bs、2H)、4.30(dq、4H、J=6.4Hz、8.8Hz)、3.38(bs、2H)、1.35(d、12H、J=6.4Hz)
13H−NMR(アセトン−d6、TMS)
δ 125.02(dq、J=11Hz、277Hz)、63.40(dq、J=4.8Hz、36Hz)、47.09(s)、18.90(s)
19F−NMR(アセトン−d6、CFCl
δ −76.01(t、J=8.8Hz)
実施例4
テトラエチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートの合成
三つ口フラスコに、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート 10.2g、メタノール 30gを入れ、氷浴5℃以下に冷却した。撹拌下、反応温度を0〜5℃に制御しながらナトリウムメトキシド 2.4gを添加しpHを6〜7とした。次に、テトラエチルアンモニウムクロリド 6.4gを添加し、30分撹拌を継続した。反応終了後、生じた固体(NaCl)をろ過により除き、ろ液をエバポレーターで溶媒を留去した。残渣にアセトン30gを添加後、室温で1時間攪拌した。不溶物(NaCl)をろ過により除き、ろ液から溶媒をエバポレータで留去した。残渣を真空乾燥し、無色粘性液体14.9gを得た。
NMRの分析から、得られた固体が、テトラエチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートであることを確認した。
H−NMR(DMSO−d6、TMS)
δ 4.13(dq、4H、J=6.4Hz、9.6Hz)、3.28(q、8H、7.2Hz)、1.20(tt、12H、J=7.2Hz、2.0Hz)
13H−NMR(DMSO−d6、TMS)
δ 124.69(dq、J=11Hz、278Hz)、62.21(dq、J=4.6Hz、35Hz)、51.78(t、2.9Hz)、7.25(s)
19F−NMR(DMSO−d6、CFCl
δ −73.89(t、J=9.3Hz)
実施例5
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートの合成
三つ口フラスコに、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート 2.6g、メタノール 10gを入れ、氷浴5℃以下に冷却した。撹拌下、反応温度を0〜5℃に制御しながらナトリウムメトキシド 0.6gを添加し、pHを6〜7とした。次に、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド 1.5gを添加後、30分撹拌を継続した。反応終了後、生じた固体(NaCl)をろ過により除き、ろ液をエバポレーターで溶媒を留去した。残渣にアセトン20gを添加後、室温で1時間攪拌した。不溶物(NaCl)をろ過により除き、ろ液から溶媒をエバポレータで留去した。残渣を真空乾燥し、無色粘性液体3.7gを得た。
NMRの分析から、得られた固体が、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートであることを確認した。
H−NMR(DMSO−d6、TMS)
δ 9.49(s、1H)、7.91(t、1H、J=1.8Hz)、7.81(t、1H、1.8Hz)、4.26(q、2H、J=7.3Hz)、4.17(dq、4H、J=6.4Hz、9.2Hz)、3.91(s、3H)、1.44(t、3H、J=7.2Hz)
13H−NMR(DMSO−d6、TMS)
δ 137.02(s)、124.64(dq、J=10Hz、278Hz)、123.88(s)、122.32(s)、62.19(dq、J=4.7Hz、35Hz)、44.33(s)、35.76(s)、15.29(s)
19F−NMR(DMSO−d6、CFCl
δ −73.84(t、J=9.3Hz)
実施例6
1−エチルピリジニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートの合成
三つ口フラスコに、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート 9.1g、メタノール 15gを入れ、氷浴5℃以下に冷却した。撹拌下、反応温度を0〜5℃に制御しながらナトリウムメトキシド 2.2gを添加し、pHを6〜7とした。次に、1−エチルピリジニウムクロリド 5.0gを添加後、30分撹拌を継続した。反応終了後、生じた固体(NaCl)をろ過により除き、ろ液をエバポレーターで溶媒を留去した。残渣にアセトン20gを添加後、室温で1時間攪拌した。不溶物(NaCl)をろ過により除き、ろ液から溶媒をエバポレータで留去した。残渣を真空乾燥し、無色粘性液体12.9gを得た。
NMRの分析から、得られた固体が、1−エチルピリジニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートであることを確認した。
H−NMR(DMSO−d6、TMS)
δ 9.36(dd、2H、6.8Hz、1.2Hz)、8.70(tt、1H、J=7.8Hz、1.4Hz)、8.23(t、2H、3.6Hz)、4.79(q、2H、J=7.2Hz)、4.22(dq、4H、J=6.4Hz、9.2Hz)、1.60(t、3H、J=7.2Hz)
13H−NMR(DMSO−d6、TMS)
δ 145.74(s)、145.13(s)、128.45(s)、124.65(dq、J=10Hz、278Hz)、123.88(s)、62.30(dq、J=4.5Hz、35Hz)、56.60(s)、16.58(s)
19F−NMR(DMSO−d6、CFCl
δ −73.85(t、J=9.3Hz)
実施例7
ジエチルアンモニウム ビス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)ホスファートの合成
三つ口フラスコに、ビス(2,2,3,3−テトラフルオロエチル)ホスファート 10.0g、ジエチルエーテル 20gを入れ、氷浴5℃以下に冷却した。撹拌下、反応温度を0〜5℃に制御しながら滴下漏斗からジエチルアミン 2.70gを滴下した。滴下終了後、30分撹拌を継続した。反応終了後、エバポレーターで溶媒を留去後、残渣を真空乾燥し、白色固体 11.9gを得た。
NMRの分析から、得られた固体が、ジエチルアンモニウム ビス(2,2,3,3−トリフルオロエチル)ホスファートであることを確認した。
H−NMR(DMSO−d6、TMS)
δ 8.89(bs、2H)、6.51(tt、2H、J=5.6Hz、52Hz)、4.10(dt、4H、J=6.0Hz、14Hz)、2.89(q、4H、J=7.3Hz)、1.19(t、6H、J=7.2Hz)
13H−NMR(DMSO−d6、TMS)
δ 123.60(dq、J=10Hz、277Hz)、63.08(dq、J=4.7Hz、37Hz)、42.22(s)、10.93(s)
19F−NMR(DMSO−d6、CFCl
δ −125.82〜−125.94(m、4F)、−139.33(td、J=5.6Hz、53Hz)
実施例8〜14
低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩の物性及び揮発性有無の確認
アンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート(実施例8)、ジエチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート(実施例9)、ジイソプロピルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート(実施例10)、ジエチルアンモニウム ビス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)ホスファート(実施例11)について、それぞれ融点測定装置(BUCHI製B−545型)により融点を測定した。また、テトラエチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート(実施例12)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート(実施例13)、1−エチルピリジニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファート(実施例14)、(実施例13)については、JIS K0065の方法に従い、凝固点を測定した。また、各低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩をフラスコに1.00g採取し、0.1torrの圧力下、25℃で24時間保持した。処理前後のフラスコ重量を測定し、下式から低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩の揮発性の有無を確認した。結果を表1に示す。
揮発ロス率(%)=[(処理前の重量)−(処理後の重量)]/(処理前の重量)×100
表1から、本発明の低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩は、カチオンまたはアニオンの構造の違いにより常温で固体または液体の性状を有することが判る。即ち、用途に応じて性状を選択可能であり、例えば、非水電解液用の添加剤(難燃剤、電解質塩)として、樹脂用添加剤(難燃剤、帯電防止剤)として、あるいは合成反応用難燃溶媒等として利用可能である。また、いずれの構造も揮発性を有しておらず、環境に対する安全性が高いことが確認された。
実施例15〜17、比較例1、参考例1
含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩を用いた有機溶媒の難燃化例
実施例15では、ジエチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートをプロピレンカーボネート(PC)に1mol/Lの濃度で溶解させた溶液を、実施例16では1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートをPCに1mol/Lの濃度で溶解させた溶液を、実施例17では、ジエチルアンモニウム ビス(2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル)の1mol/L PC溶液を調製した。比較の溶液として、比較例1ではジエチルアンモニウム ビス(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)ホスファートの1mol/L PC溶液をそれぞれ調製した。これらの溶液をそれぞれ直径2mmφのグラスフィルターに0.1ml含浸させた後、30mm下点からガスバーナーで3秒間炎を当てた後、バーナーを除いて燃焼の継続可否を確認した。試験を3回実施し、3回とも3秒以内に消炎した場合は○、3回とも燃焼が継続した場合は×、1回または2回3秒以内に消炎した場合は△とした。また、各溶液について、コーンプレート式粘度計(BrookField製DV−IPRIME型)を用いて23℃での粘度を測定した。結果を表2に示す。
表2から、本発明の含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩を溶解させた実施例15〜17は、いずれも可燃性溶媒であるPCを溶媒としながらもその溶液に難燃性が付与されたことが判る。また、側鎖エステル基の炭素数が5の含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩を溶解させた比較例1の場合も自己消火性が認められた。しかし、この場合は溶液の粘度増大が非常に大きいことが判る。これに対して本発明の含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩を溶解させた実施例15〜17は、粘度への影響が小さい、即ち材料物性への影響が小さいことが判る。
実施例18〜23、比較例2、参考例2〜3
低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩を添加した有機溶媒の導電性
実施例18ではアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートの1mol/L DMF溶液を、実施例19では実施例15の溶液を、実施例20ではテトラエチルアンモニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートの1mol/L PC溶液を、実施例21では実施例16の溶液を、実施例22では1−エチルピリジニウム ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファートの1mol/L PC溶液を、実施例23では実施例17の溶液を、比較例2では比較例1の溶液を用い、これら溶液について、電気伝導率計(京都電子製CM−117型)を用いて25℃での電気伝導度を測定した。結果を表3に示す。
表3から、本発明の含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩を溶解させた実施例18〜23の溶液は良好な電気伝導率を示し、本発明の含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩が電気二重層キャパシタ等の電気化学的デバイス用電解質塩として有用であることを示している。これに対し、エステル側鎖の炭素数が5の含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩を溶解させた比較例2の溶液は十分な導電性を示さなかった。
本発明の低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩は、不揮発性且つ高い難燃性を有し、添加時の材料の物性への影響が小さく、難燃剤、電解質塩等の広範な用途にて有用である。

Claims (1)

  1. 下記一般式(2)

    (式中、Aは、アンモニウム化合物、イミダゾリウム化合物及びピリジニウム化合物からなる群から選ばれる1種を表す。)
    で表される低級含フッ素リン酸エステルアンモニウム塩、低級含フッ素リン酸エステルイミダゾリウム塩または低級含フッ素リン酸エステルピリジニウム塩
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