JP2020115804A - 発酵乳の製造方法 - Google Patents

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Ai Kubouchi
愛 久保内
南羽 鈴木
Nanoha Suzuki
南羽 鈴木
耕平 浅田
Kohei Asada
耕平 浅田
篤寛 武本
Atsunori Takemoto
篤寛 武本
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Abstract

【課題】静置型発酵乳および液状型発酵乳において、離水が抑制された、口当たりのなめらかな発酵乳を得ることを課題とする。【解決手段】原料を混合して原料混合物を得る工程と、原料混合物を加温・均質化する工程と、原料混合物の殺菌工程と、を備える発酵乳の製造方法であって、原料混合物の殺菌工程において、前記原料混合物のpHが6.2〜6.6となるよう調整する、発酵乳の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、発酵乳の製造方法に関する。更に詳しくは、離水が少なく、しかも特別な原料や設備を必須としない乳酸菌発酵等による静置型発酵乳および液状型発酵乳の製造方法に関する。
発酵乳は、牛乳等の獣乳を原料とし、乳酸菌あるいは酵母またはその両者により発酵させたものである。近年、消費者の健康志向から発酵乳の需要が高まっている。しかし、発酵乳は、組織が不安定で保存中に離水を起こしやすい。そのため、発酵乳では、離水を抑制する目的で、ホエイタンパク質を含む離水を抑制する作用のある素材、及び/又は、寒天、澱粉、ゼラチン等の高分子化合物を含む離水を抑制する作用のある安定剤等の添加物を使用するのが一般的であった。
特許文献1では、前発酵型および後発酵型発酵乳の製造工程において、グルコースオキシダーゼを添加し、その基質の存在下で作用させることにより、乳タンパク質の凝集にともなって生じる離水を抑制することが報告されている。特許文献2では、イモ類、特に馬鈴薯より抽出したペクチンを安定剤として用いることで、離水を効果的に抑えることが報告されている。特許文献3では、所定の乳酸菌を用いて醗酵させることで発酵食品の離水を抑制する方法が示されている。特許文献4では、発酵乳の製造に用いる原料のうち脂肪を含む原料のみに均質処理を行う製造方法により低脂肪タイプ発酵乳の離水を抑制する方法が示されている。
国際公開第2012/121090号 特開2009―125065号公報 特開2007―236227号公報 特開2011―4740号公報
しかし、特許文献1〜2の方法では、製造作業が煩雑になる上に、添加物によりコストが増加するといった問題があった。また、添加物特有の特性が発現し、製品の食感に影響する課題があった。特許文献3では、離水量に関する定量的な結果が示されておらず、また特定の乳酸菌を用いることとなるために使用できる乳酸菌の組み合わせが限られ、目的の風味を発現できない場合があった。また、特許文献4では、脂肪量およびタンパク質量が限られている。また、特許文献1および4では、液状型発酵乳については言及されていない。特許文献1〜4では、発酵乳の口当たりのなめらかには言及されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、静置型発酵乳および液状型発酵乳において、離水が抑制された、口当たりのなめらかな発酵乳を得ること、しかも、当該発酵乳を、特別な原料や設備を必須とすることなく製造することを課題とする。
本発明者らは、発酵乳の製造に用いる原料のpHを6.2〜6.6に調整した後に、殺菌することで、発酵乳において、醗酵後の発酵乳の離水を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の内容に関する。
[1]原料を混合して原料混合物を得る工程と、原料混合物を加温・均質化する工程と、原料混合物の殺菌工程と、を備える発酵乳の製造方法であって、原料混合物の殺菌工程において、前記原料混合物のpHが6.2〜6.6となるよう調整する、発酵乳の製造方法。
[2]製造方法により得られる発酵乳は、静置型発酵乳の場合、以下の条件のうち少なくとも1つを満たす、
(A1)保存中の離水量が4%以下である、
(A2)離水を抑制する作用のある添加物が添加されていない、
(A3)最終製品のタンパク質量が3〜11質量%である、[1]記載の発酵乳の製造方法。
[3]製造方法により得られる発酵乳は、液状型発酵乳の場合、以下の条件のうち少なくとも1つを満たす、
(B1)保存中の離水量が20%以下である、
(B2)離水を抑制する作用のある添加物が添加されていない、[1]記載の発酵乳の製造方法。
[4]原料混合物を殺菌する前に、前記原料混合物のpHを6.2〜6.6に調整する[1]〜[3]のいずれか1つに記載の発酵乳の製造方法。
[5]発酵乳からの離水を抑制する作用のある添加物の添加工程を備えない、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の発酵乳の製造方法。
[6]pHを調整する際のpH調整剤として、直酸を用いる[1]〜[5]のいずれか1つに記載の発酵乳の製造方法。
[7]pHを調整する際のpH調整剤として、1種類以上の乳酸菌および/または酵母による発酵物を用いる[1]〜[6]のいずれか1つに記載の発酵乳の製造方法。
[8]pHを調整する際のpH調整剤として、直酸および/または1種類以上の乳酸菌および/または酵母による発酵物を併用したものを用いる[1]〜[7]のいずれか1つに記載の発酵乳の製造方法。
[9]pHの調整が、殺菌前の配管内の原料混合物へのpH調整剤の連続的な混合である[1]〜[8]のいずれか1つに記載の発酵乳の製造方法。
[10]pHの調整が、殺菌前のタンク内への原料混合物へのpH調整剤の添加および混合である[1]〜[9]のいずれか1つに記載の発酵乳の製造方法。
本発明によれば、タンパク含量および脂肪含量によらず、離水が少なく、口当たりのなめらかな発酵乳が得られる。しかも、離水が少ない発酵乳を特別な原料や設備を必須とすることなく製造できるので、工業的生産に適している。
本発明の離水が抑制された発酵乳の製造方法について以下に詳細に説明する。
(発酵乳)
発酵乳は、「乳等省令」で、乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌または酵母で発酵させ、糊状または液状にしたもの又はこれらを凍結したもの、と定義されている。本発明における発酵乳は、静置型発酵乳、液状型発酵乳の何れでもよい。
静置型発酵乳(後発酵型発酵乳、プレーンヨーグルト、ハードヨーグルト、セットヨーグルトとも呼ばれる。)とは、飲食用の容器に醗酵原料を充填して後醗酵させた発酵乳である。すなわち、飲食用の容器に発酵原料を充填してから発酵し、その後攪拌することなく市販に供する発酵乳である。タンパク質含量が、高濃度となるように原料を溶解した、あるいは膜装置などで予め濃縮した発酵原料にて調製した静置型発酵乳は、濃縮型発酵乳(ギリシャヨーグルト)とも呼ばれる。
液状型発酵乳(ドリンク発酵乳、乳酸菌飲料とも呼ばれる。)とは、静置型発酵乳や攪拌型発酵乳(前発酵型発酵乳)を均質機などで細かく砕いて、液状の性質を高め、必要に応じて果肉やソースなどと混合してから、飲食用の容器に充填して市販に供する発酵乳である。
いずれの発酵乳においても、本発明の効果を妨げない範囲で、発酵乳の製造に一般的に用いられている原材料を使用することができる。なお、後述の通り、本発明では、殺菌工程におけるpH制御により発酵乳の離水が抑制されるため、ホエイタンパク質を含む離水を抑制する作用のある素材、及び/又は、寒天、澱粉、ゼラチン等の高分子化合物を含む離水を抑制する作用のある安定剤等の添加物の使用を必須とはしないが、商品設計に応じて、本発明の殺菌工程におけるpH制御と、ホエイタンパク質を含む離水を抑制する作用のある素材、及び/又は、寒天、澱粉、ゼラチン等の高分子化合物を含む離水を抑制する作用のある安定剤等の添加物と、を併用することもできる。
(原材料)
本発明において、「発酵乳の原料」とは、生乳(原乳)、全脂乳、脱脂乳、ホエイ等の乳成分を含む液体である。ここで、生乳とは、例えば、牛乳などの獣乳をいう。発酵乳の原料は、全脂乳、脱脂乳、ホエイなどの他に、その加工品(例えば、全脂粉乳、全脂濃縮乳、脱脂粉乳、脱塩脱脂粉乳、脱脂濃縮乳、練乳、ホエイ粉、ホエイ濃縮粉、クリーム、バター、チーズなど)を含むことができる。なお、発酵乳の原料は、一般的に、ヨーグルトミックス、原料混合物などと呼ばれるものであり、乳成分の他にも、砂糖、糖類、甘味料、香料、果汁、果肉、ビタミン、ミネラル、植物油脂、乳化剤などの、食品もしくは食品成分及び食品添加物などを含むことができる。また、発酵乳の原料は、必要に応じて、ペクチン、大豆多糖類、寒天、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースなどの安定剤、澱粉、デキストリンなどを含むことができる。
発酵乳の原料に添加して混合(接種)するためのスターターの例として、乳酸桿菌である、ラクトバチルス・ブルガリクスや、ラクトバチルス・ラクティス、乳酸球菌である、ストレプトコッカス・サーモフィラス、その他の発酵乳の製造で一般的に用いられる乳酸菌や酵母などから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
(静置型発酵乳の製造方法)
本発明の静置型発酵乳の製造方法は、原料混合工程、加温・均質化工程、殺菌工程、冷却工程、スターター添加・混合工程、充填工程、発酵工程、冷却工程、また必要に応じて発酵工程前後に濃縮工程を含むことができる。
すなわち、まず生乳、脱脂粉乳および無脂肪牛乳などの乳製品を混合・溶解する。これとは別に必要に応じて、予め溶解した寒天、膨潤させたゼラチン、甘味料および香料などの副原料を混合する。
この混合物を50〜75℃に加温した後、ホモゲナイザーで均質化、次いで殺菌する。加温および殺菌に用いる機器は、プレート式熱交換器、チューブ式殺菌機、サーモシリンダー、ジュール加熱装置、タンクを用いたバッチ式殺菌およびこれらの組み合わせのいずれでも良いが、これらに限定されるものではなく、発酵乳製造に用いることができればよい。
殺菌温度は例えば、90〜95℃のHTST法、130℃以上のUHT法など、発酵乳製造に用いられる条件であれば制限はない。殺菌後、プレートクーラーなどで35〜55℃まで冷却してから混合タンクに移され、そこで乳酸菌およびまたは酵母(スターター)が添加・混合される。その混合物を容器(通例は紙製またはプラスチック製のカップ状の容器・同じく紙またはプラスチック製の上蓋が付いている)に充填し、必要に応じて小単位の数ずつ包装してから発酵が行われる。発酵条件はスターターによって異なり、一般に発酵乳製造で適用される条件であれば、いずれの温度、時間、仕上げ酸度、仕上げpHでも良い。発酵後、10℃以下の温度に冷却する。
殺菌工程におけるpH条件を、本発明による特定の範囲とすることによって、製造後の静置型発酵乳の離水を抑制することができる。
(液状型発酵乳の製造方法)
本発明の液状型発酵乳の製造方法は、原料混合工程、加温・均質化工程、殺菌工程、冷却工程、スターター添加・混合工程、発酵工程、均質化工程、冷却工程、予め混合・溶解・殺菌したあと必要に応じて香料を添加した副原料と混合する工程、必要に応じて均質化する工程、充填工程を含むことができる。
原料は無脂肪牛乳とする場合が多いが、その他の乳製品を水や糖液に溶解せしめてから使用してもよい。均質化後、殺菌(殺菌条件は静置型発酵乳と同じ)し、冷却後、スターターが添加・混合されて発酵タンク内で発酵される。これを滅菌水などで濃度調整した後、加温溶解し、別途混合溶解した甘味料、安定剤が添加され、必要に応じ果汁も添加される。次いで、殺菌・冷却・無菌的な香料添加と攪拌・混合が行われた後、アセプティックホモゲナイザーで再度均質化する。できるだけ微細に均質化し、直径が1μm程度の大きさのカゼイン粒子にまで粉砕・均質化して液状とし、容器に充填される、という工程が踏まれる。
殺菌工程におけるpH条件を、本発明による特定の範囲とすることによって、製造後の液状型発酵乳の離水を抑制することができる。
(殺菌工程)
通常の発酵乳を製造する場合、殺菌工程における原料のpHは、原料混合物由来のpH、例えばpH6.7である。一方、本発明では、殺菌工程における原料混合物のpHは、6.2〜6.6が好ましく、6.3〜6.5がより好ましく、6.3〜6.4がさらに好ましい。
このpHの範囲で原料の殺菌を行うことにより、安定剤などの添加物を必須とすることなく離水を抑制できるようになる。すなわち安定剤などの特徴が発酵乳物性に影響することなく、また添加物によるコスト増加等がなく、特別な設備を必要とすることなく、離水が抑制された発酵乳を製造することができる。一方、殺菌時のpHがpH6.2を下まわると殺菌工程での凝集物発生や、発酵不良の原因となる。pH調整には、乳酸、塩酸、グルコノデルタラクトン、レモン果汁など、一般的に食品のpH調整に用いられるpH調整剤、食品添加物、食品等およびこれらの組み合わせを用いた直酸法、ならびに予め原料ミックスなどを1種類以上の乳酸菌およびまたは酵母で発酵させた発酵物を添加する方法のいずれでもよい。
pH調整は、原料混合物を殺菌する前に行うことが好ましい。つまり、原料の殺菌時に上記pH範囲を満たすように、原料混合物のpHを調整することが好ましい。具体的には、pH調整剤を殺菌前の配管内において原料混合物に連続的にドージングするか、または殺菌前に原料混合物の入ったタンクに添加して攪拌・溶解することが好ましく、またはこれらの組み合わせでもよい。
殺菌温度および時間は、例えば60℃で30分間加熱するLTLT法、75℃以上15分間以上加熱するHTLT法、72℃以上15秒間以上加熱するHTST法、120〜150℃で1〜3秒間加熱するUHT法など、通常の発酵乳製造で用いられる方法に相当する条件であれば制限はない。用いる殺菌装置は、例えば、プレート式熱交換器、チューブ式殺菌機、ダイレクトスチームインジェクション、ダイレクトスチームインフュージョン、サーモシリンダー、ロタサーム、ケトル乳化釜、ステファン乳化釜、ジュール加熱装置、タンクを用いたバッチ式殺菌およびこれらの組み合わせのいずれでも良く、発酵乳製造に用いることができれば制限はない。
(低離水性)
上記製造方法で得られる発酵乳は、ホエイタンパク質を含む離水を抑制する作用のある素材、及び/又は、寒天、澱粉、ゼラチン等の高分子化合物を含む離水を抑制する作用のある安定剤等の添加物を使用しない場合にも、離水が少ない特徴を有する。本発明の離水が少ない発酵乳とは、製造後1日から17日の間で、発酵乳の上面に分離する水分重量が発酵乳重量に対して、静置型発酵乳では4.0%以下、液状型発酵乳では20.0%以下であるものをさす。
発酵乳の離水率は、以下の方法で評価した。
発酵乳の上面に分離した離水をスポイトで採取して重量を測定した。容器の風袋量を除き、離水採取前の発酵乳重量(g)に対する離水重量(g)を離水率(%)として算出した。保存による変化を鑑み、評価は、製造から1日目(D+1)、7日目(D+7)および17日目(D+17)にて実施した。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
(実施例1)
生乳を分離して得た脱脂乳約1.5Lを、20%乳酸を用いてpH6.2に調整し、次いでプレート型殺菌機にて90℃15秒間殺菌した。殺菌機出口温度を47℃とし、予め殺菌した1L容量のステンレス缶に採取した。そこで、予め0.85%食塩水に100U/1000kgとなるように溶解しておいたヨーグルト製造用DVS乳酸菌スターターを0.09%添加・混合した。その混合物をプラスチック製のカップ状の容器に70gずつ充填し、アルミ製の蓋をアイロンでシールした。その後41℃のインキュベーターで発酵させ、pHが4.6となった時点で、5℃のインキュベーターに移し、発酵を停止させた。翌日10℃インキュベーターに移して、実施例品1を得た。
(実施例2)
脱脂粉乳(雪印メグミルク社製)をタンパク質濃度3.0%となるように溶解して得た還元脱脂乳約1.5Lを、0.1N塩酸を用いてpH6.3に調整し、次いでプレート型殺菌機にて90℃まで加温した後、1Lステンレス缶に採取し、沸騰した湯浴で90℃5分間加熱した。その後、氷水中で45℃まで冷却し、予め0.85%食塩水に100U/1000kgとなるように溶解しておいたヨーグルト製造用DVS乳酸菌スターターを0.09%添加・混合した。その混合物をプラスチック製のカップ状の容器に70gずつ充填し、アルミ製の蓋をアイロンでシールした。その後41℃のインキュベーターで発酵させ、pHが4.6となった時点で、5℃のインキュベーターに移し、発酵を停止させた。翌日10℃インキュベーターに移して、実施例品2を得た。
(実施例3)
脱脂粉乳(雪印メグミルク社製)をタンパク質濃度11.0%となるように溶解して得た還元脱脂乳約4.0Lに、150kgw/cm2の均質圧で均質処理を加えた。その後、予め殺菌したステンレス缶に採取した均質処理後の還元脱脂乳を、20%乳酸を用いてpH6.5に調整した以外は、実施例1と同様にして、実施例品3を得た。
(実施例4)
生乳を分離して得た脱脂乳約1.5Lを、20%乳酸を用いてpH6.6に調整し、次いでプレート型殺菌機にて130℃2秒間殺菌した以外は、実施例1と同様にして、実施例品4を得た。
(比較例1)
生乳を分離して得た脱脂乳約1.5Lを、pH調整しない点以外は実施例1と同様にして、比較例品1を得た。
(比較例2)
生乳を分離して得た脱脂乳約1.5Lを、20%乳酸を用いてpH6.1に調整し、次いでプレート型殺菌機にて130℃4秒間殺菌した以外は実施例1と同様にして、比較例品2を得た。
(試験例1:殺菌後のミックスの性状)
殺菌工程後のミックスの性状を目視で確認し、「○:殺菌後のミックスが均一な状態」、または「×:殺菌後ミックスが凝集した状態または分離した状態」のいずれかに評価した。
(試験例2:発酵乳の離水量の評価)
発酵乳の上面に分離した離水をスポイトで採取して重量を測定した。容器の風袋重量を除き、離水採取前の発酵乳重量(g)に対する離水重量(g)を離水率(%)として算出した。保存による変化を鑑み、評価は、製造から1日目(D+1)、7日目(D+7)および17日目(D+17)にて実施した。
(試験例3:発酵乳のなめらかさ)
製造後7日目に、5段階の絶対評価による官能評価で評価した。評価点ごとの項目は、「3点:かなりなめらか、2点:ややなめらか、1点:わずかになめらか、0点:どちらでもない、−1点:わずかにざらつく、−2点:ややざらつく、−3点:かなりざらつく」とし、訓練した専門パネル10人以上で実施した。
実施例品1〜4および比較例品1〜2の評価結果を表1に示す。実施例品1〜4では、殺菌後のミックスの性状は均一であった。また離水率は、いずれの保存日数においても、離水率4.0%以下であった。
比較例品1は、殺菌後のミックスの性状は均一であったが、離水率がD+1で7%、D+7で5.6%、D+17で4.3%であり、4%を上回った。比較例品2は、殺菌後のミックスが凝集し、発酵後の組織が不均一で離水量を評価するのに適切なサンプルとなりえなかった。殺菌時のpHが過剰に低いことで加熱凝集が進んだと考えられる。
実施例品1〜4のなめらかさは、比較例品に比べて、なめらかであると評価された。
したがって、殺菌時のpHを6.6以下に調整することで、離水が抑制されたなめらかな静置型発酵乳が得られた。
Figure 2020115804
(実施例5)
生乳から分離して得た脱脂乳4.5Lを、20%乳酸を用いてpH6.3に調整し、次いでプレート型殺菌機にて90℃に加温し、予め殺菌したステンレス缶に採取して、沸騰した湯浴で90℃5分間殺菌した。その後、氷水中で冷却し、35℃とし、予め0.85%食塩水に100U/1000kgとなるように溶解しておいたヨーグルト製造用DVS乳酸菌スターターを0.09%添加・混合した。33℃のインキュベーターで発酵させ、pHが4.4となった時点で、氷水中で10℃まで冷却し、発酵を停止させた。その後、150kg/cm2の均質圧で均質処理を行い、10℃に冷却してから、紙製のカップ状の容器に200gずつ充填し、アルミ製の蓋をアイロンでシールし、5℃のインキュベーターに保管した。翌日10℃インキュベーターに移して、実施例品5を得た。
(実施例6)
生乳から分離して得た脱脂乳4.5Lを、20%乳酸を用いてpH6.5に調整し、次いでプレート型殺菌機にて130℃2秒間殺菌し、および10℃まで冷却し、予め殺菌したステンレス缶に採取した後、温湯中で35℃とし、予め食塩水に溶解しておいたヨーグルト製造用DVS乳酸菌スターターを添加・混合した以外は実施例品5と同様にして、実施例品6を得た。
(実施例7)
生乳から分離して得た脱脂乳4.5Lを、20%乳酸を用いてpH6.4に調整し、次いでプレート型殺菌機にて90℃に加温し、予め殺菌したステンレス缶に採取して、沸騰した湯浴で90℃5分間殺菌した。その後、氷水中で冷却し、35℃とし、予め食塩水に溶解しておいたヨーグルト製造用DVS乳酸菌スターターを添加・混合した。33℃のインキュベーターで発酵させ、pHが4.4となった時点で、氷水中で10℃まで冷却し、発酵を停止させた。その後、150kg/cm2の均質圧で均質処理を行い、10℃に冷却してから、予め溶解したHMペクチンをHMペクチン添加量0.1%とうなるよう混合し、150kg/cm2の均質圧で均質処理して、紙製のカップ状の容器に200gずつ充填し、アルミ製の蓋をアイロンでシールし、5℃のインキュベーターに保管した。翌日10℃インキュベーターに移して、実施例品7を得た。
(比較例品3)
生乳から分離して得た脱脂乳4.5Lを、pH調整せずに、プレート型殺菌機にて130℃4秒間殺菌した以外は、実施例品6と同様にして、比較例品3を得た。
実施例品5〜7および比較例品3の試験結果を表2に示す。実施例品5〜7および比較例品3で、殺菌後のミックスの性状は均一で良好であった。
離水率は、保存日数の増加で増加する傾向であった。実施例品5〜7は、いずれの保存日数においても、離水率20%以下であった。一方、比較例品3では保存日数17日で22%となり、20%を上回った。
実施例品5〜7のなめらかさの評価結果は、それぞれ0.3、0.4、0.7点であり、比較例品3のなめらかさは0点であった。離水量が抑制された実施例品5〜7において、比較例品に比べて、なめらかさが向上することが確認された。
したがって、殺菌時のpHを6.6以下に調整することで、離水が抑制され、なめらかさが向上した液状型発酵乳が得られた。
Figure 2020115804

Claims (10)

  1. 原料を混合して原料混合物を得る工程と、
    前記原料混合物を加温・均質化する工程と、
    前記原料混合物の殺菌工程と、を備える発酵乳の製造方法であって、
    前記原料混合物の殺菌工程において、前記原料混合物のpHが6.2〜6.6となるよう調整する、発酵乳の製造方法。
  2. 前記製造方法により得られる発酵乳は、静置型発酵乳の場合、以下の条件のうち少なくとも1つを満たす、
    (A1)保存中の離水量が4%以下である、
    (A2)添加物が添加されていない、
    (A3)最終製品のタンパク質量が3〜11質量%である、
    請求項1記載の発酵乳の製造方法。
  3. 前記製造方法により得られる発酵乳は、液状型発酵乳の場合、以下の条件のうち少なくとも1つを満たす、
    (B1)保存中の離水量が20%以下である、
    (B2)添加物が添加されていない、
    請求項1記載の発酵乳の製造方法。
  4. 前記原料混合物を殺菌する前に、前記原料混合物のpHを6.2〜6.6に調整する請求項1〜3のいずれか1項に記載の発酵乳の製造方法。
  5. 前記発酵乳からの離水を抑制する添加物の添加工程を備えない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発酵乳の製造方法。
  6. pHを調整する際のpH調整剤として、直酸を用いる請求項1〜5のいずれか1項に記載の発酵乳の製造方法。
  7. pHを調整する際のpH調整剤として、1種類以上の乳酸菌および/または酵母による発酵物を用いる請求項1〜6のいずれか1項に記載の発酵乳の製造方法。
  8. pHを調整する際のpH調整剤として、直酸および/または1種類以上の乳酸菌および/または酵母による発酵物を併用したものを用いる請求項1〜7のいずれか1項に記載の発酵乳の製造方法。
  9. pHの調整が、殺菌前の配管内の原料混合物へのpH調整剤の連続的な混合である請求項1〜8のいずれか1項に記載の発酵乳の製造方法。
  10. pHの調整が、殺菌前のタンク内への原料混合物へのpH調整剤の添加および混合である請求項1〜9のいずれか1項に記載の発酵乳の製造方法。
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CN103609697A (zh) * 2013-12-11 2014-03-05 武汉光明乳品有限公司 一种干酪风味酸奶及其制备方法
WO2015068790A1 (ja) * 2013-11-08 2015-05-14 株式会社明治 酸度上昇が抑制された発酵乳およびその製造方法
JP2017063727A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 森永乳業株式会社 発酵乳の製造方法および発酵乳
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