JP3888798B2 - 発酵風味及び安定性が増強された発酵乳飲料の製造方法 - Google Patents

発酵風味及び安定性が増強された発酵乳飲料の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発酵風味及び安定性が増強され、テクスチャーにも優れる発酵乳飲料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、蛋白質含有酸性飲食品は、酸性下で変性した蛋白質が凝集・沈殿・分離等を生じ易く、外観及び飲食時の風味不良等を伴い商品価値の低下を招く。これらを防止する目的で、酸性乳等にぺクチン又はペクチンとカラギーナンとを添加する方法(特公昭61−22928号公報)、タマリンド種子多糖類及びグァーガムとペクチンとを添加する方法(特公平1−25553号公報)、ペクチンとフィチン酸とを添加する方法〈特開平4−99442号公報)、庶糖脂肪酸エステルを添加する方法(持公昭59−41709号公報)、酸乳を加圧均質化処理する方法(特開平5−43号公報)等が提案されており、種々の蛋白質含有酸性飲食品が商品化されている。
【0003】
また、これらのような処理を施した蛋白質含有酸性成分の中和処理物及び乳から成る発酵原料を乳酸発酵し、これらに嗜好性香味を賦与した活性乳酸菌含有食品の製造法(特公昭30−9137号公報)が提案されている。この方法では、脱脂乳を酵母と乳酸菌により発酵させた発酵乳に糊剤及び果汁果実擂砕物、又は果実の果肉片を添加混合して得られた混合物を炭酸石灰、その他の中和剤を以ってpH5.0〜5.5に調整し、全乳又は脱脂乳を加え混合した後加熱殺菌を施し冷却後乳酸菌発酵が行われている。しかし、この様な方法においては、発酵乳中和物と乳類を混合後に加熱殺菌を施した場合、乳蛋白質の凝集が起こりクリーミーなテクスチュアーは保持され難いことが知られている。
【0004】
カルピス(登録商標)等の乳蛋白質含有原料を発酵した風味良好な酸性発酵乳飲料、ヨーグルト及び発酵クリームデザート等の酸性発酵乳製品等と乳原料とを混合した後さらに発酵する場合、蛋白質保護機能を有する増粘剤・安定剤を含有しない乳等に酸性素材を添加した際に、蛋白質が凝集・分離し又は木目の荒い組織となり、食感が損なわれる。
【0005】
近年の健康志向の高まりから、ヨーグルト等の発酵乳製品の需要量は伸長しており、更に、嗜好性の高い風味良好で保存安定性の高い発酵乳製品の開発が市場において待望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発酵風味及び安定性良好で口当たり滑らかなテクスチュアーを有する発酵乳飲料の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、発酵乳、大豆食物繊維及びカルシウム塩を含み、寒天及びゼラチンを含まない、pH4.5〜5.0である発酵乳組成物寒天及びゼラチンを含まない、溶液とを、それぞれ別途に殺菌処理をした後、配合して得た発酵原料を、乳酸発酵することを特徴とする発酵風味及び安定性が増強された発酵乳飲料の製造方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の発酵風味及び安定性が増強された発酵乳飲料の製造方法は、特定の発酵乳組成物及び乳溶液を、それぞれ別途に殺菌処理をした後に配合して得た発酵原料を乳酸発酵する
【0012】
前記乳としては、動物性乳、植物性乳のいずれをも用いることができる。具体的には例えば、牛乳、山羊乳、羊乳、馬乳等の動物性乳、又は、大豆由来の豆乳等の植物性乳を挙げることができる。これらの乳は、単独又は2種類以上を混合して用いても良い。又、乳の形態としては、全脂乳、脱脂乳あるいは乳清等を用いることができる。更に、粉乳、濃縮乳等から還元した還元乳であってもよい。また、前記乳は、必要に応じて、糖類や糖アルコール等の甘味料等を含むことができる。
【0013】
前記発酵乳組成物は、発酵乳、大豆食物繊維及びカルシウム塩を含む。
【0014】
前記発酵乳としては、乳酸菌又は乳酸菌及び酵母をスターターとして用い、前記乳と同様もの等の原料乳を発酵して得られた発酵物をそのまま用いることができ、また、この発酵物へ糖類を混合し均質化処理した発酵乳、原料乳へ糖類を添加した後に乳酸菌発酵した発酵乳、更にカルピス(登録商標)及びフルーツカルピス(登録商標)等の乳製品乳酸菌飲料(殺菌)製品等を用いることもできる。
【0015】
前記大豆食物繊維としては、食物繊維分含有量(AOAC法により測定)約60重量%のものが商品化(例えば三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、商品名「SM−900」、「SM−910」等)されており、これらを好ましく用いることができる。この様な大豆食物繊維は、冷水及び温水に溶解し易く、約30重量%濃度の水溶液を調整した後、発酵乳と配合することができる。
【0016】
前記発酵乳組成物中への前記大豆食物繊維の配合量は、特に限定されないが、発酵乳組成物100gあたり0.05〜2gとすることができる。また、前記大豆食物繊維は、得られる発酵乳飲料100gあたり、前記大豆食物繊維中の食物繊維分含有量が0.005〜1g、好ましくは0.01〜0.6g含有するように、前記発酵乳組成物中に配合することが望ましい。前記の食物繊維分使用量が本発酵乳飲料100gあたり0.005g未満の場合は、前記発酵乳組成物及び得られる発酵乳飲料を加熱殺菌したときに、乳蛋白質の凝集反応を十分に抑制することができず発酵乳飲料を安定に保つことが困難になるため好ましくない。一方、発酵乳飲料100gあたり1gを越える使用量の場合は、効果の増強は認められずに大豆食物繊維由来による風味不良等が生じて、さわやかな風味が得られ難くなるので好ましくない。
【0017】
なお、酸性乳性飲食品に汎用されているローカストビーンガム、トラガントガム、ペクチン等の各種の安定剤を大豆食物繊維の代わりに用いた場合は、本発明の目的である発酵風味及び保存安定性増強を期待することはできない。前記のガム類を使用した場合は、各ガム類特有の糊感の強いテクスチュアーを生じる。又、ペクチンを使用した場合は、乳酸菌発酵前に乳蛋白質の凝集・沈殿を生じる。従って、前記発酵乳組成物は、これらを実質的に含まないことが好ましい。
【0018】
前記カルシウム塩としては、有機塩及び/又は無機塩等を用いることができる。具体的には例えば、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム等を好ましく挙げることができる。
【0019】
前記発酵乳組成物中への前記カルシウム塩の配合量は、特に限定されないが、0.1〜2重量%とすることができる。
【0020】
前記発酵乳組成物のpHは4.5−5.0である。pH5.0を超える場合は、塩味・えぐ味・苦味様収斂味等の異味が生じて飲食用に不適な風味となる。pH4.5未満の場合は、発酵前に乳蛋白質の凝集・沈殿が生じたり、又、乳酸菌発酵が阻害されて発酵不十分になり、乳酸発酵特有のさわやかな風味が得られ難くなる。前記カルシウム塩の配合量を適宜調整することにより、前記発酵乳組成物のpHを4.5−5.0の範囲内とすることができる。
【0021】
前記発酵原料は、前記発酵乳組成物及び前記乳溶液を、それぞれ別途に殺菌処理をした後配合して得られる
【0022】
前記殺菌処理の条件は、前記発酵乳組成物及び前記乳溶液のいずれも、一般食品加工において行われる温度80℃以上、時間は達温〜60分間程度で行うことができる。発酵乳組成物及び乳溶液の殺菌処理は、それぞれ別途に行うことが必須であり、本発明の特徴である。殺菌処理前に発酵乳組成物及び乳溶液を混合して殺菌処理を行った場合は、乳蛋白質の著しい凝集反応を伴い易く、発酵乳飲料としての商品価値を失う。
【0023】
前記発酵原料は、前記乳溶液及び前記発酵乳組成物を、重量比で99:1〜50:50、更に望ましくは90:10〜60:40の割合で含有することが好ましい。前記乳溶液100重量部に対する前記発酵乳組成物の含有割合が1重量部未満の場合、好ましい発酵風味を賦与し難く、50重量部を超える場合、乳酸発酵が阻害されるために好ましい発酵風味を増強し難い。
【0024】
前記発酵原料には、必須成分としての前記乳溶液及び前記発酵乳組成物に加え、特に限定はないが、庶糖をはじめとする甘味料、果実果肉片、濃縮混濁果汁、果汁、野菜片、濃縮混濁野菜汁、野菜汁、着色料、香料等の他の成分を配合することができる。また、これらの他の成分は、後述する乳酸発酵が終了した後に配合して発酵乳飲料に含有させることもできる。本発明により得られる発酵乳飲料中のこれらの他の成分の含有割合は、0〜50重量%とすることができる。
【0025】
前記発酵原料の乳酸発酵は、食品加工用の乳酸菌を用いて行うことができる。例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピシーズ・ラクティス(Lactobacillus delbruekii subsp.lactis)、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbruekii subsp.bulgaricus)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピシーズ・ラクティス(Lactococcus lactis subsp.lactis)、ロイコノストック・メッセンテロイデス・サブスピシーズ・デキストラニカム(Leuconostoc mesenteroides subsp.dextranicum)、ロイコノストック・メッセンテロイデス・サブスピシーズ・クレモリス(Leuconostoc mesenteroidessubsp.cremoris)、ストレフトコッカス・サーモフィルス(Storptococcus thermophillus)等を好ましく用いることができる。特に、粘性物質産生能を有する乳酸菌を用いると、口当たりのよいテクスチュアー及び保存安定性が向上して、より好ましい発酵風味及び安定性を有する発酵乳飲料が得られるので好ましい。例えばラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピシーズ・ラクテイス、ストレフトコツカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピシーズ・ラクティスの混合乳酸菌スターターとして市販され、汎用されているクリスチャンハンセン社(本社:デンマーク)製品であるYC−190、YC−191、YC−180、YC−181、YC−182、YC−280、YC−281、YC−380等を用いることが好ましい。
【0026】
前記発酵原料の乳酸発酵の条件は、特に限定されず、用いる乳酸菌の菌種等に応じて適宜設定することができるが、20〜45℃、3〜24時間が好ましい。
【0027】
前記乳酸発酵終了後、必要に応じて前記他の成分を添加し、発酵乳飲料を得ることができる。
【0028】
本発明により得られる発酵乳飲料に含まれる乳蛋白質の含有量は、飲料中に好ましくは1〜7重量%、更に好ましくは2〜5重量%が望ましい。乳蛋白質含有量1重量%未満では、乳酸発酵をおこなってもカードが形成されず、7重量%を超えるとテクスチュアーが固くなり、口当たり滑らかなテクスチュアーを得ることができないため好ましくない。
【0029】
本発明により得られる発酵乳飲料は、発酵風味及び保存安定性の増強された嗜好性の高いドリンクヨーグルトに供することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、特定の発酵原料を乳酸発酵してなるため、発酵風味及び安定性良好で口当たり滑らかなテクスチュアーを有し、且つ、カルシウムが強化され、適度な粘質感を有し、商品価値の高い新規な発酵乳飲料が得られる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
【実施例1】
発酵乳の市販製品(商品名「カルピス」、カルピス(株)製)2kgに大豆食物繊維(商品名「SM−910」、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)0.4gを添加して均一混合した。この混合物に炭酸カルシウム(食品添加物用)12gを撹枠しながら加えてpH4.8に調整し、95℃、2秒間加熱殺菌した後、10℃まで氷水中で冷却し、殺菌済み発酵乳組成物を得た。
【0033】
別途に、脱脂粉乳(よつ葉乳業(株)製)0.8kgをイオン交換処理水7.2kgへ均一溶解して乳溶液を作成した後、95℃、3分間加熱殺菌し、42℃まで流水中で冷却し、殺菌済み乳溶液を得た。
【0034】
前記殺菌済み発酵乳組成物2kg及び前記殺菌済み乳溶液8kgを無菌的に混合して得た発酵原料へヨーグルトスターターYC−190(クリスチャン・ハンセン社製)2gを無菌的に加え、撹拌し均一混合した後に40℃、7時間静置発酵した。発酵終了後20℃まで撹拌冷却し、150ml容ハイインパクトポリスチレンボトルに充填、アルミニウム(ポリエチレン)ラミネート蓋をヒートシールした後に、10℃以下まで静置冷却して発酵乳飲料を得た。
【0035】
得られた発酵乳飲料は、発酵風味が増強され、かつ滑らかなテクスチュアーを有しており、蛋白凝集等によるザラツキ感は認められなかった。また炭酸カルシウム中和による塩味、カルシウムによるえぐ味、中和臭等も感じられなかった。
【0036】
さらに得られた発酵乳飲料150mlを直径5.5cmの滅菌済みガラス容器に無菌的に充填し、10℃、2週間静置保存したところ、発酵乳飲料上部の離水量は3mmであった。
【0037】
【実施例2】
脱脂粉乳(よつ葉乳業(株)製)1kg、及び大豆食物繊維(商品名「SM−910」、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)20gをイオン交換処理水9kgへ均一溶解して乳溶液を作成した後、95℃、3分間加熱殺菌し、21℃まで冷却した。これに乳酸菌スターターFlora Danica IBA(クリスチャン・ハンセン社製)を0.01g加え20時間静置発酵した。発酵終了後に50重量%乳酸(食品添加物用)を加えて酸度(乳酸量)1.1重量%に調整した。これに炭酸カルシウム(食品添加物用)12gを撹拌しながら加えてpH4.8に調整し、95℃、2秒間加熱殺菌した後、10℃まで氷水中で冷却し、殺菌済み発酵乳組成物を得た。
【0038】
別途に、脱脂粉乳(よつ葉乳業(株)製)1kg及び砂糖1kgをイオン交換処理水8kgへ均一溶解して糖乳溶液を作成した後、95℃、3分間加熱殺菌し42℃まで流水中で冷却し、殺菌済み糖乳溶液を得た。
【0039】
前記殺菌済み発酵乳組成物200g及び前記殺菌済み糖乳溶液9.8kgを無菌的に混合して得た発酵原料ヘヨーグルトスターターYC−190(クリスチャン・ハンセン社製)0.02重量%を無菌的に加え、撹拌した後に42℃、7時間静置発酵した。発酵終了後20℃まで撹拌冷却し、150ml容ハイインパクトポリスチレンボトルに充填、アルミニウム(ポリエチレン)ラミネート蓋をヒートシールした後に、10℃以下まで冷却し発酵乳飲料を得た。
【0040】
得られた発酵乳飲料は、バターミルク風味が十分に感じられ、かつ滑らかなテクスチュアーを有しており、蛋白凝集等により生じるザラツキ感は認められなかった。また中和による塩味、カルシウムによるえぐ味、中和臭等も感じられなかった。
【0041】
さらに得られた発酵乳飲料150mlを直径5.5cmの滅菌済みガラス容器に無菌的に充填し、10℃、2週間静置保存したところ、発酵乳飲料上部の離水量は4mmであった。
【0042】
【比較例1】
発酵乳の市販製品(商品名「カルピス」、カルピス(株)製)2kgにハイメトキシぺクチン(商品名「JM−150J」、コペンハーゲンペクチン社製)6gを添加し、ラボラトリーホモゲナイザー(型式「15M−8BA」、マントンゴーリン社製)を用いて圧力150kg/cm2、処理流量2.5L/分で均質化した。この混合物に炭酸カルシウム(食品添加物用)12gを撹拌しながら加えてpH4.8に調整し、95℃、2秒間加熱殺菌した後、10℃まで氷水中で冷却し、殺菌済み発酵乳組成物を得た。
【0043】
別途に、脱脂粉乳(よつ葉乳業(株)製)1kgをイオン交換処理水9kgへ均一溶解して乳溶液を作成して、95℃、3分間加熱殺菌した後に42℃まで流水中で冷却し、殺菌済み乳溶液を得た。
【0044】
前記殺菌済み発酵乳組成物2kg及び前記殺菌済み乳溶液8kgを無菌的に混合して得た発酵原料ヘヨーグルトスターターYC−190(クリスチャン・ハンセン社製)2gを無菌的に加え、撹拌均一混合した後に、40℃、7時間静置発酵した。発酵終了後20℃まで撹拌冷却し、150ml容ハイインパクトポリスチレンボトルに充填、アルミニウム(ポリエチレンラミネート)蓋をヒートシールした後に、10℃以下まで静置冷却して発酵乳飲料を得た。
【0045】
得られた発酵乳飲料は、発酵風味は十分にあったものの、蛋白凝集等により生じるザラツキ感があり、滑らかなテクスチュアーを得ることができなかった。
【0046】
さらに得られた発酵乳飲料150mlを直径5.5cmの滅菌済みガラス容器に無菌的に充填し、10℃、2週間静置保存したところ、飲料下部に多量の沈殿が生じた。
【0047】
【比較例2】
発酵乳の市販製品(商品名「カルピス」、カルピス(株)販売)2kgに炭酸カルシウム(食品添加物用)12gを撹拌しながら加えてpH4.8に調整した。これを95℃、2秒間加熱殺菌したところ、著しい凝集を生じてその後の操作を行うことができなかった。
【0048】
【比較例3】
脱脂粉乳(よつ葉乳業(株))0.8kgをイオン交換処理水7.2kgへ均一溶解して乳溶液を作成した後、95℃、3分間加熱殺菌し42℃まで流水中で冷却した。この殺菌済み乳溶液8kgに、発酵乳の市販製品(商品名「カルピス」、カルピス(株)製)2kgを無菌的に混合して得た発酵原料へヨーグルトスターターYC−190(クリスチャン・ハンセン社製)2gを無菌的に加え、撹拌均一混合した後に40℃、7時間静置発酵した。発酵終了後20℃まで撹拌しながら冷却し、150ml容ハイインパクトポリスチレンボトルに充填、アルミニウム(ポリエチレン)ラミネート蓋をヒートシールした後に、10℃以下まで静置冷却して発酵乳飲料を得た。
【0049】
得られた発酵乳飲料は、発酵風味が十分に感じられるものの、蛋白凝集等により生じるザラツキ感が生じ、滑らかなテクスチュアーを得ることはできなかった。さらに、得られた発酵乳飲料150mlを直径5.5cmの滅菌済みガラス容器に無菌的に充填し、10℃、2週間静置保存したところ、飲料上部に11mmの離水を生じ、かつ飲料下部に多量の沈殿が生じた。
【0050】
【比較例4】
発酵乳の市販製品(商品名「カルピス」、カルピス(株)製)2kgに大豆食物繊維(商品名「SM−910」、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)0.4gを添加して均一混合した後、炭酸カルシウム(食品添加物用)12gを撹拌しながら加えてpH4.8に調整し、発酵乳組成物を得た。
【0051】
別途に脱脂粉乳(よつ葉乳業(株)製)0.8kgをイオン交換処理水7.2kgへ均一溶解して乳溶液を作成した。
【0052】
前記乳溶液8kgに、前記発酵乳組成物2kgを撹拌しながら加えた後、95℃、2秒間加熱殺菌したところ、乳蛋白質の著しい凝集が生じて、その後の操作を行うことができなかった。
【0053】
【実施例3】
発酵乳の市販製品(商品名「カルピス」、カルピス(株)製)2kgに大豆食物繊維(商品名「SM−910」、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)0.4gを添加して均一混合した。この混合物に炭酸カルシウム(食品添加物用)12gを撹拌しながら加えてpH4.8に調整し、95℃、2秒間加熱殺菌した後、10℃まで氷水中で冷却し、殺菌済み発酵乳組成物を得た。
【0054】
別途に脱脂粉乳(よつ葉乳業(株)製)0.8kgをイオン交換処理水7.2kgへ均一溶解して乳溶液を作成した後、95℃、3分間加熱殺菌し45℃まで流水中で冷却し、殺菌済み乳溶液を得た。
【0055】
前記殺菌済み発酵乳組成物2kg及び前記殺菌済み乳溶液8kgを無菌的に混合して得た発酵原料へヨーグルトスターターYC−190(クリスチャン・ハンセン社製)2gを無菌的に加え、均一混合した後に100ml容ハイインパクトポリスチレンカップに充填し、アルミニウム(ポリエチレン)ラミネート蓋をヒートシールして42℃、6時間静置発酵した。発酵終了後、10℃以下まで静置冷却して発酵乳飲料を得た。
【0056】
得られた発酵乳飲料は、発酵風味が増強されており、かつ滑らかなテクスチュアーを有しており、蛋白凝集等により生じるザラツキ等は認められなかった。
【0057】
【比較例5】
発酵乳の市販製品(商品名「カルピス」、カルピス(株)製)2kgに大豆食物繊維(商品名「SM−910」、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)0.4gを添加して均一混合した。この混合物に炭酸カルシウム(食品添加物用)12g程度を撹拌しながら加えてpH4.8に調整し、95℃、2秒間加熱殺菌した後、10℃まで氷水中で冷却し、殺菌済み発酵乳組成物を得た。
【0058】
別途に、脱脂粉乳(よつ葉乳業(株)製)0.8kg、寒天(商品名「UP−16」、伊那食品工業株式会社製)20g、ゼラチン(商品名「AP−200」、新田ゼラチン株式会社製)20gをイオン交換処理水7.2kgへ均一溶解して乳溶液を作成した後、95℃、3分間加熱殺菌し、45℃まで流水中で冷却し、殺菌済み乳溶液を得た。
【0059】
前記殺菌済み発酵乳組成物2kg及び前記殺菌済み乳溶液8kg及びを無菌的に混合して得た発酵原料へYC−190スターター(クリスチャン・ハンセン社製)2gを無菌的に加え、撹拌した後に、100ml容ハイインパクトポリスチレンカップに充填し、アルミニウム(ポリエチレン)ラミネート蓋をヒートシールした後に、42℃、6時間静置発酵した。発酵終了後、10℃以下まで静置冷却して発酵乳飲料を得た。得られた発酵乳飲料は、発酵風味が十分に感じられたが、ゲル化剤(寒天及びゼラチン)による特有の粘弾性を有するテクスチュアーとなり、乳酸菌発酵により形成される滑らかなテクスチュアーは得られなかった。
【0060】
【比較例6】
脱脂粉乳(よつ葉乳業(株)製)0.8kg、寒天(商品名「UP−16」、伊那食品工業(株)製)20g、ゼラチン(商品名「AP−200」、新田ゼラチン(株)製)20gをイオン交換処理水7.2kgへ均一溶解して乳溶液を作成し、95℃、3分間加熱殺菌した後、45℃まで流水中で冷却した。この殺菌済み乳溶液8kgに対し、発酵乳の市販製品(商品名「カルピス」、カルピス(株)製)2kgを無菌的に混合して得た発酵原料へ、ヨーグルトスターターYC−190(クリスチャン・ハンセン社製)2gを無菌的に加え、撹拌し均一混合した後に、100ml容ハイインパクトポリスチレンカップに充填、アルミニウム(ポリエチレン)ラミネート蓋をヒートシールした後に、42℃、6時間静置発酵した。発酵終了後10℃まで静置冷却して発酵乳飲料を得た。
【0061】
得られた発酵乳飲料は、発酵風味が十分に感じられるものの、蛋白凝集により生じるザラツキが生じ、かつ、ゲル化剤による特有の粘弾性を有するテクスチュアーとなり、乳酸菌発酵により形成される滑らかなテクスチュアーは得られなかった。

Claims (5)

  1. 発酵乳、大豆食物繊維及びカルシウム塩を含み、寒天及びゼラチンを含まない、pH4.5〜5.0である発酵乳組成物寒天及びゼラチンを含まない、溶液とを、それぞれ別途に殺菌処理をした後、配合して得た発酵原料を、乳酸発酵することを特徴とする発酵風味及び安定性が増強された発酵乳飲料の製造方法
  2. 前記大豆食物繊維中の食物繊維分を、得られる発酵乳飲料100gあたり0.005〜1g含有することを特徴とする請求項1記載の製造方法
  3. 前記発酵原料が、前記乳溶液及び前記発酵乳組成物を、重量比で99:1〜50:50の割合で含有することを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記乳酸発酵において粘性物質産生能を有する乳酸菌を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法
  5. 前記発酵乳組成物が、実質的にガム類を含まないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
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