JP2020107776A - コイルおよびコイルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】線間にスペーサ用の部材を配置することなく線間に一定の隙間を保持可能な低コストなコイルおよびコイルの製造方法の提供。【解決手段】本発明の一態様に係るコイルは、複数の金属線を撚り合わせた撚り線と、第1糸状繊維とこの第1糸状繊維とは異なる溶融性の第2糸状繊維とを有する合糸を撚り線の周囲に縞状に配置して形成した繊維層とを具備する。【選択図】図2

Description

本発明は、非接触給電装置などに用いられるコイルおよびコイルの製造方法に関する。
近年、電気自動車の給電は、ケーブルを用いる接触式から無線電力伝送技術を利用した非接触式へ変更することが進められている。
非接触式の給電、いわゆるワイヤレス給電の技術は、給電所の路面に埋め込むようにして設けた送電用(1次側)の平面コイルと電気自動車の底部に設けた受電用(2次側)の平面コイルとを数十cm程度の間隔で対向させることで電力を無線送電する技術である。
ワイヤレス給電においてはその伝送効率が高いことが求められ、これに使用されるコイルについても損失の少ない必要がある。よって、ワイヤレス給電に使用するコイルには銅損を小さくする、すなわち交流抵抗を小さくする工夫が種々施されている。
コイルの交流抵抗に影響を与える要因としては、以下に示す第1と第2の要因が考えられる。第1の要因は、巻線用線材の導体断面積に依存する直流抵抗による損失、第2の要因は、周波数や線材の撚り構成、コイル形態などにより変わる近接効果と表皮効果による損失が考えられる。
特にワイヤレス給電においてはkHzオーダーの高周波帯で利用されるため、第2の要因による影響が大きくなる。この第2の要因の軽減のため、線材にはリッツ線が利用され、コイルの形態としては、巻線間に隙間を設けて巻き回す(これを「ギャップ巻き」という)コイルが適するとされている。
従来、巻線間に隙間を設ける技術としては、例えば隙間を設けた溝を形成した平面状ボビンの溝に手作業で巻線を嵌め込んでいくか(例えば特許文献1参照)、巻線間に間隔保持用の部材(絶縁体等)を設けて線を巻く技術(例えば特許文献2参照)等がある。
特開2015−12066号公報 特開2009−158598号公報
しかしながら、ボビンを含むコイルは、コストアップになるとともに、ボビンを含まない形態での出荷要望があり、この場合、導線を巻回した後の形状保持が課題となる。
コイルの形状を保持するため、例えば撚り線にバラケ防止用の高分子系の絶縁糸を巻いた上からアセテート糸を巻き、その導線を渦巻き状に巻き回した後、アセトン等の溶剤を噴霧してアセテート糸を溶解・固化することが考えられるが、この場合、撚り線の周囲に高分子系の絶縁糸の層(絶縁層)と溶けたアセテート糸の層(接着層)の2つの層が積層されることになり、製造工程が増える上に、電線自体の外径が太くなるため、コイルサイズが大きくなってしまったり、導線自体が固くなり、可撓性が低下してしまい、導線をコイルの形状にする際の加工性が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、巻線間にスペーサを介在させることなく隙間を設けて屈曲(蛇行)させて巻回しコイル単体で形状を保持することが可能であり、かつ低コストなコイルおよびコイルの製造方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るコイルは、絶縁電線を巻回したコイルであって、前記絶縁電線が、複数の絶縁素線を撚り合わせた撚り線と、前記撚り線の周囲に配置され、第1糸状繊維と、溶剤または加熱により前記第1糸状繊維よりも先に溶ける第2糸状繊維とを所定の割合で合わせた合糸とを具備する。
本発明の一態様に係るコイルの製造方法は、撚り線を巻回して渦巻き状に形成するコイルの製造方法であって、(A)第1糸状繊維と前記第1糸状繊維よりも先に溶ける第2糸状繊維とを有する合糸を前記撚り線の周囲に配置して絶縁電線を形成する工程と、(B)隣接する前記絶縁電線どうしが離間する離間部と、隣接する前記絶縁電線どうしが当接する当接部とを形成するように、前記絶縁電線を渦巻き状に巻回し平坦なコイル状にする工程と、
(C)前記コイル状をなす前記絶縁電線の前記合糸の一部を前記溶剤または加熱により溶かし前記絶縁電線の前記当接部を接着する工程とを有する。
本発明によれば、巻線間にスペーサを介在させることなく隙間を設けて屈曲(蛇行)させて巻回しコイル単体で形状を保持することが可能であり、かつ低コストなコイルおよびコイルの製造方法を提供することができる。
本発明の一つの実施の形態のコイルの通電線の構成を示す断面図。 リッツ線に合糸を巻く様子を示す図。 コイルの構成を示す平面図。 図3のコイルの部分拡大図。 一定の太さのテトロン糸に対してアセテート糸の太さを変えた合糸を用いたコイルを評価した結果を示す表。 一定の太さのアセテート糸に対してテトロン糸の太さを変えた合糸を用いたコイルを評価した結果を示す表。 加圧、加熱によりコイルの形状保持を行う例を示す図。 コイルを含む非接触給電装置の構成例を示す図。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
(実施の形態)
本実施形態に係る非接触給電装置は、渦巻状のコイルを有する1次側(給電所の路面に埋設される側)の非接触送電装置と、渦巻状のコイルを有する2次側(電気自動車の底部に搭載される側)の非接触受電装置とを対向配置して構成される。1次側と2次側の非接触給電装置は、外形が方形か長方形の違いがある以外、コイルの部分の要素は、ほぼ同じ要素で構成されており、ここでは、一方の側、例えば2次側の非接触受電装置について説明するが、他方の側も同様であることは言うまでもない。
図1乃至図3に示すように、本発明に係る一つの実施の形態のコイル20は、絶縁電線としての通電線22aを、外形がほぼ方形になるように渦巻き状に巻回して形成したものである。通電線22aには、複数の細いエナメル線12を撚り合わせた撚り線であるリッツ線13(図2参照)を用いている。つまり、図1のコイル20は、通電線22aを平坦な渦巻き状に巻回し、一定の区間で当接部と離間部ができるような巻き方で屈曲(蛇行)させている。巻き方については、後述する区間毎の巻き方の説明で詳述する。絶縁電線とは、一般に導体を絶縁体(ビニールや繊維)で被覆した電線をいう。ここでは、絶縁電線は、エナメル線12を撚り合わせた撚り線の周囲に絶縁材(リッツ線13に巻いただけの合糸17またはその一部を変性させた繊維層14)を配置したものをいう。なお、アセテート糸15を溶融して繊維層14とした状態にした通電線を通電線22aといい、製造過程において電線単体の状態やリッツ線13に合糸17を巻いた状態の通電線を通電線22という。
図1に示すように、通電線22aは、エナメル線12を複数撚り合わせて束にして形成したリッツ線13(撚り線)と、このリッツ線13の周囲に配置された繊維層14とを有する。リッツ線13は、束にした状態でほぼ円柱の形状をなすものである。なお、エナメル線12は、銅線(金属の素線)12aの外表面(周囲)をエナメル層12bで絶縁被膜した絶縁素線の一つである。
繊維層14は、リッツ線13の周囲に巻回した合糸17の一部を溶融処理した物である。合糸17は、テトロン糸16とこのテトロン糸16とは異なる溶融性のアセテート糸15とを有しており、これらテトロン糸16およびアセテート糸15をリッツ線13の周囲に縞状に巻回したものである。ここで、溶融性とは、溶剤によって溶けること、または加熱により溶解することをいう。なお、合糸とは、2本または3本以上の糸を合わせたものいい、複数の糸が撚ったように混在しているもの、または混在させずに並べてリボン状にしたものもいう。
繊維層14は、テトロン糸16とアセテート糸15とを領域を分けて並べてリボン状にした合糸17(図2参照)をリッツ線13の周囲に縞状に巻回したもののうちアセテート糸15の縞の部分を溶剤などで溶解した後、常温で一定期間放置してテトロン糸16と共に接着、固化し、図1に示すように、リッツ線13の周囲に繊維の層を形成したものである。換言すると、繊維層14は、リッツ線13の外面に合糸17を押しつけて平坦に巻き付けた後、アセテート糸15を溶解(溶剤を噴霧し溶かすまたは加熱溶解)することでリッツ線13の周囲に形成したものである。合糸17を混紡糸または絶縁糸などともいう。なお、テトロンは登録商標である。
図2に示すように、合糸17は、リッツ線13の周囲に螺旋状に巻回されており、ポリエステル系合成繊維のテトロン糸16とこのテトロン糸16とは異なる溶融性のアセテート糸15とを所定の割合または所定の比率で配置した(合わせた)各繊維領域を縞状に分けて巻き付けた絶縁性の繊維である。
この例では、リッツ線13の外周部に、テトロン糸16の繊維とアセテート糸15の繊維を並べた合糸17をリッツ線13の周方向(軸と交差する方向)に巻き付けることで、リッツ線13を被覆している。これにより、通電線22をコイルの形態に巻き回す際に、リッツ線13がバラケることなく、かつ屈曲(蛇行)加工したときの形状保持力を高めることができる。
合糸17の巻き付け方については、アセテート糸15が融けて広がるため、多少のばらつきがあってもよい。例えば合糸17をリッツ線13の周囲に巻き付ける際に、リボンの端どうしに0.1〜0.5mm程度の隙間を設けて巻き付けてもよく、リボンの端どうしが接するように巻き付けてもよく、またリボンをオーバーラップさせながら巻き付けてもよい。
テトロン糸16は、融点が例えば250℃〜255℃のポリエステル系合成樹脂を材料とする絶縁繊維の糸であり、引っ張りや摩耗に強く、伸縮も極めて僅かであり、吸湿性は特に低く、絶縁性も良好である。
アセテート糸15は、アセチルセルロースを主材とする溶解接着用の繊維の糸であり、アセトンなどの溶剤を噴霧することで溶けて周囲と融合し溶剤の気化に伴い固化し、図1のように巻線どうしが当接する当接部31、32が接着されて通電線22aの強度をあげることができる。また、当接部31、32だけでなく離間部を含むコイル形態全体としての形状保持力が向上するという効果も得られる。このアセテート糸15は、アセチルセルロースを紡糸した半合成繊維であり、融点が例えば230℃程度のものであり、テトロン糸16よりも先に融けるものの、テトロン糸16と融点の温度が近いため温度管理が難しい。
そこで、アセテート糸15の他に、低融点の繊維として、例えばエルダー(東レ社製、登録商標)などの熱融着ナイロン繊維があり、熱融着にはアセテート糸15に代えてこの熱融着ナイロン繊維を用いてもよい。この熱融着ナイロン繊維は、テトロン糸16よりも融点が低く、例えば120℃程度の加熱によってテトロン糸16よりも先に融けて、溶剤による溶解と同等の効果が得られる。つまり、熱融着ナイロン繊維は、加熱によりテトロン糸16よりも先に溶ける糸状繊維である。
図2に示すように、リボン状の合糸17を構成する一本一本の糸は、ポリエステル系合成繊維の第1糸状繊維(高分子系絶縁糸)としてのテトロン糸16と、このテトロン糸16と並べて混紡されたアセチルセルロース等の繊維からなる溶解接着用の第2糸状繊維としてのアセテート糸15とをほぼ3対1の割合(この例では本数)で合糸した構造をなす。
なお、3対1の割合は、本数の他、各糸の合計の太さの割合としてもよい。また、この例では、アセテート糸15とテトロン糸16の並べ方(配置、順序)を規則的(糸を種別毎に纏めてアセテート糸15、テトロン糸16、アセテート糸15、テトロン糸16…という順)に配置したが、互の割合が変わらなければ、並べ方をランダムまたは交互に変えてもよい。なお、リボン状の合糸17をリッツ線13の周囲に巻く際に、巻きピッチが狭すぎると(糸巻き機の回転数を最大値に固定した場合)工程時間が伸びる。また巻きピッチが広すぎると、当接部の接着性が低下し、離間部においての形状保持力低下に繋がるため、巻きピッチは、適切にする必要があり、例えば1.5mm以上3.5mm以下の範囲が好ましい。本実施形態では、巻きピッチを2.3mmピッチとした。
図3、図4に示すように、コイル20は、上記の一本の通電線22を、最内周の位置A0から巻線方向Cへ巻き始めて、通電線22が湾曲して配置されるコーナー区間A1と、通電線22が一巻おきに直線状に配置される直線区間A2とを設けるように渦巻き状に平らに並べて(平面的に)巻回して形成(製造)した外形がほぼ方形状(コーナー区間A1に丸みをつけている)のコイルである。このコイル20は、通電線22が、隣接する線どうしが離間する離間部と、隣接する線どうしが当接する当接部32とを設けるように巻回されている。当接部は、溶剤により溶けたアセテート糸15(図2参照)により接着されている。
このコイル20は、通電線22を渦巻き状に巻回して形成した巻回部27と、この巻回部27以外の接続端子21、24が接続される末端部26とを有する。巻回部27には、繊維層14が配置され、末端部26には合糸17が配置されている。つまり、このコイル20は、リッツ線13の周囲に繊維層14(図1参照)が配置された巻回部27と、リッツ線13の周囲に合糸17(図2参照)が配置された末端部26とを有する。
直線区間A2は、奇数巻き目の電線n1、n3、n5、n7、n9が一巻きおきに一定の間隔をおいて平行に配置される平行区間であり、偶数巻き目の電線n2、n4、n6、n8が間隔内を蛇行し、平行な配線n1、n3、n5、n7、n9に当接および離間するように配置される。
直線区間A2(平行区間内)には、その中央部に、偶数巻き目の電線n2、n4、n6、n8が他の平行な奇数巻き目の電線n1、n3、n5、n7、n9と離間する第1離間区間である区間P3が配置されている。
区間P3の両側には、偶数巻き目の電線n2、n4、n6、n8が、平行な奇数巻き目の電線線n1、n3、n5、n7、n9のいずれかに当接する区間P1,P2が配置されている。区間P3の左側に配置される区間P1を第1当接区間という。区間P3の右側に配置される区間を第2当接区間P2という。
区間P1は、奇数巻き目の電線n1とその外周側の偶数巻き目の電線n2とが当接し、かつ偶数巻き目の電線n2とその外周側の奇数巻き目の電線n3が離間する区間である。
区間P2は、奇数巻き目の電線n1とその外周側の偶数巻き目の電線n2が離間し、かつ偶数巻き目の電線n2とその外周側の奇数巻き目の電線n3が当接する区間である。
電線の巻き数をNに置き換え、電線の巻きはじめから第N、第(N+1)、第(N+2)巻き目とした場合、区間P1は、第N巻き目の電線n1と第(N+1)巻き目の電線n2とが当接し、かつ第(N+1)巻き目の電線n2と第(N+2)巻き目の電線n3が離間する区間である。なお、Nは1以上の整数である。
区間P2は、第N巻き目の電線n1と第(N+1)巻き目の電線n2が離間し、かつ第(N+1)巻き目の電線n2と第(N+2)巻き目の電線n3が当接する区間である。
コーナー区間A1は、各巻き目の電線n1、n2、n3…n7、n8、n9が離間して曲線状に配置される。つまり第N、第(N+1)、第(N+2)巻き目…の電線が離間して曲線状に配置される。
コーナー区間A1において、奇数巻き目の電線n1、n3、n5、n7、n9が描く弧(曲線)の半径R1と、偶数巻き目の電線n2、n4、n6、n8が描く弧(曲線)の半径R2は例えば40.0mm(R40と称す)であり、互いの半径R1、R2は同径である。なお、互いの半径R1、R2は異なっていてもよい。
コーナー区間A1には、区間P4が配置される。区間P4は、巻線方向の手前に配置される直線区間A2における第(N+1)巻き目の電線(例えば電線n2)と第N巻き目の電線(例えば電線n1)との当接から、巻線方向の先に配置される区間P2における第(N+1)巻き目の電線(例えば電線n2)と第(N+2)巻き目の電線(例えば電線n3)との当接に切り替わる第2離間区間である。
この巻き方のコイル20を、コーナー区間A1では、奇数巻き目の電線n1、n3、n5、n7、n9と偶数巻き目の電線n2、n4、n6、n8の曲線部(弧の部分)を半径R1,R2とも同径で巻き、かつ隣接する電線どうし(例えば電線n1と電線n2、電線n2と電線n3など)を離間させて、コーナー区間A1の両側の直線区間A2(コーナー区間A1の手前の区間P1とコーナー区間A1の先の区間P2)で電線どうしを当接させる構造であることから、「コーナー蛇行巻きコイル」と称す。
コイル20の巻回には、渦巻状の溝が形成された金型(巻回治具)を用いた自動巻回装置を用いる。自動巻回装置は、リッツ線13の送り出し位置を固定し、巻回治具の溝にリッツ線13の先端をあてがい、リッツ線13を送り出しながら巻回治具を平面的に回転させてリッツ線13を溝に順に嵌め込んでいく装置である。
平面的に渦巻き状に巻回しただけのコイル20は、金型(巻回治具)から取り出す際や搬送時にバラケてしまうため、金型(巻回治具)に嵌め込んだ状態で溶剤を散布してアセテート糸15を溶かして、溶剤が気化して巻線どうしが接着固化するまでの一定時間放置した後、ハンドリングするものとする。このように隣接する巻線どうしの当接部31、32を接着することで、巻線どうしの連係強度をあげ、コイル形態での形状保持力を向上させることができる。当接部の接着には、溶剤による接着以外に、例えば合糸17を巻き付けたリッツ線13を加熱して合糸17のアセテート糸15の繊維部分を溶かして接着してもよい。
つまりコイル20は、通電線22をほぼ平らに並べながら巻回し、線間に離間部と当接部を規則的に設けて全体として渦巻き状にしたものであり、形状保持のため当接部を接着剤で接着(固着)し、さらに通電線22の両端に一対の圧着端子21、24を接続したものである。圧着端子21、24を両端に取り付けるのは接着する前であっても後でもよい。
通電線22は、複数のエナメル線を撚り合わせて束にして形成したものである。なお、この例では、線の直径が例えば4.4mm程度のリッツ線13を用いている。この例以外の電線としては、最外層に自己融着層を設けた自己融着線などを用いてもよい。
圧着端子21は、通電線22の内側の一端と接続されるものであって、概略的に圧着部と、固定用の孔が設けられた固定部とから構成されている。圧着部は、筒形状の金属部材によって構成されており、通電線22のエナメル被覆を除去した導体部を挿入し加締め加工することで線材と金属部とを圧着一体化し、圧着端子21を通電線22に固定する。圧着端子24は、通電線22の外側の一端と接続されるものであり、圧着端子21と同じものである。
図4に示すように、このコイル20は、巻回一周のうちに4つの電線配線区間P1〜P4(以下「区間P1〜P4」と称す)P1〜P4を設けるように巻回されている。直線区間A2には、区間P2、区間P3、区間P1が配置されており、コーナー区間A1に区間P4が配置されている。直線区間A2からコーナー区間A1へ電線を巻き進める方向でいうと、区間P2、区間P3、区間P1、区間P4の順に繰り返すように各区間P1〜P4が配置されている。
区間P1(第1当接区間)は、巻き始めから第N巻き目の電線(内側から第一巻き目の場合は電線n1)と第(N+1)巻き目の電線(内側から第二巻き目の場合は電線n2)が当接する当接部と、第(N+1)巻き目の電線(内側から第二巻き目の電線n2)と第(N+2)巻き目の電線(内側から第三巻き目の場合は電線n3)が離間する離間部とを有する区間である。なおNは1以上の整数とする。
区間P2(第2当接区間)は、第N巻き目の電線である電線n1と第(N+1)巻き目の電線である電線n2が離間し、かつ第(N+1)巻き目の電線である電線n2と第(N+2)巻き目の電線である電線n3が当接する部位を有する区間である。
区間P3(第1離間区間)は、第(N+1)巻き目の電線である電線n2が、第(N+2)巻き目の電線n3との当接から第N巻き目の電線である電線n1との当接に切り替わる区間である。
換言すると、この区間P3(第1離間区間)は、第2N巻き目の電線である電線n2、n4…が、自線の外側の第(2N+1)巻き目の電線である電線n3、n5…との当接部から自線の内側の第(2N−1)巻き目の電線である電線n1、n3…の当接部へ巻き進む向きに横切る(内側に斜めに渡る)区間である。
区間P4(第2離間区間)は、巻線方向の手前に配置される直線区間A2における第(N+1)巻き目の電線である電線n2が、電線n1との当接から、巻線方向の先に配置される直線区間A2の区間P2における第(N+2)巻き目の電線である電線n3との当接に切り替わる区間である。
換言すると、区間P4(第4区間)は、第2N巻き目の電線である電線n2、n4…が、図面に向かって右横側の直線区間A2における第(2N−1)巻き目の電線である電線n1、n3、n5…の当接部から、図面に向かって左下側の直線区間A2における第(2N+1)巻き目の電線である電線n3、n5…の当接部へ巻き進む向きに横切る(渡る)区間である。
区間P4では、区間P4の右側の区間P1から、区間P4の左側の区間P2に向けて各巻き目の電線どうしの当接関係が切り替わるように偶数巻き目の電線n2(第2N巻き目の電線)が巻回されている。つまりこの区間P4では、奇数巻き目の電線n1、n3間の隙間を偶数巻き目の電線n2が斜めに横断するように配置されている。
換言すると、区間P4では、偶数巻き目の電線n2、n4…が、奇数巻き目の電線n1、n3、n5…間の隙間を奇数巻き目の電線n1、n3、n5…が曲線を描く半径R1の中心位置とは異なる中心位置を持つ半径R2の曲線を描いて横切るように配置される。なお、半径の中心位置には、半径を描く中心点や中心点をつなぐ線などが含まれる。
図4に示すように、例えば区間P4の偶数巻目の電線n2…は、区間P4の片側(右側)に隣接する第1区間P1の第1当接部31、32と、区間P4の他の片側(左下側)に隣接する区間P2の第2当接部32とを結ぶような弧の中心を持つ半径R2で巻回される。
例えば電線n1、n2、n3を例にしてコイル20の巻回構造を説明すると、コーナー区間A1と直線区間A2とを有する外形がほぼ方形状のコイル20を4つの区間P1〜P4に分けて、区間P1、P2では平行な奇数巻き目の電線n1、n3の間で偶数巻き目の電線n2を蛇行させて当接および離間させる。
また、区間P3、P4では、電線n1、n2、n3の当接または離間の関係を切り替えるよう偶数巻き目の電線n2を斜めに横断させる。
このように巻き目の異なる電線を直線区間A2の区間P3とコーナー区間A1の区間P4で離間させて、その間の区間P1,P2では隣接する電線どうしをほぼ一定の間隔で当接させ、その当接部分を接着することで、コイルとしての形状保持力を向上することができる。
なお、この例では、コイル全体の巻き数を9巻きとしたが、これ以外の巻き数や巻き方にも本願発明は適用可能である。この例では、巻き数の総数を奇数としたが、偶数としてもよく、巻き数自体も増減してもよい。
この例では、外形が四角形(この例のように外形がほぼ方形状の場合は四隅のコーナー区間A1に丸みをつけている)になるようにリッツ線13を渦巻き状に巻回したが、この他、外形をほぼ三角形、ほぼ五角形、ほぼ六角形、ほぼ八角形などの多角形の形状や、ほぼD形状、ほぼ長方形状などにしてもよい。
以下、図3に示したコイル20の製造方法を説明する。
通電線22の主材には、例えばリッツ線13を用いるものとする。
(第1工程:リッツ線13に合糸17を糸巻きする工程)
この第1工程では、リッツ線13の外周にテトロン糸16とアセテート糸15の合糸17を糸巻きして通電線22を形成する。
この第1工程では、糸巻機を用いて糸巻きする。この場合、テトロン糸16とアセテート糸15の合糸17を糸巻機にセットする。
この第1工程では、合糸17を、リッツ線13の外周部に張力を加えながら押し当てて平坦な形状にしてオーバーラップさせながら巻き付ける。これにより、被覆された一本の通電線22を作成できる。
具体的に合糸17としては、テトロン糸16(太さが1100T)1本とアセテート糸15(太さが220T)3本の割合で(より)合わせリボン状にした合糸17を2.3mmピッチで、直径4.4mmのリッツ線13の周囲に巻き付ける。T(デシテックス)は化学合成繊維の糸の太さを表す単位である。太さの比でいうと、テトロン糸16:1100Tに対してアセテート糸15:660Tであり、1:0.6の割合である。
(第2工程:通電線22を渦巻き状に巻回しコイル形状とする工程)
この第2工程では、通電線22を、線どうしが離間する離間部と当接する当接部とを形成するように屈曲(蛇行)させて渦巻き状に巻回し平坦なコイル状にする。
この場合、図3に示すように、最内周を1巻き目として、通電線22を内周側から外周側に向けて複数回巻回してコイル20を形成する。この際、通電線22を巻き進めながら区間P1〜P4の配線の状態を形成する。なお、この実施形態では、電線の巻きはじめを最内周側からとしているが、最外周側から巻き始めてもよい。
この場合、通電線22を、位置A0から巻回方向Cに沿って巻回してゆく上で、初めの一周目(第1巻き目の電線n1)は、コーナー区間A1を除き、通電線22を折り曲げることなく、直線的に巻いてゆく。
二周目に入ると、第2巻き目の電線n2は、第1巻き目の電線n1と当接して直ぐにコーナー区間A1に入るため、コーナー区間A1では電線n2を電線n1から分離(分岐)させて半径R2で曲線状に配線する。
コーナー区間A1を通過したその先の直線区間A2の区間P2では、電線n2を次の周で巻く電線n3と当接するように配線する。
直線区間A2の区間P3では、電線n3との当接位置から電線n2を屈折させることで離間させて電線n1の側へ斜めに巻き進める。
そして、区間P1では、電線n2は電線n1と当接し、電線n1に沿って巻き進める。
直線区間A2に入る前に、電線n2を電線n1から分離させて、電線n3の側へ半径R2の弧を描くように巻き進める。このように電線n2を残り半周蛇行させて二周目を終える。
次に、三周目(第3巻き目の電線n3)は、初めの一周目(第1巻き目の電線n1)と同様の軌跡で通電線22を折り曲げることなく、直線的に巻いてゆく。これで第3巻き目の電線n3は第2巻き目の電線n2と区間P2で当接するようになる。
このようにして、コーナー区間A1に各巻き目の電線を離間して曲線状に配置し、コーナー区間A1の巻線方向両側に配置した直線区間A2において、奇数巻きの電線n1、n3、n5、n7、n9を一巻きおきに一定の間隔をおいて平行に配置すると共に、奇数巻き目の電線n1、n3、n5、n7、n9の間隔内を偶数巻き目の電線n2、n4、n6、n8が蛇行し、平行な配線n1、n3、n5、n7、n9に当接および離間するように配置する。
(第3工程:溶剤による合糸の溶解、接着工程)
この第3工程では、コイル状をなす通電線22に溶剤を噴霧して合糸17の一部のアセテート糸15を溶かしリッツ線13を被膜しつつ当接部を接着する。
具体的には、通電線22を図3のように巻き回したコイル20に、アセトン液を噴霧して通電線22の外被を構成する合糸17のアセテート糸15の部分を溶融させることで、巻線どうしの当接部31、32(図1、図4参照)に溶け出す。その後、アセトン液が気化し、当接部31、32がアセテート(アセチルセルロース)により接着、固化することで、コイル単体でコイル形状が保持されるようになる。
ここで、図5、図6を参照して合糸17による評価結果を説明する。図5は太さを固定(1100T)したテトロン糸16と、いくつかの異なる太さのアセテート糸15とを混紡した合糸17を用いて、各評価要素(接着性、糸切れ、蛇行性、バラケ防止効果、総合評価)で評価した結果を示す表である。
(各評価要素の判定基準)
接着性は、接着後コイルを持ち上げた際に、コイルにしなりがなく、コイル形状を保持してハンドリングできた場合は◎、コイルにややしなりがあるものの、コイル形状を保持してハンドリングできた場合は〇、コイルを持ち上げた際に当接部が分離してしまった場合は×とする。
糸切れは、合糸17をリッツ線13に巻き付ける際に、糸切れが生じない場合は◎、一部に糸切れが生じたが強度に支障がない場合は○、糸切れが生じてしまう場合は×とする。
蛇行性は、自動巻回装置によって、図3に示すようなコイルの形状に通電線22を蛇行させて、スムーズに巻き回すことができた場合◎、蛇行はできるが、蛇行部分での自動巻回装置の制御が必要となり、巻回しスピードを落として巻き回す必要がある場合は〇、部分的に蛇行させられなかった場合は×とする。
バラケ防止効果は、リッツ線13がバラケない場合は◎、蛇行部で一部リッツ線13がバラケた場合は〇、直線部でバラケた場合は×とする。
総合評価は、上記評価要素が全て◎のものを◎、〇と◎を含むものを〇、各項目にひとつでも×があるものを×とした。
図5に示す表を参照すると、比較例1は、テトロン糸:1100T、アセテート糸:220T、糸の本数比1:1とした場合、接着性×、糸切れ◎、蛇行性◎、バラケ防止◎となった。
比較例2は、テトロン糸:1100T、アセテート糸:440T、糸の本数比1:2とした場合、接着性×、糸切れ◎、蛇行性◎、バラケ防止◎となった。
実施例1は、テトロン糸:1100T(1本)、アセテート糸:660T(220T×3本)、糸の本数比1:3とした場合、接着性◎、糸切れ◎、蛇行性◎、バラケ防止◎である。
実施例2は、テトロン糸:1100T、アセテート糸:550T、糸の本数比1:1.25とした場合、接着性〇、糸切れ◎、蛇行性◎、バラケ防止◎となった。
実施例3は、テトロン糸:1100T、アセテート糸:880T、糸の本数比1:4とした場合、接着性◎、糸切れ○、蛇行性◎、バラケ防止◎となった。
比較例3は、テトロン糸:1100T、アセテート糸:1100T、糸の本数比1:5とした場合、接着性◎、糸切れ×、蛇行性○、バラケ防止◎となった。
比較例4は、テトロン糸:1100T、アセテート糸:1320T、糸の本数比1:6とした場合、接着性◎、糸切れ×、蛇行性○、バラケ防止◎となった。
これらの結果、実施例1、実施例2、実施例3で良好な結果が得られていることが判る。つまり、合糸17を作るにあたり、テトロン糸16の太さを1100デシテックスとした場合に、アセテート糸15の太さを、550デシテックス以上880デシテックス以下とすることが好ましいと言える。
図6は太さを固定(660T)したアセテート糸15と、いくつかの異なる太さのテトロン糸16とを混紡した合糸17を用いて、各評価のパラメータ(接着性、糸切れ、蛇行性、バラケ防止効果、総合評価)で評価した結果を示す表である。
図6に示す表を参照すると、比較例5は、テトロン糸:440T、アセテート糸:660T、糸の本数比0.4:3とした場合、接着性◎、糸切れ◎、蛇行性◎、バラケ防止×となった。
実施例4は、テトロン糸:550T、アセテート糸:660T、糸の本数比0.5:3とした場合、接着性◎、糸切れ◎、蛇行性◎、バラケ防止○となった。
実施例5は、テトロン糸:880T、アセテート糸:660T、糸の本数比0.8:3とした場合、接着性◎、糸切れ◎、蛇行性◎、バラケ防止◎となった。
実施例6は、テトロン糸:1540T、アセテート糸:660T、糸の本数比1.4:3とした場合、接着性◎、糸切れ◎、蛇行性○、バラケ防止◎となった。
実施例7は、テトロン糸:1760T、アセテート糸:660T、糸の本数比1.6:3とした場合、接着性◎、糸切れ◎、蛇行性○、バラケ防止◎となった。
比較例6は、テトロン糸:2200T、アセテート糸:660T、糸の本数比2:3とした場合、接着性◎、糸切れ◎、蛇行性×、バラケ防止◎となった。
これらの結果、実施例4、実施例5、実施例6、実施例7で良好な結果が得られていることが判る。つまり、合糸17を作るにあたり、アセテート糸15の太さを660デシテックスとした場合に、テトロン糸16の太さを、550デシテックス以上1760デシテックス以下とすることが好ましいと言える。
なお、上記図5、図6に示した評価結果を総合すると、アセテート糸15の太さが、500T以上1000T以下の範囲であり、かつテトロン糸16の太さが500T以上2000T以下の範囲であり、かつこれらの糸を合わせた合糸17の太さが、1000T以上2500T以下であれば、接着性、糸切れ、蛇行性、バラケ防止などに関して良好な結果が得られる。
このようにこの実施形態によれば、複数のエナメル線12を撚り合わせたリッツ線13の周囲に、リッツ線13の周方向(軸と交差する方向)に合糸17をテーピングして被覆することで外側の被膜部分が薄くなり、通電線22としての柔軟な引き回しが可能になる。
また、合糸17をテーピングした通電線22を渦巻き状に離間部と当接部とを設けるように巻き回し、アセトン液を噴霧して外被を構成する合糸17のアセテート糸15の部分を溶かして当接部31、32を融合させてアセトン液が気化し当接部31、32が接着することで(図1参照)、コイル単体でコイル形状が保持されるようになる。
この結果、巻線間にスペーサを介在させることなく隙間を設けて屈曲(蛇行)させて巻回しコイル単体で形状を保持することが可能であり、かつ低コストなコイル20およびコイル20の製造方法を提供することができる。
(他の製造方法の例)
なお、上記コイル20の製造過程において、第3工程では溶剤で合糸17のアセテート糸15を溶かしたが、これ以外にアセテート糸15の代わりに熱融着ナイロン繊維を用いた合糸17を加熱して合糸17の熱融着ナイロン繊維を溶かしてもよい。上記第1工程において、通電線22を渦巻き状に加工して作成したコイル20を加圧、加熱機(図7参照)で加圧および加熱して形状保持力を向上する。
加圧、加熱機は、図7に示すように、上下に対向配置した金型61および重し62と、金型61および/または重し62を加熱するヒータ67と、ヒータ67に電力を供給する電源68とを備える。
下側の金型61には通電線22を平坦な渦巻き状(コイル状)に巻き回すための溝63が設けられている。溝63は通電線22を嵌め込み可能な幅と深さで設けられている。上側の重し62は、渦巻き状(コイル状)に巻き回した通電線22に対して一定の圧力を加えるように上下に移動可能である。
この場合、電線(通電線22)を巻回用金型61の溝63に嵌め込んで渦巻き状にし、熱融着ナイロン繊維の融点(融解温度)まで加熱した後、冷却することで、リッツ線13の周囲に繊維層14を形成しつつ当接部31、32を接着する。
詳細には、通電線22を渦巻き状の溝63に這わせて嵌め込み、重し62を配置することで渦巻き状に成型された通電線22の微細ながたつきを押さえ、加圧、加熱機で合糸17の熱融着ナイロン繊維の部分の融解温度(例えば110℃以上、テトロン糸16の融解温度未満)まで加熱して溶かした後、冷却することで、通電線22aの周囲にテープ状になった繊維層14の被覆を形成し、線どうしの当接部を接着した渦巻き状のコイル20(図3参照)を製造する。なお、渦巻き状にしたコイル20に加圧を行うことで、渦巻き状コイル20の凸凹を少なくし、厚みを均等化することができる。
つまりリボン状の合糸17をリッツ線13の周囲にテーピングした通電線22をコイル形状に巻き回して、加熱、加圧機で加圧しながら110℃以上で加熱し、外被の合糸17のうち熱融着ナイロン繊維の部分を溶解させた後、冷却して固化したものが平坦な繊維層14(絶縁層)となる。この際、隣接する巻き目の通電線22のうち当接部が接着される。
このように形成された繊維層14では、加熱時に熱融着ナイロン繊維の部分だけが融解して隣接どうしで接着しその中のテトロン糸16の部分は溶解していないため帯状の絶縁層になる。したがって、繊維層14を剥がす際に、合糸17を巻き付けた単位(幅)でテープ状にきれいに剥がすことができる。また繊維層14を剥がした後、その内側のリッツ線13には繊維層14の残存物が残らないため、加工前のリッツ線13の状態と同様になる。この結果、例えば終端処理などが容易に行える。
このようにコイル20の形状保持するにあたり、溶剤による溶解・固化や加圧、加熱機による溶解の手法を用いることで、以下のような効果が得られる。
すなわち、複数のエナメル線12を撚り合わせて形成したリッツ線13の周囲に、リッツ線13の周方向(軸と交差する方向)に、アセテート糸15とテトロン糸16の繊維が縞状をなす合糸17を螺旋状に巻回してテーピングした後、アセテート糸15の繊維部分を溶解し固化することで、絶縁樹脂などのスペーサを介在させることなく、形状が保持可能なコイル20を製造できるので、巻線間にスペーサを介在させることなく隙間を設けて屈曲(蛇行)させて巻回しコイル単体で形状を保持することが可能であり、かつ低コストなコイル20およびコイル20の製造方法を提供することができる。
なお、線間の隙間を設けないで密巻きに形成した渦巻き状コイルにあっては、より一層の形状保持が可能となることはいうまでもない。
また、本実施形態では、以下のような効果が得られる。
本実施形態のように、テトロン糸16とアセテート糸15とを縞状に巻回することで、合糸17による強度アップ効果や接着効果の他に、テトロン糸16の繊維部分とアセテート糸15の繊維部分との段差で、溶けたアセテートが流れでてしまうのをテトロンが防ぐストッパー効果がある。
テトロンがない場合や、従来技術で説明したリッツ線\テトロン\アセテートの積層構造の技術の場合においては、ストッパーのテトロンがないため、特に、コイル形態において、離間部では固化することによって硬化する電線強度の低下が起こることが予想される。
また、本実施形態のように、リッツ線13の周囲に合糸17をテーピングすることで、被膜を2層で形成するコイルに比べて厚みの薄い渦巻き状のコイル20を作製することができる。
リッツ線13の周囲に合糸17をテーピングしたままでは固着されないため、リッツ線13の可撓性が保たれるので、例えば熱硬化性樹脂からなる樹脂テープ材を巻回するのに比べて柔軟性にたけ、コイルの成型性が高まる。糸巻機は既存の設備を利用可能なため、設備投資が最低限で済む。
図3のように隣接する巻き目の間に隙間を設けたコイル20の形状であっても、リッツ線13の周囲に繊維層14が固着することで、コイル20は剛性が得られるため、コイル20を単体で取扱う際(ハンドリングの際)にコイル形状が保持されるようになる。
リッツ線13の被膜にリッツ線13そのものを融着する樹脂を用いていないため、コイル20の形状を固定した後であっても、固着した繊維層14をはぎ取ることで、加工前のリッツ線13に容易に戻すことができ、また終端処理が容易に行える。
上記実施例では、渦巻き状のコイル20の外形をほぼ方形状(コーナー部が丸みを帯びている)としたが、これ以外に図7に示した金型61の溝63の配置および形状を変えることで、例えば外形が矩形(長方形)の渦巻き状コイルや外形が楕円形の渦巻き状コイルなども容易に製造することができる。溝63自体の形状を半円形の溝から凹形状の溝へ変更してもよい。
また、製品の出荷形態として、例えば図8に示すように、アルミニウム板などの基板1と、この基板1の上面に配置された磁心コア板2と、磁心コア板2の上面に配置されたコイル20とを備えてもよい。
この場合、コイル20単体を作成した後、アルミニウム板などの基板1の上面に磁心コア板2を配置し、さらに磁心コア板2の上面に、上記のコイル20を配置することで、図7に示した非接触給電装置を製造することができる。
なお、磁心コア板2におけるコイル20の位置を固定するために、磁心コア板2の上面をモールド樹脂等により皮膜してもよい。
上記実施形態では、合糸として、アセテート糸15とテトロン糸16の混紡構造の合糸17を用いたが、合糸は、合成樹脂系の第1糸状繊維と、溶剤や加熱で溶けて接着剤として機能する第2糸状繊維の状態で合糸したものであれば適用可能であり、実施例のアセテート糸15とテトロン糸16の合糸である合糸17と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…アルミ板(基板)、2…磁心コア板、20…コイル、22…電線、12…エナメル線、13…リッツ線、14…繊維層、15…アセテート糸、16…テトロン糸、17…合糸、22、22a…通電線(絶縁電線)、31、32…当接部、61…金型、62…重し、63…溝、67…ヒータ、68…電源。

Claims (8)

  1. 絶縁電線を巻回したコイルであって、
    前記絶縁電線が、
    複数の絶縁素線を撚り合わせた撚り線と、
    前記撚り線の周囲に配置され、第1糸状繊維と、溶剤または加熱により前記第1糸状繊維よりも先に溶ける第2糸状繊維とを所定の割合で合わせた合糸と、
    を具備することを特徴とするコイル。
  2. 前記撚り線が渦巻き状に巻回された巻回部と、前記巻回部以外の接続端子が接続される末端部とを有し、
    前記巻回部には、前記合糸のうち前記第2糸状繊維を溶剤または加熱により溶かした繊維層が形成され、
    前記末端部には前記合糸が配置されることを特徴とする請求項1に記載のコイル。
  3. 前記第1糸状繊維の太さが1100デシテックスであり、前記第2糸状繊維の太さが、550デシテックス以上880デシテックス以下であることを特徴とする請求項1または請求項2いずれか記載のコイル。
  4. 前記第2糸状繊維の太さが660デシテックスであり、前記第1糸状繊維の太さが、550デシテックス以上1760デシテックス以下であることを特徴とする請求項1または請求項2いずれか記載のコイル。
  5. 前記撚り線の周囲に前記合糸を巻く巻きピッチが1.5mm以上3.5mm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか1項に記載の電線。
  6. 前記絶縁電線が、隣接する前記絶縁電線どうしが離間する離間部と、隣接する前記絶縁電線どうしが当接する当接部とを設けるように平坦に巻回され、
    前記当接部が、溶けた前記第2糸状繊維により接着されたことを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれか1項に記載のコイル。
  7. 金属製の基板と、
    前記基板の上に配置した磁心コア板と、
    前記磁心コア板の上に配置した請求項1乃至請求項6いずれか1項に記載のコイルと
    を具備する非接触給電装置。
  8. 撚り線を巻回して渦巻き状に形成するコイルの製造方法であって、
    (A)第1糸状繊維と前記第1糸状繊維よりも先に溶ける第2糸状繊維とを所定の割合で合わせた合糸を前記撚り線の周囲に配置して絶縁電線を形成する工程と、
    (B)隣接する前記絶縁電線どうしが離間する離間部と、隣接する前記絶縁電線どうしが当接する当接部とを形成するように、前記絶縁電線を渦巻き状に巻回し平坦なコイル状にする工程と、
    (C)前記コイル状をなす前記絶縁電線の前記合糸の一部を前記溶剤または加熱により溶かし前記絶縁電線の前記当接部を接着する工程と
    を有することを特徴とするコイルの製造方法。
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